油蔥雞│鶏もも肉のネギ油漬け

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難易度:☆☆ 調理時間:半日
本日は『油蔥雞│鶏もも肉のネギ油漬け』のレシピを紹介します。ごま油とエシャロットがベースの調味料に蒸した鶏肉を浸けて作る非常に風味のよい料理です。前にも同名の料理を紹介していますが、今回のものとまったく作り方が異なりますので、比べてみてください。以前の『油蔥雞』のレシピはこちら

この料理で使うエシャロットはフランスから持ち込まれたもので、近代に入り中華料理、特に台湾や香港でよく用いられるようになりました。台湾華語では「」、香港では「乾蔥」などと呼びます。ちなみにエシャロットはフランス語読みで、英語ではただ Shallot シャロットです。

エシャロットをラードで揚げた『』は調味料として様々な台湾料理に使われます。

日本では生食用のラッキョウの“商品名”としてエシャロットの名前が普及しており、非常に紛らわしいことになっています。ラッキョウとエシャロットは同科同属の別植物のため、球根をぱっと見ただけではほとんど区別がつきません。ヨーロッパのそれっぽい国名が付いている○○エシャロットのようなものを買って使いましょう。

まぁ、生ラッキョウを使って作ってもそれはそれで美味しく作れるんですけどね(笑)。

明日からも変わらず更新しますが今年のレシピはこれにておしまい。今年一年応援ありがとうございました。来年からは今まで通りのレシピの更新に続いて、怒涛の新企画ラッシュが始まります。お楽しみに!


雙椒雞片│鶏肉のダブルトウガラシ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日は『雙椒雞片│鶏肉のダブルトウガラシ炒め』のレシピを紹介します。昨日紹介した『』と通常のトウガラシの二種類の材料を使うため「雙(双:ダブル)」の名前があり、淡白な鶏胸肉に刺激的な辛さを加えた料理です。

本日はちょっと趣向を変えて「椒」の字が入った中国の伝説の生き物を紹介します。

古代皇帝の象徴でもあった龍には、実は九匹の子供がいます。それぞれ性格や役割が異なり、時代によっても名前が異なったりするのですが、龍の子供たちは結局龍にはなれなかったという点では一致しているようです。彼ら龍の子たちについて、普通の日本人の皆様はほとんどご存じないかと思いますが、意外な場所で彼ら龍の子供たちはわれわれの生活に密着しているのです。

おそらくもっとも有名なのは「贔屓(ひき、ひいき)」でしょうか。姿はカメに似ており、性格は「重いものを支えるのを好む」ため、中国や台湾では柱の下にカメの姿で置かれることが多いようです。台湾でも寺廟の柱の下や石碑の土台のモチーフとして使われることが多く、その気になって探すと様々な場所で眼にすることができます。日本語の「贔屓(ひいき)する」は、この贔屓を引き倒すと柱が倒れてしまうことから転じて使われるようになった言葉です。

その次に有名なのが「椒」の字をつかった「椒図(しょうず)」でしょう。姿はカエルやカイに似ており、性格は「閉じるのを好む」とされます。名前を聞いたことが有る人は稀でしょうが、台湾や中国を訪れたことのあるほとんどの日本人なら、一度くらいは彼を触ったことがあるかもしれません。閉じることを好むことから門の握り輪を咥えるモチーフとして使われ、寺廟の門などこれまた様々な場所で見かけることができます。西洋では獅子が咥えているあの部分です。

他にも屋根の大棟を止める「螭吻(ちふん) 」(日本のシャチホコの原型) 、お寺の鐘を吊るす部分にある「蒲牢(ほろう)」(こちらは腕時計の竜頭の由来)、監獄の入り口に置かれる「狴犴(へいかん)」、鼎のモチーフに使われる「饕餮(とうてつ)」、さらに水路の出口や橋のモチーフに使われる「𧈢𧏡(はか)」(これは水道の出口を蛇口と呼ぶようになった原因)、刀を吊るす輪や鯉口にあしらわれる「睚眦(がいし)」、香炉の足に使われる「狻猊(さんげい)」などがあります。

贔屓に門の吊り輪にシャチホコに蛇口などなど龍の子供たちは意外な場所でわれわれの生活に密着しているのですね。その気になって探せば、日本の寺でも半分くらいは見つかるかもしれません。興味があれば探して見ましょう。ちなみに台北郊外の故宮博物館に行けば全部見つけることができます。


という分けでレシピ言ってみましょう!

材料にある『剝皮辣椒』の作り方はこちら。


剝皮辣椒│トウガラシの漬物

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難易度:☆ 調理時間:数日
本日は『剝皮辣椒│トウガラシの漬物』という台湾の漬物を紹介します。使う材料は青トウガラシのみ、浸けておくことで辛味がほど良く調和し、そのままおかずにできるほどの旨みが出ます。

漬物といえば日本の専売特許のような感じですが、実は台湾でもかなりの種類の漬物が売られています。タクアンなどは『魯肉飯』や『雞肉飯』の付けあわせとしてはずせません。

本日紹介する『剝皮辣椒』は青トウガラシを醤油に浸けたもので、ご飯のおかずには最適です。台湾人の中にはこの料理が一番の好物だという人も珍しくありません。

作るのは非常に簡単で日持ちもする便利な料理ですが、油がかなりはねるので調理には気をつけてください。

明日はこの『剝皮辣椒』を調味料として使った別の料理を紹介したいと思います。


綜合菇煎餅│色々キノコ中華お好み焼き

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
中華煎餅シリーズはこれにておしまい。本日は五穀粉を使ったサクサクの食感がおいしい『綜合菇煎餅│色々キノコ中華お好み焼き』のレシピです。

漢字の話。料理名にある「綜合」は「総合」とも書けるのはご存知のとおり。「総」の旧字体は「總」で台湾でも「總合」、「綜合」の両方を同じ意味で使います。

もともとこの二つは別の漢字で、「綜」の本来の意味は“糸をつむぐ” 、これが転じて“一箇所に集める”の意味が生まれました。「綜」の字は中国語では二種類の発音があり、zeng4と糸をつむぐ、Zong1と読めば集めるの意味です。「総(zong3)」はいろいろな説があるのですが、“糸を束ねる”が転じて“まとめる”の意味になったという説が分かりやすいでしょうか。糸に関する別々の漢字が、後に同じ意味を表すようになったのが面白いですね。「綜合」と「総合(總合)」は中国語では声調が違うのでどちらの字か聞けば分かります。

さて、「総」の字を使う熟語は大部分が「綜」の字で置き換えができるのですが、“糸をつむぐ”の意味の「綜」の字に、たとえば「情報錯綜」の「綜」の字は「総」の字で置き換えができません。他にもいくつかあるようですが、日本でならこの熟語だけ覚えておけばいいでしょう(笑)。

本日の料理は五穀粉を使いサクサクの中華お好み焼きを作ります。日本のお好み焼きとは違う独特の食感をお楽しみください。

【抗がん漢方】女貞子 じょていし Nüzhenzi

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女貞子 (じょていし、Nǚ Zhēn Zǐ)


英名
Fructus Ligustri Lucidi

説明
最初の記載は《神農本草経》で女貞実の名で「味苦、平。主補中、安五臟、養精神、除百疾。久服、肥健、輕身、不老。生山谷。《名醫》曰︰生武陵、立冬採。案︰《説文》云︰楨、剛木也。《東山經》云︰太山上多楨木。郭璞云︰女楨也、葉冬不凋。《毛詩》云︰南山有杞。陸璣云︰木杞、其樹如樗(陳藏器作栗)、一名狗骨、理白滑、其子為木虻子、可合藥、《司馬相如賦》有女貞。師古曰︰女貞樹、冬夏常青、未嘗凋落、苦有節操、故以名為焉。陳藏器云︰冬青也。 」と記載されている。非常に壮健な植物であり、世界中で街路樹や公園樹として使われる。

厳しい冬にも青い葉をつけ、貞淑な女性の象徴とされたことからこの名がある。

起源
女貞子の始載は《神農本草経》。モクレン科トウネズミモチ Ligstrum lucidum Ait. の果実を蒸すか茹でるかした後乾燥させたもの。

別名
女貞実、冬青子、爆格蚤、白蜡樹子、鼠梓子など

性味
甘、苦、涼
《神農本草経》:“味苦、平。”
《名医別録》:“甘、無毒。”
《本草従新》:“甘、苦、涼。”

帰経
帰肝、腎経。
《本草経疏》:“入足少陰経。”
《本草再新》:“入肝、肺、腎三経。”

中医における効能
補肝益腎、清熱明目

配合応用
  1. 女貞子は肝腎の陰気をよく補い、清補の品である。
    1. 肝腎陰虚が頭昏目眩、腰膝痠軟、鬚髪早白などを引き起こしているものを治す。
      • 女貞子の作用は緩和であり、長期服用しても問題ない。
        • 単品を酒に浸けて用いる。
        • 補肝腎の効果を高めるため、墨旱蓮と配合した二至丸《医方集解》。
          • 二至丸
            補腎
            補腰膝、壯筋骨、強陰腎、烏髭髮。價廉而功大。 冬青子(即女貞實。冬至日采。不拘多少、陰乾、蜜酒拌蒸、過一夜、粗袋擦去皮、曬乾為末、瓦瓶收貯。或先熬乾、旱蓮膏旋配用) 旱蓮草(夏至日采、不拘多少、搗汁熬膏、 和前藥為為丸)。臨臥酒服。一方加桑椹乾為丸、或桑椹熬膏和入。 此足少陰藥也。女貞甘平、少陰之精、隆冬不凋、其色青黑、益肝補腎。旱蓮甘寒、汁黑入腎補精、故能益下而榮上、強陰而黑髮也。(李時珍曰:女貞上品炒藥、古方罕用、何哉?)
        • 速攻を求める場合は、上の配合に生地黄、熟地黄、黄精、莬絲子、桑椹などを配合して効果を高める。
    1. 女貞子は肝腎の陰気をよく補い、肝腎の陰を清補し、中を滋補し、苦泄涼清の効果がある
      1. 陰虚が内熱を生み、潮熱、心煩などに至るものを治す。
        • 単独で用いる。
        • 単独では効果が弱い場合、滋陰退虚熱の効果がある生地黄、熟地黄、地骨皮、白薇、青蒿などと配合して用いる。
    2. 肝は目を開き、目は血を受けて能く視る。
      1. 肝腎陰虚、精血虧乏し、視力が減弱或いは目暗不明などを治す。
        • 補肝腎明目の効果のある熟地黄、枸杞子、莬絲子、楮実子、覆盆子などと配合して用いる。
        • 単独では効果が弱い場合、滋陰退虚熱の効果がある生地黄、熟地黄、地骨皮、白薇、青蒿などと用いる。
    3. 眼薬として用いる。
      1. 視神経炎に用いる。
        • 草決明、青葙子と配合し視神経炎を治す。《浙江民間常用草薬》
          • 女貞
            應用
            2.視神經炎:果實、草決明、青葙子各一兩、水煎服。
      2. 点眼薬として風熱赤眼を治す。
        • すりつぶして軟膏状にし、清潔な瓶に入れて蓋をし、地中に7日埋めておく。これを毎日点眼する。《済急仙方》

    成分
    果実には、
    トリテルペノイド:Oleanolic acid, acetyloleanolic acid, ursolic acid, acetyl ursolic acidなど。
    アルコール類:p-hydrocyphenethyl alcohol, 3, 4-dihydroxyphenethyl alcohol, p-hydroxyphenethyl-β-D-glucoside, 3, 4-dihydroxyphenethyl-β-D-glucoside, aceteoside, 10-hydroxy ligusteroside, nuezhenide, oleuropein, 10-hydroxy oleuropein, oleoside dimethylester, ligustroside, lucidumoside A, B, C, D, isonuezhenide, specnuezhenide, nuezhengalaside, nuezhenidic acid, neonuezhenide, ligustrosidic acid, oleuropeinic acid など。
    イソフラボノイド:eriodictyol, taxifolin, quercetin, cosmosiin など。
    脂肪酸類:palmitic acid, stearic acid, oleic acid, linolenic acid など。
    各種多糖類。
    揮発油類:thioketone, 2-ethoxypaopane, 1-methyl-1-propyl hydrazine, 4-aceteyloxy-2-butanone,  2-ethoxy-butane など。
    種子には、
    トリテルペノイド:ligusterin, 19α-hydroxy-3-acetylursolic acid, sodium oleanolate, betulin, dammar-24-ene-3β-acetate-20S-ol など。
    揮発油類:α, β-pinene, limonene, 4-terpineol, eugenol など。
     各種配糖体:8-epikingiside, cosmossin-7-O-β-D-glucoside, p-hydroxyphenethyl-β-D-glucoside, p-hydroxyphenetyl-α-D-glucoside, salidroside など。
    各種多糖類:tormentic acid などを含む。

    抗がん作用
    抗がん作用の本体は白花蛇舌草や半枝蓮などと同じくトリテルペノイドなどであるといわれている。
    多数の抗がん作用がある。
    臨床では胃がん、肝がん、腎盂がん、膀胱がん、喉がん、脳腫瘍などで肝腎陽虚の者に用いる。
    1. 胃がん
      党参15g、枸杞子15g、女貞子15g、白朮9g、莬絲子9g、補骨脂9gをを毎日1剤、煎じて2回に分けて服用する。《抗癌中薬一千方》
    2. 肝がん
      生晒参5g(或党参12g)、炙黄蓍15g、女貞子12g、夏枯草10g、白花蛇舌草30g、石見穿30g、水紅花子10g、赤芍10g、莪朮10g、姜黄10g、甘草6gを毎日1剤、煎じて服用する。《中医雑誌、1989、(7):45》
    3. 腎盂がん
      生地黄、熟地黄各12g、女貞子15g、枸杞子10g、補骨脂10g、生黄蓍30g、白朮10g、雲苓10g、太子参20g、海金沙15g、瞿麦20g、土茯苓20g、半枝蓮30gを一日1剤、水で煎じて長期にわたり服用する。《中医腫瘤学》
    4. 膀胱がん
      党参15g、黄蓍30g、女貞子30g、桑寄生30g、白花蛇舌草30gを、水で煎じて服用する。《解放軍総医院方》
    5. 喉がん
      女貞子、太子参、生地黄各15g、沙参、丹皮、旱蓮草、白芍各10g、冬虫夏草、甘草、川貝各5g、木蝴蝶3g、青果適量(単独で喉に含む)を、水で煎じて服用する。《抗癌植物薬及其験方》
    6. 脳腫瘍
      女貞子、何首烏、生地黄各15g、丹参、旱蓮草、旋覆花、竹茹、天葵子、紫草、牛膝各15g、白芍12g、生赭石30g(先に煎じる)、珍珠20g(先に煎じる)、陳皮5g、蜈蚣1条、焙蛇蛻3g、黄連3gを、水で煎じ、別にステンレスの鍋で灶心土を高温に熱し、黄連を浸した水を加えたもので服用する。《抗癌植物薬及其験方》
    このほかにも抗炎症作用、免疫促進作用、抗変異原作用、脂質代謝促進作用、抗高血糖作用、肝保護作用、造血促進作用、抗突然変異作用、男性ホルモン様作用などが報告されている。

    培根高麗菜煎餅│ベーコンキャベツ中華風お好み焼き

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    難易度:☆ 調理時間:30分以内
    昨日に引き続き中華煎餅シリーズ、今回は『培根高麗菜煎餅│ベーコンキャベツ中華風お好み焼き』のレシピを紹介します。

    各種穀物粉で様々な口当たりを楽しめる中華煎餅、今回は少量の片栗粉を使ってもっちりフワフワに仕上げてみます。

    脂肪分が多いことから一時は台湾でも各種健康団体から眼の敵にされていたベーコンなどの加工肉は、近年「炭水化物ダイエット」の流行によりその地位を見直されています。つい最近まではベーコンなどの加工肉を毎日食べる人は心血管系の疾患にかかりやすいという統計データがあり、これが元で批判の槍玉に上がっていました。しかし近年の再研究によって「ベーコンを食べる人の生活習慣が食べない人より悪く、それが原因である」という結果が明らかになり、必ずしもベーコンが直接病気と関連しているのではないことが分かりました。

    この結果を受けてか加工肉の消費がすこし増えたりしてたら…、と思ってFAOのデータを調べてみたら意外な事実が…。(台湾のデータは数年分しか手に入らなかったので今回はなしで…。)

