藥膳醉雞│薬膳鶏の冷性酒蒸し
前に『醉雞』という鶏肉の酒蒸し料理を紹介したことがありましたが、本日はそれに漢方薬を加えた薬膳料理を紹介したいと思います。非常に健康的でお酒のつまみとしても最適なので、材料が手に入る方は挑戦してみてください。
台湾の薬膳で使われる漢方材料の種類はそれほど多くなく、せいぜい20数種類程度なのですこしずつ紹介したいと思います。
日本では漢方薬局以外での入手が難しいために紹介を避けていましたが、今日のレシピには「黄蓍│おうぎ」という漢方材料が入っています。レンゲソウと同じ属に属するキバナオウギという植物の根を乾燥させたもので、非常に有用な生薬です。高麗人参が内面の気を増すといわれるのに対して、黄蓍は体表の気を増すとされており、韓国料理の『삼계탕│サムゲタン、参鶏湯』などにも使われます。
さて、この「黄蓍」ですが、これまた表記のゆれが多いので少々注意が必要です。正確には「黄蓍」と書くのですが、漢字が難しいため「黄耆」と書くのが一般的です。中国や韓国では「黄芪」などとも書きますが、日本では「黄耆」の表記を採用しています。類似の生薬に「紅蓍│こうぎ」または「晋蓍│しんぎ」というものがあり、マメ科のイワオウギ属植物の根を乾燥させたもので黄蓍の上位品のような使われ方をします。実際には含まれる成分はそれほど似てはいませんので、効果はまったくの別物だと思っていた方がいいでしょう。このブログでは黄耆、黄蓍どちらの表記も使います。
ところで台湾では日本で言う黄蓍のことは「青蓍」または「青芪」と表記します。台湾で黄蓍と表記していた場合は「黄蓍類」を表し、「青蓍」と「紅蓍」の両方を指すので注意が必要です(しかも台湾で黄蓍と表記されている大部分が紅蓍のことです)。台湾の市場で(日本で言う)黄蓍を購入するときは、青芪と書かれているものが日本の黄蓍に相当します。普通の旅行者が台湾で敢えて黄蓍を購入する機会はそんなに多くはないと思いますが、間違えないようにしましょう。
黄だの青だの紅だのなんだかカラフルな生薬ですが、本場中国の市場では黒蓍や白蓍といった表記もあるので、さらに賑やかです。
まぁ、専門的な話はさておき、健康的でかつお酒のつまみにも最適な薬膳醉雞のレシピいってみましょう。
難易度:
☆☆☆
調理時間:
数日
材料:
鶏腿肉 ……… 2本
大棗 ……… 6個
当帰 ……… 10g
黄蓍 ……… 10g
クコの実 ……… 5g
水 ……… 200cc
調味料:
酒 ……… 400cc
固形ブイヨン ……… 小さじ1/2
塩 ……… 小さじ1/2
作り方:
1.鶏腿肉はよく洗い、軽く塩(分量外)をまぶしてタコ糸できつく縛る。さらにアルミホイルで包み、蒸し器で20分ほど蒸す。
2.蒸した鶏肉をアルミホイルでくるんだまま氷水につけて冷やす。冷えたらアルミホイルを破いて肉を取り出す。
3.大棗、当帰、黄蓍、クコの実は良く洗い、鍋に酒、水と共に入れ、沸騰させる。沸騰したまま3分ほど煮込んだら火を止め、塩、固形ブイヨンを加える。自然に温度が下がるのをまつ。
4.パックやタッパーにスープと鶏肉を入れて、冷蔵庫に1-2日入れておく。取り出して切り分けて完成。
Point:
鶏肉に火が通ったら、骨をきれいにはずしておけばあとあと食べやすいです。
アルコール分を完全に飛ばす必要はありません。少々お酒の匂いがするほうが、おいしく食べられます。
免疫増強や寝汗の防止、冷え性や生理痛などに効果があるはずですが、なによりおいしいのがうれしい料理です。
胸肉などを使ってほぐし、そのままレタスに乗せても旨い料理です。味が物足りない方は少量の塩を準備して食べましょう。
漢方薬が手に入らない方は普通の『醉雞』をどうぞ。手間はかかりますが、実際は冷蔵庫内に放置しておくだけなので意外と簡単です。
醉雞シリーズはさまざまなレシピがあり、筆者もお気に入りなので今後も時々紹介していきたいと思います。
0 コメント :
コメントを投稿