茭白筍炒雞絲│マコモダケと鶏肉炒め

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本日は『茭白筍炒雞絲│マコモダケと鶏肉炒め』というちょっと珍しい野菜を使った料理を紹介します。料理名に「筍」の文字が入っていますが、タケノコではなくマコモというイネ科の植物を使って作る炒め料理です。

マコモは学名を Zizania latifolia Stapf. といい、コメと同じくイネ科の植物です。漢字で「菰(こも)」とも書き、地名に漢字が残っていたりします。日本全国の水辺に生育し、昔は全国で食用にされていたようですが、今では名前を聞いたことのある人の方が珍しいかもしれません。北陸地方では今でも野菜として食用にします。実は今まで当ブログではマコモを使った料理ではタケノコで代用してたりしたのですが、日本でも一部地域でなら普通に手に入ることが分かったので、これからはマコモを使った料理もどんどん紹介したいと思います。

マコモは黒穂菌に寄生され肥大化した地下茎を食用にします。こう書くとなんだか危険な食べ物のように感じますが、人体に影響はないのでご安心を。中国では地下茎だけでなく、種子も野米、茭米、菰米などといって五穀(稲、麦、粟、稗、豆)に次ぐ、六穀として数えられることがあります。

タケノコよりも甘みがあり、ヤマイモのような食感で、真っ白な身は非常に滑らか。食べたことのない人はぜひ一度口にしていただきたいと思います。台湾のスーパーでは秋口から旬のマコモが売りに出されます。タケノコと同じように調理できますので、機会があればぜひ調理してみてください。レストランでもマコモを使った料理が食べられます。
 


難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

観世音霊籤第九十六首 - 第一百首

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観世音霊籤百首
第九十六首 上上
巍巍寶塔不尋常
八面玲瓏盡放光
勸汝志心勤頂禮
天龍擁護降千祥

意訳:
巍巍寶塔不尋常
今のあなたは普通ではない。

八面玲瓏盡放光
あらゆる方面に光を放つ。

勸汝志心勤頂禮
後は天に祈りを捧げよ。

天龍擁護降千祥
望むものが全て手に入るだろう。

説明:
尋常でない運気の高まりを暗示するあたり籤です。
天に望めば望んだ分だけの結果が手に入ります。
不可能が可能に、無理が無理でなくなるときです。
今こそあなたの夢を叶えましょう。

故事:
汾陽王七夕遇天孫
竇燕山積善

観世音霊籤第九十一首 - 第九十五首

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観世音霊籤百首
第九十一首 上上
好把愁眉須展開
大才大用薦將來
一條大路平如掌
凡有施為總稱懷

意訳:
好把愁眉須展開
心配するのを止めよ。

大才大用薦將來
将来大きなことを為すだろう。

一條大路平如掌
未来の道は大きく開かれている。

凡有施為總稱懷
やりたいと思ったことは必ず叶う。

説明:
心配でひそめた眉を緩め、気持ちを落ち着けましょう。
あなたの未来は大きく開け、望む結果を得られることでしょう。
あなたに備わった力はあなたが思っているよりも巨大なものです。
やりたいことがあるなら全力で挑戦すれば叶わないことはありません。

故事:
宗愨長風破浪
三英戰呂布

辣子雞丁│鶏肉の豆板醤炒め

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本日は『辣子雞丁│鶏肉の豆板醤炒め』という四川料理のレシピを紹介します。以前紹介した『辣子雞│重慶風鶏肉の唐辛子炒め』と同じ料理なのですが、台湾風に辛さを押さえて子供から大人まで楽しめる家庭料理になっています。同名料理なのですが、味がかなり違うので日本語名もすこし変えてます。

低温の油で火を通した鶏肉を豆板醤と絡めて作る料理で、濃厚な旨味はそのままレストランでも通用するほど。筆者の得意料理でもあります。レシピでは鶏もも肉で作っていますが、油を控えたい方は鶏むね肉で作ってもいいでしょう。

料理名にある「辣子」とは四川でのトウガラシの呼び方。台湾では普通話と同じく「辣椒」と呼びます。

中国にトウガラシが伝わったのは明王朝の時代で、王朝末期には医薬品として少量使われていた記録があります。当時、香辛料といえば花椒、ショウガ、胡椒などが主流で、トウガラシを使った料理はまだまだ開発されていません。そして1600年代、日本の戦国時代とも関連の深い台湾の東インド会社経由でトウガラシが中国にもたらされます。なんとトウガラシが中国にもたらされたのは台湾経由なのです。当時のトウガラシは福建語で「番仔薑」と呼ばれ、ショウガの仲間に分類されていたことが分かります。

香辛料として中国に伝わったものの中ではかなり新しいものであるにもかかわらず、今では中華料理に欠かせない材料となりました。トウガラシを多用することで有名な四川料理ですが、トウガラシが伝わる以前の辛くない四川料理も数多く残存しています。材料を通して料理の歴史を眺めてみるもの面白いものですね。

それでは、本日のレシピ行ってみましょう。



難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

観世音霊籤第八十六首 - 第九十首

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観世音霊籤百首
第八十六首 大吉
春來花發映陽臺
萬里舟行進寶來
躍過禹門三級浪
恰如平地一聲雷

意訳:
春來花發映陽臺
春は大いなる喜びの季節。

萬里舟行進寶來
遠方より宝を載せた船がやって来る。

躍過禹門三級浪
大きな門をくぐれば、三つの慶事がある。

恰如平地一聲雷
歓声が雷のように鳴り響くだろう。

説明:
大吉を示すあたり籤です。
勇気を出して大きな門をくぐれば、三つの良い事があるでしょう。
遠くからもよい知らせがあります。
何も心配せず一歩を踏み出しましょう。

故事:
西王母獻益地圖
商輅中三元

観世音霊籤第八十一首 - 第八十五首

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観世音霊籤百首
第八十一首 中中
庭前葉落暮秋時
行客奔程勢若飛
謝得天公輕着力
順風相送寶船歸

意訳:
庭前葉落暮秋時
晩秋落葉の時。

行客奔程勢若飛
旅人はきびすを返して故郷に戻る。

謝得天公輕着力
天に感謝すれば体が軽くなる。

順風相送寶船歸
帰り道は追い風が吹くだろう。

説明:
目の前にはいくつかの小さな問題があるかもしれませんが、全体としてみればこれから物事が順調に運びます。
今の場所に辿りつけたことを天に感謝しましょう。
もう折り返し点は過ぎました。
あとは軽い足取りで終わりまで歩いていくだけです。

故事:
風送滕王閣

観世音霊籤第七十六首 - 第八十首

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観世音霊籤百首
第七十六首 上上
魚龍混雜意和同
耐守寒潭未濟中
不覺一朝頭角聳
禹門一跳到天宮

意訳:
魚龍混雜意和同
魚なのか龍なのか現在は区別が付かない。

耐守寒潭未濟中
今はおとなしく岩の上で待っているのだ。

不覺一朝頭角聳
時が来れば自ずとはっきりするだろう。

禹門一跳到天宮
そのときに機会を掴めば万事うまくいく。

説明:
今現在小さな魚に見えているものが、実は龍であるかもしれません。
逆に今すばらしく見えているものの中身が実は大したことのないものであるかもしれません。
現在物事は非常に曖昧で、はっきり特定ができません。
時が来れば全て明らかになります。
それまでおとなしく待ちましょう。

故事:
孫叔敖隱處海濱
洪武看牛

観世音霊籤第七十一首 - 第七十五首

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観世音霊籤百首
第七十一首 上上
誰知愛寵遇強徒
女子當年嫁二夫
自是一弓施兩箭
騎龍跨馬上安居

意訳:
誰知愛寵遇強徒
自分のものが他人に奪われてしまう。

女子當年嫁二夫
この場合両方に同じように接するのがよい。

自是一弓施兩箭
一度に二本の矢を放つのだ。

騎龍跨馬上安居
不安定と思える場所が実は一番上手くいくのだ。

説明:
時に大切なものが奪われてしまい、二つに分かれてしまうことがあります。
そんなときはその両方を上手く使って物事に対処しましょう。
状況は不安定に見えるかもしれませんが、実はそうした方が今は上手く行くのです。
二つの物事を同時に進めるように示す籤です。

