水煮牛肉│四川風牛肉スープ

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
四川省の伝統料理『水煮牛肉│四川風牛肉スープ 』のレシピを紹介します。レシピを見てもらえば一目瞭然ですが、とても辛い料理です。

この料理は北宋時代に塩の産地として知られた四川省自貢(古くは自流井と貢井、どちらも塩水を取る井戸の名前です)一帯で生まれた料理だといわれています。当時の中国ではあらゆる農作物の栽培効率が悪く、農耕には労働力としての牛が必須でした。その牛も早ければ数か月、長くても一年ほどで使いつぶしてしまうような過酷な労働環境だったそうです。幸いなことに自貢は塩の産地、使いつぶした牛の肉を塩水と花椒で煮込んだ『水煮牛肉』が庶民らのささやかな楽しみだったそうです。

この料理の特徴は油を使わずに牛肉をそのまま煮込むことです。中華料理で肉類をスープに入れるときは、基本的にあくを抜いてから調理しますが、この料理では直接スープに入れてしまいます。店によっては牛肉の大きさや厚さまで計算して作ることもあるのですが、家庭で作るのならそこまで気にする必要はないでしょう。

鮮烈な辛さ、濃厚な香り、そして舌を焦がす温度!日本でも再現しやすい本格四川料理にぜひ挑戦してみましょう。




中和湯│中和スープ

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:1時間以内
安徽料理から『中和湯│中和スープ』のレシピを紹介します。米粒大に切ったたっぷり豆腐と豚肉などの少量の具材をチキンスープで煮込んで作ります。以前紹介した『文思豆腐』と同じように、口の中を滑るような触感が特徴の絶品料理です。

『中和湯』はもともと『中河湯』と呼んでいた料理がなまって呼ばれるようになったものです。中河とは安徽省と江西省の境にある川で、東側に江西省にある東河、西側に池州にある西河があり、それが合流することから中河と名づけられました。栄養豊富な堆積物がある浅い川で、堆積物を餌に発生するバクテリアを捕食する大量の小エビが生息しています。この小エビと豆腐を使った料理が今回紹介する『中和湯』なのです。

伝説によると南宋時代の詩人方岳この料理の開発者とされます。方岳が家族を連れてこの地に移り住み、いつものように船の上で好物の豆腐料理を楽しんでいると、肝心の調味料を家に忘れてきたことに気付きました。すぐ下の河を見ると大量の小エビが生息しています。それを掬って豆腐と一緒に煮込んでみるとこれが大変おいしく、その後彼は豆腐スープを食べるときは必ず小エビを一緒に添えるようになったのだとか。その後多くの人の手によって改良がくわえられ、現在のような形になりました。700年以上の古い歴史を持つ料理です。

今では宴席料理として多くの人に愛されています。

この料理の発明者とされる方岳、彼の詩でもっとも有名なものは≪雪梅≫というタイトルの次の詩でしょう。

≪雪梅≫
有梅無雪不精神
有雪無詩俗了人
薄暮詩成天又雪
與梅併作十分春


梅が咲いいても雪が降らなければ趣がない
雪が降っていても詩がなければ俗っぽい
夕暮れ時に詩を思いついたときちょうど雪が降りだした
梅と合わせて素晴らしい新春の景色がそろった

日本でも古今和歌集に似たような歌があります。

梅が枝に 
きゐる鶯 
春かけて
鳴けどもいまだ 
雪はふりつつ
 (詠み人知らず)

歌の心は少し異なりますが、どちらも素晴らしい風情ですね。中国も日本も、梅に雪を見て心動かされるのは同じようです。

それではレシピです。


李鴻章雑燴│李鴻章ごった煮

0 コメント

難易度: 調理時間:1時間以内
安徽料理から誰もが知る偉人(?)の名を関した『李鴻章雑燴│李鴻章ごった煮』のレシピを紹介します。千切りにした様々な高級食材を一つの皿の中で合わせた料理で、箸をつける場所によっていろんな味が楽しめる料理です。宴席料理にもってこいの豪華さです。

李鴻章は清末の政治家です。欣佐大臣(全権大使)として日清戦争の講和条約を結んだことなどで知られています。同時期の欣佐大臣には先日紹介した『左公鶏』で知られる左宗棠やあの袁世凱がいます。

李鴻章は安徽省合肥の出身です。『李鴻章雑燴』は外国の客人らを招いて催した食事会で、多くの来賓に人気を博したという料理が元になっています。パーティーで提供した時点では料理名がありませんでしたが、この料理に感動した外国人らが主催者の名前を取って「李鴻章アソート」とと呼ぶようになり、そこから『李鴻章雑燴』と呼ばれるようになったようです。

またこんな説も。李鴻章は同行者らを連れて1896年にロシア皇帝ニコライ2世(大津事件のあの人)の戴冠式に参加するためヨーロッパを訪れていました。連日の西洋料理に飽き飽きしていた同行者らを労うためホテルの調理場を貸し切って中華料理のパーティーを開いたそうですが、久しぶりの中華料理を食べた同席者らはここぞとばかりに料理を食べまくり、用意していた材料がなくなってしまいました。「大人(ご主人様)、材料がなくなってしまいました、どうしましょう?」と料理人が李鴻章に耳打ちすると、「食べ残した料理を集めて細切れにし、もう一度加熱してまとめて皿に盛り付けろ」という指示が出ました。この料理が一緒に招かれていた少数の西洋人らにバカ受けし、料理名を尋ねられました。李鴻章はちょっと考えてから「好吃多吃!!」(ええい、知らんがな!とにかくおいしいならもっと食え!)と叫んだそうです。好吃多吃(hao chi duo chi)の発音が、英語の Hotchpotch(ごった煮)と音が似ていたことから、李鴻章雑燴とよばれるようになったのだとか。じっさいには煮込んで作るわけではないですが、おもしろい話ですね!

