皮蛋紫菜拌豆腐│ピータンと海苔の冷奴

難易度:☆ 調理時間:一瞬
「中餐丙級證照」シリーズより『皮蛋紫菜拌豆腐│ピータンと海苔の冷奴』のレシピを紹介します。レシピというより、正直材料の紹介くらいの内容ですがご賞味ください(笑)。

この料理で使う海苔は中国語で「紫草」、台湾では日本語そのまま「海苔」とも呼ばれます。「海苔は海藻」というのは実は厳密には誤りで、原料には分類学的にほとんど関係のない様々な藻類、バクテリアが由来になります。ちなみに根、茎、葉が分かれていないため、植物ではありません。

まずは日常よく目にする板海苔、韓国海苔は紅色植物門という部門に属するアマノリ属(Porphyra)の海藻が由来です。黒っぽいのは葉緑素をあまり含まないからで、元植物も赤い色をしています。続いてお好み焼きには欠かせないアオノリは緑色植物門のアオサ科(Ulvaceae)の植物で、鮮やかな緑色が特徴。普通の板海苔とはまったく別系統の海藻です。カワノリもこの緑色植物門ですが、こちらは海藻ではありません。最後にシアノバクテリア門のスイゼンジノリ属植物が由来のスイゼンジノリ。清流に住むバクテリアでこちらも海藻ではありません。

普通の「ノリ」と「アオノリ」はまったく別のものだというのは、覚えておきましょう。

ちなみに日本では神話の時代からすでにノリが生産されており、今のような板海苔ができたのは江戸時代に入ってから、それまではそのまま乾燥させたり、佃煮にして食べていたようです。ぬるぬるしていることから、ヌリ→ノリと呼ばれるようになったというのが、名前の由来だといわれています。

さて、ここ十年でスーパーで急激に増えた韓国海苔、これは韓流ブームとはまったく関係のない国際問題によるものというのはご存知ですか?もともと海苔の消費が世界一の日本は、海苔を割り当て制という国際的には珍しい制度で輸入しており、2003年までは韓国だけがこれを申請、許可されて輸入枠を割り当てられていました。ところが2003年中国が初めて韓国以外で海苔の割り当て制に申請、輸入枠の減少を恐れた韓国が国際機関に提訴し、日本が譲歩して韓国の輸入枠を大幅に引き上げました。日本の水産物輸入の割り当て制は日本独自の制度で、国際輸入習慣になじまないことから韓国が勝訴する確率が非常に高く、その他の水産物輸入への影響を恐れた日本の判断が韓国からの海苔の輸入量を引き上げる結果となりました。ここまで読むと日本不利!のような感じですが実際はそうではありません。

現在韓国はせっかく引き上げられた輸入枠を目一杯まで使えずに、枠を多く残した時点で日本国内の需要が満ちてしまいました。また日本国内で手軽に韓国海苔が買えるようになってしまったため、韓国現地でのお土産としての価値が低下してしまうという結果にも繋がりました(これには別の要因もありますが…)。もともと日本の海苔と韓国海苔は用途がまったく別のためあまりシェアがかぶりません。この状態で更に韓国のブランド力が低下すると、せっかく独占状態にあった日本での商品価値が低下して中国にシェアを奪われることになるでしょう。そうすると価格が下落、その割りにシェアはあまり増えません。せっかく割り当てを増やしてもらった輸入量がさらに低下してしまう可能性があるのです。多いなるジレンマです。もちろん韓国の余った輸入枠を狙って中国やその他の国はよりシェアを狙ってくるでしょう。独占状態で価格も高止まりしていた韓国産の海苔のシェアが、中国にどこまで食われるのか仁義なき海苔戦争が始まっています。なにせ中国産の海苔は日本の海苔と同じかそれ以上の品質を誇るのです。

…気になって去年のデータを調べてみましたが、すでに韓国のシェアの半分以上を中国に持っていかれていました(データ)。恐るべし中国産海苔。台湾でも結構な量の中国産海苔が出回っていますが、結構品質がいいんです。

スーパーで海苔を買う際は裏の原産地表記と棚のスペース、そして価格を気にしておきましょう。数年単位で国際情勢が確かに動いていることを実感できますよ!大学生のレポートの題材としてもおすすめです。

というわけで、難しいことを考えてほてった頭を涼やかにする中華風冷奴、簡単ですのでぜひお楽しみください。


[材料]
豆腐 ……… 1丁
ピータン ……… 2個
海苔 ……… 1枚
ゴマ ……… 適量

[調味料]
醤油 ……… 大さじ3
ごま油 ……… 少々

[作り方]
1.ピータンを殻ごと沸騰したお湯で5分ほど茹で、取り出して冷やしてから殻をむく。これを食べやすい大きさに切っておく。

2.豆腐をよく洗い、食べやすい大きさにざっくり切る。のりははさみなどで千切りにし、軽くあぶっておく。

3.皿に豆腐、ピータン、海苔を盛りつけ、調味料をかける。最後にゴマを振りかけて完成。

Point!
ピータンは殻ごと蒸してもOKです。


0 コメント :

 
日本で作れる台湾料理 © 2012 | Designed by Rumah Dijual , in collaboration with Web Hosting , Blogger Templates and WP Themes
FB FACEBOOK TW TWITTER