蟹肉粉絲│カニ肉春雨

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日の『蟹肉粉絲│カニ肉春雨』のレシピを紹介します。春雨とカニ肉を炒めて作るお手軽料理です。

今日は「蟹」という漢字の由来を調べて見ましょう。古くは「」とも書かれました。

見ての通り蟹という字は「解」と「虫」に分けられます。虫の部分は蝦、蝦蛄、蜥蜴、蜘蛛などと同じく、古代中国では虫(蟲)の一種として考えられていたことに由来します。では「解」の部分はどんな理由でカニに使われるようになったのでしょう?

古代中国の祭祀を開設した《周禮》には祭品として「蟹醤」なるものが登場します。《周禮》は約三千年前の祭祀について記載されている書物ですが、この時からカニは珍奇食材として重要視されていました。この当時の祭祀に使われる食材にはそれぞれ呪術的な意味があったようですが、どうやらこれが「解」の意味を追うヒントになりそうです。

周代以前の書物《易經》、《尚書》、《山海經》などにも殻を持つ生物として「蟹」の表記が見られます。当時の動物を表す漢字、例えば蛍(螢)や鷺などの成り立ちを考えると、カニは即ち“「解」する「蟲」”の意味のはずなのですが詳しい説明は載っていません。

蟹の漢字の成り立ちは後代の学者にとっても興味深いテーマだったようで、各時代に蟹の漢字を解説した様々な書物が発行されます。宋代に陸佃により書かれた《埤雅》という書物には“漆見之而解、名之曰蟹、一似出于此”という記載があり、明代に馮時可により書かれた《雨航雑録》では“是物以解結散血得名”とも書かれています。更に宋代に寇宗奭によって書かれた本草書《本草衍義》では“此物毎至夏末秋初、如蝉脱解、名蟹之意、必取此義”と書かれています

それぞれ、「漆を溶解する」、「血を解結する」 、「蝉のように脱解(脱皮)する」の意味です。漆を溶かしたり、血を解いたりの物理的な効能は後代に入って発見されたもので、周代以前の「蟹」の字の意味として使われたとは考えられません。このことからどうやら「蝉のように脱解(脱皮)する」が正解に近いような気がしますが真相はどうでしょう?ちなみに蟹の脱皮は夏の終わりから秋にかけてのみ起こるわけではなく、成長に合わせて年中起こります。

蟹と同じように古代から知られていた蝦や蝦蛄も同じように脱皮しますが、なぜカニにだけ「蟹」の字が当てられたのでしょうか?ここで新たな謎が生まれました。この問題に解答するには更に後代の解説を待たねばなりません。

清代に屈大均によって書かれた《廣東新語》には“其味絕佳、解(蟹)其渣滓不用、用其精華、故曰解(蟹)也”という記載があります。どうやらこの文章が最も正解に近いような気がします。

上記の文章にある「解」とは即ち解く、剥く、剖く、脱ぐなどの意味で、カニを食べるときの動作を表していると考えられます。エビ、シャコ、貝類などの食材も同様の「殻を剥く」作業が必要になりますが、これらは一度の動作できれいに殻を剥くことが出来ます。しかしカニだけは、足を外し、腹を開き、身を割り、様々な困難(?)を経てようやくおいしい身を食べることができるのです。その作業はまさに解、解、解の連続で、古代人はこの作業を指して「蟹」と呼んだのでしょう。祭祀に用いられたというのも、この何重もの殻を取り去らないと美味にありつけないという意味を汲んだものと推測できます。

ついでに「蟲」について説明しておくと、古代中国では足が4つではないほとんどの動物が「蟲」と呼ばれました。四神とされる鳳凰、麒麟、玄武、青龍ですらそれぞれ羽蟲、毛蟲、甲蟲、鱗蟲と呼ばれていたくらいです(白虎はそのまま)。

漢字の意味を理“解”すればカニ料理がもっとおいしくなるかもしれませんね。


三絲洋蔥│中華三色炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『三絲洋蔥│中華三色炒め』のレシピを紹介します。三種の材料をサッといためて作る簡単なサラダ風料理です。

料理名の「三絲」とは「三つの千切り」 くらいの意味です。三という数字が出てきたので、簡単に台湾各地の三大○○を見てみましょう。

まずは台北三大観光名所、これは「士林夜市」、「故宮」、「龍山寺」の三つです。 「龍山寺」については当ブログでも細かく解説しているので参考にしてください。

続いて台灣三大烏龍茶、「凍頂烏龍茶(高山茶)」、「文山包種茶」、「白毫烏龍茶(東方美人)」、どれも台湾十大茶にも属する烏龍茶です。

さらに台湾三大河流、台北を流れるおなじみ「淡水河」、中部を流れる台湾最長の「濁水溪」、南部の「高屏溪」です。覚えておくと台湾地理ファンに驚かれます。

続いて台湾三大名節の「春節(正月)」、「端午節」、「中秋節」は各地で盛大なお祭りが催されます。旅行の時期と重なったらぜひ参加しましょう。

まだまだあります、台湾三大民變と呼ばれる「康熙六十年(1721)朱一貴事件」、「乾隆五十一年(1786)林爽文事件」 、「同治元年(1862)戴潮春事件」を忘れてはいけません。台湾史を語る上で絶対にはずせない歴史に大きな影響を与えた三つの反乱事件です。

他にも「三大大學」、「三大寺廟」、「三大現代美術館」など色々な三大があります。どれか一つでも覚えておくと、台湾人との交流がぐっと楽しくなりますよ!

というわけでレシピ行ってみましょう。


馬鈴薯肉末│中華風ジャガイモ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
家庭料理のレシピが続いております。本日は『馬鈴薯肉末│中華風ジャガイモ炒め』のレシピです。ジャガイモをメインにニンジン、ニンニクなどを塩胡椒で炒める簡単料理です。

ご存知ジャガイモは中国語(普通話の正規表記)で「土豆」と書きます。ところが台湾華語では(簡/繁体字の違いは無視して)「馬鈴薯」と書くのです。中国大陸で中国語を勉強した人たちが始めて訪れた台湾で「?!」とよく感じる部分ですね。

タクシーやバスなど身近な単語も違う表現をするのですが、特に料理でつかう食材の名前はまったくといっていいほど違う場合が多く、レシピを見るときには注意が必要です。特に調味料の名前は大陸と台湾どころか地域ごとに違ったりするので大変です。

たとえば台湾ではよく「醤油」という表現を使いますが、これが広東省にいくと「豉油」と書かれ、福建省では「豆油」になります。台湾と福建省、広東省は海峡を隔てて隣接していますが、これだけ表記が違います。また色や種類によって同じ醤油でも「生抽」、「老抽」などとも呼ばれたりするのでかなり複雑です。

このようなことが、ケチャップ、オイスターソース、味の素、マヨネーズ、ラー油、野菜、魚などあらゆる食材で起こります。しかも標準語の辞書に載ってなかったりするので調べるのが大変です(笑)。中華料理を勉強する人はこの辺も覚悟して学びましょう。なお甘口男ではすべて日本語に変換して紹介しているので、深く悩む必要は余りありません。

それではレシピいってみましょう!


