金煌│ジンファン(キンコウ)マンゴー

金煌│ジンファン(キンコウ)マンゴー

金煌マンゴーは1974年に人工交配によって生まれた台湾原産のマンゴーである。

高雄縣六龜鄉の農家黃金煌氏によってホワイト(White)種を母木、キーツ(Keitt)種を父木として交配して生まれた種で、開発者の名前を取って「金煌」と名付けられた。非常に強健な種で、肥料や農薬が少なくても栽培が可能であり、それまでアーウィン種などを悩ませていた炭疽病に強い抵抗性を持つ。無性生殖でも結実し、それまで台湾各地に生えていた土芒果に接木するだけで収穫できるなど栽培上多くの優れた特徴を持つ。ただし枝が直立する傾向があり剪定などによる矮化が難しい。なお開発者の黃金煌氏はこのマンゴーの開発により1990年の台湾十大傑出農民の一人に選ばれている。

台湾での栽培面積は約3,200haで、マンゴー総栽培面積の約16%を占める。1990年代以降は盛んに海外に輸出されていたが、現在は他の品種に押され貿易作物としてのメリットは薄い。

旬は5月から8月。樹上で完熟させたものが出回るアーウィン種などと異なり、完熟したものは劣化が早いのでほとんどは未成熟のまま収穫・出荷される。購入後数日の追熟を経て食べるのが一般的である。未成熟の果実は薄い緑色、完熟すると黄色になる。可食部にはほとんど繊維がなく、肉質はクリーミーである。

果実は台湾で産出する一般的なマンゴーの中でも最大級の大きさで、果実の重量は600g~2kg、大きさは長さ約20cm×幅約10cm×厚さ約10cm。パパイヤほどの大きさになる。糖度は16-18Brix、酸度は約0.24%、糖酸比は73前後。

蠅害による果実の変色を防ぐため、果実は未成熟のうちから袋をかぶせて成長させる。また農薬の噴霧回数自体が少ないため、果実への残留農薬汚染が非常に少ない品種のひとつである。そのため健康志向の高まる台湾人からの人気が高い。前述の通り完熟後の劣化が非常に早いため、購入後数日置いて熟成の度合いを見極めてから食べると良い。指で触れて皮が柔らかいと感じたら食べ頃である。

台湾のスーパーでは一個80-200元(約80元/kg)、市場では更に安い。沖縄でも少量であるが生産されている。現在台湾以外ではほとんど食べることができない種なので、旅行時に見かけたらぜひ購入して味わっていただきたい。追熟が必要なので旅行初日に購入して常温で保存、数日後に冷やしてから食べると良いだろう。

もうすこし黄色が強くなると食べ頃。


中は鮮やかなオレンジ色。
未成熟果実は酸味が強い。

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