香菇雞湯│シイタケと鶏もも肉のスープ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の伝統料理『香菇雞湯│シイタケと鶏もも肉のスープ』のレシピを紹介します。 干しシイタケと鶏もも肉を煮込んで作るだけというシンプルな料理です。台湾人なら初めて作る料理がこの料理という人も多い定番中の定番料理です。

日本で鳥類と言えば、スズメやカラスがおなじみです。スズメは中国語で「麻雀」、カラスは「烏鴉」と言います。スズメがマージャンとは面白いですね。不思議なことに台湾の都市部には日本と違ってカラスがほとんどいません。

さて大人の嗜み≪麻雀≫と言えば日本では手元に13枚の牌を準備して遊ぶ、香港式の『一三張式』というルールが一般的です。麻雀がスズメを表すので、ゲームとしてのマージャンは≪麻將≫と表記します。読みはマージャンです(笑)。

台湾にも麻雀があるのですが、台湾は大陸式の『一六張式』というルールで遊びます。牌の数が三枚増えているので、日本より面子を一組多く作って上がるのが基本です。そして多くのローカルルールがあります。日本と台湾の麻雀ではかなりルールが違うのですが、日本の麻雀のルールを知っていれば、少なくとも牌を選びながら一巡するくらいは遊ぶことが可能です。

台湾麻雀の基本的なルールは、
 ・リーチがない。
 ・花牌がある。(ただし高雄辺りでは使わない)
 ・得点は符と飜で計算するのではなく、台という役固有の点数を単純に合計して計算する。
 ・ツモの時の得点はロンの3倍になる。
 ・通常は一荘制。半荘で遊ぶことはまずない。
 ・ドラがない。
 ・ハイは1牌、2牌ではなく1張、2張と数える。
などです。

おそらくもともと南京地方のローカルルールが国民党の遷台とともにわたってきたものと考えられますが、今ではすっかり地方ごとのローカルルールも定着し、中国大陸のものとは別物になっています。

日本と同じように少額のお金をかけて嗜む程度に打つのが基本です。仲間内でお酒を囲みながらワイワイやる分にはとても盛り上がりますので、誘われることがあれば遠慮なく輪に入ってみましょう。 



番茄炒蛋│中華風トマトオムレツ

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難易度:☆ 調理時間:一瞬
台湾の家庭料理『番茄炒蛋│中華風トマトオムレツ』のレシピを紹介します。一口サイズに切ったトマトを溶き卵でとじた料理です。ふんわりした卵に酸味のきいたトマトの旨味が広がったお手軽な料理です。シンプルな料理だけに調理者の腕が問われるので、何度も練習してものにしましょう。

卵にまつわる物語といえば「コロンブスの卵」を浮かべる方も多いでしょう。中国語では「哥倫布立
雞蛋」、「哥倫布立蛋」、「哥倫布蛋」などの様々な言い方があります。日本語のような「哥倫布的蛋(コロンブス"の"卵)」とは言わず、中国語では「コロンブスが卵を"立てた"(という物語)」のように間に同氏が入るのに注意しましょう。

しかもこのコロンブスの故事、日本ではだれもが知っていますが、台湾ではほとんど通じません(笑)。たぶん幼少期にコロンブスの伝記を読むことがないのでしょう。「誰かがやった後になら誰にでもできそうなだが、最初にやった人はすごい」ということを表したいなら、『曹冲称象』という故事で示します。

『曹冲称象』とは曹操の息子曹冲が、孫権から送られた象の重さを量るという話です。

孫権から当時中原にはいなかった象を送られた曹操は、こんな動物は見たことないとたいそう喜びました。そして好奇心からこの象の重さを量ってくれと、部下たちに無茶な命令を出してしまいます。 しかし三国時代に象を量れるほどの秤は存在しません。大人たちはあれこれ頭を悩ませますが、どうやら答えを思いつかず途方に暮れてしまいますが、それを見ていた曹操の息子曹冲は「僕は量れるよ」と発言してその場の全員を驚かせます。

曹冲はその場の全員と象を連れて川辺までやってきて、大人たちに象を船に乗せるよう頼みました。そしてその船が「沈んだ位置に印をつける」ように大人たちに頼んだのです。大人たちは訝しく思いながらも曹冲の指示に従います。船に印がついたら象を下ろし、今度は代わりに石を詰め込むよう頼みました。石は象を乗せて沈んだ印の位置まで詰め込まれ、大人たちはこの時やっと曹冲が何をしたいのか理解しました。積み込まれた石をの重さを秤で量って合計すれば、象の重さが分かります。

大人たちは「非常に簡単な話だが、曹冲がやって見せなければ我々では考え付かなかっただろう」と曹冲の聡明さを称えたという故事です。


この時曹冲は5歳だったというので、この話が本当なら相当の天才児ですね。その後も順調に成長を重ね、大きくなれば三国志の英雄として活躍したのでしょうが…、残念ながら13歳で病死してしまいます。父親の曹操はその死を大いに嘆き悲しんだということです。

実は「孫権が曹操に象を送ったかどうか、送れたかどうか」の真偽については、歴史家たちに大いに議論されたことがあります。当時の孫権の支配、または権力が届く地域に象を手に入れられる場所があったかどうかが、主に議論されました。結論は「おそらくありえる」というもの。曹操に象送りつけた孫権は、相手の驚く顔を想像してはいい気分になったことでしょうね。

ちなみに「アルキメデスの原理」は中国語で「阿基米德浮體原理」といいます。日本語よりちょっと覚えるのが難しい単語です。

それではレシピです。





螞蟻上樹│蟻の樹登り、中華焼き春雨

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾でも人気のある定番四川料理『螞蟻上樹│蟻の樹登り、中華焼き春雨』のレシピを紹介します。細かい豚ひき肉をアリに見立て、ピリ辛の春雨と絡めて炒めた料理です。

せっかく料理名に昆虫の名前が入っているので、今回は中国語の昆虫の名前をまとめてみましょう。ちなみに「虫」のことは蟲子と呼びます。

まずはアリの仲間から。料理名にあるようにアリ(蟻)は螞蟻といいます。白アリはそのまま白蟻、女王アリも女王蟻とそのままです。

日本語とまったく同じ漢字を使うのは、ミツバチ│蜜蜂、コオロギ│蟋蟀、ガ│蛾、カマキリ│蟷螂、トンボ│蜻蛉、カブトムシ│甲蟲など。読めても書けない漢字が多いですね(笑)。

日本語に漢字を足したりして少しだけ違うのが、カ│蚊子、シラミ│虱子、ハエ│蒼蠅、チョウ│胡蝶、ノミ│跳蚤など。

そして日本語と全く違う漢字を使うのが、アブラムシ│蚜虫、ダニ│螨、ゴキブリ│蟑螂、バッタ│蝗虫など。ちょっとめずらしいところではカミキリムシ│天牛というのもあります。台湾を訪れるなら、出会わずにはいられないものが多数あります。全部を覚えておく必要もないですし、わからないときは(黒い、気持ち悪い、飛ぶとかの)どのような「小蟲」と言ってしまえば大体通じるので、ご心配なく。

それではレシピです。



蠔油牛肉│牛肉のオイスターソース炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
広東省の家庭料理『蠔油牛肉│牛肉のオイスターソース炒め』のレシピを紹介します。オイスターソースをベースとした調味料を炒めた牛肉と野菜に絡めた料理です。日本人がまさにイメージする中華料理そのままといった味がします。

オイスターソースの材料となるカキは、英語で Oyster (オイスター) といいます。オイスターソースののオイスターそのまんまです。

語源はギリシャ語の οστό (Osto)で、これはもともと骨という意味です。医学用語でで骨を意味する接頭語 Osteo‐ なども同じ語源を持ちます。カキの殻が骨のように固いことから名づけられました。カキ専門のレストランを「オストレア」といいますが、これもこの語が元になっています。

カキは日本のように海産物の生食が発達しなかったヨーロッパでもほとんど唯一生で食べられる食材であり、その歴史は古代ローマにまでさかのぼるとされます。日本では縄文時代から食べられていました。

中国でも日本と同じ漢字の「牡蠣」で表しますが、これは専門用語的に使われることが多く、口語では「」の字がもちいられます。オイスターソースは中国語では「蠔油」と表記します。にほんこくないでつくっているものとは少し味が違うので、お土産に買って帰るとよいかもしれませんね。