鳳梨蝦球│エビパイナップル炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日の料理は『鳳梨蝦球│エビパイナップル炒め』です。パイナップルとエビを炒めた料理で、どこの熱炒店でも見かけることができます。日本の中華料理店でも見かけることが出来ますね。

さてエビといえば大きな頭部に節のある胴部、長い触覚とはさみのある付属肢でおなじみの動物です。我々人類の属する哺乳類のように骨格と脳を持つわけではなく、体節と甲羅を持ちます。

分類学でいうと我々ヒトの属する哺乳類(Mammalia)をずーーーーーーっと遡った脊索動物門(Chordata)の、更に上位分類である動物界(Animalia)にまで遡ってやっと、エビやカニが含まれる「節足動物門(Arthropoda)」が現れます。ヒトとの共通性は消化管の入り口と出口が別で左右対称であることくらいしかありません(笑)。

節足動物の下位分類である甲殻亜門(Crustacea)、更にその下の軟甲網(Malacostraca)くらいになると、ほとんどの種がエビやカニのような外観になります。ちなみにダンゴムシはエビ、カニと同じく軟甲類に属します。大型のダンゴムシの仲間は…、食べるとエビのような味がするかもしれませんね。

軟甲類の特徴として、頭部+胸部7-8節+腹部5-6節という特徴があります。エビは頭部と胸部が一体化しているので、尾部6節だけが外に出ています。腹部が6節というのはどのエビでも共通の特徴ですので、次の機会にでも数えて見ましょう。カニのふんどしの部分はこの腹部が丸まったもので、こちらも数えると6節に分かれています。もちろん例外も多々ありますので、この辺で。

進化の過程を噛み締めながら食べる料理はどんな味がするのでしょうか…。ちなみにパイナップルとヒトは真核生物であることくらいしか共通点がありません。

それではレシピいって見ましょう。


山藥鯽魚湯│ヤマイモとフナのスープ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『山藥鯽魚湯│ヤマイモとフナのスープ』のレシピを紹介します。食用フナとヤマイモを煮込んだスープで、さっぱりとした味が特徴です。

この料理のメイン食材であるフナは唱歌「ふるさと」の歌詞に登場するほど古くから日本人には馴染みの深い魚です。ユーラシア大陸とその沿岸に広く分布し、ほとんどの生息域で古くから重要な蛋白源として食用にされてきました。

日本のほとんどの淡水に生息し古くから食用とされてきたので我々日本人にとって最も身近な魚の一種かもしれません。また特に突然変異で赤色の色素を持つようになったものをヒブナと呼び、交配を重ねて「金魚」として寵愛されるようになりました。というわけで金魚も食べられます…。

その身近さとは裏腹に生物学的には恐ろしく「分類の難しい魚」としても知られています。外見や色からでは、ほぼ同定することができず、種間の系統も明らかになってはいません。

古くは河川ごとに固有種がいたともいわれていますが、放流が進んで生息域による特定もほぼふかのうになってしまい更に混乱しています。身近な魚だけに遺伝子による系統解析などで研究を進め、はっきりとした系統樹を作製してほしいものです。

中国語でフナは「鯽魚」と書き、こちらも古くから食用とされてきました。現在では大量に養殖されており多くのフナ料理が食べられます。台湾の魚市場でも見かけることが出来ますので、興味のある方は購入して調理してみましょう。今回紹介するスープも伝統的な家庭料理の一つです。


腐乳炸魴魚│タイの豆腐乳揚げ

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本日は『腐乳炸魴魚│タイの豆腐乳揚げ』のレシピを紹介します。タイの切り身に豆腐乳をまぶしてあげたから揚げのような料理です。

料理名にある「魴魚」とは中国語では一種の魚を指すのではなく、様々な魚を総称して言う単語です。ほとんどは日本のタイの仲間を指しますが、エイやヒラメも含まれることがあります。日本ではホウボウ(魴鮄)を表す漢字として使われたりもします。台湾で「魴魚」が表す動物は日本よりよっぽど混乱するので慣れるしかありません。

というわけでレシピでは「タイ」を使っていますが、それ以外でもかまいません。好きな白身魚で作ってみましょう。

また漬けダレにつかっている「豆腐乳」は豆腐を麹と塩水に漬けて発酵させた調味料で、濃厚な旨みが特徴です。ご飯にそのまま乗せても食べられます。台湾お土産にも最適ですので、訪れた際はスーパーなどで購入しておきましょう。また豆腐乳を使って作る絶品から揚げ『豆乳雞』も紹介しているのでぜひ参考にして下さい。

それでは、レシピいって見ましょう!

鹽烤劍蝦│スベスベエビの塩焼き

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『鹽烤劍蝦│スベスベエビの塩焼き』のレシピを紹介します。エビを塩と酒で蒸し焼きにする簡単料理です。オーブンや直火は使いません。

本日は台湾の食卓に登るエビの名称を解説します。

「白蝦」
クルマエビ科。和名をバナメイエビ Litopenaeus vannamei と呼び、世界で最も養殖されているエビです。つい最近までブラックタイガーが養殖量一位でしたが逆転しました。日本でむきエビとして売られているのはほとんど本種です。体色が白く、加熱するとピンク色になります。日本の「シロエビ」とは別種なので気をつけましょう。

「草蝦」
クルマエビ科。和名はウシエビ Penaeus monodon と呼びますが、ブラックタイガーという別名の方が有名でしょう。近年大量養殖によるマングローブや汽水域の破壊が問題になり、養殖量が減っています。非常に高密度で養殖できるのですがそのため伝染病にかかりやすく、抗生物質の投与なども問題にされています。冷凍エビとしてまだまだ現役です。

「海蝦」
クルマエビ科。和名はクルマエビ Marsupenaeus japonicus です。台湾ではサバヒーと一緒に養殖できることもあって、たくさん養殖されています。海蝦の表記はその他のクルマエビ科のエビの総称として使われることもあるので、時々混乱します。

