山東燒雞│山東風揚げ蒸し鶏

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難易度: 調理時間:1時間以内
山東料理が続きます。本日はそのまま山東省の名前を冠した『山東燒雞│山東風揚げ蒸し鶏』のレシピを紹介します。揚げて蒸すという二段階の加熱方法で作る絶品料理です。

ご存知の方も多いと思いますが、山東省は1920年代の一時期日本が租借していた土地の一つです。

すこし歴史を遡って日本が山東半島を支配するまでの流れを書くと、「1.日本が日清戦争の勝利で遼東半島獲得」→「2.三国干渉(1895)」→「3.遼東半島返還」→「4.フランス、ロシア、ドイツが清に恩を売る」→「5.ドイツが山東半島に租借地(膠州湾租借地)を獲得(1898)」→「6.第一次世界大戦でドイツ敗北(1914)」→「7.日本が山東半島のドイツの租借地を引継ぐ(1919)」という感じになっています。

5でドイツが租借地を獲得してから、清は日本への賠償金の立替などを口実に次々と列強に支配されていくことになります。この時からイギリスによって香港が99年間支配されるのはご存知の通りです。もちろんフランスとロシアも租借地を獲得しています。また6でドイツが第一次世界大戦に敗北した時、中華民国はてっきり山東半島が自国に返還されると思っていたのですが、当時の国際法と日本からの圧力によりドイツの海外領地は結局日本に引き継がれることになりました。

当時の軍縮の流れにより結局1922年に日本はこの租借地を放棄することになるのですが、それでもかなりの権益を確保したままで、2万人近い日本人が青島周辺に居住していたそうです。

この後も、この地域周辺は中華民国国内のドタバタ(蒋介石による北伐)に巻き込まれて治安が悪化、1927年に日本軍が出動し治安維持活動を行いますが、このせいで蒋介石は北伐を失敗することになりましたが、これにより蒋介石は激怒。結局これが日中戦争の原因になったとも言われていますが、本当のところはどうなんでしょうね。

まさに激動の時代です。当時の人々は同じ料理を食べながら、どんな気持ちでいたのでしょうか?当時の人々と山東半島をとりまく複雑な国際状況に思いを寄せながらこの『山東燒雞』を楽しみましょう。合わせるお酒はもちろんチンタオビールで!

*当ブログは"まじめな"料理ブログです(笑)。



玉文六號│玉文(ユーリン)マンゴー

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玉文六號│玉文(ユーリン)マンゴー

1995年に台南縣玉井鄉の農家郭文忠氏は金煌を母木に、アーウィン種を父木とし玉文六號という品種を登録した。1986年に玉文一號を開発してから現在まで28種類の新品種が郭文忠氏の手により生まれているが、現在最も品質が優れているといわれるのがこの玉文六號である。

郭文忠氏は17歳で玉井初級農校を卒業してから、すぐに土マンゴーの栽培を始めた。当時大部分のマンゴーは株間をかなりあけて栽培されていたが、彼は土壌改良とともに株を集中して栽培する手法を確立させ、栽培管理を格段に改善させた。1954年に台湾がアメリカから新種のマンゴーを導入すると決まった時、郭文忠氏もアーウィン種の栽培を開始、やがて彼の栽培する土マンゴーはすべてアーウィン種をはじめとする海外品種に置き換わることとなった。

1990年代、市場を席巻していたアーウィン種を脅かす新規開発されたばかりの金煌マンゴーが市場に出回り始め、郭文忠氏は品種の改良を手がけ始めた。

第一世代の改良品種は金煌マンゴーにアーウィン種の花粉が自然受粉して実った果実のうち、糖度が高く優良な果実を選別するという方法で行われた。選別した果実の種を植えて始めて実った果実は今までのどのマンゴーよりも糖度が高く、外見も非常に美しいものであった。彼はこれを接木方式で増やし、新種のマンゴーとして申請した。初期の改良品種のうち最も品質が良かったのが「玉文六號」である。

市場に出回り始めた当時、この新種はアーウィン種の美しい果皮と金煌マンゴーの大きさを持つことから、「紅金煌」と呼ばれていた。品種名を登録する段階で「金煌」と同じように開発者の名前を取って名称を「文忠」とすべきという意見もあったが、郭文忠氏は最終的にこの種の生まれた地名である玉林と自身の名前から一文字ずつ取って「玉文」と名付けたそうだ。

旬は5-6月。未成熟の果実は緑色だが、成熟するとアーウィン種のように全体が深紅色になる。

市場に出回る果実の重量は600-1000g前後、大きさは長さ約20cm×幅約10cm×厚さ約10cm。糖度は15Brixから品質の良いものでは22Brixを超える、酸度0.16%、糖酸比は94-135程度。果皮は薄く、種も小さい。

抗病性はアーウィン種より優れる。

開発者の郭文忠氏はこの玉文六號を元にして様々な種のマンゴーと掛け合わせる品種改良を続けており、昨年までに28種の品種が新規に登録されている。ちなみに郭文忠氏お勧めの品種は玉文二號、五號、六號、十九號、二十八號であるという。

台湾のスーパーでは一個150-220元(約350元/kg)。台湾生まれの台湾育ちである玉文シリーズは、現在日本の一部地域でも栽培が始まっている。まだほとんど市場に出回らない二十八號もこれから見かける機会が増えそうである。

 男性の手のひらほどもある大きさ。
まさに金煌のサイズでアーウィン種の色。
果肉は金煌とアーウィン種の中間くらいの色。

水晶肘子│豚もも肉のにこごり

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難易度: 調理時間:半日
昨日に続いて山東省の名物料理から『水晶肘子│豚もも肉の水晶ゼリー』のレシピを紹介します。豚皮のコラーゲンを利用して中華スープを固めて作るいわゆるにこごり料理です。

料理名にある「肘子」とは豚の前足、人間で言う肘の周辺の肉のことです。山東の濟南料理が発祥といわれていますがほとんどすべての中華料理体系に類似の料理が食べられます。

山東料理は中国八大菜系の一つ。略称を「魯菜」といいます。八大菜系中最も調理技巧を要求される体系であるといわれており、古代から山東料理と言えば料理人の腕を試される難易度の高い料理として有名でした。孔子や孟子、孫子など多くの著名人を育んだ料理としても知られ、山東料理の究極の目的は「食を通じて宇宙と一体化する」ことだという言葉があるほどです。

2500年ほど前から料理体系としてはまとまっていましたが、山東料理をこれほどまで有名にしたのは1500年ほど前に山東省出身の儒家、農学者である賈思勰という人が《齊民要術》という書籍を著してから。この本には当時最高峰の果樹の栽培技術、畜産技術、酢や酒の醸造法、食品の加工法、そしてそれぞれの食材を用いた料理技術が細かく記されています。この《齊民要術》は現存する世界最古の農業専門書としても有名です。もちろん古代の中華料理を研究する上でも重要な役割を果たしているのは言うまでもありません。

山東料理は明清の宮廷にも取り入れられ、近代に入って更に大きな発展を遂げました。その他の料理体系とは一風異なった高度な技法を味わってみたい方は台北にもある専門店を訪れてみましょう。…台北の山東料理レストランのメインは水餃子なのですが、サイドメニューがすばらしくおいしいです。滞在中機会があればぜひ訪れてみてください。




正宗水煮肉片│本格水煮肉片

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
今回は四川の『水煮肉片』ではなく山東省の某ホテルで提供されている『正宗水煮肉片│本格水煮肉片』のレシピを紹介したいと思います。本格を謳ってはいますが四川のものほど理不尽に辛くありません。いや…十分に辛いのですが、何とか食べられるくらいには辛さが押さえられています。

四川料理のレストランは中国各地にあり、それぞれ現地の人々の口にあわせてアレンジされています。どこに行っても「正宗」、即ち本格や正統を看板に掲げたお店がありますが、そういう店もほとんどが現地風にアレンジされていることが多いです(笑)。四川省以外でローカライズされていない本物の四川料理店を探すのは、海外できちんとした日本料理のお店を探し当てるくらい難しいかもしれません。

自分で作った方が早いので筆者は台湾では基本的に和食を食べませんが、台北市内数件の日本の高級料亭並みのしっかりとした刺身や魚料理を出してくれるレストランを知っています。みなさんも滞在中に日本料理が恋しくなったときのために、ちゃんとした和食の店をお気に入りに入れておきましょう(笑)。



鳳凰│鳳凰(フォンファン)マンゴー

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鳳凰│鳳凰(フォンファン)マンゴー

屏東縣高樹鄉の農家賴清文氏が近年開発した新種のマンゴー。現在生産している農家は開発者の賴清文氏が経営する一箇所だけという極めて生産量の少ない品種である。

もともと電気技師であった賴清文氏は妻の徐沛筠氏とともに高樹鄉の農場を購入しマンゴーの栽培を始めた。10数年かけて土芒果にアーウィン種や金煌などの枝を接木し、接木した枝に更に別の種を接木するなどの工夫を重ね金煌の大きさ、アーウィン種の美しさ、土芒果の強健さ、そしてなんと冬に結実するという特徴を持つ新種のマンゴーを作り出し、「鳳凰」と名付けられた。

現在単一の農家でしか栽培されておらず、出荷量は限られている。完全に有機栽培方式で育てられており、中華有機農業協会からの有機生産証明も取得している。生産量に関するデータはない。

旬は2-3月。成熟した果実は全体が暗紅色になる。

冬季の市場に出回る果実の重量は500g前後、大きさは長さ約18cm×幅約9cm×厚さ約8cm。糖度、酸度に関するデータはない。

台湾のスーパーでは一個150-200元(約350元/kg)。台湾で冬に売られている赤いマンゴーを見かけたらこの種である。

小雞燉蘑菇│遼寧風鶏のナラタケ煮込み

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難易度: 調理時間:1時間以内
遼寧省の伝統料理『小雞燉蘑菇│遼寧風鶏のキノコ煮込み』のレシピを紹介します。鶏肉と干しキノコのうま味をシンプルに楽しむ素朴な料理です。

本来この料理は東北の至宝とも呼ばれる「榛蘑(ナラタケ)」というキノコを使って作ります。日本でも輸入された乾燥品が手に入りますが、入手が難しいときは他の乾燥キノコを使って作りましょう。


榛蘑はいわゆるナラタケを指し、学名を Armillaria mellea といいます。近年今までナラタケ一種だと思われていたものが数多くの種の集まりであることが分かり、他の Armillaria 属のキノコを含むようになりました。新鮮なものは痛みやすいためそのままではほとんど市場に出回りません。普通の人が購入できるのは中国から輸入した乾燥品か塩漬けなどにした缶詰でしょう。日本では東北地方、中国でも東北地方で採取されます。中国産はほとんどが乾燥処理され、日本や韓国などの国外に輸出されます。

