棺材板│府城トースト

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難易度: 調理時間:1時間以内
台南生まれ台南育ちの創作料理『棺材板│府城トースト』のレシピを紹介します。揚げたトーストにホワイトソースやカレーなどを詰めて食べる夜市のメニューで、数年前に台南で生まれた創作料理です。レシピはホワイトソースから作っていますが、市販のシチューの素を使って作ると簡単です。晩御飯で余ったカレーやシチューを使うと数分で作れます。

レシピでは海鮮ホワイトソースで作っていますが、あくまで一例です。好きな具で作ってください。

さて、台湾の首都機能をもつ都市(変な言い方でスイマセン、笑)を聞かれたら誰もが台北と答えるでしょうが、実は台北が台湾最大の都市になったのは近年に入ってからで、清代までは台湾の中心は現在の台南におかれていました。

台湾は明末に鄭成功が上陸し台南に「承天府」という行政府を置くまでは正式な中華王朝の支配を受けていませんでした。(オランダ東インド会社が台南に交易のため居住しておりオランダ統治時代と言われます。)いわゆる蛮族の地とされており、福建省から逃げてきた漢人や倭寇、原住民が跋扈する法外の地だったのです。鄭成功らによる漢人の大量移民が行われ、統治機構も整備され始めます。これが承天府です。しかし明朝の復活は失敗し、1684年に台湾は清朝に帰順、承天府は「臺灣府(正式な名称は"福建省臺灣道台灣府")」と名を変えます。


承天府も臺灣府も現在の台南に置かれており、城壁にぐるりと囲まれた城砦都市でした。この城を臺灣府城と呼び、現在でも一部残る当時の城壁は台南の観光名所となっています。

1875年には当時急成長を遂げ、軍の要衝ともなっていた台北に「臺北府(城)」が置かれ、臺南府は中部と南部を管轄するだけになりました。(この時の台北府も府城と呼ぶことがあります。)そして1885年に「臺灣省」が置かれた2年後、台南にあった「臺灣府」は「臺南府」と名前を変えられ、統治地域が更に縮小されます。(この時の「臺灣府」は台中あたりに置かれました。)そして10年後の1995年には下関条約で日本統治が始まり、台湾の中心は台北へと移り変わっていくのです。


台北を中心に観光しているとなかなか気付きませんが、台南は日本でいう京都のような古都です。清代以前の多数の遺跡や文物が残されている台湾(内省)人の心のふるさとともいうべき場所です。現在でも台南の雅称として「府城」という呼び名がたびたび使われます。看板やパッケージに「府城」の文字を見かけたら台南のことがすぐ思い出せるようにしておきましょう。

そんな台南生まれの創作料理です。確実に子供受けします!



台南米糕│台南丼

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台南地方の軽食『台南米糕│台南丼』のレシピを紹介します。炊いたもち米の上に肉そぼろやでんぶを乗せて食べる丼風料理で、日本語の料理名どうしようか迷いました(笑)。前々回作った「肉燥」も使います。レシピはもすごく簡単ですが、材料ごとにきちんと下処理してから作ってください。あと「五香塩」という台湾料理で活躍する塩も作ってみます。

肉燥」の作り方はこちら

年末で漢方薬の調合が立て込んでいるので記事は後日!

雞肉飯│台湾鶏肉飯

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
前回作った『魯肉飯』の『肉燥』を使って作る『雞肉飯│台湾鶏肉飯』のレシピを紹介します。最後にかけるエシャロットフレークと油が味の決め手です。鶏肉以外は前回の『魯肉飯』ほとんど同じ材料ですが、まったく別の風味を楽しめます。

肉燥』の作り方はこちら

もちろん他の『魯肉飯』の肉燥を使っても作れます。レシピはこちら
また過去にも別の『鶏肉飯』のレシピを多数紹介しています。そちらも参考にしてください。レシピはこちら

連日の選挙ネタも飽きてきたので、ちょっと趣向を変えて…。台湾の兵役について紹介してみたいとおもいます。

台湾は徴兵制があり…ました。満18歳以上の男性は2-3年程度の兵役に服す必要があり…ました。去年までは。現総統である馬英九氏が徴兵制廃止を公約にして総統に当選し、1994年以降に生まれた人は兵役が免除されることが決定したのです。(男性国民からは大分歓迎された政策でしたが、その後の失態に次ぐ失態で馬英九の支持率は世界最低レベルです。)

兵役の義務があった年代の人でも、法律の細則を利用して兵役を逃れる方法がいくつかありました。今回はこの兵役逃れの小技を紹介してみたいと思います。

一つ目は大学院進学。院生である間は兵役が免除されるので、大学院進学→博士課程進学→休学と復学を繰り返し兵役免除年齢の45歳(直近では35歳までだったかも…)まで学生生活を続けるというもの。もちろんその間は普通に就職して生活します。特に学生時代に専門資格を取得してしまえば、院生生活をしながらでも仕事ができる弁護士や医師に人気があった方法です。実際やってる人を数人知っています(笑)。修士課程だけほしい人は大学院進学を決めてから兵役につき、兵役を終えてから大学院または、修士取得後兵役というのが一般的でした。

そして二つ目は体重を増やす(減らす)こと。ある程度の身長があれば体重を110kg以上に増や(もしくは45kg以下に減らす)ことで兵役が免除されました。そのため身長が高く肥満傾向のある人は兵役検査の前に体重増加に努め、兵籍免除を勝ち取ることができました。筆者の友人で一人、この方法で兵役免除を勝ち取った人がいます。

三つ目は32歳(だったかな…)までに子供を"二人"以上作ること。育児を理由に兵役が免除されます。一つ目の方法とのあわせ技で免除を勝ち取る人が多い方法です。裏技で海外の子供を養子縁組するという方法もありました。

あとは医学部や薬学部出身者が、検査前に「服薬」して検査値異常をたたき出して兵役免除…という方法も。また国籍を変えたり、あえて精神病と診断してもったりするという離れ業も…。これらは芸能人にも多い方法でした。韓国には奥歯を抜いたり、靭帯を切ったりともっとすごいワザがありますが…(もちろん後で手術して戻します)。

台湾と中国との関係は急速に改善しており、兵役の必要性も薄れています。こういった小技が笑い話として語られる日が来るといいですね。




滷肉飯│ルーロウファン

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難易度:☆ 調理時間:2時間
台湾を代表するご飯料理の筆頭『滷肉飯│ルーロウファン』のレシピを紹介します。一度でも台湾を訪れたことがあるなら説明不要の名物料理!過去にもいろいろな同名料理のレシピを紹介してきましたが、今回は隠し味に味噌とピーナッツバターを使ったうま味たっぷりのレシピを紹介しちゃいます。

今まで紹介した『ルーロウファン』のレシピはこちら。

台湾の総統、立法委員選挙戦がにわかに熱くなってきました。日本では衆参両院の両院制を採っていますが、台湾は一院制です。

一院制と両院制のメリット、デメリットを見てみましょう。

まず一院制のメリット、最たるものは「法律の整備が早い」ということです。時事問題に対する法整備を即座に行う必要がある場合や、国民や議会の意思が統一されている場合余計な議論を省いて速やかに法律を制定することができます。逆に大衆におもねった法律が整備されやすく、有権者の一時的な考え方に左右されやすいといったデメリットがあります。また今回の台湾選挙のように全議員や国民が国政というより選挙に現を抜かしている間に突発的自体が起きた場合、対応ができない、または遅れるという欠点もあります。台湾でも日本の参院のように半分ずつ選挙にすればいいんですけど。ちなみに政権をとる政党如何でころころ政策が変るのも特徴です。

両院制のメリットはほとんどそのまま一院制のメリット、デメリットを逆にすればOKです。両院制は基本的に「人は間違う」という主張に基いています。また議論を長期に行うことで多様な意見を引き出し、その間に逆に民意を形成するという働きもあります。