「劍蝦」
クルマエビ科。和名はたぶんありません。学名はParapenaeopsis hardwickii で、当レシピで使う蝦です。正確な中国語の名称は哈氏彷對蝦といいます。レシピでは同じ属のスベスベエビ Parapenaeopsis tenellaの名前を使っていますが、正確には別物です。他の蝦より甘味が強く、身に弾力があるので珍重されます。台湾で機会があれば食べてみましょう。

「泰國蝦」
テナガエビ科。和名はオニテナガエビ。(和名のテナガエビ Macrobrachium nipponense 一種の他にも、テナガエビの仲間の総称としても使われるので、テナガエビと呼んでも間違いではありません。)正確な中国語の名称は淡水長臂大蝦で、学名は Macrobrachium rosenbergii です。世界最大の淡水エビで、今まで発見された最大のものは1mを越えるそうです。とはいえ、全長の大半は長い第二歩行足です。


「溪蝦」
テナガエビ科。和名はコンジンテナガエビ Macrobrachium lar です。淡水に住むエビを総称しても使われます。台湾から沖縄、鹿児島あたりまで黒潮に乗って移動するそうで、日本でも食用にされることがあります。

他にも様々なエビの名称がありますが、また別の機会に紹介したいと思います。

それでは今回はスベスベエビ(の仲間)を使った料理です。



蔥爆鯛魚片│タイのネギ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『蔥爆鯛魚片│タイのネギ炒め』のレシピを紹介します。タイの素揚げと香辛料をたっぷり混ぜ合わせて炒めて作る料理です。

最近Higeneは台湾の某企業に頼まれて新入社員向けのコーチングを行っております。いやぁ、国籍が違っても新入社員というのはフレッシュでいいですね!

日本や台湾で一般的にタイとして流通している動物はご存知真鯛│マダイ Pagrosomus major、クロダイ│黑棘鯛、黑鯛 Acanthopagrus schlegelii、そして台灣鯛│タイワンタイ Argyrops bleekeri の三種。タイ科には他にも多くの種がいますが、キダイやヒレコダイは台湾ではあまり見かけません。キンメダイやティラピアはタイと呼ばれることがありますが、タイ科ではないのでここで言う狭義のタイには含んでいません。

ちなみに日本では200種以上の魚に「○○タイ、○○ダイ」と名付けられているそうですが、そのほとんどはタイ科の魚ではないそうです。複雑ですね(笑)。

今回の料理は素揚げにしたタイの切り身にネギ、ニンニク、トウガラシなどの香辛料を和えて作る熱炒店の有名料理のひとつ。日本でも簡単に再現できますので、ぜひビールのお供に一品作ってみてください。
 

糖醋魚排│タイの甘酢ソース和え

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『糖醋魚排│タイの甘酢ソース和え』のレシピを紹介します。ご飯の上に乗せて食べるタイプの中華丼で、そのまま食べるものよりも少し濃い目の味付けとなっています。

(記事は後日更新します。)



茄汁蝦仁│エビのケチャップソース炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『茄汁蝦仁│エビのケチャップソース炒め』のレシピを紹介します。西洋風の料理ですが締めにごま油を加えると一気に中華風になりますね。

タイトルにある「茄汁」は茄子の汁のこと…ではなく、ケチャップの意味です。福建省の伝統調味料キーチャプが世界を一周してアメリカに到りケチャップになったのは以前も紹介しました。福建から東南アジア、インド、イギリスを経てアメリカに到ったケチャップは最初は魚を発酵させたものでしたが、なぜか現在ではトマトと香辛料を混ぜ合わせたものに変わったという不思議な変遷を遂げた調味料です。500年ほどかけて世界を一周したので各地に伝わった当時の味を残した伝統的なケチャップと、世界を席巻するアメリカのトマトケチャップの二種類がどの国でも見られます。そのうち詳しくケチャップの歴史を追跡してみたいですね。

ケチャップ発祥の地であるアメリカのケチャップ消費量は他国にぬきんでて多く、手軽に摂れる「野菜」として人気があります。またほとんどのヨーロッパ諸国ではあらゆる調味料の中でケチャップの消費量がダントツで多いのですが、なぜかロシアだけはマヨネーズの消費量の方が高いという不思議な現象もあるようです。


牛蒡烤肉捲│牛蒡の豚肉巻き

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『牛蒡烤肉捲│牛蒡の豚肉巻き』のレシピを紹介します。ゴボウを豚肉で巻いてオーブンで焼いて作る料理です。台湾ではホテルのビュッフェや家庭料理としてよく見かけます。

ゴボウは漢字で牛蒡と書きます。この字はもちろん中国語由来で、古くは「蒡」の字は別の植物を指しました。「蒡」はもともと蘇(シソ科の植物)に似た毛のある「隱荵」という植物を指し、牛蒡はこれよりも少し大きいことから「牛」の字をつけて牛蒡と名付けられたということです。

最近日本では解毒のお茶としてゴボウ茶が話題になっているそうですが、台湾では日本よりも安くゴボウ茶が手に入ります。結構かさばりますが持ち帰ればお土産として喜ばれるでしょう。

しかしざっと日本のゴボウ茶の通販サイトを見比べてみましたが…、購入をあおる謳い文句が非常に紛らわしく、薬事法すれすれの紛らわしいものばかりでした。「高麗ニンジンと同じ成分が…」とか、「飲むと○○才若返る…」とか、そのうち厚生労働省に罰金を支払うことになりそうな文言ばかり…(笑)。ブームになるとすぐにこういったコピーが反乱するのが日本の平和なところですが、頭から信じずぜひ身近にいる薬剤師や栄養士に相談していただきたいと思います。

まぁ、薬剤師・栄養士が全部正しい答えを出してくれるわけではありませんが…。

というわけで本日はゴボウを使ったオーブン料理。簡単に作れておいしいですよ!

薑絲鱸魚湯│スズキとショウガのスープ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日の料理は『薑絲鱸魚湯│スズキとショウガのスープ』です。スズキを糸ショウガで煮込んだシンプルなスープで、新鮮な魚を扱える日本でなら世界一おいしいものが作れるかもしれません。

スズキ Lateolabrax japonicus は日本語の漢字では「鱸」と書きます。そのため中国語で「鱸魚」と書いてあれば「スズキ」を意味すると思ってしまいますが、実はそうではありません。いきなり料理名と矛盾することを言ってしまいますが、中国語の「鱸魚」が指す魚はスズキ科のヨーロピアンパーチ Perca fluviatilis という魚で、日本のスズキとは別種の魚です。料理名ではスズキとしていますが、厳密には違うということをご理解しておいてください。