それではレシピです。


蔥烤肉卷│豚のネギ巻

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾家庭料理『蔥烤肉卷│豚のネギ巻』のレシピを紹介します。ネギをソースに絡めた豚肉の薄切りで巻き、オーブンで焼いて作る料理です。BBQのような洋風料理ですが、ソースにごま油を少量混ぜることで中華料理らしさが出ます。

料理名に注目してみましょう。中国語『蔥烤肉卷』の「卷」と日本語の『豚のネギ巻』の「巻」では微妙に漢字が異なっているのがお判りでしょうか?繁体字では上の点が"八 "に、下の部分が"卩"のようになっていますが、日本語では"逆八"と"己"になっています。画数も変わらないので、簡略化したというわけではなく、お互いに異体字の関係にある文字です。要はどっちを使ってもよいということですね。ほかにも上が逆八で下が卩のようなパターンもありますが、全部異体字です。

元々は体育座りのような「うずくまって体を丸める」形を表した象形文字で、下部に膝を折りたたんだ意匠が残っています。これが転じてくるくると丸めたもの、さらに巻物、さらにさらに書物自体を表すようになりました。

うずくまって膝を抱えている形が、書物自体を表すようになるなんて…、漢字って面白いですね。

それではレシピです。

 写真は台湾屋台のニラ巻き炭火バージョン

小米粥│アワ粥

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
古代より連綿と受け継がれてきた伝統食『小米粥│アワ粥』のレシピを紹介します。料理名の通りアワをお粥にした料理です。現代風にオートミールを少量浮かべてアクセントにしています。砂糖や黒糖を加えて甘く作り、デザートとして出してもよいでしょう。

アワは学名を Setaria italica 、日本語では粟の字を当てますが、現代中国語では「小米」と表記します。アワは古来より世界中で栽培されてきた穀物で、地域によっては稲作よりも古い歴史を持ちます。もともと「米」の字はアワを指していたと考えられており、中国最初期の酒もアワを利用して作られたものです。中国中北部では古代文明の時代から唐代あたりまで、主食といえば米ではなくアワでした。

アワは通常の植物が気孔を閉じてしまい光合成が難しくなってしまうような乾燥、高温地域でも、光合成機能を維持できるC4型光合成能という機能を持ちます。単位面積当たりの収穫カロリーはイネや小麦よりも低いのですが、早ければ3か月ほどで収穫が可能で栽培も容易なため、今でも各地で栽培が続けられています。ただし連作障害を起こしやすいので、それなりに農薬が必要です。日本では稲作と同じくらいの歴史があり、いわゆる「五穀豊穣」の五穀の一つに数えられています。

台湾では伝統的にアワで作った「小米酒(アワ酒)」を祭祀に用い、現在でも一定の需要があります。さすがに米を主食としている現在は、米で作った酒のほうをおいしく感じてしまいますが、小米酒は小米酒なりの良さというものがあります。興味がある方はたいていどこの商店にも置いてあるので台湾訪問時に挑戦してみましょう。醸造方法を工夫すればもっとおいしく作れそうです。

同量のコメよりも低カロリーでミネラル分を多く含むことから、近年台湾では健康食としての需要が高まっています。スーパーの穀類コーナーの片隅にアワがおかれていることも多いです。日本でも手に入れやすいと思うので、いろいろな料理に使ってみましょう。

まずは基本の粥の作り方を覚えましょう。



鮮奶南瓜湯│カボチャミルク

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭で作られる温かいデザート『鮮奶南瓜湯│カボチャミルク』のレシピを紹介します。煮込んだカボチャを温かい牛乳に浮かべたデザートで、冬は暖かく、夏は冷やして食べます。ほっこり甘いカボチャのスープです。

カボチャは漢字で南瓜と書きますが、中国北東部産の細長い品種を北瓜と呼ぶことがあります。同じカボチャなのに南北と全く反対の漢字を当てることがあるのは面白いですね。

英語では「Pumpkin(パンプキン)」…と呼びたいところですが、 こちらは皮が黄色いもののみの呼び方で、緑色のものは「squash(スクォッシュ)」と呼びます。中身ではなく皮の色で区別するので注意しましょう。日本のカボチャはほとんどが「squash」になります。

カボチャは中国の本草書≪本草綱目≫にも記載があります。ちょっと抜き出してみましょう。

第二十八巻 菜之部三

南瓜 

【集解】
時珍曰︰南瓜種出南番,轉入閩、浙,今燕京諸處亦有之矣。三月下種,宜沙沃地。四月生苗,引蔓甚繁,一蔓可延十餘丈,節節有根,近地即著。其莖中空。其葉狀如蜀葵而大如荷葉。八、九月開黃花,如西瓜花。結瓜正圓,大如西瓜,皮上有棱如甜瓜。一本可結數十顆,其色或綠或黃或紅。經霜收置暖處,可留至春。其子如冬瓜子。其肉濃色黃,不可生食,惟去皮瓤瀹食,味如山藥。同豬肉煮食更良,亦可蜜煎。按︰王禎《農書》云︰浙中一種陰瓜,宜陰地種之。秋熟色黃如金,皮膚稍濃,可藏至春,食之如新。疑此即南瓜也。
 【氣味】
甘,溫,無毒。
時珍曰︰多食發香港腳、黃膽。不可同羊肉食,令人氣壅。
 【主治】
補中益氣(時珍)。

最初は栽培方法が書かれており、後半にその味や調理法などが記載されています。味はヤマイモの陽で、豚肉と一緒に調理、また蜜で煮込むとよいと書かれています。現在の調理法とほとんど変わりませんね。無毒ですが食べすぎると「水虫」を誘発したり、羊肉と一緒に食べると「胸焼けする」とも。当時の迷信でしょうが、一応気にしておきましょう(笑)。

それではレシピです。



豆瓣蒸豆腐│蒸し豆腐の豆板醤ソースかけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
四川風の家庭料理『豆瓣蒸豆腐│蒸し豆腐の豆板醤ソースかけ』のレシピを紹介します。豆腐に豚ひき肉と混ぜた豆板醤ソースをかけて蒸した料理です。ピリ辛で濃いめの味付けなのでお酒のおつまみなどに食べたいですね。

豆板醤も豆腐もマメから作られます。 マメは世界中で主食として、調味料として欠かせません。

大学時代はマメ科植物について研究していたこともあり、筆者はマメについては一家言を持ちます(笑)。そんなマメについて今回は簡単に紹介してみたいと思います。

ディープなマメの世界へようこそ(笑)。

筆者が研究していた当時、広義のマメ科はマメ科、ジャケツイバラ科、ネムノキ科の三つに分裂する危機を迎えていました。筆者も「え?マメ科が分裂しちゃう!どうしよう!」とドキドキしながら研究の進展を見守っていたものです(笑)。現在は遺伝子系統解析により広義のジャケツイバラ亜科にマメ亜科、ネムノキ亜科が内包されることが分かっており、まとめてマメ科と呼びます。分裂の危機は免れました。

マメ科は植物界最大の属であるAstragalus属(2000-5000種) を含む巨大な科で、多くの動物にとって食用となるだけでなく、根粒菌との共生という生物全体にとって非常に重要な役割を果たしています。

すべての生物は体内に炭素原子と結合した窒素原子を持ちます。窒素と言えば空気の大部分を占め、地表の大部分に存在する元素ですが、窒素分子は強力な三重結合で結合しており、普通の生物はこの空気中の窒素をそのままの形で利用することができません。

多くの栽培植物は窒素肥料(アンモニアなど)を土壌に導入しないと成長することができないのが分かりやすいでしょうか。そしてそういった窒素を含む動植物を栄養として摂取しないと動物も成長できません。

それでは大元となる固定された窒素は誰がどうやって空気中から土壌に取り入れているのでしょうか?

