蒜泥白肉|豚ばら肉の醤油ニンニクソースかけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
日本にも多くの隠れファンをもつ中華料理『蒜泥白肉|豚ばら肉の醤油ニンニクソースかけ』のレシピを紹介します。茹でた豚肉のうす切りにすりおろしたニンニクと砂糖醤油がベースのソースを添えて食べる絶品料理です。

中国語でニンニクを蒜、大蒜、台湾ではもっぱら蒜頭と呼びます。中国語で書かれたレシピの多くでは材料の時点で蒜片(うす切り)、蒜末(みじん切り)、蒜泥(すりおろし)などと書き、ニンニクを加工する行程を省くのが一般的です。

ところで台湾には「蒜頭」という地名があるのをご存知でしょうか?嘉義縣六腳鄉という場所に実際に蒜頭村という場所があり、もちろん蒜頭郵便局も蒜頭小学校も存在します。日本にもおかしな地名がたくさんあるのであまり笑えた話ではないですけど(笑)。この蒜頭には日本統治時代に明治製糖の工場が建てられ、今も台湾製糖が営業を続けています。工場の名前が蒜頭糖廠…、どうしてもニンニクエキス入りの砂糖を連想してしまいます。



もともとこの地域は大家族が多い集落で、そのため旧地名を「算頭」といいました。清末に漢字が変わって「蒜頭」と呼ばれるようになったそうです(今では過疎が進み大家族がたくさんではなくなったそうです)。歴史的にニンニクとは全く関係がない場所なのですが、なぜ敢えてこの漢字で置き換えたのか当時の担当者に聞いてみたいものですね。調べてみたところ特産…というわけではないそうですが、餡にニンニクを使った『蒜頭餅』というお菓子も売られているそうです。いつか食べてみたいものです。

それとこの蒜頭村、台湾伝説のロックシンガー「伍佰」の出身地だそうで、コアなファンにとっては聖地ともなっています。なんでも蒜頭小学校卒業だそうで…。「伍佰」を知らない人はぜひ一度彼の音楽を聞いてみてください。抜群の歌唱力と圧倒的なパフォーマンスで今なお多くの台湾人を魅了するトップシンガーの一人です。

それではレシピです。


衝菜|中華風茹でカラシナ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
"衝"撃的名前のお手軽野菜料理『衝菜|中華風茹でカラシナ』のレシピを紹介します。台湾の一般家庭では余り食べることはありませんが、国民党の退役軍人村などで一時期流行した料理だそうです。元々は湖南、広東料理とされますが、類似の料理は中国中にあります。

衝菜はカラシナ(芥菜)の別名で、材料名がそのまま料理名になっています。調理も超簡単、塩茹でして蒸らしてゴマ油をかけるだけです。

カラシナ(Brassica juncea)に代表されるアブラナ科の植物は、重金属を含む土壌でもよく成長し、それらを体内に蓄積するという性質があります。特定の植物による重金属の吸収、蓄積を利用した土壌の浄化をファイトレメディエーションといい、世界中で研究が行われています。カラシナを遺伝子組み換えしてこの性質を強め、鉛やヒ素に汚染された土壌を浄化する試みはすでに始められており、すばらしい成果が上がっているようです。

植物が持つ特定元素濃縮作用を利用する方法はフィトレメディエーションだけでなく、鉱脈の探索や農地改良などに広く利用されています。身近なところでは輪作などでしょうか。植物の力と人間の知恵には驚かされるばかりです。

そんなカラシナは古くメソポタミアの時代から食用にも利用されてきました。古代と現代の食の最先端(?)を走るカラシナをおいしく調理してください。



培根起司蛋捲|台湾風ベーコンチーズオムレツ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾人学生の定番ジャンクメニュー『培根起司蛋捲|台湾風ベーコンチーズオムレツ』のレシピを紹介します。ベーコンとチーズを薄焼きにした卵焼きにくるむだけの簡単料理です。数分で作れてカロリーも高く、いろんな食材をまとめて食べられるので、朝時間がない時などに助かりますね!

記事は後日!


可樂雞腿|鶏もも肉のコーラ煮込み

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
コーラを使った中華料理『可樂雞腿|鶏もも肉のコーラ煮込み』のレシピを紹介します。なんでも材料にしてしまう貪欲な中華料理ではコーラも例外ではありません。実際に存在するコーラで鶏もも肉を煮込んだ料理です。

コーラは世界中で展開する炭酸飲料です。お茶と珈琲に次いで、世界で最も有名な飲み物なのではないでしょうか?

中世ヨーロッパではコラの実(カフェイン含有)とコカの葉(コカイン含有) のエキスを混ぜたワインが薬として用いられていました。それが伝わった19世紀後半のアメリカには薬局の隣で「各種ハーブエキスのソーダ・アルコール割」を売るお店があり、そこではこのワインが人気だったそうです。このコラの実とコカの葉をワインで割ったフレンチワインコカという飲み物がコカコーラの源流といわれています。このレシピを参考に独自の飲料を作り上げたのが薬剤師ジョン・ぺンバートン、彼の作ったドリンクは大人気となります。元々は頭痛・風邪薬として売られていましたが、酩酊、覚醒、疲労回復効果もあり当時の奴隷たちに飲ませるエナジードリンクとして大流行したそうです。

禁酒法の施行でワインが使えなくなってしまったため、ジョンはワインを炭酸水に変えたレシピを開発します。1886年のことで、この年がコカコーラ発明元年とされています。二年後にジョンはコカコーラの権利を売却して死亡してしまいました。この時点ではまだコカの葉エキスが入っていましたが、1903年の法改正を受けてコカが脱落(とはいえ現在も脱コカイン処理を施したコカの葉をフレーバーとして用いているそうです)。1909年には大量のカフェインを含むコラが問題視され、コラも脱落、純粋カフェインを加えるレシピとなり、現在のバニラとレモンをベースにした炭酸飲料になりました。1909年のコラ脱落から現在までほとんどレシピは変わっていないとされています。

実はコーラを使った料理は世界各地にあります。もちろんカフェインが含まれますので、ちょっとだけ覚醒効果も期待できそうです。コーラを使った和食というのは聞いたことがないのでおいしいものを開発すれば歴史に名前を残せるかもしれません。


筍香炒肉絲|豚肉とタケノコ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
タケノコと豚肉の食感がおいしい『筍香炒肉絲|豚肉とタケノコ炒め』のレシピを紹介します。同じ細さに切ったタケノコと豚肉をオイスターソースで炒めた料理です。そのままご飯に乗せて大口でかき込みたいですね!