    中華料理といえば様々な肉料理のイメージがあるかと思いますが、まずは下のグラフをご覧ください。

     グラフ作製Higene、Data by FAOSTAT

    なんと1961年の中国人一人当たりの食肉供給量は年間3.76kg、日本ですら7.63kg。しかしこれが約50年後の2009年には中国58.19kg、日本45.93kgにまで増加します。また1996年には一人当たりの消費量が逆転します。統計データはMeat (Total)を使っているので、もしかすると魚肉や卵なども含むかもしれませんが、それにしても中国では50年で12倍以上も肉の消費量が伸びているとは驚きです。1978年までの消費の停滞とそれからの直線的な増加、1996年と2009年におそら経済ショックのためであろうと思われる供給の落ち込みがあるので、中国の家計経済と個人の肉の消費は密接に関連していることが推察されます。中国人にとっての肉は日本人以上に社会ステータスを表す食材のようです。

    グラフからは日本での供給がこれ以上伸びることがないことも予想されますが、中国ではまだまだ肉の消費が伸びていきそうです(ちなみにこれでもアメリカの半分以下)。巨大市場である中国では今後生活習慣病の増加が懸念されますが、大手製薬企業は確実に手を打ってくることでしょう。
     
    料理の世界に限っていえば、いろいろな中華の肉料理がこれからもおいしく楽しめそうだと捉えてもいいでしょうが、ほかの角度から見ると様々な問題が明らかになってきます。別の統計を見ると世界中で家畜が排泄するCO2は、既に全世界の交通によって排泄するCO2の排泄量を超えていたりもするのです。効率の問題もあるでしょうが、新世代のエンジンの開発と並行して食肉の問題にも取り組む必要がありそうです。

    今日はベーコンを通して世界を見てみる、ちょっと硬派な内容でした。



    煎餅│中華お好み焼き

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    難易度:☆ 調理時間:30分以内
    今回から数回に分けて様々な『煎餅』の作り方を紹介してみたいと思います。漢字は同じですが、日本の「煎餅)せんべい)」 とはまったく異なる料理です。勘違いなきようご注意ください。

    現代の日本の煎餅は米粉などを練り焼いたものを指すのはご存知の通り。日本での最古の記録は奈良時代にまで遡り、正倉院に保管されている書物にも煎餅の記載があります。当時は油で揚げた餅を煎餅と呼んでいたそうです。

    もちろん中国での歴史はそれよりもはるかに古く、東晋時代(AC317-420年)、当時の伝説を多数収録した書物である《拾遺記》にすでに記載があります。この本では「江東俗称、正月二十日為天穿日、以红絲系煎餅置屋頂、謂之補天漏。相傳女媧以是日補天地也。」と書かれており、当時の風俗と密接に関連していたことが分かります。「女媧」とは古代中国の神様で、天にある水の漏れる穴を塞いで洪水を止めたという伝説があり、中国人の始祖で婚姻制度を作った神様とされます。この書籍によれば古代中国では女媧の伝説に倣って屋根に煎餅を載せるという習慣があったようです。中国古代シャーマニズムと穀物が密接に関連していたことの名残でしょう。

    稲作と同時期に日本にも煎餅の製法が伝わったようで、その後中国と日本では異なる進化を遂げ、日本ではわれわれが良く知る煎餅に、中国ではお好み焼きのような形になるのです。

    今回のレシピは中国のお好み焼き風煎餅のレシピで、韓国の「煎│전」にも近い料理ですが、小麦粉だけでなく様々な穀類の粉を使って作ります。まずはオーソドックスに小麦粉とコーンスターチを使って作る『煎餅』を紹介します。明日からは少しずつ珍しい材料を使って作ってみます。

    お好み焼き感覚でいろんな材料を加えてお試しください。



    【抗がん漢方】莪朮 がじゅつ Ezhu

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    莪朮 (がじゅつ、É Zhú)



    英名
    Zedoary, white turmeric

    説明
    最初の記載は《薬性本草》で蓬莪茂の名で「治女子血氣心痛、破痃癖冷氣、以酒醋摩服、效」と記載されている。日本の薬局方にも記載されている薬物で、古くより血液の流れが悪いことで引き起こされる数々の病に用いられてきた。特に婦人科方面で常用される。

    中国医学以外でもインド、タイなど広範囲の伝統医学で常用される生薬で各国で研究が進められている。

    中国では莪朮の注射剤を使った多くの抗がん臨床試験が行われており、数多くのがんに効果があることが分かっている。成分に含まれるセキステルペン類や免疫増強作用などが複合して抗がん作用を発揮すると考えられている。

    起源
    莪朮の始載は《薬性本草》。ショウガ科ガジュツ Curcuma zedaria (Berg.) Rosc. の根茎を乾燥させたもの。他にもショウガ科Curcuma aromatica Salisb. (ハルウコン)、 Curcuma kwangsiensis S. Lee et C. F. Liang (広西莪朮)の根茎を乾燥させたものもこう呼ぶことがある。

    別名
    蓬莪朮、蓬莪荗、文朮、醋莪朮など

    性味
    辛、苦、温
    《開宝本草》:“味苦、辛、温、無毒。”
    《医学啓源・巻之下・用薬備旨》:“味苦、平。”

    帰経
    帰肝、脾経。
    《雷公炮製薬性解》:“入肺、脾二経。”
    《本草彙言》:“入足厥陰肝経。”

    中医における効能
    破血去瘀、行気止痛

    配合応用
    1. 莪朮には強力な破血去瘀作用があり、その効能は三稜に似ている。
      1. 気滞血瘀が長引き重症化したものに用いる。
        • 瘀血内阻が衝脈不通し経閉腹痛があるものには、三稜、川芎、牛膝などと配合して用いる。
        • 瘀阻が長引き、癥積したものには削堅消癥の効果がある、例えば鼈甲、丹参、三稜などと配合して用いる。
      1. 莪朮には滞気を導き食積を消し、また止痛作用がある。
        1. 脾運失健、宿食不化があって、脾胃気を失調し、気滞が脘腹張痛に至るものを治す。
          • 莪朮の行気消積の力は強力で、食積気滞脘腹張痛を治す。例えば三稜、木香、枳実などと配合して用いる。
          • 脾虚不運、脘腹張痛の証には、健脾補気の、例えば丹参、白朮などと配合して用いる。

      成分
      莪朮の揮発油類:curzerenone, borneol, α-pinene, β-pinene, camphene, limonene, 1, 8-cineole, terpinene, isoborneol, caryophyllene, curcumene, caryophyllene epoxide, turmerone, arturmerone, curdione, curcurmenol, isocurcumenolm difurocumenone, aerugi-diol, isofuranodiene, furanodienone, dehydrocurdione, curcumenone, 13-hydroxygermacroneなど。

      抗がん作用
      抗がん作用の本体は精油成分に含まれるセキステルペン類、特に curdione, curcurmenol, aerugi-diol などであるといわれている。
      マウスの白血病L615、及び腹水型肝がん細胞ECAなどの成長を抑制し、破壊する。
      マウスの肉腫S37、子宮頸がんU14、ECAなどを高度に抑制する。
      がん細胞の代謝を抑制する。
      精油は直接腫瘍細胞を殺す。
      免疫力を高める。
      がん細胞の放射線感受性を高める。
      がん細胞の成長を遅延させる。
      など、多数の抗がん作用がある。

      臨床では膀胱がん、子宮頸がん、肝がん、胃がんなどで血瘀気滞の者に用いる。
      1. 膀胱がん
        莪朮、三稜各9g、青皮、橘皮、藿香、香附子、甘草各6g、生姜3片、大棗2枚を毎日1剤、煎じて服用する。。《抗腫瘤中薬的治癌効験》
      2. 子宮頸がん
        莪朮15g、当帰、赤芍、檳榔、昆布、桃仁、鼈甲、大黄各9g、桂心2.4g、琥珀1.2g(研)、枳殻4.5g、木香6g を毎日1剤、煎じて服用する。《抗腫瘤中薬的治癌効験》
      3. 肝がん
        莪朮、三稜各12g、柴胡、姜黄、当帰各10g、党参、北沙参、白花蛇舌草、半枝蓮、赤芍、白芍各20g、黄蓍、炒谷芽、炒麦芽各30g、全蠍6g、蜈蚣4条、斑蝥1g、茯苓30gを一日1剤、水で煎じて服用する。《抗腫瘤中薬的治癌効験》
      4. 胃がん
        莪朮、三稜、甘草各15g、黄薬子、阿魏、乳香、没薬各24g、硇砂、木鼈子各12g、蟾酥9g、延胡索、天仙藤各30g、露蜂房、生玳琩各18g、鶏内金45gを粉にし、蜂蜜で練って梧桐大の丸剤を作り、一日2-3回、一回5丸を服用する。《抗腫瘤中薬的治癌効験》
      このほかにも抗早産作用、抗菌作用、肝保護作用、抗血小板凝集作用、抗血栓作用、抗炎症作用、抗心筋梗塞作用、抗慢性閉塞性肺疾患作用、抗神経性皮膚炎作用、抗精神作用などが報告されている。

      紅棗雞鍋│棗と鶏肉鍋

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      難易度:☆ 調理時間:1時間以内
      こっそりと続けていた中華鍋シリーズもこれにて最後です。本日は『紅棗雞鍋│棗と鶏肉鍋』というナツメを使った鍋を紹介したいと思います。

      今ほど多彩な果物が気軽に変えなかった中世、ナツメの実は貴重な甘味源として珍重されました。栽培も採取も容易で、乾燥させれば長期保存が可能、栄養分に富み何より甘いという古代から中世にかけてのナツメはまさに神の恵みともいえる植物でした。

      ナツメは薬膳料理では欠かすことはできない食材で、おなじみの《神農本草経》の上品(長期にわたって服用しても毒性がなく、体の調子を整えるのに使う薬)の生薬のうちの一つです。ちなみに《神農本草経》果実部上品は全部で五つの生薬があり、すべてを挙げると「蓮の実(蓮実)」、「ブドウ」、「ナツメ(大棗)」、「クサイチゴ(覆盆子)」、「オニバスの実(芡実)」です。ちなみに『四神湯』にはこのうちの二つが入っています。

      台湾では「毎日三つのナツメを食べると年をとらない」という言い伝えがあるほど。漢方では不安や不眠、胃腸の虚弱などに使われる生薬でもあります。

      今回のレシピではナツメを使った鶏肉の鍋を紹介しますが、実は他の果物を使っても同じように鍋を作ることもできます。レモンや柚子で酸味の利いた鍋も美味しいですし、梨やリンゴに唐辛子を加えてエスニックな味にアレンジしてもいいでしょう。様々な料理に派生が可能ですので、ぜひ一度お試しください。


      花雕雞煲│簡易版花彫鶏鍋

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      難易度:☆ 調理時間:30分以内
      本日は『花雕雞煲│簡易版ファディァオ鍋』のレシピを紹介します。花雕酒を使って作る『花雕雞』を普通の紹興酒を使って鍋料理風に再現する簡易版です。

      みなさん一度くらいは紹興酒という名前を聞いたことがあると思います。「花雕酒」はこの紹興酒を長期間熟成させた老酒の一種で、非常にまろやかな味わいとすばらしい香りが特徴です。

      浙江省は宋代には一大醸造地として有名であり、北部地方への交易貨物として非常に人気があったといいます。この地方では子供が生まれると紹興酒の甕を庭の地面深くに埋め、その子が男子なら科挙に合格して帰郷したときに、女児なら結婚時にこの酒を皆に振舞ったといいます。

      まぁ、男子が科挙に合格するのは女児が結婚するよりはるかに難しいため、そのうち男女問わず結婚するときのお祝いに使われるようになり、さらにそれがいつしか女児だけのお祝いになり、保管する壷に美麗な彫刻が施されるようになったため「花雕酒」と呼ばれるようになりました。女子が結婚するときの祝い酒ということで「女児紅」という別名もあります。

      紹興酒の原料はもち米で、浙江の山水を使って作るのが伝統的な製法です。現在市販されているものは流石に数十年とはいいませんが、3-5年以上熟成させたもの。通常引用するときは普通の紹興酒で割って飲みます。

      日本でこの「花雕酒」を手に入れるのは至難のため、今回は紹興酒を使って簡易版花彫鶏鍋を作ります。通常の日本料理でも料理酒に隠し味として中国酒を使うと、意外な香りを楽しむことができるでしょう。紹興酒はもち米で作っているので実は「もち」との相性もよく、餅を焼くときに表面に少しだけ紹興酒を塗り海苔を巻いて醤油で食べると…、後は実際にお試しください。

      それではレシピ行ってみましょう。


      【抗がん漢方】冬虫夏草 とうちゅうかそう Dongchongxiacao

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      冬虫夏草(とうちゅうかそう、Dōnɡ Chónɡ Xià Cǎo)


      英名
      Chinese Caterpillar Fungus

      説明
      薬物としての最初の記載は清代の《本草從新》。「補肺腎。 甘平保肺。益腎止血。化痰已勞嗽。四川嘉定府所產者最佳。雲南貴州所出者次之。冬在土中。身活如老蠶。有毛能動。至夏則毛出土上。連身俱化為草。若不取。至冬則複化為蟲。」と記載されている。ただし中国の歴史に登場するのは更に遡り、7世紀唐代にチベットに渡って仏典を持ち帰った文成公主がチベット語で出版した《月王薬診》、《藏本草》には既に記載がある。

      非常に高価な生薬の一つであり、人工栽培の研究が進められているが未だ成功していない。大部分が標高4000メートル以上の水はけの良い高地で採取される。清王朝の特に初期の皇帝たちは冬虫夏草を常用していたといわれ、歴代王朝の皇帝たちと比べて長命なものが多いのは冬虫夏草の効果だとも言われる。

      起源
      始載は《本草從新》。バッカクキン科 Cordiceps sinensis (Berk.) Sacc. がコウモリガ科昆虫の幼虫に寄生し発芽したものを子実体を寄生幼虫と共に乾燥させたもの。

      別名
      虫草、冬虫草、夏草冬虫など

      性味
      甘、温
      《本草從新》:“甘、平”
      《本草綱目拾遺・巻五》引《薬性論》:“味甘、性温。”
      《青海薬材》:“味甘酸、性平、気香。”

      帰経
      帰腎、肺経。
      《本草再新》:“入肺、腎二経。”

      中医における効能
      益腎補肺、止血化痰など

      配合応用
      1. 冬虫夏草は、腎虚陽衰、精髄不足が腰膝痠痛、軟弱無力、夢遺滑精、陽痿早泄、耳鳴健忘及び神思恍惚に至ったものを治す。
        1. 冬虫夏草は補腎助陽の作用がある。
          • 単品で酒に浸して用いる。
          • 補精血、壮陽気、強筋健骨などの効能を持つ杜仲、川断、鹿角膠、亀板膠などと配合し薬効を増強して用いる。
      2. 冬虫夏草は、肺腎両虚で虚喘久咳或いは労嗽痰血のものを治す
        1. 冬虫夏草は益腎補肺、止血化痰の作用がある。
          • 単独で用いる。
          • 薬性が平和であるので肺腎両虚で陰虚、気虚のものに均しく用いることができる。肺腎両虚で労嗽痰血のものには、養陰清肺、止血化痰の作用を持つ、例えば蛤蚧、麦門冬、阿膠、百合、川貝などを配合して用いる。
      3. 冬虫夏草は、正気在内、邪不可干、腠理固密、自汗必止の作用がある。
        1. 冬虫夏草は補腎固本、補肺実衛の作用がある。
          • 病後の体力回復或いは自汗畏寒などの症状に、鶏肉、鴨肉、牛肉、羊肉などと共に食用する。
            • 燉老鴨法
              用夏草冬蟲三五枚、老雄鴨一隻、去肚雜、將鴨頭劈開、納藥於中、仍以線紮好 醬油酒如常蒸爛食之。其藥氣能從頭中直貫鴨全身、無不透浹。《本草綱目拾遺・巻五》

      成分
      タンパク質25%、脂肪8%。
      Cordycepic acid, D-mannitol, nicotinic amide, ergosterol, uracil, adenine, adenine nucleoside, ergosterolperoxide, cholesteryl palmitateなど。
      水溶性多糖類。
      元素類:P, Na, Ge, Ca, Mg, Al, Mn, Fe, Cu, Zn, B, Niなど。 