ちなみに中国は全国人民代表大会という一院制で、議員は3000人近くいます。しかし人口比率で考えると世界的でも5本の指に入るほど議院が少ない国に分類されます。さすが人口12億…。台湾は前々回までの選挙では225議席でしたが、前回から大幅に総議席数が削減され定数は113名となっています。人口比では日本と同じくらいです。

「腹が減っては戦は出来ぬ」という格言もあるように、どれだけ優れた政治能力を持っていてもお腹が空いていては選挙戦を戦い抜くことは出来ません。立法委員ともなればどんな高級料理を毎日食べているのか知れませんが、たまには『滷肉飯』のような国民食を食べて大衆の生活に目を向けてほしいものです。

それではレシピです。日本で手に入る材料だけで作れるので、ぜひ挑戦してみてください。



海產粥│台湾風海鮮粥

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難易度: 調理時間:1時間以内
夜市や屋台でおなじみの『』のレシピです。お店と同じようにダシから作る本格レシピとなっています。台湾のあの味を日本でも再現してみましょう。

さて、1月16日の台湾の総統選が近づいてまいりました。立法委員(国会議員)の選挙も同日に行われるため、各地で選挙戦が始まっています。

毎度のことながら選挙前に国民党の候補がすげ替えられたり、あるかないかのゴシップが出回ったりととても賑やかです。今回も二大政党である国民党と民進党候補の一騎打ち(もう一つ親民党の候補がいますがいわゆる泡沫候補です。)に注目が集まっています。

実は国民党の党首はもともと「洪秀柱」氏で、民進党の女性党首である「蔡英文」氏との女性同士の対決が予定されていましたが、洪秀柱氏の支持率が低かったことにより、当時新北市の市長であった国民党党員の「朱立倫」氏に首をすげ替える事態となりました。朱立倫氏は今年行われた全国の市区長選で、圧倒的不利であった国民党唯一の勝利といえる新北市(台湾最大の市)の市長の座を射止めた政治家です。

いちおう…洪秀柱氏は正統なプロセスを経て党主席の座についていたのですが、このままでは総統選を戦えないと判断した党により解任され、代わりに新北市の市長の座を辞した朱立倫氏が頭首につきました。朱立倫氏は新北市の市長になったときの演説で、市民らに「必ず任期を満了する」と約束していたのですが、早速その発言を翻したことにより支持率が急落しました。

それでも…洪秀柱氏よりはマシということなのでしょう。民進党圧倒的有利のまま選挙に突入し、下馬評通りの結果になることが予想されます。まぁ中国との関係が強化されるのはどの政党が勝っても同じことなので、生暖かく見守りましょう。

また今まで圧倒的支持率を誇った国民党の支持率急低下により、今回の立法委員選挙では各地で歌手や芸能人や地元の企業家などが立候補することとなりました。

面白いのが台湾のロックバンドである「閃靈樂團」 のボーカリストのフレディ(「林昶佐」氏)が立法委員に立候補していることです。閃靈樂團は台湾語で歌う(おそらく唯一の)デスメタルバンドで、もともと台湾独立や死刑廃止など、政治色の濃い楽曲を多数発表してきました。今回本格的に国政にチャレンジすることにしたようです。昨日中正紀念堂で閃靈樂團の無料ライブ(というか選挙活動…)が行われ、筆者もインターネット中継で見ていました。日本でも歌手が立候補するのは珍しくないですが、ライブで選挙活動を行うのはちょっと面白いですね。

なんでこんなこと書いているかというと…、ふと見た映像にどうも見覚えのある顔が…。台湾大学の院生時代に面白そうなので別学部の「音楽社会学」という講義を受けたことがあるのですが、そのときの教授がなぜかライブステージで声を荒げて司会してました(笑)。音楽つながり…?さらには現台北市長である「柯文哲」氏が応援のためステージに登場。なぜか台湾語のカラオケを披露するというカオスな事態に…。最後は皆で大合唱!台湾には日本とはまったく違った選挙の戦いかたがあるようです。政治の能力とは全く関係ないところで票が動くのは日本も同じですけど(笑)。

これからしばらくは台湾各地が選挙で盛り上がります。様々な催し物も開かれますが、フィリピンの大統領選のような(?!)危険はないので、旅行者でも大きな音楽が聞こえたらちょっと覗いてみると面白いと思います。もうちょっと選挙が近くなると各地のアリーナや屋外ステージにいろんなアーティストが動員され、無料でライブを楽しめます。

それではレシピです。


香菇油飯│シイタケおこわ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾のおめでたい料理の一つ『香菇油飯│シイタケの炊き込みご飯』のレシピを紹介します。シイタケと豚肉を醤油で煮込んで、ご飯と一緒に炊いて作ります。台湾でもハレの日にもち米を食べるのは日本と共通しています。赤飯代わりにどうぞ!

台湾で油飯といえばまず名前が浮かぶのが「太子油飯」。1985年創業の会社で、油飯の専門企業として台湾では非常に有名です。創業者の父親は日本の演歌が大好きで、社長は毎朝4時5時に父親の歌う日本の演歌を目覚まし代わりに早起きしていたのだとか。


創業初期は小規模な家族経営のレストランでしたが、持ち帰りの油飯がヒットしてからは工場での生産に切り替え、今日に到ります。

台湾の油飯はプレゼントとしての側面もあります。台湾、特に台北では赤ちゃんの出産一ヶ月に油飯を送る風習があるのですが、実はこの習慣を台北に根付かせたのは「太子油飯」の企業戦略です。食の安全が叫ばれる台湾ですが、衛生面にも気を使っており、着実な成長を遂げている優良食品企業の一つです。ちょっと気にすれば街中いたるところで「太子油飯」のビル壁面の巨大広告を見つけることができるでしょう。

それでは台湾伝統の『香菇油飯│シイタケおこわ』。ぜひ再現してみてください。



紅燒肉│台湾風トンカツ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内 + 下準備
台湾小吃の定番中の定番『紅燒肉│台湾風トンカツ』のレシピを紹介します。『魯肉飯』に『豬心湯』などのスープ、そしてこれを添えれば忙しいビジネスマンの昼食の定番メニューとなります。付け合せに出される『醃黃瓜│キュウリの漬物』の作り方も簡単に添えておきます。

一口に『紅焼肉』と言っても、中国各地で様々な形態、味付け、調理法のものがあります。普通は豚肉を主材料に、醤油を使って煮たり焼いたり揚げたりして作った家庭料理を指しますが、歴史的にはどんな哺乳類の肉なら何を使って作ってもよいそうです。

ちなみに台湾で『紅燒肉』といえば一般的には今回のレシピのように揚げて作ったものを指しますが、中国の他の地域で『紅燒肉』といえば『トンポーロウ』のような煮て作った料理になります。台湾では煮て作った『紅燒肉』は『爌肉』と書いて呼び分けるので、覚えておきましょう。もちろん…どの地域の料理を出す店なのかによって名前が同じでも調理方法は異なります。複雑です。

『紅燒肉』は広大な中国のほとんど全ての地域で食べられ、地域ごとに特色があります。有名どころは上海のカラメルを混ぜて作る黒い『紅燒肉』、そして浙江省の漬物と醤油で煮込む『梅乾菜扣肉』という『紅燒肉』でしょうか。同じ浙江省では杭州の酒で煮込んだ『東坡肉』はあまりにも有名です。グルテンミートと共に煮込んで作る無錫の『豆角紅燒肉』に、毛沢東が愛したとされる湖南省のダイズと一緒に煮込んだ『毛氏紅燒肉』、江西省ではタケノコと一緒に高濃度のアルコールで煮込んだものが有名です。以上は全て煮て作ります。

台湾のお隣福建省では紅麹をこれでもかと使った揚げて作る『紅槽肉』もあります。また日本に伝わって『豚の角煮』に、沖縄では『ラフテー』となりました。

醤油はまだまだ世界中に広まっているとは言えないので、醤油が未知の地位地域に広まっていく家庭でまだまだ新しい『紅燒肉』の派生料理が生まれそうですね。フランスの『La viande de Hongshao』とかスペインの『La carne de Hongchao』とか名前だけでもおいしそうです。(どちらも"H"は読みません!)