「香」の字はもともと「禾」に「甘」を組み合わせた漢字で、「食べ物の良い香り」を指しました。草木の良い香りを表す「芳」や、悪臭を表す「臭」、心地よい香りを表す「匂」、立ち込める良い香りを表す「」など、匂いに関する漢字は多数あります。まず目にする機会はないと思いますが、なんせ「香」の異体字だけで10個を超えているのです

漢字には香部と呼ばれる部首があり、今でもよく使われる「馨」、「馥」などが所属しています。中には香の字を三つ組み合わせた「馫」という字も。ほとんどが良い香りを表す漢字で、良くぞこれだけ香りに関する字を作ったものだと感心してしまいます。

どこからともなく漂ってくるおいしそうな香り…、お腹がすいてる時はどうにもたまらなくなってしまいますね。今回紹介する料理も良い香りが立ち上る絶品料理です。ぜひ再現してみてください。



紅燒豆腐|豆腐の中華風醤油煮込み

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
豆腐で作る家庭料理『紅燒豆腐|豆腐の中華風醤油煮込み』のレシピを紹介します。醤油ベースのスープで焼いた豆腐を煮込んだ料理です。

台湾の(正式ではないですが)国旗は「青天白日満地紅旗」といいます。赤地の左上四分の一が青色で、その中に太陽を継承した十二の光芒がある白いモチーフが入っています。台湾ファンの方なら一度は目にしたことがあることでしょう。

赤、青、白の三色は孫文の三民主義(民族、民権、民生)を表すとともに、赤は建国に従事した人たちの血と友愛を、青は空、白は太陽を表しています。太陽の周りにある十二の光芒は十二支、十二宮などとつながり、中華民国の不断の発展を祈願しているといいます。


青と白の部分は国民党の党章と同じもので、中華民国が国民党によって作られたことを強く印象付けています。したがってアンチ国民党の台湾人はそもそもこの旗を国旗として認めていません。国内にも矛盾を抱えた国旗なのです。

もともと中国国民党が正式に結成される前は、孫文が現在の国旗の左上部分を中華民国の国旗として採用しようとしていました。しかし日本の国旗とモチーフがかぶること、色彩が単調すぎることなどからデザインを変え、現在の青天白日満地紅旗が生まれました。もとの青と白のモチーフは海軍旗などとして使われた後、国民党の党章として使われることになります。

中華民国の建国当初は清朝の海軍旗であった五色旗を国旗としていましたが、1928年に現在の青天白日満地紅旗を正式な国旗と定めました。1989年まで国民党の独裁が続いていたため、この国旗でも(いちおう)問題はなかったのですが、民主政権が誕生してからはにわかに批判の対象となり、現在でも国旗を巡る議論がたびたび巻き起こります。若いデザイナーが新しい国旗のデザイン案を発表することもありますが、一時期話題になってはすぐに忘れられていきます。国旗を巡る問題は根深そうです。

ちなみに国際スポーツの場ではこの国旗は用いられることがなく、中華オリンピック協会の旗で代用しているのはご存知の通り。根深い政治闘争が垣間見えます。

醤油を使って煮込んだ中華料理を「紅焼○○」といいます。醤油の色を赤に見立てた料理名です。赤といえば共産党の代名詞のように使われますが、台湾の国旗にも闘争者の血の色を表した赤色が使われているのを覚えておきましょう。早く争いのない平和な国際社会がやってくればよいのですが、中国と台湾の問題は百年単位で解決を模索していかなければならない気もします。

それではレシピです。





老皮嫩肉|中華風揚げ出し卵豆腐

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
卵豆腐で作る揚げ出し豆腐『老皮嫩肉|中華風揚げ出し卵豆腐』のレシピを紹介します。和風の揚げ出し豆腐と違って少々ピリ辛、花椒も加えて四川風に仕上げます。

過去に紹介した同名料理はこちら

卵豆腐は出汁と卵を混ぜて蒸して作る食材で、豆腐と名前は付いていますがダイズは使っていません。日本生まれの純和風食材で、中国に逆輸入されて様々な料理に用いられます。

大陸部では日本のように卵豆腐をそのまま食べる習慣はありませんが、台湾ではプリンのようにそのまま食べる人もいます。たぶん日本統治時代の習慣が残っているのでしょう。台湾では日本語そのまま「卵豆腐」の名前で売られているものもあります。小さい頃はおやつ代わりに食べていたという台湾人も多いようです。

卵豆腐は厳密には豆腐ではありませんが、揚げることで厚揚げのような外皮を作ることができます。今回のレシピでは卵豆腐の揚げた外皮にソースを絡めて作ります。和食由来の料理なので名前もそのまま『揚出(蛋)豆腐』とかになりそうなものですが、中国語では老皮(揚げた衣) + 嫩肉(柔らかい肉)と別の名前が付けられています。

和食の料理人が作った『揚げ出し豆腐』と中華の料理人が作った『老皮嫩肉』。できることなら同時に食べて味や技法を比べてみたいものです。



瓊山豆腐|瓊山風茶碗蒸し

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
広東料理の流れを汲む海南料理『瓊山豆腐|瓊山風茶碗蒸し』のレシピを紹介します。名前に豆腐と入ってはいますが実は茶碗蒸しの一種で、豆腐と食感が似ていることから名付けられました。

瓊山は海南島にある地名で、簡体字の「琼山」と書いた方がなじみがあるかもしれません。もともと瓊山市という独立した都市でしたが、2002年に海口市に吸収合併され、海口市瓊山区となりました。中国最南端の「国家歴史文化名城」に指定されており、美しい自然と歴史文物が多数残されています。いまでこそ海口市の一部ですが、瓊山は唐代から海南島の政治の中心で、今でも海南省の簡称として「瓊()」の字が使われます。

海南島は中国最大の島であり、最南端の省海南省の大部分を占めます。ベトナムやフィリピンと領有権でもめている南沙諸島などもこの省の一部です。南海リゾート地として近年お金持ちの中国人の投資先として人気があり、数多くの高級マンションやホテルが立ち並びます。いわゆる常夏の島で、真冬でも最低気温は15度ほど、夏でも海温の関係で30度を上回ることはあまりありません。

台湾と違い割りと早くから中華王朝の版図に組み込まれており、記録によると漢代には群が置かれていました。その後各王朝の支配を受けたり退けたりしながら、南朝時代に広州の一部となり、唐代に瓊州が置かれました。その後近代まで広東省の一部でしたが、1950年に海南省として独立しました。

そんな瓊山の豆腐を模した伝統料理『瓊山豆腐|瓊山風茶碗蒸し』のレシピです。広東料理のレストランなら大体メニューに載っており、台湾でも食べられます。基本は中華スープで作る茶碗蒸しなので、和食の技も活かせます。


維揚干絲|維揚風豆腐うどん

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
江蘇料理『維揚干絲|維揚風豆腐うどん』のレシピを紹介します。固めの豆腐をうどん代わりに、豆腐を金華ハムと鶏肉で出汁を取ったうどんもどき料理です。『雞火幹絲』とも呼ばれます。おいしいですよ!