      抗がん作用
      冬虫夏草に含まれる cordycepic acid, ergosterol, ergosterolperoxide には抗がん作用が見つかっている。
      冬虫夏草により作った“至霊カプセル”を一日3回、一回1.5gを2ヶ月服用し、悪性腫瘍の補助療法として30例に用いたたところ、93%の患者の臨床症状が改善した。これは免疫機能の改善に関連していると考えられている。
      ラット白血病L5187細胞の核酸合成を阻害する。
      免疫機能を強化する。
      などの抗がん作用がある。
      臨床では肺気不足、肺腎両虚、正気衰弱のものの肺がん、咽喉がんなどに用いる。
      1. 肺がん
        冬虫夏草10g、麦門冬15g、石斛15g、生地黄15gを茶にして飲む。《中薬新用》
        冬虫夏草、旱蓬草、麦門冬、党参各15g、百合、玉竹、瓜蔞、夏枯草各20g、北沙参、玄参、半枝蓮、薏苡仁、蒲公英、白花蛇舌草、魚腥草、藕節、猫爪草、黄蓍、茅根、鼈甲、生牡蛎各30g、川貝10gを煎じて服用する。《抗癌植物薬及其験方》
        人参100g、冬虫夏草60gを粉末にして毎回10gを服用する。《河西中医薬、1998、(4)》
      2. 咽喉がん
        太子参、生地黄、女貞子各15g、沙参、丹皮、旱蓬草、白芍各10g、甘草、冬虫夏草、川貝各5g、木蝴蝶3g、青果適量(佐料)を朝夕各1剤、2時間ごとに少量ずつ服用する。《抗癌良方》
      このほかにもホルモン様作用、抗酸化作用、免疫調整作用、抗菌作用、沈静・催眠作用、性機能改善作用、抗高脂血症作用、抗血小板減少作用、抗慢性人機能低下症作用、耳鳴りに対する作用、心神喪失に対する作用、慢性気管支炎に対する作用などの薬理効果が報告されている。


      紅酒牛肉│中華風ビーフシチュー

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      難易度:☆ 調理時間:1時間以内
      本日は西洋風中華の『紅酒牛肉│中華風ビーフシチュー』を紹介します。赤ワインを使って牛肉を煮込む料理ですが、味付けはオイスターソースと醤油という国籍不明の料理です。寒い季節はこういう料理が一番ですね。

      中国語で赤ワインは「紅葡萄酒」、白ワインは「白葡萄酒」などと呼び、「紅酒」は「紅葡萄酒」の略語、もしくは別称です。非常に紛らわしいことに台湾では穀物と紅麹を使って造った酒も「紅酒」という名で売られており、こちらもたびたび料理に使います。今回は関係ないので説明はまた別の機会にすることにします。

      さて、ワインといえばフランスやスペインが誰もが知る産地ですが、実は台湾でも赤白両方のワインを生産しており、しかも世界的にはけっこう有名なのです。赤ワインは Black Queen(黑后)、白ワインは Golden Muscatel(金香)と呼ばれる台湾独特の品種があり、台湾ビールでおなじみのTTL公社などがこそっと販売しています。特に「玉泉台灣之美」という赤ワインは国内では時にプレミアが付くほど人気の品です。(最近はカルフールで売ってたりもしますが…。)他にも台中の三星紅葡萄酒などはほとんど現地でしか手に入らないレアなもの。こちらはヨーロッパのミシュラン三ツ星レストランから注文を受けるほどの品です。ワインが好きな方は台湾旅行時に捜してみましょう。お土産としても喜ばれると思います。

      そんなわけで本日は西洋風の中華料理『紅酒牛肉│中華風ビーフシチュー』です。材料を切って煮込むだけの簡単料理、ぜひお試しください。


      麻辣臭豆腐鍋│ピリ辛臭豆腐鍋

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      難易度:☆☆ 調理時間:30分以内
      一昨日、昨日と『辣椒醬』、『臭豆腐』のレシピをを紹介したことにより、やっとこの料理を紹介することができるようになりました。『麻辣臭豆腐鍋│四川風臭豆腐鍋』の登場です。

      材料さえ揃っていればとても簡単に作れますので、せめて『辣椒醬』だけは作って挑戦してみてください。『臭豆腐』は難しい!という方は、水抜きした豆腐を使って再現しましょう。

      実は台湾の『臭豆腐』は油で揚げて食べるのが伝統で、この『麻辣臭豆腐鍋』は近年に入るまで存在していませんでした。この『麻辣臭豆腐鍋』は四川料理、とくに『麻辣火鍋』ブームを受けて台湾で開発された完全オリジナルの台湾料理なのです。夜市の定番料理として全国に広がり、瞬く間に台湾の名物料理となりました。 通常は『鴨血』や『酸菜』と共に煮込んで食べますが、店によって味付けや具材がそれぞれ異なります。

      一昔前の伝統的な製法で作られていた『臭豆腐』はそれはもう強力な臭いで、長期間屋外で浸けたものは時に蛆が湧くほど不衛生でした。近年2003年に桃園で摘発された「地下」臭豆腐工場は、非常に劣悪な環境で製造されており、大きく報道されてからしばらくは全国で臭豆腐消費が大きく落ち込むほど消費者心理に影響を与えました。現在台湾の『臭豆腐』のほとんどは認可を受けた工場での大量生産方式を取っており、一昔前よりも衛生的で安心して食べられます。

      伝統的な製法で作った手作りの『臭豆腐』を楽しむなら通常の夜市ではなく深坑の老街などの有名店を訪ねましょう。

      今回紹介する『麻辣臭豆腐鍋』は日本で完全に再現する必要はありません。普通の豆腐を使って作っても十分美味しいものができるので、ぜひ挑戦してください。


      臭豆腐│臭豆腐

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      難易度:☆☆☆ 調理時間:数日
      ついにこの料理の作り方を説明するときがやってきました。『臭豆腐│臭豆腐』のレシピの紹介です。簡易版とはいえかなりのコツが必要です、失敗しても諦めず何度かトライしてください。

      古くは湖南省の名物料理であった『臭豆腐│臭豆腐』は時代が下ると共に中華圏各地、世界中に拡散していきました。様々な食べ方があるのですが、台湾ではやはり油で揚げた『炸臭豆腐』が有名でしょう。

      『臭豆腐』は豆腐を発酵させて作る発酵食品で、台湾初心者の多くが「挑戦」させられる料理の一つ。臭いという字が入ってはいますが、実際には納豆と同じくらいのにおいの強さです。日本を代表する発酵食品である納豆を食べられない日本人が多いのと同じように、台湾でも『臭豆腐』を食べられない台湾人が数多くいることから、好みの分かれる料理であります。西太后に献上され、彼女が愛した料理として「御青方」との名を与えられたこともある料理で、このことからも分かるようにはまる人はとことんはまってしまう料理なのです。

      自分で作ってみるとわかりやすいのですが、実際は発酵の程度を製作時間でコントロールすることができるため、においの強さも千差万別、発酵一日目のものなどはほとんど普通の豆腐のように食べられます。

      中華料理全体から見るとその歴史は余り長くなく、清朝康熙年間に偶然作られたものがその由来だといいます。安徽省出身の王致和という男は科挙試験に落第し、そのまま北京に居座って豆腐店を経営していました。経営状況は余り芳しくなく毎日大量の売れ残りが出ていたそうですが、ある日掃除するのを忘れていた売れ残りの豆腐が青く変色しているのを発見します。今まで嗅いだことのない奇妙な臭いでしたが、食べてみると非常においしかったのでこれを売り出したところ大ヒット。これが臭豆腐の源流といわれています。日本でも大手の輸入食品スーパーに行けば開発者の名前を冠したブランドの『臭豆腐』が手に入るかと思います。

      台湾に伝わったのは1949年、湖南省出身の李某という人が大陸から伝えたものが最初とされます。日本統治時代には、まだ台湾に存在しなかったんですね。

      日本で手に入れるのが非常に難しい食材のため、これを使った料理は今まで一度も紹介していません。が!日本でも作れそうな製作手順をまとめることができたので紹介します。

      難易度の星は三つですが所詮発酵食品、発酵過程さえ上手くコントロールできれば、手順は割りと簡単です。ポイントは余り発酵させすぎないことです。まずは半日~1日の短時間だけ豆腐を発酵させて食べてみましょう。


      各地域によって藁やトウモロコシの皮、様々な野菜と一緒に発酵させたりと作り方は様々ですが、このレシピは豆腐以外何も使いません。まずは何も使わないプレーンな『臭豆腐』から挑戦してみましょう。Pointをよく読んで作ってみてください。

      写真は台湾名物揚げ臭豆腐。必ず漬物が添えられます。

      辣椒醬│唐辛子ソース

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      難易度:☆ 調理時間:半日
      本日は台湾料理に欠かせない『辣椒醬│唐辛子ソース』の作り方を紹介します。生の唐辛子から作る辛味ソースで、様々な料理に応用ができます。

      一瓶作っておけば『火鍋』や『臭豆腐(もどき)』を作ったり、水餃子のタレにしたり四川料理の調味料として使ったりといろんな場面で活用できます。焼き魚やから揚げなどの和食にもあわせることができるので、まずは一度自分で作ってみましょう。何より手作りすれば味の調節も容易で、市販のものではけして出せない好みの味を追及できます。

      今回から数回に分けて、この手作り『辣椒醬│唐辛子ソース』を使った料理を紹介したいと思いますので、ご期待ください。



      南瓜辣醬鍋│ピリ辛カボチャ鍋

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      難易度:☆ 調理時間:1時間以内
      さて、数日に渡り続いている中華鍋シリーズ、今回は『南瓜辣醬鍋│ピリ辛カボチャ鍋』の紹介です。数日前に紹介した『南瓜海鮮鍋│海鮮カボチャ鍋』と同じくカボチャスープを使った鍋ですが、カボチャの甘みにラー油の辛味を加えて作ります。絶品です。

      今回は鍋という漢字の謎に迫ってみましょう。

      鍋の字は「金」に「咼」と書きます。金偏はそのまま金属の意味で、鍋そのものが金属で作られていることを表します。そしてちょっと説明が難しいのですが、旁の「咼」は「骨」から「月(肉)」を取り除いた部分、つまり筋肉と骨の接合部「骨のくぼみ」を表す漢字で、「あな」、「くぼみ」という意味があります。形を見るとなるほどと思っていただけるでしょうか?

      つまり「鍋」は金属のくぼみ、要は鍋の形そのものを表している漢字なのです。このパーツを使った漢字は他にも水のくぼみ→渦、くぼみを渡る→過、神の不在(くぼみ)→禍などの漢字があります。納得していただけましたでしょうか?

      さて、この「咼」には対義語というか意味が逆のパーツがあり、「畐」がそれにあたります。こちらは「くぼみ」ではなく、お皿の上にたくさんのものが乗って「盛り上がっているもの」を表す象形文字です。ちょうど凸と凹のような関係ですね。部首を入れ替えるとそれぞれほぼ正反対の意味になるのも面白い部分です。特に神の恩恵がたくさん積み重なったことを表す「福」の字は良く使いますね。他はあまり使いませんが、「逼(せまる)」や、浴室を表す「湢」などの字もちゃんと存在しています。それぞれ「盛り上がる」の意味がきちんと含まれているのが面白いですね。

      さらに!日本では使わない漢字ですが「鍢」という字もきちんと存在するのです。これは「鍑」と言う字の異体字なのですが、鍋と同じく釜の一種を表す字のようです。どうやら鉄はくぼませようが盛り上げようが使い道は同じようですね。これらのことからもともと金偏は裏表のない二次元的な金属を表していることも推察できるのですが、これ以上の考察は文学部の方々に任せましょう。

      というわけで、今回は鍋という漢字の謎に迫って見ました。料理を食べながら漢字の世界に思いを馳せてみてください。きっと静かに心落ち着けて食事を済ませることができるでしょう。


      臘味芋頭鍋│ソーセージとサトイモの鍋

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      難易度:☆ 調理時間:30分以内
      本日は体が心から温まる鍋料理『臘味芋頭鍋│ソーセージとサトイモの鍋』を紹介します。ソーセージを鍋に?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、中国鍋では結構普通の具材です。

      さて、料理名にある臘味の「臘」とは燻製にした肉類のことで、ソーセージ以外にもサラミや燻製にした鴨、鶏、魚、卵なども含みます。今回はソーセージとサラミで作りますが、燻製肉が手に入れば、それらを使って作ってみましょう。

      中国の燻製の歴史は紀元前にまで遡ります。「臘」とは古くは肉類を塩や醤油に漬けてただ乾かしたものを指しました。中国北部の厳しい寒さと乾燥した気候は、乾燥肉の作製に適しており、特に農暦12月は臘月という別名があるほど感想肉の作製に最適だったといいます。これが温暖湿潤な南部地域に伝わるにしたがって煙でいぶして防虫し、長期保存ができるように加工するようになったのです。

      現在の「臘肉」はこの南部地域で作られるようになった燻製肉のことを指します。豚の肝臓、魚、鶏、卵、魚卵、そして犬肉まで中国南部では様々な臘肉が食べられます。中国の燻製肉は西洋のウィンナーやサラミとは別で、醤油や香辛料を使って作ります。少々脂っこいかもしれませんが日本人には受け入れやすい味です。レシピでは西洋の燻製肉を使って作りますが、中国の燻製肉が手に入れば使ってみましょう。おいしいですよ!

      南瓜海鮮鍋│海鮮カボチャ鍋

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      難易度:☆☆ 調理時間:1時間以内
      本日は『南瓜海鮮鍋│海鮮カボチャ鍋』のレシピを紹介します。台湾では結構な人気のある鍋料理の一つで家庭でも作られます。

      日本と同じ島国である台湾では日本と同じように豊富な海鮮料理を楽しめます。繁華街に行けば水槽の中や氷の塊の上に乗せられた新鮮な魚を選んで調理してもらえるレストランがありますし、中央市場に行けば毎朝取れたての魚介類を卸してもらえます。韓国の港のように買った魚をその場で調理してもらえるというシステムはありませんが、かなりの種類の魚を手軽に買うことが出来るのも台湾の魅力といえるでしょう。

      観光地としては余り有名ではありませんが、台北市の華中橋横にある中央市場では、月曜日以外の毎朝市場が開かれます。早朝3-4時くらいからは専門店向けの箱売りが始まり、8時を過ぎると一般客むけの小売りも始まります。台湾北部のあらゆる八百屋、果物屋、肉屋、魚屋や多くの一般客が買い物に来るので、とても賑わいます。台湾旅行時に時間があればぜひ訪れてみてください。日本では見ることのできない珍しい食材や、台湾人の生活の様子が観察できてとても面白いですよ。通常のスーパーで売られているものよりも格安で食材が手に入るので、長期滞在者の買出し先としてもおすすめです。

      中央市場、基隆の港市場など、台湾の市場巡りも楽しいものです。食材だけでなく、花、布、衣服の大規模な市場も台湾には多数あるので、ちょっと変わったところを観光したいという方はぜひ足を伸ばしてみましょう。


      【抗がん漢方】半枝蓮 はんしれん Banzhilian

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      半枝蓮 (はんしれん、Bàn Zhī Lián)



      英名
      Barbed Skullcap Herb、Herb of Barbed Skullcap

      説明
      最初の記載は《江蘇植物志》(1988)。ごく近代に入ってから使用され始めた生薬である。中国南部では古くから解毒、止血などの目的で民間で用いられてきたという。最近になってアメリカにおける乳がんに対する臨床試験で良好な成績を残し注目されることになった。

      経験的に白花蛇舌草と組み合わせて用いられることが多く、数多くのがんに対する効果が報告されている。現在も多くの研究が進められており、今後に期待できる生薬である。

      起源
      半枝蓮の始載は1988年の《江蘇植物志》。シソ科 Scutellaria barbata D. Don の全草を乾燥させたもの。

      別名
      半支蓮、並頭草、韓信草、牙刷草、紫蓮草、通経草、水韓信、渓辺黄芩、言草児、半向花など

      性味
      辛、微苦、涼
      《广西薬植図志》:“味辛微腥、性平、無毒。”
      《南寧市薬物志》:“甘、平、無毒。”
      《江西民間草薬験方》:“性平、味辛微苦、無毒。”
      広州部隊《常用中草薬手冊》:“微苦、凉。”

      帰経
      入肝、肺、胃経。

      中医における効能
      清熱解毒、利尿消腫

      配合応用
      1. 半枝蓮は清熱解毒の効能がある。
        1. 肺がん及び消化管がんを治す。
          • その他の抗がん薬と配合して用いる。
        2. 癰腫瘡毒及び毒蛇咬傷を治す。
          • 内服及び外用に、単独で用いる。
          • その他の薬物と配合して用いる。
          • 肺癰には魚腥草、金蕎麦を配合して用いる。
      2. 利尿消腫に用いる。
        1. 湿熱小便不利、肝硬変腹水などに用いる。
          • 沢瀉、半辺蓮、玉米鬚などと配合して用いる。
      3. 去瘀止血に用いる。
        1. 跌打損傷、吐衂、血淋などに用いる。

