菠菜豬肝湯│ホウレンソウと豚レバーのスープ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『菠菜豬肝湯│ホウレンソウと豚レバーのスープ』のレシピを紹介します。豚レバーとほうれん草を塩、コショウ、酒で煮て作るスープです。シンプルな味わいですが豚レバーとほうれん草の組み合わせなのでとてもスタミナがつきます。

「肝」の字が使われた故事成語はたくさんあります。中国語の成語辞典などでよく見かけるのは「肝膽相照」、「披肝瀝膽」、「披瀝肝膽」、「肝腦塗地」などでしょうか。いくつかのものは書き下してそのまま日本語の慣用句としても使われていますね。少し詳しく見てみましょう。

肝膽相照は「肝胆相(あい)照らす」と読み下します。肝臓と胆嚢、心の奥底までつつみ隠さず知り合っている意味の言葉で、心から信頼し合っている間柄を示す言葉です。「披肝瀝膽」、「披瀝肝膽」もほとんど同じ意味で使われます。どちらも肝臓を披露して、胆汁を滴下するという意味で、心の奥まで包み隠さず吐露し、忠誠を尽くすというような時に使われます。日本語でも「腹を割って話す」、「腹黒い」などというので、東洋ではどうやら隠し事は腹の中にためておくもののようです。

ちなみに「披肝瀝膽」には少しずつ言い回しを変えた同じ意味の言葉が多数あります。ざっと抜き出すと「隳肝瀝膽」、「瀝膽墮肝」、「瀝膽披肝」、「刳肝瀝膽」、「瀝膽抽腸」、「瀝膽隳肝」、「瀝膽濯肝」、「瀝血披肝」、「露膽披肝」、「披肝瀝血」、「披肝露膽」、「剖肝瀝膽」、「傾肝瀝膽」、「攄肝瀝膽」、「輸肝瀝膽」などなど。おそらくですが過去の詩人らが同じ言い回しを避けて独自の表現を模索した結果なのでしょう。腸や血という表現は使われていますが、不思議なことに同じ腹の中にある腎臓や膀胱は使われていません。臓器の持つイメージというものまでは変えようがなかったようです。

また肝、胆の字を使ってはいなくても、同じような意味の言葉は非常に多く、「丹成相許」、「赤誠相見」、「赤膽忠心」、「忠心耿耿」などがあります。こちらには「丹」、「赤」など赤色を指す言葉が多くつかわれています。肝臓の色と関連していると考えられます。古代中国では肝臓の赤は忠誠の色だったようです。そういえば日本の某マンガでは誠実さのかけらもない相手に「お前の血は何色だ!?」などと聞いていましたね。

韓国語では「肝が太い」のを俗に「간이 붓다(肝が腫れた)」などと表現しますし、ベトナム語にも肝や腹に関する慣用句は秘密や忠誠を表すものが多くあります。身体性の喪失が叫ばれて久しい現代ですが、こうして周辺諸国の似たような言葉を探してみると、言葉が自分の血肉になったような気がしませんか?しない?しません?

そういう時は本当に肝、レバーを食べてしまいましょう(笑)。

それではレシピです。


甜麵爆香菇│シイタケのテンメンジャン炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『甜麵爆香菇│シイタケのテンメンジャン炒め』のレシピを紹介します。生のシイタケをテンメンジャンをベースにオイスターソースや醤油を加えたタレで炒めて作る料理です。様々な旨味が混然一体となったシンプルながらも見事な料理です。

ネギは古代日本でも食用にされていた食材で、古くは単に「キ(葱)」と呼ばれていました。これが中世以降、ラッキョウのように根を食べるようになり「根葱(ネキ)」と呼ばれるようになりました。今では葉の部分を食べるものもネギと呼んでいますが、もともとは球根の部分だけをネギと呼ぶのが正しかったのです。他にもアサツキ(浅葱)のキ、ワケギ(分葱)のギも葱と書き、それぞれ古くから食用とされていたことが分ります。萌葱色(もえぎいろ)のように、色の名前としても残っています。

ちなみにネギはちょっと前まで(クロンキスト体系)はユリ科に分類されていましたが、最新のAGP分類(AGP III)ではヒガンバナ科に分類されるようになりました。

ヒガンバナの仲間とネギの仲間は形態的に多くの類似点があり、古くからユリ科から独立させるべきという意見が多数ありました。


ちなみにヒガンバナ科に属する植物の多くはリコリンという毒を持ちます。ヒガンバナの球根を乾燥させたものは催吐作用を持つ「石蒜(せきさん)」という生薬になりますが、多量摂取すると死亡する恐れがあるためめったに使いません。中国語ではこの「石蒜」がヒガンバナの名称となります。

台湾では馬祖列島がヒガンバナの群生地として有名です。季節が合えば海辺に咲き乱れるヒガンバナを見ることができます。日本のあぜ道にある赤いものだけでなく、青紫色の紅藍石蒜という種も一面に生えており、夕暮れ時などはその美しさに目を奪われてしまいます。ぜひ一度訪れてみましょう。



鹹蛋柳松菇│塩卵となめこ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『鹹蛋柳松菇│塩卵となめこ炒め』のレシピを紹介します。塩漬けにした卵、『鹹蛋』をゆで卵にして刻み、炒めたなめこと合わせて食べる料理です。どこか沖縄料理を感じさせる味わいの料理です。

鹹蛋』 の作り方はこちら。始めて作るなら塩水漬けが簡単で良いでしょう。

ナメコは学名を Pholiota microspora といいます。実はつい2008年まで、ナメコは日本人の名付けた学名である Pholiota nameko と言っていました。しかし研究によりヒマラヤ産のP. microspora と同一種であることがわかり学名が統一されました。

動植物の学名は先に発表されている物の方が有効というルールがあります。ナメコの場合 P. nameko の命名が1929年、同一種の P. microspora の命名が1850年なので同じ種であった場合は後者の方が有効というわけです。種小名がそのまま nameko と日本人には覚えやすい学名だったのに残念ですね(笑)。 

ナメコの旧名 P. nameko は命名当時は Collybia nameko であり、のちに属が変更されています。このC. nameko という学名をナメコに名付けたのは日本の植物学者伊藤篤太郎という人です。

この伊藤篤太郎という人は実は日本で最初に植物の命名を行った人物としてよく名前が知られています。彼の一つ下の世代に牧野富太郎や池野成一郎など日本植物学界のスターらがいます。何事も最初というのはいろいろなトラブルがあったようで、この辺りは当時の時代背景も含めて書籍にまとめられています。興味のある方はぜひ目を通してみましょう。