ナラタケは植物に寄生して成長する植物寄生菌と呼ばれるものの一つで、寄生された種は栄養を根こそぎ奪われやがて枯れてしまいます。このためナラタケに寄生されることを「ならたけ病」とよび、特に果樹栽培農家などには忌み嫌われます。ナラタケは菌糸体以外の部分が発光することが分かっているのですが、そのメカニズムは未だに明らかになっていません。謎の多い菌です。

今回の『小雞燉蘑菇』はこのナラタケのダシで鶏肉を煮込んで作る遼寧省の伝統料理です。その他の調味料は控えめに、鶏肉とキノコのうま味を濃縮して楽しみます。まぁ…味の素使うんですけどね(笑)。

それではレシピです。


金蜜│ジンミーマンゴー

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金蜜│ジンミーマンゴー

日本統治時代にフィリピンに出征した台湾の軍人が一粒のマンゴーを山中で収穫して台湾に持ち帰った。これが台湾で芽吹いて原木となったという珍しい歴史を持つ品種である。

軍人が台湾に戻った時には果肉はすでに腐敗し種のみが残されていた状態だったが、彼はこの種を彰化縣埔心鄉に住む友人宅の庭に植え、これが7-8年後に結実して親株となった。この株を分けたものが現在台湾で栽培されている金蜜マンゴーである。フィリピンにあるという原種は不明。

台湾にある各種マンゴーの中でも最高クラスの21.3Brixという糖度を持ち、農協への登録品種名は金蜜21となっている。その産出量の少なさからほとんど市場に出回ることがなく高級品。農家によっては完全予約販売しかしていない。現在かの軍人の息子である二代目張金泉氏が原木とその子孫を守り続けており、農協も優良品種に指定して生産と販売拡大に力を入れている。生産量が少なすぎて生産に関する統計資料がない。

旬は6月末~7月末。未成熟の果皮は緑色だが、熟すと黄色になる。果皮は薄いが実は小ぶりで種が大きいため可食部が少ない。果肉は若干の繊維質を含む。

果実の重量は約300g、大きさは約10cm×幅約8cm×厚さ約7cm。糖度は21.3Brix、酸度は0.18%、糖酸比は118。数あるマンゴーの品種中で最高クラスの糖度を誇る。

強健で病虫害にも強く、アーウィン種よりも長期保存が可能。果実の熟度も外見から判断が可能なため、食べ頃の見極めが容易で最高の状態で出荷することが可能であるという特徴がある。

台湾のスーパーでは一個160-200元(約600元/kg)。高級品で多くは贈答用の箱に入れられて販売されている。流通量が非常に少なく、産地の彰化と台北の中央市場で小売りにされたもの以外を見かけることはない。旅行者は見かけたら即買うくらいの気持ちでないとまず食べることができない。強烈な甘味とほど良い酸味が特徴で、おそらく一度食べたら忘れられない経験となるだろう。シーズン中に台湾を訪れたらぜひ手に入れて食べてほしい。

果皮は熟すと鮮やかな黄色になる。

果肉も美しいイエロー。

黑香、烏香│黒香(ヘイシャン)マンゴー

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黑香、烏香│黒香(ヘイシャン)マンゴー

日本統治時代に商社によってインドから試験的に導入された(当時)南洋種と呼ばれたマンゴーの生き残りを品種改良したもの。また近年アメリカなどから導入した緑色の品種も同じ名で呼び、品種の混乱が起きている。

日本統治時代に三井物産によって導入されたいくつかの品種のうちの一つ、おそらくAroemanis種が台湾に馴化したもの。当時数年の試験栽培が行われたものの熱帯原産種のため台湾の気候に馴染まず、経済栽培が見送られた。そのまま近年まで忘れられた存在であったが、残された株は現地農民らの手によって栽培を続けられ、台湾の環境に適応して行った。その独特の外観と香りから近年珍重されるようになり人気が高まっている。

日本統治時代に導入されたものはほぼすべての株が台南縣官田鄉および南化鄉の農家に点在するだけで、大規模栽培は行われておらず出荷に関するデータもない。

1990年代にアメリカなどから導入された緑色種は屏東などの一部農家で栽培されており、日本時代のものと同じ黒香・烏香の名で出荷されている。日本時代に導入されたものと同一の品種かどうかは不明であるが、こちらも出荷に関するデータがない。

どちらもリュウガン(龍眼)のような香りを持つため、龍眼芒果とも呼ばれる。

旬は6月中旬~7月末。果皮は緑色で厚い。熟しても果皮の色が変わらず柔らかくならないため、収穫時期の見極めは栽培農家の指先の感覚に頼ることが大きい。しかしマンゴーはウルシ科の植物で果皮にも微量の抗原を持つため、シーズン中の連日大量収穫では栽培農家の指先が腫れ上がってしまうことが問題視されている。種は小形だが果皮が厚いため、同じくらいの大きさのアーウィン種に比べて可食部が若干少ない。果肉は若干の繊維質を含む。

果実の重量は約400-500g、大きさは約12cm×幅約8cm×厚さ約8cm。糖度は15.6-17Brix、酸度は0.18%、糖酸比は87前後。濃厚な甘味と芳醇な香りが特徴である。

長年をかけて台湾の気候に馴化した種のため、他の種と比べて病虫害に強い。

台湾のスーパーでは一個160-200元(約500元/kg)。高級品。流通量は少ないが近年産出量が増えているため、シーズン中にスーパーの果物コーナーを探せば見つかる。完熟したものは高い糖度を持つが、外観からは完熟したかどうか見分けがつかないため見極めが非常に難しい。台湾では産出量が少なく希少品であるが、世界的には黒香マンゴーのような緑色種は長期保存が可能で病害に強いため貿易種の主流を占める。

 果皮は緑色でやや硬い。
完熟してもこのままの色で変わらないため熟成度合いが見極めにくい。


果肉はイエロー。
果皮が厚いので可食部は他の種より少し少ない。


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山東白菜泡菜│山東風白菜漬け

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難易度:☆ 調理時間:数日
以前紹介した『台式泡菜』が好評なので、今回は山東省の白菜漬け『山東白菜泡菜│山東風白菜漬け』のレシピを紹介します。山東風は豆板醤とラー油で白菜を漬けます。

ほとんど韓国の『김치│キムチ』と見分けがつきませんが、山東省のものはトウガラシ粉を使わず、また発酵させない点が異なります。発酵させていないので、おかずとしてはこちらの方が美味そうです。(発酵させると旨みと臭気が増すので、他の料理とあわせた調味料としての使い方がメインになります。)

この料理が生まれた山東省は、チンタオビールで有名な青島半島のある中国北部の省です。省都は「濟南」。台北の人がパスポートを発行してもらうときに訪れる外交部領事事務局は台北市の濟南路にあります。この「濟南」です。日本人でも台湾で各種書類の認証を受けるときはここを訪れないといけません。料理とは関係ないですけど(笑)。

山東省は中国最大の白菜の産地として知られており、ここで作られた『キムチ』は韓国や日本へ輸出されています。韓国では慢性的に「キムチ赤字」が問題になっていますが、そのほとんどがここ山東省から出荷されているのです。まぁ…中国では毎月のように白菜に大量の農薬が!ホルマリンが!寄生虫が!輸入品からも!というニュースが出回るので、あまり喜んで食べるのはどうかと思います。

その点、自分で作ったものの方が安心できそうです。それではレシピいってみましょう。


金煌│ジンファン(キンコウ)マンゴー

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金煌│ジンファン(キンコウ)マンゴー

金煌マンゴーは1974年に人工交配によって生まれた台湾原産のマンゴーである。

高雄縣六龜鄉の農家黃金煌氏によってホワイト(White)種を母木、キーツ(Keitt)種を父木として交配して生まれた種で、開発者の名前を取って「金煌」と名付けられた。非常に強健な種で、肥料や農薬が少なくても栽培が可能であり、それまでアーウィン種などを悩ませていた炭疽病に強い抵抗性を持つ。無性生殖でも結実し、それまで台湾各地に生えていた土芒果に接木するだけで収穫できるなど栽培上多くの優れた特徴を持つ。ただし枝が直立する傾向があり剪定などによる矮化が難しい。なお開発者の黃金煌氏はこのマンゴーの開発により1990年の台湾十大傑出農民の一人に選ばれている。

台湾での栽培面積は約3,200haで、マンゴー総栽培面積の約16%を占める。1990年代以降は盛んに海外に輸出されていたが、現在は他の品種に押され貿易作物としてのメリットは薄い。

旬は5月から8月。樹上で完熟させたものが出回るアーウィン種などと異なり、完熟したものは劣化が早いのでほとんどは未成熟のまま収穫・出荷される。購入後数日の追熟を経て食べるのが一般的である。未成熟の果実は薄い緑色、完熟すると黄色になる。可食部にはほとんど繊維がなく、肉質はクリーミーである。

果実は台湾で産出する一般的なマンゴーの中でも最大級の大きさで、果実の重量は600g~2kg、大きさは長さ約20cm×幅約10cm×厚さ約10cm。パパイヤほどの大きさになる。糖度は16-18Brix、酸度は約0.24%、糖酸比は73前後。

蠅害による果実の変色を防ぐため、果実は未成熟のうちから袋をかぶせて成長させる。また農薬の噴霧回数自体が少ないため、果実への残留農薬汚染が非常に少ない品種のひとつである。そのため健康志向の高まる台湾人からの人気が高い。前述の通り完熟後の劣化が非常に早いため、購入後数日置いて熟成の度合いを見極めてから食べると良い。指で触れて皮が柔らかいと感じたら食べ頃である。

台湾のスーパーでは一個80-200元(約80元/kg)、市場では更に安い。沖縄でも少量であるが生産されている。現在台湾以外ではほとんど食べることができない種なので、旅行時に見かけたらぜひ購入して味わっていただきたい。追熟が必要なので旅行初日に購入して常温で保存、数日後に冷やしてから食べると良いだろう。

もうすこし黄色が強くなると食べ頃。


中は鮮やかなオレンジ色。
未成熟果実は酸味が強い。

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愛文│Irwin、アーウィン種、アップルマンゴー

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愛文│Irwin、アーウィン種、アップルマンゴー

1954年にアメリカフロリダ州から台湾に導入された種で、生産量が安定しているため台湾の農家から人気を集めて大規模栽培が始まった。

アーウィン種の原木はリッペンス(Lippens)種とヘイデン(Haden)種の交雑によるもので、1939年にマイアミの農家F. D. Irwin によって発見された。生産者による大規模広告が功を奏して1940年代後半からアメリカで大流行し、マンゴーの代名詞ともなる。世界各地に栽培作物として導入されており、特に日本で栽培されるマンゴーのほとんど(95%以上)がこのアーウィン種である。 また多くの近代種の先祖種としても重要である。もともと樹高が4mを超える種であるが、剪定技術の発達により矮化が可能で、現在の栽培株の樹高は2.5m程度となっている。