      成分
      フラボン類:carthamidin, isocarthamidin, scutellarein, scutellarin。
      β-sitosterol, stearic acid, 多糖類など。
      地上部には wogonin, scutevulin, rivularin, naringenin, apigenin, hispidulin, eriodictyol, luteolin, 5,7,4'-trihydroxy-8-methoxyflavanone, 5,7,4'-trihydroxy-6-methoxyflavanone, 4'-hydroxywogonin, 7-hydroxy-5,8-dimethoxyflavone, p-hydroxybenzaldehyde, p-hydroxybenzylacetone, p-coumaric acid, protocatechuic acid, ursolic acid, phytosterol, phytosteryl-β-D-glucosideなど。

      抗がん作用
      トリテルペン類であるウルソール酸を少量含み、全草のエキスは明らかな抗がん作用を持つことが報告されている。
      急性骨髄性白血病の抑制作用を持つ。
      抗変異原作用を持つ。
      免疫調節作用を持つ。
      がんの増殖を抑制する。

      JTC26を強烈に抑制する。
      ラットS80、脳腫瘍B22などを抑制する。

      などの抗がん作用がある。

      臨床では肝がん、胃がん、食道がん、噴門がん、直腸がん、肛門がん、鼻咽がん、白血病、悪性リンパ腫、子宮頸がん、卵巣腫瘍、繊毛膜上皮腫 、膀胱がんなど熱毒蘊結、水湿内盛、瘀血阻滞の者に用いる。
      1. 肝がん
        半枝蓮、白花蛇舌草各60gを煎じて服用する。《弁証施治》
        半枝蓮、独角蓮、白花蛇舌草各30g、重楼15g、丹参、三稜、莪朮、土茯苓各9gを煎じて毎日1剤服用する。《貴陽中医学院学報、1986、(3):4》
      2. 胃がん
        半枝蓮、白花蛇舌草、黄蓍、威霊仙、羚羊骨各100g、広木香、大黄各60g、金石斛、砂仁、炮山甲、山豆根、露蜂房、馬鞭草、地骨皮、胡桃樹枝各50gを粉末にし、100目の篩にかける、もしくは梧桐子の大きさの丸剤にし、毎日3回、1回10gを服用する。《湖南中医雑誌、1992、(3)》
      3. 食道がん
        半枝蓮60g、蒲公英、黄薬子各30g、全瓜蔞15g、法半夏9g、黄連6gを煎じて毎日1剤を服用する。《抗癌中草薬製剤》
        半枝蓮、白花蛇舌草、威霊仙各50g、水蛭15gを煎じ、毎日1剤を服用する。30日を1治療期間とする。《新中医、1997、(7):39》
      4. 噴門がん
        半枝蓮、烏梅各100g。半枝蓮に水1500 ml を加え、750 ml まで煮詰める。烏梅に水1500 ml を加えて24h浸けてから30分煮込み、残渣を除いて50 ml まで煮詰める。これを半枝蓮のエキス中に加え、毎回5 ml を毎日3回服用する。《実用抗癌験方》
      5. 直腸がん
        半枝蓮、白花蛇舌草各30g、紅藤15g、敗醤草、薏苡仁、銀花、白頭翁各12g、炙刺猬皮、苦参、炮山甲各9gを煎じて毎日1剤服用する。《中医臨床手冊》
      6. 肛門がん
        半枝蓮、白花蛇舌草各60g、忍冬藤、薏苡仁、昆布各30g、夏枯草、海藻、槐角、紫草、桃仁各12g、厚朴、甲珠各9gを煎じ、一日2回に分けて服用する。《湖北中医学院附属医院方》
      7. 鼻咽がん
        半枝蓮50g、黄連20g、白花蛇舌草、生黄蓍各100gを煎じ、毎日1剤を服用する。《四川中医、1990、(7)》
      8. 白血病
        半枝蓮、板藍根、白英、土大黄各30g、干蟾皮9-12g、重楼、紫草各15g、射干9g、気血虚の場合は黄精30gを加える。黄蓍、熟地各15g、党参、当帰各9g、感染があれば蒲公英、大青葉各30gを加える、紫花地丁、銀花各15g、高熱があれば生石膏を加える。《上海第二医学院附属瑞金医院方》
      9. 悪性リンパ腫半枝蓮500g、銀花、野菊花、夏枯草各250g、穿山甲、大薊、小薊各15g、丹皮6gを粉にし、毎回9g、毎日3回服用する。《実用抗癌験方》
      10. 子宮頸がん
        半枝蓮、土茯苓、敗醤草、蒲公英、車前草、龍葵各30g、瞿麦、生薏苡仁各20g、萹蓄15g、蒼朮、厚朴、赤芍各10gを煎じて毎日1剤を服用する。《中医腫瘤学》
      11. 卵巣腫瘍半枝蓮50g、龍葵、白英、白花蛇舌草、鼈甲各30gを煎じ毎日1剤を服用する。腹痛があれば木香6g、首烏9g、延胡索9gをくわえる。腹部膨張があれば大腹皮、厚朴、枳殻各9gを加える。腹水があれば車前子、沢瀉各12gを加える。《腫瘤的診断與防治》
      12. 繊毛膜上皮腫
        半枝蓮、白花蛇舌草各60g、龍葵30-60g、敗醤草15gを煎じて毎日1剤を服用する。《武漢医学院第一附属医院方》
        天花粉50g、牙皀粉30gをカプセル1個に天花粉0.25g、牙皀粉0.15gが入るよう調整しする。これを会陰部に外用する。《武漢医学院第一附属医院方》
      13. 膀胱がん
        半枝蓮、大薊、小薊、蒲黄炭、槐花炭、車前子、白花蛇舌草各30g、知母、黄柏、生地、雲苓、猪苓各12gを煎じ、一日1剤服用する。《上海中医薬大学附属曙光医院方》

      このほかにも抗酸化作用、利尿作用、去痰作用、抗ヘルペスウイルス作用などの薬理効果が報告されている。

      馬鈴薯燒肉鍋│中華風肉じゃが

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      難易度:☆ 調理時間:1時間以内
      帰って来た中華鍋シリーズ第一弾!『馬鈴薯燒肉鍋│中華風肉じゃが』のレシピを紹介します。ジャンルは鍋料理ですが出来上がりは『肉じゃが』のような「鍋で作る料理」です。

      ジャガイモは本家中国語で様々な名称を持つ食材で、地域によって標準の名前が異なります。中国語では標準的な「土豆」の名称は中国東北地方の呼び方です。他にも華北地方の「山薬蛋」、西北地方の「洋芋」、広東地方の「薯仔」、江浙地方の「洋番芋」、そして台湾の「馬鈴薯」などがあります。なぜか韓国ではサツマイモの漢名である「감자(甘藷)」がジャガイモの名前として伝わっているのも興味深い点です。

      近代に入ってから中国に移入した作物の中国語名は、地方ごとに別々の名前を持つことが多いようです。というわけでこの料理も地方によって『土豆燒肉鍋』、『洋芋燒肉鍋』などと名前を変えます。とても簡単に作れるので中華圏全土で食べられる家庭料理として人気があり、地方ごとに名前だけでなく作り方もがらりと変る面白い料理です。日本風にアレンジすると肉じゃがとほとんど変わらなくなると思います。まずは中華風に作ってみましょう。


      百斬雞│白斬鶏

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      難易度: 調理時間:1時間以内
      中国南部の名菜『百斬雞│白斬鶏』を改めて紹介します。

      実はもともと別の料理を紹介しようと思っていたのですが、急遽タイトルとレシピを変更させていただきました。説明の部分だけはその『別の料理』を紹介させていただきますが、変更した理由はお察しください。

      「足のあるものは椅子以外何でも食べる」という言葉があるほど、多彩な食材を調理することで有名な広東料理には『百斬狗│白斬犬』という変わった料理があります。名前のとおり犬肉を調理してソースに浸けて食べる料理で現地では路地裏で密かな人気を誇る料理です。

      日本では忌避されることの多い犬食ですが、世界的に見て過去食用にしてこなかった国はほとんどありません。 食用にしてこなかった理由としては、英国では伝統的に、モンゴルでは牧羊犬として、イスラム地域では宗教によって忌避されてただけで、それ以外の地域では近代に入るまでほとんどが犬食を行ってきました。

      愛玩動物を食用にすることへの批判は西洋からもたらされたものですが、その中心であるヨーロッパでも、近代に入るまではわりと日常的に犬食が行われていたようです。文化的要因以外に犬食を忌避する理由はなく、現在でも中国、韓国では日常的に犬食が行われています。日本でも朝鮮半島からの居住者が多い地域を訪ねれば犬料理を食べることができます。日本で食べられる犬肉は全て中国からの輸入品です。興味があれば『보신탕│補身湯』(『영양탕│營養湯』)などの料理を提供するお店を探して見ましょう。

      おなじみ《本草綱目》にも犬肉の記載があります。《本草綱目》には食用に使われる肉類の記載も豊富にあり、これによると「鶏肉は犬肉と一緒に食べると下痢をするため合わせてはいけない」のだそうです。「道教を信じる人は犬肉を避ける」とも、「発狂して死んだ犬(狂犬病)には毒があるので食べてはいけない」などとも書かれてあります。

      台湾でも10年ほど前まではこそっと犬肉を提供するレストランがありました。台湾では古くから犬肉を「香肉」と呼び結構な量が消費されてきたのです。2001年に犬猫を食用目的で屠殺することを禁じる法律ができてから、ほとんど見かけることはできなくなりましたが、実は今でもこそーーーっと犬肉は売られています。もちろんおおっぴらに提供したり販売したりすると検挙されるので、「香肉」は「羊肉」と名前を変えて売られています。台湾、特に南部の田舎で周りに民家がないのに不思議と繁盛している羊肉のレストランを見かけることがあれば…、そういうことです。

      今回紹介する料理はもともと鶏肉の変わりに犬肉を使って調理するものです。レシピの鶏肉の部分を犬肉に置き換えて作れば、立派な『百斬狗│白斬犬』という料理になります。日本にいる方は普通に鶏肉で作りましょう。



      【抗がん漢方】白花蛇舌草 ひゃっかじゃぜつそう Baihuasheshecao

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      白花蛇舌草 (びゃっかじゃぜつそう、Bái Huā Shé Shé Cǎo)



      英名
      Spreading Hedyotis Herb、Herb of Spreading Hedyoti

      説明
      最初の記載は《広西中薬志》 药学通报(1959)12。近代に入ってから発見された生薬でその優れた解毒作用から中国全土で常用された。近年、白花蛇舌草から強力な抗腫瘍作用が明らかになり多くの近代研究が行われている。抗がん作用を持つ植物として世界中で最も有名なものの一つである。

      白花蛇舌草から発見されたトリテルペノイドであるウルソール酸には強力な抗がん作用がみつかり、トリテルペノイドの抗がん作用研究のさきがけとなった。現在は白花蛇舌草の他にも様々な生薬から抗がん作用を持つトリテルペノイドが発見されている。

      起源
      白花蛇舌草の始載は1959年12月に《药学通报》上にて発表された論文“広西中薬志”。アカネ科フタバムグラ Oldenlandia diffusa (Willd.) Roxb, の全草を乾燥させたもの。

      別名
      蛇舌草、双葉葎、矮脚白花蛇利草、蛇舌癀、目目生珠草、節節結蕊草、鹩哥利、千打捶、羊鬚草など

      性味
      微苦、甘、寒
      《広西中薬志》:“味苦甘、性温、無毒。”
      《閩南民間草藥》:“苦、平、無毒。”
      《泉州本草》:“甘微酸、性寒。”
      《廣東中藥》Ⅱ:“辛渋、寒、無毒。”

      帰経
      入胃、大腸、小腸経。
      《広西中薬志》:“入心、肝、脾三経。”

      中医における効能
      清熱解毒、消癰抗癌、利湿

      配合応用
      1. 白花蛇舌草は近代に入って使用されるようになった新しい生薬である。良好な解毒消癰作用を持ち内用外用に用いられる。
        1. 消癰抗癌、蛇毒を治す。
          • 癰腫瘡毒には、銀花、連翹、野菊花などと配合して用いる。
          • 腸癰を治すには紅藤、敗醤草などと配合して用いる。
          • 毒蛇咬傷には生草を搗いて患部に外用するほか、半辺蓮、蚤休、紫花地丁などと配合して内服する。
          • 近年多くの研究によって各種の癌に効果があることが立証され、その他の抗腫瘍薬などと合わせて用いられる。
        1. 白花蛇舌草は清熱利湿通淋作用を持つ。
          1. 熱淋渋痛を治す。
            • 小便不利には、白茅根、車前草、石韋などと配合して用いる。
            • 茵陳、黄柏、梔子などと配合して用いる。
          2. 保肝利胆作用がある。
            • 夏枯草、甘草と配合した三草湯 《陕西中医、(1991)、09》
              • 加味三草湯
                加味三草湯(白花蛇舌草、夏枯草、甘草、白芍等)
                治療慢性肝炎78例、総有效率78.20%。同時對其進行臨床免疫學檢測、發現免疫學數據變化對指導中醫臨床分型論治與症状、體證改善無明顯聯繫。
                [三草湯:白花蛇舌草31.25g、夏枯草31.25g、甘草15.625g、製成糖漿劑服用]

        成分
        Aspruloside。
        脂肪酸および脂肪酸エステル類:asperulosidic acid, deacetylasperulosidic acid, scandoside methyl ester, 6-O-p-hydroxycinnamoyl scandoside methyl ester, 6-O-p-methoxycinnamoyl scandoside methyl ester。
        アントラキノン類:2-methyl-3-hydroxyantheraquinone, 2-methyl-3-methoxyanthraquinone, 2-methyl-3-hydroxy-4-methocyanthraquinone など。
        トリテルペン類:ursolic acid, oleanoic acid, β-sitosterol, stigmasterol, β-sitosterol-β-D-glucoside, p-coumaric acidなど。
        フラボン類:kaempferol 3-O-[2''-O-(E-6''-O-feruloyl)-β-D-galactopyranosyl]-β-D-galactopyranoside, kaempferol 3-O-[2-O-(6-O-E-feruloyl)-β-D-glucopyranosyl]-β-D-galactopyranoside,  quercetine 3-O-[2-O-(6-O-E-feruloyl)-β-D-glucopyranosyl]-β-D-galactopyranoside。

        抗がん作用
        抗がん作用の本体はトリテルペン類であるウルソール酸、オレアノール酸であるといわれている。
        白血球・マクロファージの機能を著しく高め、免疫力を高める。
        肝細胞を修復する。
        がん細胞のアポトーシスを誘導する。
        癌の増殖を抑制し、癌の発生を抑制する。
        ほとんど有害作用を示すことなく、がん細胞の増殖を抑制する。
        など、多数の抗がん作用がある。

        臨床では肺がん、鼻腔がん、咽喉がん、舌癌、肝がん、食道がん、胃がん、直腸がん、リンパ肉腫、子宮頸がん、卵巣がん、乳腺がん、白血病、膀胱がんなど熱毒瘀阻で水湿内停の者に用いる。
        1. 肺がん
          白花蛇舌草93g、半枝蓮62g、重楼24g、石打穿、龍葵、丹参、牡蛎、昆布(塩抜き)、海藻(塩抜き)、土沈香各31g、水蛭(油揚げ)9g を毎日1剤、煎じて飲む。2-3ヶ月を1治療期間とする。《重慶市老中医経験交流会資料選編》1979年
        2. 鼻腔がん
          白花蛇舌草60g、半枝蓮、土茯苓、菝葜各30g を毎日1剤、2-3回に分けて煎じて服用する。《腫瘤的弁証施治》
        3. 咽喉がん
          白花蛇舌草、楊梅根、藤梨根各62g、白蘿蔔、牡蛎、海藻、大青葉、虎杖各31g、干蟾皮、山豆根、北沙参各15g、当帰9gを毎日1剤服用する。《浙江省中医院方》
        4. 肝がん
          白花蛇舌草、半枝蓮、薏苡仁各30g、半辺蓮、石見穿、金銭草、丹参各15g、三稜、鬱金各6g、木香、陳皮各9gを証に合わせて増減。一日1剤を煎じ二回に分けて服用する。《湖北医学院附属第二医院方》
          白花蛇舌草、半枝蓮各60g、蒲公英、丹参、薏苡仁、山豆根、醋鼈甲各30g、地丁、鶏肉金各12g、夏枯草15g、橘実、莪朮各9gを煎じ、毎日1剤を服用する。
        5. 食道がん
          白花蛇舌草70g、薏苡仁30g、黄薬子9g、烏薬、龍葵各3g、烏梅6g、田三七1.5gを煎じ、毎日1剤を服用する。《全国中草薬編》
          白花蛇舌草、半枝蓮、蘇鉄葉、白茅根、綿花根各60gを煎じて服用する。《浙南本草新編》
        6. 胃がん
          白花蛇舌草90g、白茅根60g、砂糖適量を煎じ、毎日1剤を服用する。《新編中医入門》
          白花蛇舌草、蜀羊泉各30g、龍葵、石打穿各15gを煎じ毎日1剤を3回に分けて服用する。《腫瘤的弁証施治》
        7. 直腸がん
          白花蛇舌草、仙茅各120gを煎じ毎日1剤を飲む。《新医薬資料、1972、(2)》
          白花蛇舌草、龍葵、忍冬藤各60g、半枝蓮、紫花地丁各15gを煎じて服用する。《填南本草新編》
        8. 卵巣がん白花蛇舌草、半枝蓮各62g、薏苡仁31g、枳核、昆布、桃仁、地龍各15g、鬱金、党参各12g、川棟子、小茴香各9g、紅花3gを煎じ、毎日1剤を服用する。
        9. 白血病白花蛇舌草、板藍根、白英各30g、瓜蔞、重楼、紫草各15g、射干9gを煎じ、毎日1剤を服用する。《福建三明地区医院方》
        10. 膀胱がん
          白花蛇舌草、土茯苓各30g、半枝蓮15g、知母、黄柏各12g、山茱萸、大小薊、蒲黄炭各9g、琥珀粉2gを煎じ、毎日1剤を3回に分けて服用する。《腫瘤的弁証施治》
        もともと解毒薬として用いられていたが、殺菌作用はほとんどない。このほかにも精子生産作用、抗蛇毒作用、肝保護作用、胆汁増加作用、抗肝炎作用などの薬理効果が報告されている。