それではレシピです。


乾燒蝦仁│エビチリ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
オーソドックスな中華料理ですが一から作るととっても豪華な『乾燒蝦仁│エビチリ』のレシピを紹介します。誰もが知る非常に有名な中華料理ですが、自分で作れるという人は多くないのではないでしょうか?ぜひ挑戦してみましょう。

今日はクリスマスイブです。こんな日に台湾史を覆す驚くべきニュースが飛び込んできました。

台湾では先史時代に「左鎮人」と呼ばれる人類が住んでいたことが知られています。1971年に台南の左鎮区で骨格の化石が見つかり名付けられました。頭蓋骨のフッ素、マンガン測定によりおよそ2-3万年前に活動していたとされ、台湾で居住していたことが知られている最古の人類として歴史の教科書にも載っています。ちなみに頭蓋骨の鑑別や年代測定を行ったのは日本人の学者らです。左鎮人について詳しくはこちらのHP(英・中)を参考ください。


発見された左鎮人の頭骨は国立台湾博物館の最重要所蔵物のひとつとされ、その重要性から国宝第一号に指定してはどうかという議論までなされました。(実際の国宝一号は「帶刻辭鹿頭骨」でアカデミアシニカの歴史言語研究院に保管されています。)

今年、この左鎮人の頭骨をアメリカとオーストラリアに送り改めて放射性炭素年代測定法などの方法であらためて鑑定したところ、2-3万年前のものではなく、3000年前の骨だということが分かりました。教科書が書き換わる…というより、台湾の歴史を書き換えなければならない極めて重大な結果です。

実は左鎮人の骨は考古学遺跡から発見されたのではなく渓流で拾われたもので、出土した地層が特定できないという論争の種を抱えていました。数多くの批判があったのですが、なんせ「台湾で最も古い人類」という曰くつきの代物、また資料がすくなくおいそれと再計測できるような量(年代測定には少なくとも数グラムの資料が必要)もありません。

今回の調査はまず8月にアメリカの研究機関に資料を送り、ベータ線計測法(炭素年代測定法の一種)によりおよそ3000前のものという結果を得ました。さらに同じ資料をオーストラリアの大学に送り再調査、そこでも同様の約3000年前という結果が出ました。その差は僅か30年ほど。この時点で博物館や大学などの担当機関は中華民国教育部と秘密会議を行ったそうです。

ちなみに台湾博物館が所蔵する左鎮人の骨はそれぞれ別個体のものとされる6件のサンプルがあり、サンプルが小さすぎて測定に供しない4件以外の2件が鑑定に出されたそうです。3000年前という結果が出たものともう一つ…。そちらの鑑定結果はなんと250年前のものということでした。研究者の落胆はいかほどのものだったでしょうか。

こうして歴史はたびたび書き換えられていきますが、こうして新しい事実が判明したことは喜ぶべきことです。そういえば日本の歴史の教科書も、我々大人が学んだものと今の子供が学んでいるものはかなり内容が異なっているのだとか…?毎年新しいものを…というわけにはいきませんが、10年単位でいろんな国の教科書を見比べてみると面白い発見があることでしょう。外国語を身につけたらぜひお試しください。

2015年12月24日、あらゆる台湾の新聞の一面に「左鎮人」の字が躍った日でした。




それではレシピです!


五柳魚│ハタの中華風あんかけ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
中国の年越し料理の一つ『五柳魚│ハタの中華風あんかけ』のレシピを紹介します。酢揚げしたハタに中華風のあんをかけるだけ。見た目はとても豪華ですが作り方は簡単です。ぜひ挑戦してみてください。

昨日は冬至でした。

台湾では冬至に『湯圓』を食べる習慣があります。冬至に『湯圓』の習慣がいつから始まったのかは不明ですが、もともとは中国南方の習慣だそうです。1697年に記された《台灣府志》に台湾では冬至に『湯圓』を食べるという記載があります。該当部分を抜き出してみると"冬至、人家作米丸祀眾神及祖先、舉家團圞而食之、謂之「添歲」;即古所謂「亞歲」也。門扉器物各粘一丸其上,謂「餉耗」。是日,長幼祀祖、賀節,略如元旦"と、先祖を祀り、お年寄りの長寿を願って米で作った団子を食べると記されています。また門や家具に団子を貼り付けておき、乾燥させたものを子供に食べさせることで健康と長生きを祈っていたそうです。さすがに現代ではここまで行わないと思いますが、冬至に『湯圓』を食べて長生を祈る風習は台湾の風物詩として残っています。

…近所の有名店では2時間ほどの行列が出来てテレビの取材が入ってました。

もともと冬至はあらゆる神様を祀る祝祭の日なのですが、この日に団子を食べるようになったのは、冬至→陰気(夜)のもっとも強い日に太陽を模した団子を食べると健康になるという考えからきています。陰陽五行説の考え方が元になっているのです。それが健康→長寿→先祖を祀ると形を変えて受け継がれてきました。

台湾ではさらに「補冬補嘴洞(冬を健康に過ごすには口に物を詰めろ)」ということわざがあり、冬至には鶏やカモなどを補薬と煮込んだ薬膳スープをつくって食べたりする習慣もあります。またこの日に何を食べるかで金持ちかどうか分かるという俗信(?)もあるのが面白いところです。

ちなみに陰気の最も盛んであるはずの冬至ですが、昨日は日中30度もありました…。思わず氷入りの冷たい『湯圓』を買って食べてしまいましたが、筆者が体を壊さないようお祈りください(笑)。
 

胗心相伴│砂肝とハツ炒め

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難易度:☆ 調理時間:一瞬
前回に続いて安徽料理から『胗心相伴│砂肝とハツ炒め』のレシピを紹介します。砂肝と鶏の心臓を調味料で炒めた料理で、下ごしらえしておけば調理は一瞬で済みます。ビールのおつまみに食べたいですね。

砂肝はニワトリ(など)の砂嚢と呼ばれる器官のことで、解体したとき中に砂粒が入っていることから名付けられています。全ての鳥類がもつ器官で、ご先祖である爬虫類と魚類の一部もこの器官を持っています。また多くの恐竜も砂肝を持っていたと考えられています。

発達した筋肉の塊のような器官で、飲み込んだ砂粒を使って食材をすりおろし、胃に送る役目を持っています。

ニワトリやアヒルの砂肝は中国では各地で幅広く利用される食材の一つで、ニワトリのものは雞肫、雞胗、雞胃などと呼ばれます。今回の料理名にある「胗」が砂肝の意味です。台湾語では
腱」とかいてキアン、広東語では「脽」とかいてゾウのように発音します。ちなみにインドネシア/マレー語では「Ampela」というのですが、これってカヤツリグサ科の植物の学名だった気が…。調べてみるとやっぱりカヤツリグサの仲間で、それで作ったむしろを日本語でもアンペラというそうです。元の植物もマレー半島原産なので関係があるのかもしれません。ただジャワ語では「Rampela」と書くそうなので、別の語源由来の単語がたまたま同じ表記になったという可能性も…。思い出すことがあれば続けて調べてみます。

それではおいしく調理してください!