台湾全体のマンゴー生産面積は約18,000haで、その内アーウィン種の栽培面積は7,800ha、総面積の40%以上を占めている。このうち台南県だけで約4,500haが栽培されており、台南地域の特産物ともなっている。

一般的な旬は5-7月。未成熟の果実は暗紅色で一ヶ月ほどで緑色に、完熟するとリンゴのような紅色となる。果皮は薄く、果肉の可食部にはほとんど繊維がない。種は小型で薄い。

市場に出回る果実の重量は300-700g、大きさは長さ約15cm×幅約8cm×厚さ約8cm。更に大きなものもある。糖度は12-15Brix、酸度は約0.20%、糖酸比は60前後。

収穫量、味、香りすべてが高水準の優良品種であるが、病害に弱いのが最大の欠点で、特に炭疽病にかかりやすい。

台湾のスーパーでは一個60-100元(約300元/kg)、市場では更に安い。国際認証済みで台湾から日本(またはその他の海外)へ直送できる農場も多くあるので、旅行時に各農場に問い合わせてみても良い。日本への冷蔵直送は5kgで3000元ほど。日本と台湾で絶大な人気を誇る本種だが、長期保存ができず炭素病に弱いという特徴があるため、その他の国では生産量が少ない。

熟すと果皮はリンゴのような紅色になるため日本ではアップルマンゴーとも呼ばれる。
ただし台湾の「蘋果芒果」はヘイデン(海頓、Haden)種の別名である。

断面は鮮やかなオレンジ。
種と果皮の周辺以外にほとんど繊維がない。

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芒果│マンゴー

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台湾を代表する南国フルーツ、マンゴーについてまとめます。

マンゴーは学名を Mangifera indica L. といい、ウルシ科マンゴー属の果樹、またその果実を指します。中国語では芒果と書き、台湾で盛んに栽培される経済作物のひとつです。

インドからマレー半島あたりが原産と考えられており、インドでは4000年以上前から栽培されてきました。仏典にもたびたび登場し、インドでは聖なる樹、聖なる果実などとも呼ばれます。日本や中国ではまれに古代サンスクリット語でマンゴーを意味する āmra に漢字を当てた「菴羅」、もしくは āmalaka に漢字を当てた「菴摩勒」と呼ばれることもあります。あの三蔵法師もインドでマンゴーに出会い、その様子を《大唐西域記》に記しています。

世界的にも重要な経済果実の一つで、ブドウ、オレンジ、バナナ、リンゴと共に五大果実と呼ばれます。近代に入って急成長を遂げた巨大な市場を持つ果物です。

日本では沖縄県や宮城県で盛んに栽培されており、全国の果物店やスーパーで購入できます。日本国内で栽培されるほとんどのマンゴーはアップルマンゴー、即ちアーウィン種と呼ばれる品種で、国産のマンゴーを食べている限り台湾で栽培されているような多種多様な品種を楽しむことができないのが残念です。

台湾はマンゴー王国…、と呼びたいところですが、栽培している品種の数も生産量もすぐ近くのタイに大きな差をつけられてしまっているので、マンゴー大国としておきましょうか。そのマンゴー大国台湾で栽培されるマンゴーには大きく分けて3つの系統があります。

1.土芒果系
 台湾に原生する野生のマンゴーです。果実は小ぶりで果皮は緑色、実は繊維質が多いですが、アーウィン種などを超える強烈な甘味を持ちます。野生品といわれて言いますが、オランダ統治時代にインドからもたらされたものが野生化したものです。

2.アメリカから導入
 民国43年(1954年)に中國農村復興聯合委員會がアメリカから導入した愛文(アーウィン、Irwin)、海頓(ヘイデン、Haden)、吉祿(ジル、Zill)、肯特(ケント、Kent)、凱特(キーツ、Keitt)の五種を先祖に持つマンゴーです。もともとが栽培品種なので導入と栽培方法がマニュアル化されており、台湾全土に一気に広がりました。台湾での栽培成功を受けてアーウィン種が台湾から日本へと導入されました。つまり台湾のアーウィン種は日本のマンゴーの祖先です。初期の五種以降に新規導入された種もここに含みます。

3.台湾で開発
 台湾本土での品種改良、または突然変異の結果生まれた新しいマンゴーです。懷特(ホワイト、White)種を母、凱特種を父に持つ「金煌」、金煌を母、愛文を父に持つ「玉文6号」などが有名です。近年の農業技術の発達により、多くの改良品種が生まれ市場に流通しています。南部の農協近辺では生まれて間もない新種のマンゴーが試験的に出回ることがあります。

4.その他
 日本統治時代に台湾に導入されたマンゴーの生き残り、ごくごく少数が栽培されており品種が不明なもの、品種が登録されていないもの、係争中のものなど上記カテゴリーに分類できない種です。

以下に台湾で手に入る多種多様なマンゴーの品種を紹介していきますので、旅行時の参考にしてください。

土芒果、土檨仔│台湾野生マンゴー

愛文│Irwin、アーウィン種、アップルマンゴー

金煌│ジンファン(キンコウ)マンゴー

凱特│Keitt、キーツ(カイトとも)種

台農一號、香水│台農(タイノン)一号、香水(シャンシュイ)

農民黨(四季檨)│農民党(ノンミンタン)

玉文六號│玉文(ユーウェン)六号

金興│ジンシンマンゴー

玉林│ユーリンマンゴー

金文│ジンウェンマンゴー

金蜜│ジンミーマンゴー

杉林一號│杉林(サンリン)一号

紅龍│ホンロンマンゴー

文心│ウェンシンマンゴー

黑香、烏香│黒香(ヘイシャン)マンゴー

聖心│Sensation、センセーション

懷特、香蕉│White、ホワイト種、バナナマンゴー

海頓│Haden種、ヘイデン

吉祿│Zill種、ジル

肯特│Kent種、ケント種

鳳凰│鳳凰(フォンファン)マンゴー

清炒青蝦│天津風エビ炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
当ブログでは初(?)の天津料理の紹介です。『清炒青蝦│天津風エビ炒め』という天津の伝統料理のレシピを紹介します。エビをキュウリと共にさっぱりと揚げてから、調味料で炒めて作ります。


中国八大菜系に入っていないため日本ではあまりなじみがありませんが、中国の天津地方には「天津菜」と呼ばれる一大菜系が存在します。

天津は中国北部、渤海に面した大都市で、明清代から物流の中心として大いに栄えました。ちなみに「天津」とは「皇帝が河を渡った場所」の意味です。

天津菜は料理体系としては比較的歴史が短いのですが、明代にはすでに美食の体系として知られ、商業開発と共に一大発展を遂げました。その下位分類には「宮、商、館、門、家」の五種類、即ち宮廷菜、商埠菜、公館菜、宅門菜、家庭菜が知られています。清崩壊後に多くの料理人が天津に流れて来て伝わった宮廷料理、伝統的に高級商人らが接待に使ってきた料理、名家のお抱え料理人が趣向を凝らした創意料理、伝統の名菜、そして家庭料理まで非常に幅広いバリエーションの料理があるのが特徴です。

前述したとおり天津料理は非常に賑やかでどんな目的にも合わせやすい万能の料理体系なのですが、1955年に中華人民共和国で八大菜系を制定した時に残念ながらあと一歩で八大菜系の一角に食い込むことが叶いませんでした。そのため「不遇の第九大菜」とも呼ばれ(笑)なかなか全国的に発展する機会がありません。

天津菜を代表する料理には「細八大碗」、「粗八大碗」、「四大扒」、「冬令四珍」などがあり、今回紹介する『清炒青蝦』はこのうちの「粗八大碗」の中の一皿です。

日本や台湾ではほとんど食べられないものばかりなので、自作した方が早いでしょう。天津料理はどれも"典型的な本格中華"の風格があるものばかりで、ぜひ再現に挑戦してみてください。


写真はエビだけで作ったもの。シンプルです。

滿漢全席│満漢全席

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言わずと知れた満漢全席のレシピをぼちぼち紹介していきたいと思います。

滿漢全席一共有108道菜式:

(一)蒙古親潘宴
茶台茗敘: 古樂伴奏、滿漢侍女、敬獻白玉奶茶
到奉點心: 茶食刀切、 杏仁佛手、 香酥蘋果、 合意餅
攢盒一品: 龍鳳描金攢盒龍盤柱(隨上乾果蜜餞八品)
四喜乾果: 虎皮花生、怪味大扁、 奶白葡萄、 雪山梅
四甜蜜餞: 蜜餞蘋果、 蜜餞桂圓、蜜餞鮮桃、 蜜餞青梅
奉香上壽: 古樂伴宴、焚香入宴
前菜五品: 龍鳳呈祥、洪字雞絲黃瓜、 福字瓜燒里脊、 萬字麻辣肚絲、年字口蘑髮菜
餑餑四品: 御膳豆黃、芝麻卷、金糕、棗泥糕
醬菜四品: 宮廷小黃瓜、醬黑菜、糖蒜、醃水芥皮
敬奉環漿: 音樂伴宴、滿漢侍女敬奉、貴州茅台
膳湯一品: 龍井竹蓀
禦菜三品: 鳳尾魚翅、紅梅珠香、 宮保野兔
餑餑二品: 豆麵餑餑、 奶汁角
禦菜三品: 祥龍雙飛、 爆炒田雞、 芫爆仔鴿
禦菜三品: 八寶野鴨、佛手金卷、炒墨魚絲
餑餑二品: 金絲酥雀、如意卷
禦菜三品: 繡球乾貝、 炒珍珠雞、 奶汁魚片
禦菜三品: 干連福海參、 花菇鴨掌、五彩牛柳
餑餑二品: 肉末燒餅、龍鬚面
燒烤二品: 掛爐山雞、 生烤狍肉、 隨上荷葉卷、 蔥段、甜麵醬
禦菜三品: 山珍刺龍芽、蓮蓬豆腐、草菇西蘭花
膳粥一品: 紅豆膳粥
水果一品: 應時水果拼盤一品
告別香茗: 信陽毛尖

(二)廷臣宴
麗人獻茗: 獅峰龍井
乾果四品: 蜂蜜花生、怪味腰果、 核桃粘、 蘋果軟糖
蜜餞四品: 蜜餞銀杏、 蜜餞櫻桃、蜜餞瓜條、 蜜餞金棗
餑餑四品: 翠玉豆糕、栗子糕、雙色豆糕、豆沙卷
醬菜四品: 甜醬蘿葡、 五香熟芥、甜酸乳瓜、甜合錦
前菜七品: 喜鵲登梅、 蝴蝶暇卷、 薑汁魚片、 五香仔鴿、 糖醋荷藕、 泡綠菜花、 辣白菜捲
膳湯一品: 一品官燕
禦菜五品: 砂鍋煨鹿筋、 雞絲銀耳、 桂花魚條、八寶兔丁、 玉筍蕨菜
餑餑二品: 慈禧小窩頭、金絲​​燒麥
禦菜五品: 羅漢大蝦、 串炸鮮貝、蔥爆牛柳、蠔油仔雞、 鮮蘑菜心
餑餑二品: 喇嘛糕 、杏仁豆腐
山珍刺五加 清炸鵪鶉、紅燒赤貝
餑餑二品: 絨雞待哺 、豆沙蘋果
禦菜三品: 白扒魚唇、紅燒魚骨、 蔥燒鯊魚皮
燒烤二品: 片皮乳豬、 維族烤羊肉、 隨上薄餅、 蔥段甜醬
膳粥一品: 慧仁米粥
水果一品: 應時水果拼盤一品
告別香茗: 珠蘭大方