その答えがマメ科植物にあります。マメ科植物の根には根粒菌という細菌が規制しており、この細菌は地表において、ほとんど唯一空気中の窒素を有機物として固定できる機能を持っています。マメ科植物から栄養と生息の場所を提供してもらう代わりに、空気中の窒素を栄養として交換しているのです。田んぼに生えているナズナやクローバーを引き抜いて、根を見て見ましょう。細い根の所々にプックリとした粒のようなものがあるのがわかると思いますが、これが根粒菌がいる場所です。田んぼにナズナの種をまいて、鍬混むのはこうしてナズナの根に窒素が固定され、肥料代わりになるからなのです。

マメ科植物以外ではソテツや一部のシダ類などが窒素固定を行うことができますが、ごく少数です。ほとんどすべての生物の体内にある窒素はマメ科植物の根によって空気中から取り入れられたものということですね。マメ科なくして生物なし、といっても過言ではないでしょう。

このようにマメ科植物は自前で窒素を栄養として利用することができるため、やせた土地でも生育することができ、世界中のほとんどの土地に進出していくことができます。地表のほとんどすべての地域でマメ科植物が生育しており、連作障害も少なく、人類の住むほとんどの地域で太古よりマメが食用にされているというのも頷ける話ですね。

あなたの体を流れるマメの力を感じることができたでしょうか(笑)?

これ以外のマメの素晴らしさはまた別の機会に。

それではレシピです。




香菇青蔥肉燥│シイタケとネギの肉そぼろ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾家庭料理『香菇青蔥肉燥│シイタケとネギの肉そぼろ』のレシピを紹介します。炒めたシイタケとネギに生のネギを混ぜ込んで作るさわやかなそぼろ料理です。ご飯に乗せても食べられますし、水溶き片栗粉で少し固めれば肉まんの具にも使えます。

「そぼろ」は肉や野菜を水気がなくなるまで炒めた料理です。

魚介類の身を細かくほぐして調味料を加えて炒り煮にした、いわゆる「でんぶ(田麩)」は別名を「おぼろ(朧)」といいます。これを豚肉などで作ると身がでんぶよりも粗くなります。これが「粗おぼろ」→そおぼろ→「そぼろ」と変化しました。そぼろに漢字表記はありませんが、あえて書くなら「粗朧」というのがよさそうです。

台湾では日本の『そぼろ』にあたる『肉燥』という料理があります。日本の物よりもう少し汁気が多いこともありますが、これをご飯に乗せて煮卵を添えた『肉燥飯』は庶民料理の代名詞ともなっています。ちなみに台湾南部の『肉燥飯』は北部における「滷肉飯」のことなので注意が必要です。

日本にも様々な『そぼろ』があるように、台湾にもいろんな種類の『肉燥』があります。どれもご飯との相性が抜群です。今回はそんな『肉燥』から台湾人にも人気の一品を紹介します。ぜひ再現しておいしさを確かめてください。



番茄豆腐煲│トマトと豆腐のシチュー

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『番茄豆腐煲│トマトと豆腐のシチュー』のレシピを紹介します。トマトと卵豆腐をさいの目に切り、醤油ベースのとろみのついたスープで煮込んだ料理です。思った以上に簡単に作れるので、ぜひ挑戦してみましょう。

トマトは世界で最も消費量の多い野菜だと言われています。そのくせほとんどの国で加工品以外の輸入を禁止(日本では2006年に一部解禁)しています。生鮮トマトの輸入を禁止している最大の理由は「タバコベト病」という病気の原因菌がトマトを通じて国内に持ち込まれるのを防ぐためです。タバコベト病は感染力の非常に強い病気(胞子で風媒感染)で、タバコの葉に感染しその葉を枯らしてしまいます。アジアでこの病気が発生したことはありませんが、過去ヨーロッパで発生した時は多くの国で栽培していたタバコが"全滅"しました。タバコと同じナス科の植物全般に感染しますが、タバコの被害が特に顕著なため、ナス科の生鮮植物は基本的に輸出が禁止されています。

タバコは価格が法律で決まっているので、生産量が少なくなったからといってすぐに値段があげられません。輸出入にも許可が必要です。要は大切な税金収入を守るため、多くの国でトマトの輸入が禁止されているということですね。

台湾では日本統治時代にタバコの栽培が始まりました。当時は「タバコ一分、米1甲(1甲は10分)」という言葉があり、タバコがコメの10倍儲かったということを示しています。中南部地域で特に客家らによる大規模栽培が始まり、台湾のたばこ産業は隆盛を極めました。当時タバコの葉を乾燥させるために多数つくられた「菸楼」は、広島式と大阪式という二種類があり、現存するものは観光施設として開放されています。

その後、台湾タバコ公社の方針転換や外国産たばこの輸入解禁などにより台湾のたばこ産業は急速に没落しました。現在台湾のタバコ農家はごくわずか、ひっそりと栽培を続ける残るのみとなっています。いろんな悲喜こもごもがあったのでしょうね。

日本統治時代は美濃地方でタバコの栽培が盛んだったそうです。訪れることがあれば当時の風景に思いを馳せてみましょう。



皇帝豆燒五花│ライ豆と豚肉の醤油煮込み

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の家庭料理『皇帝豆燒五花│ライ豆と豚肉の醤油煮込み』のレシピを紹介します。ライ豆と豚ばら肉を醤油で煮込んだ料理です。濃いめの味付けがご飯のおかずにぴったりです。

記事は後日!

客家小炒│客家炒め

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難易度:☆ 調理時間:下準備 + 30分以内
台湾客家料理を代表する『客家小炒│客家炒め』のレシピを紹介します。戻したスルメと豚肉、厚揚げを使って作る料理です。食材の組み合わせの妙を存分に楽しめる最高のおかず料理です。

台湾ファンや当ブログの読者の皆さんにはすっかりおなじみの「客家」ですが、新規読者の方のために改めて(そして既存の読者の方のためにいままでとは別の角度から)紹介しておきます。

客家とは「客家語を話す漢民族の一支流」です。漢民族であるため少数民族ではありませんが、「客家語を母語として話す」という 特徴があります。ほとんどの客家一族は古代からの長大な族譜を持ち、一部は古代漢王朝の王族の血を引くともいわれています。戦乱や混乱を避けて中原から南方に移住してき人々であり、もともとその土地に住んでいた人々にとっての"お客さん"、「客家」と呼ばれます。

「よそ者」であるため土地の人々とのいざこざが絶えず、かつ少数であるために常に劣勢であった客家はその時その時代の権力者に取り入るという政治手法でその息を永らえて来ました。近世においては太平天国や共産党革命の原動力となりました。また客家は特定の地域に集団で居住していることが多く、民主主義社会においては大きな票田となります。

客家は大きく分けて六度、入植や戦乱を避けるための大きな移動を経て現在の場所に定着しました。
特に第三段階の唐末の黄巣の乱で福建、広東地域への南下、第四段階の宋末の元軍進行での南下、そして第五段階の清朝領土拡大による台湾入植が重要です。客家は福建、広東、台湾におおく、中国北方にはほとんど存在しません。

客家は質素倹約を旨とし、祖先信仰、先祖崇拝、非常に強い保守という特徴があります。また台湾の客家は清代に入植した人々がほとんどであるため、まず間違いなく内省人であり一定の政治立場を持ちます。

そういえば今日から就任の台湾初の女性総統、蔡英文氏も客家出身の政治家ですね。

今日から台湾国民は厳しい目で新総統がどれほどのものか判断していくこととなります。外国人である我々も台湾がどのように舵を切っていくのかしっかりと観察していきましょう。



醋溜豬心│豚ハツサラダ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾のおつまみ料理『』のレシピを紹介します。豚ハツ(心臓)を何段階かの下処理を経てサラダに仕立てた料理です。温かいまま食べる温性のサラダで、濃いめの味付けがビールのお供にぴったりです。その他の内臓類を使っても作れます。

中世から近代まで台湾では肉と言えば豚肉を指し、牛肉はほとんど食べられていませんでした。そのため豚肉の利用法については一日の長があり、内臓を利用した料理も多数あります。今回は動物の内臓を表す単語を中国語と日本語を対比しながら見て見ましょう。もともと中国で使われていた五臓六腑を示す漢字を、解剖学が日本に入ってきたときにそのまま臓器の名前として使ったため日中でほとんど同じ漢字を使います。

まずは循環器から。日本語-中国語の順で書きます。 心臓-心臓、肺-肺、血管-血管、リンパ管-淋巴管など。リンパに漢字が当てられています。

続いて呼吸器。鼻-鼻、喉-喉嚨、気管支-支氣管、肺-肺など。喉は表記だけならただの喉でも通じますが、発音する時は喉嚨と二文字で表します。また気管支の順序が逆になっているのが面白いですね。

更に消化器。口-嘴巴、喉-咽、食道-食道、胃-胃、小腸-小腸、大腸-大腸、肝-肝、胆嚢-胆嚢、膵臓-胰臟など。口はもちろん口でも通じますが、口語では嘴巴といいます。膵(すい)臓が胰臟と全然違う表記になっているので特に注意しておきましょう。あと胃腸とまとめていう場合は「腸胃」と順序が逆になるのでこれも覚えておきましょう。あと虫垂は「闌尾」といいます。

泌尿器と生殖器は一緒に行きましょう。腎-腎、膀胱-膀胱、睾丸-睪丸、陰茎-陰莖、前立腺-前列腺、子宮-子宮、卵管-輸卵管などなど。睾の字がちょっと異なるのと前立腺を前列腺と書くのに注意です。

他にももちろんいろいろあるのですが、基本的はこのあたりでしょうか。豚の内臓ならここに書いてあるものは大体どれも食べます。食べたことのない部位があれば、一度挑戦してみましょう!