100年をかけて洗練された料理、ぜひお楽しみください。

写真はチンゲンサイと肉団子が使われています。
レシピでは使いません。
お好みでアレンジしてください。

清蒸石雞│カエル肉の中華蒸し

0 コメント

難易度: 調理時間:1時間以内
カエル肉を使った安徽省の伝統料理『清蒸石雞│カエル肉の中華蒸し』のレシピを紹介します。カエル肉とその他の具材をチキンスープに浸け、容器ごと蒸して作る料理です。カエル肉はちょっと…という方は鶏肉で作ってみましょう。

学校では習わないので知らない人も多いのですが、実はカエルには肋骨がありません。首の下から腹まで肋骨に守られることなく内臓が詰まっているのです。そのため解剖が簡単で、内臓機能を観察するための試料に使われることがあります。俗にいうカエルの解剖というやつです。ちなみにカエルには横隔膜もありません。おなかぷにぷにです。

「石鶏」は中国では同名の鳥がいるので紛らわしいのですが、カエルの一種です。学名を Quasipaa spinosa、中国語の標準名は棘胸蛙と言います。中国南方の山間部、渓流の岩の間などに生息して、主に夜間に活動します。古くから滋養強壮などの薬用にも用いられた有用動物で、皇帝への献上品としても長い歴史を持ちます。近年価格が高騰気味で乱獲により急激に数を減らしている動物の一つで、保護が叫ばれていますがどうなることでしょう。代用のカエル肉はたくさんあるので、数年捕獲を禁じれば数は元に戻りそうですけどね。人口養殖の研究も進んでいます。

その身は蛋白で柔らかく、 上等の山の幸とされます。日本でも加工済みのカエル肉が手に入るようになってきたので、ぜひ挑戦してみてください。



味噌烤圓鱈│タラ切り身の味噌焼き

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の日式料理店などで出される中華風和食『味噌烤圓鱈│タラ切り身の味噌焼き』のレシピを紹介します。味噌をベースにしたソースを塗ったタラの切り身をオーブンで焼いて作ります。最後にごま油を散らすと一気に中華の感じが出ます。

記事は後日!


客家豬腳│客家豚足煮込み

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:2時間
久しぶりの客家料理『客家豬腳│客家豚足煮込み』のレシピを紹介します。醤油ベースのスープで豚足をじっくり煮込んだ料理です。濃いめの味付けがおかずにぴったり、タケノコなどの野菜と一緒に煮込んでもいいですね。

近年でこそ盛んな客家研究ですが、日本統治時代初期は謎が多く、原住民とも純粋漢人ともつかないよくわからない存在とされていました。この謎に挑んだ幾人かの日本人がいたのですが、民俗学や人類学といった学問がほとんどなかった時代、客家の謎を解き明かそうと幾人かの研究者らが立ち上がりました。しかし客家語を話せる日本人がおらず、台湾語を話せる客家人もごく稀、客家の人らに日本語を覚えてもらわないことには会話すらままならなかったのです。そのため日本統治が始まった初期は漢人とは異なる言語を話し、原住民とも明らかにいでたちが異なる客家らを漢人と原住民の混血としていたことさえあったのです。

最初期に行われた研究は客家の集落に滞在していた宣教師らに話を聞くこと、そして家系図から祖籍がどこにあるかということの二点が精いっぱいでした。この族譜の調査から客家人の祖籍のほとんどが広東省の恵州と潮州に属することが分かりました。その次はもちろん、彼らの祖籍とされる地域に実際に赴いて、同じ言語・習慣を持つ民族がいるかどうか調べることです。

そして現在の広東省、広西省あたりに台湾客家と似たような言語を話す集団が見つかりました。しかし清朝での広東客家は被差別階級であり、文化的な生活を送っているものはいませんでした。教育を受けられなかったため民族に関する記録も残っておらず、歴史をそらんじる存在もいなかったようです。しかし客家部落の周辺に残っていた漢人らの彼らに対するわずかな記録と口伝などから広東省の客家らがかなりの長い期間この場所にとどまっていたことが分かりました。その期間はいくつもの王朝の歴史を超え千年以上、常識では考えられないほど古い民族であることが分かりました。

彼らについて調べていくと驚くべき事実が明らかになりました。古くは中原から南遷してきた民族であること、言語に中古代の漢字音を残していること、その祭祀文化や特殊な愛国心などについて続々と明らかになってきました。特に客家語が中古代の漢字音を残していることは、日本の言語学者らに大きな衝撃を与えました。その方面の大家とされる人々が客家語研究に夢中になり、研究が一気に進んだといわれています。このころ第二次世界大戦が勃発、残念ながら日本における客家研究はその小さな灯を消すこととなってしまいました。

戦後、これらの成果は中国、台湾の研究者らに受け継がれ客家研究は続いていきます。

この『客家豬腳│客家豚足煮込み』も何百年も変わらず作り続けられてきた客家の伝統料理です。数百年前の客家と同じ料理を食べるという経験はいかがでしょうか?


羅宋湯│中華風ボルシチ

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:半日
中国ではもっとも有名なロシア料理のひとつである『羅宋湯│中華風ボルシチ』のレシピを紹介します。数あるロシア料理の中でも、きちんとした中国語名がついているのはこの料理だけでしょう。トマトとキャベツ、そして牛肉を酸味のあるスープで煮込んだ家庭料理です。レシピでは牛筋肉を使っていますが、特に決められた具があるわけではありません。

もともとポーランドやロシアなどの東欧地域で伝統的に作られる料理で、トマトではなくテーブルビートという赤カブのような野菜を使って作ります。ロシアと国境を接する中国でも北部地域では時々食べられたりしていたそうです。

20世紀初頭に多くのロシア人が上海租界に住み着くようになると同時に、この料理も上海に伝わることとなりました。多くの上海人も物珍しさからこの料理を口にしましたが、もともとの酸味の強い味に慣れず、上海人の口に合うように改良されることとなりました。また入手の困難であったテーブルビートの代わりにトマトを使うようになったのもこのころです。「Russian」に「羅宋(上海語でルーソンのような音)」の字を当てて『羅宋湯』と呼ばれるようになりました。台湾でもローカライズされたものを多くのレストランで食べることができます。中国東北の一部地域では『蘇伯湯』とも呼ばれます。

今では中国全土に広がってすっかりローカライズされ、元が『ボルシチ』であったことすら忘れ去られた千変万化の家庭料理となっています。もともとの『ボルシチ』が野菜スープくらいの意味なので、この変化も納得と言えば納得です。

家に中国の友人を招いてロシア料理を食べさせたら、故郷の味だといって懐かしがられるという不思議な光景を目にすることができるかもしれません(笑)。煮込むのに時間はかかりますが、作るのはとっても簡単です。ぜひ再現してみてください。



手扒雞│中華風鶏の丸焼き

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:数日
オーブンを使った豪快な料理『手扒雞│中華風鶏の丸焼き』のレシピを紹介します。香辛料に一日漬けおいた鶏肉を丸ごとオーブンで焼いて作ります。鶏肉のうまみと香辛料の香ばしさが香る絶品料理です。作る手間はかからないので、記念日などにいかがでしょうか?

