元宵│元宵餅
台湾では旧暦の正月十五日を元宵節として盛大にお祝いします。本日はこの元宵節にちなんだ『元宵』という料理を紹介したいと思います。
今年の元宵節は台湾全国でパニックといえるほどの人出を記録しました。指定席券を持っているのに駅が混んでいて電車に乗れない、大規模な広告で史上最高の人を集めたのに風向きが発電所に向かっていたため結局天燈を飛ばせないなどの行政の不手際が目立ち、当日のニュースは一日中ずっと元宵節の祭りについて扱っていました。毎年どんどん規模が大きくなっており、大きな経済効果があります。
新北市平溪の天燈を一斉に放つ祭りは海外でも有名で、今年は数万人の人が集まりました。参加するには正月の101の花火を近くで見る以上の困難を伴いますが(特に帰宅の足やトイレ)、体力と足腰に自信がある方は、旧暦1月15日に平溪に向かいましょう。数万人規模の無秩序な人波にもまれることができます。
本来の元宵節は明かりを灯して豊作を祝う祭りで、天燈はその名残です。ところがどこでどう間違ったのか台湾(特に台南の塩水区や台東など)では爆竹を人に向かって発射するという過激な祭りに進化したようです。観衆ももちろんフルフェイスヘルメットに防火コートなど完全防備で爆竹に当たりに行く(爆竹の直撃を受けるとその年の幸運が約束されるといわれています)のですが、毎年多数のけが人が出ます。
逆に福建省の一部地域では元宵の発音が「元消」、つまり「元朝の消滅」を意味するということで忌避されていたりします。文化の伝承と変化とはまったく不思議なものですね。
ほかにも月を愛でる、もしくは明かりを灯すという行動が進化したさまざまな風習が中華文化の影響を受けたアジア各地に残っています。日本では関東の一部地域で繭玉を作ったり小豆の粥を食べたりして祝うそうですが、これも月を愛でることの一種の変化形といえるかもしれません。
元宵節は、いわゆる「餅」を食べる風習が各地に残っており、台湾も例外ではありません。その年最初の満月と丸い餅とをかけて吉祥を願うのでしょうが、この日に食べる中に餡の入った餅を特別に『元宵』と呼びます。これが本日のレシピの料理です。
元宵節以外のときに食べるこの餅を台湾では『麻薯(台湾語でマーチーと発音する)』とよび、こちらのほうが圧倒的に浸透している名前です。各地のパン屋さんや鉄道駅でいろいろな味のものが買えます。台湾のマーチーの発音は、もちろん日本語のモチが由来になっています。
台湾以外の中華圏各地では『湯圓』と『元宵』の区別が曖昧で、時に混乱を引き起こすのですが、台湾においては非常に明確に分類することができます。
小さくて中に餡が入っておらず、冬至に食べるのが湯圓。
中に餡が入っており、茹でるだけでなく揚げて作るものがあり、元宵節に食べるのが元宵です。
別の地方に行くと、定義が曖昧なので、この分類は使えません。台湾でだけ通用します。広東省や香港の『糖不甩』や『𥻵』、『糍』と呼ばれる料理も実際には同じものです。
さて前置きが長くなりましたが、超簡単な元宵の作り方行ってみましょう。というか外側はただの餅なので日本でなら台湾より簡単に作れます。
今年の元宵節は過ぎてしまいましたが、満月の夜など月に思いを馳せながらこの料理を食べてみてはいかがでしょうか?
本文の最後に平溪の天燈と塩水鎮の塩水蜂炮のVIDEOのリンクを張っておきます。非常に対照的な映像ですが、どちらも同じ台湾のものです。興味のあるほうに参加してはいかがでしょうか(笑)。
難易度:
☆
調理時間:
1時間以内
材料1:
モチ米粉 ……… 200g
熱水 ……… 100cc
冷水 ……… 100cc
材料2:(好みで)
小豆餡、ゴマソース、干しエビ、米、
ピーナッツバター、ネギなどあらゆる食材 ……… 適量
きな粉、砂糖など ……… 適量
作り方:
1.ボウルにモチ米粉を入れ熱水(沸騰したもの)を加えよくかき混ぜる。団子状になったら少量ずつ冷水を加え、よく混ぜ合わせる。
2.手で触って耳たぶ程度の硬さになったら、好みの具を包み、沸騰したお湯、もしくは150度の油で、浮かんでくるまで茹でる、もしくは揚げる。
3.器に盛り付け、好みできな粉などをかけて完成。
Point:
日本で作るなら粉から作るより、茹でるなどして柔らかくした餅に好みの具を包んで茹でたほうが楽です。
台湾でよく使われる餡はゴマソース、棗、銀杏の実、アーモンド、豚肉、ハム、エビ、チョコレートなど非常に多種にわたっています。つまり何でもありです。
餡を抜けばそのまま『湯圓』の作り方となります。こちらは冬至に食べる伝統料理ですが、豆花やカキ氷に乗せて食べる機会のほうが多いです。
以下は台湾における元宵節の二つの祝い方のVIDEO(HD)です。
実際はこれが終わってから台北市内に戻るのに数時間かかります。トイレはありません。
これでもマイルドな映像です。より派手なのは→https://www.youtube.com/watch?v=7H3SzaWcKFAのリンクでどうぞ。