肥西老母雞湯│肥西風鶏スープ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
使うのは鶏肉と水と塩のみ!安徽省は肥西の名物『肥西老母雞湯│肥西風鶏スープ』のレシピを紹介します。しかしただ煮込むだけではありません、塩を使ってどれだけ鶏肉のうま味を引き出せるかが調理のポイントとなります。

安徽省肥西縣は合肥市にある県です。中国では日本と違って市の中に県があったりするので複雑です(笑)。安徽省にある○○県の中では最大の規模を誇ります。清代末に台湾省の巡撫(今の日本ででいう知事クラスの地位ですが、軍の責任者でもあります)として活躍した「劉銘傳」の出身地です。

劉銘傳は台湾基隆がフランス軍に占領されたときに、台湾の軍を率いてフランス軍と戦い勝利した名将です。また彼は日本統治が始まる前に小規模ですが台湾に鉄道の敷設を行いました。他にも台湾で初めての電灯を整備したり、学校を作ったりと台湾近代化の礎を築きました。そういえば台北市には彼の名前を取った「銘傳大學」や「銘傳國小(小学校)」もあります。清末台湾史に名を残す人物の一人です。(彼が基隆を占領したフランス軍を破る経緯はこちらのレシピを参照。)

そんな彼の出身地に伝わる伝統料理です。冷蔵庫がない時代はどうやって作っていたのでしょうか?シンプルな料理だけに料理人の腕や素材の善し悪しが味を左右します。それほど手間はかかりませんが、何度も練習しておいしい『肥西老母雞湯│肥西風鶏スープ』が作れるようになりましょう。


霸王花煲猪骨│サボテンの花と豚肉煮込み。

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難易度:☆(食材の入手による) 調理時間:2時間
「足のあるものは椅子以外なんでも食べる」でおなじみの広東料理からちょっと珍しい食材を使った『』のレシピを紹介します。覇王花という夜に咲くサボテンの花を使った料理で、広い中国でも広東地方くらいでしか食べられない特殊な料理です。出張時などにぜひ一度食べてみましょう。

さて、この「覇王花」と呼ばれる食材ですが、もともと中国語普通話では世界最大の花「ラフレシア」の中国語名として通用しています。覇王花がサボテンの花を指すのは広東(または海南)地方だけで、中国語でも方言にあたる表記なので注意が必要です。他にも量天尺花、龍骨花(海南)、三角柱、三棱箭(北京)、三棱劍、劍花、七星劍花、霸王鞭(海南、廣東)、假曇花など多くの別名を持ちます。

食材としての覇王花は南アメリカ原産のサボテン科 Hylocereus undatus という学名の植物で、成長すると最大で2-3mほどの高さになる直立サボテンの一種です。食材として使うのは広東省くらいですが、観賞用としては世界中で栽培されています。他に近縁の H. ocamponis や H. escuintlensisの二種も食用に使うようです。

新鮮な覇王花を使う場合もあり、その場合は粘液が多いためスープの口当たりが滑らかになるのだとか。また粘液には潤腸効果があるそうです。乾燥させたものは中薬でいう清熱の効果があり、肺にたまった熱をとる効果があるそうで、インフルエンザの食事療法に使ったりもするそうです。

南アメリカ原産のサボテンの花をなぜ広東料理の食材として使うようになったのかは不明ですが、何でも食べる広東人のこと、香港にこの植物がもたらされた直後から食材として利用しはじめたのではないでしょうか?みたことのない料理、食材に出会ったら「ひとまず食べてみる」の精神は我々日本人も学ぶところが多そうです。

ちなみに覇王花を使った料理は他にも『霸王花瘦肉湯』、『霸王花蒸雞 』などがあり、香港で食べられます。いいスープが取れるので香港を訪れることがあれば購入して日本で試して見ましょう。多くの広東料理店のある台湾でも、筆者の知る限り食べられません。



北京炸雞│北京風唐揚げ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
酸っぱい味付けの北京風唐揚げ『北京炸雞│北京風唐揚げ』のレシピを紹介します。調味料に浸けた鶏肉を衣をつけずに揚げ、ごま油と酢ベースのソースを絡めて食べます。ご飯のお供にもピッタリな食欲をそそる料理です。

北京は日本語でペキンと発音しますが、中国語普通話のピンインでは「Beijing」と表記しベイジンのように発音します。"一応"公式にはこのBeijingがペキンの正式なアルファベット表記です。

ただし現在の我々が用いる普通話のピンインは1950年代に制定された比較的新しい中国語に則ったもので、西洋の多くの国では1906年に制定された郵政式ピンインと呼ばれるもので表記した「Peking」を自国語の発音で読んだものをペキンの名称としていることがあります。郵政式ピンインが制定された時代の中国の公用語は今の普通話とはかなり異っており、中国各地の方言の特色を色濃く残しています。(もちろん政治的な理由です。)

郵政式ピンインでは入声が残っており、「北」の字は「Pek」のように発音し、郵政式ピンインでは「pɛʔ」と表記しました。また「京」の字は広東語と似た発音の「King」と発音、表記することが決められていました。つまり100年ほど前の北京は「Pek king」のように発音し、「pɛʔ king」→アルファベットでは「Pĕking」などと表記していたのです。当時から中国と交流のあった西洋諸国では、このPekingの音や表記を元にしたものが現在でも北京の正式名称として通用しています。例えばフランス語では「Pékin」、ポルトガル語では「Pequim」、スペイン語では「Pekín」、イタリア語では「Pechino」、ドイツ語では「Peking」、ロシア語では「Пекин(Pekin)」がそれぞれ「北京」の正式な表記となっています。まったく同じ単語から派生したのに、微妙に表記が違うというのも面白いですね。

台湾に居るとちょっとマイナーな日本の地名を中国語音で発音するか、日本語の音そのままで発音するかで迷うことがあります。東京・大阪出身者はそのままトーキョー、オーサカで通じますが、それ以外の地方出身者は自分の出身県名と地方名くらいは中国語で発音できるようにしておくと便利ですよ。

雞肉蒸餃│鶏肉蒸し餃子

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
鶏肉で作る餃子『雞肉蒸餃│鶏肉蒸し餃子』のレシピを紹介します。『小籠包』とは形状が違いますが、基本的な作り方は同じです。

中国で生まれた餃子は国境を越え、世界各地に派生料理を生み出しました。また国境を接するロシアでは『пельмени│ペリメリ』という類似の伝統料理があり、旧ソ連などの東欧諸国にも伝わっています。中国で生まれた料理というよりは中国北部で古代から食べられている料理なのかも知れません。

ウクライナでは『Вареники│ヴァレーニキ 』、ポーランドにも『pierogi│ピエロギ』という餃子に似た料理があります。ウクライナ語もポーランド語も同じ西スラブ語群に属しますが、ウクライナ語では「茹でたもの」という単語が元になっており、ポーランド語では祝祭を意味する「pir」という単語が元になっています。

韓国語では「饅頭」を漢字音で読んだ『만두│マンドゥ』、インドネシアやマレーシアでは中国語のピンインをそのまま英語で表記した『Jiaozi│ジァォジ』または日本語の音をそのまま読んだ『Gyoza』と表記されます。

我々がよく知る『餃子』は中国の山東省で生まれましたが、小麦粉を延ばした生地に具を包んだ料理は何も『餃子』に限らず世界中で類似の料理を目にすることができます。世界をぐるりと回りながら各地の『餃子』に似た料理(英語で「Dumpling」といいます)を食べ比べてみたいものですね。

特に西洋ではクリームチーズ、バター、キノコソースやドレッシングなど様々なソースをかけて食べるそうです。面白いですね。

栗子燒香菇雞│鶏肉とクリと二種類のシイタケ煮込み

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
中国の家庭料理『栗子燒香菇雞│鶏肉とクリと二種類のシイタケ煮込み』のレシピを紹介します。鶏肉とクリを干しシイタケと生シイタケの両方で煮込んだ料理で、それぞれのシイタケ食感の違いも楽しめます。栗は甘栗を買ってきて使うのが簡単です。

クリは中国で古代から食用にされてきました。北京名物のいわゆる『甘栗(糖炒栗子)』は西太后の好物であったといわれています。木材は高級家具の原料となり、樹皮は皮革のなめしにも使います。また葉は蚕の餌にもなり、超有用な植物です。