故事:
貂蟬從王司徒計
文君訪相如

芒果雞柳│鶏むね肉のマンゴー炒め

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本日は『芒果雞柳│鶏むね肉のマンゴー炒め』という家庭料理を紹介します。淡白な鶏むね肉と濃厚な甘みのマンゴーが良く合う家庭料理です。冷やして食べてもおいしいので、サラダ代わりにどうぞ。

筆者が台湾にはまるきっかけになったのがこのマンゴーで、台湾を代表するトロピカルフルーツです。日本の一部のマンゴーはなぜかおそろしく高級なため、近年は海外から直接発送してくれるサービスもでてきました。タイやマレーシア産のものが有名ですが、台湾からも日本へ直接発送してくるサービスがあります。

さてマンゴーは学名をMangifera indica といいウルシ科の植物です。筆者の知るある大学教授は有用植物の研究をしているのにウルシにアレルギーがあるため、マンゴーを食べることができませんでした。人によっては触れるだけでアレルギーを起こすことがあるので気をつけましょう。

強烈な甘みが特徴のマンゴーの果実ですが、未成熟果実は逆に強烈な酸味を持ちます。この酸味を利用して、インドでは乾燥させた未成熟果実を香辛料として使うこともあります。ベトナムでは未成熟の果実を砂糖漬けにしてお菓子代わりに食べたりもするそうです。

台湾で栽培されるマンゴーは日本でもおなじみアーウィン種(愛文芒果)が有名ですが、他にもたくさんの種類のマンゴーがあり、ほぼ一年中何らかの種類のものが食べられます。代表的なのは金煌、凱特、玉文、聖心、紅龍、金蜜、金興、台農一号、黒香などでしょうか。それぞれ旬、味、果肉の細かさ、色、甘みなどが異なりますので、台湾に来た際には色々と食べ比べてみるのをお勧めします。

というわけで本日はマンゴーを使った鶏肉料理のレシピです。


難易度:


調理時間:
30分以内

蘿蔔燒雞│ダイコンと鶏肉の和風煮込み

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本日は台湾の家庭料理である『蘿蔔燒雞│ダイコンと鶏肉の和風煮込み』を紹介します。家庭料理らしく『蘿蔔雞肉燒』、『蘿蔔燒雞肉』、『蘿蔔燒雞腿』などなど様々な別名があります。

今日の料理で使う「ダイコン」の最古の栽培記録は紀元前2200年前後、エジプトのピラミッド建造の労働者たちに提供されていたものだそうです。昨日の「クルミ」に続きかなり長い歴史があるようです。

多くの人は「ダイコンは根」と思っていますが、これは半分だけ正解。ダイコンの葉に近い部分、うっすらと緑色に染まった「青首」と呼ばれる部分は胚軸と呼ばれる「茎」の部分です。茎の部分は葉緑素を作るので、うっすらと緑色に染まっているのです。つまりダイコンは正確には根と茎を食べているのです。ちなみに「カブ」の根に当たる部分はすべてこの胚軸。カブの食用部分は茎です。大根はアブラナ科ダイコン属、カブはアブラナ科アブラナ属という違いもあります。

ダイコンは葉っぱも食べられますし、種子も莱菔子(らいふくし)という生薬になります。まさに捨てるところのない野菜です。 莱菔子もダイコン本体と同じく消化不良などに使われます。

中国語ではダイコンは(白)蘿蔔(簡体字では萝卜)、カブは蕪菁と書きます。紅蘿蔔と書くニンジンとダイコンは同じ仲間の野菜として扱われていたようです。これは現在のように大きくなる品種が開発される前、ダイコンとニンジンの大きさが余り変わらなかった時代の名残でしょう。

日本で栽培されるダイコンは90%以上が青首大根とよばれる品種で、スーパーや八百屋でおなじみ。日本全国でほとんど同一品種の野菜が食べられているというのは、結構めずらしいことです。ほかに青首部分が発達しない完全に根だけを食べる「白首大根」と呼ばれる品種群もあります。英語でも日本の品種は Daikon とそのままの名前で呼ばれることもあるそうです。

というわけでレシピいってみましょう!


難易度:


調理時間:
30分以内

観世音霊籤第六十六首 - 第七十首

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観世音霊籤百首

第六十六首 

路險馬行人去遠
失群羊困虎相當
危灘船過風翻浪
春暮花殘天降霜

意訳:
路險馬行人去遠
馬とも遠く離れ危険な道を行く。

失群羊困虎相當
群れから逸れた羊が狼に出会うかのようだ。

危灘船過風翻浪
船が嵐の中を進むようにも危ない。

春暮花殘天降霜
日が暮れて花も枯れ、急に霜が降りてくるようだ。

説明:
味方も居らず、孤独に危険な道を行くことを暗示する籤です。
孤独に危険な道を行くにもかかわらず、天すらも味方してくれません。
状況はこれからも悪くなるばかりです。
腹をくくって耐え抜きましょう。

故事:
楚霸王陰陵失道

桃仁燒絲瓜│糸瓜と胡桃炒め

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本日は『桃仁燒絲瓜│糸瓜と胡桃炒め』という料理を紹介します。

もともとは狭西省の料理なのですが、なぜか台湾でも食べられます。糸瓜を食べる習慣がない方はカボチャやダイコンで作りましょう。

クルミは紀元前7000年(!)にはすでに食用にされていたといわれる非常に歴史のある食べ物です。現在のようにイネやコムギが主食となる前はほとんどの人類が保存食として採取していたのでしょうか。一口にクルミといっても、その種類は多種多様。クルミ属の植物は世界中で30種類ほどがあり、これら植物の実を一括して「クルミ」と呼びます。

近代に入ってからは食用としてよりも「ウォールナッツ」という名の高級建材として、大量に需要がありました。チーク、マホガニーと共に世界三大銘木の一つに数えられ、高級家具やライフルの銃床として使われます。大量に伐採されたおかげで、値段が高騰しているとか…。

クルミの実はなんと70%が油分。大量のビタミンEやミネラル分を含み、非常に優秀な栄養源となります。


食用としても、建材としても長い歴史を持つ非常に有用な植物で、世界各地の神話や伝説にも登場します。歴史をかみ締めながら食べましょう。


難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

玉米濃湯│中華コーンスープ

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今日は『玉米濃湯│中華コーンスープ』のレシピを紹介します。ミキサーでコーンの缶詰をすりつぶして作る中華料理では定番のスープで、街中いたるところで食べられます。

店により作り方が違うので味も千差万別なのですが、今回はオーソドックスな作り方を紹介します。

トウモロコシは商品作物として非常に重要なのは皆さんご存知のとおり。一代限りの雑種優勢という穀物としては特殊な性質を持つため、1920年代以降のアメリカの穀物ビジネスを確立するのを手助けしました。

ちょっと難しいことを書くと、雑種優勢とは異なる品種を掛け合わせると繁殖力、成長力、収穫量などが増すこと。しかもこれが一代限りなので収穫された雑種優勢の株からは生育力が大幅に減少した種しか取れません。これらの性質により、農家は「毎年」新しい種を購入必要があります。農地転換しても一年で大量の収穫が見込めるため、従来別の作物、例えばオレンジなどを栽培していた農家が急にトウモロコシ農家に転換することもアメリカでは頻繁に見られます。

ちなみに世界全体で生産されるトウモロコシで人間が食用にしているのはわずか4%のみ。大半は動物の資料として用いられ、残りがコーンスターチやアルコール生産用に使用されます。人間が食べるトウモロコシは全生産のごくごく一部なのです。

ところでここ十年くらいで果汁100%オレンジジュースの値段が上がった、もしくは余り見かけなくなったことに気づいた方はいらっしゃいますか?筆者が子供の頃は現在よりもたくさんオレンジジュースを飲んでいた記憶があるのですが、2000年代に入ってから突然見かけなくなりました。

これは石油価格の上昇に対応するため、世界中で代替燃料の需要が高まったためです。世界最大のオレンジ生産国であったアメリカのオレンジ農家の多くが、トウモロコシ農家に転作したため、オレンジの生産量が世界的に減少しました。トウモロコシからは簡単な処理でエタノールが生産できるため、オレンジ園を潰してエタノール生産用のトウモロコシが大規模に栽培されるようになったのです。ブラジルの自動車は半数以上がアルコール燃料だそうですが、アメリカも2035年までに全自動車の3割をアルコール燃料車にする計画があります。

…日本の自動車メーカーがハイブリッド関係の特許を独占しているのも関係があります。

トウモロコシ一つで世界経済が分かる!とまでは言いきれませんが、なかなか興味深い作物です。皆様も興味があったら自分で調べてみてくださいね。

それでは、レシピいきます。


難易度:


調理時間:
30分以内

麻醬鮮蔬│西安風胡麻ドレッシングサラダ

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本日も昨日に引き続き西安の古代宮廷料理を紹介しましょう。その名も『麻醬鮮蔬│西安風胡麻ドレッシングサラダ』、シンプルで美味しく、かなりおすすめの料理です!