それではレシピです。


番茄炒菠菜│トマトとほうれん草の中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『番茄炒菠菜│トマトとほうれん草の中華炒め』のレシピを紹介します。名前の通りトマトとほうれん草を少量のブイヨンと塩で炒めた料理です。お手軽簡単、もう一品何かおかずに欲しい時に役に立つレシピです。

ホウレンソウは中国語で「菠菜」と書きますが、台湾の市場ではよく「波菜」という簡略化した表記もよく見かけます。時にはレシピにも「波菜」という表記が登場することも。両方とも発音はbo1で、台湾の市場ではこのような漢字の書き換えが良く行われます。

ただ敢えて簡易な漢字を用いているのか、それとも本気で間違えているのか分からないこともしばしばなので、中国語学習者はしっかりと辞書で正式な名称と表記を調べて覚えておくようにしましょう。特に野菜の漢字は、読めても書けないという台湾人も多くいます。頭の体操にもちょうどよいので、中国語で身近な野菜がどういう名前なのか、調べてみると面白そうですね。

ちなみにトマトの正式な中国語名は「西紅柿」ですが、台湾では「蕃茄」と書きます。更に簡易表記の「番茄」もよく見かけます。正しい表記を覚えておいてこそ、簡易表記や書き換えも許されます。外国人だからこそ、(出来るかどうかは別として)正しい表記と発音を覚えておきたいものです。

それではレシピです。


吻仔魚炒莧菜│ヒユとシラス炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『吻仔魚炒莧菜│ヒユとシラス炒め』のレシピを紹介します。莧菜という日本ではあまり使わない野菜とシラスを炒めて作る料理です。レシピでは莧菜のかわりに類縁のヒユを使っていますが、手に入らない方は身近な野菜を使って作りましょう。

シラスのことを台湾では「吻仔魚」と書き、ムラヒーのように発音します。学術上の正式な表記では「魩仔魚」なのですが、市場では吻仔魚とかかれることが多いようです。

おもにイワシの仲間の稚魚をシラス、吻仔魚と呼び、季節や漁獲する地域によって含まれる魚種が変わります。日本で売られているシラス干しをよく観察すると分かると思いますが、中には明らかに形態の違うものが一定の割合混ざっているので小学校の自由研究などにすると面白そうです。

もちろん台湾の吻仔魚と日本のシラスはその魚種の組成が違います。

台湾では台東、花蓮地域のものが有名で、大量に漁獲されています。しかし台東地域では吻仔魚の捕りすぎでカタクチイワシの成魚の漁獲量が激減してしまい、2014年から3年間シラスの漁獲が禁じられています。現在市場に出回っているのは花蓮産のものが多いですが、生態系を保存するためにもあまり食べすぎないようにしましょう。もちろん日本では今のところ問題ありません。

乾燥シラス、いわゆるチリメンジャコ(縮緬雑魚)はビタミンB12、Dを豊富に含みます。特にビタミンDは含量が非常に高く、骨粗しょう症の予防に使われている医薬品に匹敵する量(一日1-4μg)が10g以下で摂れてしまいます。

お年寄りがご飯を食べるときはふりかけにすると良いでしょう。またシラス好きのお年寄りは過剰摂取にならないよう薬剤師にも相談しておくと良いでしょう。



豆苗蝦仁│豆苗とエビの中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『豆苗蝦仁│豆苗とエビの中華炒め』のレシピを紹介します。豆苗とエビをブイヨンとごま油を使って炒めた料理です。小さな容器を使って家庭栽培もできる豆苗を使って作ります。広東料理のようなダシを聞かせたお手軽料理です。

豆苗はエンドウの若芽です。本来は大きく育ったエンドウの若芽や茎を摘んで食べるのですが、近年は発芽させたばかりの若芽も豆苗として流通しています。後者はエンドウ豆を水に浸けて発芽させ、ある程度の大きさまで育てるだけなので室内でも育てて収穫できます。家庭菜園でも作れるので、料理好きな方は試してみましょう。

豆苗は鮮やかな緑色をしていますがβカロテンを含みます。その含有量は緑色野菜としては極めて高く、黄色野菜の代表格であるニンジンの半分以上、カボチャを軽く超える量が含まれています。これは現在よく知られている緑色野菜の中では断トツの含有量です。他にもビタミンEやKの含有量も緑色野菜の中ではトップクラスです。ほのかな豆の甘みがあるので、野菜が嫌いな人でも食べやすいことでしょう。

豆苗が日本で食べられるようになったのは1970年以降、最初は高級品でしたが、現在のように発芽させたものが出荷されるようになったのは1995年以降、全国的に名前が知られるようになったのは2010年以降とごく最近になってからです。 今後100年ほどをかけて様々な料理が生まれることでしょう。

皆さんもぜひいろいろな豆苗料理に挑戦してみてください。




櫻花蝦炒高麗菜│サクラエビとキャベツの中華風炒め

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難易度:☆ 調理時間:
台湾の家庭料理『櫻花蝦炒高麗菜│サクラエビとキャベツの中華風炒め』のレシピを紹介します。名前の通り干したサクラエビとキャベツを炒めた簡単料理です。手早く作れて濃厚な旨味を楽しめます。

記事は後日!

竹筍炒肉絲豆瓣│タケノコと豚肉の千切りの豆板醤炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『竹筍炒肉絲豆瓣│タケノコと豚肉の千切りの豆板醤炒め』のレシピを紹介します。細切りにしたタケノコと豚肉を豆板醤ベースのソースで炒めた料理です。シャキシャキしたタケノコと柔らかい豚肉の食感の違いが、ピリ辛ソースの味を引き立てます。

今年の頭、台湾では「台湾の栽培タケノコには残留農薬が多く、ある人が食べてから30分後に死亡した」という噂話がインターネットで拡散しました。これを目にした多くの人が市場で売られているタケノコを購入しなくなり、飲食店のタケノコを使った料理も食べなくなってしまいました。

これにより経営に大打撃を受けた台湾のタケノコ農家は火消しに奔走しました。テレビのニュースに登場しては生のタケノコをかじって安全をアピールしたり、インタビューの画面にうつりこむように自家商品の看板を掲げたりして必死に火消しを行ったのです。

しかし逆にこの手のニュースを見て「え?台湾のタケノコって農薬を使って栽培してたの?」と知ってしまった人も多く、タケノコの需要がさらに落ち込む原因となってしまいました。

