酸菜白肉鍋│白菜の漬物と豚ばら肉の鍋
本日はリクエストいただいた『酸菜白肉鍋』という料理の作り方です。酸菜とはもともと中国東北地方発祥の白菜の漬物のことで、野菜が実らない厳しい冬を切り抜けるために発明された半発酵食品です。
酸菜とは白菜と塩だけ(時にリンゴや梨などの果物)を使ってシンプルな手法で作る漬物ですが、日本と違い中国人はこの酸菜を直接食べることはあまりありません。主に鍋の具など他の料理の材料として使うことが多く、台湾では豚ばら肉その他の食材と煮込んだ『酸菜白肉鍋』が非常に有名です。
もともと中国東北地方の料理である『酸菜白肉鍋』を台湾に広めたのは台中のとあるレストランです。東北料理を専門に作る「老舅」というお店で、瀋陽出身のご主人が50年以上前に店を出したのが始まりで、その後祖籍が吉林省の台中市長がしばしば通ったり、ナウル共和国(参考:wikipedia)の大統領が台湾滞在中に三日連続で訪ねたりと、お店は国賓級のお偉いさんを接待する場所になるまでに成長します。
これらの噂を聞いた台湾人も通い始め、お店の代名詞である『酸菜白肉鍋』は台湾全土で非常に流行しました。ちなみに東北地方の酸菜とはまた違う、カラシナを浸けた客家料理の『酸菜白肉鍋』もあり、台北各地の客家料理店で食べられます。こちらの方が台北では一般的かもしれません。
ところで台湾の東北酸菜白肉鍋の老舗であり元祖である台中の「老舅」では、材料の白菜、白菜を浸ける一連の工程からして他の店と異なるそうで、たしかつけておく期間は通常の倍ほどの1ヶ月だったと思います。「老舅」の酸菜の作り方は公開されているので、興味がある方は探してみてください。
日本で普通に手に入る(作れる)普通の白菜の漬物を使ってもおいしい鍋ができます。冷蔵庫に入っている白菜の漬物が、酸っぱくなってきなとおもったら試してみましょう。
難易度:
☆☆
調理時間:
2時間
材料:
白菜の漬物 ……… 300g
豚ばら肉(塊) ……… 500g
豚骨付きカルビ ……… 2本
(肉はついてなくてもよい)
ネギ ……… 4本
生姜 ……… 10g
花椒 ……… 1g
八角 ……… 3個
桂皮 ……… 2g
月桂葉 ……… 3枚
調味料:
塩 ……… 5g
ラー油 ……… 少々
作り方:
1.白菜の漬物は水に浸け、手で揉みながら葉を開く。まな板に一枚ずつ広げながら重ね、手で押さえて水気を切る。包丁で千切りにする。
2.ねぎはぶつ切りにする。生姜はスライスにする。
3.鍋に水を入れ、豚ばら肉(塊)と豚骨付きかルビを入れて沸騰させる。浮いてきたアクを取ったらネギ、生姜、花椒、八角、桂皮、月桂葉を入れて弱火で40分煮込む。
4.豚肉に火が通ったら、取り出して冷ましておく(鍋の水は捨てない)。肉が冷えたら3-5mmの厚さに切り分ける。
5.熱した鍋に大さじ5のサラダ油(分量外)を入れ、白菜の漬物を3分ほど炒める。白菜に油が染みたら、上に豚肉のスライスを並べて乗せ、豚肉を茹でた汁を白菜の漬物と豚肉が浸かるまで加える。加熱してスープを沸騰させ3分ほど煮込んだら、蓋をしてさらに中火で15分ほど煮込む。最後に蓋を開け塩で味を調え、ラー油を少量垂らして完成。
Point:
白菜の漬物はよく洗って水気を切らないとスープに塩気が効きすぎたり、酸っぱくなりすぎたりします。白菜の漬物自体の味は油で炒めることで中に閉じ込めています。豚肉と絡めて食べましょう。
花椒、八角、桂皮はなくても作れます。生姜とネギは豚肉の臭みを取るために加えましょう。
このレシピではあらかじめ調理した白肉を使っていますが、食べていて肉が足りなくなったら生の豚肉の薄切りを加えてください。スープに十分だしが出ていると思うので、後から肉を加えてもおいしく食べられます。
他に材料を加えてももちろんOK。豆腐やネギはスープとの相性もよくおすすめです。
豚骨付きカルビの代わりに、豚大腿骨を使ってスープを取ることもあります。豚骨が手に入らない場合は、鰹節や昆布など和風の材料でだしをとってもいいでしょう。きれいにあくを取るのを忘れずに。
茹でた豚肉に菜箸などを通して、突き抜ければ中まで火が通っています。また茹でた豚肉はこの料理に使う以外にも『蒜泥白肉』にも調理できます。
有名店では鍋で使う専用の酸菜から作るので、そのまま食べる日本の白菜漬けとは製法も味もすこし違うのですが、日本の白菜の漬物でも十分おいしい鍋ができます。
記事で紹介した台中の東北酸菜白肉鍋の老舗「老舅」の情報は以下の通り
店名:老舅的家鄉味
住所:台中市自由路二段78號
電話:04-2223-3878
営業時間:午前11:30-午後2:00
午後5:00-午後10:00
1 コメント :
これは、おいしそうですね。台湾でも、この白菜鍋があるとは、知りませんでした。
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