隋、唐など諸王朝の首都として栄えた長安の都、遣隋使、遣唐使は日本からここを目指しました。仏教の経典や多くの書物と共に様々な食材が日本にももたらされ、日本の古代料理にも大きな影響を与えたことが研究により明らかになっています。

この料理が数千年も前から存在していたかは謎ですが、胡麻をすりつぶしてソースにする調理方法はかなり古代から存在していたことが知られており、おそらく長安の宮廷でも食されていたことでしょう。レシピでは普通の胡麻ドレッシングで代用していますが、可能ならすりつぶした胡麻を使ってみてください。

今回はサヤインゲンを使って調理しますが、特に使う野菜には決まりはないので色々な野菜で試してみてください。普通の胡麻ドレッシングで食べるサラダとは一味違う、古代王朝の香り漂う贅沢な味のする料理です。ぜひお試しください。


難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

牛肉泡饃│イスラム風牛肉団子汁

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本日のレシピはちょっと珍しい『牛肉泡饃│イスラム風牛肉団子汁』の紹介です。なんと古代中国王朝の宮廷料理といわれています。

料理名にある「泡饃」とは唐宋代にイスラム教徒が中国に流入してきたときに伝わったとされる小麦粉で作った団子のこと。最初期には練った小麦粉を団子状にしたものをスープに入れて食べていた料理とされています。当時は羊肉のスープがベースでしたが、時代が下がるにつれて様々なスープに入れてちょうりされるようになりました。

20世紀に入るまで西安の地方料理に過ぎなかったのですが、1900年、義和団事件のいざこざで西太后が西安まで逃げたとき、この『牛肉泡饃』を食して大絶賛。中国中にその名がとどろくことになります。時は日清戦争前後、台湾が世界史の荒波に翻弄されていた時期ですね。台湾に伝わってきたのは数十年前、戦後に入ってきてからのことです。

日本で団子汁といえば大分、筆者の故郷である福岡でも時々食べていました。九州の人はこの料理を食べると懐かしさを感じるかもしれませんね。

団子から作るので少々手間が掛かりますが、西太后が絶賛したという『牛肉泡饃』、一度味わっていただきたいと思います。


難易度:
☆☆☆

調理時間:
2時間

海帶炒黃豆芽│昆布とモヤシ炒め

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本日は『海帶炒黃豆芽│昆布とモヤシ炒め』のレシピを紹介します。

今日は昆布についてすこし話しをしたいと思います。マコンブ、リシリコンブなど、コンブにも色々ありますが、実は「コンブ」という種の生物は存在しません。コンブ科という科があり、それに属するいろんな属の生物をコンブというわけです。コンブ科の上位にはコンブ目があるのですが、そこまで遡ってやっとワカメの属するチガイソ科が現れます。

台湾では漢字でコンブを「海帯」 、ワカメを「海帯芽」と書くため、多くの人がワカメが大きくなったらコンブになると信じているのですが、実際にはマメとバラくらいの違いがあるのです。

コンブ科に属するいろんな生物の総称をコンブというとかきましたが、食用になるのはほとんどがカラフトコンブ属のマコンブなど。北海道ではこのマコンブの産地によってマコンブ、ラウスコンブ、リシリコンブ、ミツイシコンブなどの名前で呼び分け、それぞれ形態が違います。台湾のスーパーで流通しているのはほとんどがミツイシコンブです。

コンブの持つ旨味成分であるグルタミン酸ナトリウムは、カツオブシのイノシン酸ナトリウム、シイタケのグアニル酸ナトリウムなどの旨味成分と共存することで、旨みが劇的に上昇します。コンブを調理するときはカツオブシやシイタケなどを加えて調理しましょう。

今回の調理ではダシをとった後の昆布を使います。コンブはダシをとってもなおその身に大量の旨味成分を含むので、ダシを取った後の昆布もしっかり残さず使い切ってしまいましょう。

最後に昆布の出汁のとり方をおさらいしておきます。まずは水出し法、コンブを水に半日ほど浸けておいてじっくり旨味を抽出する方法です。続いて煮出し法、コンブを弱-中火でじっくり煮出し、鍋に気泡が付いた状態を10分ほど保って旨味を抽出します。こちらは水が沸き立つ前にコンブを取り出すのが雑味を除くコツです。いずれも水1リットルに対して乾燥コンブ10gほどを目安にしましょう。

というわけで、本日は昆布を使った中華料理です。台湾のレストランでは小皿料理(小菜)として食べられます。



難易度:


調理時間:
30分以内

観世音霊籤第六十一首 - 第六十五首

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観世音霊籤百首

第六十一首 大吉

日上吟詩月下歌
逢場作戲笑呵呵
相逢會處難藏隱
喝啋齊聲嗹哩囉

意訳:
日上吟詩月下歌
日中は詩を読み夜間は歌を歌う。

逢場作戲笑呵呵
不真面目に暮らしてよく笑う。

相逢會處難藏隱
これは逃れられない運命だ。

喝啋齊聲嗹哩囉
しかしそうしていても物事は上手く行ってしまうのだ。

説明:
楽観的に行きましょう。
毎日愉快に楽しく笑って過ごすだけで、大きな成果が転がり込んできます。
暗く考えてはいけません。
明るく考えて適当に日々暮らすだけで英雄になれてしまうというあたり籤です。

故事:
廝養卒走燕取歸趙王
蘇小妹難夫

宮保猴頭菇│宮保ヤマブシタケ

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本日のレシピは『宮保猴頭菇│宮保ヤマブシタケ』です。ヤマブシタケを宮保ソースで絡めた料理なのですが、果たしてヤマブシタケとは何なのでしょうか?

ヤマブシタケは学名を Hericium erinaceum といい、日本、中国をはじめ広く北半球温帯以北に分布する食用キノコの一種です。台湾のものはおそらくすべて人工栽培品でしょう。

食用キノコとは言われますが、筆者は台湾に来るまでこのキノコの存在を知りませんでした。乾燥させたものを「猴頭」と呼ぶ漢方薬にするということですが、そちらもまったく聞き覚えなし。日本の一部地域ではスーパーでも流通しているようですが、それいがいの地域の人はこんなキノコ見たことも聞いたこともないことでしょう。

いわゆるキノコ型を呈しない珍しい形のキノコで、天然のものは木から長いヒゲが生えたようにも見えます。現在は菌床栽培が可能らしいので市場にて回っているものはほとんどが人工栽培したものだと思います。中国の四大珍味の一つとして、「熊掌(熊の手)」、「海參(ナマコ)」、「魚翅(フカヒレ)」と共に並んでいます。ナマコと猴頭は台湾でも割りとリーズナブルに購入できます。

もともと消化器系の病気に使う漢方薬として中国では時々使われていたようですが、近年は含有成分に抗認知症作用、抗悪性腫瘍作用があることが分かり数々の論文が発表されています。そしてこれを利用した詐欺も多発しています、気をつけましょう。

味はほのかに甘く、スープに入れればキノコ類に独特のすばらしい出汁が取れます。日本で食べるなら味噌汁やてんぷらの具材として使えば喜ばれることでしょう。今日は中華風にこれを使って宮保料理を作ってみます。結構しっかりした歯ごたえと旨味の料理が作れますが、なんと全素(完全菜食)料理です。当ブログでも過去に色々な宮保ソースを紹介しているので、同じ料理でも様々なバージョンのものが作れます。色々とお試しください。

日本では貴重なヤマブシタケですが、台湾では「南北貨」 や乾物を売っている店、市場や迪化街で手に入ります。まぁ、そのまま持ち帰ると税関で引っかかりますので気をつけてください。興味のある方はメッセージをいただければ乾燥品買って来て送りますよ。100gで300-500円くらいです。