        海帶三仁粥│三仁粥

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        難易度: 調理時間:1時間以内
        昨日に引き続いてニキビの薬膳料理『海帶三仁粥│三仁粥』を紹介します。昨日は脂性のニキビを治すレシピでしたが、本日は熱性のニキビを治すレシピです。昨日のレシピにいくつかの生薬を足して作ります。

        熱性のニキビとは赤く炎症を起こした皮膚の中に白い芯がある様なニキビのことで、漢方では血の巡りを良くし、皮膚に溜まった熱を取ることで治療します。料理名にある「三仁」とは、薏苡仁、桃仁、杏仁の三つを指し、コンブでダシを取ったスープで米と一緒に煮込み粥にして食べます。

        薏苡仁はイボの治療薬としてとても有名な漢方薬で、このほかにも利尿作用、抗炎症作用、筋肉を緩める作用、抗アレルギー作用など様々な薬理作用があります。桃仁は、血液をサラサラにする作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用、更年期障害に対する作用、そして活性酸素に対抗する作用などがあります。杏仁は咳止め痰きり薬として有名で、便秘に対する作用、女性ホルモン様作用、解熱作用などがあります。

        どれも古くから女性の肌のトラブルに利用されてきた生薬で、これらを組み合わせて使うと美肌にとても効果がありそうです。また粥に入れるその他の材料、昆布、緑豆、粳米(普通のお米)もそれぞれ美肌効果があるのです。、まさに全方位対応型のお肌の薬膳料理と言えます。漢方薬を勉強したことのある方は、じっくり配合の妙を味わってください(笑)。筆者も始めてこの料理のレシピを見たときはちょっと感動しました。そしてこの配合なら味にもとても期待できそうです。

        ちょっと難しいですが、薬膳的な効能は清熱解毒、消火消炎、活血化瘀、養陽潤膚。コンブや粳米、緑豆、枸杞子の効果も入っているのでより複雑です。

         まずは手に入る材料だけで作ってみましょう。メールなどで相談いただければ材料送ります。


        綠豆薏苡仁湯│緑豆とハトムギのスープ

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        難易度:☆ 調理時間:1時間以内
        本日はちょっと珍しい薬膳料理『綠豆薏苡仁湯│緑豆とハトムギのスープ』のレシピです。青春のシンボルであるニキビの治療に使われる薬膳料理で、お茶のようにして飲みます。

        使う材料は緑豆、薏苡仁、山楂子の三種類。それぞれにニキビに対する効能があることが研究によって明らかになっています。台湾でも緑豆を使った美容飲料などが売られており、芸能人が広告に登場したりします。

        普通のスープとしても十分通用するくらい美味しい料理です。 この料理はニキビでも特に脂性のニキビに効果があるとされます。年頃の方でなくても、老若男女誰にでも効果があると思うので、お肌のトラブルに悩む方はぜひお試しください。

        明日は別のニキビに効く薬膳を紹介したいと思います。ご期待ください。


        【抗がん漢方】人参 にんじん Renshen

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        人参(にんじん、Rén Shēn)




        英名
        Ginseng Root、Ginseng

        説明
        最初の記載は東漢末期の《神農本草経》。人参として、「味甘、微寒。主補五臟、安精神、定魂魄、止驚悸、除邪氣、明目、開心、益智。久服、輕身、延年。一名人銜、一名鬼蓋。生山谷。
        《呉普》曰:人參、一名土精、一名神草、一名黃參、一名血參、一名人微、一名玉精、神農:甘、小寒。桐君、雷公:苦。岐伯、黃帝:甘、無毒。扁鵲:有毒、生邯鄲。三月生葉、小兌、核黑、莖有毛、三月、九月採根、根有頭、足、手、面目如人。《御《名醫》曰:一名神草、一名人微、一名土精、一名血參、如人形者、有神。生上黨及遼東。二月、四月、八月上旬採根。竹刀刮、曝乾、無令見風。 案:《説文》云:參、人參、藥草、出上黨。《廣雅》云:地精、人參也。《范子計然》云:人參、出上黨、状類人者、善。劉敬叔《異苑》云:人參、一名土精、生上黨者、佳。人形皆具、能作兒啼。」と記載されている。

        現在流通しているものはほとんどが栽培された“園参”と呼ばれるもので、有名な産地は朝鮮半島、吉林、遼東、黒竜江、東シベリアなど、6年物が最上級品とされる。野生の“山参”と呼ばれるものは非常に貴重で超高級品である。

        栽培品は生のものを“水参(すいじん)”、そのまま乾燥させたものを“白参(はくじん)”、皮を剥いて蒸してから乾燥させたものを“紅参(こうじん)”と呼ぶ。ここでは主に紅参について解説する。また“人参鬚”と呼ばれる側根のみを乾燥させたものもあり、成分の組成比率が若干異なる。

        古くから滋養強壮の名薬として珍重され、近代に入ってからは様々な薬理作用が明らかにされた。現在最も研究の進んでいる生薬の一つで、非常に多くの研究論文がある。

        起源
        人参の始載は《神農本草経》。ウゴギ科オタネニンジン  Panax ginseng C.A.Meyer の根を乾燥させたもの。

        別名
        人銜、鬼蓋、朝鮮参、移山参など

        性味
        甘、微苦、微温
        《神農本草経》:“味甘、微寒”
        《名医別録》:“微温、無毒。”
        《本草備要》:“生、甘、苦、微涼。熟、甘、温。”

        帰経
        帰脾、肺経。
        《本草衍義補遺》:“入手太陰経。”
        《本草彙言》:“入肺、脾二経。”
        《薬品化義》:“入脾、胃、肺経。”

        中医における効能
        大補元気、補脾益肺、生津止渇、安神益智など

        配合応用
        1. 人参は人体の最も根源の気である元気を増す。
          1. 元気が衰え体虚欲脱、脈微欲絶の証に用いる。人参は味甘微温、元気を補い、全身に良好な強壮反応がある。虚労内傷の第一選択薬であり、大量失血、大量の汗、大量の吐瀉など疾病により元気が極度に不足している場合。
            • 単品で用いる。即ち独参湯《景岳全書・古方八陣》。
              • 獨參湯
                治諸氣虛氣脫,及反胃嘔吐喘促,粥湯入胃即吐,凡諸虛證垂危者。
                用人參二兩,水一升,煮取四合,乘熱頓服,日再進之。兼以人參煮粥食之尤妙。
            • 気虚はたびたび陽虚を導き、気脱は常に亡陽を伴う。汗が出て肢が冷えるなど亡陽の者には、囘陽救逆の附子を配合した参附湯《重訂厳氏済生方・諸虚門》。
              • 參附湯
                治真陽不足、上氣喘急、自汗盜汗、氣虛頭暈、但是陽虛氣弱之證、並宜服之。
                人參(半兩) 附子(炮、去臍、一兩) 上咀、分作三服、水二盞、生薑十片、煎至八分、去滓、食前溫服。
            • 熱傷気陰の虚脱には、麦門、五味子と配合した生脈散《内外傷弁惑論・巻中》
              • 生脈散
                夫脾胃虛弱之人、遇六七月霖雨、諸物皆潤、人汗沾衣、身重短氣、更逢濕旺、助熱為邪、西北二方寒清絕矣、人重感之、則骨乏無力、其形如夢寐間、朦朦如煙霧中、不知身所有也。聖人立法、夏月宜補者、補天真元氣、非補熱火也、夏食寒者是也。故以人參之甘補氣、麥門冬苦寒、瀉熱補水之源、味子之酸、清肅燥金、名曰生脈散。孫真人云:五月常服五味子以補五臟之氣、亦此意也。
                [人參 五分、麥冬 五分 五味子 七粒 (原書無劑量、用法)]    
            • 失血気脱のものには補血滋陰の熟地黄と配合た両儀膏《景岳全書・新方八陣》。
              • 兩儀膏
                治精氣大虧、諸藥不應、或以剋伐太過、耗損真陰。凡虛在陽分而氣不化精者、宜參朮膏;若虛在陰分而精不化氣者、莫妙於此。其有未至大病而素覺陰虛者、用以調元、尤稱神妙。
                人參 半斤或四兩。大熟地 一斤 右二味、用好甜水或長流水十五碗、浸一宿、以桑柴文武火煎取濃汁。若味有未盡、再用水數碗煎柤取汁、并熬稍濃、乃入磁罐、重湯熬成膏、入真白蜜四兩或半斤收之、毎以白湯點服。若勞損欬嗽多痰、加貝母四兩亦可。
        2. 胃は主に食を納め、脾は主に運化する。人参は脾胃の気虚、生化乏源は倦怠乏源に到り、食欲不振、嘔吐瀉泄などを治す。
          1. 人参は脾経に入って脾胃の気を善導する。
            • 健脾益気の白朮と配合した参朮膏《景岳全書・古方八陣》。
              • 參朮膏
                治中氣虛弱、諸藥不應、或因用藥失宜、耗傷元氣、虛證蜂起、但用此藥補其中氣、諸證自愈。
                人參 白朮(等分)用水煎膏、化服之。一方用白朮一斤、人參四兩、切片、以流水十五碗浸一宿、桑柴文、武火煎取濃汁、再用重湯熬膏、入真白蜜收之、每以白湯點服。
            • 参朮膏にさらに健脾利湿の茯苓、益気和中の甘草を配合した四君子湯《太平恵民和剤局方・巻三》。
              • 四君子湯
                治脾胃虛弱、飲食少思、或大便不實、體瘦面黃、或胸膈虛痞、吞酸痰嗽、或脾胃虛弱、善患瘧痢等證。
                人參 白朮 茯苓(各二錢) 炙甘草(一錢) 加薑、棗、水煎服。或加粳米百粒。
            • 脾虚挟湿、便溏或いは排泄するものは、四君子湯に山薬、白扁豆、砂仁、陳皮などの益気健脾去湿止瀉の効果を加えて、例えば参苓白朮散《太平恵民和剤局方・巻三》。
              • 參苓白朮散
                冶脾胃虛弱、飲食不進、多睏少力、中滿痞噎、心忪氣喘、嘔吐泄瀉及傷寒咳噫。 此藥中和不熱、久服養氣育神、醒脾悅色、順正辟邪。
                蓮子肉(去皮) 薏苡仁 縮砂仁 桔梗(炒令深黃色) 各一斤 白扁豆(薑汁浸、去皮、微炒) 一斤半、 白茯苓 人參(去蘆) 甘草(炒) 白朮 山藥 各二斤。
                上為細末。每服二錢、 棗湯調下、小兒量歲數加減服。
            • もし気虚清陽下陥し、久瀉脱肛或いはその他の臓器脱垂があるものは、黄耆、白朮、升麻、柴胡などを配合して、例えば補中益気湯《脾胃論・巻中》。
              • 補中益氣湯
                黃耆(病甚、勞役熱者一錢) 甘草(以上各五分、炙) 人參(去節、三分、有嗽去之。) 以上當歸身(三分、酒焙乾、或日干、以和血脈) 橘皮(不去白、二分或三分、以導氣、又能益元氣、得諸甘藥乃可、若獨用瀉脾胃) 升麻(二分或三分、引胃氣上騰而復其本位、便是行春升之令) 柴胡(二分或三分、引清氣、行少陽之氣上升) 白朮(三分、降胃中熱、利腰臍間血)。 
                上件藥咀。都作一服、水二盞、煎至一盞、量氣弱氣盛、臨病斟酌水盞大小、去渣、食遠、稍熱服。如傷之重者、不過二服而愈。若病日久者、以權立加減法治之。
        3. 肺は主に一身の気、また呼吸を司り、腎は主に元気を固納する。人参は、肺虚或いは肺腎虚は気短喘促に到り、乏力自汗、脈虚などの証を治す。
          1. 人参は元気を補って肺気を益し、肺虚気弱などの証に用いる。
            • 肺虚久咳には、款冬花、紫苑、百部、五味子などと配合して用いる。肺腎両虚で喘促気短ものには、蛤蚧、胡桃肉、五味子等と配合する。例えば人参蛤蚧湯《経験方》、人参胡桃湯《済生方・巻二》。
              • 人參蛤蚧散
                治三二年間肺氣上喘咳嗽。咯唾膿血。滿面生瘡。遍身黃腫。
                蛤蚧(一對全者。河水浸五宿、逐日換水、洗去腥。酥炙黃色) 杏仁(去皮尖、炒) 甘草(炙、各五兩) 知母 桑白皮 人參 茯苓(去皮) 貝母(各二兩)。
                上八味為末。淨瓷合子內盛。每日用如茶點服、永除、神效。《衛生寶鑒・卷十二》
              • 人參胡桃湯
                治胸滿喘急、不能睡臥。
                新羅人參(寸許、切片) 胡桃(五個、取肉、切片)。
                上作一服、用水一小盞、生薑五片、煎至七分、去滓、臨臥溫服。
        4. 津液の生成、運行、排泄は全て気の升化と推動によるものである。気が足りれば即ち津液が盛える。
          1. 人参は元気を補って、気を足して津液を潤し、口の渇きを癒す。これは生津止渇の作用によるものである。気虚津傷口渇、消渇などの証に用いる。
            • 気虚津傷口渇、また熱病などにより気津両傷し、身熱煩渇が止まらず、汗多く、脈浮大また無力のものには、清熱生津の石膏、知母、甘草、粳米などを配合した白虎加人参湯《傷寒論・弁陽明病脈証并治》。
              • 白虎加人參湯方
                服桂枝湯、大汗出後、大煩渴不解、脈洪大者、白虎加人參湯主之。
                知母六兩 石膏一斤、碎、綿裹 甘草二兩、炙 粳米六合 人參三兩
                右五味、以水一斗、煮米熟、湯成、去滓、溫服一升、日三服。
            • 消渇を治すには天花粉、麦冬、知母などと配合して、例えば《仁斉直指方》では瓜蔞根と粉末にして蜜で丸剤を作り、麦冬湯で服用するとある。
              • 清火生津諸方
                消渴內消小便熱中、六物丸。
                栝蔞(六分) 麥門冬(六分) 知母(六分) 人參 土瓜根 苦參(各四分)。
                搗下以牛膽和為丸、服如小豆二十丸、溺下之、三日不止、稍加之。咽乾加麥門冬、舌乾加知母、脅下滿加人參、小便難加苦參、數者加土瓜根、隨病所在倍一分加之。(《肘後》)《外台》:《近效論》療消渴方、於本方去土瓜根、加黃連、牡蠣粉、黃蓍、乾地黃、以牛乳丸。又熱中雖能食多、小便多、漸消瘦方、於上方去黃。
        5. 元気を増し、心気を養い、知恵を増す。
          1. 人参は元気を増し、安神益智の作用がある。
            • 失眠多夢、驚悸健忘を治す。
              • 単独で用いる。
                單味人參製成3%人參酊劑、每服5毫升、日3次 對不同類型的神經衰弱患者、均有治療作用、能使病人體重增加、消除患者全身無力、頭痛、失眠等症。《王本祥・人參藥理研究進展・藥學學報 1965;7:477》
            • 心脾両傷、気血虧虚に到るものは、黄蓍、竜眼肉、酸棗仁などを配合した、例えば帰脾湯《校注婦人良法・巻二十四》。
              • 歸脾湯
                解郁、養脾陰。主思慮傷脾。健忘怔忡、吐血、下血。
                白朮1兩、茯苓 1兩、黃耆1兩(去蘆)、龍眼肉1兩、酸棗仁(炒、去殼)1兩、人參半兩、木香(不見火)半兩、甘草(炙)2錢半。
                上咀。每服4錢、水1盞半、加生姜5片。大棗1枚、煎至7分、去滓溫服、不拘時候《濟生方・卷四》。
            • 心腎不足、陰虧血少のものには、生地、麦冬、丹参、柏子仁などを配合した、例えば天王補心丹《攝生秘剖・巻一》
              • 天王補心丹
                治心血不足、神志不寧、津液枯竭、健忘怔忡、大便不利、口舌生瘡等証。人參去蘆 丹參微炒 玄參微炒 白茯苓去皮 五味子洗 遠志去木炒 桔梗各五錢 當歸身酒洗 天門冬去心 麥門冬去心 柏子仁炒 酸棗仁炒、各二兩 生地黃酒洗、四兩 辰砂五錢為衣上為末、煉蜜丸如梧桐子大、空心白滾湯下三錢、或圓眼湯俱佳。忌胡荽、大蒜、蘿卜、魚腥、燒酒。心者、神明之官也。憂愁思慮則傷心。神明受傷、則主不明而十二官危、故健忘怔忡。心主血、血燥則津枯、故大便不利。舌為心之外候、心火炎上、故口舌生瘡。是丸以生地為君者、取其下入足少陰以滋水主、水盛可以伏火。況地黃為血分要藥、又能入手少陰也。棗仁、遠志、柏仁、養心神者也。當歸、丹參、玄參生心血者也。二冬助其津液、五味收其耗散、參苓補其氣虛、以桔梗為使者、欲載諸藥入心、不使之速下也《頤生微論》。
            • 本品に石菖蒲、遠志、茯神、茯苓を配合した令人不忘方《備急千金要方・巻十四》。
              • 令人不忘方
                治多忘。
                菖蒲(二分) 遠志(七分) 茯苓 茯神 人參(各五分) 。
                上五味治、下篩、酒服方寸匕、日二夜一、五日後智神良。
        6. 気血はお互いを生じる。
          1. 人参は補気或いは滋養陰血の作用を通して、気虚或いは気血双虧の証を治す。
            • 当帰と配合して、例えば参帰湯《景岳全書・古方八陣》。
              • 參歸湯
                此即團參散、見小兒門十。 亦名人參湯、見婦人門七七。 治心虛盜汗。
                人參、當歸、等分。 右先用豬心一枚、破作數片、煎湯澄取清汁、煎藥服。
            • 上の処方に熟地黄、白芍、白朮、茯苓などを配合して八珍湯《正体類要・巻下》。
              • 八珍湯
                治傷損等症、失血過多、或因克伐、血氣耗損、惡寒發熱、煩躁作渴等症。
                人參 白朮 白茯苓 當歸 川芎 白芍藥 熟地黃(各一錢) 甘草(炙、五分)。
                上薑棗水煎服。
        7. 人参の性味は甘微温、大補元気、益腎壮陽の効果がある。
          1. 人参は腎虚陽痿を治す。
            • 単剤を薬酒にして用いる。
            • 鹿茸、熟地黄、附子、補骨脂などと配合して補腎壮陽の効果を増した、例えば人参鹿茸丸、参茸衛生丸《全国中薬成薬処方集・内科・補益類》など。
              • 人參鹿茸参丸
                一.北京、承徳
                補血生精、興奮神經。主神經衰弱、目暗耳聾、遺精汗、腰腿痠軟。
                人參二兩五錢(去蘆) 鹿茸二兩 當歸 杜仲 補骨脂 巴戟天 菟絲子 懷牛膝 茯苓 黃蓍 五味子 竜眼肉 香附 黃柏各四兩 冬中草一兩。
                共為細粉、煉蜜為丸、重三錢、蜡皮封固。毎服一丸、温開水送下、温黃酒亦可。忌食生冷、孕婦忌服。
                [其他地域(天津、蘭州、濟南、沈陽)也有別的配伍。]
              • 参茸衛生丸
                一.北京、承徳
                滋補衰弱、興奮神經。主身體衰弱、精神不足、食慾不振、夢遺滑精、腰膝痠軟。
                人參 鹿茸 巴戟天 党參 山藥 桑寄生 白芍 蓮子 鎖陽各八十兩 蒼朮 乳香 黑附子各三十二兩 川牛膝一百一十二兩 熟地 酸棗仁 甘草 香附 杜仲各一百六十兩 何首烏 麥冬 牡蠣 枸杞子 龍骨 肉桂各四十八兩 遠志四十兩 覆盆子 補骨脂各六十四兩 茯苓 於朮各二百四十兩 沒藥十六兩 龍眼肉三百二十兩 琥珀 黄蓍各九十六兩 砂仁一百五十二兩 山茱萸 當歸各一百二十八兩 紅棗一百七十六兩 肉蓰蓉一百六十兩 續斷 沈香各四十八兩 橘皮三百二十兩 生地三十二両 木香八十両 白朮一百六十兩。
                續斷、沈香、橘皮、生地、木香、白朮、六味軋粗末、舗晒槽、余者下罐加黃酒四千兩蒸三日夜、與舗晒之羣藥末拌均、晒干、共為細粉、每十六量細粉兌。
                硃砂三錢六分、煉蜜為丸、重三錢、蜡皮封固。
                毎服一丸、日服二次、温開水送下。
                [其他地域(天津、上海、福州、重慶、昆明、蘭州、大同、濟南、青島、沈陽、呼和浩特)也有別的配伍。]
        8. 人参を去邪薬と共に用いると扶正去邪の効能があり、邪実正虚の証に用いる。
          1. 補気解表の効果があり、気虚外感、悪寒発熱、頭痛を治す。
            • 羌活、柴胡、独活などと配合した、例えば人参排毒湯《太平恵民和剤局方・巻二》。
              • 人參敗毒散
                治傷寒時氣、頭痛項強、壯熱惡寒、身體煩疼、及寒壅咳嗽、鼻塞聲重、嘔噦寒熱、並皆治之。 柴胡(去苗) 甘草 桔梗 人參(去蘆) 芎 茯苓(去皮) 枳殼(去瓤、麩炒)。
                上十味、各三十兩、為粗末、每服二錢、水一盞、入生薑、薄荷各少許、同煎七分、去滓、不拘時候、寒多則熱服、熱多則溫服 。
          2. 扶正攻下の効果があり、裏実正虚を治す。
            • 当帰、大黄、芒硝、厚朴などと配合して羌活、柴胡、独活などと配合した黄龍湯《傷寒六書・殺車槌法・巻三》。
              • 黃龍湯
                治有患心下硬痛、下利純清水、譫語發渴、身熱。庸醫不識此証、但見下利、便呼為漏底傷寒、而便用熱藥止之、就如抱薪救火、誤人死者、多矣。殊不知此因熱邪傳裡、胃中燥屎結實、此利非內寒而利、乃日逐飲湯藥而利也、宜急下之、名曰結熱利証。身有熱者、宜用此湯;身無熱者、用前六乙順氣湯。
                大黃 芒硝 枳實 濃朴 甘草 人參 當歸 年老氣血虛者、去芒硝。
                水二鐘、薑三片、棗子二枚、煎之。後再加桔梗、煎一沸、熱服為度。


