薬膳シリーズ:銀耳燉雪蛤│白キクラゲと雪蛤のスープ
本日はブログの趣旨からはすこし外れてしまいますが、こんな料理もあるんだよという珍しい料理を紹介したいと思います。その名も『銀耳燉雪蛤│白キクラゲと雪蛤のスープ』です。
まず「雪蛤(英語でHasma)│ハスモ」とは何ぞや?を簡単に説明したいと思います。日本ではほとんど名前は知られていませんが、中国では燕の巣と並ぶ美容効果の高い高級薬膳材料として非常に有名で、台湾でも漢方茶の店などで提供されることがあります。漫画「美味しんぼ」でも出てきたことがある高級中華材料です。
英語表記はHasmaですが、時々見られる「ハスモ」という表記は、別名の『蛤士膜』から来ていると思います。ハスマではなくハスモが正しい表記です。ちなみに「雪蛤」は日本語で「せつごう」とよみます。
さて「雪蛤」には蛤の字が入っていますが貝の仲間ではなく、その正体はなんと蛙(の卵管)。中国北部、極寒の吉林、黒竜江省に生息する中国林蛙(Rana chensinensis)という蛙は、春先の出産に備えて冬眠前に大量の栄養分を蓄える習性があり、「雪蛤」はその卵管を取り出して周囲の脂肪を乾燥させたものです。冬眠と出産に備えた卵管周辺というだけあって、大量の女性ホルモンと脂肪分、各種ビタミン、アミノ酸、コラーゲンなどを豊富に蓄えており、豊富な中華薬膳素材の中で最強の”美白効果”を持つとされます。女性読者の方、瞳孔が開きましたか(笑)?
中華薬膳理論では、美容に関して「体が健康であれば自然と美しく白い肌になる」という原理があります。タバコを吸わず、夜更かしせず、日焼けしすぎず、適切な栄養分を摂っていれば、自然に肌は美しくなるという非常に理にかなった理論です。雪蛤はこの「体の内側を養って美しい肌を取り戻す」ための最適な栄養成分の塊なのです。
ちょっと小難しい話をしますと、漢方(中医)の世界で雪蛤は「養肺補腎、增補元氣」の効能を持つとされます。もちろん肺に関連する咳や痰にも高い効果がありますが、五行説では肺の気は皮膚を潤すとされ、雪蛤は同様の効果を持つ銀耳(白キクラゲ)と組み合わせることにより比類なき美肌効果を発揮します。中華圏の美に憧れる女性たちはこのスープを飲むのを夢にまで見るそうです。(とはいえ、割と普通の料理屋で食べられたりもするのですが…、偽物に注意です。)
というわけで本日はそんな「美肌」の薬膳料理の紹介です。日本では…、まず作ることはないでしょうが、台湾ではその気になれば本物を食べることができます。確かシェラトンとかの高級ホテルのレストランで提供していた記憶が…。漢方材料で有名な台北の迪化街でも時々売っています。
難易度:
☆☆☆
調理時間:
2時間
材料:
雪蛤 ……… 20g
白キクラゲ ……… 100g
蓮子 ……… 80g
大棗 ……… 80g
水 ……… 1700cc
調味料:
氷砂糖 ……… 200g
作り方:
1.雪蛤は雑物を除き、よく洗った後きれいな水に30分ほどつけておく。白キクラゲは雑物を除き、よく洗った後きれいな水に30分ほどつけ、柔らかくなったら食べやすい大きさに切る。蓮子、大棗はよく洗う。
2.鍋に水を沸騰させ、すべての材料、調味料を加え極弱火で1時間煮込む。冷蔵庫で冷やして完成。
Point:
雪蛤は水につけると10倍ほどに膨らみます。ゼリー状で淡い甘みがあり、体の熱を取り去る働きがあります。夏ばてにもうってつけ。
牛乳を加えたり、ココナッツミルクで作ると更に美しくなります。
作り方2は水を1600ccに減らして沸騰させ、器ごと蒸し器に入れて過熱する方法でも作られます。
日本でも某有名中華料理屋で高級デザートとして提供されます。
この料理に更に「燕窩(燕の巣)」を加えた『銀耳燉雪蛤燕窩』は超超高級料理です。中国、台湾でもめったに食べられる代物ではありませんが、もし食べることがあれば一生の思い出になると思います。価格は数千円程度だと思いますが、メニューで見かけたら食べてみてください。燕の巣は台湾のデパートでも売っているので、この料理を作って燕の巣を加えれば簡単に作れますが…、高いです。
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