(三)萬壽宴
麗人獻茗: 廬山雲霧
乾果四品: 奶白棗寶、 雙色軟糖、 糖炒大扁、 可可桃仁
蜜餞四品: 蜜餞菠蘿、蜜餞紅果、 蜜餞葡萄、 蜜餞馬蹄
餑餑四品: 金糕卷、小豆糕、蓮子糕、 豌豆黃
醬菜四品: 桂花辣醬芥、紫香乾、 什香菜、 暇油黃瓜
攢盒一品: 龍鳳描金攢盒龍盤柱 隨上
五香醬雞鹽水里脊、 紅油鴨子、 麻辣口條
桂花醬雞蕃茄馬蹄、 油燜草菇、 椒油銀耳
前菜四品: 萬字珊瑚白、 壽字五香大蝦、 無字鹽水牛肉、 疆字紅油百葉
膳湯一品: 長春鹿鞭湯
禦菜四品: 玉掌獻壽、明珠豆腐、 首烏雞丁、百花鴨舌
餑餑二品: 長壽龍鬚面 、百壽桃
禦菜四品: 參芪燉白鳳、龍抱鳳蛋、 父子同歡、 山珍大葉芹
餑餑二品: 長春捲 、菊花佛手酥
禦菜四品: 金腿燒圓魚、 巧手燒雁鳶、桃仁山雞丁、蟹肉雙筍絲
餑餑二品: 人參果、核桃酪
禦菜四品: 松樹猴頭蘑、墨魚羹、荷葉雞、 牛柳炒白蘑
燒烤二品: 掛爐沙板雞、麻仁鹿肉串
膳粥一品: 稀珍黑米粥
水果一品: 應時水果拼盤一品
告別香茗: 茉莉雀舌毫

(四)千叟宴
麗人獻茗: 君山銀針
乾果四品: 怪味核桃、水晶軟糖、 五香腰果、 花生粘
蜜餞四品: 蜜餞桔子、 蜜餞海棠、 蜜餞香蕉、 蜜餞李子
餑餑四品: 花盞龍眼、 艾窩窩、 果醬金糕、雙色馬蹄糕
醬菜四品: 宮廷小蘿葡、 蜜汁辣黃瓜、 桂花大頭菜、醬桃仁
前菜七品: 二龍戲珠、 陳皮兔肉、 怪味雞條、天香鮑魚、三絲瓜卷、 蝦籽冬筍、 椒油茭白
膳湯一品: 罐燜魚唇
禦菜五品: 沙舟踏翠、 琵琶大蝦、龍鳳柔情、 香油膳糊肉丁、黃瓜醬
餑餑二品: 千層蒸糕 、什錦花籃
禦菜五品: 龍舟镢魚、 滑溜貝球、 醬燜鵪鶉、 蠔油牛柳、 川汁鴨掌
餑餑二品: 鳳尾燒麥 、五彩抄手
禦菜五品: 一品豆腐、 三仙丸子、金菇掐菜、 溜雞脯、 香麻鹿肉餅
餑餑二品: 玉兔白菜 、四喜餃
燒烤二品: 御膳烤雞、 烤魚扇
野味火鍋: 隨上圍碟十二品
一品: 鹿肉片、飛龍脯狍子脊、 山雞片、野豬肉、 野鴨脯、魷魚捲、鮮魚肉、刺龍牙、 大葉芹、 刺五加、 鮮豆苗
膳粥一品: 荷葉膳粥
水果一品: 應時水果拼盤一品
告別香茗: 楊河春綠

(五)九百宴
麗人獻茗: 熬乳茶
乾果四品: 芝麻南糖、冰糖核桃、 五香杏仁、 菠蘿軟糖
蜜餞四品: 蜜餞龍眼、 蜜餞萊陽​​梨、蜜餞菱角、蜜餞檳子
餑餑四品: 糯米涼糕、芸豆卷、鴿子玻璃糕、奶油菠蘿凍
醬菜四品: 北京辣菜、香辣黃瓜條、甜辣乾、雪裡蕻
前菜七品: 松鶴延年、 芥茉鴨掌、 麻辣鵪鶉、 芝麻魚、腰果芹心、油燜鮮蘑蜜汁蕃茄
膳湯一品: 蛤什蟆湯
禦菜一品: 紅燒麒麟面
熱炒四品: 鼓板龍蟹、麻辣蹄筋、烏龍吐珠、三鮮龍鳳球
餑餑二品: 木犀糕 、玉面葫蘆
禦菜一品: 金蟾玉鮑
熱炒四品: 山珍蕨菜、鹽煎肉、香烹狍脊、 湖米茭白
餑餑二品: 黃金角 、水晶梅花包
禦菜一品: 五彩炒駝峰
熱炒四品: 野鴨桃仁丁、爆炒魷魚、箱子豆腐、酥炸金糕
餑餑二品: 大救駕、 蓮花卷
燒烤二品: 持爐珍珠雞、 烤鹿脯
膳粥一品: 蓮子膳粥
水果一品: 應時水果拼盤一品
告別香茗: 洞庭碧螺春

(六)節令宴
麗人獻茗: 福建烏龍
乾果四品: 奶白杏仁、 柿霜軟糖、 酥炸腰果、 糖炒花生
蜜餞四品: 蜜餞鴨梨、蜜餞小棗、 蜜餞荔枝、 蜜餞哈密杏
餑餑四品: 鞭蓉糕、豆沙糕、 椰子盞、鴛鴦卷
醬菜四品: 麻辣乳瓜片、 醬小椒、 甜醬姜牙、 醬甘螺
前菜七品: 鳳凰展翅、 熊貓蟹肉蝦、籽冬筍、五絲洋粉、 五香鱖魚、酸辣黃瓜、 陳皮牛肉
膳湯一品: 罐煨山雞絲燕窩
禦菜五品: 原殼鮮鮑魚、 燒鷓鴣、蕪爆散丹、 雞絲豆苗、 珍珠魚丸
餑餑二品: 重陽花糕 、松子海羅幹
禦菜五品: 猴頭蘑扒魚翅、 滑熘鴨脯、 素炒鱔絲、 腰果鹿丁、 扒魚肚卷
餑餑二品: 芙蓉香蕉卷 、月餅
禦菜五品: 清蒸時鮮、炒時蔬、 釀冬菇盒、 荷葉雞、 山東海參
餑餑二品: 時令點心 、高湯水餃
燒烤二品: 持爐烤鴨 、烤山雞、薄餅、 甜麵醬、 蔥段 、瓜條、蘿葡條、 白糖、 蒜泥
膳粥一品: 臘八粥
水果一品: 應時水果拼盤一品
告別香茗: 楊河春綠

北京烤肉│北京焼肉

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
中国北部で食べられる焼肉料理『北京烤肉│北京焼肉』のレシピを紹介します。タレに漬け込んだ牛肉を鉄板で焼いて作る料理で、ビールのお供に最適!ごま油を漬け汁に使うと一気に中華風になりますね。

我々日本人が良く知る北京料理といえば『北京烤鴨│北京ダック』があまりにも有名です。『北京烤鴨』や今回紹介する『北京烤肉』を含む北京一帯の料理を「北京菜」と呼び、中華料理の一体系とします。

さて、台湾にある中華民国の政府では(公式には)北京をペキンと呼ばないことをご存知でしょうか?現在の北京地域は古代は「北平」という名前で呼ばれており、元代に大都、明代に北京(北の首都の意味)と呼ばれるようになりました。中華民国の母体となった国民政府は首都を南京においていましたが、北にもう一つ首都を意味する「北京」があるのはマズイということで、北京を古い呼称の「北平」に戻しました。その後台湾に移転した中華民国政府はそのまま北京を北平と呼び続けており、現在も公式には北京の名称は北平ということになっています。台湾にも多くの北京料理の店がありますが、すべて「北平料理」などと表記されているので頭の中で変換して読みましょう。台湾の街中で「北平」の字を見かけたらすべて北京の意味です。

そんなわけあって台湾では『北京烤鴨』も『北平烤鴨』と呼ぶのです。多くの旅行者は知らないとスルーしてしまいそうですね。

本日はそんな北京の伝統料理から。韓国の『양념갈비│味付けカルビ』のようなご飯が進む味付けです。晩御飯のおかずに悩んだらどうぞお試しください。




台式泡菜│台湾風キャベツの浅漬け

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難易度:☆ 調理時間:半日
台湾之ほとんどの料理店で小菜として食べられる『台式泡菜│台湾風キャベツの浅漬け』のレシピを紹介します。塩と砂糖で漬けて冷蔵庫で一日以上冷やすだけ。日本でも簡単にあの味を再現できます。

いわゆる漬物料理は手軽に野菜を保存できる調理法として古代より人類に愛されてきました。『김치│キムチ』のように発酵を伴うものが多いですが、この『台式泡菜│台湾風キャベツの浅漬け』のように発酵をさせないものもあります。

さて、日本にはたった一つだけ、漬物の神様がいる神社があることをご存知でしょうか?愛知県にある萱津神社がその唯一漬物の神様を祀っている神社で、主神はイザナギとイザナミの子で元々は草の神であるカヤノヒメという神様です。カヤノヒメは萱の姫の意味で、もともとは草の神様です。

この萱津神社、なかなか謎の多い神社で創建年が不詳、かなり古代からある神社のようです。もともとこの神社のすぐそばまで海岸線があったらしく、住民が供えた野菜と海で取れた塩を同時に樽に入れて奉納したところそれが漬物となったという伝説が残っています。この漬物を東征中のヤマトタケルが賞味したという言い伝えも残っているとか。神話の時代から存在する神社ということでしょうか?主神のカヤノヒメはもともと草の神様なので五穀豊穣や煙草の神様としても知られています。毎年8月21日には「香の物祭」という漬物の祭りが催されるそうなので、近所に住んでいる方は見学してみてはいかがでしょうか?