当ブログではすっかりおなじみ《本草綱目》にも記載があるので一部を抜き出して見ます。


氣味 鹹,溫,無毒。
主治 益氣,濃腸胃,補腎氣,令人耐飢(《別錄》)。生食、治腰腳不遂(思邈)。療筋骨斷碎、腫痛瘀血、生嚼塗之、有效(蘇恭)。栗楔(音屑) 時珍曰︰一球三顆,其中扁者栗楔也。
主治 筋骨風痛(士良)。活血尤效(頌曰︰今衡山合活血丹用之)。毎日生食七枚,破冷癖。又生嚼、惡刺、出箭頭、敷瘰癧腫毒痛(大明)。


古くは生のものを噛み砕いて外傷に用いていたようで、おそらく狩猟採集時代から生活の知恵として伝わっていたのでしょう。他にも馬に咬まれたり、熊や虎(!)の爪に引っかかれたり、刀や斧で切りつけられたりしたときに生の栗を噛み砕いて傷口に塗るという方法が書かれています。渋皮や樹皮には相当のタンニンが含まれると思うので外傷に使うというのも分かりますが、食用の品種が発明される前は実もそのままでは苦くて食べられたものではなかったのでしょうね。

また栗の薄皮を蜂蜜と一緒に皺に貼るとよい、栗の果皮を煎じて飲ませると鼻血に効くなどの使い方も書かれています。面白いですね。

中華料理でも主に鶏肉とあわせた料理が多数あり、今回紹介する『栗子燒香菇雞』もその一つです。ぜひ挑戦してみましょう。


蠣餅│馬祖風カキと岩海苔のかき揚げ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
馬祖地域の名物料理『蠣餅│馬祖風カキと岩海苔のかき揚げ』のレシピを紹介します。ダイズと米を練った生地でカキ、豚肉、岩海苔を包み、油で揚げて作ります。現地ではお菓子代わりにも食べられるポピュラーな料理です。

『蠣餅』は別名を『海蠣餅』、『紫菜海蠣餅』などといい、福建省ではとても一般的なカキ料理の一つです。ミキサーや冷蔵庫のなかった時代の『蠣餅』は、家庭で作れる簡単な料理ではなかったそうで、専門店でも一家総出で早朝からを準備をしないといけない大変な料理だったそうです。

まず前日から水に浸けておいたダイズと米を、石臼で挽きます。ダイズと米は別々に作業しなければならない上、石臼一つに挽く人と材料を逐次投入する人、二人の労働者が必要です。カキシーズンの早朝寒空の下、十キロ近くのダイズと米を挽いたら、カキを剥いて餡の準備をし、開店の準備です。『蠣餅』は一度下揚げしておいたものをお客さんの注文が入ってから二度揚げして供します。開店後も休む暇がありません。今でこそ調整済みの粉も売られていますし、ミキサーも使えますが、それらがなかった時代の料理はとても大変だったことが分かりますね。

一説によるとこの料理を開発したのは清代初期、福建省のある若者であったそうで、福建名物の『蠔仔煎│福建風オーアーチェン、福建風カキオムレツ』が元になっているそうです。若者は親の代から真面目に『蠔仔煎』を売っていましたが、生活はあまりにも貧しく、妻を娶ることも出来ませんでした。毎日どうすればお金持ちになれるかを考えていたところ、ある日夢の中で白髪の老人に出会いました。老人が「おぬしの運気が上向いてきたぞ」と言うと、若者は「ではどうすればいいのか?」と問い返しましたが、老人は何も言わずにその場を立ち去ろうとしました。答えのほしい若者は老人を追いかけていくと、目の前に明るい太陽が東から昇る景色がひろがり、その瞬間若者は目を覚ましたそうです。「太陽…、太陽…、これだ!」と閃いた若者は今まで月に例えられていた『蠔仔煎』をひしゃくを使って揚げて作る方法を思いつきました。月を太陽に!この新しい料理が大成功して若者はお金持ちになり、美しい妻を娶ることができたそうです。とても中国的な故事ですね。

現在我々が食べている色々な料理を、電気や機械のなかった時代はどうやって作っていたのか?あらためて考えてみるのも面白そうです。昔の人はどんな工夫をして料理を作っていたのでしょうか?


地瓜餃│カボチャ餃子

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
馬祖の美食続けます。『地瓜餃│カボチャ餃子』のレシピを紹介します。カボチャと豚ひき肉を具として使った揚げ餃子、または水餃子で、台湾馬祖地区の美食として有名です。

色々な作り方があるのですが、今回は揚げ餃子での作り方を紹介します。

馬祖は台湾の北西、福建省に近い場所にある列島の名前で、まとめて媽祖列島と呼ばれます。合計36個の島をあわせて呼ぶ名称ですが、正式には馬祖島という島があるわけではありません。最も大きな島は南竿島といい、これが通称で馬祖島と呼ばれています。中華民国で最も北部に位置し、冬は日本の南九州ほどの寒さになります。また全台湾で唯一、中国語のほか閩東語が話されている地域で、この地域出身者の話す中国語は台湾本土でも聞き取りにくい口調になるとして有名です(笑)。

馬祖という地名は台湾や福建省で篤く信仰されている媽祖(天上聖母、天后などとも)に通じます。媽祖(宋代初期の人)は生前数々の奇跡を起こして仙女と呼ばれていましたが、両親と台湾海峡を航海中に海に投げ出され命を落としました。媽祖の両親は彼女が天に上ったと信じましたが、実は彼女の遺体は馬祖の漁民らによって引き上げられ、ここ馬祖の海岸に葬られたという伝説が残っています。一説によると遺体は馬祖天后宮の石棺の中に今も眠っていると考えられており、このことから媽祖島、転じて馬祖島(馬祖地域)と呼ばれるようになりました。

媽祖列島には宋代後半から元代にかけて多数の漁民が移り住みかなりの繁栄をみせたそうですが、明代に入ってたびたび倭寇の被害にあうようになり衰退します。清初期の鎖国政策では媽祖列島も渡航禁止地域に指定されましたが、周辺の海賊の討伐が住んでからは渡航が許可され多くの人がこの地に移り住みました。

1919年には台風の被害により6万人が家を失い、また津波被害により数年にわたって稲作が出来なくなってしまったため、多くの住民が島を離れて福建省本土に移り住みました。1949年に国民党軍が進駐し、南竿島に「馬祖守備區指揮部」を設立して守備に当たりました。2000年に「小三通」政策が始まってから対岸である福建省とのヒト、モノ、カネの交流が活発になりました。いまではビジネスによって多くの福建成金が生まれ経済活動も活発化しています。

金門と同じく馬祖も福建省に属し、本格的な福建料理が食べられます。中華人民共和国の方が近い中華民国という奇妙なムードを味わいたい方はぜひ馬祖を訪れてみましょう。



繼光餅│馬祖バーガー

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内+下準備
台湾馬祖地域から福建省にかけての名物料理『繼光餅│馬祖バーガー』のレシピを紹介します。台湾名物の『オーアーチェン 』をバンズに挟んで食べるだけの料理で、今回はバンズの作り方を紹介します。『オーアーチェン 』の作り方は過去記事を参考にしてください。台湾本土と福建省では『オーアーチェン 』の作り方に違いがあるので、それがそのまま料理の地方差となります。

オーアーチェン│カキオムレツ』の作り方はこちら(リンク先に台湾風、福建風どちらの作り方もあるので、好きなほうを作ってください。)。

『繼光餅』は馬祖地域の伝統料理で、別名を『夾光餅』、『鹹光餅』、または簡単に『光餅』などと呼び、福建料理の一つに数えられます。台湾では馬祖地域を代表する軽食とされ、当地を訪れる観光客に人気があり、馬祖漢堡(媽祖バーガー)や馬祖貝果(媽祖ベーグル)などとも呼ばれています。台湾本土では福州料理のレストランでも定番メニューとして食べることができます。

