三杯雞│三杯鶏

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾熱炒店の定番メニュー『三杯雞│三杯鶏』のレシピを紹介します。今回はゴマ油と醤油と酒を等量ずつ使った100年ほど前のレシピです。鉄鍋で作れば当時の雰囲気を感じることができます。一皿の『三杯鶏』でご飯三杯くらいは軽くいけちゃいます。

三杯鶏』に関する過去記事はこちら

記事は後日!


大餅捲牛肉│台湾風牛肉パイ

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難易度: 調理時間:30分以内
前回の『蔥抓餅│中華風ネギパイ』で煮込んだ牛肉を包んだ『大餅捲牛肉│台湾風牛肉パイ』のレシピを紹介します。今回は煮込んだ牛筋を包んで作ります。それぞれの材料の作り方は別記事を参照してください。生地が厚いので結構ボリュームがあります。

牛筋肉は『清燉牛肉麵│牛肉ラーメン』の牛筋の作り方を参考に作ってみてください。スーパーの総菜コーナーで適当な煮込み牛肉を買ってきて使うのが簡単です。

多くの中華料理ではごま油を使います。台湾ではごま油は「香油」と「麻油」に大別され、それぞれ微妙に使い方が異なります。簡単に解説します。

原料となるゴマの種類で分ける方法が最も簡単です。ざっくり言えば白ゴマで作ったものが香油、黒ゴマで作ったものが麻油です。香油は色が透明に近く、麻油は黒褐色をしています。ただし白ゴマで作ったものを特に白麻油と呼ぶ場合があるので注意が必要です。ここでいう麻とは「胡麻」の麻です。

香油はごく浅煎りした白ごまを絞ったもので、たいして麻油は黒ゴマを深煎りして作ったものであるという製造方法の違いもあります。これにより風味や苦みががらりと変わってくるのです。料理に使うのはほとんどが香油のほうですが、麻油のほうが栄養豊富であるとされ、「食用以白芝麻為香、藥用以黑芝麻為補」とも言われます。というわけで普通の料理には専ら香油が、薬膳には麻油がよく使われます。『薑母鴨』など薬膳効果を期待した料理にも麻油のほうを使うことがあります。



それではレシピです。



蔥抓餅│中華風ネギパイ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
朝食店や夜市散策の定番メニュー『蔥抓餅│中華風ネギパイ』のレシピを紹介します。サクサクの生地にネギを散らした香ばしい料理です。『葱油餅』と似ていますが作り方がちょっと違います。

ネギの中まで最も食卓に上る機会が多いものと言えばやはりタマネギでしょうか。台湾で最も有名なタマネギの産地といえばやはり宜蘭縣の三星鄉でしょう。ここで生産されるタマネギは三星洋蔥とよばれ、台湾を代表するブランド野菜となっています。

三星郷は古くは「叭哩沙」と呼ばれており、日本統治時代に近くにある三星山にちなんで三星と地名が変わりました。三星郷の南部は中央山脈に面しており、北部は蘭陽溪の土砂が堆積した肥沃な平原が広がっています。そのため古くから農業に適した土地として知られ、紹介したタマネギのほか上將梨というブランド梨が栽培されています。ちなみに上将とは中華民国国軍で上将の階級章に星が三つ、すなわち三星となることから名づけられています。

もともとの地名である叭哩沙はこの地域に住んでいた平埔族(平地に住むようになった原住民)の言葉で竹林の意味です。

さてさて、最近面白いウェブページを見つけたので紹介します。中華民国統計部が地図上に統計データを表示するサイトを公開しています。

http://moisagis.moi.gov.tw/moiap/gis2010/pro/logged/mappro/index.cfm?work=statistics

もちろん全部中国語ですが、地名を選んで見たい統計データを選択すると地図上にグラフィカルにデータが表示されます。例えばどの地域に博士号取得者が多いのか、どの地域に外国人と結婚した人が多いのかなど、面白いデータが表示できます。暇なときにいろいろいじってみましょう。

ちなみに博士の居住数が最も多いのは台北市大安区、そりゃ台湾大学がありますから当然ですね。なんと6800人の博士号取得者が居住しています。

それではレシピです。



番茄蛤蜊蛋花湯│トマトとハマグリと卵のスープ

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難易度:☆ 調理時間:一瞬
台湾の家庭料理『番茄蛤蜊蛋花湯│トマトとハマグリと卵のスープ』のレシピを紹介します。料理名にある材料がすべてのお手軽スープです。トマトの酸味とハマグリの旨味、そして塩気のバランスに気を付けて作ってください。

動物学的にはハマグリというと Meretrix lusoria というマルスダレガイ科のただ一種のみ、中国語の文蛤と呼ばれる種を指します。この文蛤は台湾語で蛤蜊と呼ばれますが、台湾語で蛤蜊と言った場合は文蛤以外の多くの種を含むのでちょっと注意が必要です。日本語でも広義のハマグリと言えばいろいろな種を含むので、それと同じような使い方です。

狭義のハマグリは日本では北海道南部男鹿半島以南から九州までの全国、他にも朝鮮半島、中国大陸沿岸、台湾西岸など東アジアの幅広い地域で漁獲されます。 ただ天然物は数を減らしており、市場に流通するものの多くは養殖品です。中国では江蘇、福建、海南省などの南部で、他にもマレーシアやシンガポールでも養殖が行われています。台湾でも広義のハマグリの養殖は行われていますが、狭義のハマグリの養殖は行われていません。

日本の天然ハマグリは急激に数を減らしており、絶滅が危惧されています。そのため数々の研究が行われています。例えば国産ハマグリを台湾で孵化させ、稚貝を日本に戻して育てるといった謎の研究が行われてもいるそうです。何か理由があると思われますが、よくわかりません。

日本のハマグリは世界的に見ても味が良く、市場では高額で取引されます。天然ものともなれば値段が跳ね上がり、末端価格で一つ一万円近くになることも。どこかの湾に堤防を作ったり、河口堰を作ったりして絶滅してしまった地域もあるので、自業自得ではあります。

ほとんどの人が養殖品を使って調理することになると思いますが、ぜひおいしく調理して食材に感謝しながら食べてください。

それではレシピです。




紹興醉雞│紹興酔鶏

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難易度:☆ 調理時間:数日
一度食べると病みつきになる冷製鶏肉料理『紹興醉雞│紹興酔鶏』のレシピを紹介します。今回は紹興酒とナンプラーに火を通した鶏もも肉を漬けて作ります。紹興酒以外のお酒で造っても美味です。好きなお酒があれば使って調理してみましょう。

記事は後日!


蘿蔔燒雞翅│ダイコンと鶏手羽先の醤油煮込み

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の家庭料理『蘿蔔燒雞翅│ダイコンと鶏手羽先の醤油煮込み』のレシピを紹介します。ダイコンと鶏手羽先を醤油やみりんベースのスープで煮込んで作ります。

記事は後日!