台湾にも各種漬物がありますので、日本のものと食べ比べてみるとよいでしょう。大抵ものは日本で再現できますので、当ブログを参考に挑戦してみてください。それではレシピです。


檸檬蝦│レモンエビ

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理の一つ『檸檬蝦│レモンエビ』のレシピを紹介します。エビをレモンソースと共に炊いて作る簡単料理で、冷やしても食べられます。

「レモン」といえば「ジョージ・アカロフ」。このつながりが分かる方は経済学を学んだことがある人でしょう(笑)。

今回はいつもと趣向を変えて「経済学におけるレモン」とは何かを簡単に説明したいと思います。興味ない方は読み飛ばしてそのままレシピに進んでください。

経済学では「情報の非対称性」というものを取り扱うことがあります。これは「売り手」と「買い手」に著しい情報の差がある場合を指し、医療、弁護士、会計などの専門サービスや中古市場、立法などが分かりやすい例として使われます。

経済学の分野ではあまりにも有名なジョージアカロフの論文“The Market for Lemons: Quality Uncertainty and the Market Mechanism”では、中古車市場を例に情報の非対称性が売り手と買い手の行動にどのような変化を与えるかを考察しています。そんなに難しくないので興味がある方は読んで見ましょう。ちなみにアカロフはこの情報の非対称性についての論文でノーベル経済学賞を受賞しています。名著です。

論文では中古車市場では売り手は買い手に商品の情報を明かにすることはなく、その結果中古車市場には質の悪い商品だけが流れるようになるということが述べられています。アメリカの中古車市場では不良中古車を指す隠語として「レモン」が用いられるため、こういう情報の非対称性が存在する市場をレモン市場と呼ぶようになりました。

もうちょっと分かりやすく書くと、「客は中古車屋が知っている中古車の品質(事故歴や修理歴など)を知らない。」→「良い中古車と悪い中古車を区別できない。」→「中古車屋は中古車の善し悪しを客に伝えるメリットがない。」→「質の悪い中古車を手にした客はすぐに手放す」→「質の悪い中古車ばかり中古車市場に出回るようになる。」というような感じです。

医療、法律、会計などの専門サービス市場においてもほぼ同様の現象が見られ、市場を適切に管理するために別の監視コストが必要であることが分かっています。あとは保険の売買や労働者を雇用する場合など様々な例があるのですが…、普通の人にはちょっと難しいですね(笑)。


最近の韓国のMERS禍で韓国人のドクターショッピング(納得のいく診断結果を得るまで病院をはしごすること)が感染拡大の一因とされていますが、これも同じように医師と患者の「情報の非対称性」が引き起こす典型的な例といえます。

実証研究を行えばどれだけのコストをかけて、どちらにどれだけのインセンティブを与えれば市場が是正できるかは計算で出すことができるのですが、規模が大きくなると政治や法律の問題とも関連するので、一朝一夕での是正は難しくなります。いつの時代も我々はある程度の歪みを抱えたまま生活していくしかないのです。

経済学の大学後期か大学院の最初くらいのミクロ経済でこういったことを学びます。現在の我々の生活に密接に関連している経済学の一分野なので、興味がある人は教科書を買って読んでみてはいかがでしょうか?新しい世界が広がりますよ。
 
それではレシピです。


砵仔糕│港式カップケーキ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
香港の街中で売られている中華デザート『砵仔糕│港式カップケーキ』のレシピを紹介します。香港の街中いたるところで食べられる人気の料理です。旅行者で食べたことのある人も多いことでしょう。


『砵仔糕』は『鉢仔糕』とも書かれます。広東語で「プッチャイコー」みたいに発音します。普通は型に入れて売られていますが、購入時に串を刺して取り出してから食べます。

清後期(1850年代頃)の書物に類似の料理が広東省台山地区で食べられていたことが記録に残っています。デザートとしては割と歴史ある料理です。香港で流行を始めたのは1980年代からで、小豆を使ったものしかなかった『砵仔糕』のバリエーションを数十種類まで増やして観光客の人気を集めました。

出来上がったばかりの熱々の『砵仔糕』と冷やしたものがあり、それぞれ食感が異なります。正直香港まで行かなくても日本の家庭で簡単に再現できます。いろいろなものを作って食べ比べてみましょう。日本人が作れば日本人の口にあったものができるはずです。

香港あたりでは甘く作られますが、なぜか広東省陽春という場所でだけは塩で味付けした『砵仔糕』 が食べられているようです。こちらは当地の人々の好みに合わせて改良されたものらしく、見た目も少し異なるそうなので、もともとは別の料理なのかもしれません。

米で作られていることから祭祀の供え物としても使われます。


脆皮桂魚│パリパリケツギョ

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難易度: 調理時間:30分以内
蘇州の伝統料理『脆皮桂魚│パリパリケツギョ』のレシピを紹介します。他の白身魚を使ったものは中華圏全域で家庭料理としても食べられる簡単料理です。パリパリの酢揚げにした魚に甘酸っぱいソースをかけて作ります。日本の中華料理屋さんで出てきてもおかしくないようなオーソドックスな味付けです。

「桂魚」は中国語の正名を「鱖魚」と書きます。日本語のケツギョはこの「鱖魚」を音読みしたもの。もともと中国東北部に多く生息するく淡水魚で、高級魚として扱われます。古来より多くの文人に愛された魚で、吉祥のモチーフとして絵画や彫刻に使われることもあります。広東省あたりで盛んに養殖されており、中国各地の料理に用いられます。

残念ながら日本には生息していないので冷凍輸入品以外を食べることはできませんが、台湾でも養殖されているので旅行時に「桂魚」や「鱖魚」の字をメニューで見かけたら注文してみましょう。身はもっちりしていて淡白、骨が少なく食べやすい魚です。から揚げにしても美味です。

この料理は蘇州料理の中でも金陵菜と呼ばれるグループに属する料理で、南京を中心に食べられます。日本の海魚で作ってもおいしいので、ソースの作り方を参考に挑戦してみてください。



雪冬山雞│雪冬山鶏

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難易度: 調理時間:1時間以内
安徽料理が続きます。これまた素敵な名前の『雪冬山雞│雪冬山鶏』のレシピを紹介します。地鶏とタケノコを醤油ベースのソースで煮込んだ料理で、日本でも簡単に再現できます。おかずにピッタリです。

当ブログでも安徽料理はあまり扱わないので、今回は安徽料理とは何かについて前の記事より一歩踏み込んで解説してみたいと思います。

古くは徽州と呼ばれた安徽省の中心は現在の歙縣徽城鎮、古くは新安と呼ばれた場所にあります。秦の始皇帝の時代に郡県がおかれて以来開かれた場所とされ、2000年以上の歴史がある古都です。この安徽省の中心部は歴史的にかなり複雑に名前と所属が変わっており、相当の地理マニアでもない限り時代と地名を一致させるのは至難の技です。何せ王朝や皇帝によって「歙州」や「徽州」を指す場所が入れ替わったり、移転させられたり、別の省に属したりと、それはめまぐるしく変わりまくります。このため安徽料理の正統な流れはここ数十年の研究でやっと明らかになりました。

もともと安徽料理の源流は黄山のふもと、最も古い時代に徽州と呼ばれた現在の歙縣にあります。この地域は唐代より良質の茶葉の産出として有名で、この茶葉を求めて集まった多くの商人たちによって発展しました。最初期には山に茶畑を開いていく過程で得た山野の珍味をどのように調理するかというのが安徽料理の命題とされ、現代にも多くの珍しい食材(ハクビシンやスッポン)を使った料理が伝えられています。また安徽省は良質の墨と硯の産地として古くから知られています。(いまでも墨と硯の超高級ブランド産地で徽墨や歙硯などと呼ばれます。)宋代は茶葉と墨硯の交易により大きく栄えます。

時は流れ、安徽料理は歙縣から茶葉と硯を運ぶ運河に沿って伝播、発達していきました。 南宋時代にはすでに一大料理体系として全国で名を馳せるようになっており、明清代に更に大きな発展を遂げました。歴史の流れから分かるように、安徽料理を主導してきたのはこの地に集った商人たちで、その進化は「商談時に相手をもてなし、驚かせるための趣向」に収斂されていきます。

たかだか商人の料理と侮ってはいけません。安徽省出身の商人らの「幫」は明清代、全中華圏でだんとつトップの巨大結社だったのですから。現代の我々が安徽料理を見たときに感じる"ちょっとした驚き"、"ものめずらしさ"や"なんだか得した感じ"はなるほど商談にはピッタリかもしれません。重めの味付けの料理が多いのも、商談の時の味を忘れられないようにする工夫でしょう。ただ…この安徽出身の商人らの「幫」はいまでは見る影もなく落ちぶれてしまいました。この辺も八大菜系にありながら安徽料理がほとんど知られない要因の一つでしょうか。料理に歴史ありですね。

いまでこそ八大菜系では福建、四川、広東料理が有名ですが、清末くらいまでは中華料理といえば安徽料理という時代がたしかにあったのです。この辺のうんちくも安徽料理を食べるときに思い出してみてくださいね。



雲霧肉│雲霧肉

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難易度: 調理時間:1時間以内
日本ではなかなか食べられない安徽料理、今回は素敵な名前の『雲霧肉│雲霧肉』のレシピを紹介します。豚バラ肉を香辛料で煮込んで作る『東坡肉│トンポーロウ』のような料理ですが、味がまったく異なります。材料はすべて日本でも手に入りましが、特殊なつくり方をするので一度レシピに目を通してから作りましょう。すばらしい香りでとても食欲をそそりますよ。

この『雲霧肉』は安徽省の名物料理の一つ。調理時に鍋の中に立ちこめる煙を雲や霧に見立ててこの名前が付けられました。残念ながら日本だけでなく台湾でもこの料理は食べられません。

なんとこの料理1999年に中国で行われた「國際美食大賞」で金賞を受賞したことがあります。香港の鏞記酒家(Yung Kee Restaurant)から出品されたものらしく、レストランで食べるなら香港に行けば良さそうです。それほど難しい料理ではないので、自作してしまうのが手っ取り早いですね。

日本どころか台湾でさえ安徽料理はほとんど食べる機会がありません。というか本場中国ですら安徽省以外で安徽料理を食べるのは至難の業…。現在に安徽料理の名物とされるレシピは100を超え、そのどれもが他の地域の料理とは一風違った趣です。これからちょっとずつ紹介していきたいと思いますのでご期待ください。

それでは安徽の名菜『雲霧肉│雲霧肉』!たぶん日本語のレシピは初公開です。台湾でも日本でもレストランでは食べられません。自作に挑戦してみましょう!


