左公雞│鶏肉のピリ辛ソース炒め

左公雞│鶏肉のピリ辛ソース炒め

本日は「とある理由」から、非常に著名な料理となってしまった『左公雞』 を紹介します。日本よりもむしろアメリカでファーストフードとして有名な料理です。材料を見ると一見酢豚の鶏肉版のようですが、こちらは辛味の効いた味付けです。大陸は湖南地方の料理とされていますが、その由来は…。

日本のGoogleなどで「左公鶏」を検索すると、上記の「とある理由」がずらりと並ぶので、興味がある方は検索してみてください。アメリカも時々変なことしますね。

さて、この『左公雞』ですが、別名を『左公堂雞』、『左宗棠雞』ともいい、すこし変わった名前の料理です。由来を調べてみますと、いくつもの説がありどれが正しいのか定かではありません。

清朝末期の有名な政治家で美食家だった譚延闓という男が『東安仔雞(現存します)』という料理の基礎を発明して死亡しました。彼の死後、彼の雇用していた料理人たちはそれぞれ故郷に戻り飲食店を開きました。宣伝のため元の雇用主の地位である「左公」を彼の発明した料理の名に冠して客に提供したところ非常に好評だったので定着したという説。

また、左宗棠(実在の人物です)という人が、戦に勝って帰るとその妻は勝利を祝うため毎回、甘く、酸っぱく、辛い鶏肉の料理を作って待っていました。左宗棠がそれを部下に食べさせたところ、非常に美味でその味が伝わったとする説。

発明したのは台北で湖南料理の老舗として有名な「彭園(実在します)」の開設者である彭長貴という料理人で、彼は湖南料理の名門である譚家の技術を学んでいました。1970年代の台北で、時の行政院長蔣經國(蒋介石の息子で後の大統領)がある日の深夜彼のレストランに訪れました。レストランは当日の食材はすべて使い切ってしまっており、残っていたのは数本の鶏のもも肉のみという状態。彭長貴は頭をひねり鶏もも肉を炒めてから、ソースと絡ませることで誰も見たこと無い新しい料理を編み出し提供しました。蔣經國はその味にいたく感動し料理名を尋ねたところ、彭長貴は機転を利かせ「清の名将である左宗棠が愛した料理で、彼の名を冠して『左宗棠雞』といいます。」と答えました。蔣經國は翌日党の朝礼で部下たちに向けこの料理を紹介し、一夜にして有名になったという説。参考:朱振藩、『左宗棠雞比人驕』、歷史月刊、2009-05。

上の二つはどちらも微妙に最後の話と関連性があり、文献もあるのでこれが本当かもしれませんが、実在のレストランの宣伝のような気もするので少々眉唾です。まぁこういううんちくを抜きにしても非常に手軽でおいしい料理なので、ぜひ作ってみてください。



難易度:


調理時間:
30分以内

材料:
鶏もも肉 ……… 150g
干唐辛子 ……… 2本
ネギ ……… 1本
ニンニク ……… 2個

調味料1:
醤油 ……… 小さじ1/2
水 ……… 20cc
片栗粉 ……… 小さじ1
酒 ……… 大さじ1

調味料2:
醤油 ……… 小さじ1/2
ケチャプ ……… 大さじ1
酢 ……… 小さじ1/2
豆板醤 ……… 小さじ1
砂糖 ……… 大さじ1


作り方:
1.鶏もも肉は骨を取り3cmほどの幅に切る。調味料1を混ぜたものに10分ほどつけておく。

2.ネギはみじん切りにする。干唐辛子は3cmほどの長さに切る。ニンニクはすりおろすか、みじん切りにする。

3.160度に熱した油(分量外)でつけておいた鶏肉を炒める。表面がきつね色になったら取り出して油を切っておく。

4.炒めた油を少量残し、ニンニクを炒める。唐辛子、ネギを加えて火を通し、香りが出たら、混ぜ合わせた調味料2を加え沸騰させる。作り方3で炒めた鶏肉を加えソースと絡めながら、3分ほど炒めて完成。


Point:

調理時間のうち半分は肉をつけている時間なので、実際の調理は数分で終わります。調味料の分量を覚えておけば、いつでも手軽に作れるのでぜひレパートリーに加えておきましょう。

鶏もも肉の骨は面倒くさがらずに取りましょう。 包丁で線を入れ手で引っこ抜きます。

英語で『General Tso's Chicken』といいます。「ツォー将軍の鶏肉」という意味で「左公鶏」の直訳ですね。

時々映画の中でアメリカ人がカップに入った中華料理をやけに長い箸を使って食べている描写がありますが、そのときの料理です。 映画のスポンサーが出す広告の一種ですが、その会社が政治的に槍玉に挙げられると「ある理由」などが発生するのだと思います。

せっかく名前が出たので、レストラン『彭園』も紹介しておきます。昔すぐ近くに住んでいたので、友人たちと何度か食事をしたことがあります。湖南料理は日本人好みの味付けでおいしいですよ。
湖南料理『彭園』
日本語の紹介はこちら





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