碗粿│台湾ライスプディング、ワーックイ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台南地方の伝統軽食『碗粿│台湾ライスプディング、ワーックイ』のレシピを紹介します。米粉を溶いた生地を茶碗に入れて蒸して作る料理で、少量の肉類を添えて食べます。甘いものと塩味のものの二種類があるのですが、ここでは塩味のものを紹介します。

『碗粿』は台湾、とくに台南地方の伝統料理で、中国語で読んでもまず通じません。台湾語で「ワーックイ」、正確にはワーの部分が鼻音化するので、ワーックのように発音します。

台南の伝統料理として有名で、台北地域ではあまり食べられません。ただ『碗粿』を出すお店は台北にもあるので食べてみたい方は探して訪れてみましょう。また中国の大陸部、広東省以南の地域でも食べられます。



韭菜盒子│ニラ大餃子

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
ダイナミックな家庭料理『韭菜盒子│ニラ大餃子』のレシピを紹介します。ニラたっぷりの餡を大きな皮で包んで作るダイナミックな料理です。ニラ好きにはたまらない一品です。

台湾には葉っぱの部分を食べるニラ、いわゆる「韮菜」のほかに、花穂を食べる「花韮」、日本ではハナニラと呼ばれる品種があります。この品種は葉の部分が固く食用には適しませんが、若いつぼみをつけた花穂が柔らかく食用にされます。テンダーポールという品種名で呼ばれ日本でも栽培されているそうです。栽培方法は普通の韮と同じく、今くらいの時期に種を撒いて夏の終わりから秋口に収穫します。台湾ではハナニラがスーパーで売られているので、機会があったら買って食べてみましょう。

ニラの特徴的な香りは硫化アリル、詳しくはジアリルスルフィドと呼ばれる成分に由来します。硫黄原子に二つのアリル基がついた化合物です。アリル基は2-プロペニル基の慣用名で、Bis(2-propenyl) sulfide としても通じます。アリル~の名称はもちろんニラの学名 Allium から来ています。

アリル基をもつ化合物はネギ科の植物に多く、ほかにもニンニクの成分である二硫化アリルやアリシンが有名です。どれも硫黄原子を含む化合物で、システインというアミノ酸から合成されます。

これらのネギ科の植物由来の成分は非常に強力な抗菌作用を持ち、耐性菌を生まないという特徴があります。まぁ効果がかなり激烈なので、多量を抗菌目的で使うのはお勧めできません。またアリシンは動脈硬化に効果があることもわかっています。

もちろん普通に食べる分には何ら心配はいりません。たくさんニラを食べて健康に過ごしましょう。



洋蔥山藥燉肉│タマネギとヤマイモと豚肉の中華風煮込み

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の家庭料理『洋蔥山藥燉肉│タマネギとヤマイモと豚肉の中華風煮込み』のレシピを紹介します。鍋を使わずに炊飯器で作れるお手軽料理です。おかずに迷ったらぜひお試しください。

和食でもよく使われる食材、ヤマイモは標準和名をヤマノイモと言います。ヤマノイモ科の植物で学名は Dioscorea japonica 、中国標準名は細葉野山藥といいます。一応台湾にも自生していますが、見つけるのはかなり深い山に入らないといけません。

生薬「山薬(さんやく)」としても有名で、滋養強壮、補気を目的に数多くの漢方処方に配合されます。


台湾ではヤマノイモも「山藥」の名前で流通していますが、正確には「山藥」はナガイモの中国名です。ナガイモの学名は D. polystachya なのでヤマノイモとは別種なのですが、中国や台湾ではほとんど区別せずに山薬の名で呼びます。根っこだけ比べても、見た目、味ではまず見分けがつかないので仕方ないですが、元の植物が違う食材はきちっと呼び分けてほしいものです。

それではレシピです。

麻油雞飯│鶏肉のごま油炒めご飯

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『麻油雞』とご飯を合わせた『麻油雞飯│鶏肉のごま油炒めご飯』のレシピを紹介します。ごま油に浸けて火を通した『麻油雞』を単体で食べるとき、いつも思う「ご飯が食べたい!」に答 えた料理です。レストランではあまり見かけませんが、家庭で作るのならこういう料理もありです。

中華料理に欠かせないごま油はゴマから絞った植物油です。人類は数多くの油脂を有史以来様々に利用してきました。現代では石油から抽出した合成油脂の使用量が最も多いですが、一昔前は植物油が、そして1000年もさかのぼると採取が容易な動物油脂が多くつかわれていました。現在でもラードや馬油は現役です。

植物油脂は原料によって大きく性質が異なります。そのうち食用として多く用いられるのはなんといっても大豆から搾った大豆油で、全世界の植物油脂の9割を占めます。続いて菜種、綿、ヒマワリ、ピーナッツと続きます。世界のほとんどの国では大豆油をメインに使用していますが、日本、ドイツ、フランスでは菜種油、イタリア、マレーシア、インドではオリーブオイルの消費量が最も多くなっています。各国でも地域差があると思うので、油の違いが地方料理の味の違いとなって表れます。

いつもの料理の味をちょっとだけ変えたいと思ったら…、油を変えてみるのがよさそうですね。


黑糖粉粿│黒糖わらび餅

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾伝統のお菓子『黑糖粉粿│黒糖わらび餅』のレシピを紹介します。デンプン粉で砂糖水を固めたお菓子で、『豆花』のトッピングなどとしても食べられます。正確には『わらび餅』とは違うのですが食感も見た目も似ているのでそうしています。『くずきり』でもよかったかもしれません。

『粉粿』はもとは広東料理の一種で、餃子のようにたれをつけて食べます。これが台湾に伝わりなぜかデザートとなりました。台湾の『粉粿』はその食感以外に元の料理の影も形も残していません。まったく台湾独自の料理と言ってもよいでしょう。発音は台湾語で「フングイ」のように言います。中国語の発音でフェングオと言っても台湾では通じないかもしれません。

本家本元の『わらび餅』はその名の通り元々ワラビから採れるデンプンを使って製造します。『くず餅』はクズから採れるデンプンを、そして『粉粿』のような中国南部の伝統菓子はレンコンから採れるデンプンで製造するのが古来の作り方です。

ワラビからデンプンを生成するのはものすごく手間暇がかかります。まず冬の寒い時期にワラビの地下茎を掘り出し、叩いてほぐした後何度も何度も水にさらしてデンプンを抜きます。生成に十日以上かかる上、10kgのワラビの地下茎からわずか70gほどしかワラビ粉が採れないそうで、生産者は年々減り続けているのだとか。クズも同じくらい手間がかかりますが10kgから200gほど取れます。