他似蜜│タシミ、回族羊肉甘辛炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
清王宮でも食べられていた清真料理『他似蜜│タシミ、回族羊肉甘辛炒め』のレシピを紹介します。万漢全席のメニューにもなっているとか。羊肉をテンメンジャンベースのソースと絡めて炒める絶品料理です。回族発祥の料理ですが、レシピではなぜか酒を使います。本物のイスラム教徒には酒を使わず作ってあげましょう。

『他似蜜』は歴史あるイスラム料理の一つとされます。その生まれは清朝の最晩年、西太后が某レストランを訪れた時の創作料理に遡ります。料理人が知恵を絞って編み出したこの創作料理は西太后に賞賛され、この料理の名前は何かと側近に尋ねました。しかしその場で生まれた創作料理であるため、側近の賢者らの誰もこたえることができません。全員が頭を抱えているところ急遽料理人がその場に呼ばれ、この料理は新しく創作したものでまだ名前がないことを告げられました(普通料理人は西太后などの位の高い人とは面会できません)。この料理人は肝も据わっていたのでしょう、その場で「西太后さまにこの料理の名前を頂戴したい」と打ち明け周囲を驚かせました。西太后はその対応に大いに喜び、その味を指して「これ(他)は蜜に似る」、即ち「他似蜜」と名付けました。その後この『他似蜜』は名付け親である西太后の好物となり、清王宮紫禁城の食卓にたびたび乗せられたということです。

というわけでこの『他似蜜』、なんと名付け親はかの西太后でした。歴史の重みを感じさせる料理ですね。清も後期になると日本の明治維新との関連が深くなり、現代に生きる我々が身近に感じるような故事も増えてきます。台湾が日本の領土となるものこの時期ですので、一度歴史をおさらいしてみてはいかがでしょうか?

清末に絶大な権力をふるった西太后が愛した料理、ぜひ日本でも再現して味わってみましょう。



泰式檸檬魚│タイ風レモン魚

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
タイ風の中華料理『泰式檸檬魚│タイ風レモン魚』のレシピを紹介します。レモン汁とナンプラーで味付けした白身魚を蒸し焼きにして作る料理です。本来は食卓の上で容器ごと加熱しながら食べますが、今回は簡単に電子レンジを使って作ります。

微笑みの国として知られるタイは東南アジア、マレーシア北部、カンボジアの西部に位置する王国です。昭和初期頃までは国名をシャムと呼んでいました。戦後しばらく民主主義の優等生と呼ばれるほど安定した情勢の下に経済発展を続けますが、2000年代中盤から軍部のクーデターが続発し、2014年のクーデターでは軍部が議会と憲法を廃止、2015年の現在に至るまで軍事独裁政権を樹立して国家を運営しています。なかなか不安定な国内情勢ですが、タイは豊富な観光資源があり日本からの観光客も耐えません。

タイを代表する文化の一つであるタイ料理は1980年代頃から世界中で流行しました。日本にも1990年代以降流行し、数多くのタイ料理レストランが建てられました。エビを使ったスープ『トムヤムクン』は今ではほとんどの日本人が知るタイ料理の定番です。うま味調味料「ナンプラー」を使った独特の風味と色鮮やかな盛り付けは台湾でも受け入れられており、台北市にも数多くのタイ料理レストランが出店しました。長期旅行時に中華料理以外の味を楽しみたいという方は選択肢に入れておきましょう。

それではレシピです。非常に簡単に作れるので、ぜひ挑戦してみてください。



四季豆茄子拌肉燥│中華風サヤインゲンと茄子と豚ひき肉の味噌炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾家庭料理『茄子拌肉燥│四季豆茄子拌肉燥│中華風サヤインゲンと茄子と豚ひき肉の味噌炒め』のレシピを紹介します。サヤインゲンとナスを中華風そぼろでの「肉燥」とあわせたおかず料理です。ご飯のお供に最適です。

今回の調理には「味噌」を使います。味噌の歴史について簡単におさらいしておきましょう。

今でこそ万能な和食「調味料」として様々な料理に使われる味噌ですが、開発された当初、今ほど肉食が発達していなかった江戸時代くらいまでは重要な蛋白源の一つ、「おかず」の一種でした。もっとも江戸時代は大豆だけでなく麹を使った甘い味噌を食べていたようです。ともあれ、中世の日本人は味噌をおかずにご飯を食べていたようです。

大豆を塩蔵した食品は古墳時代にはすでに存在していたことが分かっています。相当歴史が古い食物のようです。文献に登場するのは奈良時代、「大豆の粒が残っている醤(ひしお)」ということで「未醤(みしょう)」というものが存在し、宮廷で食べられていたようです。同じ時代にすでに「未蘇(みそ)」という表記も登場します。当時は豆の粒がそのまま残っていたため、そのまま箸でつまんで食べていたようです。

そのまま時代はずっと下って江戸時代、豆の形を残していた「未醤」をすりおろしてペーストにしたものが登場します。これから味噌は現代のような形になりました。江戸時代までは味噌は熟成に1-3年ほどもかかる食材でしたが、明治時代の陸軍が温度管理による早熟方法を発明し、製作期間を半年ほどに短縮することに成功しました。さらに1944年、長野県の味噌製造メーカーマルマンが発酵段階の温度管理を最適化することで製作期間を20日程度まで更に短縮することに成功しました。ここに現代の味噌の形がほぼ完成します。

この早熟製法が古代の製法をまったく駆逐してしまったかというとそうでもなく、今でも数年の熟成を経て作られた味噌とそれを作る会社が全国各地に残っています。どちらがおいしいとか良いとかはないので、好みのものを使えばよいでしょう。実は台湾にも日本統治時代に伝わった味噌を作るメーカーがいくつか残っており、今でも営業を続けています。旅行時にアポを取って大人の社会見学というのも楽しいかもしれませんね。

それではレシピです。

金銀南瓜│ゆで卵とピータンと南瓜蒸し

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『金銀南瓜│ゆで卵とピータンと南瓜蒸し』のレシピを紹介します。ピータンとゆで卵の白黒とカボチャの鮮やかなオレンジのコントラストが美しい料理です。

「ピータン」は中国語で「皮蛋」と書きます。歴史については過去の記事を参考にしてください。

今回は中国語と日本語の「タマゴ」について簡単にまとめて見ましょう。日本語の漢字では「玉子」 または「卵」と書きますが、中国語で卵を意味するのは「蛋」、どうしてこのような違いが生じたのでしょうか?

「蛋」の字がタマゴの意味を持って書物に登場するのは唐の時代以前から。古書に鴨蛋(カモのタマゴ)などの明かにタマゴを表す語がいくつか登場します。「」は動物や虫を数える「匹」の意味があるので、もともと虫の数や虫の卵の数をあらわしていたものが転じて他の動物の卵にも使われるようになったものなのでしょう。

古代の上海あたりに「」という水上生活民族がいました。「」は商や周代あたりの古書にも登場する有名な民族なのですが、唐代あたりからこの「」という字が「蛋」に書き間違えられて書物に登場することが多くなります。そして宋代あたりには「」の字がほぼ絶滅してしまい、「蛋」の字だけが残ってしまいました。これにより「蛋」はとある民俗とタマゴの二重の意味を持つようになりました。いくつかの日本語ブログで"「蛋」はもともと古代民族の名前"と書かれていることがありますが正確には間違いのようです。ちなみに「」の一部は日本に流れ着いて漁や海女の技術を伝えたとも言われます。海人文化の担い手とも言われる「」については多くの研究論文があるので、興味がある方は自分で調べてみましょう(過去記事参照)。

もう一方の「卵」は「蛋」よりも更に歴史が古く、紀元前200年ころ戦国時代にははっきりと「鳥獣の卵」や「卵生の生き物」のような使い方で書物に登場します。「卵」の字は元々は「卯」に点を二つ加えて強調したもので、「卯」は「ω」みたいな象形文字が元になっており、…そのまんま男性の睾丸を表します。つまり「卵」はもともと男性の睾丸、それが転じて「タマゴ」の意味で使われるようになったものだそうです。中国でも「卵管」や「卵巣」など器官の名称としては現在でも「卵」を使います。

中国では動物のタマゴには「蛋」、生物学には「卵」と使い分けていますが、日本ではほぼ「卵」だけが生き残り現在のような別が生まれました。

今の日本では「蛋白質」くらいにしか「蛋」の字を使いませんが、この語ももともとは「卵白質」になる予定だったのが、漢字の由来を考えて「蛋白質」に決まったのだとか。この語がなければ日本では「蛋」の字は絶滅していたかもしれませんね。

もし漢字のレッドデータブックみたいなものがあれば「蛋」を第I類に載せて保護するのがよさそうです(笑)。それではレシピをお楽しみ下さい。

醋拌蒟蒻麵│冷やし中華糸こんにゃく

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
創作中華風和食という変なジャンルの『醋拌蒟蒻麵│冷やし中華糸こんにゃく』という料理のレシピを紹介します。若者向けの雑誌のダイエット記事で紹介されていた低カロリー料理なのですが…、作ってみると驚くほど日本の猛暑にピッタリでした。おいしいです!

蒟蒻は日本、韓国、台湾、中国、東南アジアで食べられる伝統的な食材です。植物由来の成分で作るため、台湾素食では重要な食材の一つとなっています。

蒟蒻はその繊維質であるグルコマンナン以外はほとんどが水分です。およそ5-7%のグルコマンナン以外はほとんどが水分で、しかもグルコマンナンは体内でほとんど消化されないため、その食感や満腹感に比して非常にカロリーの低い食材としても有名です。グルコマンナンは腸内の清掃作用があるため、これほどダイエットに向いた食材もないでしょう。

蒟蒻を食用とする習慣は四川省や湖北省を中心に古代中国で発達し、豆腐の製法と同じく7世紀頃に仏教の伝来と共に日本に伝わったと考えられています。アクを加える製法は豆腐のそれとまったく同じですね。日本の文献にコンニャクが登場するのは10世紀頃で、当初は薬用として僧侶や貴族の間でだけ食べられていました。その後室町時代頃に庶民にも蒟蒻を食べる習慣が広がり、各地で様々な食べ方が考案されました。日本の蒟蒻は中国とは別に独自の発展を遂げ、今では中国や台湾に輸出するまでになりました。台湾でも蒟蒻は作られていますが、日本のものの方が風味も食感も段違いに良く、価格は少し高いですが台湾のスーパーでは素食主義者を中心に根強い人気があります。

料理の得意な人は日本の蒟蒻料理を台湾人に作ってあげると喜ばれますよ!

三杯雞丁│三杯鶏

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難易度:☆ 調理時間:一瞬

台湾伝統の軽食『三杯雞丁│三杯鶏』のレシピです。濃い目の味付けでビールが進む「熱炒」料理の一つで、だいたいどこのレストランでも食べられます。鶏肉を一口サイズに切ることで調理時間を短縮しています。

記事は後日!