川味馬鈴薯│四川風ポテトサラダ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
四川風にピリ辛の味付けをした『川味馬鈴薯│四川風ポテトサラダ』のレシピを紹介します。ジャガイモとキュウリをラー油と花椒で和えた料理です。夏場の前菜にぴったりですね。

強烈な辛味としびれる麻味が四川料理の特徴です。四川省はもともと蜀、巴蜀などと呼ばれていましたが、清代に四川と呼ばれるようになりました。四川とは省の西南部にある四川盆地と呼ばれる地名に由来します。更にこの四川とは岷江、沱江、嘉陵江、烏江の長江の四つの支流に由来するという説、または宋代にこの地方に置かれた川峡路が後に益州路、利州路、梓州路、夔州路の四つに分割され、川峡四路と呼ばれたことから名づけられたという二つの説があります。二、三百年前のことなのに地名の由来がわからないという中国の歴史からすると珍しい事態です。中国語の「川」は、「河」や「江」よりも小さな水の流れを表すため漢字の意味的には後者の説を支持したいところです。

四川省の重慶(現在は重慶特別市)は中華民国国民党が台湾に渡る直前まで政府機能を置いていた場所です。中国内陸部にありますが台湾ともなじみの深い土地の一つで、重慶から台湾に伝わった伝統芸能なども多数残されています。

さて前述した川、河、江の違いですが、渓の字も加えてもう少し詳しく見て見ましょう。まず「川」の字は中国では河川の名称としてはほとんど使用されません。これは川の字がその成り立ちから、「単なる水の流れ」を表すのに過ぎないのと、四川省の略称として使われることなどが理由です。あとは人名、料理の技法(川:熱湯にくぐらせる)としても使われるので使用頻度は割と高いです。

中国語では「河」が水の流れを表すので、日本語の川の意味に近いです。「江」はもともとは大河の意味なので、江>河の図式が成り立つのですが、地名として使われるときは河も江もあまり区別して使われません。中国北方では河を多く使い、南方では江を多く使うという違いがあるくらいです。興味がある人は地図を広げて中国の川の名前を調べてみましょう。

日本語で「江」を「こう」と読むように、中国語の上古代音では江を「kroong(コーン)」のように発音しました。これは川を意味するモン語のクルン、ベトナム語のソンなどとも関連があるとされ、中国南方で江の字が多用されることと関連があると言われています。なお海外の河川は一律して「河」の字を用います。

「渓」は山間を流れる小さな河の意味です。台湾は山岳部が多く、そこから発して急峻な流れで直接海まで続く河川はほとんど「渓」の字が付けられます。乾季と雨季の流量の差が極めて大きいのが特徴です。台湾で河が付けられている河川はあまり多くなく、流量も渓のつけられている河川より小さいことが多いですが、年間を通して流量が割と安定しているのが特徴です。

一年を通して台湾に住むことがあれば、特に台風襲来時の河と渓の流れを比べてみましょう。ちょろちょろと流れていたはずの○○渓が洪水を起こすほどに流量を増す変化と、それに翻弄されてきた昔の人々に思いを馳せてみましょう。




台式泡菜│台湾風白菜の浅漬け

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭なら大体どこでも(!?)漬けている『台式泡菜│台湾風白菜の浅漬け』のレシピを紹介します。キャベツを酢と砂糖で漬けた浅漬けです。いろんな料理店でも小菜として食べられている、台湾風のお漬物です。

『泡菜』という語は「発酵させた漬物」という意味です。そのため今回のような浅漬けには本来用いない語なのですが、台湾ではこの手のキャベツの漬物はすべて『泡菜』と呼ばれて定着しているので、あまり深くは気にしないことにしましょう。

他にも中華料理には醤油や蝦醤などで漬けた『醬菜』、塩で漬けた『鹹菜』、塩漬けしたものを天日干しにした『梅菜』、東北地方で塩漬け発酵してつくる『酸菜』、四川省の名産『榨菜』などさまざまなものがあります。『梅菜』は台湾客家のものが、『酸菜』は鍋のスープベースとしても有名です。

実は中華料理には日本のように『浅漬け』の技法(に対応する語)がないため、今回の料理のように『泡菜』の語が使われたり、和風の漬物はそのまま「浅漬」の字が用いられたりします。

日本語は表音文字を持つため、外国語だろうとなんだろうと動詞をカタカナに直してそのまま利用することができるます。フランス料理だろうがイタリア料理だろうが、特殊な技法もそのままの名称で覚えてしまえるのです。例えば「フォアグラをセジールする」とか、「鴨肉をポワレする」とかです。しかし中国語は一度漢字に変換しなければならず、新しい漢字を作るのもまず不可能なため、どうしても既存の語との重複が生じて細かいニュアンスを伝えるのが難しくなってしまいます。和食の「照り焼き」や「蒲焼き」などはそのまま漢字に変換できるので、言語の壁が低いというのも中国語圏で和食が拡散していく一助になっているのかもしれません。

フランス料理の技法…中国語では何というのでしょうね?機会があれば調べてみたいと思います。

それではレシピです。



泰式打拋醬│タイ風肉そぼろ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾風にアレンジされたタイ料理『』のレシピを紹介します。台湾バジルとも呼ばれる九層塔と豚ひき肉をナンプラーなどで味付けした料理です。ご飯や麺にそのままかけたり、その他の材料と混ぜて炒めたりとタイ料理を作るときに大活躍します。

台湾でアレンジされたタイ料理(の食材)『打拋醬』の打拋は Da pao と読みます。この字自体に意味はなく、使われている(ホーリー)バジルのタイ語 กระเพรา (ガパオのような発音)に漢字を当てたものです。「ガ」がどうして打(ダ)になったのかは分かりませんが、そういう風に聞こえたのでしょう。カンボジアがカボチャになったようなものです。

 また今回の料理で味の決め手となるน้ำปลา(ナンプラー)は中国語では魚露と表記されます。น้ำ(Naam)が水、ปลา(Plaa)が魚の意味で、直訳すれば魚の水の意味です。日本語や中国語とは修飾語と被修飾語の関係が逆になっているのがタイ語の特徴です。

ナンプラーは各種の魚と同量ほどの塩を加えて漬けこみ、一年以上魚の身が崩れてしまうほど発酵させたものの液体分を漉しとったものです。古くは日本でも作られており、現在も中国南部からマレー半島以南まで幅広い地域で料理に欠かせない調味料となっています。たんぱく質が分解してできたアミノ酸と、破壊された細胞から分離して出た核酸を豊富に含み、濃厚な旨味(と発酵食品独特の臭気)を持ちます。独特の臭いが気になって苦手という人もいると思いますが、レモンなど酸味のある食材と合わせたり、加熱したりすればほとんど飛んでしまうので、調理法にさえ気を付ければ完成品の臭いはあまり気にしなくても大丈夫です。

台湾にはローカライズされた多くのタイ料理店があり、庶民の舌を楽しませてくれます。滞在が長くなったら、タイやベトナム料理店の門を叩いて一風変わった情緒と味を感じてみましょう。


杏鮑菇燒雞片│エリンギと鶏肉の醤油炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『杏鮑菇燒雞片│エリンギと鶏肉の醤油炒め』のレシピを紹介します。エリンギと黒木耳、そして鶏肉を砂糖醤油で炒めた料理です。濃いめの味付けが食欲をそそります。