        成分
        サポニン類など:Ginsenoside R0, ginsenoside Ra1, Ra2, Ra3, Rb1, Rb2, Rb3, Rc, Rd, Rg3, Rs3, quinguenoside R1, R2, malonylginsenoside Rb1, Rb2, Rf, Rf2, Rg1, Rg2, Rg5, Rh1, 20-glucoginsenoside Rf, notoginsenoside R1, R4。
        Pseudoginsenoside F11, Rp1, Rt1, chikusetsusaponin IV, IVa, 20-(S)-ginsenoside PG1, PG2, 20-(S)-protopanaxadiol-3-3-[O-β-D-glucopyanosyl(1->2)-β-D-glucopyanosyl]-20-O-β-D-glucopyranoside。
        Panaxynol, panaxydol, falcarinol, heptadec-1-ene-4, 6-diyn-3, 9-diol, panaxydol chorohydrine, panaxydiol, panaxytriol, (8E)-1, 8-heptadecadiene-4, 6-diyne-3, 10-diol, ginsenoyne A, B, C, D, E, F, G, H, I, J, K, L, M, N。
        Akkiarinadebdrebem gernacrebe B, isocaryophyllene, α-neoclovene, γ-muurolene, β-panasinsene, panasinsene, panasinsanol A, B, ginsenol。
        脂肪酸類:eicosenoic acid。
        有機酸:malic acid, succinic acid, oleic acid, linoleic acid, linolenic acid, palmitoleic acid, palmitic acid, palmitin, linolein, α, γ-dipalmitine, p-hydrox cinnamic acid, 4-hydroxyphenyl acetic acid, azelaic acid, cinnamic acid, p-coumaric acid, ferulic acid, caffeic acidなど。
        すてロール類:β-sitosterol, stigmasterol, campesterol, daucosterol, β-sitosterol-3-(6-linoleoyl)glucopyranoside,stigmasterol-3-(6-linoleoyl)glucopyranoside など9種。
        糖類:ginseng oligosaccharide, monomer oligosaccharide, panose A, B, C, Dなど。
        多糖類:panaxan A, B, C, D, E, F, G, GH-1, GH-2, H, I, J, K, L, M, N, O, P, Q, R, S, T, U, ginsanなど。
        リン脂質:lysophosphatidyl choline, phosphatidyl choline, phosphatidyl inositolなど。フラボン類:kaempferol, triholin, panasenoside。
        その他:N9-formyl harman, ethyl-β-carboline-1-carboxylatel, perlolyrine, choline, α,β-diinoleoyl glycerogalactolipid, gomisin A, Nなど。
        その他人参ペプチド類など。

        抗がん作用
        人参に含まれるサポニン類、多糖類、アルコール類など多くの成分に明らかな抗がん作用が見つかっている。
        マウスのANAE陽性リンパ細胞の割合を増加させる。
        肝臓がんの発生率を低下させる。
        免疫機能を強化する。
        抗がん剤によって誘発されるラットの肝臓がんを抑制、またはコントロールする。
        Ginsenoside Rh2には最も強い抗がん作用があり、がん細胞の分化誘導、増殖抑制、細胞死促進などの作用がある。
        放射線によるDNA損傷を回復する。
        放射線治療による服作用、及び毒性を軽減する。
        など、多数の抗がん作用がある。

        臨床では気血虧虚、気陽両傷、久病正虚が虚極欲脱あるいは邪実気虚に至った食道がん、胃がん、肝がん、肺がん、子宮頸がん、乳腺がん、白血病などに常用される。
        1. 食道がん
          人参汁、竜眼肉汁、蘆根汁、蔗汁、梨汁、人乳、牛乳各等分し、姜汁をすこし加えて、煮詰めて軟膏にし、徐々に頓服する。《冷庐医話・秘伝噎膈膏》
        2. 胃がん
          人参、茯苓、姜制厚朴、炒枳実、煨三稜、制半夏、白朮などを等分し、澱粉で梧子大にする。これを毎日50丸、米湯で服用する。《三因方・伏梁丸》
        3. 肝がん
          生晒人参3g(別に煎じる)、黄蓍12g、丹参9g、莪朮9g、凌霄花9g、桃仁泥9g、八月札12g、香附9g、炙鼈甲12g。水で煎じて飲む。 《腫瘤的弁証施治
          扁木霊芝30g、炖猪心或いは猪肺。頓服、毎日2-3回。《抗癌植物薬及其験方》
        4. 肺がん
          人参、茯苓、貝母各60g、蛤蚧2枚、杏仁150g、炙甘草、桑白皮各90g、知母30gを合わせて粉末にする。一日3回、毎回6gを砂糖水で服用する。《衛生寶鑒・人參蛤蚧散》
        5. 子宮頸がん
          人参18g、生鼈甲18g、花椒9gを合わせて粉末にする。これを6包に分け、毎晩1包を白湯で服用する。3包服用して腹痛が収まれば続けて24包を服用する。これを1治療期間とする。《全国部分名老中医験方》
        6. 乳腺がん
          人参、当帰、川芎、芍薬、桂枝、蘇葉、桔梗各3g、百芷、黄芩、木香、烏薬、厚朴、枳実、檳榔、防風、甘草各2gを水で服用する。《治癌効験漢方処方解説》
        7. 急性白血病
          沙参3g、人参10g(別に煎じる)、丹参30g、赤芍15g、帰尾10g、炮山甲10g、瓜蔞20g、干蟾10g、山慈菇15g、莪朮10g、枳実10g、徐長卿30g、黄蓍20g、山薬10gを水で煎じ、毎日1剤を服用する。《抗癌中草薬大辞典》
        このほかにも性機能障害改善作用、糖尿病改善作用、抗高血圧作用、抗動脈硬化作用、抗高脂血症作用、冠状血管拡張作用、抗白血球減少作用、月経調整作用、安胎作用、記憶力改善作用など多数の薬理効果が報告されている。


        焗烤馬鈴薯│ジャガイモのチーズ焼き

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        難易度:☆ 調理時間:1時間以内
        本日のレシピは『焗烤馬鈴薯│ジャガイモのチーズ焼き』です。西洋風の料理ですが、若干和風のアレンジがされており、家庭料理として台湾でも食べられます。

        台湾の主婦向けの料理レシピに載っていた料理なのですが、作ってみて非常に美味しかったので紹介します。

        ちなみに「中国」にジャガイモが伝わったのは16世紀から19世紀にかけてといわれていますが、ほとんど正確なことはわかっていません。おそらくヨーロッパからの船舶に乗って何度も渡ってきていたのだと思いますが、定着することはなかったのでしょう。中国のジャガイモに関する最も古い記録はなんと台湾の松渓県(現在の士林のあたり)で、16世紀にオランダ人が食用に持ち込んだことが記録されています。しかしこちらも定着することはなかったようです。

        FAOの統計で2011年の世界のジャガイモ生産量を見てみると、ダントツで中国が一位。
        1. 中国 88,290,500t
        2. インド 42,339,400t
        3. ロシア 32,681,470t
        4. ウクライナ 24,248,000t
        5. アメリカ 19,488,460t
        6. ドイツ 11,800,000t
        7. バングラディッシュ 8,326,389t
        8. ポーランド 8,196,700t
        9. フランス 7,440,219t
        10. オランダ 7,333,472t
        全世界の生産量が3億トンちょっとなので中国だけで4分の1以上を生産していることになります。アメリカの生産量は世界五位ですが、なんと生産“価格”のランキングでは世界三位になります。ウクライナは六位に後退、これは輸出と自国内消費の違いによるものでしょう。ジャガイモは日本でもっとも生産量の多い作物なのですが、世界ランキングで見るとぜんぜん下位です。

        近代に入ってから世界中で飢餓を救うことになった大地の恵みジャガイモ。様々な地域で多くの種類のレシピがあります。中華のジャガイモ料理レシピもとてもおいしいのでぜひ挑戦してみて下さい。



        【抗がん漢方】霊芝 れいし Lingzhi

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        霊芝(れいし、Línɡ Zhī)


        英名
        Ganoderma Lucidum

        説明
        最初の記載は東漢末期の《神農本草経》。赤芝、紫芝としてそれぞれ、「味苦平。主治胸中結、益心氣、補中、增智慧、不忘。久食輕身不老、延年神仙。一名丹芝。生山谷。」、「味甘溫。主治耳聾、利關節、保神、益精氣、堅筋骨、好顏色。久食輕身不老、延年神仙。一名木芝。生山谷。」と記載されている。このほかにも同書には青芝、黄芝、白芝、黒芝の記載があるが、現代ではすべて赤芝と紫芝のどちらかに分類される。古くから不老長寿の霊薬として知られ、特に中国、日本では珍重されてきた。

        非常に貴重であったため中国では古来より発見者は皇帝への献上が義務とされ、官吏への賄賂としても用いられた。自然品は非常に数が少なく、霊芝を配合した処方は古典処方にはない。近代に入り日本で人工培養法が確立されてからは大量生産が可能となり、数々の薬理作用が明らかになった。

        起源
        霊芝の始載は《神農本草経》。サルノコシカケ科レイシ Ganoderma lucidum (Leyss. ex Fr.) Karst. (赤芝)、Ganoderma japonicum (Fr.) L loyd. (紫芝)の全株を乾燥させたもの。