レンコン粉はレンコンを天日干しにしてそのまま乾燥させたものなので、安く大量に作れます。もちろんレンコンの色をしているのですが、漂白されたものを使えば一応『わらび餅』もどきのようなものはできます。今回は無漂白のものに黒糖を加えて作るのでそれほど色は気にならないと思います。

わらび餅』も『くず餅』も、『粉粿』もいまではタピオカデンプンやジャガイモデンプンをつかってつくられることが多くなりました。大量消費するのなら仕方のないことですが、ぜひ一度それぞれ本物の原料を使って作ったものを味わってみてください。

レンコン粉は日本でなら買うより自作したほうが安いです。薄切りにして天日干し、乾燥したら粉砕で簡単に作れます。

それではレシピです。


紅豆酥│こし餡ケーキ

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難易度:☆ 調理時間:2時間
台湾名物『鳳梨酥│パイナップルケーキ』にも応用できる『紅豆酥│こし餡ケーキ』のレシピを紹介します。うっすらとチーズが香る生地でこし餡を包み、クッキー型に詰めて焼き上げて作る料理です。中の餡を換えれば様々なお菓子に応用ができます。

様々な料理やお菓子に鶏卵は欠かせません。和食でも中華料理でも卵がないと作れない料理が数多くあります。また日本国内では珍しく、需要量のほぼすべてを自国内で生産できている希有な食材でもあります。(もちろん加工されたものは一定量、生の卵液も少量ですが輸入されています。)

さて日本ではよく食料自給率の低さが問題となります。日本ではなぜかカロリーベースの食料自給率が問題になりますが、世界的には食料自給率といえば生産額ベースのものを指します。日本で問題になっているものと世界的に標準とされるものが違うという、なんというか…農林水産省の思惑が見え隠れする不思議な現象です(笑)。

世界各国のカロリーベースの食料自給率と、生産額ベースの食料自給率を比べてみましょう。(データ1データ2)


カロリーベース 生産額ベース
日本 39% 70%
アメリカ 127% 92%
スイス 57% 70%
ドイツ 92% 70%
台湾 32% 69%
カナダ 258% 121%

以上のようになっています。世界標準である生産額ベースの食料自給率はその他先進国とほぼ同じで、そう考えるとそれほど深刻な問題ではなさそうです。また日本のカロリーベースの食料自給率は先進国最低と言われますが、実は台湾のほうが下なのです。経済データだけでなく医療統計も時々こういうのが混ざりますので、心して眺めましょう。

それではレシピです。


芋頭酥│紫芋団子

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難易度:☆ 調理時間:2時間
前回紹介した『芋泥』を使って作る団子『芋頭酥│紫芋団子』のレシピを紹介します。サクサクのパイ生地で前回紹介した芋餡を包んで作るお菓子です。お菓子作りが得意な方はぜひ挑戦してみてください。

前回、前々回は料理と関係ない台湾の刑法についてちょこっと書きました。面白かったという人も割と多かったので、今回は民法について。

中華民国の民法は中華民国が成立してからしばらく後の1931年に施工されました。とはいえ当時の台湾は日本領土、台湾で施工されていた民法は日本の民法です。日本統治時代の台湾では当初から1923年までは台湾の旧習に則った民法が施行されていました。この時期を律令民法時代と呼びます。日本の民法が施行された1923年から終戦までは日本民法時期です。そして国民党が遷台後ようやく現在の中華民国民法が台湾に持ち込まれました。

日本の民法も中華民国民法もドイツ民法を踏襲したもので、台湾の日本統治が終わってから中華民国政治が始まってからも大きな混乱は起きませんでした。戦前の台湾には日本語の法学文献や判例を読みこなせる法律家が多数おり、中華民国統治が始まってからも当時の日本の最新の判例や研究を読みこなせる人が台湾には多数残っていました。このため70年代頃までは台湾の民法は日本の法律研究の後を追う形で、最新学説に言語上の問題なく触れることができたのです。その後ヨーロッパに留学していた研究者らが最新の学説を直接持り始めたことにより、日本統治時代以前から残る台湾の旧習、特に家族意識や男女意識に大きな影響を与え始めました。例えば台湾に根強く残る家長絶対優位制度や、男女差別が法律上は解消されていきます。実生活上はまだまだ家長優位制度が色濃く残っていますが、揉めたときに裁判所に調停を依頼すると(旧習からすれば)男性側に著しく不利な判断がなされることが多いです。

ドイツ民法を受け継いでいるはずの台湾民法の最大の特徴(?)は、前にも書きましたが不動産として土地と建物が分離していることです。(これは日本の民法も同じです。)これにより土地と建物の所有権を別々に移転することが可能なので、遺産相続の裁判時などに本家のドイツにはない判決が出たりします。あとは建築途中の家屋をいつから独立した不動産とみなすかなど、面白い研究もあります。

台湾と日本の民法で大きく異なる点といえば「債権の移動」が代表として挙げられます。日本の民法では双方で譲渡の意思の確認が取れた場合にすぐに債権が移動します。例えば抵当に入っている物件があり、債務不履行があった場合はその抵当物件はすぐに債権者のものとなります。(もちろん後日登記の変更は必要ですが)権利自体は双方の意思による時点で債務者から債権者に移動するのです。対して台湾の民法では登記を移転してはじめて債権者の手に抵当物件の権利が移動することになります。どちらが良いかはケースバイケースですが、ほかの法律と矛盾が生じたりもするので今なお研究がおこなわれています。


あとは必要以上に土地耕作人を保護する規定が散りばめられているのも特徴と言えるでしょう。

他にもいろいろあるのですが、どんどん難しい話になりそうで、筆者のキャパシティーを超えるものも多いのでこの辺にしておきます。興味があれば自分で調べてみてください。


それではレシピです。


芋泥│芋餡

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難易度:☆ 調理時間:2時間
台湾、福建地方の伝統菓子、そして多くの台湾料理に餡として使われる『芋泥│芋餡』のレシピを紹介します。伝統的には蒸したサトイモとラードに砂糖を混ぜて作ります。単独で食べてもよし、饅頭の餡にするもよし、その他のデザートの材料にするもよしの万能食材です。台湾でならスーパーで完成品が売っていますが、日本では手に入らないので自作しちゃいましょう。

前回に引き続き台湾の刑法についての小ネタを。

今回は金銭犯罪、英語でいう Property Crime をざっくり見てみます。日本の現行刑法では大別して五つの「財産に関する罪」が刑法で規定されています。窃盗・強盗、詐欺・恐喝、横領、盗品等関与、そして毀棄・隠匿の罪です(背任罪が入ることもあります)。最後の二つはちょっと難しいので、よく知られている最初の三つ、窃盗・強盗、詐欺・恐喝、横領についてみてみましょう。(というか筆者の修論のネタです(笑))。

