本日のレシピは『子薑牛肉絲│牛肉の生姜焼き』、細切りにした牛肉とショウガの食感が楽しい家庭料理です。
中華料理ではほぼ必須の香辛料であるといっても良いショウガは、ショウガ科ショウガ属ショウガという植物が起源で学名を
Zingiber officinale といいます。熱帯アジア原産で紀元前300年頃にはインドで栽培が行われていました。薬学を学ぶ人には食材としてよりも生薬としての方がなじみがあるかもしれません。
FAOのデータベースで2011年と2006年の全世界のショウガ生産量上位10カ国のデータを抜き出してみましたので、比べてみましょう。
2006年 |
生産量(t) |
2011年 |
生産量(t) |
インド |
391200 |
インド |
702000 |
中国 |
290000 |
中国 |
388886 |
インドネシア |
177138 |
ネパール |
216289 |
ネパール |
154197 |
ナイジェリア |
160000 |
ナイジェリア |
134000 |
タイ |
152630 |
タイ |
106710 |
インドネシア |
94743 |
バングラディッシュ |
57000 |
バングラディッシュ |
74380 |
日本 |
38100 |
日本 |
54200 |
台湾 |
29824 |
カメルーン |
40531 |
フィリピン |
27261 |
台湾 |
36617 |
一位二位はインド、中国で変わらずが、インドでは生産量が倍近くまで増えています。また全体としてアジアの国での生産量が多いことが分かりますが、近年はアフリカの国での生産も増えていることがわかります。インドネシアの生産量が半減しているのにも注目です。インドネシアなどは農地を遊ばせている余裕はないはずなので、代わりの商品作物を見つけたのでしょう。
ヨーロッパなどの消費地での需要を満たすために新しい流通経路が構築されているのかもしれません。世界全体の生産量も1,471,542t(2006年)から2,025,571t(2011年)と大幅に増えており、世界的にも需要が増えていることがわかります。なかなか興味深いデータですね。
ショウガは生薬としてもよく使われます。おなじみの本草綱目からショウガに関する部分を抜き出してみましょう。
乾薑
味辛、溫。主胸滿咳逆上氣、溫中止血、出汗、逐風濕痺、腸、下利。生者、尤良。
久服、去臭氣、通神明。生川谷。
《名醫》曰:生楗為及荊、揚州。九月採。
案:《說文》云:薑、御濕之菜也。《廣雅》云:、,廉薑也。《呂氏春秋・本味篇》
和之美者、陽朴之薑。高誘
注:陽朴、地名、在蜀郡。司馬相如《上林賦》、有茈薑雲
体を暖め、血を止め汗を出すなどの効果があり、生なら更に良いとされています。現代日本の漢方薬では生姜(ショウキョウ)と呼ばれる生薬のことです。紛らわしいことに食べ物の生姜(ショウガ)と生薬の生姜(ショウキョウ)は同じ漢字でも乾燥させているかどうかの違いがあります。生のショウガに含まれる辛味成分ジンゲロールは乾燥させると脱水反応を起こし、ショウガオールと呼ばれる辛味のより強い成分に変わるのです。薬学を学んだことのある人は生薬学の授業で教えられると思いますが、はたして覚えているでしょうか(笑)。
更にややこしいのは、日本の漢方で使う「生姜(ショウキョウ)」は中国や台湾では「乾姜(カンキョウ)」と呼ばれ、同じ植物を別の方法で処理したものを指すのです。日本で乾姜とよばれるものは、台湾や中国では「煨薑」や「炮薑」と呼ばれます。(薑は姜の古字。)
よく使う「黄耆(オウギ)」も台湾では別の生薬を指すことが多い(
→過去記事参照)ので、日本の漢方薬の処方箋を台湾に持ち込んでそのまま作ってもらうと、まったく別の薬が出来上がるなんてこともしばしば…。まぁ、知っていればいいだけなのですが、この辺が海外で漢方薬を扱う難しさですね。
まぁ…、難しい話はこのくらいしておきましょう。世界的に需要が高まっているショウガは、これから健康管理や料理以外でも、様々な分野で活用されていくことでしょう。
それではレシピ行きます!
難易度:
☆
調理時間:
下準備+30分以内