つまり日本の「スズキ」の漢字表記が「鱸」、中国語の「鱸魚」の和名は「ヨーロピアンパーチ」というわけです。

それでは日本のスズキを表す正しい中国語はどのように書くのでしょう?正解は「日本真鱸」、こちらが学術的にも正しい表記となります。まぁ、ほとんどの「花鱸」という別表記を使います。なまじっか漢字が同じなので、こういう動植物の名称に関する混乱は枚挙に暇がありません。皆さんも台湾や中国で見慣れた動物の漢字を見かけたら…、ぜひ一度両国の図鑑や漢字字典を見比べて意味を再確認するクセをつけておくとよいでしょう。

本日の料理、名称は複雑ですが作り方はとてもシンプルです。ぜひお試しください。


八寶絞肉(飯)│八宝そぼろ(ご飯)

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『八寶絞肉(飯)│八宝そぼろ(ご飯)』です。豚ひき肉を各種材料と調味料で煮込んで作るそぼろ料理で、特にご飯の上にかけて食べると最高の一品です。

八宝菜』やこの『八寶絞肉』に付いている「八宝」とは「八種類」ではなく「たくさん」をあらわすのはご存知のとおり。『八宝菜』は「たくさんの具材を組み合わせた料理」くらいの意味です。

仏教の世界で「八寶」は、そのもの「八種の宝」を表し、「八吉祥」、「吉祥八宝」などとも呼ばれて、吉祥の象徴とされます。八寶とは八種識智、即ち八識と呼ばれる眼、耳、鼻、音、心、身、意、藏の感覚に対応する吉祥の象徴で、輪、螺、傘、蓋、花、罐、魚、長のことを言います。どれがどれに対応しているのかは分かりませんが…。

この八寶は特に仏教画にたびたび用いられるモチーフで、それぞれに寓意があるので意味を知っておくと台湾の寺廟めぐりが楽しくなるかもしれません。龍山寺の屋根にも確か全部乗っていたはずです。一部の中華料理は仏教、道教、儒教との繋がりも深いので、それぞれ簡単に知っておくと中華料理の味わいが一層深くなることでしょう。この料理はたまたま漢字が同じだけで仏教とつながりがあるわけではないですけどね(笑)。

それでは、本日のメニューをお楽しみ下さい。めちゃくちゃご飯に合いますよ!
 

薑汁魷魚│ヤリイカのショウガ汁煮

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『薑汁魷魚│ヤリイカのショウガ汁煮』のレシピを紹介します。ショウガ汁で茹でたヤリイカにソースを添えて食べる料理です。

記事は後日更新します

醬烤豬排│豚骨付きバラ肉の醤油焼

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難易度:☆ 調理時間:半日
本日は和風なのか中華なのかよく分からない料理『醬烤豬排│豚骨付きバラ肉の醤油焼』のレシピを紹介します。骨付きの豚バラ肉を調味料に漬けてオーブンで焼くおつまみ料理です。

動物の肋骨を中国語で「排骨」といいます。特に明記しない限りただ「排骨」と書けばそれは豚の肋骨を指し、その周りの肉を猪排と呼びます。牛肉なら牛排、鶏なら鶏排という具合です。中華料理では基本的に調味料と混ぜ合わせて蒸したり煮込んだりして調理します。日本で言うバラ肉のことです。骨がないものは『東坡肉』などに使われます。

中華料理で最も有名な豚排料理はおそらく蘇州の『無錫排骨』でしょうか。当ブログでも過去に作り方を紹介しているので参考にしてください。

というわけで本日は『醬烤豬排』のレシピです。台北も肌寒くなってきましたがこんな料理を作るとビールが飲みたくなりますねぇ。


蒜蓉蒸魚片│タイのニンニク蒸し

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『蒜蓉蒸魚片│タイのニンニク蒸し』のレシピを紹介します。鯛をバターとニンニク風味の具と合わせて蒸し揚げた和洋折衷な料理です。

日本でタイといえばまずマダイ Pagrus major を思い浮かべると思います。通常食卓に並ぶマダイは体長30-40cmほどでそのイメージが強いかもしれませんが、天然の大きなものでは1mを超えることもある巨大魚です。タイは日本では非常に古くから食べられていた魚で、かの《万葉集》にもタイの名が残されています。古代はタイ=マダイでしたが、江戸時代に近縁の100種ほどの魚を総称して言う名称になり、近代に入ってからは300種近いタイの仲間を指していう言葉になりました。

中国語でもタイの仲間を「鯛魚」と書き台湾でも食べられますが、こちらは専らティラピアがメイン。マダイは鹿児島以北から北海道にかけて分布する魚で、台湾では漁獲されません。日本人の持つタイ=マダイのイメージで台湾の鯛魚を食べると、味の違いに驚かれるかもしれません。ちなみにクロダイは台湾でも漁獲されます。高級魚ですけど。

日本ではティラピアがイズミダイなどの名称で流通していることもあり、台湾の市場で「呉郭魚」の名前で売られているティラピアを(偽?)日本料理店では「タイ」の名前を付けて売っていることもあります。中国語メニューに「呉郭魚」の表記を見かけたら下に日本語で「タイの○○」とかかれてあっても、鯛料理じゃないんだということをしっかり覚えておきましょう。

さて、今回のレシピではタイを使っていますが、実際にはカレイやタラ、スズキなどの白身魚を使っても作れます。バターとニンニク、そしてサヤエンドウの食感が蒸した白身魚とよく合うすばらしい料理です。ぜひお試しください。


醬燒蝦│エビのマーボーソース焼き

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
「簡単に作れるおかず教えてください!」とのリクエストをいただいたので、こんなのはいかがでしょうか?『醬燒蝦│エビのマーボーソース焼き』のレシピを紹介します。市販の麻婆豆腐の素を使った海鮮料理です。

台湾のスーパーでも日本と同じような様々な加工済み食品が買えます。温めるだけの手軽なものから、本格料理の味付けに使う業務用までその多様さはレトルト先進国である日本にも負けていません。台湾人は基本的に自炊をしませんが、何かをきっかけに料理の面白さに目覚める人も少なくありません。料理初心者向けのカルチャー教室なども充実しているので、最初の一歩さえ踏み出せば料理をするためのインフラはしっかり整っているのです。

筆者の本業はけっして料理人ではないですが、時々台湾人に請われて日本料理の教室を開くことがあります。「包丁を握ったことのない人にいきなりカツ丼の作り方を教えてやってくれ」とか、ハイレベルな要求があることがあるので笑えません。そういう時はストレートに断っておとなしく『肉じゃが』と『おにぎり』から作ります(笑)。

美食の都台湾であれだけ毎日おいしいものを食べているはずの人々が、塩の量を間違えたり砂糖の使い方を知らなかったりするので初心者向けの講座は大変盛り上がります。じゃあ少しずつ量を増やして味の変化を見て見ましょうなどやっている光景はさながら理科の実験室のようです。理科の実験なら本職ですのでこちらも熱が入りますし(笑)。
 
