難易度:☆ 調理時間:30分以内
河南地方の家庭料理から『羊肉山椒湯│羊と山椒のスープ』のレシピを紹介します。羊肉の臭みを山椒で消した面白いスープ料理です。鼻に抜けるすがすがしい香りと滋養たっぷりのスープをどうぞ!
この料理で使うサンショウは中華料理、特に四川料理や貴州料理で多用する「花椒」の仲間です。サンショウは学名を Zanthoxylum piperitum 、花椒は正式和名をカホクザンショウ、学名を Z. bungeanum といいます。同じミカン科のサンショウ属の植物で果実の色以外の外観も良く似ていますが、香りや風味は大きく異なります。
正月元旦の飲み物としてよく知られている現代日本の「お屠蘇」にも山椒が配合されています。屠蘇は唐代の中国から伝わったそうでかなり古い歴史があります。中国でも明代辺りまでは飲まれていた記録が残っていますが、その後廃れて現在の中国ではまったく姿を消してしまいました。
中国でも地方や時代によりかなり処方内容が異なります。最も後期の明代の処方は《遵生八箋》によると"屠蘇酒:「屠蘇方:大黃十六銖、白朮十五銖、桔梗十五株、蜀椒十五銖、去目桂心十八銖、去皮烏頭六銖、去皮臍茇葜十二銖。」古人把一兩分為二十四銖。照這些分量按方配製、就成為屠蘇酒。"という記載があり、蜀椒(花椒)が入っています。同じ明代に書かれた《本草綱目》にも屠蘇酒の処方が載っているのですが、"「用赤木桂心七錢五分、防風一兩、菝葜五錢、蜀椒、桔梗、大黃五錢七分、烏頭二錢五分、赤小豆十四枚,以角絳囊盛之,除夜懸井底,元旦取出置酒中,煎數沸,舉家東向,從少至長,次第飲之。藥滓還投井中,歲飲此水,一世無病。」"と、こちらにも蜀椒(花椒)が使われています。
これ以前の処方には花椒が使われていないので、現在日本の屠蘇は明代の処方を参考にしたもののようです。もちろん上記をそのまま作るとそうとう薬効が高いので、日本で売られているものはずいぶん量を減らして作られています。
古い中国の習慣が本国では絶滅し、日本でだけ残されているなんでなんだか不思議ですね。
[材料]
羊肉 ……… 300g
生の実山椒 ……… 75g
(乾燥品を使うなら20gほど)
中華スープ ……… 700cc
[調味料]
塩 ……… 適量
ごま油 ……… 少々
[作り方]
1.羊肉をうす切りにする。実山椒を包丁の腹で叩いて軽く砕いておく。
2.鍋に中華スープを沸騰させ、羊肉を加えて火を通しアクを取る。羊肉に火が通ったら山椒を加え蓋をして3分弱火で加熱する。最後に塩で味を調え、器に盛り付けてごま油を散らして完成。
Point!
しょうがの千切りと一緒に煮込んだり、最後にみじん切りのネギを加えてもよいでしょう。
これにヤマイモを加えたものは補気の薬膳スープとして人気があります。
羊肉山椒湯│羊と山椒のスープ
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2015年7月18日土曜日
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