料理名にある維揚とは現在の江蘇省楊州市の区名で、おそらくこの地方の料理が元になっているのでしょう。料理名からも分かるように本来はスープがない(干)料理なのですが、レシピでは食べやすいようにちょっとだけスープを加えています。

台湾を旅行で訪れたらもちろん台湾料理を存分に味わっていただきたいのですが、味付けが和食に近くて少し油っこいこともあり、人によっては二、三日で胃が飽きてしまうことも…。そういう時におすすめなのが台北にも多数のレストランがある江蘇料理です。

酢を多用したサッパリ系の料理や、薄めの味付けで素材の味を生かしたあっさり系の料理がおおく、お腹一杯まで食べても胃腸がもたれることは少ないと思います。(…台北で食べる限りは…。)濃い味付けの料理もありますが、メニューに写真が載っている店が多いのでそこは見た目で選びましょう。

筆者も日本のお客さんを案内するときに「今日はもうあっさりしたのが食べたい」というリクエストがあると、江蘇料理のレストランに連れて行きます。日本ではなかなか食べる機会のない本格江蘇料理、台湾滞在が長くなれば一度くらい味わってみるのをお勧めします。


黑豆漿|黒豆の豆乳

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難易度:☆ 調理時間:下準備 + 30分以内
前回の『豆乳』とほとんど変りませんが…、黒豆で作る『黑豆漿|黒豆の豆乳』のレシピを紹介します。ダイズの一部を黒豆で置き換えて作ります。全量を黒豆で作るわけではありません。

黒豆はダイズの変種で、果皮にアントシアニン系の色素を含むため黒くなりますが、他は普通のダイズと同じです。

アントシアニンは「ブルーベリーで視力回復!」とか「赤ワインで健康に!」などの正体になる成分です。今回はアントシアニンについてちょいと難しいことを書きます。興味がない方はレシピに飛びましょう。

アントシアニンは高等植物によく見られる赤、青、紫などの色を呈する色素です。通常は配糖体の形で細胞内に存在します。アントシアニンから糖の部分を除いた部分をアントシアニアジンと呼び、三つの炭素環を持つフラボノイドの一種です。フラボノイド部分はどの植物も共通で L-フェニルアラニンというアミノ酸から生合成されます。

構造式の独立したベンゼン環部分に何個の水酸基が付くかで色が変わり、少ないほど赤色に、多いほど青色になります。この部分の水酸基の数によって、一つ:ペラルゴジニン、二つ:シアニジン、三つ:デルフィニジンと分類されます。デルフィニジンを合成する酵素を細胞に組み込むことで、近年開発されたいわゆる「青いバラ」や「青いカーネーション」が生まれたのです。

実はデルフィニジン単体のみでは青紫程度の色にしかならず、ツユクサやアジサイのような鮮やかな青色にするにはもう一工夫する必要があります。この一工夫が金属錯体の形成という手法で、鉄やアルミニウムイオンをデルフィニジンと共存させると青色が強まるという傾向があるのです。実は赤のアジサイも青のアジサイも細胞内にあるアントシアニン種類も量もほとんど変らないのですが、土壌に含まれるわずかなアルミニウムの量によって花(がく)が青くなったり赤くなったりします。上手くすればアジサイやの色を変えるのも可能ですので、園芸を趣味にする方は調べてみましょう。また黒豆を煮るときに発色を良くするため鉄釘を加えるという知恵もここからきています。

自然界のさまざまな「色」がどのような仕組みで発色しているのかはまだよく分かっていないものも多く、世界各地で研究が行われています。自然界の色がどのようにして発色しているかという研究は、実は日本が世界に誇る研究分野でもあります。興味深い研究結果が毎年のように出てくるので、園芸や色に興味がある人は自分で調べてみましょう。世界中で騒がれているブルーベリーで視力回復!とか赤ワインで健康に!とかは、実は日本人の研究によるところが大きいのです。

黒豆の豆乳が飲みたくなってきましたか?ぜひ自作してみてください!


豆漿|豆乳

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難易度:☆ 調理時間:下準備 + 30分以内
作り方さえ知っておけばいつでも家庭で作れる『豆漿|豆乳』のレシピです。パックに入ったものを買うより安上がりなので、毎日寝る前に仕込んでおけば翌朝作りたての豆乳が飲めます。ダイズは大体10kgで3~4000円あれば買えると思います。

ダイズは台湾華語では「黃豆」と呼ばれ、これは中国南方の広東語や福建語が元になっています。中国の普通話では「大豆」です。日本でも大豆です。ダイズの原産地は中国北部といわれており紀元前4000年頃から栽培されていたと考えられています。

中国原産でこれだけ長い歴史があるのですが、西洋には日本の「醤油」の原料として割と近代に入ってから伝わり、そのため西洋のほとんどの地域ではショーユ(オランダ語:soya)由来の soy bean などの単語で呼ばれています。もし中国から西洋に伝わっていれば… dadou beanとか呼ばれていたんでしょうか。

日本では食用ダイズの約半分が豆腐に、一割が納豆に、約5%が豆乳に加工されています。ミキサーさえあれば豆乳を造るのは簡単なので、ぜひ自作してみましょう。


芹菜炒透抽|イカとセロリの中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
シンプルな材料で作る『芹菜炒透抽|イカとセロリの中華炒め』のレシピを紹介します。イカとセリをゴマ油で炒めた料理です。ほぼ一瞬で作れるので、レシピを覚えておきましょう。

この料理で使う「芹菜」とは学名を Apium graveolens という植物で、正式な中文名を旱芹といいます。台湾ではもっぱら芹菜、西洋芹と呼ばれ、全草を食用にします。中華料理ではごく一般的な食材です。他にも西芹、芹菜、富菜、藥芹などの別名があります。

ヨーロッパから中東にかけての地域が原産で、整腸、強壮の薬用植物として長い使用の歴史があります。17世紀に入るまでは食用に用いられることはほとんどありませんでした。その後世界中に拡散して多くの品種を生みました。戦国時代に日本にも伝わったそうですが、香りが強すぎるとして忌避され定着することはありませんでした。中国の芹菜もその改良された品種の一つです。西洋の品種とは香りや形が異なるので食べ比べてみましょう。日本でも「キンサイ」などの名前で手に入ります。

日本でも西洋料理の食材としてよく使われますが、食用にはいくつか注意が必要なので覚えておきましょう。まず、種。セロリは種も食べられますが、種に含まれる油には子宮収縮作用があるため妊婦に飲ませてはいけません。そしてセロリはソラレンという物質を含み、紫外線による「光線過敏症」を起こす可能性があります。7-8時間で体内で分解されるので、セロリはできるだけ晩御飯に食べるようにしましょう。


それではレシピです。


蕃茄燒雞肉|鶏肉のケチャップ煮

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
洋風中華『蕃茄燒雞肉|鶏肉のケチャップ煮』のレシピを紹介します。鶏もも肉とトマトをケチャップで煮込んだ料理です。

トマトに含まれる有効成分はリコピンといいます。健康に関心のある方なら良くご存知でしょう。リコピンは抗癌、抗高血糖など様々な効果を持ちますが、これらの薬理効果はすべてリコピンの持つ抗酸化作用に由来します。

リコピン(最近はリコ"ペ"ンと呼ぶことのほうが多いです)は、カロテノイドの一種です。カロテノイドとは天然に存在するC40H56の化学式を持つ色素の総称で、リコピンの他にもニンジンのβカロテンなどが有名です。炭素と水素だけから成るものをカロテノイド、窒素や硫黄を含むとキサントフィルと呼びます。リコピンは炭素と水素だけからなるのでカロテノイドの一種です。カロテノイドは極性がほとんどないため水には溶けません。リコピンは13個もの二重結合を持ち、この二重結合により強力な抗酸化作用(還元作用)を示します。…この辺は大学専門教育のレベルなので、興味がある方は生化学などの教科書を買って読んでみましょう。

というわけでリコピンはその優れた抗酸化作用と"無害性"から、健康食品として、また食品添加物として世界中で利用されています。過熱で変性もせず、むしろ加熱することで体内への吸収が増加します。「トマトが赤くなると医者が青くなる」という格言の通り、まさに悪いとこなしの食品です。