そんな忙しい筆者もわりとよく利用するレトルト食品。実は市販の麻婆豆腐の素は海鮮類との相性も抜群で、豆腐とひき肉の代わりにエビ、イカ、タコを使うと立派な一品料理が出来ます。今回はそんな麻婆豆腐の素を使ったエビ料理です。ほぼ一瞬で作れますのでぜひお楽しみ下さい。




醃醉香蒜蛤蜊│ニンニクハマグリ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
熱炒店の人気メニュー『醃醉香蒜蛤蜊│ニンニクハマグリ』のレシピを紹介します。ビールにぴったりの冷たいメニューです。

さて、台湾の食の安全に付いて記事をまとめようと思っていたのですが、毎日のように新しいネタが飛び出してくるのでなかなかまとまりません。今回違反したとされる企業の商品の他、過去何度も違反を繰り返している企業の商品にも不買運動が広がっているので、コンビニなどでは該当企業の商品を撤去して別の商品に置き換わっています。前回台湾を訪れた時に見つけたお気に入りの商品が…今はどこにも売ってないこともあるでしょう。筆者も好きだったんですけどね…大○韻の烏龍茶。

台湾で吹き荒れる食の安全問題とあわせて考えたいのが、次回の台北市長選挙。柯文哲と連勝文の二大候補が連日火花を散らしています。

柯文哲は若いころから天才の名をほしいままにして来た“外科医”です。立候補までは政治とはほぼ無縁の生活を送っていましたが、歯に衣着せぬ政治批判や民衆の共感を呼ぶ発言で知名度も人気も高く、民進党の支持も取り付け一気に二大有力候補に躍り出ました。与党である国民党人気の低下と、野党人気の上昇に乗せて、浮動票を取り込むことができれば政治素人の台北市長誕生という歴史的快挙を達成することでしょう。

もう一方の有力候補連勝文は元副総統の息子という政治のサラブレッド。こちらは国民党所属で、中国とも太いパイプを持っています。それなりに黒い噂もあるものの、経済界の後ろ盾もあり有力候補の一翼となっています。台湾北部は国民党の票田で今まで通りに行けば国民党候補が勝つのは間違いないのですが、馬英九の失策などで近年国民党の人気が非常に低下しているのと、対立候補が浮動票を取り込みつつあることで焦りを隠せないようです。

このような背景の中、台湾中を騒がす食の安全問題(特に9月に発生した食用油問題と現在各方面に飛び火中のプラスチック可塑剤の問題) が発生し、両候補の発言や対応に注目が集まっています。

廃油問題はもう日本の皆さんご存知かと思いますので、ここではあえて触れません。

プラスチック可塑剤の問題とは、今年6-7月にかけての政府調査で、内分泌撹乱作用や催奇形性のあるプラスチック可塑剤が有名メーカーの食品から相次いで検出されたことです。特定メーカーのラップやプラスチック容器と、それを使っていた企業に対する信頼度ががた落ちし、商品不買運動にまで発展しました。過去に似た様な事例で何度も処分を受けている企業の商品にまで不買運動が広がり、スーパーやコンビニの商品棚が一新されました。マクドナルドやセブンイレブン、はたまたカルフールなどの外資企業の商品にまで影響が広がっているので、消費者の混乱は相当なものです。

特定の企業を優遇していた国民党に対する政治批判も高まりつつあり、次回の台北市長選は本当に目が離せません。

日本でよくある産地偽装の問題が子供だましに思えてくるほど、近年台湾では食に関する事件が多く発生しています。美食は台湾旅行の楽しみの一つでありますが、旅行前にしっかりと情報を収集しましょう。何か疑問があれば甘口男まで質問してください。答えられる範囲で何でも答えます!

それでは本日は『醃醉香蒜蛤蜊』、よく冷えたビールを脇にお楽しみください。

當歸麵線│当帰ソーメン

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾南部の名物料理『當歸麵線│当帰ソーメン』のレシピを紹介します。独特の旨味が特徴の生薬でソーメンを煮込んで作る料理です。

今回は多くの台湾料理で使われる生薬「當歸│当帰」の簡単な紹介をしておきましょう。当帰は非常に有名な生薬で、細かく書いていくと一冊どころではない本が書けてしまいます。なのであくまで簡潔に紹介します(笑)。

生薬「当帰」の起原植物は“日本では”トウキ Angelica actiloba、中国や台湾ではカラトウキ A. sinensis で元になる植物が異なります。台湾や中国では日本でいう当帰を「東当帰」と呼び分けるので注意しましょう。(ちなみに甘口男の火鍋シリーズにはカラトウキを使っています。)外見と成分含量が少し違うのですが、効能効果にほとんど違いはありません。細かく使い分ける人もいますが、料理では気にせず使ってもいいと思います。

中国産のカラトウキは甘粛省のものが質量共に最高とされます。 日本のトウキは国内各地で栽培されていますが、実は山野に結構な量が自生しています。山歩きが得意な人は自分で見つけることも可能です。よく洗って使いましょう。

生薬としての最初に文献に登場するのは《神農本草経》で、古くから補血の薬として重宝され、特に婦人の妙薬として多くの処方に配合されています。現代中医学では補血、活血止痛、潤腸などの効能があるとされ、貧血をはじめ、咳、心身喪失、虚血、動脈硬化、偏頭痛、腰痛、肝臓病、腎炎、消化管出血、子宮下垂、不眠症、尿漏れ、帯状疱疹、各種皮膚病、鼻炎、耳鳴りなどに応用されます。

台湾料理では『薑母鴨』、『四神湯』、『清燉牛肉麵』をはじめ、各種スープ料理などに風味付けとして使われることも多いです。台湾料理が好きな人は知らない間に口にしたことがある人も多いことでしょう。

血が足りない、流れが悪い、行き渡っていないなどの症状がある人には少量でも覿面な効果がある生薬です。夏は冷房病に、冬は冷え症にと年中通して使える薬剤ですので、中華料理好きな方は常備しておくと様々な料理に使えます。日本でも簡単に手に入る生薬ですので、香辛料として用意しておくといいかもしれませんね。

ちなみにスープで一緒に鴨肉を煮込み『當歸鴨』を作ってからソーメンを入れると、高雄は鳳山名物の『當歸鴨麵線』が作れます。こちらもおいしいので、いい鴨肉を手に入れたら作って見ましょう。これからの季節にうってつけの体の芯から温まる薬膳料理です。


生炒花枝│イカとタケノコ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
手軽に作れる『生炒花枝│イカとタケノコ炒め』のレシピを紹介します。材料に餡かけをかけるだけで作れます。