        別名
        木霊芝、紫霊芝

        性味
        甘、平
        《神農本草経》:“甘、温”
        《名医別録》:“無毒。”
        《薬性論》:“甘、平、無毒。”

        帰経
        帰心、肝、肺経。

        中医における効能
        養心安神、止咳平喘、補気養血

        配合応用
        1. 霊芝には養心安神作用、並びに補益強壮の効能がある。
          1. 心脾両虚、気血不足によって起こる心悸健忘、失眠多夢、体倦神疲、食欲不振などの証に用いる。
            • 単独で用いる。
            • 当帰、白芍、酸棗仁、龍眼肉などの養血安神薬と組み合わせて用いる。
            • 霊芝片、霊芝シロップ、霊芝カプセルなどの製剤を服用し、一定の効果が認められている。
        2. 去痰、止咳、平喘作用がある。
          1. 痰飲病で形寒咳嗽、痰多喘促、夜臥不安、或いは慢性気管支哮喘などの症状に用いる。特に痰湿型、或いは虚寒型によく効く。
            • 単独で用いる。
            • 党参、五味子、乾姜、半夏などの益気斂肺化飲の薬物と配合して用い、その効果を増強させる。
            • 霊芝酒、シロップ、注射液等を用いる。使用・服用後、患者の症状が軽減しただけではなく、睡眠の改善、食欲増加、抗寒能力増強、精力充沛などの効果がある。
        3. 古来より強壮補気の品として用いられる。
          1. 気虚血少、脾胃虚弱、食欲不振、神疲乏力、便溏、及び肝腎不足、腰痠目眩の人に用いる。
            • 単独で用いる。
            • 益気補血の薬と配合して用い、現在は多くの臨床製剤がある。
            • 冠血管障害、肝炎、抗脂血症、高血圧、様々な原因によって引き起こされる白血球減少などに用いる。

        成分
        13種類のアミノ酸: Ala, Pro, Phe, Trp, Gly, Ser, Thr, Cys, Tyr, Arg, Asp, Glu, Met, Leu。
        脂肪酸類:stearic acid, palmitic acid, tetracosanoic acid, nonadecanoic acid behenic acidなど。
        Choline, betaineなど。
        金属元素:Ge, Ca, Mg, Na, Mn, Fe, Zn, Cu, Sなど。
        リン脂質類:phosphatidylethanolamine, phosphatidylcholine。
        抗腫瘍活性をもつ多糖類:polysaccharide GL-1, BN3C, ganoderan A, B, C 。
        100種以上のトリテルペノイド:ganoderic acid A, B, C1, C2, E, F, G, G, I, J, K, L, M, Ma, Mb, Md, Me, Mf, Mg, Mh, Mi, Mj, Mk, N, O, P, Q, R, S, T, U, V, W, X, Y, Z, ganoderenic acid a, b, c, d, ganodermic acid Ja, Jb, N, O, P1, P2, Q, R, S, T-N, T-O, T-Q, 22, 23-dimetylene ganodermic acid R, S, lucidenic acid A, B, C, D1, D2,E1, E2, F, G, H, I, J, K, L, M, ganolucidic acid A, ganoderiol A, B, C, D, E, F, G, H, I ganoderol A, B, ganodermadiol, ganodermatriol, ganodermenonol, ganodermanondiol A, B, ganodermanontriol, ganoderal A, B, epoxyganoderiol A, B, C lucidone A, B, C, ganosporelactone A, B, ganodesterone。麦角アルカロイド:ergosterol, ergosterolperoxide, ergosterolpalmitate, ergosta-7,22-dien-3β-ol, ergosta-7,22-dien-3β-yl-linoleate, ergosta-7,22-dien-3β-yl-palmitate, 8, 9-epoxyergosta-5, 22-dien-3β-yl-palmitate, 8, 9-epoxyergosta-5, 22-dien-3β, 15-diol, 5α, 8α-epidioxyergosta-6, 9(11), 22-trien-3β-ol, 5α, 8α-epidioxyergosta-6, 22-dien-3β-yl-linoleate, ergosta-7, 22-dien-3β,5α, 6α-triol, 22β-acetoxy-3α,15α-dihydroxylanosta-7, 9(11), 24-trien-26-oic acid, 3β, 15α-diacetoxy-22α-hydroxylanosta-7, 9(11), 24-trien-26-oic acid, lanosta-7, 9(11), 24-trien-3α-acetoxy-15α-hydroxy-23-oxo-26-oic acid, lanosta-7, 9(11), 24-trien-3α-acetoxy-15α, 22β-dihydroxy-26-oic acid, lanosta-7, 9(11), 24-trien-3α-acetoxy-26-oic acid, lanosta-7, 9(11), 24-trien-3α, 15α-diacetoxy-23-oxo-26-oic acid, 3α, 15α, 22β-trihydroxylanosta-7, 9(11), 24-trien-26-oic acid, 3β, 15α, 22β-trihydroxylanosta-7, 9(11), 24-trien-26-oic acid, 3α, 15α, 22α-trihydroxylanosta-7, 9(11), 24-trien-26-oic acid, 3α, 15α-diacetoxy-22α-hydroxylanosta-7, 9(11), 24-trien-26-oic acid, 3β, 15α-diacetoxylanosta-8, 24-dien-3-one, ergosta-4, 7, 22-trien-3, 6-dione, ergosta-4, 6, 8(14), 22-tetraen-3-one, 6α-hydroxyergosta-4, 7, 22-trien-3-one, 6β-hydroxyergosta-4, 7, 22-trien-3-one, 24-methycholesta-7-en-3β-ol, 24-methylcholesta-5, 7, 22-trien-3β-ol, β-sitosterolなど。
        Adenosine, trehalose, potassium chroride, ricinoleic acid, fumaric acid, glucosamine, γ-butyrobetaineなど。
        その他多くの多糖類、glucanなど。

        抗がん作用
        有効成分は多糖類だといわれている。

        臨床では正気虚弱、気血不足或いは正虚邪実などの肺がん、食道がん、胃がん、肝がん、慢性骨髄性白血病などに常用される。
        1. 肺がん
          霊芝、魚醒草、薏苡仁、白毛藤、白花蛇舌草、生牡蛎、半枝蓮、黄精、麦冬、地楡、南沙参各30g、夏枯草、丹皮、白朮、黄耆、野菊花、石斛、全瓜蔞各15g、桑皮、地骨皮、川貝母、杏仁、砂仁各9g。以上を煎じて一日3回内服。《現代実用抗癌中薬》
        2. 食道がん
          霊芝10g、沙虫40g、蝦蟆27g、馬勃7g、西牛黄4.5g、麝香2.5g。以上を細末にして1回1.2-1.8gを一日3回白湯で内服する。 《全国中草薬新医療法展覧滙編
          扁木霊芝30g、炖猪心或いは猪肺。頓服、毎日2-3回。《抗癌植物薬及其験方》
        3. 慢性骨髄性白血病
          霊芝30gを加水しながら2時間煎じ、一日3回服用する。蜂蜜と同時に服用すると効果が強まる。《癌症秘方験方偏方大全》
        このほかにも中枢神経抑制作用、止咳作用、去痰作用、平喘作用、肝保護作用、解毒作用、抗放射線作用、強心作用、降圧作用、低酸素環境順応作用、補血作用、降コレステロール作用、抗アテローム動脈硬化作用などが報告されている。


        抗がん漢方薬シリーズ

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        甘口男では漢方薬の販売を行っております。なかでも「抗がんカクテル」なる漢方薬のセットは密かな人気です。

        最初は台湾で非常にお世話になっている方ががんになり何とかそれを治してあげたいとの一心で開発したもので、西洋医学である程度効果の立証されている抗がん作用のある生薬を混ぜ合わせた物でした。漢方薬の理論を学んでいる人からはお叱りを受けそうな処方ですが、意外や意外、その方はその漢方薬と西洋薬との併用で末期がん(余命は数ヶ月と言われました)から奇跡とも呼べる回復を見せました。現在もまだ治療中ですが、服用を始めてから現在まで三ヶ月でがんは1/8以下にまで小さくなり、肌も色艶を取り戻し毎日精力的に遊びまわっています。がん細胞が体から消え去るのも間近でしょう。

        噂が噂を呼び日本や台湾でも現在数人の方に服用していただいており、みなさま良好な結果がでています。体調とがんの場所に合わせて少しずつ処方内容は変えていますが、ベースとなる配合はあまり変わりません。

        このシリーズでは、甘口男で販売している抗がん作用のある生薬の中から、有名なものを紹介していきます。なお生薬の分類は以下の一般的な中医学の分類によりました。このほかにも抗がん作用のある生薬はたくさんあるのですが、ひとまず以下のリストにあるものから紹介していきたいと思います。


        購入やお問い合わせはメールにてお願いします。

        tw-cai@live.jp

        雞絲燕菜│燕の巣モドキと鶏肉のスープ

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        難易度:☆☆ 調理時間:30分以内
        本日の料理は『雞絲燕菜│燕の巣モドキと鶏肉のスープ』という驚きの料理です。高級中華の一つ「燕の巣」を驚きの材料と方法で再現します。

        もともと菜食主義者むけに鶏肉も燕の巣も全部野菜で再現する『素雞絲燕菜』という料理があるのですが、今回はその燕の巣の作り方だけまねして残りはオリジナルの肉類とスープで作ってしまおうという作戦です。

        さて本物の「燕の巣」はどのように作られるかご存知でしょうか?燕の巣、即ち「燕窩」はツバメではなく、アマツバメという鳥(とその仲間)の巣を乾燥させたものです。アマツバメと名前にこそツバメが入っていますが、われわれがよく知るツバメとは割と遠縁の動物で鳥類の中でも空中生活に非常に特化した一群です。アマツバメ科の鳥は繁殖期以外ほとんど地上に降りてきません。睡眠すら空中で取ってしまうそうです。

        このアマツバメ科の鳥は唾液を固めて巣をつくり、ヒナを育てた後の巣は再利用されることはありません。この巣を採取したものが燕窩、つまりわれわれがよく知る高級食材燕の巣なのです。ときどき海藻を唾液で固めたものと信じている人がいますが、燕の巣はほとんど唾液のみで作られ海藻は含まれません。 

        近年の研究によって燕の巣には各種サイトカイン、免疫グロブリン、インターロイキンなどの生理活性物質が豊富に含まれることが分かりました。古くから言われてきた美容に対する効果が近代科学によって証明されたのです。採取に非常に危険が伴うことと流通量の少なさから100gで数万円もする高級品ですが、台湾で買うと日本よりもかなり安く手に入ります。デパートの地下などで売っているので、お土産にすると喜ばれでしょう。調理も水につけて戻すだけなので比較的簡単です。

        今回の料理はこの燕の巣を野菜で再現します。非常に簡単で、見た目も美しく、高級感も味わえますのでぜひお試しください。


        【抗がん生薬】青黛 せいたい Qingdai

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        青黛(せいたい、Qīnɡ Dài)


        英名
        Natural indigo

        説明
        最初の記載は唐代の《藥性論》で「君、味甘、平。能解小兒疳熱、消瘦、殺蟲。」とある。そのほか多くの本草書にも解毒、殺虫の作用をもつ薬として記載されており、時代が下がるにつれて涼血、清肺などの効能が追記されてきた。古くから福建省のものが最高級品とされ「建青黛」と呼ばれる。

        もともと中国医学で白血病の薬として頻繁に用いられていた「当帰龍薈丸」 の生薬をスクリーニングする過程で青黛の抗がん作用が見つかり、さらに有効成分を分離する過程で Indirubin という抗がん作用を持つ成分が発見された。(当帰龍薈丸は後代の処方名、原典では當歸龍膽丸と記載されている。)

        起源
        青黛の始載は《薬性論》。アブラナ科ホソバタイセイ Isatis tinctoria L. (菘藍)、タイセイ Isatis indigotica Fort. (I. tinctoriaのシノニムか?) (草大青)、キツネゴマ科リュウキュウアイ Strobilanthes cusia (Nees) Kuntze (馬藍)、タデ科アイ Persicaria tinctoria (Aiton) Spach (蓼藍)、マメ科ナンバンアイ Indigofera tinctoria L. (木藍)の葉などを加工し抽出した色素を乾燥させたもの。

        別名
        靛花、靛沫花

        性味
        鹹、寒
        《薬性本草》:“味甘、平。”
        《本草再新》:“味苦、性寒、無毒。”

        帰経
        《雷公炮製薬性解》:“入肝、脾二経。”
        《本草便読》:“入肝、又能入肺、胃。”

        中医における効能
        清熱解毒、涼血散腫

        配合応用
        1. 青黛は肝火を瀉し、肺熱を清め熱毒を解く。
          1. 肝熱小児驚風抽搐を治す。
            • 牛黄、釣藤などを配して、例えば涼驚丸《小児薬証直訣・巻下》。
              • 涼驚丸
                治驚疳。
                草龍膽 防風 青黛(各三錢) 鉤藤(二錢) 黃連(五錢) 牛黃 麝香 龍腦(各一字)面糊丸粟米大、每服三五丸、金銀花湯下。
            • 龍胆草、蘆薈、黄連などを配し瀉肝胆実火を瀉す力を増強させた当帰龍薈丸《宣明論方》。
              • 當歸龍膽丸
                治腎水陰虛、風熱蘊積、時發驚悸、筋惕搐搦、神志不寧、營衛壅滯、頭目昏眩、肌肉螈、胸膈痞塞、咽嗌不利、腸胃燥澀、小便溺、筋脈拘奇、(奇猶急也、重也。)肢體痿弱、喑風癇病、小兒急慢驚風。常服宣通血氣、調順陰陽、病無再作。
                當歸(焙) 龍膽草 大梔子 黃連 黃柏 黃芩(各一兩) 大黃 蘆薈 青黛(各半兩) 木香(一分) 麝香(半錢、另研)
                上為末、煉蜜和丸、如小豆大、小兒如麻子大、生薑湯下、每服二十丸。忌發熱諸物。兼服防風通聖散。 《宣明論方》
          2. 肺熱咳嗽気急痰稠を治す。
            • 肝火灼肺の証には、海蛤殻を配合した青蛤丸《衞生鴻門・巻一》、散剤としては黛蛤散。
              • 青蛤散
                蛤粉(一兩) 青黛(三錢) 石膏(八錢) 輕粉(五錢) 黃柏(五錢)為末,香油合塊,涼水調敷。治一切黃水瘡、又治鼻爛。《諸方第一》。
            • 瓜蔞仁、貝母、浮海石を配合した青黛海石丸《症因脈治・巻二》。
              • 青黛海石丸
                治肺经咳嗽有热痰者
                青黛、海石、瓜蔞仁、川貝母。
          3. 湿疹及び口瘡を治す。多くは外用される。
            • 水で溶いて単独で用いる。
            • 黄柏などと配合し、水で溶いて凍らせたり、油で溶いて患部に塗って用いる。
        2. 涼血散腫及び清熱解毒の力を利用する。
          1. 熱毒発斑及び熱迫血溢の吐血、喀血、衂血を治す。
            • 発斑には石膏、生地黄、升麻などを配合した青黛石膏湯《重訂通俗傷寒論》。
              • 青黛石膏湯
                妊娠傷寒、熱郁陽明、熱極而發紫黑斑、脈洪數者。
                青黛4.5g 鮮生地60g(搗汁) 生石膏24g 升麻2g 黃芩6g 焦栀子9g 蔥頭3枚。
                水煎、溫服。
            • 熱証出血には柏葉、白茅などの涼血止血薬を配合する。
          2. 散腫及び解毒作用を以って痄腮腫及び熱毒瘡癰を治す。外用及び内服される。
            • 単独で用いる。
            • 玄参、銀花、連翹などを配合して用いる。

        成分
        Indirubin, indigo, isoindigo, N-phenyl-2-naphthylamine, β-sitosterol, laccerol, indican, isatan B, tryptan thrine, qingdainone, isatin, n-nonacosaneなど

        抗がん作用
        有効成分は indirubin であり、化学的修飾をされた様々な化合物が中-強等度の抗がん作用を示す。Indirubin はがん細胞の核酸代謝を抑制することで抗がん作用を発揮する。
        またIndirubin 誘導体はグリコーゲンシンセターゼキナーゼ 3β、サイクリン依存性キナーゼCdk1 および Cdk5などを強力に阻害する。
        Indirubin 及びその誘導体は慢性粒細胞性白血病に対して顕著な有効率を示す。
        青黛はT細胞を増加させる。

