杜仲腰花│豚の腎臓と杜仲の炒め物
日本では杜仲茶としてよく知られている「杜仲」ですが、実際の生薬を見たことがある人は少ないのではないでしょうか?杜仲茶として日本でよく飲まれているのは葉の部分ですが、中医学や漢方の世界では樹皮を用います。手元に杜仲茶がある人は試してみて欲しいのですが、杜仲の葉っぱを手で二つにちぎると、葉の隙間に白い粘りのある糸を引くと思います。これが有効成分の正体でその名も「グッタペルカ(の類似成分?)」といい、有用な天然ゴム成分でもあります。他にも鉄分や亜鉛などミネラル分を豊富に含み、杜仲茶は健康食品として数度ブームを巻き起こしました。ちなみに葉っぱからも有効成分が摂れることを発見したのは日本人の研究者で、今のように世界中で健康茶として飲まれるまでになりました。
この有効成分グッタペルカ(の類似成分?)は葉っぱには2-4%、樹皮には10-16%含まれるというので、日本で樹皮を手に入れることができない場合、葉を4-5倍量用いれば、同じ料理が作れる可能性があります。中華料理はこの辺が結構保守的ですが、杜仲葉を研究した日本人研究者のように葉からこの料理が作れることがわかれば、中華料理会のエポックになることでしょう。あんかけに使う水の量は葉から作るには少ないので、まったく同じ調理法では作れません。葉っぱを使う時は各自工夫してください(→Point参照)。
さて杜仲ですが、ゴム成分(食用にできる天然ゴム成分ですので心配なく)を含むため利尿作用などを持ち、冬虫夏草などと並んで中医学では高級材料とされます。豚の腎臓と一緒に調理したこの料理は、「自分の体の悪い部分と同じ部分を食べる」と「その場所に効く薬を一緒に摂る」という中国医学の基本的な概念に沿って作られた薬膳料理です。腰痛や産後管理に効果があるとされ、台湾では産後のお母さんが体調管理に食べたりします。
健康な人が食べてもまったく問題はありません。このブログで読んだことを思い出して、フムフムと頷きながら料理を楽しみましょう。
こういう薬膳料理を提供する中華料理の店は日本にはあまりないので、台湾旅行時に探して食べてみましょう。1000円ほどで一皿注文できます。
難易度:
☆☆☆(材料入手による)
調理時間:
30分以内 + 下準備
材料:
杜仲 ……… 15g
花椒 ……… 3g
豚腎臓 ……… 400g(2個)
ニンニク ……… 5g
生姜 ……… 10g
ネギ ……… 5g
水 ……… 50g
調味料:
酒 ………大さじ1
酢 ……… 大さじ1
味の素 ……… 小さじ1g
醤油 ……… 小さじ2
片栗粉 ……… 10g
塩 ……… 5g
砂糖 ……… 10g
下準備:
1.杜仲はよく洗い、砕いてから熱水に浸けそのまま2-3時間つけておく。(葉を使う場合はお茶を出してから50cc程度まで煮詰め、漉して使いましょう)
調理法:
1.杜仲を漬けていた汁に酒、味の素、醤油、片栗粉、塩、砂糖を加え混ぜ合わせ、あんかけの素にする。ネギはぶつ切りにする。生姜、ニンニクは薄切りにする。
2.豚腎臓は食べやすい大きさに薄切りにし、筋膜側(外側)に交差する様に飾り包丁を入れる。
3.熱した鍋に適量の油(分量外)を引き、花椒を炒めて香りを出した後、豚腎臓、ネギ、生姜、ニンニクを入れてサッと炒める。火が通ったら、あんかけの素を入れて火を通しながらよく混ぜ合わせて完成。
Point:
杜仲を水につけておくのは半日でも1日でもOK。長ければその分成分が多く染み出します。お茶を使った簡易版も独特の甘みがあって十分おいしいと思いますので、挑戦した方は結果をお知らせください。
日本で一般に「杜仲」と言えば、健康食品のせいもあり葉の方を指します。日本では漢方薬の店で特別に注文しなければ樹皮の購入は難しいと思います。高価なので購入前の見積もりを忘れずに。台湾では漢方薬剤店で少量ずつ購入できます。メールでご連絡いただければ、対応します。
砕いた杜仲はあんかけにそのまま入ります。よけて食べるのが中華風です。ゴム成分グッタペルカ、おそらく水には溶けません(当たり前ですが…)。樹皮を水につけて柔らかくしてからあんかけに用いる料理ですが、やっぱり葉っぱだけで作るとこれをうまく抽出できない可能性があります。工夫しましょう。
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