記事は後日!



白菜滷│中華風白菜餡かけ

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
野菜たっぷりでヘルシー、濃いめの味付けでおかずにもぴったりな『白菜滷│中華風白菜餡かけ』のレシピを紹介します。チキンスープで煮込んだ白菜を餡かけにして食べる料理です。白菜の甘みとスープの塩味の組み合わせが絶品の料理です。

白菜といえば韓国のキムチを思い浮かべる方も多いでしょう。実は韓国の白菜キムチが生まれたのはごく近年、わずか100年ほど前のことに過ぎません。しかも持ち込んだのはかの国で暗殺された伊藤博文、1909年のことです。その後10年ほどの栽培研究を経て朝鮮半島各地に広がり、その後現在の形の白菜キムチが朝鮮半島全土に普及しました。

かの国では蛇蝎のごとく嫌われている伊藤博文ですが、彼がいなければ白菜キムチは生まれていなかったのかもしれません。同じくキムチに使われるトウガラシも、豊臣秀吉による朝鮮討伐で半島に伝わったといわれています。韓国人が毛嫌い(どころではない嫌い方ですが)する日本の両人がもたらした食材を使って、国を代表する食品を作っているというのもなんとも無情な話です。

ちなみに中国東北部にも韓国のキムチに似た白菜の漬物があります。『酸菜』などと呼ばれる漬物で、以前当ブログでもレシピを紹介しているので興味がある方は作ってみてください。

それではレシピです。



左公雞│左公鶏

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
日本でよりも西洋諸国で有名な中華料理の一つ『左公雞│左公鶏』のレシピを紹介します。下味をつけて揚げた鶏肉にピリ辛のソースを絡めて食べる料理です。ご飯のお供にぴったりです。

この料理の名前にまつわる話は以前の記事を参照してください。

料理名の「左公」のもとになったともされる「譚延闓」という人物は、清代の末期から国民党時代にかけて活躍した政治家です。清代の最末期という超混乱時期に科挙に合格(会元:中央入試試験でトップ合格)して中央に上り、国民党が清朝打倒を掲げて内戦状態になった頃に湖南省のトップに就任します。こういう混乱期にどちらにつくのかというのは非常に大事です。彼は国民党側につき、幾度も進軍を撃退しただけでなく、省内の政治、生活を安定させ高い評価を得ました。

中華民国時代になってからも国民党内での地位を上昇させ、初代行政院長の地位にまで上り詰めています。

彼の経歴を調べてみましたが、科挙合格後(1904年)はその他の合格者と一緒に翰林院庶吉士という場所で共同研究を行っており、彼はここを数か月で退去して故郷である湖南省で最初の私立中学の校長先生となっています。庶吉士は通常は3年ほどで正式な役職を得るのが普通ですが、その前に故郷で時流を見定めるという選択をしたということでしょうか。

彼のように会元合格者ともなるとその後は左右都御史(今でいう警視庁総監のようなポスト)と呼ばれるような従一品(清朝では上から二番目の官職)の官職を得るのが普通だったそうで、もしかするとそれが内定していたのかもしれません。従一品が上から二番目のポストとはいえ、最上位の正一品は通常文官最高位の「特進光祿大夫(勅命を公布する役職)」と「殿閣大學士(勅命の草案を作る役職)」しか常設されていないので、現実的には中央トップの役職です。しかし彼は正式な官職を得る前に国民党に合流し、そこで力をつけていきます。というわけで彼が正式に左公と呼ばれる官職を得ることはなかったようですが、どこかで話がずれて伝わっているのかもしれません。

ちなみに清代の官職の階級はとても簡単。文官武官ともに上から正一品、従一品、正二品、従二品と正、従の交互に九品まで官職があり総計18段階。またこれらに属さない独自の官職もありました。こういう役職表は眺めているだけでその国家の政治の在り方がなんとなく浮かんできます。名称もかっこいいものが多く(笑)見ているだけで中二心を刺激されます。

今の日本の大臣は具体的にどんな仕事をしているのかよくわからず、またちょっとしたプライベートの失敗ですぐに仕事を降りてしまいます。もうちょっと目に見える成果を出してくれれば応援もしやすいのですが、民主主義も極まってくるとこういうだらだらした状態になってくるのでしょうか。

それではレシピです。



參鬚紅棗雞湯│ヒゲニンジンとナツメのチキンスープ

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:2時間
数ある薬膳料理の中でも割とポピュラーな『參鬚紅棗雞湯│ヒゲニンジンとナツメのチキンスープ』のレシピを紹介します。よく知られた朝鮮ニンジンとナツメという生薬のスープで鶏を丸ごと一匹煮込んで作ります。シンプルな料理ですが、滋味に富んだ味わいを楽しめます。ヒゲニンジンという朝鮮ニンジンの中でも安い部位を使って作るので、豪華な料理ですがとても経済的です。しかも!鶏肉の大きさにもよりますが、サイズが合えば炊飯器でも作れます。

これを発展させていくと韓国料理『삼계탕│参鶏湯、サムゲタン』などになります。薬膳料理が好きな人は作り方を覚えていろいろとアレンジしてみましょう。

数ある生薬の中でも抜群の知名度を誇るチョウセンニンジン、これは俗名で標準和名はオタネニンジンと言います。学名は Panax ginseng です。俗名の朝鮮人参はその微妙な名称から近年は高麗人参と呼ばれることもありますがまったく同じものです。

古来より非常に優れた薬効を持つ植物として知られ、中国では古くから医薬品として使われてきました。俗名からもわかるように(南北)朝鮮の特産品としても知られており、両国では専売制をしいて公的機関により製造・販売の監視が行われています。生薬単体としては関連論文が最も多いものの一つです。