難易度:
☆☆

調理時間:
2時間

川味什錦肉片│四川風色々炒め

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昨日までの四川料理つながりで最後は四川風の台湾家庭料理を一つ紹介したいと思います。その名も『川味什錦肉片│四川風色々炒め』。台湾の主婦が作る手抜き料理の一つです(笑)。

四川料理といえばトウガラシを使った赤黒い料理を想像しがちですが、この料理は名前にもあるように什錦(様々な色)の材料が散りばめられた美しい料理。辛味も麻味も強くないので、辛いのが苦手な人も十分楽しめることでしょう。トウガラシと花椒を抜いて作れば通常の『什錦肉片』となりますので、好みで調節してください。

とても簡単に作れますが、見た目も鮮やかで食卓が一気に賑やかになります。野菜と肉類を一緒に摂取できて健康にも良さそうです。


難易度:


調理時間:
30分以内

麻婆豆腐│マーボー豆腐

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紅油湯』で作る本格四川シリーズ第四弾はご存知『麻婆豆腐│マーボー豆腐』。台湾料理のブログなのに、一番紹介している料理かもしれません(笑)。

四川料理を代表する料理の一つなのですが、日本以外の地域では四川料理のレストランの外でほとんど食べられることがありません。なので、四川省以外の中国人はこの料理の名前も知らずに一生を過ごすこともままあるのです。

日本ではあまりにも有名な中華料理のため、中国全土で食べられているとつい錯覚してしまいますが、実際はそういうものなんですね。ちなみに日本でここまで流行らせたのは四川料理人陳建民、鉄人陳健一のお父さまです。

麻婆豆腐は清朝1860年前後に四川省成都で陳森富という人の妻劉氏が開発したのが始まりとされます。劉氏は雇用者たちに「麻婆(あばたのおばちゃん)」と呼ばれており、それがそのまま料理の名前となりました。日本で作る『麻婆豆腐』は醤油と豚挽き肉を使って作るのが一般的ですが、本場四川省ではそれはもういろいろな材料を入れて作ります。今回のレシピでは本場四川の味付けをなるべく再現できるように作っています。まぁ、材料が一つ二つ抜けても味は余り変わらないと思うので、まずは手に入るものだけで作ってみてください。

辛さの中にある真の旨味、ぜひ体験してください。
 

難易度:


調理時間:
30分以内

口水雞│よだれ鶏

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紅油湯』で作る本格四川料理シリーズ第三弾は当ブログでも人気料理の一つである『口水雞│よだれ鶏』です。

今まで紹介したよだれ鶏レシピの別バージョンはこちら→『口水雞│よだれ鶏』、『口水雞│本格よだれ鶏』。

今まで何度も紹介していますが、料理名にある「口水(よだれ)」とは、「一口味わっただけでよだれが垂れてしまう」という意味で、決して鶏や人間のよだれを調味料に使ったりしているわけではありません。これだけは絶対に忘れないようにしましょう(笑)。


日本ではかなり珍しい部類に入る四川料理にも関わらず、当ブログでも常に人気ランキング上位に入っている料理です。それだけ多くのファンがいるのでしょう。今回は『紅油湯』を使って作りますが、この部分を日本の調味料、例えば濃い目の出汁に置き換えて作ってもいいかと思います。

さて、料理名を見ていただけると判りやすいのですが、ニワトリを表す漢字が日本と台湾(繁体字)とですこし異なります。ニワトリを表す漢字は日本は「鶏」、台湾は「雞」、中国では「」と書きますね。

 もともと日本の「鶏」は「鷄」の字を簡略化したもので、「雞」は「鷄」と異体字の関係にあります。「」は「鷄」を日本よりも更に簡略化したものです。ちなみに韓国では「鷄│계」を使うので、漢字を使うアジア四カ国でそれぞれ「ニワトリ」を意味する漢字が少しずつ違うことになります。

まとめると…
 日本 - 鶏
 台湾 - 雞
 中国 - 
 韓国 - 
となります。

これら四カ国で日常的に使う漢字がそれぞれ異なるというのは結構珍しい現象です。漢字って面白いですね。

レシピを見ていただければ分かると思いますが、非常に簡単にあっけなく作れてしまいます。これでいいのです。これだけで四川料理の真髄を味わえてしまいます。未経験の人はぜひ一度あじわってみてください。

調理に使う『紅油湯』の作り方はこちら


難易度:


調理時間:
30分以内

観世音霊籤第五十六首 - 第六十首

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観世音霊籤百首

第五十六首 中平

澗小石粗流水響
力勞撐駕恐損傷
路須指出前江去
風靜潮平儘不妨

意訳:
澗小石粗流水響
状況は時につまづき、些事が流れを止める。

力勞撐駕恐損傷
強引に押し通ろうとしても傷つくだけだ。

路須指出前江去
その道に長けた人の導きを得るのだ。

風靜潮平儘不妨
そうして状況は落ち着き、物事は上手くいくのである。

説明:
小さな失敗や躓きが積み重なると、全体の流れが悪くなります。
そこを強引に押し通っても怪我をするだけです。
あなたがいる場所は今まで多くの人が通ってきた路です。
必ず先人の知恵と経験が役に立ちます。
ここはおとなしく人の意見を聞くときです。

故事:
范少伯泛舟五湖
祿山謀反

水煮牛肉│牛肉のピリ辛煮込み

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紅油湯』で作る本格四川シリーズ第三弾は『水煮牛肉│牛肉のピリ辛煮込み』です。四川料理のお店では必ずメニューに載っている定番中の定番料理ですね。

今回は牛肉を使って作る『水煮牛肉』を紹介しますが、豚肉を使えば『水煮肉片』、魚を使えば『水煮○魚(○は魚の名前)』、豆腐を使って『水煮豆腐』などの派生料理が同じ作り方で作れます。

台湾では普通レストランで食べる料理ですが、本場四川省では誰でも作れる家庭料理のようなものだそうです。日本で言う味噌汁のような料理なのでしょう。トウガラシの辛味、花椒の麻味、牛肉の旨味が熱々のスープの中で一体となっており、食べる人はこれぞ四川!という体験ができるでしょう。スープの濃さで辛さも調節できるので味の調節も容易です。


スープに大量の『紅油湯』を使うので、作りおきを忘れずに…というか、この料理のスープがそのまま『紅油湯』みたいなものです。筆者も大好きな四川料理の一つです。ぜひ挑戦してみてください。

調理に使う『紅油湯』の作り方はこちら。 
 

難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

観世音霊籤五十一首 - 五十五首

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観世音霊籤百首

第五十一首 上平

夏日初臨日正長
人皆愁惱熱非常
天公也解諸人意
故遣薰風特送涼

意訳:
夏日初臨日正長
夏の日は一年でもっとも長い。

人皆愁惱熱非常
人は皆暑さに苦労するものだ。

天公也解諸人意
そんな時天は人々の意を汲み、

故遣薰風特送涼
涼風を吹かせてくれるのだ。

説明:
今があなたの人生でもっとも長い苦労のときかもしれません。
しかしそんな時、天は決してあなたを見捨てません。
真夏に吹くさわやかな一陣の風のように、あなたにも気持ちのいい風を送ってくれるでしょう。
しかし安心は禁物です、まだ真夏は終わったわけではありません。
天の恵みに感謝しつつしっかりと気を引き締めていきましょう。

故事:
諸葛公隆中高臥
孔明入川

乾鍋肥腸│豚モツの激辛鉄鍋炒め

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昨日に引き続き本格四川料理シリーズ第二弾!『乾鍋肥腸│豚モツの激辛鉄鍋炒め』のレシピを紹介します。

豚モツとサヤインゲンをピリ辛のスープで味付けして炒めた料理で、台湾では熱炒の店などで食べられます。 サクサクのモツとサヤインゲンの食感、そして強烈な旨みと辛味が味わえる料理で、台湾ではサヤインゲンをエリンギやタケノコに代えたものも食べられます。

また類似料理に『乾鍋雞』もあるのでこちらも参照してみてください。同じように『紅油湯』を使っても作れます。

ビールや日本酒との相性は抜群です。ご飯のおかずに良し、お酒のつまみに良しの万能料理ですので、ぜひお試し下さい。

調理に使う『紅油湯』の作り方はこちら



難易度:


調理時間:
30分以内

觀世音霊籤第四十六首 - 第五十首

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観世音霊籤百首

第四十六首 上平

勸君耐守舊生涯
把定身心莫聽邪
直待有人輕著力
滿園枯木再開花

意訳:
勸君耐守舊生涯
今以上の発展を望むなら今までのやり方を変えてはいけない。

把定身心莫聽邪
心身を定めてこそ邪な意見が聞こえてこなくなるのだ。

直待有人輕著力
あなたに少しだけ力を貸してくれる人が現れるだろう。

滿園枯木再開花
そのとき前に踏み出せば何も問題ない。

説明:
今はこれまでのやり方を踏襲しましょう。
あれこれ方策を論ずるより、心身を落ち着けることが肝心です。
ヘタにあせって動いてもよいことはありません。
心身が落ち着けて手助けしてくれる人を待ちましょう。
自分ひとりの力ではなんともなりません。
今は待ち、守りの一手です。

故事:
趙韓王為村學究
渭水釣魚

紅油湯│紅油スープ and 紅油抄手│紅油ワンタン

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本日から数回に分けて本格的四川料理をいくつか紹介したいと思います。今日はその準備として『紅油湯│紅油スープ』という四川料理には欠かせない辛味調味料を作りましょう。

四川料理といえばまず頭に浮かぶのが「トウガラシ」。本場四川では日本人の一年分の量を一回の料理で消費してしまうこともしばしば。涙が出るほど激烈に辛い料理も多数あり、中国で本物の四川料理を食べると普通の日本人は泣いてしまう事も…。

1940-50年代には国民党の遷台と共に中国大陸からも多くの料理人が台湾に渡ってきました。その中にはもちろん四川の料理人も多数いたのですが、最初期は本場の香辛料が手に入らずなんとか台湾の材料だけを使って四川料理を再現しようと四苦八苦したそうです。このとき生まれたのが『五更腸旺』などの台湾風四川料理の数々。現在は流通と台中関係の改善などにより本場の材料が市場でも手に入るようになりましたが、それでも「青花椒(生の花椒)」などは台湾では見かけません。(Higene はなんとか手に入れて火鍋に入れたいと考えているのですが…。)

今日紹介する調味料は様々な料理に応用の利く辛味調味料で、明日以降紹介予定の『麻婆豆腐』、『乾鍋肥腸』、『水煮肉片』、『口水鶏』など、代表的な四川料理の味付けに使います。これらの料理は以前にも紹介したことがありますが、 今日紹介する『紅油湯』をつかって本格的に作ってみます。明日以降ぼちぼち紹介したいと思います。

『紅油湯』で作る『紅油抄手』の「抄手」とは四川重慶でのワンタンの別名。厳密には日本や台湾のものとは形が違うのですが、味はほとんど変わらないのでここでは余り気にせずに作ってしまいます。できた『紅油湯』を茹でたワンタンにかけるだけのお手軽料理です。辛いものが好きな方はぜひ材料を揃えてトライしてみてください。旨いですよ!

写真は紅油炒手。

難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

観世音霊籤第四十一首 - 第四十五首

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観世音霊籤百首

第四十一首 

無限好事君須記
恰如認賊作為子
莫貪眼下有些甜
可慮他時還受苦

意訳:
無限好事君須記
物事に絶対はない。

恰如認賊作為子
盗人を自分の子供として育てるようなものだ。

莫貪眼下有些甜
目の前のうまい話に飛びついたりはするな。

可慮他時還受苦
今までそれで失敗してきたのを思い出すのだ。

説明:
人には失敗のパターンというものがあります。
この籤はそれら過去の失敗から学べと諭してくれています。
いつも同じような異性に騙されたり、金を借り逃げされたり、
かわいいからとつい許して再び痛い目を見たり、
思い当たる節があるのではないでしょうか?
今こそその経験を糧にするのです。

故事:
董卓郿塢藏金
董卓收呂布

観世音霊籤第三十六首 - 第四十首

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観世音霊籤百首

第三十六首 上上

目前病訟不須憂
實地資財儘可求
恰好繫猿今脫鎖
得歸仙洞去來遊

意訳:
目前病訟不須憂
目の前の病気、訴訟は心配することはない。

實地資財儘可求
今できることだけをやるだけでいい。

恰好繫猿今脫鎖
手足の鎖をはずした猿の如く、

得歸仙洞去來遊
好きにやりたいことをやればいい。

説明:
辛く困難な時間はもうすぐ終わります。
手足を縛る鎖はもうすぐ消え去ります。
その後は自由に好きなことを行いましょう。
もう少しの辛抱だと教えてくれる当たり籤です。

故事:
劉先主進葭萌關
湘子遇賓
韓湘子遇到呂洞賓

蜜汁烤麩│麩の砂糖焼き

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本日は『蜜汁烤麩│麩の砂糖焼き』というちょっと珍しい料理のレシピを紹介します。サクサクに揚げた麩に砂糖を絡めた料理で、一般向けというよりは台湾で素食をする人たちのため料理です。お寺や素食レストランで食べられます。

手軽な植物性の熱源として禅宗の普及と共に広がった麩は、台湾のお寺では欠かせない食材です。というか台湾では素食料理以外で麩を使うことはほとんどありません。台湾の普通の人は食べたことすらないことがあります。料理方法なんて知らない人がほとんどです。特定の場所だけで食べられる珍しい食材といえます。

その他の中国各地、特に内陸部では麩を使った料理はたくさんあるのですが、台湾では仏教と共に300年ほど前に伝わって、そのまま寺内だけで使われる食材として定着してしまったものと思われます。普通の台湾人は麩を使ったお菓子や料理をほとんど口にしないため、日本訪問時に麩の料理を食べさせてあげるとびっくりしてくれますよ(笑)。

日本では生麩や焼き麩が主流ですが、中国では揚げ麩がほとんど。しかし台湾では例外的に焼き麩が主流なので、日本で簡単に再現が可能です。たまにはこんな不思議な料理はいかがでしょうか?


難易度:


調理時間:
30分以内

観世音霊籤第三十一首 - 第三十五首

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観世音霊籤百首

第三十一首 

清閑無事靜處坐
飢時吃飯困時臥
放下身心不用忙
必定不遭殃與禍

意訳:
清閑無事靜處坐
静かに座って安穏の時を過ごすがよい。

飢時吃飯困時臥
腹が減ったら飯を食べ、困ったときは横になるのだ。

放下身心不用忙
心身を開放し何もするな。

必定不遭殃與禍
それ以外に災いを避ける方法はない。

説明:
柔らかな書き出しのハズレ籤です。
あまりにもやさしい内容なので気楽に考えてしまいそうですが、その実恐ろしい内容を暗示しています。
何もするべきではありません。
何をしてもいけません。
ただ横になって時を待ちましょう。

故事:
達摩面壁
佛印會東坡

観世音霊籤第二十六首 - 第三十首

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観世音霊籤百首

第二十六首 平

上下傳來事總虛
天邊接得一封書
書中許我功名事
直待終時亦是無

意訳:
上下傳來事總虛
上から下から伝わってくる情報は全て中身がないものばかりである。

天邊接得一封書
天に一通の手紙が届くだろう。

書中許我功名事
それには私の功名が記されている。

直待終時亦是無
しかしその返答を待ち続けても何もない。

説明:
全ては意味のないものであるという籤です。
上司から、部下から言われるあらゆることは中身のない虚言に過ぎません。
あなたへの賞賛や功名も空虚なものであるのですが、幸い悪口や諫言もそうであるといっています。
上に提出されたあなたの成績はすばらしいものかもしれませんが、
 だからといって特に何があるわけではありません。
周りに左右されず、そして期待せず、自分を失わないことが大切です。

故事:
桓溫得殷浩書
鍾馗得道

京醬雞肉│鶏肉の京醤ソース炒め

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本日はオーソドックスな中華課程料理である『京醬雞肉│鶏肉の京醤ソース炒め 』を紹介します。以前紹介した『京醬肉絲│豚ロースの京醤ソース絡め』を鶏肉で作るバージョンで、家庭料理ならではの手軽さと美味しさが特徴です。

この料理で使う調味料の組み合わせを「京醬」といい、特に肉類やナスとの相性がいいようです。『京醬牛肉』、『京醬茄條』などの類似料理があります。日本の普通の家庭にはテンメンジャンを常備してないと思いますので、その場合は豆板醤と味噌などで代用して作りましょう。

かなり簡単に作れる上、とても美味しいので日本でもぜひ挑戦していただきたいと思います。付け合せのタマネギをネギやニラに替えてもいいでしょう。



難易度:


調理時間:
30分以内

燒南北│陜西風ごった煮

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本日のレシピは『燒南北│陝西風ごった煮』というちょっと珍しい料理の紹介です。

陝西省は古代の首都西安(唐、北漢など)などのある場所で、陝西料理は古代中華の宮廷料理の流れを引きます。内陸部にありますが、黄河の流域にあるため河を利用した海の幸(乾物)や黄河流域の肥沃な土地を使った農産物の料理が特徴だそうです。

実は台湾には数件の有名な陝西料理の店があります。台湾の友人が「陝西料理?何回か食べたけどめっちゃ旨いよ!」と紹介してくれたので、その店のレシピを手に入れてみました。かなり面白い料理があるので、いくつか紹介したいと思います。

料理名にある「南北」とは台湾で時々見かける「南北貨」のこと。東西と書けば中国語で「モノ」の意味ですが、果たして南北とは何のことでしょうか?