「花枝」はコウイカを指すのは以前の記事お伝えしたとおり。料理名には「花枝」と明記されていますがもちろんヤリイカを使っても作れます。

生のイカの身にアツアツのあんかけを掛けて一瞬で火を通すという面白い作り方の料理で、餡かけの量を増やして、イカと一緒にオコゲなどにかけてもおいしいでしょう。長崎風の皿うどんと合わせてもおいしそうです。

古くから何でも食べるといわれる中国人ですが、ことイカ食の歴史に限っては日本の方が圧倒的に長いのはご存知でしたか?中国人がイカを食べるようになったのは明、清の時代からですが、日本では原始時代から生、焼、漬、茹、煮、干など様々な調理方法でイカ、タコを食べてきました。もっとイカを使った新しい和食が増えてくるといいですね。

ちなみに一部のイカ類は空を飛びます。冗談でもなんでもなく本当に海面から飛び出し、かなりの距離を飛行するのです。海に空に、そして陸(料理)に栄えるイカ類をおいしく調理してください。


潤餅(2)│台湾式春巻き(2)

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
前回は『潤餅』の皮を作りました。今回は台湾式をより楽しむための典型的な具材を紹介したいと思います。

前回福建系の移民が多く居住する東南アジアでも食べられると書きました。今回は東南アジアに伝わった『潤餅』、即ち『Lumpia』をざっと見てみましょう。

インドネシア、マレーシアでは『潤餅』は閩南語発音がなまって『Lumpia』と呼ばれます。声調がなくなっただけです。その他のインドネシア語と同じく、中に包む具材の名前を後ろに付けて『Lumpia Goreng』などと呼ばれます。その他にも後ろに地名が付いた『Lumpia Surabaya』、『Lumpia Semarang』など、地域ごとに特色のある『Lumpia』が食べられます。広島風と大阪風のお好み焼きのようなものでしょうか。

またフィリピンには同じように『Lumpiang』と呼ばれる同類の料理があり、ベトナム風の生春巻きと人気を二分しています。台湾でも『潤餅』を揚げると『春捲』と呼ぶのですが、フィリピンでは揚げた『Lumpiang』を『Lumpiang Prito(揚げ潤餅)』と呼びます。現地で食べることがあればこちらのレシピも紹介したいと思います。

他にも中華系移民の多い地域では必ずといっていいほど、その土地の食材を使った『潤餅』があります。世界中の『潤餅』を研究すれば一冊の本では収まらないかもしれませんね。

それでは、本日は台湾の『潤餅』に包まれる具材のレシピを見てみましょう。基本的に生野菜ですので、調理という調理は必要ありません。新鮮で食感のよい野菜を使って作りましょう。




潤餅│台湾式生春巻き

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難易度:☆ 調理時間:半日
本日は台湾の国慶節です。総督府周辺などでは盛大な祭祀が執り行われます。ついでに交通管制も行われているのでタクシーなどで移動する方は移動時間が増えると思います。ご注意を。

祝祭つながりではないですが、台湾では新年、春分、清明節や先祖の祭祀などでも食べられるおめでたい料理『潤餅│台湾式生春巻き』を紹介します。もちろん家庭料理として普通に食べられます。日本の『手巻き寿司』のようなものですね。

日本語の名前に「春巻き」と入っていますが、『潤餅』の歴史は春巻きよりも古く、その基原は春秋戦国時代にまで遡ります。当時は春分の神を祀るために供えた「五辛」、すなわち「大蔥、小蒜、韭菜、香菜、芸苔」の五つの食材を五臓を養うために祭祀の後に食べたそうですが、それぞれ味が辛く強烈なのでそれを和らげて一度に食べられるよう餅に包んで食べたのが始まりといわれます。春分に食べたので当時は『春餅』と呼ばれました。

時は戦国時代、中原の戦乱を避けて多くの民衆が現在の福建省に逃げてきました。 現在福建省や台湾に残っている『潤餅』は。この最古の『春餅』の形式を保存しています。初期は秋分にだけ食べていたものが、その他の食材を加えて食べやすくしその他の祭祀にも用いられるようになりました。現在は先祖を家庭内で祀る祭食の一面を強く残しており、家庭によっては今でも「外部からの来客がないときに家庭内だけで食べる」という古い風習を守っていることがあります。台湾人の家に招かれて夕食に何を食べたいか効かれた時に、安易に『潤餅』と答えると怪訝な顔をされるかもしれません(笑)。しかし夜市、屋台、飲食店でもいつでも食べられる料理でもあるので、古い風習と新しい習慣が混在している面白い料理と言えます。

もともと五辛を一度に食べるために考案された料理ですが、現在では手巻き寿司のように様々な食材を好きな量だけ包んで食べる賑やかな料理となりました。皆さんもぜひ日本で再現してみてください。

今回は「皮」の作り方がメインです。応用力は無限大です!


紅龜粿│紅亀ケーキ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
客家の伝統菓子『紅龜粿│紅亀ケーキ』のレシピを紹介します。もち米で作った真っ赤な生地に小豆餡を詰めて薄く焼く料理です。

『紅龜粿』は台湾をはじめ、広東省潮州、マレーシアなど客家が多く居住する地域で慶祝日に祝い物として食べられます。日本でハレの日に紅白のモチを食べるようなものですね。

古くは紅花で赤く染色した生地を使っていましたが、今では専ら食紅で染色します。食紅を使っているので一見毒々しいほどの赤に染まっていますが、健康に影響はないのでご心配なく。表面には木型を使って模様をつけるのが一般的で、名前のとおりカメの甲羅模様をあしらったものの他、吉祥の図案や漢字をデザインしたものもあります。

福建省系の華人が多く住むシンガポールやマレーシアでは、客家でない普通の華人にも浸透しており、祭祀には欠かせない貢物となっています。台北ではほとんど見ることができない台湾よりもマレーシアシンガポールの方が一般的なほどです。

型で模様をつける製法は和菓子のそれにも通じ、もち米を食べる文化が南洋地域を通じて日本にもしっかり伝わっていることが分かります。ちなみにマレーシアなどでは水の代わりにココナッツミルクで作るので、さわやかな甘味とココナッツの風味があり筆者はこちらの方が好みです。

食紅の入っていない紅白の『紅龜粿│紅亀ケーキ』を作って、日本でならキャラ餅など作ってもよいでしょう。お祝いごとに贈ってもいいかもしれませんね。




蝦捲│台湾風蝦ロール

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『蝦捲│台湾風蝦ロール』のレシピを紹介します。中華料理にエビを春巻でまいた料理は数あれど、台湾の蝦捲こそ世界一との呼び声も高い絶品料理です。大量のナンプラーがポイントです。

