難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日の『蟹肉粉絲│カニ肉春雨』のレシピを紹介します。春雨とカニ肉を炒めて作るお手軽料理です。
今日は「蟹」という漢字の由来を調べて見ましょう。古くは「蠏」とも書かれました。
見ての通り蟹という字は「解」と「虫」に分けられます。虫の部分は蝦、蝦蛄、蜥蜴、蜘蛛などと同じく、古代中国では虫(蟲)の一種として考えられていたことに由来します。では「解」の部分はどんな理由でカニに使われるようになったのでしょう?
古代中国の祭祀を開設した《周禮》には祭品として「蟹醤」なるものが登場します。《周禮》は約三千年前の祭祀について記載されている書物ですが、この時からカニは珍奇食材として重要視されていました。この当時の祭祀に使われる食材にはそれぞれ呪術的な意味があったようですが、どうやらこれが「解」の意味を追うヒントになりそうです。
周代以前の書物《易經》、《尚書》、《山海經》などにも殻を持つ生物として「蟹」の表記が見られます。当時の動物を表す漢字、例えば蛍(螢)や鷺などの成り立ちを考えると、カニは即ち“「解」する「蟲」”の意味のはずなのですが詳しい説明は載っていません。
蟹の漢字の成り立ちは後代の学者にとっても興味深いテーマだったようで、各時代に蟹の漢字を解説した様々な書物が発行されます。宋代に陸佃により書かれた《埤雅》という書物には“漆見之而輙解、名之曰蟹、一似出于此”という記載があり、明代に馮時可により書かれた《雨航雑録》では“是物以解結散血得名”とも書かれています。更に宋代に寇宗奭によって書かれた本草書《本草衍義》では“此物毎至夏末秋初、如蝉脱解、名蟹之意、必取此義”と書かれています
それぞれ、「漆を溶解する」、「血を解結する」 、「蝉のように脱解(脱皮)する」の意味です。漆を溶かしたり、血を解いたりの物理的な効能は後代に入って発見されたもので、周代以前の「蟹」の字の意味として使われたとは考えられません。このことからどうやら「蝉のように脱解(脱皮)する」が正解に近いような気がしますが真相はどうでしょう?ちなみに蟹の脱皮は夏の終わりから秋にかけてのみ起こるわけではなく、成長に合わせて年中起こります。
蟹と同じように古代から知られていた蝦や蝦蛄も同じように脱皮しますが、なぜカニにだけ「蟹」の字が当てられたのでしょうか?ここで新たな謎が生まれました。この問題に解答するには更に後代の解説を待たねばなりません。
清代に屈大均によって書かれた《廣東新語》には“其味絕佳、解(蟹)其渣滓不用、用其精華、故曰解(蟹)也”という記載があります。どうやらこの文章が最も正解に近いような気がします。
上記の文章にある「解」とは即ち解く、剥く、剖く、脱ぐなどの意味で、カニを食べるときの動作を表していると考えられます。エビ、シャコ、貝類などの食材も同様の「殻を剥く」作業が必要になりますが、これらは一度の動作できれいに殻を剥くことが出来ます。しかしカニだけは、足を外し、腹を開き、身を割り、様々な困難(?)を経てようやくおいしい身を食べることができるのです。その作業はまさに解、解、解の連続で、古代人はこの作業を指して「蟹」と呼んだのでしょう。祭祀に用いられたというのも、この何重もの殻を取り去らないと美味にありつけないという意味を汲んだものと推測できます。
ついでに「蟲」について説明しておくと、古代中国では足が4つではないほとんどの動物が「蟲」と呼ばれました。四神とされる鳳凰、麒麟、玄武、青龍ですらそれぞれ羽蟲、毛蟲、甲蟲、鱗蟲と呼ばれていたくらいです(白虎はそのまま)。
漢字の意味を理“解”すればカニ料理がもっとおいしくなるかもしれませんね。
本日の『蟹肉粉絲│カニ肉春雨』のレシピを紹介します。春雨とカニ肉を炒めて作るお手軽料理です。
今日は「蟹」という漢字の由来を調べて見ましょう。古くは「蠏」とも書かれました。
見ての通り蟹という字は「解」と「虫」に分けられます。虫の部分は蝦、蝦蛄、蜥蜴、蜘蛛などと同じく、古代中国では虫(蟲)の一種として考えられていたことに由来します。では「解」の部分はどんな理由でカニに使われるようになったのでしょう?
