難易度:☆ 調理時間:1時間以内
久しぶりに薬膳の紹介、といっても使う生薬は一種類だけ、『紅棗燉雞湯│ナツメと鶏肉のスープ』のレシピを紹介します。煮込むだけなので超簡単です。
多くの漢方処方、また薬膳で用いられることの多いナツメは生薬名を大棗(たいそう)と呼び、学名を Ziziphus jujuba といいます。台湾ではそのまま乾燥させたものを「紅棗」、蒸してから乾燥させたものを「黒棗」と呼び分け実際に色が異なります。台湾の市場では種を抜いたものと種がついたままのものが売られていますが、大棗として用いる場合は種無しのものを使うといいでしょう。和名の「ナツメ」はそのまま「夏に芽がでる」という植物の特徴から。
ナツメの変種であるサネブトナツメ Zizyphus jujuba var. spinosa の種子を酸棗仁(さんそうにん)といい、鎮静催眠作用があり不眠症などに用いられます。名前には「酸」の字がありますが、酸っぱいのは果肉のほうで種には味がありません。
ナツメは中国北部原産で、非常に古くから食用、薬用に用いられてきました。日本に伝わったのは奈良時代以前といわれています。台湾では同属植物が盛んに栽培されており、果実を生食に用います。中国では古くからその健康効果は知られており、不老長寿である仙人の食べ物ともされました。
漢字の「棗」を良く見ると「棘」を縦に並べたものであることが分かります。実際にナツメの木には托葉が変化した鋭い棘を持つものがあり、サネブトナツメは更に多くの棘を持ちます。棘といえばどうしてもバラを思い浮かべてしまいますが、古代の中国人にとっては棘といえばナツメの木だったのでしょう。
そういえば…故宮博物館の宝物の中に「天真和楽-蘇漢臣嬰戯図双幅」という子供の遊びを描いた絵画があるのですが、これにはナツメの実を使ったヤジロベェ「推棗磨」で遊ぶ子供の様子が描かれています(http://www.npm.gov.tw/exh100/harmony/)。またその大きさが指先でつまむのにちょうど良いため、故宮博物館に収蔵されている数多くの宝物のふたや取っ手にモチーフとして使われています。ナツメをテーマにした宝物で故宮博物館の一部屋を埋めるくらいはできそうです。
大棗は韓国料理『삼계탕│サムゲタン』にも鶏肉と一緒に用いられており、鶏肉との相性はお墨付き。ぜひ再現に挑戦してみましょう。
[材料]
鶏肉 ……… 半匹(約600g)
大棗 ……… 6個
ショウガ ……… 20g
干しシイタケ ……… 3個
ネギ ……… 40g
水 ……… 1500cc
[調味料]
塩 ……… 少々
胡椒 ……… 少々
酒 ……… 大さじ1
ごま油 ……… 小さじ1
[作り方]
1.鶏肉をよく洗い、沸騰したお湯にくぐらせてアクを抜いておく。
2.干しシイタケと大棗を柔らかくなるまで水につけて戻しておく。ショウガをうす切りにする。ネギをぶつ切りにする。
3.すべての材料と調味料を鍋に入れ、加熱して沸騰させたら蓋をして20分煮込む。火を止めて10分蒸らしたら完成。
Point!
好みでその他の補気薬、例えば高麗人参や山薬、クコの実、杜仲などを加えてもよいでしょう。
もち米とあわせて煮込むと簡易『삼계탕│サムゲタン』が作れます。
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