中国東北地方でも大量に栽培されているのですが、やはり日本で薬用ニンジンと言えば韓国製のモノがダントツで有名でしょう。オタネニンジンは優れた薬効を持ちますが、根拠のない虚言ともいえる効能効果を信じて服用している人も数多くいます。

日中韓では依然として需要が高く、生産国では大規模に栽培されていますが、深刻な連作障害を起こす作物で、病虫害にも弱い植物なので、栽培には大量の農薬が使用されます。そのため医薬品として使われるもの数ある生薬で最も厳格な農薬検査が義務付けられていますが、毎年新しい農薬が開発されては使用されているので特定の農薬の濃度だけを検査している現在の方法ではあまり意味がないとも…。まぁ、この話は言われて久しいのですが、厳格にしすぎると韓国の一地方都市が消し飛んでしまうほどの経済損失が出てしまいます。この辺の規格は微妙な外交バランスの上で成り立っているようです。

オタネニンジンは、製造・採取・加工の過程でいくつかの等級に分類され、それぞれが別の名称と価格で出荷されます。生薬として使われるのは6年ものの直根を蒸したコウジン(紅参)と呼ばれるものがほとんどですが、そのコウジンにも太さによていくつかの等級があり、また栽培途中で間引かれた間引き人参、五年物直根や加工過程で取り除いたヒゲ根部分をまとめた鬚ニンジンなどさまざまなものがあります。未加工の生物は水参、そのまま乾燥させたものは白参と呼び、さらには黒蒸や発酵させたものも出回っています。そしてそれと同じくらいのの偽物も…。

15年ほど前の韓流ブームとともにやってきた高麗人参ブームはすでに去った感がありますが、品質と価格、そして効能のバランスが取れたものを選んで使える、消費者の目もきちんと養う必要があります。ブームになったからと言って需要が倍になっても、いきなり供給を倍にするなどができないものであるということはよくよく覚えておきましょう。



蒜香花生炒豆角│サヤエンドウのニンニクピーナツ炒め

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内

ビールなどのお酒にぴったりの料理『蒜香花生炒豆角│サヤエンドウのニンニクピーナツ炒め』のレシピを紹介します。簡単そうに見える料理ですが、それぞれの材料には下処理が別々に施しており、最後のお皿の上で完成する絶品料理です。段取りを考えながら一気に作ってみましょう。

記事は後日!




肉末茄子│豚ひき肉とナス炒め

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
『麻婆茄子』にも通じる『肉末茄子│豚ひき肉とナス炒め』のレシピを紹介します。醤油の代わりにナンプラーを使うと『魚香茄子』になります。ナンプラーを使わないと料理名が変わるんです。

記事は後日!


鍋包肉│中華風豚から揚げ

0 コメント

難易度: 調理時間:30分以内
おかずにぴったりの『鍋包肉│中華風豚から揚げ』のレシピを紹介します。衣をつけて揚げた厚切り豚ロース肉に甘酸っぱいソースを絡めて食べる料理です。中国各地でいろいろなアレンジ料理があります。

記事は後日!



香煎蘿蔔糕│焼きダイコン餅

0 コメント

難易度: 調理時間:1時間以内
近年日本でもファンを増やしているダイコン餅、今回は栗粉を練りこんだ香ばしい香りの『香煎蘿蔔糕│焼きダイコン餅 』のレシピを紹介します。ダイコン餅のような米粉を使った料理は堅果類の粉を加えることで風味ががらりと変わります。いろいろと試してみましょう。

記事は後日!


燻蛋│ゆで卵の燻製

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
家庭で作る簡単燻製料理『燻蛋│ゆで卵の燻製』のレシピを紹介します。醤油を塗った半熟ゆで卵を、茶葉と米で燻して作ります。非常に良い香りのする料理で、アレンジの幅は無限大。いろいろな材料で燻してみましょう。

記事は後日!


四喜丸子│四喜肉団子

0 コメント

難易度: 調理時間:1時間以内
中国南部の年越し料理『四喜丸子│四喜肉団子』のレシピを紹介します。野菜のみじん切りを練りこんで火を通した肉団子にチキンスープを注いで食べる料理です。表面を揚げてから蒸すことで肉汁を閉じ込めた肉団子が絶品です。慣れると30分ちょっとで作れます。

料理名にある「四喜」とは麻雀の役でいう東西南北…ではなく、作者不詳(一説によると杜甫)の詩にある人生の四つの喜びのこと。中国では有名な絶句なので覚えておきましょう

久旱逢甘雨 長く続く干ばつに降る甘い雨(→困難な時に出会う助け)
他鄉遇故知 故郷以外で出会う古い友
洞房花燭夜 結婚して最初の夜
金榜題名時 科挙に合格すること

当時お中国の暮らしがそのまま伝わってくるかのような喜びですね。作者不詳ですが、素朴を武器にした杜甫のものとされるのも頷けるエネルギッシュで俗っぽい句です。

あなたの人生で四つの喜びを揚げるとしたらどういうものになるでしょうか?この料理を食べながら仲間と語り合ってみるとよさそうです。


黑木耳菜脯煎蛋餅│広東風オムレツ

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
広東地方で朝ごはんなどに人気の軽食『黑木耳菜脯煎蛋餅│広東風オムレツ』のレシピを紹介します。台湾などでも食べられる『菜脯蛋』にキクラゲを入れた料理です。簡単に作れて腹持ちもよいので、朝ごはんにぴったりですね。


16日まで多忙につき記事は後日!