結構歴史ある料理の一つで、元々は軍の兵糧として開発されたものだそうです。最初期のものは現在のようにゴマが乗っていたわけでもパンのようにフワフワしていたものでもなく、乾パンのように固く、行軍時の携帯性と保存性を追及したものであったそうです。あまりおいしくはなさそうですね。

初期のものはあまりにも固く、時に兵士らの便秘の原因となったためいつからかゴマを振るようになり、名前も『麻餅』と呼ばれるようになりました。この『麻餅』は明末に開発されたそうですが、同じ時期に台湾海峡で倭寇との戦闘で活躍していた名将戚繼光(1528-1588年)の名前を取って『繼光餅』とも呼ばれるようになりました。日本は戦国時代、倭寇が台湾海峡辺りで暴れまくっていた時代ですね。

この福建省の軍人らの携帯食は四方八方に伝わっていく過程で様々な派生料理を生み出しました。甘い『征東餅』やご存知『胡椒餅』もその仲間です。

馬祖や福州には『繼光餅』の名店が多数ありますが、そのほとんどが焼き方や生地の配合に工夫を凝らした独特のもので、レシピは門外不出のものとされています。
ちなみに名前の由来ともなっている戚繼光は日本刀を参考に「繼光刀」と呼ばれる刀を作り、当時最新鋭の武器「鳥銃」や「フランキ砲」を活用し、攻防どちらにも長けた『鴛鴦陣』と呼ばれる陣を編み出しました。中国の軍史に陸海上問わずに戦略、戦術に長けた名将として名を残しています。

中に挟むのは『オーアーチェン』に限らず、福建省の肉料理なら何でもOKです。当ブログを「福建」などのキーワードで検索してみて、色々と試してみてください。


雙皮奶│ミルクプリン

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
広東省順徳の伝統菓子『雙皮奶│ミルクプリン』のレシピを紹介します。いわゆる『ミルクプリン』です。牛乳と卵白、砂糖だけで作るお菓子で、簡単なので子供と一緒に作るのも良いでしょう。表面に浮いた牛乳の膜が特徴で、名前の由来にもなっています。

見るからに西洋風の料理ですが、伝統ある広東料理の一つです。1850年に董という姓のお婆さんが順徳の大良で発明した料理とされます。本来は牛乳より脂肪分の高い水牛のミルクで作りますが、日本では入手が難しいので市販の全脂乳で作りましょう。

1940年代に広州で南信甜品というデザート会社がこの『雙皮奶』を売り出して大成功し、広東を代表するお菓子となりました。今では小豆餡や各種ジャム、シロップ、チョコレートをかけたものや、コーヒーやココアを加えて作ったものなど様々な『雙皮奶』が開発されています。

作るのは本当に簡単なので、基本を覚えて色々なアレンジを加えて見ましょう。



紅油桂竹筍│タケノコのラー油和え

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
おつまみにも最適な台湾の伝統小菜『』のレシピを紹介します。千切りにしたタケノコとシイタケをラー油と調味料でいためた料理で、小皿に盛り付ければご飯のお供にピッタリです。

多忙につき記事は後日!


刈包(2)│台湾バーガー(2)

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難易度:☆ 調理時間:2時間
台湾発祥のハンバーガーのような料理『刈包(2)│台湾バーガー(2)』のレシピを紹介します。小麦粉で作った半球形のパンに醤油で煮込んだ豚肉を挟んで 食べる料理で、台湾バーガーの別名を持ちます。今回は外側の生地のレシピです。前回紹介した肉をはさんで食べましょう。

台湾では農暦で毎月2と16日に神のお金を燃やして土地公(土地神様)に商売繁盛を祈る習慣があります。各地のお店の前にテーブルを広げてお菓子や食べ物を供え、簡易式の炉で何かを燃やしているのを見たことがある人も多いことでしょう。特に正月2日の「頭牙」、12月16日の「尾牙」は会社の新年会や忘年会を兼ねた行事が催されます。台湾で仕事をしている人ならよくご存知のことでしょう。12月16日の「尾牙」では土地公に一年間の庇護を感謝し、宴を催して社員らの一年の苦労をねぎらいます。普通はこの尾牙の費用は全部会社・社長もちで、巨大な会社になるとスタジアムを貸しきって有名歌手のコンサートを開催したり、社員全員で海外旅行に行ったりもします。

また普通の民家でもこの日は土地公にお参りし、お金が儲かるようお祈りする習慣があり、信心深い家庭ではその日の晩に今回紹介する『刈包』を食べる習慣があるのです。これは『刈包』が『錢包(財布)』の形と似ているためで、たくさんのお金が入ってくるようにとの願いがこめられています。


台湾人はあらゆる場面で「發財(お金が儲かること)」を祈ります。「發財」は日本語でピッタリの訳語がなく、日本人が金運上昇を祈るのとは想いが異なるようですが、明清代に極貧地域から命をかけて台湾に渡ってきた人々の苦労や願いを考えれば納得です。

そんな想いを飲み込むように『刈包』を食べましょう。金運が少しはアップすると良いですね。



刈包(1)│台湾バーガー(1)

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾発祥のハンバーガーのような料理『刈包(1)│台湾バーガー(1)』のレシピを紹介します。小麦粉で作った半球形のパンに醤油で煮込んだ豚肉を挟んで食べる料理で、台湾バーガーの別名を持ちます。今回は中身の肉のレシピをを紹介しますが、もちろん肉だけでも食べられます。

『刈包』は『割包』とも書かれ、その形状から別名を『虎咬猪(台湾語でフーカーティ)』とも呼びます。いわゆる『肉まん』系の料理ですが、皮で中の具を挟みこむように作るのが特徴です。今回作る豚ばら肉の醤油煮込みのほか、白菜の塩漬け、ラッカセイの粉、香菜などを一緒に挟んで食べます。また近年の健康志向の高まりから、豚ばら肉の代わりに赤身が使われたりもします。

台湾の伝統的な食べ物なのですが、その形状が『ハンバーガー』に似ているため西洋では「台湾バーガー(Taiwan hamburger)」などと呼ばれ、近年チキンカツ、魚のフライ、目玉焼き、そしてレタスなど、ハンバーガーと変らない具を挟んだものが登場して多様性を見せています。

今回紹介する『刈包』に挟む肉は単体でもご飯のお供にピッタリの濃い目の味付けです。冷めると油が固まってしまうので、弁当に入れる場合は一瞬湯通しして表面の油を取り除いてから入れましょう。


番茄芙蓉蛋│中華風トマトオムレツ

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難易度:☆ 調理時間:一瞬
台湾の家庭料理『』のレシピを紹介します。家庭料理ですが熱炒店などでも食べられます。トマトのみじん切りを炒めたものを半熟の卵でとじた料理で、中華圏のどこでも食べられる大衆料理です。

卵を産む動物は何も鳥類に限ったものではありません。鳥類をはじめ爬虫類、昆虫などは乾燥を防ぐための殻を持つことが多いですが、両生類や魚類、無脊椎動物などの卵は通常水中で産み落とされるため殻を持ちません。またほとんどの動物の卵は成長のために豊富な栄養を蓄えていることが多く、他の動物にとってよい食料となります。自然界では卵を食べられてしまうと、種の絶滅に直結するため、親が卵を守ったり、産卵数を多くして捕食されても成体になる可能性を高めたりと、卵にはあの手この手の生存戦略が組み込まれています。

生物学の中でも発生の研究は面白い分野で、特に卵や種子の生存戦略は特殊なものも少なくありません。生物学でも種の増減や環境適応などの分野は経済学との親和性が高く、筆者も一時期はまって勉強していたことがあります。流通や経営学の分野でも有名な「ロジスティック方程式」やそれを更にすすめた「r-K戦略説」、さらに進めた「C-S-R三角形」などは、高校数学で(たぶん)解けるので数学に自信のある方は検索してみてください。新しいところではマクロ経済学の理論を応用して昆虫の増減や突然変異を説明しようとする試みもあったりします。