大陸産の輸入タケノコは言わずもがなですが、日本のようにきちんと手入れされた竹林で自然に生えてくるものだと思っていた台湾産のタケノコも、農薬を使って栽培していると知った消費者にはショックな事実だったようです。

ニュース映像には台湾のタケノコ栽培の農場も少し映り込んでいましたが、日本のタケノコ栽培農地の方が何倍もきれいで整然としていました。台湾のタケノコ栽培はそれほど長い歴史があるわけではないので、中国の手法を真似るのも無理もありませんが、残留農薬で人が死んだと噂話になるほど農薬をじゃぶじゃぶ使って栽培する手法をそのまま持ち込んでしまうのはやめたほうが良かったのかもしれません。



蛤蜊絲瓜│ヘチマとハマグリ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『蛤蜊絲瓜│ヘチマとハマグリ炒め』のレシピを紹介します。殻付きのハマグリを一口サイズに切ったヘチマと一緒に炒めた料理です。サッパリしていますが、ハマグリの濃厚な旨味を楽しめます。

熱炒店などでも『蛤蜊炒絲瓜』などの名前で食べられます。

ヘチマは中国や東南アジアではよく食べられる野菜ですが、なぜか日本では伝統的に食用にはされません。筆者も台湾に来て初めてヘチマを食べました。思ってるほど癖がなく、繊維質の果肉がスープをよく吸うのでいろんな料理と合います。

ヘチマの学名は Luffa cylindrica といいます。Luffa はヘチマの仲間の意味で、種小名の cylindrica はスペルをよく見ると…、ラテン語ですがなんとなく意味が分かるでしょうか?。 発音はキーリンドリカのような感じですが、スペルとにらめっこしていると…、そう「円筒」を表す英語の「シリンダー」と同じ系統の語であることが分かります。なるほどヘチマは長い円筒形ですね。ちなみにシノニムで L. aegyptiaca という学名もありますが、こちらはアエジプティカ、エジプト人のという意味です。インド原産の植物ですが、なぜかエジプト人の植物になっています(笑)。

インドネシア語では Belustru といいますが、方言ごとに呼び方が全然違い10種類ほどの別名があります。たぶんメジャーな方言ならどこでも通じると思いますが、さすが人口4億を有する大国家、方言による呼び方の違いもダイナミックです。しかも何の脈絡もないので、覚えるのは大変です。慣れるしかありません(笑)。インドネシアでは L. cylindrica より L.acutangula の方をよく食べますが、こちらは oyong と別の名前で呼ばれます。見た目が似ているのに別の単語ということは、相当生活に密着した野菜ということなのでしょう。インドネシアでは中国語のピンインをそのまま使った Sigua という表記でも通じるようです。


ちなみに原産地であるインドではघेवड़ा (ゲブダ)といいます。他にもフィリピンやベトナムでも食用にされますが、各地の名称を調べたところ、どうも名称には何の関連もなさそうです。各地で日本のヘチマのように独自で命名されたのでしょうか?相当古くから食用になっていることが推察されますね。

それではレシピです。



乾煸茭白筍│マコモのと豚ひき肉のピリ辛炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『乾煸茭白筍│マコモのと豚ひき肉のピリ辛炒め』のレシピを紹介します。しゃっくりとした食感のマコモタケと豚ひき肉をトウガラシやニンニクと一緒に炒めた料理です。マコモタケを別の野菜に変えると様々な料理に変化させられます。

記事は後日!

肉醬燒茄子│茄子のミートソース炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『肉醬燒茄子│茄子のミートソース炒め』のレシピを紹介します。パスタ用のミートソースを使ってナスを炒めて作るスタミナ料理です。材料さえ切ってしまえば、5分ほどで完成します。

肉とは動物の皮下組織、筋肉を指す言葉です。中国語では精神の対義語としても使われます。西洋の神学でも精神の対義語として肉(Flesh)が使われますが、Bodyの意味とは少し異なるようです。

日本ではもともと動物の肉はすべて「しし」と言っていました。これがいつからか漢字の「にく」音に取って代わられてしまい、動物の肉は「にく」と呼ぶようになりました。「しし」の発音は肉の異体字である「宍」などに残っています。

他にもイノシシや鹿威し(ししおどし)などに「しし」の語が残っています。イノシシの古語は「ヰ(ウィ→イ)」で、十二支の最後は今でもこの音で呼びます。

今でこそボタン、モミジ、サクラ、カシワなどと呼ばれるケモノ肉ですが、昔は全部「しし」で通じたのです。江戸時代頃にはさらにオオカミやカワウソなどのケモノ肉をひっくるめて「ももんじ」と呼び、これらの料理を提供する「ももんじ屋」が人気を集めたそうです。

それではレシピです。

写真はレシピにバジルを加えたもの。


乾煸四季豆│サヤインゲンとブタひき肉炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『乾煸四季豆│サヤインゲンとブタひき肉炒め』のレシピを紹介します。豚ひき肉とサヤエンドウを豆板醤ベースの調味料と合わせて炒めた料理です。ご飯やビールのお供に最適の簡単料理です。作り方を覚えておきましょう。

「乾煸」とはもともと「水っぽい調味料を水気がなくなるまで煮詰めながら炒める」という調理方法を指しますが、今回の料理では時間短縮のために調味料は汁っぽくないものを使い、サヤエンドウは油通ししてから炒める手法で作っています。正確に言うと料理名を変えなければいけないのですが、中国隊力のようなおおらかな気持ちで調理してください((笑))。

サヤインゲン(インゲンマメ)には毒性を持つサポニンが含まれています。生で食べると中毒を引き起こすので、必ず100度以上で加熱してから食べるようにしましょう。レシピでは油通しをしています。煮たり茹でたりする場合は15分ほど加熱すれば大丈夫です。

インゲンマメは明末の僧隠元隆琦によって中国から日本に伝わりました。彼は福建省福州の出身で、長崎の唐人寺(崇福寺)の住職に空きが出たために日本に渡りました。このとき鄭成功の手配した船に乗って長崎に渡っています。間接的に台湾ともつながりのある人物なのです。彼と共に日本に渡った弟子の半数は日本に帰化しているので、長崎辺りには今も彼の弟子の子孫が残っているかもしれません。まぁ、お坊さんなので僧たちの子供は作っていないと思いますが、一緒に渡って来た絵師や細工師たちの子孫は今も残っているかも知れません。