金槍魚夾心餅乾│シーチキンポテトサラダクラッカー

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
今回はちょっと手を抜いてスナック料理『金槍魚夾心餅乾│シーチキンポテトサラダクラッカー』のレシピを紹介します。シーチキンを混ぜ込んだポテトサラダをクラッカーで挟んで作ります。お手軽スナック料理とはいえ、料理の前菜としてしっかり活躍できる味とボリュームです。アレンジも簡単なので作り方を覚えておきましょう。

シーチキンのことを中国語では金槍魚といいます。(この表現は大陸部の中国語で台湾ではあまり使いません。)シーチキンの缶詰は「金槍魚罐頭」です。

台湾ではマグロのことを鮪魚と書きます。台湾語では「串仔」と書かれツンアーのように発音されます。英語のツナと似ていますね。またクロマグロは特に台湾語でToroと呼ばれ、日本との関連を感じさせられます。

台湾近海でもマグロが漁獲され、地域の漁民らの貴重な収入源となっています。1990年代には毎年数万匹が漁獲され日本にも盛んに輸出されていましたが、2000年代に入って急激に漁獲量が減り、近年は毎年わずか数百匹というレベルまで漁獲量が減っています。数だけでなく個体の平均重量も減っているようで、保護が叫ばれています。

日本人があまりにもトロをありがたがり、消費しすぎたのも無関係ではないでしょう。シーチキンに加工される種は数を増やしているそうですが、クロマグロなどの大型種は海域によってはほとんど見かけることができなくなっているとも…。

世界的に5年くらいマグロの取引を中止して量が回復するのを待つという政策が必要な時が来ているのかもしれません。

それではレシピです。



京醬肉絲│北京風豚肉の醤油焼き

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
北京料理を代表する名物『』のレシピを紹介します。当ブログでも何度も紹介している料理ですが、今回は豚肉を二回に分けて火を通すレストラン風のレシピです。テンメンジャンの甘辛さが豚肉との相性ばっちりな料理です。作るのも簡単なのでぜひ挑戦してみましょう。



味噌やテンメンジャンを作るときに必要な細菌は正式な学名を Aspergillus oryzae といいます。和名は二ホンコウジカビといい、ビフィズス菌などと並んで、世界で最も有名な、そして有用な菌の一つです。

二ホンコウジカビといえば様々な物語が浮かびますが、やはり一番有名なのは高峰譲吉にまつわるエピソードでしょうか?清酒を作るカビである二ホンコウジカビの研究者として有名だった高峰譲吉は、二ホンコウジカビに当時西洋で知られていた麦芽以上のでんぷん分解能があることを発見し、ウイスキーの製造方法に革命を起こすためにアメリカにわたりました。

大工場も完成してコウジカビを使ったウイスキーの製造を始めますが、モルトウイスキー工場に投資していた人々から反感を買い、なんと暗殺されそうになってしまいます。隠れていて暗殺こそやり過ごしましたが、工場は火をつけられて炎上、高峰の夢は半ばにして挫折してしまいます。この事件がなければ世界のウイスキーは日本のコウジカビを使って作られていたのかもしれません。

また彼はアメリカ在住中にアドレナリンを抽出することに成功しています。彼の発見したアドレナリンは止血剤とし万能に用いられ多くの命を救いました。歴史上初めてホルモンを見つけた人でもあります。
また高峰は日本を代表する製薬会社第一三共の前身、三共製薬の初代社長でもあります。

そんな二ホンコウジカビにまつわる話でした。それではレシピです。


紅燒鱸魚│スズキの中華風醤油煮

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:1時間以内
家庭料理としても人気があり、大型の魚を使ったものは年越しの宴会料理としても作られる『紅燒鱸魚│スズキの中華風醤油煮』のレシピを紹介します。スズキをそのまま使うのは大きすぎますが、スズキ科の白身魚なら何でもおいしく作れると思います。

さていきなりですが、本来この料理はスズキで作りません。料理名や紹介でさんざんスズキスズキと書いていますが、中国語の鱸魚はスズキではなく「(イエロー)パーチ」のことです。全然別種の魚なのですが、漢字が同じでまぁまぁ近縁と言えなくもないので"そういうこと"にしています。

スズキは学名を Lateolabrax japonicus といい、分類はスズキ目スズキ亜目スズキ科、中国語で正名は「日本真鱸」といいます。対して(中国語の)鱸魚は学名を Perca fluviatilis、スズキ目ペルカ科の魚で日本では「ヨーロピアンパーチ」といいます。「ヨーロピアンパーチの醤油煮」ではさすがに雰囲気が出ないので、料理名をスズキにしていますがどうかご理解ください(笑)。20cmくらいの中型のスズキ目の魚を使えば同じように作れると思います。サバやカマスで作ってもまぁまぁ食べられる料理になるでしょう。ちょっとソースを甘くしてキンメダイやイサキなんかで作ってもおいしそうですね。その辺は料理人の腕の見せ所です。いろいろにアレンジしてください。

多くの食用魚を含むスズキの仲間(スズキ目)ですが、遺伝子を利用した分子系統分類はまだまだ完全には進んでいません。新しい論文が発表されるたびに科が丸ごと移動したりとダイナミックに分類が変動します。植物では過去に採取した標本がたくさんあるので遺伝子の解析が割と簡単なのですが、なんせ魚類は地球の7割を覆う水系が生息域なうえ、そこを高速移動しており、標本を採取するのも一苦労です。魚が好きで進路に悩んでいる方がいらっしゃれば、この方面に進んでスズキマスターとなるのもいいかもしれませんね。

それではレシピです。オーソドックスな「紅焼」の技法なので様々な魚料理に応用がきくと思います。ぜひ挑戦してみましょう。




羅漢果燉雪梨│ナシの羅漢果煮

0 コメント

難易度: 調理時間:1時間以内
久しぶりに本格薬膳『羅漢果燉雪梨│ナシの羅漢果煮』のレシピを紹介します。羅漢果でナシを丸ごと煮た料理で、のどの炎症に非常に効果があります。デザート代わりに食べてもおいしいので、材料が手に入る方はぜひ作ってみましょう。

ラカンカは学名を Siraitia grosvenorii といいます。20年ほど前に科が変わり、以前は Momordica grosvenorii とも呼ばれていました。キュtウリやスイカの仲間のウリ科の植物で、モグロシドという特殊な甘味成分を持っています。

モグロシドはその構造の違いによってモグロシドII、III、IV、V、VIなどに分類され、さらに微細な構造の違いによってオキソ-、デオキシ-、A、B…などの接頭接尾語が付きます。それぞれ砂糖の300-500倍もの強力な甘みを持つのですが、生体では分解できないためなんとカロリーゼロ。これを利用して糖分制限の人向けの甘味料としても販売されています。


モグロシドは複雑な構造をしているので、いまだ商業レベルで化学合成するまでには至っておらず、ほとんどがラカンカから抽出して得られます。世界で流通する羅漢果の9割が中国江西省で産出され、地域の一大産業ともなっています。