トマトは鶏肉との相性がよいので、世界各国各地域で様々な料理が生まれています。いろんなトマト料理を身に付けて健康に過ごしましょう。

揚州炒飯|揚州チャーハン

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
中国ではチャーハンといえばこれ!数あるチャーハンの代名詞ともいえる『揚州炒飯|揚州チャーハン』のレシピを紹介します。具は基本的に自由!今回はチャーシューとエビで作っていますが、何でも加えて作りましょう。

この『揚州チャーハン』は名前に揚州とは入っていますが、揚州とは関係がないという不思議な料理です。

揚州は江蘇省の都市で、漢代に開かれ、唐代に大運河の集積地として発展しました。8世紀には中国最大の国際港としてアラブやペルシャの商人らが集まって発展し、当時は世界最大級の都市のひとつでした(ほどなく大虐殺があって衰退します)。

揚州といえば…日本には馴染みの深い「鑑真」の出身地です。彼は日本に渡る前、今もこの地に残る大明寺という寺で修行を行っていました。

彼が日本に渡った経緯をざっくり説明すると…。

当時の日本は仏教伝来から間がなく、僧となる人は自分で「俺、今日から出家して僧やるわ」と宣言すれば誰でも僧となることが出来ました。そのため仏法をないがしろにするものが多くあり、きちんと認められて僧になった人たちから批判が出ていました。

他の僧10人に認められて僧となることを受戒といい、天皇家はこの受戒の制度を公式化しようとしますが、そのために大量の「正式な僧」が必要となりました。すでに日本に渡っていた幾人の中国僧から受戒を行える僧として高名だった鑑真の元に僧を送るよう要請があり、鑑真は弟子らに日本へ行ってくれないかと要請します。しかし危険を犯してまで日本へ渡ろうとするものがなく、鑑真は仕方なく自身が日本へ赴くことを決断します。それを知った弟子たちはその姿に心打たれ自分たちも日本へ渡ることを決意するのです。鑑真と共に日本へ渡ろうとした弟子は21人。ただし全員が全員本気で日本へ渡りたいとは考えていなかったようです。

ご存知のように彼が日本へ渡ろうとする試みはことごとく失敗に終わります。

初回は日本へ渡るのを嫌がった弟子の虚言により日本からの使者が捕縛され出港停止。

二回目は暴風雨で出港後の船が中国に帰還。

三回目も鑑真の弟子が渡日を阻止するため日本からの使者を密告し、出港停止。

四回目は港を変えて出航を試みますが、ここでも弟子の密告により出港停止。

五回目はようやく出航できましたが、またも暴風雨にあい漂流。この時は海南島に漂着し、そこで一年間滞在して医薬品の知識を広めました。海南島から揚州に戻る途上で日本からの使者が死亡、動揺した鑑真はなぜかインドへ向かおうとしますがこれも弟子らに止められます。また鑑真は揚州に戻る途上で伝染病と疲労により両目を失明してしまいました。

六回目、いよいよ渡日の決意を固めた鑑真は帰国する遣唐使らと共に、日本へ渡ろうとします。しかしここでも鑑真の才能を惜しんだ皇帝によって乗船が阻止されてしまいます。日本人は遣唐使一行が乗った船ではなく、その随伴船に紛れ込ませる形で鑑真を乗せようやく出航することができました。ここでも暴風雨にあって遣唐使一行を載せた主船は南方へ漂流してしまいますが、運よく鑑真の乗った随伴船は「阿児奈波(あこなわ)」という島を経由して日本へ無事到着することができました。この阿児奈波は沖縄が文献に登場する最初の例とされています。

最初の渡航失敗が743年、六回目の成功が744年で、およそ十年を日本への渡航へ費やしたこととなります。

日本へ渡った鑑真は東大寺で受戒の任に当たり、多くの仏僧を生み出しました。鑑真により日本の仏教は急速に制度化されていきます。763年没。没後、その死を惜しんだ弟子により日本最初の肖像彫刻が作られました。鑑真の功績は779年に編纂された《唐大和上東征伝》という書物に詳しく描かれています。原文は漢文ですが日本語訳注した論文が見つかったので紹介しておきます。なかなか読み応えがあって面白いです。(Link→http://ci.nii.ac.jp/els/110006992665.pdf?id=ART0008904775&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1453364012&cp=

そんな鑑真の故郷の名前を冠したチャーハンをお楽しみください。もう一度書きますが、名前に揚州とは入っていますが、揚州とは関係がありません(笑)。

過去に紹介した同名料理のレシピはこちら



寶島炒飯|宝島炒飯、フォルモサ炒飯

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
炒飯シリーズ第五弾!台湾の美称である宝島の名を冠した『寶島炒飯|宝島炒飯、フォルモサ炒飯』のレシピを紹介します。鶏肉、タマネギ、ニンジン、エビなどのオーソドックスな具材のみで作る普通の炒飯です。

清朝が本格的に領地に組み込む前、台湾の一部はオランダ(とスペイン)により支配されてていました。国としての支配というよりは会社経営の一環でしたが、この時代を台湾のオランダ統治時代と呼び、台湾が始めて歴史の表舞台に登場する重要な時期です。

当時は大航海時代、インド航路を開拓した列強はその海路をアジアまで延ばしていきました。マカオを租借したポルトガル、フィリピンを拠点としたスペイン、インドネシアを拠点としたオランダなど、各国列強はアジア進出に躍起になっていました。時期でいうと16世紀の後半、この時代の西洋の交易船(や宣教師ら)は日本にも到達し、日本も本格的に西洋文明と接触することになりました。西洋の交易航路上にあった台湾で仕入れた鹿の皮は当時の武具にも使われています。

オランダは1624年に台南に拠点を、スペインは1626年に基隆に拠点を築き、本格的な台湾支配を始めました。もちろん平和に共存していたわけではなく、1642年にオランダによってスペインの拠点が陥落、オランダ一強時代がしばらく続きました。この頃対岸の明朝では王朝交代劇があり、清朝支配を逃れた明の流民が台湾に大量に流入して来ました。その中には台湾中興の祖とされるかの有名な鄭成功の姿も。彼によりオランダ軍は打倒され、1662年に台湾から完全に撤退することとなります。この1624年から1662年までの37年間を台湾オランダ統治時代と呼びます。これ以前の台湾の歴史は遺跡から推測することしか出来ません。

この時にオランダ人が用いていた台湾の名称が「フォルモサ(麗しき島)」で、台湾の別名として今でもヨーロッパ各国で用いられます。漢字で書くと「美麗島」、「寶島(宝島)」で清朝が名付けた「台湾」という名称を嫌うシチュエーション(たとえば鄭成功と共に台湾に渡った漢人の子孫らがつかったり、生粋の台湾人が特別な愛国心を示したりする場合など)で現在も使われます。宝島の方はほとんど使われませんけど…。

そんな台湾の美称を関した炒飯です。 できれば台湾産の三星(タマネギ)、旭陽(ニンジン)、明蝦(ブラックタイガー)、そして台湾の米を使ってオール台湾産の材料で作りたいところです。


松子雞丁炒飯|松の実と鶏肉の炒飯

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
炒飯シリーズ第四弾!松の実で作る『松子雞丁炒飯|松の実と鶏肉の炒飯』のレシピを紹介します。栄養豊富な松の実(松子)をメインの具に、鶏肉やグリーンピースをあわせて作る炒飯です。松の実以外の堅果類を使って作ってもおいしそうです。