ちなみに隠元が日本に来る原因となった長崎の崇福寺は日本最古の唐人寺で、山門や本堂は国宝に指定されています。長崎観光では外せないコースです。

彼が当時の日本に与えた影響は非常に大きく、帰国要請があった後も将軍と面会して帰国を延期してもらったり、新寺社設立のための土地を送られたりしています。今でこそ「隠元?インゲンマメの隠元?」とその功績が忘れられがちですが、彼が当時の日本の仏教、文化界に残した功績は計り知れません。興味がある方は書籍などで彼の半生を追いかけてみると良いでしょう。ちなみに日本に煎茶を広めたもの彼の功績です。

それではレシピです。



海瓜子拌毛豆│アサリと枝豆の中華風サラダ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『海瓜子拌毛豆│アサリと枝豆の中華風サラダ』のレシピを紹介します。お湯にくぐらせて火を通したアサリの身と枝豆を使って作る温製のサラダ料理です。市販の冷凍食材を使って簡単に作れるので、ぜひ試してみましょう。

海瓜子は正確にはアサリではありません。正しい学名についてはこちらの記事を参照してください。大きさや味が似ているためレシピではアサリを使っています。

毛豆とはいわゆる枝豆を指します。枝豆は若い緑色の状態のダイズのことです。塩茹でにしてから冷凍したものも売られているので、その場合は適宜レシピを読みかえて下さい。

漢字の「毛」は人間の頭髪や動物の皮膚に生える毛を表した象形文字です。またその形から地表に生える五穀を指すこともありました。不毛の地などと言ったりしますね。

≪樂記≫に「羽者嫗伏,毛者孕鬻。」という一文があります。 子供を産むものの毛が「毛」、卵を産む動物の毛は「羽」として使い分けていたようです。古代人がカモノハシを見つけていれば、カモノハシの毛は羽と呼ばれていたのかもしれません。

現代中国語では通貨単位「厘」の口語としても用いられます。一元の百分の一の価値です。紙幣や硬貨はほとんど見かけることはありませんが、おつりとして手に入ることがあります。

お金の単位としてもそうですが、毛には「とても小さい」 という意味があります。霧雨のようなかすかな雨を「毛毛雨」と呼んだりします。

毛豆の毛はそのまま莢の表面に毛が生えていることから名づけられたものだと考えられます。食べるときには莢は除いてしまうので、子供にツルツルの豆を見せて、「これが毛豆だよ」と教えるのは大変そうですね(笑)。

それではレシピです。

豆豉鮮蚵│カキのトウチあんかけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の熱炒料理『豆豉鮮蚵│カキのトウチあんかけ』のレシピを紹介します。カキをトウチをベースにしたソースでとじて餡かけにした料理です。たっぷりの旨味を楽しめます。夏場はイワガキか冷凍カキで作りましょう。

カキは世界各地の沿岸部で大量に養殖、漁獲されて食用にされる二枚貝です。一度着床するとほとんど動かないため、筋肉が衰退し、身はほとんどが内臓になっています。カキの身には豊富なグリコーゲンが含まれており、水なしでも一週間ほどの生存が可能だと言います。またこのグリコーゲンは旨みの素ともなっています。

カキの養殖の原理は非常に簡単で、現在の主流は筏式と呼ばれるイカダに等間隔にホタテの貝殻を結んだ紐を垂らしておくだけというものです。カキの幼生がホタテの貝殻に付着し、そのまま発育して一年程で出荷可能なサイズに育ちます。

台湾では彰化や澎湖で養殖が行われており、住民の主要な収入源となっています。付近を訪れることがあれば、海の上に浮いているカキ養殖のイカダにも注目してみましょう。台湾のカキ養殖イカダは非常に簡素な作りで、こんな簡単な設備でカキが養殖できるの!?とびっくりしてしまいます。

現在は韓国産のものが大半を占める輸入カキですが、その内台湾産のものも出回るかも知れませんね。

それではレシピです。



酒蒸蛤蜊│ハマグリの酒蒸

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『酒蒸蛤蜊│ハマグリの酒蒸』のレシピを紹介します。ショウガで臭みを抜いたハマグリに少量の料理酒をかけ、蒸して作る料理です。炊飯器でも作れます。

台湾ではハマグリを「蛤蜊」と書きます。中国で使われる中国語では「文蛤」です。台湾では「文蛤」でも通じますが、大陸の方では「蛤蜊」は通じないので注意しましょう。ただし漢字を見せれば、ハマグリの仲間であることはなんとなく分かってもらえます。

面倒くさいことに日本ではハマグリが「蛤」で、アサリを「蜊」と書きます。「蜊」だけでもアサリと読めますが、「浅蜊」と書いた方が分かりやすいです。台湾ではこの二つを合わせて「蛤蜊」、ハマグリの意味なのでどこかで意味が変わってしまったのでしょう。ちなみに台湾ではアサリのことは「花蛤」と書きます。別名も多いですが、本当に面倒くさいですね(笑)。

多くの貝類には虫偏がついているように、古代中国では貝は蛇、蜥蜴、蠍、蛸、蝦などと同じく「虫」の仲間でした。大体手のひらに乗るくらいのサイズで、哺乳類、鳥類ではないものは全部「虫」だったのです。もっと大型になると鰐や鯱のように魚の仲間になります。伝説上の生き物であっても、虫がついているのか魚がついているのかで、大体の大きさを想像することができます。便利といえば便利ですが、現代になって見つかった新種の生物には新しい漢字を作って振り分けるというシステムがあっても良さそうなものです。

元素記号のように、動物の分類で爬虫類、両生類、哺乳類、鳥類などを一文字で表す漢字を作ると便利そうですが、まだそういう議論は行われていないようです。

だれか考案して論文を書いてみてはいかがでしょうか?

それではレシピです。



蒜泥小章魚│イイダコと豆腐のニンニクソースかけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『蒜泥小章魚│イイダコと豆腐のニンニクソースかけ』のレシピを紹介します。小型のタコであるイイダコに豆腐を添え、ナンプラーベースのソースにたっぷりのニンニクを混ぜて作る料理です。台湾で生まれた料理ですが、タイ料理風のエスニックな味わいが特徴です。

イイダコは北海道から中国沿岸までに生息する最大でも30cmほどにしかならない小型のタコです。 米粒大の卵胞が頭部に詰まった様子がご飯に似ているので「飯蛸」、イイダコと名づけられたそうです。学名は Octopus ocellatus といいます。種小名のラテン語である ocellatus とは英語の ocellus と同じで、クジャクや蛾の蛇の目模様のことです。イイダコの足の先まである小さな斑点を指しています。


海産物で ocellatus という種小名を持つ種は他にもイロブダイ、ニッポンバラタナゴ、ヨコシマニセモチノウオなど多数があります。ウミウシやトカゲ、海藻などにもこの名を持つものがいますが、どれも蛇の目模様があったり、クジャクの羽に形が似ていたりする種です。