エリンギや黒キクラゲは一般にキノコと呼ばれます。 キノコには明確な定義があるわけではありませんが、一般には「菌類で目に見える大きさの子実体を形成するもの、またその子実体」 のように大雑把に分類されています。

樹木や土壌からにょっきり生えた子実体、いわゆるキノコが本体と思われがちですが、本体は基質に広がる菌で子実体は胞子を拡散するための器官に過ぎません。本体である菌糸が腐敗した動植物を栄養源とする「木材腐朽菌」、植物の根と共生する「菌根菌」、昆虫に寄生する「冬虫夏草菌」に分類されます。人工栽培されているもののほとんどは木材腐朽菌です。

キノコをはじめとする菌類は食物連鎖では分解者として非常に重要な役割を担っています。キノコが存在しなければ森林は生存することができず、そこで生息する動物も生きることができません。(昆虫やナメクジ以外で)分解者であるキノコを直接捕食する生物は人間だけだと考えられていましたが、近年の研究によりリスやモモンガなどのげっ歯類が冬季の保存食としてキノコを利用していることが分かりました。あと何万年もすれば、ほかの動物もキノコを食べ始めるかもしれませんね。



蛤蜊炒絲瓜│ハマグリとヘチマ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『蛤蜊炒絲瓜│ハマグリとヘチマ炒め』のレシピを紹介します。柔らかくなるまで炒めたヘチマにハマグリを合わせて作ります。慣れると簡単に作れるので、何度か練習しておきましょう。

記事は後日!



蔭豉蚵│豆腐とカキの中華餡かけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
熱炒店でも定番のメニュー『蔭豉蚵│豆腐とカキの中華餡かけ』のレシピを紹介します。豆腐とカキをトウチベースのソースで炒めてとろみをつけた料理です。台湾をはじめ福建、広東あたりで広く食べられるお酒のおつまみ料理です。

カキの殻は漢方薬牡蛎(ぼれい)としても使われます。その主成分は炭酸カルシウム CaCO3 で、純粋なものは無色の鉱物としても産出します。不純物を多く含むものは大理石として算出します。結晶型によりいくつか名称があるのですが、最も有名なものは「方解石」と呼ばれる平行四辺形、またはひし形の鉱物です。中国語でもそのまま「方解石」と呼びます。透明のものは結晶の角度により透かした物体が二重に見えるという特性を持っています。鉱物としてはありふれたものなので、割と簡単に手に入ります。

中国で羅針盤が発明されたのは11世紀ころと言われており、これがヨーロッパに伝わって大航海時代を支えたのはご存知の通り。ではそれ以前はどうやって海上で方位を求めていたのでしょうか?最も有名なのは星座を用いた方法ですが、これは曇天や日中は使えません。日中なら太陽の方角から大体の方角は割りだすことができますが、これも曇天や雨天には使えない方法です。

近年の研究により、8世紀から11世紀ころの北欧バイキングは、方解石を用いて曇天でも雨天でも日中ならかなり正確に太陽や月の方角を求めることができたということが分かりました。この方法は方解石の上に黒い点をつけ、裏側からそれを透かして覗き、点が二重に見えない方角を見つけるというもの。それが太陽や月の方角で、なんとその誤差は1度以内という正確さです。古代の文献に「バイキングは曇天でも伝説のサンストーンと呼ばれる石を使い、太陽や星の位置を求めた」という伝説があるのですが、それが実証されることとなりました。バイキングの活躍した北欧は高品質の方解石の産地で、彼らはこれを使ってアメリカまで航海を行っていたともいわれています。歴史ロマンですね。詳しくは≪ヴィンランドサーガ≫などの英雄譚を読んでみましょう。


方解石から、磁石を使った羅針盤へ、そして現代科学の粋を極めたジャイロコンパスへ。ジャイロコンパスに至っては宇宙空間でさえも一定の方角を示し続けるので、星間航行にすら利用できます。今後新しい発見があるとしたら、太陽線や重力波(未発見ですけど)などを利用した高次元空間や時間の流れに対しても一定の方角を指し続けるコンパスや、AIを使った人を導く行動の指針となる哲学的なコンパスなどになるのかもしれません。後者は現段階ではいわゆる「占い」と呼ばれるものに過ぎませんが、実現すればまるで魔法です。当サイトでも一番人気のページは「龍山寺の占い解説」です。人生という名の道に迷ったら、Higeneコンパスに遠慮なく頼ってくださいませ(笑)。

それではレシピです。


五味炸里肌│中華風トンカツの五味ソース添え

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の家庭料理『五味炸里肌│中華風トンカツの五味ソース添え』のレシピを紹介します。サツマイモデンプンを衣にしてあげた豚ロースに風味豊かな『五味ソース』を添えた料理です。おかずにおつまみに大活躍の料理です。

今回の料理で使う『五味ソース』の「五」と中華民国の政治には密接な関連(?)があります。

日本には三権分立という政治システムがあります。初等教育の教科書で学ぶので、われわれ日本人なら誰もが知っていることだと思います。おさらいしておくと「国民の自由と権利のため、立法・行政・司法の権限を分離して相互監視する」というシステムです。≪法の精神≫、モンテスキュー(中国語では孟德斯鳩)が提唱したのはご存知の通り。特に三権分立は様々な国家で採用されている政治の基本システムです。

ちなみに日本では行政権が内閣に属し、内閣総理大臣(やその他の国務大臣のほとんど)が国会議員を兼ねるため、立法権>司法権という構図が少なからずあり、完全な三権分立にはなっていません。総理大臣やるときは国会議員やめればいいんですけどね

台湾、中華民国ではこの三権分立をさらに進めて、五権分立という政治システムを取っています。考案したのは孫文で、三権分立の長所と古代中国に存在した考試権と監察権という独自のシステムを合わせた五権分立、すなわち立法、行政、司法、考試、監察の五権それぞれに権力を分散、相互監視するというシステムを提唱しました。中華民国の政治の基本であり、憲法にも記載されています。

行政権と考試権(要は公務員などの試験制度)が一緒になっていると、権力者が支持者や友人を国家中枢に容易に潜り込ませることができること、立法権と監察権が一緒になっていると、議会専制を招く危険があることがその主な理由です。考試権の独立はもちろん古代中国の科挙制度を参考にしています。これらの理論は別に孫文が完全独自に考案したものではなく、当時の政治学研究者らが指摘していたものを少し改変した程度のものですが、実際に国家制度に採用した中華民国はかなり特殊です。

この分離された五権それぞれに監督する国家機関とその長がいます。すなわち行政院、立法院、司法院、考試院、監察院で政治の問題が発生するとこれらの名称が新聞紙上をにぎわせます。憲法上これらの機関は同等の立場にあることが明記されていますが、台湾人の意識として行政院が最上級で、立法院、司法院が次点、考試院、監察院がその更に下という印象があるようです。これはそれぞれ歴代院長の経歴や政治スキル、人気を比較してのことです。序列トップの行政院長には蒋介石や汪兆銘、蒋経国などのそうそうたる有名人が名を連ね、一昔前までは副総統が兼任したりしていたのに対し、立法院長はつい最近まで王金平(学生らによる立法院占拠を紳士協定により解散させた実力者…ですが、根強い汚職への疑惑があります)が長期に院長として君臨していました。(王金平は結局馬英九と揉めて辞職しました。)司法院では院長より大法官と呼ばれる最高裁裁判官のような地位の方々のほうが重要です。そしてほとんどの人は考試院と監察院の名前も知りません。

現在はシステムも割と成熟し、大きな問題は起きてなさそうですが、どこに爆弾が転がっているのかわからないのが中華民国の政治です。新しい総統が就任後はしばらくごちゃごちゃするでしょうが、生暖かく見守りましょう。


蒜苗拌豬皮│葉ニンニクとブタ皮のサラダ

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難易度: 調理時間:2時間
台湾熱炒店の定番おつまみ『蒜苗拌豬皮│葉ニンニクとブタ皮のサラダ』のレシピを紹介します。砂糖醤油で煮込んだ豚皮に葉ニンニクを合わせ、ラー油で辛味をつけて食べる料理です。ビールのおつまみに最適です。