まずはそれぞれ日本語:繁体字の対比で見てみましょう。窃盗:竊盜、強盗:強盜、詐欺:詐欺、恐喝:恐嚇(恐嚇取財得利)、横領:侵占となります。恐喝と横領がちょっと違いますね。恐嚇だけだと恐喝と脅迫両方の意味を含むので、正式名は恐嚇取財得利罪と言います。(ちなみに盗品等関与罪は贓物罪、毀棄・隠匿の罪は毀損罪となります。)

中華民国刑法ではさらに搶奪罪、海盗罪と呼ばれる罪があります。 搶奪は相手が無反応のうちにある程度の暴力を持って財産を盗む罪(例えば路上でいきなりバッグを奪い取るなど)、海盗は海上での強盗、いわゆる海賊行為の罪です。
 
窃盗、強盗、詐欺、脅迫、横領それぞれの罪の違いが判りますか?詐欺と横領の違いがちょっと複雑ですが、実際は明確な違いがあります。ここでは解説しないので興味のある人は自分で調べて分別できるようにしておきましょう。いつか役に立つかも…です。

これらの罪の中で最も多いのはもちろん窃盗です。世界のあらゆる国・地域で最も発生率の多い刑法犯罪で、警察に届けられないものを含めると実際に報告されている数の数十倍が発生していると考えられています。これらの財産犯罪、実は財産犯罪の発生率と警察の数とはあまり相関関係がなく、人口に比例して一定数発生するものだと考えられています。警察がたくさんいるからといって財産犯罪が減るわけでもないのです。

どれもお金や財産に関する罪のため、いくつかの経済指標と相関があります。景気がいいと増える犯罪、悪いと増える犯罪、どれがどれにあたると思いますか?また地域の都市度、要は田舎か都市かで増える犯罪、減る犯罪があったり、教育程度や経済格差が原因となる犯罪もあります。いい頭の体操になるので、何がどうなると犯罪が増える/減るのか考えてみましょう。 頭を使うと甘いものが食べたくなります。

そんな時はこの料理が一番です!




三色蛋│三色卵

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『三色蛋│三色卵』のレシピを紹介します。ピータンと塩漬けのゆで卵を茶碗蒸しにして作る卵、卵、卵づくしの料理です。塩漬けゆで卵(『鹹蛋』)は日本で手に入らないと思うので、過去記事を参考に自作してください。それも面倒なら普通のゆで卵でも作れます。

鹹蛋』の作り方はこちら

今日は少々毛色を換えて台湾の刑法について簡単に解説します。台湾法律シリーズ第一弾!

台湾の刑法は清末から現在まで、四度にわたって大きな改正がありました。第一は清代の中国法時期、第二に日本統治時代の日本法時期、第三に国民党遷台から近代までの他国法の継承時期(30年体制と呼ばれます)、最後に現行法が完成するまでの四区分です。

近代法の体系が整備されたのはもちろん日本時代からで、当初は独自法を施工していましたが1923年以降は内地延長主義の下、本土と同じ法体系が適用されました。その後終戦までほぼすべての法律が日本内地と同じように適用されましたが、唯一民法の家族条項だけは台湾の旧習に則って処理するという特例がありました。台湾における家族関係が日本の"家族"の概念と大きく異なったためです。現在でも台湾の民法には土地と家屋を別々の不動産として取り扱うという日本民法の影響が残っています。(西洋の民法では土地も家屋も不動産としてひとくくりにします。)。

日本統治が終わり中華民国国民党が台湾に移ってきてからは、中華民国政府が南京で制定した刑法が台湾で適用されました。もともと各国刑法のごった煮の様相を呈していた中華民国刑法でしたが、戦後しばらくは日本語を話せる法律家が多数いたことから日本的な解釈をしながら運用が行われていきましたが、その後ヨーロッパ留学組が帰国してからはドイツ色が強くなってきました。また戦後数年で法曹界のトップのほとんどは大陸から渡来した国民党一派に占められ、国民党独裁時期は多くの恣意的な法運用がなされました。例えば民主化運動を扇動したものには死刑すらありえました。

国民党独裁体制が終わり住民の生活が安定してから、ようやく近代的な法整備が行われるようになり、ドイツ法を中心に各国法の寄せ集めであった台湾各法は多くの学者や実務家の涙ぐましい努力により、近代的に整備されていきます。

現在の台湾刑法は数度の部分改正を経てはいますが、1935年に施工された中華民国刑法が元になっています。中華民国刑法はドイツ刑法の影響を強く受けているのですが、ドイツ法になく中国の伝統的な習慣の影響を受けた条項として「倫理条項」が今でも残されています。いわゆる尊属殺人など、家族に対する危害を加えた場合は一等罪を重くするという条項で、これは台湾刑法の特徴です。(日本でも明治民法に尊属殺人などの規定がありましたが、現行刑法では削除されています)。

さらに台湾刑法には「義憤殺人(または傷害)罪」、「生母殺嬰罪」と呼ばれる珍しい罪があります。それぞれ文字通り「義憤に駆られて」、「その場で」、「殺人を犯した」場合と「生母」が「嬰児を殺した」場合に適用される罪です。義憤殺人(または傷害)罪は、それぞれの条件が(完全に)満たされた場合、通常の殺人罪よりも少し軽い刑罰となります。義憤とは、自分や親族が重大な侮辱を受けた場合や、恋人や妻が目の前で強姦されていた場合などの特殊な状況で衝動的に沸き起こる感情です。生母殺嬰罪は母親が生まれたばかりの赤子を自分の手で殺した場合に適用される罪です。例えば強姦などにより身ごもった子供を、誰にも相談できずに出産、その場で母親が殺害(または遺棄致死)してしまった場合などに適用されます。(別に間引きのためとかではありません。)どちらも非常に特殊な罪で、適用例も多くなく、判例も珍しいものばかりです。どちらも日本では通常の殺人罪に情状酌量されます。


台湾法のほとんどはドイツ法の影響を色濃く残していますが、会社法や金融取引に関する法律などはアメリカ法を軸にしています。そして多くの実務家が日本の判例を引き合いに出して裁判を行いっています。ちなみに日本の判例は公正で公平であるとしてアジアの裁判でも割と人気です。

料理とは全く関係がありませんでしたが、台湾好きなら雑学として知っておきましょう。いつか役に立つ日が来る…かもしれません(笑)。

それではレシピです。



綠豆椪│台湾まんじゅう

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難易度:☆ 調理時間:2時間
新年や中秋節などのハレの日に食べられる月餅の一種『綠豆椪│台湾まんじゅう』のレシピを紹介します。白餡を使った伝統的な『綠豆椪』と豚肉をつつんだ肉まんのようなレシピの二種類を一気に紹介です。その形状からまれに『緑豆凸』とも呼ばれます。