五行説に基づくと「東西南北中」は「木金火水土」にそれぞれ対応します。東西とは木と金、つまり日常的に使う金属と木製のもの、具体的には鍋、機械、農具や机、箸、家具などのいわゆる日用品を指します。南北は火と水、これは乾物や薬材などを指し、特に祭祀や病気のときに遣う非日常的でしかしないと困るものを指します。台湾のスーパーでは売り場の案内に南北貨の表記を見かけるので、気づいたら思い出してください。

というわけで、料理名にある南北とは乾物と医薬品(など)を指すのですが、ここでは干しシイタケを指しています。

狭西省の料理はスルメや干しシイタケなど、日本でも身近な材料で作れる変わった料理ばかりです。古代の宮廷料理の流れを汲む強烈な旨みも特徴です。ぜひチャレンジしていただきたいと思います。


難易度:


調理時間:
30分以内

椒麻豬肚│ピリ辛ガツ、豚の胃のピリ辛和え

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本日のレシピは『椒麻豬肚│ピリ辛ガツ、豚の胃のピリ辛和え』です。珍味として有名な豚の胃、ガツを野菜と和えて調理します。コリコリした食感がなんとも独特な四川料理です。

火を通した豚の胃を野菜と調味料で混ぜるだけという簡単料理なのですが、この豚の胃を調理するのがちょっと大変。普通の人はまず初めて扱う食材なので、この際処理の手順を覚えておくのもいいかもしれません。

中国では豚は神に捧げる供物として最も代表的なもの。道教の神様への信仰が始ったのと同じくらい古代から食用にされてきました。中国語でただの「肉」といえば豚肉を指すほどポピュラーな食材で、近代に入ってから食肉を始めた日本料理とは、調理方法も料理の種類も料理もかなりの差があります。

「足のあるものは椅子以外何でも食べる」といわれる中国人ですが、その足のあるものの中でもっとも研究され、味わい尽くされた食材はおそらく豚。今回は豚の胃を調理しますが、これ以外にも驚きの部位を驚きの調理法で美味しく料理にします。

台湾に訪れた際には、豚肉の調理方法にも注意してご飯を食べてみましょう。


難易度:


調理時間:
1時間以内

観世音霊籤第二十一首 - 第二十五首

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観世音霊籤百首

第二十一首 上吉

陰陽道合總由天
女嫁男婚豈偶然
但看龍蛇堪運動
熊羆叶夢喜團圓

意訳:
陰陽道合總由天
陰陽が和合協調し、天の定めがあるだろう。

女嫁男婚豈偶然
この調和は偶然などではない。

但看龍蛇堪運動
龍と蛇が相まって動き出す。

熊羆叶夢喜團圓
待望の男子がうまれる時が来た。

説明:
陰陽和合の当たり籤で、特に出産に関してご利益があることを示しています。
文にある龍と蛇は、十二支の辰年巳年、陰暦の三月四月、更には高貴な人と下賎な人を表します。
これらの時期にあなたの願いが叶うということです。
古来より男子の誕生は一族の悲願と考えられていますが、
現代風には待望のものがついに生まれる、やって来ると解釈します。

故事:
邵康節定陰陽
李旦龍鳳配合

観世音霊籤第十六首 - 第二十首

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観世音霊籤百首

第十六首 中上

攢眉思慮暫時開
咫尺雲開見日來
宛如汙泥中片玉
良工一舉出塵埃

意訳:
攢眉思慮暫時開
混迷の時はしばらくおちつくだろう。

咫尺雲開見日來
曇り空からも光が差す。

宛如汙泥中片玉
泥の中から宝の原石を見つけ出したら、

良工一舉出塵埃
専門家に任せて磨いてもらうことだ。

説明:
一時の安定や希望を示唆する籤です。
現状を打ち破るためのアイテムや機会が目の前に現れるかもしれません。
しかしこの安定や希望は一時的なもなので、自分で何とかしようとせず手に入れたものは専門家に委託して活用してもらいましょう。

故事:
明神宗要還活海瑞
葉夢熊朝帝

南瓜湯│カボチャスープ

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こんにちは、最近台湾の素食研究を始めてしまったHigeneです。もちろんHigeneは肉大好きなので、肉料理の合間にこそっと野菜だけの料理も紹介したいと思います。

本日はシンプルな『南瓜湯│カボチャスープ』を紹介します。ミキサーさえあれば非常に簡単に作れる、これからの季節にまさにうってつけの料理です。

以前も紹介しましたが、台湾の菜食主義者はそのほとんどが宗教上の理由によるもの。仏教の一派である斎教の人たち以外にも、キリスト教の考えから肉を食べない人もいます。キリスト教による菜食は、特定の曜日だけ菜食、基本的に菜食、完全に菜食、菜食以外は悪!などのさまざまなレベルがあり、台湾にも一部それらを実践している人たちがいます。

どんな主義をとっているにせよ、肉体的にも社会的にも健康・健全な食生活を送りたいものですね。

本日のスープは台湾の素食料理店では定番のカボチャスープ。これをベースにした鍋も美味いんですが、今回は紹介しません。これだけでもとても美味しいので何度もおかわりしたくなってしまう『南瓜湯│カボチャスープ』です。ぜひお楽しみください。


難易度:


調理時間:
30分以内

花椰蘑菇濃湯│カリフラワーとマッシュルームのポタージュスープ

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本日は野菜のみで作る『花椰蘑菇濃湯│カリフラワーとマッシュルームのポタージュスープ』のレシピです。肉を入れたい気持ちをぐっとこらえて(笑)、野菜(と牛乳)だけで作る菜食主義者のためのスープです。

中国語でカリフラワーは「花椰菜」といい、漢字が見事にその形態を表しています。カリフラワーの変種であるブロッコリーは中国語でもそのまま「緑花椰菜」といいます。実はカリフラワーの和名も同じ漢字で「ハナヤサイ」と読むのですが、知っている人はあまり多くありません。ブロッコリーの和名もそのまま「ミドリハナヤサイ」です。

今回はそのカリフラワーとジャガイモとマッシュルームを使って、ベジタリアン向けの真っ白なスープを作ってみましょう。鶏肉やベーコンなどとも相性がいいはずなので、いろいろとアレンジしてオリジナル料理を作ってみてください。ほっこり温まる美味しいスープです。



難易度:
☆☆

調理時間:
3時間以内

観世音霊籤第十一首 - 第十五首

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観世音霊籤百首

第十一首 上上

欲求好事喜非常
爭相姻親只暫忙
畢竟到頭成好事
貴人接引貴人鄉

意訳:
欲求好事喜非常
楽しいことを追及するのはとても喜ばしいことだ。

爭相姻親只暫忙
そのため近しい人たちはしばらく忙しくなるだろうが、

畢竟到頭成好事
時が来ればすべて丸く収まるはずだ。

貴人接引貴人鄉
目上の人の助けを借りてそれが成される。目上の人が集まる場所に行くのだ。

説明:
なんとも他力本願なあたり籤です。
好きなことをやってそれで近しい人に迷惑をかけるかもしれませんが、
最後には目上の人の協力で全てがうまくいくことを暗示しています。
他人の迷惑を顧みず、図太く行動できる肝の太さが試されているのかもしれません。
今の自分では手が届かないと思っていた場所に行き、手助けしてくれそうな人を探しましょう。

