難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の家庭料理『滷肉│中華風豚肉煮込み』のレシピを紹介します。砂糖醤油で炊いて作る豚肉料理です。作る店によって、人によって大きく味を変える台湾人のソウルフード、幼少期に体に沁み込んだ家庭の味といえばこの料理です。
台湾を代表する都市である台北は、台湾にあるそれ以外の都市とは違った趣があります。台湾旅行の回数が多くなってくると台北以外の都市に出かけることもあると思いますが、どこか台北とそれ以外の都市の雰囲気というか、空気の違いというものを感じることができるかもしれません。
台北が台湾の顔となったのは日本統治時代です。当時の台北は台湾の政治文化の中心としての役割だけでなく、全台湾に日本文化を伝える「模範の都」としても機能していました。総督府はそれまでの中華文化の都であった台南より、台北にもたらした日本文化が先進的で先鋭的であることを広告し、事実台北は全台湾の中で最も安全
(ただし窃盗などの小犯罪はほかの地域より多く発生していました)で、おしゃれで、機能的な都市となっていったのです。もちろん地価も上昇し、台北にはお金持ちがたくさん集まることとなりました。当時の台湾の人々はこぞって台北での成功を目指し、地方の優秀な人は総督府などからの援助を受けて(台北に)上京したのです。
日本統治時代に種を植えられた台北偏重の傾向は、国民党時代にさらに強化されていきます。60年代には「重北軽南」という言葉が生まれ、租税の投資に大きな偏在があるとして台湾南部地域から大きな不満が生まれました。長い時間をかけて少しずつ改善されているようですが、この傾向は今でも続いています。こうした不満も前回の選挙に影響しているのかもしれません。
筆者はこの台北偏重の文化が料理の味付けにも影響を与えているような気がします。高収入で高級なレストランが多い台北では、腕の立つ料理人が高級な食材をふんだんに使った料理を作る割合が増えることでしょう。そうすると素材の持ち味を生かした薄味の料理が作られることになり、人々もそれが美味しい料理だと刷り込まれていきます。もちろん台北にすむ全員がそういう料理を食べられるはずはないでしょうが、高級レストランから生まれた薄味の傾向は時間をかけて庶民に浸透していき、それが普通になっていきます。逆に比較的貧しい労働者が多い台湾南部地域では、ブルーカラーを中心に高カロリーで汗で失った塩分を補充できるような濃い味付けの料理が増えていくのでしょう。また台湾北部ではぜいたく品としてタバコや酒が出回ったのに対し、南部では砂糖が重視されていたのも味付けに影響を与えているのかもしれません。
これはあくまで筆者の考察に過ぎませんが、 台湾の北部と南部の料理には明らかな味付けの違いというものがあります。いつかその原因が明らかになるといいですね。
それではレシピです。