松の実は堅果類に分類される食材で、台湾や中国では健康食品としても人気があります。重量の約15%をタンパク質が占め、古来より貴重な蛋白源として食用にされてきました。日本の松からは極小さな松の実しか取れないので、諦めて輸入品を購入しましょう。台湾で売られている松の実も中国北部産のものがほとんどです。

松の実にはピノレン酸という特殊な脂肪酸を含みます。ピノレン酸はよく知られた必須脂肪酸の一つγ-リノレン酸(いわゆるオメガ6必須脂肪酸などと呼ばれるものの一つ)の構造異性体で、全ての二重結合がシス結合になっているという自然界ではとても珍しい脂肪酸です(脂肪酸やシス-トランス異性体などの説明は省きます)。

なんとこのピノレン酸には食欲抑制作用(をもつ生理物質の生産促進作用)があり、ダイエット食品としても研究が進められています。また悪玉コレステロールの低下作用もあるそうで、現代人には極めて有用な効果があるようです。まぁ松の実自体のカロリーが高いので相殺…てとこでしょうか。

台湾では煎った松の実をお菓子代わりにして食べることもあります。

ちょっと珍しい食材も炒飯の具にしてしまえば何とでもなります。松の実に限らず調理に困る食材を手に入れたらひとまずご飯と混ぜて炒めてしまえば良いのです。皆さんがよく知る有名な中華料理にも、そうやって料理人の気まぐれから生まれたものがあるのですから。



福建炒飯|福建風チャーハン

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
チャーハンシリーズ第三弾は『福建炒飯|福建風チャーハン』のレシピを紹介します。第一弾に紹介した『黄金炒飯』の上に野菜や肉をオイスターソースと醤油をベースに作った餡をかけて作ります。おいしいですよー!

今回は台湾観光協会作製の日本語版の台湾の観光地図を紹介します。

(地図をクリックで拡大します)

台湾の地名や地理がよく分かるすばらしい地図で、なんといっても日本語なのが良いですね!特に道路や高速道路の連結がわかりやすいので、台湾で車を運転しながら観光したいという方におすすめです。

そういえば台湾では日本の免許証が使えるのご存知でしたか?もちろんそのままではダメですが、(公財)交流協会台北事務所などに申請することで2-3日で免許証の翻訳をしてもらえます。詳しくは自分で検索してみましょう。免許証の(公式な)中文翻訳を免許証と一緒に持ち歩けば台湾での運転が可能になるというわけです。レンタカーやレンタルスクーターも借りられます。入国後1年以内は有効なので、年に何度も台湾を訪れるという人は一度申請しておけばしばらく使えます。(滞在が更に長期になる人は、日本の免許証を持っていれば台湾の免許証を無試験で申請できます。)

台湾には車でないとなかなかいけない有名な観光地というのも多いので、勇気を出して申請してみてはいかがでしょうか?走行方向が逆なのを心配する人もいますが、実際に運転してみれば数分で慣れます。地図を片手に新しい場所へ!台湾のより楽しみたいならぜひ!

それではレシピです。



青椒牛肉炒飯|チンジャオロースーチャーハン

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
定番中華『青椒肉絲』をチャーハンにした『青椒牛肉炒飯|チンジャオロースーチャーハン』のレシピを紹介します。本来は豚肉で作るものですが、今回はチャーハンということで牛肉を使っています。ピーマンの苦味と甘み、牛肉のうま味を楽しみましょう。

ピーマンはナス科でトウガラシの栽培品種であることは当ブログでも何回も紹介しました。あらためて書いておくと、トウガラシとピーマンは同じ植物で、品種が違うだけです。もちろん交配も可能です。

ところで一時期日本でも流行した強烈な辛さを持つ「ハバネロ」というトウガラシは皆さん覚えていらっしゃいますか?実はこのハバネロはトウガラシとは別の種なのです。一般的なトウガラシには多くの品種があり、それらはまとめて Capsicum annuum という種に分類されます。ピーマンや鷹の爪はこれの品種名です。ところがハバネロは同じトウガラシ属の C. chinense という種の一品種で、別種の植物なのです。ちょっと驚きですね?他にもタバスコに使われる タバスコペッパー も学名を C. frutescens といい別種です。トウガラシ属には他にも20-30の種があり、品種改良はもとより現在も毎年新たな種が発見されつづけているHotな分類群です。色も形もそして味も多種多様なトウガラシの仲間は人々を魅了してやみません。

世界のトウガラシを網羅した図鑑があれば手に入れて見たくなりませんか?…筆者はなります(笑)。


黃金蛋炒飯|黄金炒飯

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
しばらく王道のチャーハンシリーズをやりたいと思います。第一弾は『黃金蛋炒飯|黄金炒飯』のレシピです。卵とご飯、塩胡椒のみで作ります。

チャーハンに代表される「炒め料理」は伝統的な和食には存在しません。これは近代に入るまで日本では油が極めて貴重な品であったためです。織田信長が楽市楽座でそれまで寺社が独占していた油の流通を開放してからも、油はもっぱら燃料として使われるばかりでこれを使って料理を作るという発想は江戸後期まで出てきませんでした。

油を使いまわせるてんぷらなどの料理は割と早くから発達していきましたが、高火力で油をひいた鍋で食材に火を通す「炒」の手法は沖縄経由で中華の技法が伝わったもので、『○○炒め』と名前のついている料理は全て近代に考え出されたもの、または中華料理が起原です。

マンガなどではよく現代の料理人が過去の世界で腕をふるうというテーマが描かれます。食材や調味料の入手に悪戦苦闘しながらも現代料理を再現するのが定番のストーリーです。逆に古代の宮廷料理人などが現代に集って活躍する話というのも読んでみたいものですね。

中国の古い小説というのも数多くありますが、料理をテーマにしたものはまず見当たりません。現代の物語が古典と呼ばれるようになる遠い先の未来、その時代の作家はどんな料理人を現代に送り込んでくるのでしょうか?楽しみですね。



香蔥雞絲銀芽|モヤシとネギと鶏ササミのサラダ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
さっぱりとした前菜料理『』のレシピを紹介します。ごま油を使って中華風に仕上げた冷菜で、砂糖醤油ベースのドレッシングをかけてたべます。野菜と鶏肉にドンピシャで火が通ると驚くほどおいしく作れます。

台湾料理で時々見かける「絲(si1)」の字は日本でも古くは「糸(シ、mi4)」の旧字体として使われていました。しかしよくよく考えてみると「糸」の字が先にあって「絲」の字が生まれたと考えるのが自然です。それなのに「絲」のほうが旧字体とはどういうことでしょう?