豚皮部分を加熱して得られる脂を中国語で「豚油」と言います。いわゆる「ラード、豚脂」のことです。日本語と違って油の字を使うのが面白いですね。ちなみに油は常温で液体、脂は常温で個体の油脂を指します。

古来より食用にできる動物性脂肪として非常に珍重され、世界中で様々な用途に用いられてきました。原料となる豚により品質はピンキリですが、日本の最上級黒豚やイベリコ豚などのラードは非常に品質が良く、不飽和脂肪酸を多く含み低コレステロール、脂自体に濃厚な旨味を含みます。もちろん価格もそれなりです。

作り方は豚皮を直接加熱して得る乾式法と水で煮込んで表面に浮いてきた油を得る湿式法の二種類があり、それぞれ水分含量が異なるため微妙に品質が異なります。養豚産業のあるほとんどの地域で製造されており、それぞれの地域でラードを利用した様々な料理があります。

台湾にも『豚油飯』という貧困の代名詞とされる料理があります。文字通り白ご飯にラードを乗せ、少量の醤油を垂らして食べる料理です。これを食べると貧しい時代を思い出してしまうということで、最近はあまり食べなくなってしまいましたが、栄養バランスが良いということで近年再評価されています。割とおいしいので、時々食べる分には全然問題ないと思いますが、いろんな想いがあるのでしょうね。

味覚と結びついた記憶は強烈です。

さて1970年代あたりの台湾では家庭で使う油のほとんどがラードでした。しかし植物油全盛となった現在までラードの使用量が年々減っています。油脂メーカーもなんとか消費を伸ばそうと「豚油」の名称を「清香油」などと変えて販売していますが、それも暖簾に腕押しのようです。

それでも揚げ菓子や揚げ麺はラードを使って作るのが今でも続けられています。

「経済の改善→健康志向の高まり」と使用量を減らしつつあったラードですが、「健康効果・味の再発見→企業努力」で少しだけ使用量が持ち直すというのは世界的な流れのようです。なるべく品質のいいものを使いましょう。



蒜頭雞│ガーリックチキンスープ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の家庭料理『蒜頭雞│ガーリックチキンスープ』のレシピを紹介します。鶏肉と大量のニンニクを加熱して作るだけの、簡単かつ非常に精のつく料理です。ニンニクの風味と鶏肉の旨味がマッチした味もなかなかのモノ。ちょっと元気ないなぁという時などに作ってみましょう。

ニンニクはほとんどの仏教で禁止されている食べ物の一つです。仏教では色欲を忌避するためいわゆる「精力がつく」食べ物は禁止されています。仏教で食べてはいけない野菜、五葷と呼ばれるものは宗派や時代によっても大きく異なるのですが、そのほとんどにニンニクが入っています。昔から精力を増す食材として有名だったのでしょう。今でもほとんどの国でお坊さんはニンニクを食べません。筆者としては誘惑に負けない心がきちんと育っていれば、ニンニクを食べたところで関係ないと思うのですけど。

ニンニクと同じようにほとんどの仏教では肉食を禁じています。これは美食をむさぼりたいという欲求や殺生を禁じる仏教の教えから来ていますが、実は初期の仏教では肉食自体は禁止されていはいませんでした。托鉢で他人の残り物を口にすることで糊口をしのいでいたお坊さんらは、別に自分のために準備してもらったわけではない余った肉を避ける理由はなかったためです。もちろん自分から進んで肉を求めるのはいけませんでしたが、規則として肉食は禁じられていませんでした。仏教が各地に伝播していく過程で、もういっそのこと肉食禁止にしちゃおうぜ、と本来の意義から離れてしまい、肉食が禁止されることとなったのです。 どちらの方が悟りに近いかはわかりかねますが、きちんと歴史を知ったうえで口にするものを選びたいですね。

さて今回は仏教では禁止されている食材を二つ合わせた禁忌に禁忌を重ねた罪深い(笑)料理です。その分元気を増す効果は絶大(?)ですので、体力低下時などに作ってみましょう。めちゃくちゃ簡単に作れます。
 

麻糬│台湾餅

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の地方、特に花東地域の土産として人気のある『』のレシピを紹介します。餅と同じようにもち米だけで作るのが普通ですが、今回はお土産のクニクニした食感を出すために少量のコーンスターチを加えて作ってみます。いろいろな餡を包んで作りましょう。

『麻糬』は普通話で読めば ma2 shu3 と発音します。台湾でしか使われない表記で、もちろん台湾語発音します。台湾語の音は「ムァチー」のようで、日本語の「モチ」から発音が取られています。というか日本語で「モチ」と発音しても通じます。

日本人が餅を伝えたというわけではなく、日本統治前から台湾にはハレの日にモチを食べる習慣がありました。客家や原住民にもその風習が残されています。いわゆる照葉樹林文化論と呼ばれるやつです。

日本統治時代に稲作、農業技術が改善し、うるち米は生産量を大幅に増やして内地に輸出されるまでになりましたが、もち米の生産量はほとんど増えませんでした。その分台湾ではモチの付加価値が高まり、伝統的だったモチの使い方以外に特に贈答、土産用のモチが発達し、現在にもその影響が残されています。例えば台湾東部の原住民土産としてモチ菓子が人気です。空港のお土産コーナーでも定番の『パイナップルケーキ』や『ヌガー』、『太陽餅』などと並んで『麻糬』を購入することができます。パッケージに日本語ででかでかと「チョコレートもち」などと書かれてあるので、日本人は無視してしまいがちですが、日本のものとはちょっと食感が異なっているので、自分用に購入してみてもよいでしょう。

台湾のモチは蒸したモチ米を搗いて作ることはまれで、通常はもち米粉に水を加えて混ぜ合わせてあと、炊いたり蒸したりして作ります。弾力は低くなりますが、その分口当たりが滑らかになります。一口にモチと言っても様々な作り方や材料があるので、常識にとらわれずいろいろな作り方にチャレンジしてみましょう。


清滷黑木耳豆腐│キクラゲと厚揚げの醤油煮込み

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の素食家庭料理『清滷黑木耳豆腐│キクラゲと厚揚げの醤油煮込み』のレシピを紹介します。キクラゲと厚揚げを醤油やみりんで煮込んだ家庭料理です。シイタケのダシも効いています。

台湾全人口の一割ほどは「吃素」の人々、つまり菜食主義者、ベジタリアンです。彼らが肉を食べない理由は本当に様々で、宗教、健康、願掛け、ただの好み、ファッション、自分でも知らないうちにいつの間にか…などなどです。筆者の周りに本当に「自分でも知らないうちにいつの間にか…」という人がいます。その人の家族は全員肉を食べるそうですが、その人だけなぜかいつのまにか素食家になってしまったそうです。本人もなぜそうなったのか全然わからないと言っていました(笑)。

人口の一割というとかなりの確率です。そのため団体旅行などで海外を訪れるときはレストラン探しにちょっと難儀します。ただし宗教的理由で肉を完全に忌避している人(お坊さんなど)は稀なので、日本旅行時などはサラダや豆腐を食べさせていれば問題がありません。人によっては塩ラーメンも食べられます。またほとんどの人は肉と一緒に調理された野菜でもOKなので、『てんぷら』や『フライドポテト』も食べられます。そう考えるとそれほど不便はなさそうですね。


人口の一割がベジタリアンという台湾は、世界でも第二位の菜食主義国(第一位はインド)です。普通に肉を食べる日本人旅行者は、たとえ看板を見つけてもまったく意識に上らないかもしれませんが、それこそ全国いたるところ、どんな小さな町にも「素食」の看板を掲げた菜食主義者専門のレストランがあります。興味があればぜひ訪問して、野菜だけで作られた中華料理を食べてみましょう。

知らずに口に入れると肉とまったく見分けがつかないような料理もあったりして、驚かされること請け合いです。既存の料理にちょっと飽きてしまったら、新しいジャンルにどんどん挑戦してみましょう。




豆漿烤布丁│豆乳焼きプリン

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
豆乳で作るデザート『豆漿烤布丁│豆乳焼きプリン』のレシピを紹介します。牛乳でも同じように作れますが、豆乳で作ると風味が異なります。牛乳と豆乳の二層で作ったり、黒大豆の豆乳で作ったりといろいろ試してみましょう。