家庭小炒│中華炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の家庭料理『家庭小炒│中華炒め』のレシピを紹介します。中華鍋で材料を炒めるだけの初心者主婦の味方!ご飯のおかずに最適の料理です。筆者も月一くらいで作って食べます。

料理名にある「家庭」、この字で使われる「家」と「庭」 の漢字について簡単に説明します。

「家」は中国でも日本でも同じそのまま「家(いえ)」の意味で、家屋をあらわす「ウ」冠にイノシシをあらわす「豕」が入っています。たぶん大きな家の中心、生贄を捧げる祭壇か何かを指しているのでしょう。そしてその場所を中心に共同生活を営む単位、更に転じて同じ職能や思想をもつ集団などを示すようにもなりました。

「庭」は本来「平らな場所」を示す語で、「广」と「廷」に分けられます。「广」は壁(や崖など)に囲まれた「家」の意味です。「廷」は人が作った「まっすぐ平らな場所」の意味で、天子の住む場所を「宮廷」、政治を行う場所を「朝廷」、法を検証する場所を「法廷」と呼ぶなど、政治と密接な関係のある語でした。この規模を少し落として「門」から「家」までの平らな場所を「庭」と呼ぶようになりました。普通庭には木を植えたり池を作ったりしますが、そういったさらに趣向を凝らした場所は「園」と呼び分けます。

この二つをあわせた「家庭」 という単語を中国の古書テキスト検索システムで調べてみたのですが、どうやら唐以前の書物にはこの単語が使われた形跡がありませんでした。また唐から宋代あたりにかけても単に「家の庭」の意味で使われているものばかりで、現在我々が使う「家族集団」の意味で使われているものは見つかりませんでした。もちろん全部のテキストに目を通したわけではありませんが…。

家族の意味で「家庭」の語が使われ始めるのは宋後半から金の時代。主に程朱学(朱子学)関連の古書で使われ始めたのが最初のようです。なるほど儒教では家族のつながりを重視しますが、生活の場である「家庭」を家族の代名詞として使ったのは面白い考えですね。きちんと探せば同じ時代に新しい意味を与えられた単語の例がたくさん見つかるかもしれません。大学生くらいならレポートのテーマにしてみても面白いかもしれませんね。

今我々が使っている「家庭」の意味は、儒教と密接な関連があったのですね!(とはいえ、ざっと調べただけなので間違いがあったらごめんなさい。)家族で食卓を囲みながら、古い中国の思想に思いを馳せてみましょう。それではレシピです。


干貝芥菜│カイランと貝柱炒め

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾の名菜から。今回はちゃんと自宅で作れる『干貝芥菜│カイランと貝柱炒め』のレシピを紹介します。カイランが手に入らなければレタスやキャベツで作ってみましょう。貝柱のうま味とカイラン独特のほろ苦さを堪能できる料理です。

台湾野菜の「芥菜」は日本の白菜ほどによく使われます。中国語の正名は「芥藍」で、芥蘭とも書かれます。日本ではカイラン、カイランサイ、チャイニーズブロッコリーとも呼ばれ、日本でも産地付近ではスーパーに並ぶようになってきているようです。台湾や中国大陸部では数十年前から栽培されており、広東、福建地方ではサラダや炒め物に人気のある野菜でが、日本で栽培が始まったのはここ数年、まだまだ生産量が少ない高級野菜の一つです。

インドネシアでは「Kailan」、タイは「Phak khanaa(คะน้า)」と呼ばれ、中国と同じように食用にされます。インドネシア語はもちろん中国語(広東語)がそのまま伝わったものです。

アブラナ科ですが耐暑性があり栽培が容易なので、九州あたりに住んでいる人は台湾などで種を手に入れて栽培に挑戦してみても良いでしょう。

豬膽肝│干し豚レバーの客家蒸し

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難易度: 調理時間:数日
台湾客家の伝統料理『豬膽肝│干し豚レバーの客家蒸し』のレシピを紹介します。簡単な料理ですが、一度客家の人と一緒に作ってみないと、独学だけではたぶん日本では作れません…、悪しからず。お酒のおつまみにピッタリの料理です。

当ブログでは台湾の客家について時々紹介しています。今回は台湾南部の「六堆」と呼ばれる客家文化圏について簡単に紹介したいと思います。

「六堆」は台湾南部、現在の屏東縣に点在する客家の居住地が連合を組んだものの名称です。組織の名称としてだけでなくその居住地も「六堆」と呼びます。清代にこの地域に移り住んだ廣東省潮州府の鎮平縣(現在の蕉嶺)、程鄉縣(現在の梅縣)、平遠縣、大埔縣、汀州府の永定縣、武平縣、上杭縣の各地域出身の客家が「朱一貴事件」の混乱に対して組織した自衛団が元になっています。

朱一貴事件とは康煕60年(1721年)に台湾で発生した内乱で、廣東省潮州出身の杜君英と福建省漳州出身の朱一貴がそれぞれ明の復興を掲げて台湾の覇権を求めて対立した事件を指します。両者は実際に台湾府の府城(行政府)を攻め落とし、台湾の独立自治に限りなく近づきました。しかし両者は程なくして対立、激しい権力争いが起こり、ついに台湾全土の潮州出身者と漳州出身を巻き込んだ激しい内乱に発展してしまいます。結局朱一貴が内戦には勝利し、台湾で「大明」を建国、年号を永和と称しかなりの広範囲で自治権を得ることに成功しますが、宣誓の翌月にはあっけなく清軍に鎮圧されてしまいました。わずか一ヶ月ほどの期間ですが台湾で最初に生まれた自治王朝として、歴史上非常に重要な事件となっています。この内乱時に生まれた自警団が「六堆」の原型になります。今でも台湾南部には朱一貴を祀った廟がいくつか残っているので、興味のある方は参拝して見ましょう。

他にも台湾ではこれまた台湾府を攻め落として短期間ながら限定地域の自治を獲得し後の太平天国にも繋がる「林爽文事件」や清軍と長期に渡り対抗し続け明の復興を掲げた大海賊「蔡牽の乱」などの重大事件が数年から数十年に一度の頻度で起こります。また出身地を異にする漢族同士のいざこざや原住民との争いが頻発し、清代の台湾はけっして平和とは言えない状況でした。そのたびに「六堆」は自衛のための武器をふるい団結力を高めて行ったのです。最終的には下関条約後の日本軍進駐にも出兵して抵抗するのですが、数ヶ月に渡る交戦後に恭順します。ちなみにこの時の日本軍の被害はほとんどが伝染病による病死だったのは有名な話です。

「六堆」客家文化圏は桃園、苗栗、新竹あたりの客家とはまた別の風習を持ちます。地理的には台北旅行のついでに観光…というわけにも行きませんが、興味があればぜひ訪問して現代に残された清代の客家文化を感じてみてください。

「六堆」客家文化を手軽に味わいたいという方は「台北客家主題公園」を週末に訪れてみると良いでしょう。多くの客家料理の出店が立ち並びます。
 

萬巒豬腳│屏東豚足煮込み

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難易度: 調理時間:2時間
台湾南部、屏東の伝統料理『萬巒豬腳│屏東豚足煮込み』のレシピを紹介します。調味料を足していきながらじっくりと豚足を煮込む料理です。これぞ台湾料理!といったご飯に合う濃い目の味付けが楽しめます。

この『萬巒豬腳』は1949年に台湾屏東縣萬巒郷で生まれたとされる台湾発祥の料理です。開発者は王依悌さん。なんと福建省福州出身の武道家です。彼は終戦後の1948年に(おそらく国共内戦のどさくさで)屏東に移住してきました。彼はこの地で『滷製豬腳│豚足煮込み』の販売を始め、それが好評を博すようになると地域の人々に請われて作り方を教えることになりました。そして彼の店の周りには次々と『豚足煮込み』の店が軒を連ねるようになり、それぞれが人気店となったそうです。この屏東県萬巒郷(特に民和路、褒忠路一帯)で作られる『豚足煮込み』を『萬巒豬腳』と呼び名物となりました。

ちなみにここ「萬巒」は屏東にある「六堆(その内紹介します)」と呼ばれる客家の居住地の一つで、「先鋒堆」とも呼ばれます。多くの客家系住民が住んでおり、『萬巒豬腳』は客家の『豬腳』の技法を取り入れている部分もあります。客家料理ファンなら、にやりとする技法がちらほら(笑)。

台湾全土でこの料理の名前が知られたのは1980年、時の相当蔣經國がこの地を立ち寄り、この料理を絶賛したことから。今では台湾全土で食べられます。もちろん台北にも専門店がいくつかありますので、旅行時に立ち寄ってみましょう。

時間差で調味料を加えながら煮込む『萬巒豬腳』。醤油ギフトを大量にもらった時などに試してみましょう。


夏茂芋餃│イモ餃子

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
福建省沙縣の軽食として非常な知名度を誇る『夏茂芋餃│イモ餃子』のレシピです。サツマイモ澱粉で作る餃子で台湾の『碗粿』などとも繋がる料理となっています。プルプルでおいしいです。

沙縣は現在の福建省三明市の北部にある地域で、毎年12月に開かれる「小吃」の祭りには中国全土から多くの観光客が集まります。この祭りのあまりの賑わいから、多くの中国人が小吃の代名詞として沙縣を思い浮かべるほど。沙縣は農業以外これといった産業のない小さな県に過ぎませんが、「沙縣小吃」は誰もが知る沙縣の特色となっています。

その有名な「沙縣小吃」の中でも一、二を争う知名度を誇るのが今回紹介する『夏茂芋餃』。「夏茂」は沙縣にある地名で、この料理は『夏茂芋包』や『馬鈴薯餃』などとも呼ばれます。蒸して作る蒸餃子の一種ですが、火が通りやすいように三角錐形に作るのが特徴です。

もちろん「沙縣小吃」はこの料理だけでなく、全国各地の名菜を手軽に食べられるようにアレンジした数多くのアイデア料理があります。また毎年新しいメニューが開発されており、そのどれもが美食家をうならせるほどの創意とおいしさにみちています。ぜひ一度12月の祭りに足を運んでいろんなものを食べてみたいですね。

本来はタロイモ、特に卵くらいの大きさの「蛋芋」と呼ばれるものを使って作るのですが、日本で作るならサトイモ(タロイモの一品種です)が正にピッタリ。ジャガイモを使っても作れるのですが、今回はオリジナルに忠実に作ってみます。ソースはピリリと辛いラー油を使いますが、醤油などで代用するのが良いでしょう。

それではレシピです。


雙錢蛋茹│腸詰卵スープ

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
福建省北部の伝統料理『雙錢蛋茹│腸詰卵スープ』のレシピを紹介します。豚モツに入れたとき卵を加熱し、飾り包丁を入れてからスープで煮込んだとても美しい料理です。ぜひ一度作って美しさを堪能してください。

この『雙錢蛋茹』は福建省北部の漢族に伝わる伝統料理です。輪切りにされた卵が二つ繋がっている形状から「雙錢(双銭)」と名付けられました。いわば貝殻みたいな見た目なのですが、それをお金と言ってしまうのが中国人らしいところ(笑)。話によると清代に開発されたそうですが、数百年経っても中国人のお金を愛するの精神はあまり変わっていないのかもしれません。