古代中国の祭祀を開設した《周禮》には祭品として「蟹醤」なるものが登場します。《周禮》は約三千年前の祭祀について記載されている書物ですが、この時からカニは珍奇食材として重要視されていました。この当時の祭祀に使われる食材にはそれぞれ呪術的な意味があったようですが、どうやらこれが「解」の意味を追うヒントになりそうです。
周代以前の書物《易經》、《尚書》、《山海經》などにも殻を持つ生物として「蟹」の表記が見られます。当時の動物を表す漢字、例えば蛍(螢)や鷺などの成り立ちを考えると、カニは即ち“「解」する「蟲」”の意味のはずなのですが詳しい説明は載っていません。
蟹の漢字の成り立ちは後代の学者にとっても興味深いテーマだったようで、各時代に蟹の漢字を解説した様々な書物が発行されます。宋代に陸佃により書かれた《埤雅》という書物には“漆見之而輙解、名之曰蟹、一似出于此”という記載があり、明代に馮時可により書かれた《雨航雑録》では“是物以解結散血得名”とも書かれています。更に宋代に寇宗奭によって書かれた本草書《本草衍義》では“此物毎至夏末秋初、如蝉脱解、名蟹之意、必取此義”と書かれています
それぞれ、「漆を溶解する」、「血を解結する」 、「蝉のように脱解(脱皮)する」の意味です。漆を溶かしたり、血を解いたりの物理的な効能は後代に入って発見されたもので、周代以前の「蟹」の字の意味として使われたとは考えられません。このことからどうやら「蝉のように脱解(脱皮)する」が正解に近いような気がしますが真相はどうでしょう?ちなみに蟹の脱皮は夏の終わりから秋にかけてのみ起こるわけではなく、成長に合わせて年中起こります。
蟹と同じように古代から知られていた蝦や蝦蛄も同じように脱皮しますが、なぜカニにだけ「蟹」の字が当てられたのでしょうか?ここで新たな謎が生まれました。この問題に解答するには更に後代の解説を待たねばなりません。
清代に屈大均によって書かれた《廣東新語》には“其味絕佳、解(蟹)其渣滓不用、用其精華、故曰解(蟹)也”という記載があります。どうやらこの文章が最も正解に近いような気がします。
上記の文章にある「解」とは即ち解く、剥く、剖く、脱ぐなどの意味で、カニを食べるときの動作を表していると考えられます。エビ、シャコ、貝類などの食材も同様の「殻を剥く」作業が必要になりますが、これらは一度の動作できれいに殻を剥くことが出来ます。しかしカニだけは、足を外し、腹を開き、身を割り、様々な困難(?)を経てようやくおいしい身を食べることができるのです。その作業はまさに解、解、解の連続で、古代人はこの作業を指して「蟹」と呼んだのでしょう。祭祀に用いられたというのも、この何重もの殻を取り去らないと美味にありつけないという意味を汲んだものと推測できます。
ついでに「蟲」について説明しておくと、古代中国では足が4つではないほとんどの動物が「蟲」と呼ばれました。四神とされる鳳凰、麒麟、玄武、青龍ですらそれぞれ羽蟲、毛蟲、甲蟲、鱗蟲と呼ばれていたくらいです(白虎はそのまま)。
漢字の意味を理“解”すればカニ料理がもっとおいしくなるかもしれませんね。