ちなみに学名が -us、で終わるのはその前の単語の性が男性であるためで、 ラテン語や西洋言語に特有の文法の変化です。前の単語の性が女性である場合は -a と変化します。ocellatus の場合は ocellata が女性形です。面倒くさいことに中性というものもあり、その場合は語尾が -um、ocellatum となります。どれも意味は同じです。ちなみラテン語の読みは日本のローマ字読みで大体通じます。

植物や動物の学名を覚えるときは、こうしたラテン語の語尾変化というものを覚えておく必要があります。イタリア語を勉強する時はちょっとだけ役に立ちます。

それではレシピです。



三杯透抽│イカの三杯ソース炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『三杯透抽│イカの三杯ソース炒め』のレシピを紹介します。輪切りにしたイカを醤油、酒、ごま油をベースにした三杯ソースで炒めて作る料理です。台湾では有名なごま油香るおかず料理です。ビールのお供にも最適ですね。

透抽とはヤリイカのことです。イカを表す中国語は非常に複雑です(過去の記事を参照)。中国語学習者はしっかりと身につけておきましょう。

「透」の字はしんにょうに秀と書きます。

しんにょうは「行く」を表す部首です。もともとは点が二つある形「辶」が正しく、さらに古くは「辵」と書きました。もともと左側に書く偏だったわけです。 「辵」は「十字路 + 足」を表した字で、これが「行く」という意味を生みました。

「秀」は「禾」+.「乃」です。穀物を表す禾に、伸びた弓を表す乃を組み合わせた漢字です。他の者よりも伸びた穀物から転じて「他より抜きんでて優れた」という意味を表します。平均より頭一本飛び出た優秀さです。

これとしんにょうを組み合わせて「(行く先を)突き抜ける」という意味が生まれました。線を一本引いてそれを突き突き抜けるイメージです。 上手いことできていますね。

秀を作りとする漢字は他にも一歩先に立って言葉で誘導する「誘」、金属表面に浮き出る「銹(さび、錆)」、布の上に糸で描く刺綉(繍)」などがあります。

それではレシピです。




XO醤炒雙鮮│エビとイカのXO醤炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
広東料理『XO醤炒雙鮮│エビとイカのXO醤炒め』のレシピを紹介します。料理名にあるようにエビとイカをXO醤ベースの調味料で炒めた料理です。これぞ広東料理!という典型的な味付けです。

「XO醤」は洋酒の「eXtra Ordinary」から名づけられています。ただ高級感を出すためだけにつけられた名前なので、直接関係があるわけではありません。

ABC…と続く英文アルファベットは中国語で「拉丁字母(ラテン文字)」などと呼ばれます。「アルファベット」という単語は音素文字という意味なので、本来はラテン文字以外にもアラビア語やハングルもアルファベットに数えられます。台湾で使われるいわゆる「ボポモフォ」、注音記号もアルファベットの一種です。

「音素文字」は表音文字の一種で、いくつかの文字を組み合わせて音を表す文字体系のことです。同じ表音文字には日本語の仮名のように一文字で一音を表す文字は「音節文字」と呼びます。日本語の仮名は現存する音節文字では最大のグループです。また仮名はキャ、ツァなどいくつかの文字を組み合わせて一つの音を表すこともあり、音素文字の要素も少し持っています。

これに対して文字それ自体が意味と音を持つものを「表語文字」と呼びます。代表的なのが漢字です。歴史上すべての表語文字は象形文字から発生しており、会意、形成などの技法を発達させて文字に非常に複雑な意味を持たせることが可能になりました。意味だけで音を持たない文字を「表意文字」と呼び、アラビア数字や&、=などの数学記号が代表的です。

実は現代日本(と数十年前の韓国)の文字体系は非常に特殊です。ひらがな、カタカナという音節文字、漢字という表語文字、アルファベットという音素文字に加えアラビア数字という表意文字まで縦横無尽に活用し生活に溶け込んでいます。人類の歴史を見渡してもかなり特殊な状況です。

遙か遠い未来、現代の言語がすべて絶滅した時代の未来人が現代日本語を発見したら、解読するのは相当困難であることでしょう。我々は習慣的に日本語を使用していますが、これらを混乱せず分別できる人間の脳って不思議なものですね。

写真はエビと貝柱を使ったもの。


熱炒蟹腳│カニバサミ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾熱炒料理の定番『熱炒蟹腳│カニバサミ炒め』のレシピを紹介します。カニのハサミをチキンブイヨンと醤油で炒めた料理です。10分もあれば作れるので、前回のカニの体を使った料理のお供にいかがでしょうか?

日本では「キャク、あし」と読む「脚」の字は、料理名にあるように台湾の繁体字では少し書体が違います。 日本では「脚」、繁体字では「腳」です。日本では中央が「去」、繁体字では「谷」ですね。ちなみに簡体字では日本と同じ脚を使います。

≪説文解字≫などの古代の字典では中央の部分が上から「人 + 人 + 口」が積み重なった形となっているため、「谷」のように書くのが古い本来の字であることが分かります。ただ「去」の正字も「大 + ム」を上下に重ねた形で、もともとの「人 + 人 + 口」にかなり似ています。「脚」も「腳」も、どちらも元々の「人 + 人 + 口」の形に似たような意味や形の字を当てはめただけの漢字なのですね。

脚にはヒトや動物のアシ、地面に接する部分という意味ですが、科挙が行われていた時代に生まれたある単語から派生したの別の意味もあります。

古代中国では科挙に合格して初めて士官する際、その人物からさかのぼって三代に渡る先祖の職業、家族、年齢などを提出する必要がありました。要は履歴書で、これを「脚色」と呼びました。 これを提出できない人は科挙に合格しても仕官できません。後にこれが転じて「脚」の字がその人に応じた職業や職務を比喩するようになりました。これが伝統劇で使われる人物のタイプを示す言葉となり、それぞれの役割やセリフを記した書籍を「脚本」と呼ぶようになりました。脚本の脚はアシではなく、人物(の履歴書)の意味ということを覚えておくと……、いつか役に立つかもしれません。

その道の専門家になれば、カニのハサミやアシを見ただけでどの種類のカニかぴたりと当ててしまうことができます。

ちなみに筆者も一部の生薬なら色や形を見ただけで、産地や栽培年数まで当てることができます。偽物との鑑別もお手の物です。生薬研究の世界では教授クラスの人たちより、むしろ学生にこういうことができる人の方が多かったような気がします。暇だったんでしょう(笑)。不思議なことに海外の大学では似たような研究をやってはいても、同じように"変態的"に技能を極めようとする学生はあまりいないようです。

道があると極めたくなってしまうのは、日本人の性なのかもしれません。



椒鹽螃蟹│カニの中華風素揚げ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『椒鹽螃蟹│カニの中華風素揚げ』のレシピを紹介します。熱炒店などで人気のメニューで、素揚げした殻付きの蟹にニンニクと塩コショウを絡めて食べる料理です。他の揚げ物料理などと一緒に作りましょう。

記事は後日!