「糸」はご存知の通り細長いものを寄り合わせたものを表す象形文字です。更に古くは糸の上の部分「幺(ヨウ、yao1)」であり、縄をあらわす「玄(ゲン、xuan1)」とも関連があります。「幺」が「切れ目のなく続く長いもの」をあらわす象形文字で、それの上下を束ねたのが「糸(下の部分にだけ束ねた形が残っています)」、片側だけを結んだのが「玄」となりました。順番としてはもちろん「糸」が先ですが、この字は古文でほとんど使われることはなく、絹糸をあらわす漢字として絲が用いられるようになり、この字のほうが一般的になりました。幺からは「幻」、「幼」、「奚」、「率」、「後」などの漢字が、また玄から「玄」、「畜」、「蓄」などの漢字が生まれました。どれも「細長くか弱いもの」、「切れ目なく続くもの」、「縄」と関連があるのがお分かりかと思います。糸からは「線(泉から流れる一本の水流)」、「經(横糸をめぐらせたもの)」、「素(加工していない糸、生糸)」、「綴(糸で描いた模様)」、「紐(手で縛った糸)」、「絶(刀を持って糸を断つ)」など数々の漢字が生まれました。

また手で数本の糸を持った形の「系」や、二本の糸で二つのものをつなぐ形の「兹」という漢字もあります。どちらも糸から派生した漢字ですが、トーナメント表のような「系」と、= や ⇔ のような「兹」のイメージの違いはなんとなく分かってもらえるのではないでしょうか?「縣(県)」、「孫」などと「慈(たくさんの子供を生んだ母の心)」、「聯(連絡の連はもともとこの漢字、聯盟など)」、「關(閉の旧字)」のイメージを比べてみるとなるほどちょっとイメージが違いますね。

幺から派生した漢字はまだまだあります。二つの幺の間に何かを挟んだ漢字、例えば「樂(楽)」、「幾」、「幽」などは「似たようなものからわずかな違いを引き出すこと」といった意味が生まれ、楽器、攻防の機微、幽玄さなどの意味を生み出しました。楽の字の真ん中の「白」は親指を表していますが、これを音を表す「言」に変えたものが「變」の上の部分で、楽器の音、長く続く美しい音を表します。それを工具をもって調節することを「變(変)」、美しく続く心の音を「戀(恋)」、楽器の曲線を「彎」などなど…数多くの漢字を生み出しました。一つずつ見ていくとキリがないのでこの辺で止めときましょう。

それではレシピです。



老燒蛋|中華煎り卵

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
上海料理でもあり台湾では眷村に伝わったとされる『老燒蛋|中華煎り卵』のレシピを紹介します。ニラ、キクラゲ、豚肉などの食材を溶き卵で閉じた料理です。材料の下処理が終われば調理はすぐに終わります。

上海料理として知られていますが、もともとは浙江省寧波の貧しい農民らが食べていた『老少卵』という料理が元になっています。「少」と音が同じ「焼」に名前が変わり上海へ、また国民党軍により台湾へと伝わりました。 ありあわせの食材を千切りにし、卵で閉じて食べるというシンプルな料理でしたが、今では食材や調味料が進化して一品料理として完結しています。

台湾では浙江省出身の軍人が住む眷村(退役軍人村)でだけ食べられていたマイナー料理でしたが、中国語の交流が盛んになるにつれて再発見されました。とはいえこの料理が食べられるレストランも多くないので、自分で作ってしまいましょう。



糊辣炒蝦|四川風エビ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
四川風のエビを使った料理『糊辣炒蝦|四川風エビ炒め』のレシピを紹介します。素揚げしたエビを調味料で炒めた料理で、強烈な辛さが特徴です。おつまみにぜひ。

1980年代の台湾ではエビの養殖が一大ブームとなり、アジア各国に盛んに輸出されました。80年代の日本ではブラックタイガーといえばほとんどが台湾産のもので、ある程度の年齢以上の人はほぼ間違いなく台湾産のエビを食べたことほど普及していました。

しかしそれも過去の話、1980年代の終わりと共に台湾のエビ養殖産業は急速に衰退し、代わりに台湾の技術提供を受けたタイやインドネシア産のエビが台頭し始めます。この時期なぜか台湾中の養殖エビがウイルスにより大量死してしまったのです。高密度養殖が原因であるとか、施設の老朽化が問題であったなどと言われていますが、はっきりとした原因は分かっていません。今では安いエビはほとんど全て輸入品に取って代わられています。

日本は"世界最大"の養殖エビの輸入国です。もともとエビは縁起物で天然物は高級品でしたが、養殖技術の進歩と共に低価格化し、大量に輸入されるようになりました。日本は世界最大の水産物輸入国でもあるのですが、そのおよそ17%前後をエビ(およびその加工品)が占めます。第二位はマグロです。

台湾のエビ養殖がほぼ全滅してから、主要な輸入元はインドネシアやタイへ移りました。しかし現在、過去台湾で起きたエビの全滅の兆候がタイ、インドネシアでも起こりつつあります。原因不明のウイルス流行により生産高が激減しているのです。養殖池の設備を刷新して密度を下げれば良いのですが、それには大量の設備投資が必要です。簡単には大量の抗ウイルス剤を養殖池に投げ入れれば良いのですが…、養殖業者がどちらの方法を取るのかは明らかです。

台湾では時々輸入エビを「藥蝦」、「毒蝦」などと揶揄するニュースが出回ります。台湾以上にエビの輸入が多い日本、消費量が多いからこそ安全な食品を食べたいものです。




碧玉金針|金針菜の中華炒め

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難易度: 調理時間:30分以内
台湾東部で食べられる季節料理『碧玉金針|金針花の中華炒め』のレシピを紹介します。中華料理ではスープの出汁取りに使われる「金針菜」の生のつぼみを豚肉と炒めた料理です。乾燥させたものは年中手に入りますが、生のつぼみは食べる季節が限定されます。

料理名にある碧玉とは金針菜の色づく前のつぼみの色を喩えています。美しい緑色で、ヤマイモの白との対比が非常に美しい料理です。

台湾や広東料理で特にスープ取りに使われる「金針菜」は和名がありませんが、類似の植物と混同されてよくワスレグサと呼ばれます。ワスレグサは狭義にはワスレグサ単体、学名 Hemerocallis fulva、中国語の正名「萱草」という植物を指しますが、広義にはワスレグサ属の全ての植物を指します。なので日本で金針菜をワスレグサと呼んでも間違いではないのですが、金針菜には和名がないことは覚えておきましょう。ヤブカンゾウやニッコウキスゲやユウスゲもワスレグサ属の植物です。ワスレグサ科の多くは食用になります(保護されている地域では採取しないように!)。属名はラテン語の「Hemera(日) + kallos(美)|一日だけの美しさ」という言葉が由来になっておりその名の通り一日ちょっとで花が萎れてしまいます。ロマンチックですね。

中国でも自生しており、古くから薬用植物としても使われてきました。台湾には1661年に華南地区から持ち込まれ、現在は花蓮、台東地区で盛んに栽培されています。金針菜は別名で、他にも忘憂草、黄花菜、宜男草、療愁、鹿箭などの名前があります。

☆ワスレ"ナ"グサ(正式な和名エゾムラサキ)とはまったく別物なので注意。

食材としての金針菜は開花直前のつぼみ紅色を摘み、蒸してから乾燥させたものを使いますが、この料理では色づく前のつぼみを用います。数日待ったほうが価値が上がるのでなかなかつぼみを生食するということがなく、つぼみを採取できる時期は1ヶ月ほどなのでその時期しか食べられません。

調べたところ日本でもヤブカンゾウなどのつぼみを食べる地域があるそうで、そういう場所に行けば手に入れることが出来そうです。種は違いますがヤブカンゾウのつぼみを売っているのを見かけたら作ってみましょう。ちなみに旬は8から9月です。



豆腐蒸魚片|白身魚と豆腐の中華蒸し

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
豆腐と白身魚を組み合わせた『豆腐蒸魚片|白身魚と豆腐の中華蒸し』のレシピを紹介します。見た目も美しい高級料理ですが、自宅で簡単に再現できます。

