豆腐獅子頭│豆腐団子の中華風煮込み

難易度: 調理時間:1時間以内
豆腐で作る『獅子頭』、精進料理の一つ『豆腐獅子頭│豆腐団子の中華風煮込み』のレシピを紹介します。肉の代わりに豆腐で肉団子を作ってソースと一緒に食べる料理です。台湾ではほとんどの素食レストランでメニューに載っているオーソドックスな素食料理の一つです。

豆腐で作る『獅子頭』ということで、今回は豆乳から豆腐ができるメカニズムを科学的に追いかけてみたいと思います。

タンパク質は多くのアミノ酸が鎖状に結合して出来ています。それぞれのアミノ酸は電離度(=水溶性)に違いがあり、タンパク質は電離度の高いアミノ酸が密集するエリア(=水に溶けやすい)と電離どの低いアミノ酸が密集するエリア(=水に溶けにくい)に大まかに分けられます。アミノ酸同士が繋がったタンパク質は長い鎖のようなもので、豆乳のように水に溶けやすいタンパク質は水に溶け易い部分を外側に、解けにくい部分を内側に折りたたむことで(タンパク質の三次元構造といいます)水に溶けているのです。他にも別のタンパク質や同じタンパク質内部のシステインがジスルフィド結合(-S-S-)することで連結されていることがあり、それぞれのタンパク質をサブユニットなどと呼びます。

これらのタンパク質の立体構造は温度によって変化します。透明で流動性をもつタンパク質が加熱によって白く凝固するタマゴの卵白の例が分かりやすいでしょう。豆乳の大豆タンパク質は約100度で3-5分加熱すると、毛玉のように丸まっているタンパク質が糸のような二次元構造のタンパク質単体にほぐれる性質を持ちます。

こうしてほぐれたタンパク質にいわゆる「にがり」と呼ばれる金属イオン、一般的にはマグネシウムイオンかカルシウムイオンを加えると、ほぐれたタンパク質のカルボキシル基や負電化を持つアミノ酸のアスパラギン酸やグルタミン酸を架橋し全体が緩やかに固まり始めます。この時、網目状になったたんぱく質の間から水分を押し出してやると比較的固めのいわゆる木綿豆腐が、水分を内部に保持したまま固めるといわゆる絹ごし豆腐ができるのです。

日本の豆腐はほとんどが「にがり」、マグネシウムイオンを使って凝固させたものですが、台湾の豆腐は半数ほどが「石膏(焼石膏)」、カルシウムイオンを使って凝固させたものです。メカニズムは同じなのですが、凝固速度の違いなどにより食感が少し異なります。石膏を使って凝固させた豆腐がいわゆる『豆花』、食品としては「嫩豆腐」と呼ばれます。

原理的にはカルシウムやマグネシウムと同属のベリリウムやストロンチウム、バリウム、他にも2価以上の金属イオンでもそれぞれ豆腐が作れそうですね。しかしベリリウムはそのものに割りと強力な毒性があるため食用として使えません。バリウムもイオンに毒性があります。ストロンチウム豆腐なら毒性もないしほとんど体内に吸収されない、吸収してもカルシウム利用率を高めて骨粗しょう症の改善などが見込めるため、作ってみる価値はありそうですが、恐ろしく高価になってしまうでしょうね。もともと生体内にある金属元素を使わないと食べると大事になりそうです。亜鉛なら…うまく行くかなぁ…。色々な金属元素で豆腐を作ってそれらの性質を発表したら…、イグノーベル賞の候補くらいにはなれるかも知れませんね(笑)

今回の料理はしっかりとした食感を出すため木綿豆腐で作ります。ぜひお試しください。


[材料]
木綿豆腐 ……… 500g
干しシイタケ ……… 50g
ニンジン ……… 100g
タマネギ ……… 40g
ショウガ ……… 15g
ネギ ……… 20g
卵 ……… 1個
チンゲンサイ ……… 6束

[調味料1]
醤油 ……… 大さじ1
塩 ……… 小さじ1/2
砂糖 ……… 小さじ2
胡椒 ……… 小さじ1
片栗粉 ……… 大さじ3
ごま油 ……… 大さじ1

[調味料2]
水 ……… 200cc
醤油 ……… 160cc
砂糖 ……… 小さじ1
酒 ……… 大さじ2
水溶き片栗粉 ……… 大さじ1
ごま油 ……… 小さじ1

[作り方]
1.干しシイタケを水で戻し、みじん切りにする。ニンジン、タマネギ、ショウガ、ネギをみじん切りにする。

2.ボウルに水気を切った木綿豆腐、作り方1の干しシイタケ、ニンジン、タマネギ、ショウガ、ネギ、そして卵をいれ、泥状になるまで良く混ぜ合わせる。これにすべての調味料1を加え、更によく混ぜ合わせておく。

3.鍋に揚げ物油を160度まで熱し、作り方2の豆腐生地を5cmほどの大きさに丸めたものを入れる。豆腐ボールの表面がきつね色になるまで揚げたら、取り出して油を切っておく。

4.鍋に調味料2の水、醤油、砂糖、酒を混ぜ合わせたものを加え、作り方3の豆腐ボールを入れて沸騰させる。沸騰したら火を止めて水溶き片栗粉を加えとろみをつけ、最後にごま油を散らして香りをつける。

5.沸騰したお湯でチンゲンサイを茹で、上に作り方4の豆腐ボールとソースをかけたら完成

Point!
野菜は細かくみじん切りにし、練った豆腐と良く混ぜ合わせましょう。

濃い目の中華スープにとろみを付けても作れます。



0 コメント :

 
日本で作れる台湾料理 © 2012 | Designed by Rumah Dijual , in collaboration with Web Hosting , Blogger Templates and WP Themes
FB FACEBOOK TW TWITTER