蔥油蒸蝦│蒸しエビのネギ油かけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
広東地方の家庭料理『蔥油蒸蝦│蒸しエビのネギ油かけ』のレシピを紹介します。蒸して火を通したエビに旨味たっぷりのソースとネギを絡めて食べる料理です。サッパリとしていますが、濃厚な旨味を楽しめます。

記事は後日!


腰果蝦仁│エビとカシューナッツの中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『腰果蝦仁│エビとカシューナッツの中華炒め』のレシピを紹介します。むき身のエビとカシューナッツ、ピーマンを簡単に炒めた料理です。慣れると2-3分で作れます。

カシューナッツに代表される堅果類は人類が農業を始める前、狩猟採集の時期の主要な栄養源でした。堅果類は簡単な調理で食べられて保存ができますので、その時代の主食は堅果類でした。狩猟採集の時代とはいえ毎日肉が食べられるわけではないのです。

堅果類は英語で「Nuts(ナッツ)」と言います。炭水化物を主としたものと油脂を主としたものに大別されますが、通常堅果といえば後者を指します(前者の代表はクリです)。油脂が豊富な堅果は別の種類の油脂を含む食品に加えると旨味を増強させるという効果があります。

代表的なのがチョコレートです。世界中で数多くのチョコレートに、いわゆる「ナッツ」 を加えたものを見ることができます。堅果類は単体で食べるよりチョコレートと一緒に食べる機会の方が多いのではないでしょうか?

同じ理由で堅果は油を使った料理とも相性が抜群です。揚げ物の衣にしたり、サラダのドレッシングに加えたりと幅広い料理に応用できます。シンプルに通常の炒め物に加えても風味が増します。食感の変化にもなるので、いろんな料理に応用してみましょう。



蝦仁燒豆腐│エビと豆腐の中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『蝦仁燒豆腐│エビと豆腐の中華炒め』のレシピを紹介します。こんがり焼いた豆腐に調味料を絡め、エビと一緒に食べる絶品料理です。中華の技法が詰まった家庭料理ですので、練習して作れるようになっておきましょう。

日本では芸能人や政治家による漢字の書き間違いが問題になることがあります。最近も某元アイドルが入籍を「入箱」と書いて話題になっていました。

中国や台湾では文章がすべて漢字で書かれるため、書き間違いが日本語よりもより高い頻度で現れます。中国語では漢字の書き間違いを「錯字」、別の字を書いてしまうことを「別字」といい、両者を合わせて「錯別字」と言います。今日はそんな錯別字の例を見てみましょう。

漢字の書き間違いはなにもパソコン全盛の現代に限った話ではありません。古くは古代、木簡や竹簡に文字を書いていたころ、この時代は筆記用具が超高級であったため、基本的に記録は口述を記録する方法によって行われていました。書物の数自体が数えるほどしかなかった時代です。筆記を行う学者があるとき漢字をど忘れしてしまったとします。ところが口述を止めて漢字を調べることもなかなかできません。そういうときは同じ発音の別の漢字を宛て字として使うことが良くありました。これを「通假字」 といいます。古い漢字は現代とは発音が異なっていることが多く、通假字が出てくると文章が一気に読みにくくなります。

「錯字」はいわゆる書き間違いです。普通は元の字から一画二画くらいの線が落とされたり足されたりします。日本で有名なのは「步」が「歩」になった例でしょうか。もともとは步が正しいのですが、常用漢字の制定時に間違った字が登録されてしまいました。中国語のIMEで「歩行(bu xing)」と入力するとちゃんと「"步"行」の字が出てきます。

画数の多い漢字を手書きする時は、さらさらと一、二画少なく書いても判別できてしまうので、「拝」の右側などは一画少なくしても読む分には問題ありません。これが極まると草書になります(笑)。一体、どこをどうしたら「部」が「へ」になるのでしょうか?

「別字」は上に述べた「通假字」の現代版です。現代の漢字は歴史的経緯から簡体字と繁体字に別れ、パソコンでもそれぞれ別々のコードが割り振られています。このため別の形で同じ文字、よく似た形で別の意味、形も意味も違うのに同じ発音などという、非常に複雑な言語となってしまいました。そして近年のパソコンの進化によって、発音が分からない漢字でも手書きで認識させてしまうことができるようになりました。これによって様々な「書き間違い」が起こるようになってしまったのです。

Webでよく見るのが「內」と「内」の書き間違いです。今でこそ異体字の関係にある字ですが、もともと別の字です。台湾ではとくに地名で「內」の字をつかいますが、ユニコード以外のフォントにこの字がないことが多く、文章をコピーして編集したりするとこの字だけが妙に浮き上がって見えたりします(笑)。他にも「盜」と「盗」など、こちらは片方は日本語の正字、片方は中国語の正字です。「骨」と「 」もそうですね。

そして発音が同じで似た形の字と間違えた「斑馬(シマウマ)」→「班馬」や「番薯(サツマイモ)」→「蕃薯」など、誤用が定着していることもあるので、一概にどちらが正しいというのももうよく分かりません(笑)。

漢字の書き間違いを恐れて文章が書けないというのも本末転倒です。学校のテスト以外では思い切りよく内容勝負で文章を書くのもよいでしょう。料理も同じです。手に入らない調味料の大部分は醤油で代用できます(笑)。まずは作ってみること。それが大事な時もあります。



 

豆瓣魚片│白身魚の豆板ソースかけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『豆瓣魚片│白身魚の豆板ソースかけ』のレシピを紹介します。白身魚に豆板醤ベースのソースをかけ、電子レンジで加熱して作る簡単料理です。ソースの作り方がポイントですので、覚えておきましょう。

豆板醤は日本でもおなじみの中華調味料です。中国語では「豆瓣醬」とかかれます。日本に渡って来た時に「板」という簡単な漢字で書き替えられてしまいましたが、「豆瓣醬」が正しい表記です。ただ板も瓣も中国語の発音は同じため日本語の表記で書いても通じはします。