中華料理には様々な豆腐が存在します。 今回は色々な豆腐をざっと見てみましょう。

板豆腐:
いわゆる木綿豆腐で、普通豆腐といえばこれを指します。傳統豆腐、老豆腐、水豆腐などとも呼ばれます。

嫩豆腐:
絹ごし豆腐です。木綿豆腐に比べて水分の保持量が多く滑らかな口当たりが特徴です。

油豆腐:
厚揚げのことです。四角や三角などの形状のものが売られています。

臭豆腐:
普通の豆腐にひと手間加えて発酵させたものです。日本人は苦手な人も多いですが、はまると抜け出せなくなります。台湾を代表する発酵食品です。

豆干:
豆腐を醤油で煮込んだ後に乾燥させた加工品です。普通の豆腐よりも硬く、弾力があります。

素鶏:
菜食主義者が肉の代わりに食べるもので、豆腐の加工品です。薄切りにした豆腐を何層にも重ねたり巻いたりして、水分を絞ることで製造します。きちんと調理されたものを目をつぶって食べると本物の肉と区別がつきません。素火腿、素鰻魚など肉類を模した加工品はほとんど全て豆腐から作られています。

豆泡:
さいの目に切った豆腐をサクサクになるまで油で揚げたものです。中空状態でスープのうま味をよく吸い、紅焼料理などに用いられます。

鶏蛋豆腐:
卵豆腐のことです。卵と出汁で作ったプリンのような食材で、豆腐の代用品として鍋などに入れて使われます。

いかがでしたでしょうか?日本ではなじみのないものがたくさんありますね。特に素鶏を加工した量利は日本人にもおすすめ!台湾の素食店で食べると、きっと驚かれることでしょう。

それではレシピです。

咖哩麵|台湾風カレー焼きうどん

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾北部の七堵の名物料理『咖哩麵|台湾風カレー焼きうどん』のレシピを紹介します。茹でたうどんをカツオ風味のカレーソースに絡めて厚揚げと一緒に食べるというなんとも和風な料理です。

この料理を名物とする七堵は台北から基隆に向かって北上、新北市の石碇を超えてすぐの基隆市七堵区のことです。清末に基隆廳石碇堡と呼ばれていた地域の一部が、日本時代に基隆市の行政区画とされ、現在に到ります。基隆市で最大の面積を誇る区です。最大の面積を誇るだけあって…田舎です(笑)。その唯一の名物が今回紹介する『咖哩麵|台湾風カレー焼きうどん』です。日本のカレーうどんのほうが確実においしいですけど…(笑)。七堵という地名は清代から存在していたそうです。

さて、"七"堵と頭に数字がついていますがもちろんすぐ付近には五堵、六堵、八堵(以上全て基隆市)と四堵(新北市坪林)という地名があります。現地在住者には高速道路の出口がある五堵や八堵のほうが有名でしょうか。

そしてなぜか基隆から遠く離れた宜蘭縣の冬山鄉に頭堵、二堵、三堵という地名が存在するのです。一(頭)から八まで重複なく順に、しかし遠く離れた土地にこのような地名が有るということで、多くの人がこの謎を研究しました。いくつかの研究結果を紹介します。

最初にこの謎に挑んだのは日本統治時代に台湾の地名を研究した安倍明義という人。彼は《台灣的地名研究》という本の中で、「堵とは原住民の築いた土垣または坂の意味である」としていますが、解説がこれだけで詳しい説明もなく、根拠にも乏しいため余り支持されていません。

続いては中国紫禁城の城郭を数える単位である「開間(9999の部屋)」という単位を堵という漢字で表していたという説で、これが台湾に伝わる途中で城郭の一辺の長さを表す"方言"単位として用いられたことがあり、それが地名の由来になっているという説。上の安部の説とも一部関連し、有る程度信憑性もあるのですが、基隆河に沿ってある五、六、七、八堵間の距離がそれぞれ全く異なること、四堵の地名が歴史上もっとも最後に名付けられていること、などからこの説も多くの疑問をはらんでいます。冬山郷の頭、二、三堵も冬山河という川沿いにあります。しかしこちらは基隆河沿いに数キロに渡って離れている○堵と違って、ほとんど数十から数百メートルしか離れていません。距離が全く異なるため冬山郷の「堵」は客家語の「肚(まとまり)」の音が転じたものであるという説もあります。

○堵に関する問題は今でも好事家による研究が進められており、様々な台湾の地名に関する本にも登場します。なかなか面白い説は、堵は川沿いの小山の名前だったというもので、もともと基隆河沿いの目印となる小山に頭堵から八堵まで順番に名前がつけられており、頭の部分の地名ば居住空間と近かったこともあり、早期に「○山」に変わってしまったのではないかという説。頭堵は基隆河の支流が分かれる現在の台北市「圓山」で、以下台北市でも早期に川沿いの港として発達していた松山、汐止の横科山などが二堵三堵の候補として挙げられています。他にも河を小船で登る時の時間を元に名付けられているといった説や、手書きの地図を元に大体等間隔で書かれていたものが、測量の結果距離が離れてしまったという説などいろいろな考察があります。

案外なんの謎でもなんでもなく台湾のことなので「占いで適当に付けた」というのもありえます(笑)。

そんな七堵の数少ない名物の一つ『咖哩麵|台湾風カレー焼きうどん』のレシピです。おいしくアレンジできれば新しい七堵の名物として脚光を浴びることも…あるかもしれません。



芙蓉明蝦│クルマエビの中華蒸し

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
クルマエビなどの中型のエビを使った『芙蓉明蝦│クルマエビの中華蒸し』のレシピを紹介します。エビに醤油ベースのソースをまぶし、蒸して作る料理です。慣れると10分ほどで作れます。調味料を変えると風味がガラリと変わるので、レシピの醤油代わりに好みの調味料を使って作ってみて下さい。

料理名にある「明蝦」は学術的にはただ一種、学名 Penaeus chinensis中国語の正名を「中國對蝦」というエビのことを指します。ただし台湾の水産市場では体長15-20cmほどのエビは全て「明蝦」と呼ばれています。ブラックタイガーもクルマエビも同じ属で台湾では同じ「明蝦」の名前で売られています。そのため「ダマシ」も多いのですが、普通の人は気付かないので余り問題にはなりません。

クルマエビやブラックタイガーの属する根鰓亜目はその他のエビが属する抱卵亜目(大部分の"エビ"とヤドカリ、カニを含みます)とは別の系統に属し、この二つの亜目でほとんど全ての甲殻類が属する十脚目を二分します。亜目が違う…というのを簡単に言うと「イヌ」と「ネコ」くらい違うということです。もし比べる機会があったら、クルマエビと他のエビを比べて見ましょう。頭の中身を比べると分かりやすいかも知れません。

台湾では様々な料理にこの「明蝦」が使われます。おいしく調理するのはもちろんですが、食材に関する豊富な知識も料理には欠かせません。興味のある分野から少しずつ自分で調べてみましょう。

 それではレシピです。

排骨酥湯│骨付きばら肉の唐揚げスープ

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難易度:☆ 調理時間:3時間
台湾ではどこでも食べられる軽食『排骨酥湯│骨付きばら肉の唐揚げスープ』のレシピを紹介します。サツマイモデンプンをまぶしてあげた骨付きばら肉を、ダイコンなどの野菜と共にカツオ出汁で煮込んで作ります。調理時間の大半は豚肉を寝かせておく時間で、実際の調理は30分くらいで終わります。