日本では抽出物のほうが有名ですが、台湾では漢方薬局で生薬自体を手軽に手に入れることができます。台湾訪問時に一度経験してみるのはいかがでしょうか?羅漢果は一個15-30元程で買えます。



鹹檸檬鴨湯│レモンの塩漬けとアヒルのスープ

0 コメント

難易度: 調理時間:3時間以内
先日作った『鹹檸檬│レモンの塩漬け』を利用した潮州料理『』のレシピを紹介します。塩漬けレモンの酸味と塩分を使って、とんこつと鴨肉を煮込んだスープ料理です。食欲増進効果があり、産後の体力回復などに食べられる栄養豊富な料理です。材料となる『鹹檸檬│レモンの塩漬け』は自分で用意するしかありません。ぜひ再現してみましょう。

この料理で使う『鹹檸檬│レモンの塩漬け』はそれほど長期間漬けたものでなくても使えます。2週間から3か月ほど漬けたものを使って調理しましょう。

アヒルは鴨を家禽化したものです。イノシシを家畜化したブタみたいな関係です。

さて、一時期日本のセルフィー界を席巻した「アヒル口」ですが、中国語では「鴨(子)嘴」といいます。日本語からの直輸入ですが、アヒルが鴨に先祖返りしているのが面白いですね。台湾では大変に流行し、一時は台湾のほとんどすべての女性のSNSが、アヒル口の写真にきりかわったということも。(ちょっとだけマネして元の写真に戻すという人も多数いました。)

台湾では日本初のオタク文化や萌え文化がそのまま輸入されて定着していますが、近年はSNSの力か日本の流行もほぼリアルタイムで台湾に紹介されることも多いです。しかも台湾での流行は日本より早く全国に飛び火し、あっという間に廃れ、また次の流行を待つ空白期間が生じる…という熱しやすく冷めやすい特性があります。気質の違いなんでしょうねぇ。

実は台湾人の流行に敏感で、熱しやすく冷めやすいという性格は「映画のマーケティング」にぴったりで、ハリウッド発の大型映画が本国より先に台湾で公開されたりもします。中国のように検閲もないので本国そのままノーカットで上映でき、個人の年間映画鑑賞件数がほどほどに高く、映画館をビデオで撮影するような人もおらず、 流行に敏感で、アメリカの文化もそのまま受け入れ、そして適度な人口と経済力を持っているという映画マーケティングの理想郷なのです。

日本では夏公開の大型映画が、台湾では前年の冬に世界最速で見られることもあるのです。映画好きには何という僥倖でしょうか!字幕なしでも映画見られるよ(または中国語の字幕でもいいよ)!という方は、 旅行中に台湾の映画館で最新のハリウッド映画を楽しむのも悪くないと思います。なんと一本700円ほど!日本の半額以下で映画が見られます。

それではレシピです。


鹹檸檬│レモンの塩漬け

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:数か月~数年
外で食べるというよりは家庭で作って家庭で味わうあまりにもローカルな台湾料理『鹹檸檬│レモンの塩漬け』のレシピを紹介します。よく洗って殺菌したレモンを皮ごと飽和した塩水につけて作る
料理です。数か月から数年つけたものを輪切りにした後、熱湯を加えて飲料として飲みます。福建省ではこれを料理の素材としても使いますし、伝統的には喉の痛みなどの家庭薬としても使われます。

金柑や柚子、レモンなどの柑橘類は古くから世界中で薬品として用いられてきました。柑橘類がのどによいというのは含有するビタミンCやその香気成分によるものと考えられていますが、咳や痰がひどいときには単独で用いず、ほかの薬と組み合わせて使います。

中国医学でいう風寒の風邪には体を覚ます効能のある柑橘類系の生薬は単独では使いません。必ず体を温める別の薬、有名どころでは生姜や桂枝などと組み合わせて使います(例えば香蘇散) 。はちみつレモンも風邪の時に飲んだりしますが、体を温めるはちみつと合わせていますね。

今回紹介する『鹹檸檬│レモンの塩漬け』 は台湾では伝統的に咳止めとして用いられてきました。レモンを塩漬け処理することで体を冷やす作用を抑え、抗炎症作用のみを高めたと解釈することができます。数か月ではまだまだ写真のように果肉を包む皮が残っていますが、二年も漬けておくと果肉部分がペースト状になり、外皮の中は、種だけを残して茶褐色の液体になってしまいます。この段階が元も効果が高いとされますが、実際に目にするのはなかなか難しいでしょう。

ぜひ自作してレモンを塩漬けにするとどんな風に変化するのか試してみてください。もちろんレモン以外の柑橘類でも同じように作れます。ただしあまり大型の果実はやめておきましょう。


写真は漬けてから5か月目のもの。

煎鯧魚│マナガツオ焼き

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
広東潮州の名物料理から『煎鯧魚│マナガツオ焼き』のレシピを紹介します。料理名も材料もとてもシンプルで、紹興酒につけたマナガツオの切り身をフライパンで焼いて作ります。紹興酒の香りとマナガツオのうまみをシンプルに味わえる一品です。

日本語でマナガツオと呼ばれるマナガツオ科の魚は中国語では「鯧魚」 と呼ばれます。マナガツオはもともと「真似ガツオ」と呼ばれており、カツオの取れない瀬戸内海あたりでカツオの代用品として用いられていたことに由来します。あくまで代用品でしたが、その味は食用魚の中でも群を抜いて美味で、名称の「マネ」の部分がいつから「真な(=親愛を表す語)」で呼び変えて「マナガツオ」と呼ばれるようになりました。

東日本ではほとんど漁獲されず、料理もほとんどありません。しかし本場西日本、特に京都では再高級魚の一つで、庶民が気軽に変えない値段がつけられます。どのように調理してもおいしく食べられますが、特に味噌との相性がよく、味噌焼きや西京焼き、みそ汁の具材に珍重されます。刺身も美味です。中華料理ではもちろん刺身にはしませんが、この料理のように素材の良さを生かしたシンプルな料理が多いです。

日本の物ほど脂は乗っていませんが、台湾近海でも漁獲されて市場で売られています。割と手軽な値段で買えるので、料理が得意な方は和食の食材として使い、台湾人にふるまってあげると喜ばれるでしょう。