「瓣」の部首はなんとも珍しい「瓜」。 もともとは「瓜の種」を表す感じでしたが、後に植物の薄い膜で自然に開く部分、例えば「花びら」や「がく」の部分の意味、またそれらを数える量詞としても使われるようになりました。花瓣(花弁)などのように使います。ちなみにニンニクを数えるときの「1かけ、2かけ」の単位には「蒜頭 ……… 1瓣」のようにこの瓣を使います。本草書などの古典や現代のレシピ、また植物図鑑などではよく見かける漢字です。

豆板醤以外の日本語では「弁」 の一字で代用しますが、「弁」の字はこの「瓣」以外にも様々な漢字の代用として使われるので覚えておきましょう。

例えば関西弁、弁護士などに使われる「弁」は話すことを表す「辯」の代用です。

また勘弁、弁当(もともとの意味)などでは、正しいか正しくないかを分けるという意味の「辨」という字の代用として使われています。東洋医学でいう「辨証論治」いう単語にも使われます。

あとは処理するという意味の「辦」の代用として、弁償、弁理士などに使われます。弁護士の弁と弁理士の弁はもともとの意味も漢字も異なることを覚えておくと、いつか役に立つかもしれません。ちなみに弁護士は中国語で「律師」といいます。法律の専門家であることをよく表した漢字ですね。

また弁は満州族男子の伝統的な髪形である辮髪を意味する「辮」の代用字としても使われます。

「弁」は小学校で習う簡単な字ですが、こうしてみるといろいろと難しい背景があるのですね。

 

紅油鯛魚片│タイのラー油ソース和え

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
四川風の魚料理『紅油魚片│タイのラー油ソース和え』のレシピを紹介します。茹でて火を通した鯛の切り身に醤油やオイスターソースと混ぜたラー油を絡めた料理です。ラー油の種類にもよりますが、それほど辛くありません。

記事は後日!

橄欖醤蒸魚片│ヒラメの中華風黒オリーブ蒸し

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『橄欖醤蒸魚片│ヒラメの中華風黒オリーブ蒸し』のレシピを紹介します。ヒラメに刻んだ黒オリーブをベースにしたソースをかけ、蒸して作る料理です。をオリーブオイルの香りが食欲をそそります。

オリーブは学名を Olea europaea といい、モクセイ科の植物です。日本でも中国でも漢字で「橄欖」と宛てます。イタリア料理で欠かせないオリーブオイルの原料です。乾燥に強く地中海原産のため、古代よりヨーロッパで盛んに栽培されてきました。

漢字で橄欖(かんらん)とは書きますがこれは元々誤用で、明治時代にオリーブが日本に入って来たころにカンラン科のカンランという全く別の植物と混同されて同じ漢字が付けられたのが定着してしまったものです。中国でもそのままその字を使っていますが、こちらも日本の誤用をそのまま流用したために起こった悲劇です(笑)。オリーブオイルは中国語で橄欖油と書きます。

ヨーロッパでは「太陽の木」などとも呼ばれ、古代アテナイの象徴とされました。古代オリンピアの勝者にはオリーブの木で作った冠が授けられたのは有名な話です。よく勘違いする人がいますが、月桂冠は古代デルフォイの祭りの勝者に授けられたものです。オリンピアはオリーブです。

ハトと共に平和の象徴とされ、国際連合の旗にもオリーブの枝のデザインが使われています。

ちなみにハトとオリーブが平和の象徴とされるのは、聖書の故事に由来します。洪水から逃げたノアがハトを放ったところオリーブの枝を加えて戻ってきたため、ノアは洪水の終わりを知ったという故事に由来しています。

オリーブの語源は古代ギリシャ語で油を意味するエライヴァという単語にまで遡れます。このエライヴァという単語は多くの西洋語の「油」を意味する語の祖先です。英語の oil、フランス語の huile、イタリア語の olio、ラテン語の oleumなどは、すべて同じくオリーブを意味する単語が由来になっています。(スペイン語などはアラビア語由来です。)

世界を変えた植物の候補の一つに上げられそうですね。

檸香蒸鮮魚│白身魚の中華風レモン蒸

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾生まれのタイ料理『檸香蒸鮮魚│白身魚の中華風レモン蒸』のレシピを紹介します。まるごとの白身魚にナンプラーとレモン汁でさっぱりとした味付けをし、蒸して作る料理です。夏バテなどで食欲が低下しているときは、こういう酸味の強い料理が良いですね!

ナンプラーは中国語で「魚露」と書きます。露をはじめとする雨冠の漢字は気象現象を表します。天気予報などでよく使われる雨冠の漢字を抜き出してみましょう。

まずは「雨 yu3」、中国語の文法では気象現象は主語と動詞の順番が日本語とは逆になります。下雨(雨が降る)、下雪(雪が降る)、刮風(風が吹く)、打雷(雷が鳴る)、閃電(稲妻が閃く)などなど、勉強中の人は覚えておきましょう。

他にも「雪 xue3」、「雲 yun2」、「雷 lei4」、「電 dian4」、「霜 shuang1」、「霞 xia2」、「雹 bao2」、「露 lu4」、「霧 wu4」、「霊 ling2」、「震 zhen4」、「零 ling2」などは日本語と同じ意味でもよく使います。気象以外を意味する字もありますが、全部読めますか?

また日本ではほとんど使いませんが、台湾ではときどき見かける少し難しい漢字として「雯 wen2」、「霖 lin2」、「霰 xian」、「霽 ji4」、「靄 ai3」、「霹 pi1」、「靂 li4」、「靈 ling4」などがあります。人名やお寺の名前などを注意しておくと見つかります(笑)。

さていくつかの中国語のサイトで、雨冠の漢字でもっとも画数が多いのは「 bing4」という字があげられています。「雷」を三つ集めた字で39画もあります。意味は文字通り「雷の音」です。

しかし!それは標準語に限った話!古代中国の方言までを網羅した時点には「 beng4」という52画もある字が紹介されています。蜀(四川省)の方言を表す字だそうで、意味は「雷の音、大きな音」(笑)。きっとよりも大きな音なのでしょう。この字がフォントとして登録されていることにも驚きです。
(↑標準の大きさだと字がつぶれるので、bing と beng だけは文字を大きくしています。)

雷を三つと四つで意味も覚えやすいですが、なかなか使う機会はなさそうです。店名などにするとニュース番組がやってくるかも知れませんね。

大人になってしまうと学生の頃のように新しい漢字を勉強する機会が少なくなります。すでに知っている漢字でも旧字体や成り立ち、熟語などを調べていくと面白い発見があるものです。当ブログで中華料理をおいしく学びながら、漢字も学んでしまいましょう(笑)。