        臨床では血熱毒盛の白血病、肝臓がん、胃がん、食道がんなどに常用される。
        1. 慢性骨髄性白血病
          青黛粉、一日3回、毎回0.9-2.5g、或いは青黛錠一日3回、毎回2-4gを服用する。《抗癌良方》
          Indirubin製剤、一日3-4回、毎回4-6錠(成分量不明)を服用する。《中薬新用》
        2. 急性白血病
          青黛40g、天花粉30g、蘆薈20g、牛黄10gを合わせて粉末にする。一日2回、一回1.5gを服用する。《黒竜江中医学院付属医院方》
        3. 肝臓がん
          青黛、牛黄各12g、紫金錠6g、野菊花60gを合わせて粉末にする。一日3回、毎回3gを服用する。《癌症患者就医康復指南》
        4. 食道がん
          青黛4.5g、蛤粉30g、柿霜15g、硇沙6g、硼砂9g、白糖60gを合わせて粉末にする。一日3回、毎回0.9-1.5g服用する。《抗癌本草》
        5. 胃がんなど
          青黛3g、硼砂5g、沈香6gをあわせて粉末にする。白馬尿500g、白蘿蔔500gの汁、生姜250gの汁とあわせて鍋で煮込み軟膏を作る。一日3回、毎回軟膏小さじ3と粉末0.21gを白湯で服用する。《抗癌中草薬大辞典》

        このほかにも抗菌作用、肝保護作用、抗潰瘍作用、消炎鎮痛作用などが報告されている。


        木耳燒豆腐│キクラゲと豆腐炒め

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        難易度:☆ 調理時間:30分以内
        本日は久しぶりの薬膳料理『木耳燒豆腐│キクラゲと豆腐炒め』を紹介します。

        当ブログをずっと追いかけてくださっている方にはご存知かもしれませんが、古来中国では多くの食材を薬としても用いてきました。おなじみの《本草綱目》には数多くの野菜や果物、肉類が収載されており、まさに「薬食同源」といえます。

        毎日の食事に使われるような食材の一つ一つの薬効は強いものではありませんが、数年、数十年にわたって偏った食事を取り続けると、その積み重ねの効果はバカにできません。毎日バランスよく食事を取っていればあまり気にすることはないのですが、そんな現代人はほとんどいません。
        通常の食事から一歩踏み込んで各人の偏ったバランスや体調に、食事の方面からより積極的に働きかけようというのが薬膳の基本概念です。

        さて、今回の料理で使うキクラゲは中国薬膳においては「ベジタリアンの肉」という別名で呼ばれ、「畑の肉」とよばれる大豆から作った豆腐と似たような別名を持ちます。この二つを組み合わせた本料理はまさに「菜食主義者のステーキ」と呼んでもいいほどの高蛋白低カロリー、すばらしい栄養バランスを誇ります。

        《本草綱目》からキクラゲの記載を抜き出してみると

        木耳 
        (《本經》中品)
        【校正】 自桑根白皮條分出。
        【釋名】 木 (而、軟二音)。木菌(窘、卷二音)。木 (音縱)。樹雞(韓文)、木蛾。
        時珍曰︰木耳生於朽木之上,無枝葉,乃濕熱余氣所生。曰耳曰蛾,象形也。曰 ,以軟濕者佳也。曰雞曰 ,因味似也。南楚人謂雞為 。曰菌,猶 也,亦象形也。 乃貝子之名。
        或曰︰地生為菌,木生為蛾。北人曰蛾,南人曰蕈。
        【集解】 《別錄》曰︰五木耳生犍為山谷。六月多雨時采,即曝乾。
        弘景曰︰此云五木耳,而不顯言是何木。惟老桑樹生桑耳,有青、黃、赤、白者。軟濕者人采以作菹,無複藥用。
        恭曰︰桑、槐、楮、榆、柳,此為五木耳。軟者並堪啖。楮耳人常食,槐耳療痔。煮漿粥安諸木上,以草覆之,即生蕈爾。
        時珍曰︰木耳各木皆生,其良毒亦必隨木性,不可不審。然今貨者,亦多雜木,惟桑、柳、楮、榆之耳為多云。
        【氣味】 甘、平、有小毒。
        權曰︰蕈耳,古槐、桑樹上者良,柘木者次之。其餘樹上,多動風氣,發痼疾,令人肋下急,損經絡背膊,悶人。
        藏器曰︰木耳,惡蛇、蟲從下過者,有毒。楓木上生者,令人笑不止。采歸色變者有毒,夜視有光者、欲爛不生蟲者並有毒,並生搗冬瓜蔓汁解之。
        時珍曰︰按︰張仲景云︰木耳赤色及仰生者,並不可食。
        【主治】 益氣不飢、輕身強志(《本經》)。斷谷治痔(時珍)。
        【發明】 穎曰:一人患痔、諸藥不效、用木耳煮羹食之而愈、極驗。
        時珍曰:按:《生生編》云:柳蛾補胃、木耳衰精。言老柳之蛾能補胃理氣。木耳乃朽木所生、得一陰之氣、故有衰精冷腎之害也。
        【附方】 新六。
        眼流冷淚:木耳一兩(燒存性)、木賊一兩、為末。每服二錢、以清米泔煎服。(《惠濟方》)。
        血注腳瘡:桑耳、楮耳、牛屎菰各五錢、胎髮灰(男用女、女用男)三錢、研末、油和塗之、或乾塗之。(《奇效良方》)。
        崩中漏下:木耳半斤、炒見煙、為末、每服二錢一分、頭髮灰三分、共二錢四分、以應二十四氣。好酒調服、出汗。(孫氏《集效方》)
        新久泄痢:乾木耳一兩(炒)、鹿角膠二錢半(炒)、為末。每服三錢、溫酒調下、日二。(《御藥院方》)。
        血痢下血:木耳(炒研)五錢、酒服即可。亦用井花水服。或以水煮鹽、醋食之、以汁送下。(《普濟方》)。
        一切牙痛:木耳、荊芥等分、煎湯頻漱。(《普濟方》)

        となっています。

        なかなか興味深いことに、古くは痔の治療薬としても使われていたことがわかります。キクラゲのあんかけスープが非常によく効くと書かれていますので、お悩みの方は試してみてもいいかもしれません。

        また朽ちた木から生えることから陰気の塊と考えられ、腎臓を冷やして精力を減退させると考えられていたことが分かります。そのせいでしょうか「有小毒」の記載も気になりますが、《本草綱目》の同じ巻に載っている「冬瓜(トウガン)」の項には「搗汁服,解木耳毒。」との記載もあります。キクラゲの毒性が気になる方はトウガンの絞り汁と一緒に調理すればいいでしょう。まぁ、あまり気にすることはありません。

        キクラゲは100gあたり25kcalと低カロリー。さらに腎臓を冷やして精力を減退させるどころか、必須微量元素であるセレンや亜鉛も豊富に含むので、精力回復の効果も期待できます。「どうも肉を食べる気力がない」という方におすすめの料理です。


        蝦棗湯│福建風エビ団子のスープ

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        難易度:☆☆ 調理時間:30分以内
        最近流行の福建エビ料理シリーズ第三弾!今回は福建省漳州市は招安県の特産料理である『蝦棗湯│福建風エビ団子のスープ』を紹介します。

        エビと豚ひき肉、砕いたクワイを混ぜ合わせたエビ団子を中華スープで食べる料理で、本来はクログワイというクワイの栽培品種を使って作ります。水田に生える雑草にクログワイという和名を持つものがありますが、食用のクログワイとは別物です。

        名前こそクログワイですが色はほとんど真っ白なので、出来上がるエビ団子に色は付いていません。この料理はその小さなエビ団子がまるで棗の実のように見えるため『蝦棗湯』と呼ばれ、今回はレシピを簡単にするために普通のクワイを使っています。食用のクログワイは日本でも一部地域で手に入るそうなので、入手したら本格的に挑戦してみましょう。

        さて、台湾を語る上で避けることができないのが福建省の泉州と漳州です。両州は明朝末期から台湾に多くの漢人の移民をもたらしました。泉州は北宋時代に貿易省庁である市舶司が置かれて以降急激な発展を遂げ、朱子学で有名な朱熹など多くの著名な文人を輩出したことでも有名です。福建省はもともと耕作地が少ない上、海上貿易の拠点として非常に発達したため、中世に人口爆発が起き、台湾をはじめ、東南アジア、シンガポール、日本などへ近代までに多くの華僑を送り出してきました。近年日本でも問題視されたスネークヘッドの不法移民の多くも、福建省とくにアモイから出航した人々だといわれています。

        現在の福建省は大きく分けて福州市、廈門市、田市、泉州市、州市、南平市、竜岩市、寧徳市に分けられ、古くは福州、建州、泉州、漳州、汀州、南剣の六州と邵武、興化の二群に分けられました。福建省からの移民によって開拓された台北では市内の大きな道には大体福建省の地名が付けられています。台湾上級者には馴染みのある地名が多いのではないでしょうか?

        台湾を語る上では避けて通れない福建省、その福建省の名物料理を日本の食卓でも味わってみてください。これぞ福建料理!という滋味深い味わいの料理です。美味しいですよ!


        五彩蝦鬆│エビの五色レタス巻き

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        難易度:☆☆ 調理時間:30分以内
        機能に引き続き福建料理『五彩蝦鬆│エビの五色レタス巻き』のレシピを紹介します。福建では名菜中の名菜と呼ばれる非常に美しい料理で、赤、黄、緑、黒、白の五色の食材が皿の上で見事に調和します。『五彩明蝦鬆』、『生菜五彩蝦鬆』、『五彩炒蝦鬆』などの別名があります。

        湖南地方の名菜『生菜蝦鬆』の福建版とも言える料理で、海の幸山の幸が豊富な福建省ならではのアレンジがなされています。もともとは同じ料理がそれぞれの地域に合わせて分かれたもののような気がしますが、真実はどうなのでしょうか。『生菜蝦鬆』よりも野菜の食感が生きてます。

        ちなみに五色の材料を使えば、エビ以外の材料は何でもいいようです。レシピ以外ではトウモロコシ、キュウリ、油條、ヤマイモ、グリーンピースなどを使った『五彩蝦鬆』が食べられます。エビ以外の材料は控えめにどうぞ。


        中国で五色といえば五行説、それらが完備しているこの料理は非常にめでたい料理とされ、長寿のお祝いや正月料理として食べられます。日本で手に入る材料だけで再現できるので中華料理好きの方はぜひ挑戦してみましょう。



        空煎明蝦│福建風エビ炒め

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        難易度:☆☆ 調理時間:30分以内
        本日は『空煎明蝦│福建風エビ炒め』という福建料理を紹介します。台湾の『胡椒蝦』の原型ともいえる料理で、非常に香ばしい香りのする料理です。

        中華食材として欠かせないエビ、今回はエビ類の中国語と一緒に、食用になるエビの仲間たちの動物学的分類を見てみましょう。表記は「日本語(中国語)」の順で書いていきます。

        軟甲綱(軟甲綱)
        ┣ シャコ目(口足目) シャコ(蝦蛄)など
        ┣ アミ目(糠虾目) アミ(糠虾)など
        ┗ ホンエビ上目(真蝦總目)
          ┣ オキアミ目(磷蝦目) オキアミ(磷蝦)など
          ┗ 十脚目(十足目)
            ┣ クルマエビ亜目(枝鰓亞目)  クルマエビ(日本對蝦)など
            ┗ エビ亜目(抱卵亞目)
              ┣ コエビ下目(真蝦下目) テナガエビ(長臂大蝦)など
              ┣ イセエビ下目(無螯下目) イセエビ(日本龍蝦)など
              ┣ ザリガニ下目(螯蝦下目) ザリガニ(淡水龍蝦)、アメリカザリガニ(小龍蝦)など
              ┣ ヤドカリ下目(異尾下目)  ヤドカリ(寄居蟹)、タラバガニ(鱈場蟹)など
              ┗ カニ下目(短尾下目) ケガニ(大栗蟹)、チュウゴクモズクガニ(上海毛蟹)など
        (注:日本語と中国語の種小名の対応は正確でないことがあります。)

        ざっと下目まで食用になるエビの仲間の系統樹を書いてみましたが、いかがでしょうか?エビ亜目の下がわれわれが一般に持っている感覚とは少しかけ離れていますね。ザリガニはヤドカリやカニに近くて、クルマエビとはすこし離れています。われわれが一般にエビだと考えているクルマエビとイセエビよりは、ザリガニとイセエビの方が遺伝学的には近いのです。甲羅の形質を良く見ると納得しやすいかも知れません。

        ちなみに分類学の「界、門、網、目、科、属、種」などの単語は中国語でもそのまま同じものを使います。日本が近代に入って西洋から翻訳した科学用語は中国、韓国などの漢字圏にほとんどがそのまま逆輸入され定着しており、日本人が漢字圏で専門分野を学習するときの強みの一つです。英語で新しく単語を覚えなおすよりはるかに習得が容易なので、台湾旅行時に時間があれば大学近くの書店で興味のある分野の専門書を眺めてみるのもいいかもしれません。

        まぁ専門ではないので動物の分類の話はこのくらいにしておきましょう。

        エビは当ブログでおなじみ《本草綱目》 にも「蝦」や「海蝦」として記載があります。『可以鮮蝦作羹食之。』、『用連殼蝦半斤、入蔥、薑、醬煮汁。先吃蝦、後吃汁』、『同豬肉食、令人多唾。』などの記載があるので、古くから様々に調理されて食用にされていたことが分かります。文字だけ見てもおいしそうですね。

        というわけで、本日はエビ(クルマエビ亜目がベスト!)を使った福建料理です。台湾料理に繋がる歴史ある絶品エビ料理、ぜひ日本でもお楽しみください。


        味噌茄子│焼き味噌ナス

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        難易度:☆ 調理時間:30分以内
        本日は『味噌茄子│焼き味噌ナス』という和風の台湾家庭料理を紹介します。

        味噌は日本独自の発酵食品で、その原型は弥生時代以前に遡れます。歴史の授業でおなじみの大宝律令にも「醤」として記載があるなど非常に長い歴史があり、日本を代表する調味料といってもよいでしょう。ちなみに味噌は当時「未醤(みしょう)」と呼ばれていましたが、いつの間にかこれがなまって「味噌」と呼ばれるようになったといいます。

        中国でも五世紀ごろの農業書「斉民要術」に黒豆を使った「醤」の作り方が”詳細に”書かれていることから、それ以前に既に長い歴史を持っていたことが推察されます。縄文時代末期頃には東南アジア各地でそれぞれ独自の「醤」が作られていたことがわかっており、各地で独自に発達した結果、味噌、豆板醤、魚醤、ナンプラー、コチュジャンなどの現在に繋がる各国の発酵食品になるのです。どれも原材料から遊離した豊富なアミノ酸が複雑な旨味を料理に提供してくれます。

        味噌が台湾にもたらされたのは日本統治時代で、漢字もそのまま「味噌」で通じます。食料品店では特定のメーカーのものしか手に入らないので日本ほど多様な味噌を楽しめるわけではないですが、それでも味噌汁や味噌焼きなどは熱炒店などで定番メニューとして提供されます。日本のいい味噌が台湾でも普通に食べられるようになるのはもう少し待つ必要がありそうです。台湾の風土気候は味噌作りに最適なので、後はいい大豆(…前にもかきましたが台湾の大豆は全てアメリカからの輸入品です)と職人さえ揃えば、日本に負けない発酵食品が作れるはずなのですが。

        台湾でなら豊富な中薬資源を生かしてハトムギやヤマイモで発酵食品を作って特産品としてもおいしそうなんですがね…。来年夏に甘口男でも挑戦してみたいと思います。

        というわけで、本日は味噌を使ってナスを焼いたオーブン料理です。日本で再現してこそ真価を発揮する和風中華をお楽しみください。

        烤鱈魚片│中華風タラのオーブン焼き

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        難易度:☆ 調理時間:30分以内
        本日の料理はアツアツ『烤鱈魚片│中華風タラのオーブン焼き』です。オーブンと書いてありますが、普通のトースターでも作れます。

        さて、料理名の『烤鱈魚片』といえば…中国語に明るい方ならご存知かもしれませんが、この料理の他にもう一つ別の料理(?)も指します。お酒のおつまみで有名な「タラの干物(チータラの端の部分…)」も『烤鱈魚片』と呼ぶのです。まぁ、たしかにどちらもタラ(鱈魚)の切り身(片)を焼いて(烤)作るので間違ってはいないのですが…、なんだか不思議な気分になる料理です。

        調理方法は恐ろしく簡単で、混ぜ合わせた調味料にタラをつけて焼くだけ。非常に香ばしいゴマの香りが漂う絶品料理です。そのまま居酒屋のメニューにもできそうですね。

        寒い冬にはもってこいのお手軽オーブン料理でした。トースターで作る場合はPointを参照してください。

         
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