魚香茄子│魚香ナス

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
和風中華『麻婆茄子』のもととなった四川料理『魚香茄子│魚香ナス』のレシピを紹介します。豆板醤と醤油でひき肉ソースを作り、揚げた茄子を絡めて作ります。本場のレストランでも使われる本格レシピですが、日本の家庭でも再現可能です。

ナスの含まれるナス科 Solanaceae の植物は、植物界でもかなり巨大な一群です。代表種であるナスのほか、ジャガイモ、トマト、トウガラシ、タバコ、ダチュラ、ホオズキ、ペチュニアなど日本人もよく知る多くの植物が含まれます。

ナス科の植物は基本的にアルカロイドを含み多くの生理作用を持ちます。このため毒をもつものや薬用に使われるものが多くあり、人類史と密接にかかわってきた植物群です。タバコは言わずもがな、薬剤師ならだれもが知るスコポラミン、ヒヨスチアミン、アトロピンなどもナス科植物が起源です。中世ヨーロッパで薬草として使われたマンドラゴラ(マンドレイク)もナス科です。

北京には『炒茄絲』、山西には『醬包茄子』、湖南には『怪味茄子』、廣東には『魚香茄子』、四川には『茄子海參』など、中国各地には様々なナスを使った名物料理があります。日本にも各地で様々なナス料理がありますが、それぞれの地域の特色を生かした面白い料理が多いようです。知らない場所を訪れたらその土地のナス料理を味わってみましょう。

それではレシピです。



湖南麻辣藕│湖南風レンコンの激辛炒め

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:30分以内
レンコンをメインにした湖南料理『湖南麻辣藕│湖南風レンコンの激辛炒め』のレシピを紹介します。たっぷりのレンコンを辛さと酸味のきいたソースで炒めて作る料理で、さっくりしたレンコンの触感と病みつきになるソースの対比が絶妙です。

レンコンはハス Nelumbo nucifera の地下茎です。中国語では藕、蓮藕、藕節、湖藕、果藕、菜藕、水鞭蓉、荷藕、光旁、蓮菜などの多くの別名があります。植物としての原産地は不明ですが、栽培品としての原産地はインド、または中国だといわれており、仏教とともに各地に伝播しました。

日本には奈良時代に伝播して伝統的に食用とされてきましたが、この時伝わった品種は収穫量が少なく、本格的な栽培が始まって現在のように食べられるようになったのは、明治時代以後の話です。ちなみに伝統的にレンコンを食用とするのは全世界で中国南部と日本だけで、中国北部にはレンコンを使った料理というものはありません。今回の湖南料理がレンコンを使った中華料理の北限になりそうです。

中国では日本の片栗粉が今ほど使われるようになる以前は、片栗粉の代わりにレンコン粉で料理にとろみをつけていました。レンコンの粉は中国では古くから滋養強壮の薬としても使われ、清代には王宮に献上される貢物の一つにも数えられていたのです。中国医学でレンコンは霊根の別名で呼ばれ、現在でも栄養欠乏などの病人に使用されています。花は観賞用に、種、葉、地下茎は食用にとまさに捨てる部分のないレンコン。また日本ではレンコンの穴を「見通しが良い」と謎解釈(笑)し、縁起物としても珍重されています。

受験生の皆さん、「見通しの良さ」 のゲンを担いで今晩当たりこの料理はいかがでしょうか?…しかし見方を変えれば「穴だらけ」なので、落ちてしまわないようご注意を。

それではレシピです。


香辣蝦│激辛エビ四川風

0 コメント

難易度:☆ 調理時間:一瞬
昨日に引き続き四川の香辣料理を。今回は簡単に作れる『香辣蝦│激辛エビ四川風』のレシピを紹介します。昨日のカニと違いほとんど手間はかからず、なんと数分で出来上がります。エビの火の通し方がすべてです。

さてみなさん、ここ数年でエビの価格が急上昇しているのはご存知でしょうか?

実はエビはウイルス病にめっぽう弱い生き物でして、日本のクルマエビ養殖も台湾のブラックタイガー養殖もウイルスにて壊滅的被害を受けたことがあります。この手の病気は密集して養殖される海産物には特有のリスクとも言えますが、エビは特にこれが顕著なのです。

世界のエビの大半は日本とアメリカで消費されており、ほとんどのエビ養殖国はこの二国に輸出を頼っています。一昔前までは養殖エビといえばブラックタイガー(ウシエビ)でしたが、アジアのブラックタイガーの養殖池がウイルス病により壊滅的被害を受け、特に世界一を誇った台湾からの出荷量が激減してしまいました。

現在の養殖エビの主流はバナメイエビと呼ばれるやや小ぶりのエビで、日本ではいわゆる回転すしの「エビ」として知られています。口にしたことがある人も多いことでしょう。バナメイエビはその他の養殖エビに致死的なダメージを与えるほとんどのウイルス病に耐性があり、世界中、特に最大の養殖国である中国で盛んに養殖されていました。

しかし、やはり養殖は養殖、2012年にバナメイエビに特有のウイルス病が中国で発生、感染は拡大を続け2013年には中国のほとんどの養殖池が壊滅的な被害を受けてしまいました。中国も大量の抗生物質を養殖池に投与するなどして対策しますが、生産量は激減、日本への輸出も大きく数を減らすこととなってしまいました。ウイルスの怖いところは一国で被害が収まらないことです。中国初のバナメイエビのウイルス禍はその他エビを養殖する各国に飛び火し、タイ、マレーシア、ベトナムなどの養殖池でも感染が爆発します。2014年、2015年とバナメイエビ被害は拡大を続け、日本に輸入される養殖エビは大きく数を減らし、その結果値段が高騰することとなってしまいました。

エビを扱う回転すしチェーン店や外食産業チェーン店ではバイヤーらが熾烈な仕入れ競争を行っているそうですが、バナメイエビのウイルス被害は今後も収まりそうにありません。バナメイエビに代わる新たな種類のエビの養殖が成功するまでは値段の上昇は続きそうです。回転すしの100円の皿からエビが消える日も遠くないことでしょう…。

われわれ日本人がよく食べる食材だけに、無関係ではいられません。飽食の時代と言われて久しいですが、それぞれの食材が手ごろな値段で手に入るその裏側には、多くのドラマがあることをお忘れなく。