プリン(pudding)の語源は古代英語の puduc で、もともとは「腫物」を指す言葉であったそうです。これが腸詰や蒸し料理などを指す pudding となり、近代に入ってからその形状から現在のいわゆるカスタードプリンを指すようになりました。

現在のお菓子のプリンからは想像もつきませんが、もともとのプリンは腸詰、つまりソーセージが元になっています。中身が甘くなり、脂肪分が減っていき、ついには腸詰ですらなくなり、17世紀ころにクリスマスに食べられるケーキ(!?)となりました。このクリスマスケーキはプラムプディングなどと呼ばれ、ラードや小麦粉をたっぷりと使い、ドライフルーツ(主にプラム)をたっぷりと使ったどっしりとした蒸しケーキ(オーブンで焼くとイギリス風)で、形以外、味も色も食感も何もかもが今のプリンは異なります。中に指輪などの小物を混ぜ込み、ナイフを入れたときにあたった小物で来年の運勢を占うという風習もあったそうです。

さらにカスタードの製法が発達し、しまいには小麦粉を使わなくなり、卵と牛乳をベースに作る現在のプリンが作られます。もう全くの別料理なのですが名前が変わらなかったため、その歴史がソーセージまで遡れてしまうという奇妙なことになってしまいました。

そして現在、牛乳すら使わずに作る様々なプリンが生まれました。その一つが今回紹介する『豆乳プリン』です。ここからさらに卵が抜けてゼラチンで固めたものなどもあるという、動物性の材料ゼロのソーセージの変化した料理とは思えない進化を遂げています。

アジア人にとって『プリン』はプルプルの卵色デザートのイメージですが、西洋の人たちにとって『プディング』はクリスマスケーキだったり、ソーセージや蒸し料理一般を意味したりと非常に幅広い概念を持っています。カルチャーギャップにならないよう覚えておきましょう。ヨーロッパ人の友人ができたら、「あなたの国のプディングってどんなの?」と聞いてみると面白そうですね。



溫泉蛋│温泉たまご

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
簡単に作れる『溫泉蛋│温泉たまご』のレシピを紹介します。温度と時間が調理の決め手です。台湾料理でもなんでもありませんが、日本ブームもあってこの料理が好き、作ってみたいという人は多数います。日本でもきれいに作れる人は多くないと思いますので、これを機に作り方を覚えてしまいましょう。

台湾には日本人が拓いた温泉が多数あります。今回はそんな台湾各地にある温泉をぐるりと紹介してみます。台湾にある温泉はなんと100か所以上!

まずは台北市近郊にある温泉。北投と烏來(烏来)の二か所に天然温泉があります。北投はMRTで直接訪れることができて24時間営業の温泉も多いので、市内から多数の訪問客があります。某巨大日系温泉旅館が進出しているのもここ北投です。烏来はもともと原住民の集落で、側を流れる河底からも直接温水が湧き出しています。河原まで下りれば無料で足湯を楽しめます。こちらは市内からバスで1時間ほど。北投も烏來もどちらも立ち並ぶペンションや旅館の内湯を利用でき、ゆっくりくつろげます。

台北から南に車で1時間ほど、新竹苗栗エリアには清泉安と泰安に温泉が湧いています。清泉温泉は日本統治時代警察官の慰問所が設けられていた場所で、戦後はあの張学良が幽閉されていた場所です。バスを乗り継いでいかなければなりませんが、風情ある温泉が楽しめます。(かなりの田舎なので事前準備を入念に行ってから訪れましょう。)泰安ももともとは警察の保養地として開発されました。現在は高級リゾート化されていて、温泉によってはヒノキの浴槽もついています。清潔で景観などにも気が配られており筆者おススメの温泉地です。こちらもちょっと交通が不便ですが、苗栗駅からバスで直行できます。どちらも戦前は警察関係者しか入ることができませんでした、歴史の優越感に浸りながら入りましょう(笑)。

もう少し南に下ると嘉義の関仔嶺、高雄の宝来、不老、そして台湾最南端の屏東には四重渓温泉があります。関仔嶺と四重渓は台湾四大温泉のうちの二つ。関仔嶺では泥湯が楽しめます。温泉街は坂道が多いので足腰の鍛錬にもなります。宝来、不老の両温泉は隣り合うエリアにあり、険しい山中にある秘湯中の秘湯です(笑)。移動は高雄市内から2時間ほど見ておく必要があります(というか地理的には台南市内からのほうが近く時間もかかりません)。どちらも設備はしっかりしているので、風情と達成感を味わえます。四重渓温泉は清代から続く歴史ある温泉街ですが、もちろん日本統治時代に魔改造されて大いに発展しました。天皇家ともゆかり有る温泉地で、記念碑が残されています。

 南部からぐるりと東側にまわり込んで台東に行けば、台湾有数の温泉地である知本温泉があります。泉質は最上級とされ、70-80年代に一大リゾートとして発展をしましたが、肝心のサービスやホスピタリティを洗練するところまではいかなかったようで、交通の不便もあって近年凋落著しい温泉地です。台湾四大がっかり観光地の筆頭と言えるでしょう(笑)。

東側を北上し、花蓮あたりまでいくとぽつぽつ小規模の温泉がありますが、今回はスルーして一気に台湾東海岸を北上。台北から車で一時間ほどの距離にある礁渓温泉とそこから少し南に下った蘇澳冷泉を紹介して終わります。礁渓は鉄道駅の目の前に広がる温泉街で交通アクセスもよく台北から多くのお客さんを集めています。筆者おススメの温泉街です。観光の合間に訪れるならココ。いわゆるすれてない温泉街の雰囲気を存分に味わえます。公衆浴場が発達しており、長く渓流のように流れる足湯がポイントです。足湯に沿って店を構える屋台で軽食を注文し、足湯につかりながらそれを食べると最高です。週末は無料ライブなども楽しめます。そこからさらに車で1時間ほど南下すると蘇澳冷泉があります。こちらの冷泉は世界でも極めて珍しい炭酸冷泉と呼ばれる冷泉で、ここ以外にはイタリアにしかありません。古くから冷泉が湧いていることは知られていましたが、炭酸水中では魚も昆虫も棲めないため有毒であると考えられており、誰も浴用、まして飲用には使っていませんでした。日本統治時代ひょんなことから日本の軍人竹中信景が飲んでみたところ炭酸水であることが分かり、彼は自身で出資してこの地に炭酸水工場を建て、商品開発をはじめました。この炭酸水を使ったラムネは1916年に日本で行われた万国博覧会に出品され銀賞を受賞しています。炭酸水は現在も豊富に湧き出しており、その水量を活かした炭酸水公園や浴場が整備されています。特に夏場は涼を求めた観光客で多いな賑わいを見せます。

というわけで台湾を反時計回りに一周しながら各地の温泉を見ていきました。特に台北近郊の北投、烏来、礁渓はアクセスも便利でおススメです。「台湾に温泉?台湾で温泉?」という新鮮な驚きが手軽に味わえるので、滞在が長くなったらぜひ訪れてみてください。



三杯杏鮑菇│三杯エリンギ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾素食を代表する三杯料理『三杯杏鮑菇│三杯エリンギ』のレシピを紹介します。通常鶏肉などを使って作る三杯料理をボリュームたっぷりのエリンギを使って作ります。素食ではありますが、レシピではお酒を使っています。気になる方は抜いて作りましょう。

エリンギは中国語で杏鮑菇といいます。学名は Pleurotus eryngii でヒラタケ科のキノコです。ヨーロッパ原産でアジアには自生種がないため、市場に出回るものはすべて栽培品です。日本では1993年に人工栽培に成功し、栽培技術の拡散に伴って生産量が爆発的に増えました。台湾では1991年から人工栽培の研究がスタートしており、日本より少し早く人工栽培に成功しています。

エリンギの菌糸の成長時は15-19°という温度が必要で、 これが20度を超えると菌糸が死亡してしまいます。栽培には非常に厳密な温度管理を要求され、長年人工栽培のネックとなっていました。日本や台湾では温度管理を機械化することでこれを克服し、大量生産への道を開いたのです。

もちろn原産地では天然物が食べられます。日本や台湾など栽培品が流通する地域では主に"茎"の部分を食用にしますが、天然品は"笠"の部分がよく使われます。笠が開いたものはかなりの大きさになり、コリコリした茎の部分とは食感も異なるので、ヨーロッパを旅行することがあればぜひ味合ってみましょう。