故事:
劉先主入贅東吳
書薦姜維

観世音霊籤第六首 - 第十首

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観世音霊籤百首

第六首 中平

投身巖下飼於菟
須是還他大丈夫
捨己也應難再得
通行天下此人無

意訳:
投身巖下飼於菟
自分を犠牲にし、他人のために尽くすこと。

須是還他大丈夫
必要なのはその他人であり、自分ではないのだ。

捨己也應難再得
このように自分を捨てる機会というのはたびたびあることではない。

通行天下此人無
それができる人は天下に多くはいないのだ。

説明:
己を捨てることができる人こそ、天下の英雄であると言っています。
全てを捨てた時にこそ物事の本質が見え、
またそのようなときに味方になってくれる人こそ真の友であるという風に解釈されます。
逆にそのような友や滅私できる人がいかに少ないかを嘆いている籤ともいえます。
まずは利他のみを考え、自分を犠牲にして他人に尽くしてみましょう。

故事:
藺相如完璧歸趙
仁貴遇主 

擔仔麵│台南式タンツー麺

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本日は『擔仔麵│台南式タンツー麺』のレシピを紹介します。以前も同名料理を紹介しましたが、少し作り方が違います。こちらの方が簡単かもしれません。以前のレシピはこちら

台湾の麺といえばこれ!台南発祥の伝統料理である『擔仔麵』を紹介しないわけには行きません。以前の記事には、コラムを書いていなかったのでここで改めて紹介したいと思います。


『擔仔麵』の擔仔とは台湾語で「天秤棒を肩に担ぐ」といった意味です。
『擔仔麵』の発祥は、伝説によると清朝末期の光緒年間、創始者は台南の洪芋頭(?)という人と言われています。現在もそうですが、台南は台風の進路に当たることが多く、7月から9月までは漁のための船を出せないことがしばしばありました。この時期の漁師たちの生活は困窮を極め、生計を立てられない人が多くいたことから「小月」と呼ばれていました。上記の洪芋頭もそんな漁師の一人で、小月のときは台南水仙宮の前で麺を売って生計を立て小月を凌いでいました。店の前には赤い提灯に自筆で「度小月擔仔麵」と書き、客を引いていたといわれ、これが現在に続く「擔仔麵」の始まりだといわれています。今でも伝統的な『擔仔麵』の店の前には赤い提灯が吊るされています。

現在では『擔仔麵』は総統府の国賓級のもてなしにも供される料理となり、中国共産党の全国代表大会でも指定料理になったことがあります。まさに台南市民の自慢の料理で、これからもより多くの国や地域で食べられるようになることでしょう。
日本のご飯茶碗くらいの小さな器に、こじんまりと装われた『擔仔麵』、どこかかわいらしく見えるこの麺料理には、台南人の思い出と哲学がぎっしり詰まっているのです。台湾旅行時には必ず味わっていただきたい台湾を代表する軽食の一つです。




難易度:
☆☆

調理時間:
1時間以内

観世音霊籤第一首 - 第五首

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観世音霊籤百首

第一首 上上

天開地闢結良緣
日吉時良萬事全
若得此籤非小可
人行中正帝王宣

意訳:
天開地闢結良緣
これは天を開き地を闢くよい時期である。

日吉時良萬事全
吉祥の時分であり、各種の条件は全て整っている。

若得此籤非小可
この籤を引き当てたのはすごいことだ。

人行中正帝王宣
正しい行いをしていれば、帝王からも声がかかるだろう。

説明:
この一番籤は天王籤とも呼ばれ、
あらゆる祈願の中でも特に王となれる運勢を示す最高の籤といわれています。
事業を行っているのならますます発展し、投資を行っているなら利益は増え、
政治的な地位はどんどん高まります。
各分野で王となる資質と条件が備わったという正真正銘の当たり籤です。

故事:
宋太祖黃袍加身
鍾離成道

龍山寺のおみくじ解説

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2016年8月31日 クジの引き方と解説のお願いについて追記

台湾旅行時の楽しみの一つといえば現地の有名な寺廟をめぐってのおみくじ引き。台北市の龍山寺や行天宮は人気の観光スポットの一つです。いろいろな神様にお参りして、願いを届けた後はその願いに対する神様からのお告げ、おみくじを引いて答えを得るのが定番です。


友人や観光ガイドにお参りの仕方を教わって、いざ籤を引いてみると、そこには難解な中国語がびっしり…。普通の日本人にはいったい何を書いてあるのやらさっぱりでしょう。これでは観光の楽しみも半減というものです。

そこで、甘口男では台湾の寺廟参拝を心行くまで満喫するために、有名なお寺の籤の解釈を日本語で公開することにしました。台湾の神籤には龍山寺の「観世音霊籤」や天后宮の「媽祖籤詩」など、いろいろなバージョンがありますが、主祀の神様が同じであれば別の寺廟でもほぼ同じおみくじを引けるのも特徴です。これで神様からの答えもばっちり!台湾のどこに行っても旅行をより楽しめますね。

まずは観光客が必ず訪れるという龍山寺の「観世音霊籤」の一首から百首までを紹介していきます。観音菩薩を祀っているほとんどの寺廟で類似の籤を引けますので参考にしてください。お楽しみに!

龍山寺についての詳しい解説はこちら

【文化・民俗】 艋舺龍山寺

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艋舺龍山寺

艋舺とは万華の古名で、龍山寺は台北市で最も古い寺廟である。台湾を最早期に開拓した漢人たちが、開墾の安全を祈願するために福建省泉州の晋江、南安、恵安の三地の祖神を合祀して1738年に設立した[1]。同年台北北部で疫病が流行し、病魔を追い払うために、福建省晋江県安海龍山寺の観世音菩薩を分霊して祀るようになったのが龍山寺の始まりといわれている。現地の民間信仰の中心であるだけでなく、議事、訴訟、試験などの祈願をするため台湾全土から参拝客がある。
1884年、清仏戦争でフランス軍が基隆市を占拠したときに、当時の名士たちが義勇軍を組織し、陳情書を作成し龍山寺の公印を受けて時の大臣[2]劉銘傳に共闘を直訴した。清国軍は義勇軍と協力しフランス軍の撃退に成功し、当時の皇帝から「慈暉遠蔭[3]」の額を贈られている。
最初期の龍山寺は精緻な彫刻の施された雄大な建築であったとされるが、1815年に地震により倒壊、再建される。1867年には台風により再び倒壊、修復されている。大正8年(1919年)にシロアリ被害により建造物が被害を受けるが、当時の住職である福智大師が率先して寄付を行い、寺院の改築に成功した。

第二次世界大戦時(1945年)、空襲により中殿が全損する。当時の住民は中殿にある菩薩像の蓮台の下に隠れて空襲を避けていたが、奇跡的に蓮台は残り、空襲による死者は出なかった。住民はこれにより観世音菩薩への信仰を更に篤くしたという。1955年に再建された龍山寺は現在も艋舺住民の精神的支えとして日々参拝に訪れる人が絶えることはない。

龍山寺は南向きに建てられ、格子状をしている。中国古典三進四合院の宮殿式建築に則っており、前殿、正殿、後殿、左右の護龍により構成される。前殿は三川殿、龍門殿、虎門殿に分けられる。三川殿の前には台湾ではほとんど見ることのできない銅製の一対の蟠龍柱[4]がある。壁には三国演義[5]と封神榜[6]などをモチーフにした彫刻が施されており、教育的な意義にも富んでいる。正殿は歇山重簷式[7]であり、四面には合わせて42本の柱で構成されている。壁には古今の著名な書家による石刻がある。殿内の螺旋藻井[8]は釘一つ使わない木組みのみで作られている。後殿には儒教、道教の神が仏教の神とともに祀られており、祀られている神の総数は100柱を超える。左右の護龍にはそれぞれ鐘楼と鼓楼が配されており、明け方には鐘を撞き、夕暮れには鼓を鳴らして時を告げる。龍山寺の太鼓は実は日本統治時代の台北神社[9]に奉納されていた物。終戦後台湾省立博物館に寄贈され1949年に龍山寺に貸し出しされていたが、紆余曲折[10]を経て現在も龍山寺に置かれている。屋根には鳳凰や麒麟などの吉祥のモチーフが数多く飾られており、色彩華麗にして彫刻精緻、台湾剪粘芸術[11]の精華といわれる。