『蝦捲』といえば台南の有名店「周氏蝦捲」に触れないわけには行かないでしょう。当ブログのレシピでは極力店名を直接明言するのは避けていますが、この店だけは台湾蝦捲の代名詞にもなっているのでここで紹介させていただきます。

1965年創業の周氏蝦捲は台南で最も成功した飲食店の一つで、もともと屋台で『蝦捲』を売っていましたが後に店を構え、現在は多彩な飲食産業を手がけるまでに到ります。1980年代から生エビを使った『蝦捲』に改良し、その後も不断の経営努力を重ねています。

…それだけに近日の台湾で大きなニュースとなった廃油の問題は実に大きな打撃となりました。廃油問題に関してはいずれ記事をまとめたいと思います。

さて、そんなわけで本日は湯葉でまいて作る『蝦捲』のレシピです。日本でなら醤油やケチャップを味付けに使って様々なアレンジ料理が作れそうです。皆様も色々なアレンジを楽しんでください。春巻きでも作れます。


割包│台湾式肉まん

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難易度: 調理時間:1時間以内
久しぶりの純台湾料理を一つ。『割包│台湾式肉まん』の作り方を紹介します。非常にふっくらしたモチモチの生地が特徴で、通常は角煮と台湾式の漬物(酸菜)を挟んで食べます。

以前の同名料理のレシピはこちら

この『割包』の原型になったのは福建省の『福州割包』というスープに浸けて食べるタイプの料理です。なぜか台湾に渡った後、肉を挟んで食べる料理に変わってしまいました。なぜでしょうね?更に遡るとこの手の『饅頭』や『包子』の基原は、三国時代に諸葛亮が孟獲を討った後、現地(四川省)にあった人の首を河に投げ入れて神を祀るという風習を忌み嫌い、代わりに小麦粉で作った『饅頭(のようなもの)』を投げ入れる風習に改めたことからといわれています。屈源の死後に河に粽を投げ入れたという伝説にも通じるものがありますね。最初は人の頭の代わりに作られたという事から「瞞頭」と呼ばれ、その後いくつかの変遷を経て現在のように「饅頭」と呼ばれるようになりました。これがその他の地域に伝わりその形状から「包(子)」と呼ばれるようになり、現在の台湾に伝わることとなります。

『割包』は大陸式の中国語を学んだ日本人が台湾を訪れ、初見では何のことかさっぱり分からない漢字のひとつでもあります。筆者も台湾初回訪問時は何のことだかさっぱり分からず、友人に尋ねたら台湾式のハンバーガーみたいなものと言われました。筆者の故郷にほど近い場所にある『唐津バーガー』みたいなものかと想像していましたが、実際は想像以上に中華料理でした(笑)。

街中でちょこちょこ売られているので多くの看板を目にすることができますが、通常は中国語の辞書にも載ってないので、台湾初心者はなかなか理解しにくい料理でしょう。見かけたら勇気を出して注文してみましょう。

台湾南部ではその形状から『虎咬猪』ともかかれることがあります。なかなか言いえて妙なネーミングですね。今回レシピでは『焢肉』を挟んでいますが、鶏肉やハンバーグを挟んでもおいしいです。ハンバーガー感覚で様々なものを挟んで楽しみましょう。



冬瓜蝦肉粉絲湯│冬瓜とエビとビーフンのスープ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
京蘇料理から『冬瓜蝦肉粉絲湯│冬瓜とエビとビーフンのスープ』のレシピを紹介します。トウガンとビーフンとエビを中華スープで蒸して作る簡単料理です。

京蘇料理は蘇州料理(蘇菜)の一つで、主に南京で食べられる料理を指します。建国初期に南京に政府を追いおていた中華民国のいわゆる故郷の味です。国民党とともに台湾に渡ってきた多くの軍人らにとっては、この京蘇料理こそがおふくろの味なのでしょう。台湾にも数件のレストランがあります。

この料理で使うトウガンは学名を Benincasa hispidaといい、日本では平安時代から栽培されている食用植物です。中華料理では主にスープの具として使われます。台湾土産として有名な『パイナップルケーキ』の餡にはほぼ間違いなくこれが混ぜ込まれています。というわけで台湾を訪れたことのある人はほぼ間違いなくトウガンを口にしたことがあるというわけです(笑)。

その他の多くのウリ類と同じく清熱の作用があり解熱に使われます。また種は利尿薬として使われます。

ほとんど無味といっていいほどさっぱりした味ですので様々な料理に応用ができます。漢字では冬瓜と書きますが、これは冬に採れるからではなく冷暗所で保管すれば冬まで食べられるからという意味です。

体を冷やす作用がありますが台風前後のむしむしする天気の時などに食べてください。


大煮乾絲│淮揚風中華スープ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
期待以上の反響のあった前回の淮揚菜、続きましては『大煮乾絲│淮揚風中華スープ』のレシピを紹介します。材料を千切りにしてチキンスープで煮込むだけの簡単料理ですが、これがうまいんです。

淮揚菜は主に揚州、鎮江、淮安の三地域で食べられる料理です。長い中華の歴史を通じて「食といえば揚州」であることは前回紹介しましたが、残り二つの地域鎮江、淮安もそれぞれ特色のある地域ですので簡単に紹介しておきましょう。ちなみに今回紹介する『大煮乾絲』は鎮江の伝統料理です。

鎮江といえばまず思い浮かぶのが香酢。黒酢の一種で5年以上寝かせて作ります。香酢と呼ばれるだけあって濃厚な香りが特徴で、数ある中国酢の中でも一、二を誇るアミノ酸含量を誇ります。日本でも健康食品として人気ですね。また台湾でも小龍包のお店で有名な『蟹黄湯包│カニみそ小龍包』はこの地域で生まれた料理です。始皇帝による中華統一より前から都市が発達していた地域ですので、歴史の古さは折り紙つきです。

そして淮安。漢字を見ればわかるかもしれませんが中国第三の河川である「淮河」のほとりにある都市です。北京から杭州を結ぶ京杭運河と淮河の交点に位置する都市で秦の統一時代から運河の町として発達しました。古代より古今東西あらゆる食材や品物が集積する都市であり、中華のあらゆる文化が集積しました。この淮安の料理は古代中国の歴史を凝縮した料理といわれます。

今回紹介するのは鎮江の伝統料理である『大煮乾絲』、非常に簡単に再現できますので、ぜひお楽しみください。



叫化雞│叫化鶏

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難易度: 調理時間:3時間
たまには江蘇料理を。江蘇省は淮揚の『叫化雞│叫化鶏』のレシピを紹介します。様々な具材と鶏肉をハスの葉で包んで作る絶品料理です。