中国語で豚のスペアリブを排骨(Pai2 gu3)と言います。台湾でも同じく「排骨」と書き、台湾語では「Bai gut」のように「骨」の発音に入声が残っているのがポイントです。日本語の骨の「コツ」の音とも関連があります。

台湾語(閩南語)の漢字音は普通話よりも日本語や韓国語の漢字音に近く、声調を考慮しなければ日本人でも割と簡単に覚えられます。若い台湾人は確実に普通の中国語を話せますが、台湾のお年寄りには台湾語(もしくは客家語と少しの日本語)しか話せないという方もまだまだたくさんいます。また台湾南部に旅行するなら台湾語の数字くらい言えるようになっておくと格段に便利です。

日本人でもちょっと濃い顔つきの人(例えば筆者…笑)は台湾人に間違われ、台湾語で話しかけられるということもあります。旅行者でも簡単な台湾語を覚えておくとコミュニケーションに便利ですよ。

さて台湾語学習の最大の壁は声調変化だといわれますが、教科書に載っているような20-30種類の定型文を丸ごと覚えそれぞれの語や句を入れ替えて文章を作れるようになってしまえば、声調変化はそれほど気にすることはありません。一ヶ月も真面目に勉強すればある程度会話ができるくらいまで身につけられることでしょう。知らない単語を言いたい時は日本の漢字語をそれっぽく音読みすると三分の一くらいの確率で通じます(笑)。

世界のどこでもそうですが、現地語で地元の人とコミュニケーションをとれば予想外のサービスを受けられたりします。海外旅行時はポケット会話などの数ページを丸暗記するくらいの気持ちで望むともっと楽しめると思いますよ。




味噌燒肉│味噌焼肉

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾でも人気の和食『味噌燒肉│味噌焼肉』のレシピを紹介します。味噌を使って豚肉を焼いた料理ですが、ごま油を使っていることで見事に中華の雰囲気が出ています。ご飯に乗せて食べるのが主流ですが、そのままでも十分おいしい料理です。和食のはずなのに中華っぽいという不思議な雰囲気を味わいたい方はぜひ挑戦してみて下さい。

ミソは中国語でも「味噌(Wei ceng)」と書き、日本の伝統食材として広く知られています。大体どの地域に行っても「味噌」の表記で通用しますが、地域ごとの方言音で読むのでパッと聞いただけでは分からないこともあります。本来は別物なのですが、中国の伝統的なダイズ発酵調味料である「(黃)豆豉」などの名称で呼ばれることもしばしばあります。

また広東語では「味噌」ではなく「麪豉」または「麵豉」などと表記し、ミンシーのように発音します。味噌汁は「麪豉湯」でミンシータンです。現地に良く似た食品があるのでしょう。

続いて台湾語、こちらは日本語の発音そのまま「ミソ」でOK。音だけで(正式な)漢字表記はありません。日本語がそのまま残っているのが面白いですね。

ちなみにインドネシア、ベトナム、韓国などのアジア諸国でも日本の味噌は「ミソ」で通じます。ヨーロッパ各国も大体の国で「Miso」のような表記をされ、その土地の発音で読んでいるようです。エスペラント語では「Misoo」、ロシア語では「Мисо」でした(笑)。日本食が世界に広がっていく過程で他にどんな呼ばれ方をしていくのでしょうか?外来語の導入や発音の伝播、変化を探るいい教材になりそうですね。興味がある人は研究してみましょう。

20ヶ国語くらいで「味噌汁が飲みたい」を言えるようになると、いろんな余興に使えそうです(笑)。

それではレシピです。



圓鱈田園煲│タラの中華風土鍋焼き

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の新年が近づいてまいりました。レストランなどで出される豪華な年越し料理を紹介します。第一弾は『圓鱈田園煲│タラの中華風土鍋焼き』のレシピです。大きめに切ったタラの切り身を野菜と一緒に土鍋で焼いて食べます。

今回は中国語の標準名について紹介したいと思います。(今回使う…タラがいい例になります。)

アルファベットを日常で使う西欧諸国では、生物の名前を特定して言う場合はもっぱら「学名」を用います。イヌ(イエイヌ)なら Canis lupus familiaris (属名-種小名-亜種名)という具合です。(もともとイヌは独立した種 C. familiaris と考えられていましたが、タイリクオオカミ C. lupus の亜種であることが分かったので、学名が少々複雑です。)学名はイタリック体で書くのが決まりです。そして属名は同じ文章に何度も登場する場合頭文字にピリオドを打って省略します。

もっと正式に書くなら最後に発見者の名前をつけます。イヌなら C. lupus familiaris L. です。L.は分類学の創始者リンネの略号です。ラテン語なのでそのまま日本語英語で読めば大体通じます。カニス・ルプス・ファミリアリスみたいな発音ですね。

西欧諸国ならこれでいいのですが、問題はアルファベットになじみのない我々東洋の国々、そのため日本や韓国では科や属の名前として「そのグループを代表する種の名称を用いる」ことが認められています。日本語でいうイヌ科イヌ属の"イヌ"の部分がそれです。韓国語でも科や属の字は日本の学術用語をそのまま使っているのでイヌ=개(ケ)なので、개과개족(ケ科ケ属)となります。

さて中国語ではどうでしょう。基本的に日本語と同じように「そのグループを代表する種の名称を用いる」のは同じなのですが、多くの種で属名には科名に別の漢字をつけて呼ぶことになっています。

今回のメイン食材であるタラの中文標準名を見てみましょう。中国語の科名は日本語と同じ「鱈」の字を使った「鱈科」です。(ちなみに…鱈の字は日本で生まれた和製漢字で、中国に逆輸入されて使われています。)タラ科には13(または14)属が含まれます。中文標準名 - (学名) - 和名の順に列記します。和名がないものは空欄です。

極鱈屬(Arctogadus)
北鱈屬(Boreogadus
寬突鱈屬(Eleginus) コマイ属
大眼鱈屬(Gadiculus
鱈屬(Gadus) マダラ属
黑線鱈屬(Melanogrammus
牙鱈屬(Merlangius
小鱈屬(Microgadus
藍鱈屬(Micromesistius) ミナミダラ属
青鱈屬(Pollachius) ポラキウス属
平頭鱈屬(Raniceps
狹鱈屬(Theragra) スケトウダラ属→2013年にマダラ属に変更されました。
長臀鱈屬(Trisopterus) フランスダラ属

どうでしょう中国語ではほとんどすべての種に標準名を制定しているのも違いますが、全ての属名に「鱈」の字が入っているのがお分かりでしょうか?このように中国語では(基本的に)属名を見ればその種の属する科名が分かるようになっています。ただし…近年特にDNA分析により、動物も植物も学名がちょくちょく変ります。そういうときにものすごく対応しにくいのがこの手法の問題です。ちなみに和名のない種は学名をローマ字読みしたものを使います。(Arctogadus →アークトガドゥス属)


料理とは全く関係ありませんが、ひょんなことがきっかけで新しい知識を手に入れるというのはよいことです。心の琴線に触れるものがあれば、どんどん新しいことを学んでいきましょう。そして新しく学んだことは料理などの別の形でアウトプットすると記憶に定着しやすいようですよ(笑)。


 
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