日本では「でこぼこ」と呼ばれる漢字「凸凹」、音読みは「とつ、おう」、中国語では Tu1 ao1 と発音します。単独の漢字だと凸レンズ(中国語では凸透鏡)、凸面、凸版印刷など面の形状を表すときに使います。

凹だけはごくまれに中国の地名に使われることがあり、その場合はwa1と発音します。もともと「洼」という漢字の代わりに使われるようになったもので、地形的には川によって浸食されてくぼんだ土地を指します。四川省あたりにいくつかこの漢字を使った地名があるので興味がある人は地図ソフトで探してみましょう。またごくまれに動植物の名前に含まれていることも。

日本ではその形状からデザイン的な使われ方をすることも多い漢字ですが、中国でも事情は同じようです。中国では設計やデザインの会社名などにも使われることが多く、この点の漢字を通したイメージは日本人と同じものがありそうです。

あと中国語には四角號碼(輸入法)という漢字のコードやそれを使っての漢字を入力する方法があります。四角號碼は一つの漢字につき、その形状によって最大五ケタの数字を割り当てたものです。王雲五という人によって発明されました。この四角號碼では数字の7が「角」を表す形状に対応しているのですが、「凸」の四角號碼は「77777」、「凹」は「77770」 。凸は角角角角角!凹は角角角角横!という非常に武骨なコードになっています(笑)。それにしても角角角角角!と言われたら確かに凸凹の漢字を思い浮かべてしまうかもしれません。ゲームのネタにも使えそうですね。

それではレシピです。


椰子雪花糕│ココナッツ餅

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難易度:☆ 調理時間:数日
中国南部のお菓子『椰子雪花糕│ココナッツ餅』のレシピを紹介します。ココナッツミルクと牛乳をコーンスターチで冷やして固め、ココナッツパウダーをまぶして作ります。調理時間のほとんどは冷蔵庫で冷やす時間で、実際の調理は10分かかりません。

ココナッツはヤシ科ココヤシ(学名 Cocos nucifera)の果実です。中国語では植物を椰、果実を椰子と言います。客家語では椰仔です。もともと地中海原産の植物ですが、果実は海流に乗って数千キロも漂流し、漂着先で発芽することが可能なため世界中の熱帯で生育しています。台湾でも栽培されており、果実にストローを刺してそのまま飲用するココナッツジュースは夜市の定番です。

葉から果実の繊維までほとんど捨てるところなく利用できる有用植物です。近年の研究によるとココナッツオイルから格安のバイオディーゼルすら生産できるようになっており、フィリピンでは実際に使用されています。

果実内部のココナッツジュースは人体の血清成分と非常に似た組成で無菌であり、緊急時にはそのまま点滴に使うことができます(もちろんほかの医療手段がない時などの緊急時にしか使いません)。確かジャッキーチェンの映画でそんなシーンがありましたね。

タイ南部では訓練したサルを使って椰子の実を採取します。椰子の実の殻は繊維が幾重にも折り重なって相当固く、特殊な器具や機械を使って開けます。火にくべておくと自然と割れるそうなので、無人島で道具なしで生活することがあれば試してみましょう(笑)。

そんなココナッツを使った中国のお菓子です。モチモチの食感をお楽しみ下さい。


芋籤粿│サトイモ餅

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の屋台でよく見かける『芋籤粿│サトイモ餅』のレシピを紹介します。サトイモ(タロイモ)の千切りをでんぷんで固めたもので、通常は『鹽酥雞』や『滷味』の店で食べられます。うっすらとして甘みとサトイモのホクホク感、そしてでんぷんのモチモチ感が面白い日本にはない料理です。『芋籤糕』、『水晶芋籤粿』などとも呼ばれます。

サトイモは東アジアからヨーロッパまで、ほぼユーラシア大陸全域で栽培、食用にされるタロイモの一種です。漢字圏以外の国ではほぼ Taro で通じます。原産地は東南アジアからインドあたりとされています。

インドネシア語のWikipediaを見てみると、「タロイモは地域によって様々な名前で呼ばれる」と書かれていました。タロイモのインドネシア語標準名は Talas ですが、これ以外の地方名の多いこと多いこと。

keladi, misalnya talé, kĕladi, sukat, suhat, seuhat, suwat (バタク語)
taro (ニアス語)
taléh, kaladi, kuladi (ミナンカバウ語)
talos, kĕladi (ランプン語)
talĕs, kĕladi, kujang, luèh (ダヤク語)
taleus, bolang (スンダ語)
tales (ジャワ語)
talĕs, kaladi (マドゥラ語)
talĕs, kladi (バリ語)
talé, koladi, kolai, kolei, korei, kore (北スラウェシ語)
aladi, suli, kosi, paco (南スラウェシ語)
lole, ufi lole (ティモール語)
inane, inano, inan, ina wuu, ronan, kětu, etu, hakar, wakal, gwal (マルク語)
bètè, ota, dilago, komo (北マルク語);
nomo, uma, warimu, hèkérè, sèkéré, ifen, yéfam (パプア語)

それぞれの言語はインドネシア国内における方言とされますが、同言語グループに属さない方言間では意思疎通が不可能です。四億の人口を抱える多民族イスラム国家のインドネシアらしい現象ですね。まぁ半分くらいは Taro、Talas の変化形っぽいので、それっぽいこと言えば通じそうではあります。

台湾原住民の間ではタロイモは主要な作物として古来から栽培されており、これがハレの食物であるか、ケの食物であるかが部族によって違います。祭祀時にどういう食物を食べるかというのは部族の起源を知るうえで非常に重要な要素です。これによると蘭嶼諸島のヤミ族はフィリピン方面からわたってきた民族で、台湾土着の原住民ではないことが示唆されています。とはいえフィリピン方面の原住民族ももとをただせばさらに古代に台湾から海を渡った人々の可能性が高いので、ヤミ族は数千年の時を超えた出戻りとも言えます。



日本のサトイモは数あるタロイモの品種の中で、最も北方で栽培が可能なものです。原産地である東南アジアではどんなサトイモ料理が食べられているのでしょうか?世界中のタロイモ料理を食べつくしてみたいものですね。


鹹酥雞│台湾風から揚げ

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難易度:☆ 調理時間:数日
台湾軽食の定番『鹹酥雞│台湾風から揚げ』のレシピを紹介します。通常は油で揚げて作りますが、今回はオーブンで作る方法です。台湾B級グルメの定番中の定番です。


『鹹酥雞』などの台湾揚げ物料理には必ずと言っていいほど「九層塔」、日本での通称「台湾バジル」と呼ばれる香草が添えられます。いわゆる「バジル、バジリコ」の一品種で、日本ではなかなか手に入りません。種は台湾で手に入るので、検疫をきちんと通すなら買って帰って栽培してみましょう。