台湾では旧暦の正月十五日を元宵節として盛大にお祝いします。本日はこの元宵節にちなんだ『元宵』という料理を紹介したいと思います。
今年の元宵節は台湾全国でパニックといえるほどの人出を記録しました。指定席券を持っているのに駅が混んでいて電車に乗れない、大規模な広告で史上最高の人を集めたのに風向きが発電所に向かっていたため結局天燈を飛ばせないなどの行政の不手際が目立ち、当日のニュースは一日中ずっと元宵節の祭りについて扱っていました。毎年どんどん規模が大きくなっており、大きな経済効果があります。
新北市平溪の天燈を一斉に放つ祭りは海外でも有名で、今年は数万人の人が集まりました。参加するには正月の101の花火を近くで見る以上の困難を伴いますが(特に帰宅の足やトイレ)、体力と足腰に自信がある方は、旧暦1月15日に平溪に向かいましょう。数万人規模の無秩序な人波にもまれることができます。
本来の元宵節は明かりを灯して豊作を祝う祭りで、天燈はその名残です。ところがどこでどう間違ったのか台湾(特に台南の塩水区や台東など)では爆竹を人に向かって発射するという過激な祭りに進化したようです。観衆ももちろんフルフェイスヘルメットに防火コートなど完全防備で爆竹に当たりに行く(爆竹の直撃を受けるとその年の幸運が約束されるといわれています)のですが、毎年多数のけが人が出ます。
逆に福建省の一部地域では元宵の発音が「元消」、つまり「元朝の消滅」を意味するということで忌避されていたりします。文化の伝承と変化とはまったく不思議なものですね。
ほかにも月を愛でる、もしくは明かりを灯すという行動が進化したさまざまな風習が中華文化の影響を受けたアジア各地に残っています。日本では関東の一部地域で繭玉を作ったり小豆の粥を食べたりして祝うそうですが、これも月を愛でることの一種の変化形といえるかもしれません。
元宵節は、いわゆる「餅」を食べる風習が各地に残っており、台湾も例外ではありません。その年最初の満月と丸い餅とをかけて吉祥を願うのでしょうが、この日に食べる中に餡の入った餅を特別に『元宵』と呼びます。これが本日のレシピの料理です。
元宵節以外のときに食べるこの餅を台湾では『麻薯(台湾語でマーチーと発音する)』とよび、こちらのほうが圧倒的に浸透している名前です。各地のパン屋さんや鉄道駅でいろいろな味のものが買えます。台湾のマーチーの発音は、もちろん日本語のモチが由来になっています。
台湾以外の中華圏各地では『湯圓』と『元宵』の区別が曖昧で、時に混乱を引き起こすのですが、台湾においては非常に明確に分類することができます。
小さくて中に餡が入っておらず、冬至に食べるのが湯圓。
中に餡が入っており、茹でるだけでなく揚げて作るものがあり、元宵節に食べるのが元宵です。
別の地方に行くと、定義が曖昧なので、この分類は使えません。台湾でだけ通用します。広東省や香港の『糖不甩』や『𥻵』、『糍』と呼ばれる料理も実際には同じものです。
さて前置きが長くなりましたが、超簡単な元宵の作り方行ってみましょう。というか外側はただの餅なので日本でなら台湾より簡単に作れます。
今年の元宵節は過ぎてしまいましたが、満月の夜など月に思いを馳せながらこの料理を食べてみてはいかがでしょうか?
本文の最後に平溪の天燈と塩水鎮の塩水蜂炮のVIDEOのリンクを張っておきます。非常に対照的な映像ですが、どちらも同じ台湾のものです。興味のあるほうに参加してはいかがでしょうか(笑)。
難易度:
☆
調理時間:
1時間以内
材料1:
モチ米粉 ……… 200g
熱水 ……… 100cc
冷水 ……… 100cc
材料2:(好みで)
小豆餡、ゴマソース、干しエビ、米、
ピーナッツバター、ネギなどあらゆる食材 ……… 適量
きな粉、砂糖など ……… 適量
作り方:
1.ボウルにモチ米粉を入れ熱水(沸騰したもの)を加えよくかき混ぜる。団子状になったら少量ずつ冷水を加え、よく混ぜ合わせる。
2.手で触って耳たぶ程度の硬さになったら、好みの具を包み、沸騰したお湯、もしくは150度の油で、浮かんでくるまで茹でる、もしくは揚げる。
3.器に盛り付け、好みできな粉などをかけて完成。
Point:
日本で作るなら粉から作るより、茹でるなどして柔らかくした餅に好みの具を包んで茹でたほうが楽です。
台湾でよく使われる餡はゴマソース、棗、銀杏の実、アーモンド、豚肉、ハム、エビ、チョコレートなど非常に多種にわたっています。つまり何でもありです。
餡を抜けばそのまま『湯圓』の作り方となります。こちらは冬至に食べる伝統料理ですが、豆花やカキ氷に乗せて食べる機会のほうが多いです。
以下は台湾における元宵節の二つの祝い方のVIDEO(HD)です。
実際はこれが終わってから台北市内に戻るのに数時間かかります。トイレはありません。
これでもマイルドな映像です。より派手なのは→https://www.youtube.com/watch?v=7H3SzaWcKFAのリンクでどうぞ。