我々がなんとなく口にしている食材にも、生物学的な生存戦略が組み込まれています。ときどきは自分たちが口にしている食材がなぜその形になっているのか、どういう機能をもっているのか、他の生物と何が違うのかなど考えながら口にするのも良いかも知れません。




港式煎釀豆腐│香港風豆腐と魚すり身ボール焼き

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
香港風のおしゃれな料理『港式煎釀豆腐│香港風豆腐と魚すり身ボール焼き』のレシピを紹介します。魚と豆腐のすり身を混ぜ合わせてフライパンで焼いて作り、仕上げにあんかけをかけたりすることも。


香港といえばジャッキーチェン、特に1980年代の彼の映画には多くの水上生活者の姿が映し出され有名になりました。香港近郊に住むこの水上生活者らを「蛋民(蜑民、疍民)」といい、今でこそ数は激減していますが、香港近郊の特殊生活者として非常に有名です(…でした?)。他にも福建、広東、海南省の沿岸に少数が今でも同様の海上集落を作って生活しています。中国全土を見渡しても非常に特殊な生活をしている人々であり、数を減らしている現在にわかに注目が集まっています。

「蛋民」らはもともと漢族で少数民族ではありません。彼らが海上生活を送るようになったのは、5世紀頃この地域の人々らが王朝に対して反乱を起こして失敗、鎮圧され海上に逃げ延びたのが始まりといわれます。統治者は「上陸して居住しない」、「勉強して字を覚えない」、「陸上の人と結婚しない」という三つの禁令を出し、海上生活者らはこれを遵守、この習慣が1000年以上続いた結果、「蛋民」とよばれる特殊な海上生活者が生まれたということです。1000年間陸上とほぼ隔絶され、しかも文字を持たない生活を送っていたため、彼らは広東語とはちょっと異なる「蛋民語」と呼ばれる特殊な方言を話します。英語で「香港」を「Hong kong」と綴るのはこの「蛋民語」によるヒョンコンのような発音が由来となっています。

遺跡研究によるとこの地域に越族(現在のベトナム人)らが居住して国を建てる以前から多くの水上生活者らがいたことが分かっており、三つの禁令も陸上生活者らが海上生活に変えられたというより、もともと海上生活を行っていた人らが陸上生活者らとの交流を禁じられたという見方が正しいようです。1940年代初頭には人口164万人の香港で15万人を超える蛋民がいたと推定されているそうで、近隣のマカオでも総人口の10%以上が蛋民であったという統計があります。現地において昔はほとんど生活の一部として存在していたようです。

近代に入るまで1970年代に入って陸上生活者らとの通婚が認められるまでは被差別民として虐げられていましたが、海運、漁業、交易などに長けた「幫」を結成し、裏社会と繋がることでしぶとく生き残ってきたようです。現在は生活環境の変化や意識の変化によりほとんどの「蛋民」が陸上生活に移行しており、海上だけで生活する「蛋民」はほとんどいないと考えられています。実際の蛋民の姿を見たい人はジャッキー映画の中を探してみましょう。消えていくもののあはれを感じますね。

それと…実はこの蛋民、日本にも渡来して同じように海上生活を行っていたこともわかっています。海女文化や漁法を伝えたそうで、日本でも近世は海女を蛋女(蜑女)などと表記していたこともあるそうです。また近代に入って海上交易や漁業が盛んだった地域では生活の必要性から船に住居を構える人々が少なからずおり、各地の風物詩となっていた時代もありました。海上輸送がコンテナ主体となってからは一気に数を減らしたそうですが、現在でも極少数の海上生活者が各地に存在するようです。国勢調査では海上生活者も対象となるそうですが、住所はどのように表記されるんでしょうね…。昭和15年の新聞ですがこんなニュースも→(リンク)。

往時の香港に思いを馳せながら、おいしく作りましょう。

芋頭糕│タロイモ糕

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の伝統料理『芋頭糕│タロイモ糕』のレシピを紹介します。『炸雞排』の屋台などで揚げたものが食べられたり、『滷味』の具として使われたりとなかなかに応用範囲の広い料理です。甘いものや塩気の効いたものなどいくつか種類があります。

この『芋頭糕│タロイモ糕』は元々広東料理のメニューなのですが、台湾に伝わってからかなり形と食べ方が変ってしまいました。広東料理ではサツマイモデンプンではなくもち米を使って作り、『水晶餃』や『シューマイ』と同じように蒸篭で蒸して作ったものにオイスターソースなどをかけて食べます。

ベトナムにも『Bánh khoai môn』 という類似の料理があり、中国南部一帯にかけて古くから伝わる料理であると考えられます。

ベトナムより更に南の国、特に南洋諸島の国々ではタロイモ以外のイモ類、例えばヤムイモやサツマイモを使った類似の料理があります。調理法や味付けも各国地域の特色があってどれもおいしそうです。日本でオリジナルのイモケーキを作るならせっかくなので日本産のもち米とジャガイモを使って作りたいものです。隠し味に醤油や塩胡椒を加えるとおいしいですよ!


黑豆燉雞湯│黒豆と鶏肉のスープ

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難易度:☆ 調理時間:下準備+1時間以内
台湾伝統の家庭薬膳『黑豆燉雞湯│黒豆と鶏肉のスープ』のレシピを紹介します。黒豆と鶏肉をシイタケのダシで煮込んだ料理で、低カロリーのダイエット料理としても食べられます。

黒豆はダイズの一種で種皮にアントシアニン系の色素を大量に含むため黒く見えます。アントシアニン系の色素は金属イオンと結合して発色が良くなるため、煮物にする時は鉄釘や重曹を加えて煮込むことが多いです。また日本では「マメになる」ようにとの願いをかけておせち料理にも使われます。

インドネシア語で黒豆は「Kacang hitam」といいます。インドネシア語は名刺の後ろに修飾語がくるのですが、そのまんまHitam(黒い) Kacang(マメ) という意味です。ちなみにダイズの正式名称は Kacang kedelai というのですが、こちらは Kedelai (ダイズの) Kacang(マメ)と二重の意味になっています。普通は Kedelai だけで通じます。

台湾では黒豆自体をあまり食べないのですが、黒豆乳(黑豆漿)として通常の豆乳よりも少し高めに売られています。

ちなみにアントシアニン系の色素には強いラジカル除去作用が報告されているのですが、鉄イオンと結びつけたほうがこの作用が強くなるという研究結果があります。昔ながらの知恵にはびっくりするような健康効果があったのです。


嘉興粽子│ 嘉興風ちまき

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難易度:☆ 調理時間:3時間
浙江省にある嘉興市の名物『嘉興粽子│ 嘉興風ちまき』のレシピを紹介します。醤油などの調味料をもみこんだもち米と豚肉を煮込んで作るシンプルな料理です。

『嘉興粽子』は1921年に開発された比較的新しい地方名物料理で、シンプル、食べやすくい、そしておいしいという三つの特徴を追求して開発されました。もともと同地方には明代から『五芳齋』という名物ちまきがあり、近代に入ってこの『五芳齋』を改良する過程で生まれたのがこのちまきです。

『五芳齋』とは古来よりこの地域につたわる『白水粽』、『紅棗粽』、『赤豆粽』、『豆板粽』、『鹼水粽』の五種類のちまきを五芳と呼んだことに由来し、近代に入って『五芳齋』という現地のちまきを製造、販売する会社が急成長したことで有名になりました。『五芳齋』はもともと綿花を栽培、販売する会社でしたが、1921年は春夏期の経営がよくなく、数人の従業員と共に苦肉の策で小さなちまきの販売を始めたのが始まりでした。ところがこのちまき店が本業の綿花業よりも儲かってしまい、1930年代に入ってちまきの専門店を開業、この地域のちまきがあまりに有名になったため、別の会社もこのちまき店の両隣に店を構え、激烈な競争が始まりました。三店はそれぞれ独自の工夫を凝らしたちまきを販売し、この地域のちまきが全国的に有名になりました。