バジルはシソ科の植物で、学名を Ocimum basilicum といいます。中国語では羅勒です。台湾では「九層塔」と呼ばれますが、客家語では「七層塔」と呼びます。どこで数が減ったんでしょうか?さらに広東地方では「金不換」、安徽地方では「香花子」、中国北部では「蘭香」などといい、数多くの方言名がある植物です。本家のイタリアのバジルは「甜羅勒(Sweet Basil)」と呼ばれます。タイでは様々な料理に各種のバジルを使い分けます。特にホーリーバジルは「กะเพรา(カラオ)」、スイートバジルは「โหระพา(ホラパ)」と呼び分けるので、混同しないよう注意しましょう。

バジルは薬用としても長い歴史を持ち、西洋では呼吸器の治療薬として使われていました。中国に伝わってからは中医学でも使われるようになり、現在でも広東省では蛇の咬み傷に、安徽省では虫刺されの治療にバジルを外用することがあります。抗菌作用があるので感染症防止を期待してのことでしょう。

それではレシピです。



蔥油餅│台湾ネギ焼き

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
一度味を知ってしまうとときどき無性に食べたくなる台湾料理『蔥油餅│台湾ネギ焼き』のレシピを紹介します。ネギを混ぜ込んだ小麦粉の生地を薄くのばし、フライパンで焼くだけ。冷凍保存しておけば食べたいときにすぐに食べられます。

『蔥油餅』に似た料理は中国各地、東南アジア各国で見られ、それぞれの国で軽食として食べられます。台湾では卵を加えたりして醤油で食べるのがデフォルトですが、東南アジアではチリソースやケチャップをつけて食べるなど、地域によって細かな違いがあります。

実は台湾では『蔥油餅』は『Pizza│ピザ』の原型であるという俗説が一部で信じられています。マルコポーロが伝えた、宣教師が伝えた、いやいやシルクロードの商人が伝えたなどいくつかのバリエーションがあります。形が似ているだけで全く別々に生まれた料理なので混同しないようにしましょう。

台湾では早朝から店を開いている朝食店やほとんどの学校の学食の激安定番メニューとして食べることができます。またスーパーでも冷凍されたものを手ごろな価格で手に入れることができます。簡単に自作できるので、料理ができないという人でも作り方だけは知っていることが多いようです。日本でいう目玉焼きサンドくらいの感覚でしょうか。

日本に長く滞在している台湾人を自宅に招くときは、軽食として出すと喜ばれると思います。作り方を覚えておきましょう。


大蝦燒白菜│青島風エビと白菜炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
青島の某ホテルが開発した山東料理、『大蝦燒白菜│青島風エビと白菜炒め』のレシピを紹介します。エビと白菜を合わせて塩で炒めた料理です。同じ鍋で調理するためエビの風味が白菜に移って食欲をそそります。

白菜の起源は地中海周辺であると言われています。地中海は中国語でも「地中海」、英語では「Mediterranean sea」と言います。英語もラテン語の Medi(中) +terra(大地) が語源になっています。口語では「The Med」で通じます。

海洋学の世界では地理とは別の意味での「地中海」という用語があります。英語表記も同じです。こちらは「陸地に囲まれて深層水のやり取りがほとんどない海」という意味で、有名なものはバルト海や紅海などがこれにあたります。淡水が多く流入する場合は上層の塩分が薄まり、比重によって対流が起きなくなるため、海水が低酸素状態になる場合があります。これを希釈型地中海といい、とくに酸素不足が深刻な下層では動植物が生息できなくなるという面白い状態になることがあります。これとは逆に流入する淡水が少ない場合、海水が蒸発して上層の塩分が濃縮され比重の違いによってこれが下層に沈んで対流が起きるという濃縮型地中海というものもあります。バルト海は前者、紅海は後者の例です。

地理学的には日本海も上記の地中海になりうるのですが、対馬海流が強力で深層水の循環が起きているため残念ながら(?)地中海には分類されません。

海洋学でいう地中海はほかにも多数あるので、小学生くらいの子供と地球儀や世界地図を眺めながら、ここはどうだろう?、ここは違うかな?などみんなでワイワイやってみると面白そうです。




鳳凰蘿蔔│鳳凰大根

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
珍しい四川料理『鳳凰蘿蔔│鳳凰大根』のレシピです。美しく飾り付けられたダイコンの薄切りをスープと一緒に食べる料理です。

古代中国では鳳凰は色によって分類され、赤いものを鳳凰、青いものを鸞鳥、黄色のものを鵷雛、白いものを鴻鵠、紫のものを鸑鷟とよびわけたそうです。中二病ってやつでしょうか(笑)?古代の詩なんかにはどれも結構歌われており、それぞれに細かい設定があります。

赤の鳳凰が火をつかさどるのはご存知の通りで、賢帝が現れるときに前兆として飛来すると言われています。後付け設定で鳳がオス、凰がメスとされ、特に凰は現代でも女性の名前に多用されます。

青の鸞鳥は水鳥で、オスを鸞、メスを和といいます。非常に夫婦仲が良い鳥だそうで、片方が先に死亡するとそれを悲しんで泣き続けるとされています。

黄色の鵷雛は南方に住み、素早く動くと言われています。高貴な人を暗示するとも。

白の鴻鵠はオオトリとコウノトリで、巨大な鳥です。偉大な人物を指します。

最後の紫の鸑鷟で、鳳凰と同一視され、実在したとも。実は≪本草綱目≫にも記載があり、実際にどの鳥を指しているのかひっそりと研究がされています。

すべて実在の鳥がモデルになっていると考えられていますが、動物学の発達していなかった古代の記載と現在知られている動物を比較するのはなかなか難しく、研究も進んでいません。なんせ広大で千変万化の地形を持つ中国のこと、いまだに未発見の動植物が多数眠っていると言われています。



油爆鮮貝│揚げ貝柱の中華風餡かけ

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難易度: 調理時間:30分以内
中華海鮮料理『油爆鮮貝│揚げ貝柱の中華風餡かけ』のレシピを紹介します。衣をつけて半生に揚げた貝柱に中華風の餡をかけて食べる料理です。少し濃いめに作ってビールのお供にもよさそうです。

二枚貝の貝柱、中国語で瑶柱と呼ばれる部分は貝がらを閉じる筋肉です。多少生物をかじったことのある人なら、筋肉はアクチンとミオシンと呼ばれるたんぱく質が滑り込むことで収縮するというのを知っていると思います。筆者が大学で勉強したのもこの原理です。つい最近までこれが常識でした。

しかし近年の研究により筋肉の収縮は上記のたんぱく質によるものが二割、残りの八割はなんとブラウン運動(衝突による分子の不規則な運動)によるものであることが明らかになったのです。発見したのは日本の理化学研究所に勤める岩城光宏博士ら。長年の研究によって筋肉にはランダムなブラウン運動を収縮方向に収束させる仕組みがあることを明らかにしました。生物学の教科書が書き換わる歴史的発見です。

