中和湯│中和スープ

難易度:☆ 調理時間:1時間以内
安徽料理から『中和湯│中和スープ』のレシピを紹介します。米粒大に切ったたっぷり豆腐と豚肉などの少量の具材をチキンスープで煮込んで作ります。以前紹介した『文思豆腐』と同じように、口の中を滑るような触感が特徴の絶品料理です。

『中和湯』はもともと『中河湯』と呼んでいた料理がなまって呼ばれるようになったものです。中河とは安徽省と江西省の境にある川で、東側に江西省にある東河、西側に池州にある西河があり、それが合流することから中河と名づけられました。栄養豊富な堆積物がある浅い川で、堆積物を餌に発生するバクテリアを捕食する大量の小エビが生息しています。この小エビと豆腐を使った料理が今回紹介する『中和湯』なのです。

伝説によると南宋時代の詩人方岳この料理の開発者とされます。方岳が家族を連れてこの地に移り住み、いつものように船の上で好物の豆腐料理を楽しんでいると、肝心の調味料を家に忘れてきたことに気付きました。すぐ下の河を見ると大量の小エビが生息しています。それを掬って豆腐と一緒に煮込んでみるとこれが大変おいしく、その後彼は豆腐スープを食べるときは必ず小エビを一緒に添えるようになったのだとか。その後多くの人の手によって改良がくわえられ、現在のような形になりました。700年以上の古い歴史を持つ料理です。

今では宴席料理として多くの人に愛されています。

この料理の発明者とされる方岳、彼の詩でもっとも有名なものは≪雪梅≫というタイトルの次の詩でしょう。

≪雪梅≫
有梅無雪不精神
有雪無詩俗了人
薄暮詩成天又雪
與梅併作十分春


梅が咲いいても雪が降らなければ趣がない
雪が降っていても詩がなければ俗っぽい
夕暮れ時に詩を思いついたときちょうど雪が降りだした
梅と合わせて素晴らしい新春の景色がそろった

日本でも古今和歌集に似たような歌があります。

梅が枝に 
きゐる鶯 
春かけて
鳴けどもいまだ 
雪はふりつつ
 (詠み人知らず)

歌の心は少し異なりますが、どちらも素晴らしい風情ですね。中国も日本も、梅に雪を見て心動かされるのは同じようです。

それではレシピです。


[材料]
豆腐 ……… 3丁
豚肉 ……… 50g
干しエビ ……… 10g
チキンスープ ……… 800cc(適量)
ネギ ……… 適量

[調味料]
塩 ……… 適量
ラード ……… 大さじ1

[作り方]
1.豆腐の水気を切り、米粒大の大きさ(3m角)くらいのさいの目に切る。豚肉をみじん切りにする。干しエビを水で戻し、みじん切りにする。ネギをみじん切りにする。

2.熱した鍋にラードを溶かし、干しエビを入れて香りが出るまで炒める。続いてチキンスープと豚肉を入れ、豚肉が固まらないようほぐしながらスープを沸騰させる。スープが沸騰したら豆腐を入れ、15分ほど煮込む。器に盛り付けてネギを散らしたら完成。


Point!
レシピではネギを使っていますが、代わりにみじん切りにしたシイタケやハムを散らして別の色を加えることもあります。

スープの量は豆腐やその他の具の量やサイズによって調節してください。

有名ではありませんが同名の漢方処方があります。中身は全く別物ですので、間違えないように。


0 コメント :

 
日本で作れる台湾料理 © 2012 | Designed by Rumah Dijual , in collaboration with Web Hosting , Blogger Templates and WP Themes
FB FACEBOOK TW TWITTER