さてこの料理から「茹」の字を見てみましょう。草冠がついていますが、もともとこの漢字は「植物の根が絡み合ったさま」を表しています。ちょっと難しいですが「衆賢茅茹(しゅうけんぼうじょ)」という言葉があり、これは「賢者が茅の根のように集まって議論を尽くす様子」の意味です。あとは「食べる」の意味があり、「茹葷」と書けば肉を食べるの意味です。元々はこの「食べる」の意味が本義だそうです。

実は日本語のように「ゆでる」の意味でこの漢字を使うのは、中国では南部の福建省や広東省の一部地域でだけです。いわゆる「方言」(しかも結構範囲が狭い)です。筆談ではほとんど意味が通じない漢字のひとつですので覚えておきましょう。




肉丸│肉団子

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
いろんな地域の中華料理で様々に調理される『肉丸│肉団子』のレシピを紹介です。ハンバーグ感覚で作ってみましょう。いろんな中華料理に応用が可能です。『獅子頭』などとも呼ばれます。

『肉丸』の別名として使われる『獅子頭』の「獅子」はライオンのこと。ライオンは学名を Panthera leo といい、ご存知ネコ科の猛獣です。オスの首周りにあるたてがみに特徴があります。現在は絶滅が危惧されるほど数を減らしてしまいましたが、古代においてはネコ科の動物の中でも最も生息域を広げることに成功した種の一つで、つい近代まででもアフリカからヨーロッパ、アジアにもインドあたりまではたくさん生息していました。古く氷河期にはアメリカ大陸に渡っていたことも確認されています。

ライオンはインドの梵語で「Simba」と呼ばれていました。中国にもたらされたのは後漢の初期、当時は「狻麂(Suan yi)」または「狻猊(Suan ni)」と呼ばれていました。これは獅子に似た伝説の神獣の名前をそのまま当てたものです。やがてインドでの呼び名「Simba」から最初の文字「Si」を取って「師」の文字をあて、更に動物をあらわす「犭」を付けて「獅」と呼ぶようになりました。

シンガポールの「シンガ」の部分も梵語の「Simba」由来でライオンを指しています。良いところですよねぇ、シンガポール。また現地の『チキンライス』が食べいものです(笑)。



山藥蒸排骨│ヤマイモと豚唐揚げ蒸し

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
炒めて蒸す!中華の技法を二つも盛り込んだ『山藥蒸排骨│ヤマイモと豚唐揚げ蒸し』のレシピを紹介します。ヤマイモとニンニクをたっぷり使って炒めた豚肉をあわせ、更に蒸して作るホクホクの料理です。

台湾料理でも「蒸す」という調理法は頻繁に用いられます。ところで漢字の「蒸」に注目してみると…、なぜ草冠がついています。なぜでしょう?

蒸すという字はもともと、「丞」という字が元になっています。これは一番下の横線「一」が水面、「了」が人、両側の「フ」みたいな部分が手をあらわしており、もともと「水に落ちた人を助け上げる」
という象形文字が由来になっています。そのため「助ける」という意味と同時に、「下から上に引き上げる」という意味を表します。「承」という字がとても似ていますが、これは成り立ちが少し異なり、中央の人が跪いて両手を掲げた姿、つまり「受け賜る、承る」の意味を表しています。

「丞」の下に火がつくと「烝」、そのまんま「火気が下から上に上るさま」を表した漢字で、もともとはこの字が「蒸す」の意味を表していました。これに草冠のついた「蒸」はもともと「烝」のための火をおこす燃料をあらわしていましたが、いつからかこちらの方が「蒸す」を表す漢字として使われるようになりました。

中国では蒸し器を使った調理は少なくとも三国時代以前には行われていたようで、日本にも神代には蒸し器と共に調理法方が伝わり、発酵酒を蒸留して清酒を作っては神事に用いた記録や出土品が残っています。結構由緒ある調理方法なのですね!

炊滷肉│中華風豚炊き

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難易度:☆ 調理時間:1時間以内
炊飯器で肉を煮込んでしまおうという中華料理ではちょっと珍しい『炊滷肉│中華風豚炊き』のレシピを紹介します。下ごしらえしてしまえばあとはスイッチを入れるだけの簡単料理です。

さて日本の台所に欠かせないものとなった「炊飯器」を最初に作ったのはもちろん日本。ガス式のものはガス会社によって1902年に開発され、各地に置かれていました。現在のような電気式が生まれたのはなんと帝国陸軍において。 三菱が開発した水に直接通電して米を炊くという原始的なものが最初の電気式炊飯器といわれています。

これが現在のような形になるのは終戦を待たなければいけませんでした。現在のソニーやパナソニックの前身各電器会社がこぞって開発に力を注ぎ、様々な試作品を世に送り出しますが商業的に成功したとはいえませんでした。

電気炊飯器が一気に世の中に広まるのは1955年。東芝が開発した自動式電気釜というタイマーつきの電気炊飯器が大ヒットしてからです。1960年代にはほぼ一家に一台といえるまでに普及し、その後各メーカーが保温機能、マイコン制御、IH、圧力釜など様々な機能を追加したものが販売されました。

台湾には「電鍋」という炊飯器に似た調理器具があります。これは1960年代「大同」という台湾の企業が東芝と共同開発して販売したもので、台湾ではほぼ一家に一台の割合で普及しています。原理的にはまさに旧式の電気炊飯器そのものでデザインもあまりパッとしないのですが、台湾では各種調理に大活躍します。国外に留学に行く学生も料理用に「電鍋」を持っていくこともしばしば。原理は旧式なのですが、様々なアタッチメントを切り替えて、米だけでなく煮物や蒸し物も作れるので便利といえば便利ですが…、大体は日本の炊飯器でも同じことが可能です。家庭で『茶葉蛋』を作り置きしたいとかのコアな台湾料理ファンでなければあえて購入する必要はなさそうです(笑)。

筆者も最近日本の炊飯器を新しく購入し、台湾米を炊いて食べています。やっぱり日本の炊飯器で炊いたご飯がおいしいです。


辣醬茄子│中華風ナスのピリ辛炊き

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難易度:☆ 調理時間:30分以内
炊飯器で茄子料理!簡単に作れる『辣醬茄子│中華風ナスのピリ辛炊き』のレシピを紹介します。晩御飯のおかずにピッタリの濃い目の味付けのナス料理です。というか『マーボー茄子』とほとんど変わらないですね。

ナスは漢字で「茄子」、この「茄」の字は簡単な作りながら日本では野菜のナスの他に使うことはほぼありません。中国語でもナス(と「トマト│番茄」)以外に使うことは非常に希です。

しかし!台湾においては、(通常の用法において)「茄子」と「番茄」以外にほとんど唯一といって良い別の単語があるのをご存知でしょうか?といっても地名ですが、台北から南に2時間ほど下った新竹市に「茄苳」という地名があるのです。台湾で車を運転する方ならピンと来るかもしれません(笑)。国道三号線(高速道路)の新竹と香山の間にあるインターチェンジの名前が「茄苳交流道」です。

「茄苳」は正式には新竹市香山區茄苳里という地名を指します。清代に付けられた地名だそうで歴史はそれほど古くありません。このあたり一体は盆地になっており「アカギ(中国語の正名は「秋楓」)」の木が大量に生えていました。そのためアカギの別名である「茄苳樹」の名前を取って「茄苳湖」と呼ばれるようになったということです。

清代に入植した住民のほとんどが泉州出身でこの地域には「金廣福」という武装開拓組織もおかれていました。この集団はアヘン戦争や対仏戦争などで活躍します。「金廣福」の本部となった建物は現存し、文化古跡に指定されていて今でも見学する事が出来ます。第二次世界戦後にこの地の東側を「茄苳」、西側を「大湖」と行政区画が割られ、合併や編入を経て現在の行政単位となりました。

地名の由来にもなった「アカギ」は台湾では重陽木などとも呼ばれ、台湾全域に樹齢数百年を越す老木があって信仰の対象ともなっています。台湾には他にもいくつか「茄」の字を持つ地名がある(または"あった")のですが、そのすべてが「アカギ(茄苳樹)」に由来します。もし旅行中に見かけることがあったら近くにアカギが生えていないか探してみると良いでしょう。

「茄」の字で繋がる台湾の一地方の歴史の話でした。それではレシピです。



燒肉片佐韭菜醬│豚しゃぶのニラドレッシング和え

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難易度:☆ 調理時間:30分以内

台湾は入梅してすっかり蒸し暑くなりました。夏のスタミナ補給にピッタリの『燒肉片佐韭菜醬│豚しゃぶのニラドレッシング和え』のレシピです。豚肉+ニラで元気をつけましょう!

ニラは日本でも《古事記》の時代から食用にされている歴史ある食材です。中国ではこれよりも更に前、紀元前1000年頃にはすでに食用にされていたといいます。中国最古の詩集《詩經》には7月4日の祭祀にニラを祭るという一文があります。ちょっと抜き出してみましょう。

《詩經》(國風/豳風/七月)
二之日鑿冰沖沖、三之日納于凌陰。
四之日其蚤、獻羔祭韭。
九月肅霜、十月滌場。
朋酒斯饗、曰殺羔羊。
躋彼公堂、稱彼兕觥、萬壽無疆。

当時(紀元前1000年!)の風習がざっと書かれています。氷を取ってきて涼をとっていたことや、羊をとニラを一緒に祭るなんてことが書かれており、その後に上司のご機嫌取りをするなど俗っぽいくだりがあります(笑)。こうやってみるとやってることは今の中国や台湾とあんまり変わらないようです。

またニラの葉は生薬「韮白」として《本草綱目》にも登場します。歴史ある植物だけあって記述が長いのですが、面白いのでちょっとだけ抜き出して見ましょう。

 【主治】歸心、安五臟、除胃中熱、利病患、可久食(《别錄》。時珍曰:案:《千金方》作可久食、不利病患。)
葉:煮鲫魚酢食、斷卒下痢。
根:入生發膏用(弘景)。
根、葉:煮食、溫中下氣、補虛益陽、調和臟腑、令人能食、止洩血膿、腹中冷痛。生搗汁服、主胸痹骨痛不可觸者、又解藥毒、療狂狗咬人數發者、亦塗諸蛇虺、蠍虿、惡蟲毒(藏器)。

葉っぱを鰹と酢で煮込んで食べると下痢止めなり、また根と葉には食欲増強、腹冷えに効果があるなどと書かれています。これ以下にも夢精や勢力減退、痔や脱肛に効果があるなど色々書かれており、現代中医学でも各種胃腸障害や勢力増強にたびたび用いる優秀な薬材です。あと梅と一緒に煮込んで風邪薬として使ったりもします。

というわけで今回は夏ばてに効果のあるニラを使ったスタミナ料理です。豚肉以外の肉類とも相性が良いので、たくさん作って冷蔵庫で保存しておきましょう。

 
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