アクチンって何?ブラウン運動って何?という人にはさっぱりわけがわからないでしょうが、どちらも理解している人にとってはこの発見のすごさがわかるでしょう。STAP細胞で大きな注目を集めた理化学研究所ですが、通常はこういう素晴らしい研究がおこなわれているのです。

卒業しても時々専門の教科書を取り出して、眺めてみるというのも新しい発見があったりして面白いものです。大学で勉強したことは役に立たないって?役に立たないのではなく、役に立てられるほど理解していないと考えて改めて教科書を開いてみましょう。

アクチン、ミオシンについての疑問を解消するならこちらの教科書がおススメです。最新版は高いですが、旧版なら数百円で手に入ります。





糖醋雞塊│鶏から揚げの黒酢あんかけ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
浙江料理から『糖醋雞塊│鶏から揚げの甘酢あんかけ』のレシピを紹介します。下味をつけて揚げた鶏肉にケチャップと浙江省の黒酢、砂糖で作ったあんかけを絡めて作ります。鶏肉の旨味とソースの酸味、甘みが絶妙な名物料理です。

この料理が生まれた浙江省では古代から稲作が行われていた地域とされ、遺跡から見つかった籾のDNA鑑定により、日本へ稲作を伝えた最有力候補地とされています。

日本のお米はご存知の通りジャポニカ米と呼ばれる品種群の一種です。もともと稲の栽培品種には「アフリカイネ」と「アジアイネ」と呼ばれる二種があり、このアジアイネを「インディカ」(いわゆるタイ米)と「ジャポニカ」の二種に大別します。世界的にはインディカのほうが生産量が圧倒的に多く、米の生産量のおよそ80%を占めています。ジャポニカは15%ほどに過ぎません。

ジャポニカ(米)は「扁平で、炊くと独特の粘りと甘みがあり、冷めてもおいしい」という特徴があり、どれもインディカ米にはありません。一見するとジャポニカ米のほうが圧倒的においしそうですが、インディカ米は調理法(炊き方)がジャポニカ米とは全然異なり、また各地域でそれぞれの米に合わせたおかずが添えられるので、どちらの方が優れているとは一概には言えません。もちろん和食にはジャポニカ米が、東南アジア料理にインディカ米が合うのは言うまでもありません。

ちなみに日本はウルグアイラウンド合意によって毎年一定量のインディカ米を輸入する義務を負っています。日本政府はこのインディカ米の処分に毎年苦慮しているようで、ほとんどがアルコールに加工、または家畜の飼料として消費されています。日本人向けの市場に出回ることはほとんどありません。スーパーではまず手に入らないので、エスニックカレーなどに添えたい場合は通販を利用しましょう。




ちなみに日本の炊飯器ではインディカ米は炊けません。インディカ米は鍋に大量の水と研いだインディカ米を入れて中火で煮込み、米が柔らかくなったところで余った水をざるなどで切って食べます。適量の水を入れて炊飯器で炊くとパサついて変なにおいがするのでやめておきましょう。食べ方を知っておけば割とおいしく食べられます。


木須雞肉番茄│キクラゲと鶏肉とトマトの中華風シチュー

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
洋風中華『木須雞肉番茄│キクラゲと鶏肉とトマトの中華風シチュー』のレシピを紹介します。料理名のとおりキクラゲと鶏肉とトマトをケチャップベースのスープで煮込んでとろみをつけた料理です。ごま油を使わなければそのまま洋食でも通じそうですね。


洋食、西洋料理のことを中国語で「西洋菜」 といいます。中国語の「菜」は野菜の意味もありますが、料理(の体系)という意味もあります。頭に地名、特に中国の地名がついている場合はほぼ間違いなくその地域の料理を示すので覚えておきましょう。ちなみに日本料理は日本菜です。

日本語で「一汁三菜」というように中国語でも「四菜一湯」などと言ったりします。この場合の菜は「おかず」の意味です。

菜は山東地方の方言で「バカ」を表したりもするそうです。「你怎麼這麼菜?」で「どうしてそんなにバカなんだ?」のような意味になります。安徽省でも人を馬鹿にするときに用いられたりするそうですが、どちらももともとあった方言に字を当てたものでしょう。あとは台湾のネットスラング、若者言葉に「菜鳥」というものがあり初心者を表します。他人を軽視する意味が"うっすら"とあるようです。

さらに菜は口語で「自分の好みのタイプ」 を表すこともあります。「不是我的菜」で「私のタイプじゃないわ」というような意味です。今でも通用する言い回しなので中国語中級者の方は使ってみましょう。

それではレシピです。こういった西洋料理でもごま油を加えると途端に中華の香りがしてきます。



復元湯│復元スープ

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難易度: 調理時間:1時間以内
明代に発明された薬方が由来の『復元湯│復元スープ』のレシピを紹介します。四川料理の一つとされますが辛くありません。羊肉と補気の薬剤を薄い粥で煮込んで作ります。オリジナルのレシピとはかなり形が変わっています。

『復元湯』は≪魯府禁方≫(別名を≪魯府秘方≫)という書籍が原典となっています。明代、1554年に龔廷賢という医師によって書かれた医学書で、筆者の経験をまとめた処方となっています。全四巻でそれぞれの巻に福、壽、康、寧の名前が付けられています。

ちなみに原書の記載は以下の通り。第一巻福集、傷寒の項に記載があります。

復元湯
有患傷寒無頭痛,無惡寒,身微熱,面赤微渴,目無精光,口出無論語,脈數無力,此汗下太過,下元虛弱,無根虛火泛上,名曰戴陽症。
 熟附 黃連 甘草 人參 五味子  麥門冬 知母 芍薬 童便
 姜棗煎。臨服藥入蔥白二茎搗汁調之,温服。

附子、黄連、甘草、人参、麦門冬、知母、芍薬、そして童便(子供のおしっこのことです)と、現代のレシピとは全く異なる内容となっています。当時の復元湯は風邪で、頭痛も悪寒もなく、微熱で顔が赤く、少し喉が渇き、…、というような症状の人に使うと書かれています。虚弱すぎて高熱の出ないインフルエンザなどに使ったのでしょうか。童便さえ除いてしまえば今でも高齢者の風邪に通用しそうです。

現代の復元湯はきちんとした料理に変貌を遂げており、羊肉を使った栄養補給が目的の薬膳スープとなっています。特に男性機能の改善、 陽痿早泄…いわゆる早漏へ効果があるとされています。というか全くの別物ですね(笑)。

ちなみに薬材を一切使わずに羊肉と薄めの粥を使っただけのスープは風邪や病中病後の体力回復に効果的です。味もなかなかなので手に入る食材だけ使って作ってみましょう。

  