食感が肉に似ているというため、台湾では素食の食材としても有名です。鶏肉で作る料理なら大体エリンギで代用できますので、いろいろとアレンジしてみましょう。


紅藜飯│シロザ飯

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
最近台湾ではやりの健康料理『紅藜飯│シロザ飯』のレシピを紹介します。ヒユ科のシロザ(の仲間であるキヌアなど)の実を水に浸けてご飯のように炊いて作る料理です。今台湾で大流行の健康メニューです。

シロザは学名を Chenopodium album と言います。ヒユ科の植物でゴマのような小粒の種を食用にします。中国語では白藜と書きます。学名のAlbumは白の意味です。

漢字でただ「藜」とだけかけば、アカザ、学名を Chenopodiumt album var. centrorubrum というシロザの変種植物を指します。紅藜では紅色のアカザの意味で二重表現ですが、台湾には固有種の Chenopodium formosanum があり、これを台湾紅藜、または台湾藜と呼び、(台湾で)紅藜と書けば、アカザのことではなく台湾紅藜のことです。

シロザやアカザは古くは中国から野菜としてもたらされたと考えられており、日本で野生化して雑草としていたるところに定着しました。今ではほとんど食べられませんが、きちんと下処理すればちゃんと食べられます。

種子を英語で Quinua または Quinoa と書き、穀物の一種として扱います。日本だとキヌアの名前で流通しています。アカザやシロザの仲間の種子のことです。

キヌアは近年の研究によりすべての必須アミノ酸をバランスよく含む完全食品であることが分かっています。台湾では固有種の台湾藜があることもあり、ブームに火が付きました。ただし生産量がきわめて少ない穀物なので、ブームになっているとはいえ手に入れるのが非常に難しくなっています。



日本でなら簡単に手に入るので、ぜひいろんな料理に挑戦してみましょう。穀物なので基本的に米と同じように調理できます。プチプチした食感をいろんな料理のアクセントに加えたり、そのままコロッケの衣にしたりもできます。何より栄養分が豊富なので日常の健康管理や病中病後の療養食としても使えます。

ご飯に1:1で混ぜるとこんな感じです。

小黃瓜拌裙帶芽│カットワカメとキュウリのサラダ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
お手軽軽食『小黃瓜拌裙帶芽│カットワカメとキュウリのサラダ』のレシピを紹介します。カットワカメと塩もみしたキュウリをみりんと酢と砂糖であえて作るお手軽料理です。おかずができるまでのつなぎに、またお酒のつまみなどにぴったりですね。

ワカメは中国語で「海帯芽」といいますが、この料理で使うような生のものは特に「裙帶芽」といいます。台湾でも生ワカメはあまり流通しないため、めったに「裙帶芽」の字を使うことはありません。「生(的)海帯芽」でも通じますが、一応覚えておきましょう。

さて、「裙帶芽」の裙はスカート(現代語では「裙子」)の意味です。裙はもともと中国南部民族の衣服を指し、現在の巻きスカートのような形状でした。中国の衣服は王朝によって大きく異なりますが、北方ではズボンのようなタイプを、南方ではスカートのような巻布タイプの衣服が好まれました。北方では寒さ、また馬に乗るためにズボンが、南方では暑さのためこのような衣服が発達したと考えられています。宋代に北も南も服飾が大いに発達したと言われています。

さらに古くは北方でも裳と呼ばれるスカートのような衣服を着用しており、これが上着とつながったり、また分離したり、ベルトで止めたりしながら変遷を重ね、中国南部の裙となりました。もちろん途中で他の民族衣装の影響を受けたり、まったく着られなくなったり、数百年後に復活したりと様々な紆余曲折があります。唐代の衣服は日本にも伝わり和服の原型ともなりました。

古代の衣服はTPOに合わせて細かく規定がなされており、「礼」の重要な一部分を占めていました。その影響からか現代の日本でも服装をTPOに合わせることが要求されることがあります。古い歴史を尊重するか、新時代を切り開くか、どちらにも変化があり、どちらにも貫き通す意思の強さが求められます。そしてどんな時代の服を着るにせよ、創意工夫によっておしゃれは可能です。

料理もおしゃれも、個人の腕の見せ所ですね。存分に才能を発揮してください。


紫米堅果炊飯│堅果紫米ご飯

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
薬膳とまではいきませんが、健康養生料理『紫米堅果炊飯│堅果紫米ご飯』のレシピを紹介します。堅果、今回はクルミとカボチャの種を紫米を混ぜたご飯にします。いつものご飯にポリポリとした別の食感が混ざることで全然別の料理のようになります。ゴマ塩などをかけてどうぞ!

紫米は古代米の一種で、人類が栽培を始める前のイネの特徴を残しているとされます。ここでいう古代米とは遺跡から出土したという意味ではなく、野生種の形質を残した栽培品種の意味です。イネは人類が稲作を始めてから徐々に品種改良が行われ、白く、刈り入れしやすく、生産性を向上させながら現代のようなコメになりました。今回使う紫米はこれらの特徴がない、つまり色がついていて、刈り入れがしにくく(背丈が高い)、生産性が悪いという性質があります。しかし白米に対して病虫害に強い、干ばつ、冷害などに強い、つまり丈夫であるという特性があります。

紫米の色素はアントシアニン系の、同じく古代米に分類される赤米にはタンニン系、緑米にはクロロフィルが含まれ、ミネラル含量も白米より高く健康効果も高いとされています。健康効果を期待して台湾では素食の店などで調理されることもあります。

古代米と白米を一定の割合で混ぜて炊くと、白米にきれいな色を付けることができます。今回のレシピでは1:1で混ぜ合わせているのでかなり濃い色になりますが、赤飯程度の色あいなら5%ほど混ぜるだけで良いでしょう。割合を変えてみていろんな色をお楽しみください。



腌制生蛤蜊│ハマグリの醤油漬け

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難易度:☆ 調理時間:数日
台湾の名物おつまみ料理『腌制生蛤蜊│ハマグリの醤油漬け』のレシピを紹介します。生のハマグリをアルコール、冷凍殺菌、醤油に浸けて食べます。衛生的にはもちろん火を通したほうが良いですが、生の貝独特の旨味も捨てがたいですね。

さて台湾でも日本でも、家庭で盲目的に信じられている迷信の一つに「死んだ貝は加熱しても開かない」というものがあります。ネットで検索していただければわかると思いますが、貝の生死と加熱して開くか開かないかは全く関係がありません。開かない貝は蝶番が壊れていたり、口の部分のたんぱく質が凝固して開けられないだけです。逆に死んだ貝は加熱する前に衝撃を与えたりすると勝手に口を開けます。

筆者が市場で新鮮な貝を買ってきて砂を吐かせてから冷凍しようとすると、家族から「貝が死ぬじゃん!死んだら開かないじゃん!なんで冷凍すんの?」と怒られ、「新鮮なまま冷凍したほうが旨味が増すんだよ!そりゃ死ぬけど、口が開かないのとは関係ないよ。」 と説明しても、「そんなことありえない!」と無碍もなく否定された覚えがあります(笑)。

この俗信を解消するのに何か月かかったことか…。

特に年齢が上の方は頭では理解しても「でも私は冷凍した貝は食べない、受け付けない」といまだに頑なに受け入れてくれません。輸入貝を食べたことあるくせに何言ってんでしょうね(笑)。

何度も言います。貝の口が開かないのと、生きているかどうかとは関係がありません。 ただ死んでから時間が経った貝は恐ろしくまずい(そして臭い)ので、調理前に取り除く方が無難です。死んだ貝を見分ける方法はボウルなどに入れてガチャガチャとイモ洗いすると軽く口が開くので見分けられます。生きている貝は防御反応で口を閉じるので、それで見分けましょう。

新鮮なうちに砂を吐かせてから冷凍すると、凝固する水の膨張によって細胞が破壊され、身の中のうまみ成分が外に出てきやすくなります。身の弾力などが変わってしまうので単純に比較はできませんあ、炒飯や吸い物にしたりする分にはあまり気にならないのではないでしょうか。ご自身がおいしいと思う方法で調理してください。
 
それではレシピです。



 
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