1956年に共産党から公私合営という命令が出され、この三店は合併、半国営企業となり現在中国最大のちまきメーカーである「五芳齋」が誕生しました。「五芳齋」は1998年に地元の不動産メーカーから買収されて私企業に戻り、全国に多くの支店を建てて経営規模を拡大しました。その後順調に経営を拡大していましたが、2011年に南京の支店が販売した冷凍ちまきに発生していたカビ毒がある妊婦にひどい下痢を引き起こし、これにより流産してしまうという事件がありました。中国国内でも社会問題となり、経営が傾いてしまいました。幸いというかなんというか「五芳齋」の経営母体は不動産業であり、昔ながらの綿花栽培など農業分野の収入もあるため、倒産するまでには到らず、現在も経営再建に向けて努力を続けています。



碎肉豆腐│厚揚げと豚ひき肉の中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
和風食材で作る中華料理『碎肉豆腐│厚揚げと豚ひき肉の中華炒め』のレシピを紹介します。薄切りにした厚揚げを焼き、オイスターソースと醤油で味付けした豚ひき肉のそぼろをかけて食べる料理です。

中国語で「ひき肉」のことを「絞肉(Jiao rou)」または「砕肉(Sui rou)」と呼びます。稀にですが英語のミンチド(Minced)の音をとって「免治肉(Mian chi rou)」と呼ぶことも。日本語のミンチとかメンチと同じ意味です。日本語では魚のひき肉を「すり身」と呼ぶのと同じように、中国語では魚のひき肉を「漿(Jiang)」と呼び分けます。

通常100%肉だけを加工したものはほとんどなく、塩、水、タンパク質、その他の添加物を加えて売られています。また最初から目的とする料理が決まっているなら、ひき肉を作る段階で料理に合わせた調味料などを加えて作ります。そのためひき肉を使った料理は、どこで材料を買ったか、誰が作ったかなどによって、かなり肉の味が変ります。台湾でも『滷肉飯』や『肉燥』はお店によって味が違いますが、ソースだけでなくひき肉の質も味に影響しているのでしょう。面白いですね。

肉はすり身にすることによって表面積が増大するため、腐敗の速度が上がります。そのため中国では通常ひき肉には抗菌剤が加えらていることが多く実際に社会問題となっています。これには長距離輸送する必要があるので仕方がない面も。

ひき肉に加工後すぐに加熱処理したものを真空パックしたものなどは比較的安心です。とにかく細菌に汚染されやすい食材であることに留意し、どこで買ったものでも必ず完全に火を通してから食べるようにしましょう。

咖哩蕃茄麻婆豆腐│トマトカレー麻婆豆腐

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
マーボー豆腐を大胆にアレンジした『咖哩蕃茄麻婆豆腐│トマトカレー麻婆豆腐』のレシピを紹介します。市販のマーボー豆腐の基からでも作れますが、材料も簡単なので一から作ってみましょう。マーボー豆腐にカレーの辛味とトマトの酸味を加えた近代中華料理です。

この料理の元になっている『麻婆豆腐』は清代に周詢という人が書いた《芙蓉話舊錄》という書物に始めて登場します。ちょっと内容を抜き出して見ましょう。

"(成都)北門外有陳麻婆者、善治豆腐、連調和物料及烹飪工資一併加入豆腐價內、每碗售錢八文。兼售酒飯、若須加豬、牛肉、則或食客自攜以往、或代客往割、均可。其牌號人多不知、但言陳麻婆、則無不知者。其地距城四、五里、往食者均不憚遠。"

(訳)
"(成都の)北門の外に陳麻婆という人がいる。豆腐の名人で、具材や料理の腕も確かである。少しの人件費だけを足して、一碗8文という価格で売っている。酒と飯も売っており、一緒に食べるなら豚肉や牛肉を追加するとなお良い。テイクアウトや食べ残しの持ち帰りも可能である。店の名前は誰も知らないが、陳麻婆といえば知らぬものはない。4、5里離れた場所からも多くの人がこれを食べにやってくる。"

てな感じです。

実際の店名は「陳興盛飯舖」といったそうで、成都の北部郊外にあった萬福橋という橋のそばで営業をしていたそうです。この店を切り盛りしていた陳劉という女性が『麻婆豆腐』の開発者であるといわれており、陳劉の顔には多くのあばた(麻)があったため陳麻婆(あばたの陳おばさん)という愛称で親しまれていました。この人が開発した豆腐料理ということで最初期は「陳麻婆豆腐」と呼ばれていましたが、のちにただの『麻婆豆腐』と呼ばれるようになりました。

他の文献によると、最初期の『麻婆豆腐』は菜種油と牛肉を使うのが特徴であったそうで、熱した菜種油に一掴みのトウガラシ粉を入れて炒め、続いて牛肉、トウチを入れて火を通し、最後に豆腐と水を入れて煮詰めて作る料理でした。花椒の粉は食前に好みの量を振りかけて作っていたそうです。最初期の作り方で作ってもおいしそうですね。


清蒸雞肉豆腐│鶏肉と卵豆腐の中華蒸し

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難易度:☆ 調理時間:30分以内

鶏肉と卵豆腐で作るとっておきの蒸し料理『清蒸雞肉豆腐│鶏肉と卵豆腐の中華蒸し』のレシピを紹介します。調味料に浸けた鶏もも肉を卵豆腐と共にモヤシの上に乗せ、容器ごと蒸して火を通します。ふんわりふっくら柔らかい料理なのでお年寄りにも食べやすいと思います。

卵豆腐(玉子豆腐)は、豆腐と名前はついていますが大豆は全く使っておらず、ダシと玉子を混ぜ合わせて蒸し固めたものです。『茶碗蒸し』とほぼ同じ料理ですが、ダシと玉子の比率が若干異なります。日本で江戸時代に開発された和食素材の一つで、現在では中華料理や東南アジア料理にも使われます。

中国や台湾では卵豆腐を冷やしたものにタレをかけてそのまま食べるという習慣はなく、もっぱら鍋やスープの具として使われます。東南アジアでも状況は似ており『サンラータン』の具としてのほうが有名です。どこで間違ったんでしょうか(笑)?

そんな卵豆腐を中華風にアレンジした一品です。ぜひ再現してみてください。


蔥油淋雞腿│鶏もも肉のネギ油かけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内

ゴマとネギの香る『蔥油淋雞腿』のレシピを紹介します。茹でた鶏もも肉にネギを乗せ、熱したごま油をかけて完成させる香ばしい料理です。やけどに気をつけて食卓の上で仕上げるとぱちぱちと油のはじける音と香りが食欲をそそります。

ごま油は中華料理、とくに台湾料理で非常に良く使われる調味料の一つです。植物から抽出する油としては最も早期から人類に使われていたものの一つで、メソポタミア文明やインダス文明ですでに大規模に栽培されていたことが分かっています。

中国でも最も古い時代の遺跡からもごま油の痕跡が残っており、相当古くから使われていたことが分かっています。

中国語でごま油は「香油」、「芝麻油」、「麻油」などと呼び、台湾では三つとも使います。中華料理で使うごま油は香りを引き出すために原料であるゴマを一度焙煎してから搾り出した褐色のものが主流です。生のゴマをそのまま搾ったほぼ透明の「白芝麻油」も売っていますが、香りが弱いので料理にはあまり使いません。

台湾では時々カラメルなどで着色した「偽ごま油」や、大豆油や菜種油などの安い油を混ぜた低質なものが出回り、検挙されてニュースになることがあります。台北でも郊外に出れば昔ながらの製法で毎日ゴマを搾って本物のごま油を作っている工場が残っています。食の安全に敏感な台湾人はそういう場所でごま油を購入したり、使うメーカーを決めていたりします。ちなみに筆者は三峽老街にあるごま油屋のものがお気に入りです。


 
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