扒栗子白菜│白菜と甘栗の中華風あんかけ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
山東料理から『扒栗子白菜│白菜と甘栗の中華風あんかけ』のレシピを紹介します。今回のレシピでは蒸して火を通した白菜と甘栗に、中華風の餡かけをかけて作っています。このレシピはあくまで一例、ほとんど餡かけを使わず白菜を棒状に丸めて栗を添えたものや、ロールキャベツ風に栗を包んでたっぷりのスープに浸けたものなどさまざまな形態のものがあります。

台湾や中国で食べられる栗は日本の栗とは種類が異なります。日本の栗はクリ、学名は Castanea crenata、中文名は日本栗という種で、中国や台湾の栗は和名をシナグリ、学名は C. mollissima、中文名は板栗と言います。

学名からピンとくる方もいるかもしれません。そう、楽器のカスタネットはクリの木で作っていたことから名づけられています。

クリの実にはイガがあります。植物学的には殻斗と呼ばれる部分で、クリの含まれるブナ科植物に共通してみられる特徴です。椎の実などのいわゆる帽子の部分で、この部分がクリではイガ状に発達するのです。

クリのトゲが刺さったときは、刺さった部分に五円玉か五十円玉の穴を強く押し当てると、トゲの先が浮き出て取りやすくなります。穴がない硬貨なら二枚で刺さった場所を挟むようにすると同じようにできます。ちょっとした生活の知恵ですね。


北耆杞子燉乳鴿│仔鳩の黄耆と枸杞スープ煮込み

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難易度: 調理時間:1時間以内
久しぶりの本格薬膳、福建料理から『北耆杞子燉乳鴿│仔鳩の黄耆と枸杞スープ煮込み』のレシピを紹介します。特に小児の気虚に高い効果を発揮する薬膳で、大人の陽虚証にも使われます。メインの小鳩ですが、野生のものではなくきちんと養殖されたものを使いましょう。

日本の公園などで当たり前にみられるハトはカワラバト Columba livia という種です。もともと外来種で日本には1000年以上前に家畜として中国からもたらされたと考えられています。伝書鳩としてもおなじみですね。伝書鳩は電話も手紙も普及していなかった頃は安価な連絡手段として重宝されました。伝書鳩を撃ってしまう可能性があるため狩猟が禁止されていますが、そのため都市部で爆発的に数を増やし、獣害を発生させています。

ミミズなどの餌をヒナに与えることもありますが、親ハトはピジョンミルクと呼ばれる高たんぱくの栄養分を喉から排出することが可能で、これをヒナに与えて育てます。哺乳類以外で授乳(?)を行う数少ない動物の一つです。そのうち大量生産されるようになるかもしれませんね。

中国ではハトは食肉として養殖されています。というか日本以外では割と一般的な食材なので、海外旅行時に食べてみるとよいでしょう。台北では広東料理のレストランなどで食べられます。鶏よりも味がしっかりしていて美味です。



八寶豆腐箱│八宝豆腐箱

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
山東料理の名品『八寶豆腐箱│八宝豆腐箱』のレシピを紹介します。箱状にくりぬいた厚揚げに、様々な具を詰めて作る料理です。外見からは中に何が入っているのかわからない、食べてびっくりの料理となっています。

山東省は山の東と書きます。ここでいう山とは太行山(というより山脈ですが)のことで、もちろん西側には山西省があります。太行山は北京市、山東省、山西省、河南省にまたがる400kmほどの山脈で、石炭をはじめ、鉄、銅、モリブデン、タングステンなどの豊富な鉱物資源が算出します。

また中国東部で最も活動的な活断層があり、1966年には中国における20世紀最大の地震である邢台大地震の震源地となりました。 邢台大地震は近代中国史上で最初に起こった人口過密地域を襲った大地震で、記録に残っているだけで8000人を超える死者を出しました。最も被害の大きかった馬欄村では建造物の95%が一瞬にして倒壊し住民のほとんどが生き埋めになり3割が死亡、残りの3割が傷害を負ったという、とんでもない記録が残っています。マグニチュードは6.8でしたが、震源が地下10kmと非常に浅く、エネルギーがそのまま地表に伝わってしまったのも被害が大きくなった原因とされています。

この地震と同じ年から悪名高い文化大革命が始まるのですから、住民はたまったものではなかったでしょう。ろくな復興も行われず、住民たちの財産にも精神にも大きな傷跡を残したのです。今年は震災から50年ということで震災の日付である3月8日に式典が執り行われました。や特別番組の放送などが行われる予定です。

≪参考URL≫
http://www.hebgcdy.com/2016/0308/181478.html
http://www.heb.chinanews.com/longyaoxian/20160307336214.shtml

台湾に住んでいると小さな地震には慣れっこになってしまいます。いざという時の準備はしておくに越したことはありません。旅行者も滞在者もライフラインの確保はしておきましょう。




八寶梨罐│八宝梨缶

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難易度: 調理時間:1時間以内
山東料理からちょっと珍しい中華デザート『八寶梨罐│八宝梨缶 』のレシピを紹介します。皮をむいて中をくりぬいたナシに、もち米と各種フルーツを詰めて加熱して作る料理です。器になっているナシごと食べます。一度冷やしてもおいしいので、興味がある方は挑戦してみましょう。もち米の代わりに白玉などを詰めてもよさそうですね。

もともとこの料理は現在の山東省煙臺市の縣級市である萊陽市の名物料理です。萊陽の名産品である「茌梨」と呼ばれる品種のナシを使って作ります。茌梨は中国ナシの一品種で、明末から清代初期にこの地で栽培が始まり、朝廷へ献上されていました。庶民が口にできるようになったのはここ100年ほどの話です。大型の物は800gを超えるサイズとなります。日本で再現するなら二十世紀などの中~大型のナシを使って作りましょう。

中国で栽培されているナシは、正確には日本のナシとは異なる種で、チュウゴクナシと呼ばれます。中国語では日本のナシ Pyrus pyrifolia を「水梨」、「日本梨」、「沙梨(標準中文名)」などと呼び、自国のチュウゴクナシ P. bretschneideri は「鴨梨」、「白梨」と呼び分けます。ちなみにセイヨウナシ >P. communis はそのまま「西洋梨」です。台湾の市場ではほとんどが水梨か西洋梨、ごくたまに白梨を見かけます。

日本ではナシは弥生時代から食用にされていたようで、かなり歴史のある食材です。中国ではさらに古くから食用にされていたと言われています。

砂糖がなく、甘いものといえば果実くらいしか手に入らなかった時代、ナシの実は庶民にとって最高のごちそうだったことでしょう。歴史ある料理ですが昔の人の気持ちになって食べてみるとまた違った発見があるかもしれませんね。




 
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