難易度:☆☆ 調理時間:一瞬
さて、日本ではまずお目にかかることの出来ない特殊な調味料を作ってみましょう。福建省や台湾にいる「蟛蜞 Peng2 qi2」というカニを使った調味料『蟛蜞酱│福建風カニ調味料、福建ケジャン』のレシピです。
「蟛蜞」は(おそらく)中国での学術名を相手蟹、属名は Chiromantes で、日本では「アカテガニ」と呼ばれる小型の蟹のことで、福建省や広東省、台湾などで食用にされます。甲羅に鋸歯がないことで類似の「ベンケイガニ(中国語で仿相手蟹)」と区別されます。
日本ではほとんど食用にしませんが、アカテガニは中国南部や台湾では高級な食材。広東省では酒に浸けた『醉蟛蜞』という名物料理が、福建省では今回紹介する『蟛蜞酱』という名物料理があり、台湾でも時々食べられます。特に福建省福州では『蟛蜞酱』は結婚式には欠かせないおつまみの一つで、年中需要があると言います。川から田に入り込んでは稲を切ってしまうことがあるので害獣として駆除されるそうですが、そのときに捕まえた「蟛蜞」は農家の人たちのいい小遣い稼ぎになっているようです。台湾でも河口部などで捕まえられます。
レシピではトウガラシ粉を使っていますが、福建省でも南部にいくと醤油と塩だけで浸けて作るそうで、辛さは必須ではありません。韓国の『게장(ケジャン)』と呼ばれるワタリガニを漬け込んだ料理ほど辛くはないので、辛いのが苦手な人も楽しめます。
「アカテガニ」は中国中世の本草書《本草経集注》に「蟛蜞」として記載があり、フグ毒を解毒するなどの効果が書かれています。また『蟛蜞酱』には強力な消炎解毒作用があるとされ、喉や口の炎症にゆっくりと飲み込むととても効果があるということです。風邪を引いたときは試してみましょう。
福建省を訪れることがあれば、ぜひ買って帰ってください。台湾では金門などでも買えます。
最後に一言、「めちゃくちゃうまいです!」
[材料]
アカテガニ ……… 5-6匹(750g)
タマネギ ……… 30g
ショウガ ……… 10g
ニンニク ……… 3個
[調味料1]
酒 ……… 適量
[調味料2]
醤油 …… 大さじ1
トウガラシ粉 ……… 大さじ2
砂糖 ……… 大さじ3
ごま油 ……… 大さじ1/2
味醂 ………小さじ1
塩 ……… 適量
魚醤(ナンプラー) ……… 大さじ1
[作り方]
1.アカテガニはよく洗い、浸るほどの酒に1時間ほど漬けておく。
2.タマネギ、ショウガ、ニンニクはミキサーなどで粉砕するか、すりおろすなどして混ぜ合わせておく。
3.全ての調味料2をボウルに入れ、作り方2のタマネギ、ショウガ、ニンニクと混ぜ合わせてソースを作る。 これに酒に浸けておいたアカテガニを混ぜ合わせ10分ほど浸けて完成。
Point!
本来は「黄酒」という中国のお酒でアカテガニを洗います。日本でなら、普通の料理酒か清酒を使いましょう。
浸けておいた酒はソースには加えません。蟹だけを取り出して漬けます。余ったお酒はエビを炒めるときなどに使いましょう。豚肉を蒸すのにも使えます。
アカテガニは小型の蟹なので切らずにそのまま漬け込みます。日本で手に入る大型の蟹で代用するときは、甲羅を外して身を四つくらいに切り分けてから同じようにつけましょう。
魚醤(ナンプラー)とトウガラシ粉はなくても作れます。醤油と塩だけでも美味です。
ビンやタッパーに入れて冷蔵庫で一晩置けば、味が染みて恐ろしいほどの美味さに。粥に乗せたり蒸した豚肉に添えたりして食べます。
密閉すれば冷蔵庫で数日は保存できるはずですが、早めに食べ切りましょう。
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