それではレシピです。



四川香辣蟹│激辛カニ炒め四川風

0 コメント

難易度: 調理時間:1時間以内
たまには高難易度の四川料理に挑戦してみましょう。『四川香辣蟹│激辛カニ炒め四川風』のレシピを紹介します。トウガラシやニンニクをふんだんに使ったソースで、カニ、ジャガイモ、ヤマイモ、タケノコを炒めて作ります。辛さは調節できますが、ぜひ一度レシピ通りに作って本場の味を体験してみましょう。

カニといえば横歩き…が有名ですが、実は前に歩く種や後ろに歩く種も存在します。また前後左右に自由自在に動き回れる種も結構な数がおり、すべてのカニが横歩きしかできないわけではなさそうです。また歩くより泳ぐのが得意な種もいます。

実は横歩きしかできないカニも、回転して目を回させると前に歩ける種がいます。今日日なにかと動物虐待が叫ばれるのであまりお勧めはできませんが、海辺でカニを見かけたらぐるぐると振り回してみましょう。種にもよりますが、しばらく前に歩いてくれます。

日本では伝統的に文章を縦書きで書いていましたが、室町時代前後に初めて西洋の文字に接した人々は、横書きの文字に衝撃を受けたようで、これを「カニ文字」と呼びました。なるほど横に進む文字を適切に表している感じですね。今でも英語を話せない古い世代の日本人は西洋語を指して「あんなカニみたいな文字!」となじることがあります。昭和初期くらいまでは使われていた表現なのかもしれませんね。

カニは世界中の海水、淡水域に様々な種が生息しており、各地の歴史、文化とも密接に関係した様々な料理があります。今回は四川風のカニ料理です。手順が多いですがその手間を裏切らない絶品料理です。ぜひ挑戦してみましょう。



鹹燒白│四川風チャーシュー

0 コメント

難易度: 調理時間:2時間
四川省の伝統料理『鹹燒白│四川風チャーシュー』のレシピを紹介します。豚バラ肉の塊を揚げて火を通し、紹興酒や醤油などをベースにしたスープで煮込んで作ります。濃厚なソースの味と豚肉のうまみが味わえる絶品料理です。

四川省といえば伝統芸能「川劇」が有名です。秦代以前から存在する伝統芸能で、川劇のことは知らなくても、役者が一瞬で隈取を変える「變臉(Bian lian)」と呼ばれる技術は見たことがある人も多いのではないでしょうか?十種類ほどの顔色が一瞬にして変わっていくさまは見るものを驚かせてくれます。

あれだけ物まね、パクリが横行する中国にあって、この「變臉」の技術は「国家第一級秘密」に指定されており、門外不出となっています。海外への持ち出しはおろか、技術の秘密を洩らすこと事体が罰せられます。相当厳重に守られている技術ですが、映像などの解析から特殊な布と繊維を使った技術であることが推測されています。

川劇は四川省の伝統芸能ではあるのですが、四川省では明末に大虐殺があり数百万人いた人口は数万人に数を減らし、その後周辺各省から多くの移民が集まって人口を回復しました。この時に川劇をはじめとする伝統芸能は一度刷新されたと考えられており、周辺各省の芸能の影響も強く受けることとなりました。

中華民国時代は重慶に政治の中心があったため、短期間ではありますが政府の保護も受けて爆発的な人気を博しました。このまま現在につながる…と思いきや文革時期に多くの著名な演劇人らが一掃されてしまったため、現在の川劇は少ない文献や口述をもとに当時の物を再現しただけというものが少なからずあるようです。今のように映像も写真も残せなかった時代、培った技術が失われてしまうその時、どれだけの苦しみがあったことでしょうか。そしてそれを取り戻していく過程にも。

中国5000年とは言いますが、本当に長い命脈を保っているものは数少なく、それだけに本物には価値があります。中国の伝統芸能を見るときは襟を正してみるのがよさそうです。

それではレシピです。



猪血湯│豚血スープ

0 コメント

難易度: (材料入手による) 調理時間:30分以内
初めて見る人は必ず驚く「猪血(豚の血に加水加塩して固めたもの)」を具に作る『猪血湯│豚血スープ』のレシピを紹介します。基本はとんこつで取ったスープで作りますので、まさに豚尽くし!の料理です。夜市の定番料理でもあります。

「猪血」は新鮮な豚の血に三倍量の水と少量の塩を加えて軽く加温して固めた食材です。市販品は少量のゼラチンを加えて固めていますが、新鮮な血を使っていれば塩を加えるだけで固まります。もともとは四川省の地方料理(食材)でしたが、今では中国全土、台湾やシンガポールなどでも普通に食べられます。具の発祥が四川省なので、これを使った料理はすべて四川料理に数えられます。

「猪血」はいわゆる血小板の凝血作用を利用して固まっています。コラーゲンと架橋したvWFという物質が血小板と結合し、血小板が活性化されてさらに架橋を促し、その網構造に赤血球などが引っかかって…という原理で血は固まっていきます。猪血はこれらのたんぱく質の立体構造に水が取り込まれたものです。水はたんぱく質と結合しているわけではないので、いつ触っても表面はしっとり、力を加えると架橋が破壊される方向に割れます。その触感はプルプル、クニクニ。見た目はグロいですが、高たんぱく低カロリーの健康食材で、台湾では鍋の具として人気があります。貧血にもよさそうですね。

派生品として台湾には「鴨血」もあり、こちらは鴨の血で作ったものです。原理上動物の血なら何でも作れると思いますが、なぜか牛や鶏の物は見たことがありません。固まり方に違いがあるのでしょう。

日本ではなかなか猪血は売っておらず、自作にも"新鮮な豚の血"が必要なので、再現は難しいかもしれません。台湾訪問時に是非お楽しみください。

ちなみにこの猪血、中国医学では肺の気を調え、気持ちを落ち着けるという効能があります。のどが渇く、ヒステリックだなどの症状に悩まされている方には効果があるかもしれません。



 
日本で作れる台湾料理 © 2012 | Designed by Rumah Dijual , in collaboration with Web Hosting , Blogger Templates and WP Themes
FB FACEBOOK TW TWITTER