中華料理を分類する方法は「八大菜系」と呼ばれる手法が一般的で、江蘇料理はその一つに分類されます。この江蘇料理はさらに、金陵菜(または京蘇菜)、淮揚菜、蘇錫菜、徐海菜に分けられます。今回紹介する『叫化雞』は淮揚菜に属します。

この淮揚菜は非常に古い歴史を持ち、八大菜系のさらに上位分類である四大菜系に四川料理、広東料理、山東料理と名前を並べています。

秦の始皇帝の中華統一から現在まで、今の江蘇省揚州は周辺地域の政治経済の中心でした。秦の始皇帝の時代にはすでに「食といえば揚州」と呼ばれていたほどで、その美食の歴史はさらにさかのぼることができます。今でこそ福建料理や四川料理が中華料理の代名詞のように語られていますが、長い中華の歴史を通して美食といえばほぼ一貫してこの淮揚菜だったのです。

…こういう説明を聞くと、途端に食べたくなってきますね…。

今回紹介する『叫化鶏』は淮揚菜を代表するといわれる料理で、『黃泥煨雞』、『乞兒雞』などの別名があります。もともとは清朝時代にたまたま一匹の鶏を得た乞食が、調理器具もない、調味料もないという状況で苦肉の策で編み出した料理が元になっているといいます。

鶏肉を食べようにも調理する鍋がなかった乞食は羽がついたままの鶏に泥をまぶし、たき火の中に投げ込んで泥が固まるまで焼いてから、泥を落として鶏肉を食べました。泥を隔てた加熱でじっくりと火を通した鶏肉は泥中の塩分で絶妙に味付けされており、乞食はその味に驚いていろんな場所でこの料理を自慢します。この調理方法に目を付けた料理人が少し手を加えて再現したところ非常なる人気を博し、その名は一気に全国に広がりました。1950年代は国賓をもてなすのにもつかわれていたそうです。今では様々に手を加えられたレシピが伝わっています。

日本で作るならハスの葉を手に入れさえすれば、再現が可能です。鶏丸ごと一匹のうまみを一滴も漏らさずに肉の中に閉じ込めて作りますので、そのうまみはまさに極上。いい鶏肉が手に入ったらぜひ再現してみてください。


油爆双脆│ガツと砂肝あんかけ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『油爆双脆│ガツと砂肝あんかけ炒め』という料理のレシピを紹介します。豚と鶏の内臓をさっくりと揚げたものに中華スープベースの餡をからめて食べる料理です。

この『油爆双脆』はもともと山東省の料理です。清朝中期に貴族らをもてなすため、豚と鶏の内臓に刀工を施して提供した料理が元になっています。飾り包丁を入れた豚と鶏の内臓を高温の油で揚げて火を通し、絶妙な味付けの餡とからめて食べるこの料理は、開発されてすぐに各地に伝わり非常な人気を博しました。開発された当初は『爆雙片』と呼ばれていました。

当時の貴族に供されていたオリジナルのレシピは非常に精緻な刀工が施されていたそうで、見るものを驚かせたといいます。精緻な包丁技術も大事ですが、厚さの違う内臓の水分を飛ばさないうちに火を通し、外はサクサク、中はほっこりにする技術も多くの人に絶賛されたそうです。

現代では調理を簡単にするために網目状に包丁を入れたり内臓を薄切りにして調理します。経験のある料理人は、豚肉と鶏肉を同じ鍋で調理してぴったり同じように火を通すという技術を使うらしく、この料理の腕前で料理人の技術がわかるとも言われています。

山東料理を代表する名菜『油爆双脆』、完璧に作るには数年の修業が必要ですがただ形にするだけならそれほど技術は必要ありません。ぜひ皆さんも日本で再現してみてください。


榨菜炒肉│ザーサイと豚肉炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は台湾でもおなじみ「ザーサイ」を使った『榨菜炒肉│ザーサイと豚肉炒め』のレシピを紹介します。もともと四川料理ですが、今回の料理は辛みを抑えて台湾風にアレンジしております。

数ある中華漬物の中でもっとも有名であろう「榨菜│ザーサイ」は、宋代に作られた伝統料理です。現在の四川省重慶で開発されたといわれています。

四川料理の付け合せとして作られただけあってもともとは非常に辛く、油を使った料理にぴったりのさっぱりとした味付けが特徴でしたが、現在の日本で食べられるものは日本人の口に合わせた味付けに変えられています。

四川発祥の料理ですが、時代を追うごとに浙江、広東、湖南、台湾に伝わり、それぞれの土地でそれぞれの料理に合わせたザーサイが開発されました。今ではそれぞれ全く別の料理といってもよいほど分化しており、味もかなり違います。

台湾ではお酒の付け合せとして食べられることも多く、朝食のお粥の味付けとしても使われます。ザーサイなどの保存食の消費量は一年を通してほぼ一定しており、年齢や性別による差もほとんどありません。というわけで細かい人口統計がとられていなかった時代はザーサイの消費量から人口を推計するという手法がとられていたこともあります。これを「ザーサイ指数」と呼び、現在でも時々論文が発表されたりしているようです。なかなか面白い試みです。

ちなみに日本語では漢字で「搾菜」と書きますが、中国では「搾」ではなく木編の「榨」を使います。手偏のほうが簡略化されたもので、もともと同じ漢字です。台湾ではどちらの漢字も使うようです。

鍋の具としても優秀ですので、いろいろな料理に添えて楽しみましょう。



北京炸醬麵│北京風ジャージャー麺

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
北京料理を紹介するのは初めてかもしれません。本日は『北京炸醬麵│北京風ジャージャー麺』のレシピを紹介します。

少し中華料理に詳しい方ならご存知かもしれませんが、中国八大菜系には北京料理は入っていません。北京を首都に定めた明清の時代に周囲の料理を取り入れながら宮廷を中心に発達した料理なので、その他の地域の料理と比べて長い歴史を持たないのです(それでも数百年の歴史があるのですが…)。

明清王朝時代に中国各地の料理を宮廷に集め、王族に提供するために洗練させた料理ですので、中国各地の有名料理に「北京」の名を関したものが多数あります。今回紹介する『北京炸醬麵』も、そのうちの一つ。オリジナルのソースから少し辛みを抑えて風味を増しています。

環境の悪化などで北京を訪れる人は減っているかもしれませんが、日本国内にも多くの北京料理レストランがありますので、おなかがすいたときは尋ねてみましょう。北京風にアレンジされた福建料理や四川料理を味わってみれば、中華料理の奥の深さを再確認できますよ。


 
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