馬告雞湯│馬告と鶏のスープ
本日は少々珍しい料理を紹介しましょう。その名も『馬告雞湯│馬告鶏スープ』といい、馬告とは香辛料の名前です。
馬告とは台湾に住む原住民の一つタイヤル族(ビビアンスーがこの民族出身で有名)での呼び名"Makauy(原住民語で続く繁栄、商売繁盛などの意)"に漢字で当て字をしたものです。
参考ブログ(繁)
馬告はもちろん台湾での呼び名で、中国では正名を「山蒼樹」と呼び、別名を山胡椒などといいます。このレシピを書くにあたり日本語で馬告鶏湯を解説したサイトをいくつかのぞいてみましたが、少々情報の混乱があるようなのでここに正しておきます。
山蒼樹、すなわち馬告は学名を Litsea cubeba といい、クスノキ科ハマビワ属の植物です。和名はありません。和名が無い植物は学名をカタカナで読むか、英語で呼ぶのが通例ですので、リツェア・クベバ、もしくは英名のMay Chang:メイチャンと呼ぶのが正しい呼び方となります。
参考:Wikipedia(en)
日本ではヤマコウバシといわれる植物が別名を山胡椒(ヤマコショウ)などといい、こちらは学名が Lindera glauca で、クスノキ科クロモジ属の植物です。日本語で山胡椒と言った時はこちらの植物を指しますが、普通食用にはしません。馬告をこのヤマコウバシと混同して説明しているサイトばかりなので気をつけましょう。二つの別の植物の別名が偶然同じ漢字なために起きてしまった間違いですね。
多くの日本語のサイトで"『馬告』は日本語で『山胡椒』といいます"と書いてありますが、まったくの間違いです、このサイトを見た人は気をつけましょう。食事中の話のネタにもならない細かい話でした…。
さて、前置きが長くなりましたが、この馬告は台湾でも温泉で有名な烏来(ウーライ、こちらも原住民語の当て字)と呼ばれる地域の特産で、烏来に行けば温泉街のレストランで食べることができます。レモンのようなさわやかな香りと胡椒のような辛味のある香辛料で、西洋ではアロマセラピーの香料としても使われます。台湾でもそれほどメジャーな香辛料ではないため、馬告を使った料理はそれほど多くはありません。しかし、今回紹介する『馬告雞湯│馬告鶏スープ 』は非常に有名な料理で、かく言う私も烏来にいくたびに注文する料理の一つです。作り方は非常に簡単なので、馬告が手に入った人は作ってみましょう。
日本ではまず売っていませんので、欲しい人はコメントかメールをいただければ烏来に行って買ってきますよ。
日本でこの料理を作れる人は稀でしょうが、たまにはこういうネタも…ということでご勘弁を。
難易度:
☆☆
調理時間:
1時間以内
材料:
鶏肉 ……… 1匹分
生姜 ……… 30g
馬告(山蒼樹の乾燥果実) ……… 小さじ1
水 ……… 2000cc
調味料:
酒 ……… 200cc
塩 ……… 少々
作り方:
1.鶏肉はよく洗ってぶつ切りにし、沸騰したお湯で5分ほど茹でて血を抜く。生姜は千切りにする。馬告は包丁の腹でつぶして香りを出しておく。
2.水を鍋に入れ沸騰させ、鶏肉、生姜、酒を入れ、蓋をして40分ほど煮込む。
3.馬告を加え、更に5分ほど煮込み、塩で味を調えて完成。
Point:
馬告は煮込みすぎると苦味が出るそうなので、最後に入れます。量は好みで加減しましょう。ただレシピによっては鶏肉と一緒に加えると書いてあるものもあり、あまり気にする必要は無いのかもしれません。
小茴香や桂皮を少量加えるとより爽やかなスープとなります。
レモンのような香りと胡椒の辛味…ということは、レモングラスと胡椒で代用すれば、日本でも似たような料理が作れるかもしれません。
4 コメント :
はじめまして!
先日、お店でこの馬告を使用したスープを頂き、衝撃の美味しさだったので
どうしても家でも作ってみたくて、日本で購入できないかとあちこち探しまわりましたが、
やはり通販などで購入するのは難しいようですね。
そこで、できましたら台湾に行かれた際に買ってきていただけないかと思い、
メッセージさせていただきました。
急ぎませんので、何卒よろしくお願いします。
台湾で購入可能ですよ。
ただし台湾でも通販では買えません。
原住民の人に山に採取しに行ってもらいます。
100gで2000円ほど(送料別)。
こちらで乾燥させて送ります。
必要量をお知らせください。
tw-cai@live.jp
Higene
こんにちわ。
はじめてコメントします。馬告で検索してたどり着きました。
この香辛料は、セデック族の方も使っていらっしゃいますよ。
埔里からバスで少し行ったところの清流部落というところで、売ってました
10cmくらいの瓶にたくさん入って100元くらいでした。
馬告をつかったラー油も買ったのですが、これはほんと辛い(笑)
辛いのに檸檬な香りで・・・美味しいです♪
>>匿名様
実は馬告は台湾の山なら大体どこにでも生えているので、場所さえ知っていれば誰でも採取が可能なんです。取りに行くのが面倒くさいですけど…。
北部のタイヤル族だけでなくセデック族も使っているんですね!機会があれば行ってみます!
瓶入りのも最近値段が上がっていて、150-200元くらいになっていると思います。馬告は乾燥させると半分以下に重さが減るんで、結構いい値段するんですよねぇ…。
馬告入りのラー油なんてあるんですか!おいしそうですねぇ!
Higene
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