他似蜜│タシミ、回族羊肉甘辛炒め

難易度:☆ 調理時間:30分以内
清王宮でも食べられていた清真料理『他似蜜│タシミ、回族羊肉甘辛炒め』のレシピを紹介します。万漢全席のメニューにもなっているとか。羊肉をテンメンジャンベースのソースと絡めて炒める絶品料理です。回族発祥の料理ですが、レシピではなぜか酒を使います。本物のイスラム教徒には酒を使わず作ってあげましょう。

『他似蜜』は歴史あるイスラム料理の一つとされます。その生まれは清朝の最晩年、西太后が某レストランを訪れた時の創作料理に遡ります。料理人が知恵を絞って編み出したこの創作料理は西太后に賞賛され、この料理の名前は何かと側近に尋ねました。しかしその場で生まれた創作料理であるため、側近の賢者らの誰もこたえることができません。全員が頭を抱えているところ急遽料理人がその場に呼ばれ、この料理は新しく創作したものでまだ名前がないことを告げられました(普通料理人は西太后などの位の高い人とは面会できません)。この料理人は肝も据わっていたのでしょう、その場で「西太后さまにこの料理の名前を頂戴したい」と打ち明け周囲を驚かせました。西太后はその対応に大いに喜び、その味を指して「これ(他)は蜜に似る」、即ち「他似蜜」と名付けました。その後この『他似蜜』は名付け親である西太后の好物となり、清王宮紫禁城の食卓にたびたび乗せられたということです。

というわけでこの『他似蜜』、なんと名付け親はかの西太后でした。歴史の重みを感じさせる料理ですね。清も後期になると日本の明治維新との関連が深くなり、現代に生きる我々が身近に感じるような故事も増えてきます。台湾が日本の領土となるものこの時期ですので、一度歴史をおさらいしてみてはいかがでしょうか?

清末に絶大な権力をふるった西太后が愛した料理、ぜひ日本でも再現して味わってみましょう。



[材料]
羊肉 ……… 300g
ショウガ ……… 15g

[調味料1]
ごま油 ……… 150cc
テンメンジャン ……… 大さじ2
砂糖 ……… 大さじ1
黒酢 ……… 大さじ1
酒 ……… 小さじ2
水溶き片栗粉 ……… 大さじ1

[調味料2]
小麦粉 ……… 小さじ2
水 ……… 大さじ1
卵白 ……… 1個分

[作り方]
1.羊肉の筋を除き厚さ0.5cm、幅4-5cmほどのサイズに切り分ける。切り分けた羊肉を包丁の背などで叩いて繊維をほぐしておく。ショウガをすりおろしておく。

2.ボウルに作り方1の羊肉と調味料2の水を加えて混ぜ、30分ほど冷蔵庫で寝かせておく。取り出した羊肉の水気をよく切り、小麦粉と卵白を混ぜたものと混ぜ合わせておく。

3.鍋にごま油150ccを入れて160度まで熱し、作り方2の羊肉を入れてくっつかないようかき混ぜながら火が通るまで揚げる。羊肉に火が通ったら取り出して油を切っておく。

4.作り方3の鍋のごま油を捨て、大さじ1のサラダ油(分量外)を加える。調味料1のテンメンジャンを加えて香りが出るまでいためたら、砂糖を加えて完全に溶かす。続いて作り方3で取り出しておいた羊肉を鍋に戻し、ソースと絡める。更に黒酢、酒を加えてざっとかき混ぜたら、水溶き片栗粉を加えてとろみを付けたら完成。

Point!
火を通した肉を取り出してから再び鍋に戻す「回鍋」の技法を使います。

羊肉はなるべく柔らかいもの、ラムのバラ肉などを使うと良いでしょう。もちろん別の部位を使っても作れます。

ごま油は180度を超えると苦味が出ます。低温でジワリと揚げてください。調味料の加熱はごま油を捨てた後サラダ油で調理します。

羊肉の表面はなるべくサックリと揚げましょう。から揚げ粉やサツマイモ澱粉などを使って作るのもアリですね。


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