塔香牛肉片│バジルと牛肉の中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『塔香牛肉片│バジルと牛肉の中華炒め』のレシピを紹介します。台湾バジルと牛肉の薄切りをオイスターソースとごま油で炒めた料理です。ショウガやトウガラシを少量使って味にアクセントをつけています。

この料理名にある「塔」とは「九層塔」、つまり台湾バジルを意味します。台湾料理で名称に「塔」とあったら「ああ、台湾バジルを使ってるんだな」と考えましょう。

「塔」の語源はサンスクリット語の स्तूप (stūpa、ストゥーパ)で、もともと古代インドで饅頭型に盛り上げた土の塚を意味しました。このストゥーパは仏教が起こってからは今日でいう「卒塔婆(そとば)」に取り入れられ、やがて卒が取れて「塔婆」に、さらにそれが一文字に省略されてただ単に「塔」と呼ばれるようになりました。

元々土を盛り上げただけの塚を意味していたのですが、仏教が中国に渡ってから中国式建築の影響を受け、背の高い建築物、さらに転じて「何かを高く積み上げたもの」、すなわち今日でいう「塔」の意味が生まれました。土の塚から高層建築へ、形は大きく変わってしまいました。

さて、英語で塔を意味する「Tower」は、その他の西洋語と同じく古代ラテン語の「Turris(城砦、大宮殿)」を語源とします。このTurrisもさらに古くは古代ギリシャ人がエトルリア人を指して言った「テュレニア人(Τυρρήνιοι (Turrēnoi)」という語に由来するそうです。テュレニア人は高度な建築技法を持ち、古代ギリシャのアーチ建築や神殿も彼らの技術を流用して建てられているそうです。

西洋のTowerも何かを積み上げて作るという点で東洋の塔と奇妙な一致を見せており、発音も比較的似ていることから、Towerもストゥーパから派生して生まれた単語なのではないかという説もあります。

興味深いですね。


油菜炒羊肉│アブラナと羊肉の中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『油菜炒羊肉│アブラナと羊肉の中華炒め』のレシピを紹介します。アブラナの葉と羊肉を醤油で炒めた料理です。羊肉独特の臭みをアブラナの葉の苦みが上手くカバーして消してくれています。

「油菜」と漢字で書くと一瞬なんの野菜のことか分からなくなりますが、これはアブラナのことです。ナノハナ(菜の花)やナタネ(菜種)と呼ばれることも多いですが、これらは同じ植物です。学名は Brassica rapa で、もともとは西アジアの麦畑に生える雑草だったのですが、農耕技術の伝播と共に世界各地に生息域を広げました。日本では弥生時代から栽培されている由緒ある野菜です。


アブラナって食べられるんですか?という方もいると思いますが、アブラナの"変種"の名前の方が野菜としては有名かもしれません。

例を挙げると
 B. rapa var. nipposinica - ミズナ
 B. rapa var. rapa - カブ(ヨーロッパ系)
 B. rapa var. hakabura - ノザワナ
 B. rapa var. perviridis - コマツナ
 B. rapa var. chinensis - チンゲンサイ
 B. rapa var. pekinensis - ハクサイ
 B. rapa var. glabra - カブ(アジア系)
などなど。

どうでしょうか?白菜やカブ、チンゲンサイ、コマツナもアブラナの変種なのです。(ただし現在は遺伝子による系統樹作成が進んでいるので学名が変わってくる種もあるかもしれません。)

種によって食感や味、食べる部位も大きく違いますが、どでも身近な野菜であることに変わりはありません。上気の別の材料で同じ料理を作って食べ比べてみると面白そうですね。



金針菇拌肚絲│エノキタケとブタガツのサラダ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『金針菇拌肚絲│エノキタケとブタガツのサラダ』のレシピを紹介します。豚の胃、ガツを細切りにして、少量のエノキタケと合わせたサラダ料理です。醤油と酢を合わせたドレッシングで食べます。

ガツはウシの第一胃、または豚の胃を表す言葉です。英語で腸、消化管を意味する Guts から来ています。ウシの第一胃はミノという用語があるので、ガツとはあまり呼びません。もともとは胃だけでなく小腸などを含めた消化管全体を指す用語で、単数形の gut は、もともと羊の腸を乾燥させて使っていたテニスのラケットの線部分などの名称にも使われています。

英語でも日本語と同じように「根性」や「忍耐」を意味します。他にも内臓の意味が転じて「(機械の)心臓部」などの意味もあるようです。

さて guts の和訳である「根性」は元々仏教用語です。性をショウとかジョウとか読むのは大体仏教由来の言葉ですが、ちょっと詳しく見てみましょう。

仏教では「仏の教えを聞いて、修行する能力のこと」を「機根(きこん)」と言います。また偉い人の教えを理解する度量・器のことで、人それぞれ異なります。人間の器の内、教わったことを呑み込む部分の大きさのことです。

「機」とは人の心のはたらき、「根」とはその人の根本的な能力のことです。

釈迦は教えを説くときには、各人の機に合わせて様々に話す内容を変えました。

これを「臨機応変」と言います。もともとの臨機応変の機は、場合を意味する「機会」の機ではありません。「人」に合わせるという意味なのですね。

この機根の考えは仏教ではとても大切にされ、「利根(りこん)」:素直に仏の教えを受け入れ理解する人、「鈍根(どんこん)」:素直に仏の教えを受け入れず理解しにくい人などの単語が生まれました。

仏典には例として、「毎日アワやヒエを食べ、 それを主食であると思い込んでいる人に、コメの存在を教えても信じてはくれない、ただ彼らは毎日の飢えをしのぐのが第一であると考えるだけだ」というようなことが書かれています。非常に哲学的な内容です。現代社会でも社会保障や犯罪発生率などを議論するうえで参考になりそうな話ですね。

さてさて、この機根という単語の「根」、つまり各人の能力、性とはその人の生まれついた性質のことです。この根と性を合わせて「根性」という言葉が生まれました。もともとは漢字の意味通り、各人が「生まれついて持っている(仏の教えを理解する)能力」の意味ですが、いつしか「教えを理解するまで努力する力」、「我慢強く教えを理解しようとする能力」のように転用され、現代のような意味に変化しました。

我々の根性はもともと一人ずつ違うことが前提です。もともとの意味からは少し変わってしまいましたが、全員に一様の根性を要求するような指導者にはなりたくないものですね。

それではレシピです。

 
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