龍山寺には観世音霊籤と呼ばれるおみくじがある。内容の解釈はこちら


[1] 三箇所各地の祖神は1709年にそれぞれの廟が建てられている。
[2] 欽差大臣、皇帝の全権委任を受けて特定の目的のために臨時で任用される大臣のこと。劉銘傳は台湾防衛の任についていた。同時期の欽差大臣に左宗棠(フランスとの講和担当)や李鴻章(日清戦争の講和担当)などがいる。
[3] 「観世音菩薩の慈愛と輝きがはるか遠くまで覆いつくしている」の意味。正殿正面に飾られている。
[4] 未だ昇天していない天に上る途中の龍。
[5] いわゆる三国志の物語。
[6] いわゆる封神演義の物語。
[7] 中正紀念堂にある台北国家音楽庁もこの建築様式である。
[8] 天井にある螺旋()状のモチーフ、龍山寺の前殿にも十二角形のものがある。天地陰陽を表し、それぞれの廟で意匠が異なるので、比べてみるとよい。
[9] 太鼓には「奉 皇紀二千六百年 臺灣技術協」の銘が刻まれている。本来大正15年に奉納するはずだったが、実際の奉納は後年であった。
[10] 国民党軍の遷台による博物館所蔵担当者の更迭や返却起源直前の龍山寺の担当者病没などにより所在と所有者が曖昧になった。現在は博物館より無期限貸し出し扱いとされている。
[11] 西洋のモザイクに近いもので、成形彩色した陶片を組み合わせて作る芸術作品。

照焼素鰻魚│照焼き風ベジタリアン鰻巻き

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本日のレシピは『照焼素鰻魚│照焼き風ベジタリアン鰻巻き』です。料理名に「鰻」と入っていますが、湯葉と海苔で作る台湾の「素食」の一種で、肉を一切使わずに作ります。

この「素鰻魚」 はきちんと作ると本物の鰻と区別ができないほどの食感と味になり、日本でも多くの料理本や料理漫画で紹介されています。今回はその簡易版を作ってみることにしましょう。

以前も紹介したように人口の10%が菜食主義者である台湾ですが、これらは主に宗教的理由からであるのはご存知のとおり。台湾では通常の仏教(臨済宗と曹洞宗がほとんど)のほかに、齋教(斎教)と呼ばれる菜食主義を追求する宗派が有ります(厳密に言えばきちんとした教義があるのですが、難しすぎるので分かりやすく書いています)。菜食主義をとることから「菜教」などと呼ばれることも有ります。彼らの集会所は齋堂(菜堂)と呼ばれて、定期的に集会を行います。台湾の各所にある普通の寺や廟とは少し毛色が違うので普通の観光客はまず縁のない場所です。

主なものに龍華、金幢、先天の三派があり、同じ宗派の人を「菜友」と呼んでお互いに助け合うことを信条としています。仏教の一派なのですが、冠婚葬祭のときはこの菜友がお経を読むなど仏教とはすこし違った習慣で生活します。特に戒律の厳しい龍華派は菜友の紹介以外では入会できず、菜食主義も非常に厳密に行うのが特徴ですが、それ以外の緒派はわりと戒律がゆるいので、時々肉を食べる人もいるようです(本当はダメなんですが…)。

齋教の人々は在家して通常の職に付いているのが特徴なので、一見普通の人と見分けは付かないのですが、一緒に食事をすると一発で分かります(笑)。普通の仏僧はお寺で食事をすればいいのですが、在家の齋教の信者は街中で食事を取らざるを得ません。というわけで、台湾には街中いたるところに素食のレストランがあるのです。もちろん普通の人も入れます。興味があれば旅行時に台湾の素食を味わってみましょう。


時には肉を超えるような味と食感の料理が登場する台湾の素食。今回はその玄関先の呼び鈴を押すくらいまででしょうか。湯葉があれば簡単に作れますのでぜひ挑戦してみてください。きちんと作ると食感は本物の鰻と変わらないように作れます。流石に食べると分かりますけどね(笑)。


難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

番茄燒豆皮│トマトと湯葉のケチャップ炒め

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本日は『番茄燒豆皮│トマトと湯葉のケチャップ炒め』のレシピを紹介します。食材と調味料の品質が味を決めるシンプルながらも奥の深い料理です。

さて、中国語ではトマトを「番茄」といいます。「茄」の字は茄子の茄で分かりますが、では「番」とはどういう意味でしょうか?「番」とは外来を意味する「蕃」のを簡単に書いたもので、トマトも古くは「蕃茄」と書きました。他にも番石榴(グァバ)、番薯(サツマイモ)などの例があります。

台湾では古くは原住民を蕃人と呼んでいましたが、これは王朝に帰属しない外部の民という意味です。東夷、北狄、西戎、南蛮でいう南蛮の「蛮」と「蕃」は同じ意味です。

トマトは古くは有毒と考えられ、教会により食べるのを禁止されていたりしましたが、今では世界中で食べられています。 

ちなみにトマトを意味するイタリア語 pomodoro は黄金のリンゴという意味で、ギリシャ神話ヘスペリデスの黄金のリンゴの物語に関連があると考えられています。教会により禁止されていたのはこれが原因です。詳しくは「ヘスペリデス」や「黄金のリンゴ」などで検索してみてください(笑)。

トマトの語源は最初期に食用に用いたアステカ民族たちが「トマトゥル」と呼んでいたのが訛ったもの。トマトゥルはもともと「膨らむ果実」の意味で食用のホオズキの名前として使われていましたが、形の似ているトマトも同じ名前で呼ばれていました。これが現在のトマトの名前の由来だといわれています。

トマトもなかなか苦難の道を歩んで来たようです。美味しく調理してあげましょう。

完全に野菜のみで調理する素食の一種です。




難易度:


調理時間:
30分以内

涼拌黃瓜│中華キュウリサラダ

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本日のレシピは『涼拌黃瓜│中華キュウリサラダ』です。定食屋で小鉢に乗っている、自分で選ぶ「小菜」の一種で、家庭でも非常に手軽に作れるので家庭料理としても人気が有ります。

市内各所の有名レストランでも人気メニューの一つらしいので、台湾旅行時に食べたことのある人も多いことでしょう。台湾を訪れる日本人に人気の小菜の一つです。

さて、台湾の市場で買い物をしたかたはご存知でしょうが、台湾のキュウリは大型で棘がありません。近年日本と同じように細くてとげのあるものも出回っていますが、やはり大型でとげのないものが栽培の主流です。
細くてとげのあるキュウリ北方系と呼ばれ高緯度地域で栽培され、福建や台湾など南方のキュウリは大型でとげのないものが多いのです。これは品種と栽培に適した気候の違いによります。

中国ではもともと日本と同じように「胡瓜」と表記していましたが、現在は「(小)黄瓜」の表記が普通です。キュウリはもともとインドが原産で、西漢(BC200年ほどの時期!)の時期に張騫という人が中国に持ち帰ったものといわれています。伝来後しばらくは胡瓜と呼ばれていましたが、隋煬帝(AD600年)が胡人を忌み嫌っていたので、黄瓜と名前が変わりました。(「胡」の字に関してはこちらの記事を参照。)日本に伝わるのはこの「胡瓜」の表記が使われていた時期ですね。

 この頃の胡瓜は南方系の大型で棘のないもの、その後シルクロードを経由して小アジアから北方系の物が伝わるまでは、完熟させて食べるのが一般的でした。それでも現在のようにおいしく生食できるようになるのは江戸時代後期以降の品種改良を待つ必要があります。普通に食べられるようになったのはわりと近代に入ってからなんですね。

生食に漬物に加熱用にと現在はさまざまな料理の分野で活躍するキュウリ。ほとんどの野菜は国が違えば品種が変わるので、海外旅行時は野菜の品種や味の違いにも注意して料理を楽しむのもいいかもしれません。



難易度:


調理時間:
一瞬

肉羹湯│肉かまスープ

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本日は『肉羹湯│肉かまスープ』のレシピを紹介します。『天婦羅』から続く魚のすり身シリーズもこれで大団円を迎えます。ぜひ一度作ってみてください。

昨日も書きましたが、『肉羹』は『肉焿』とも書き、豚の赤身に魚のすり身(など)を衣にして作る食べ物。『肉羹湯(肉焿湯)』は台湾の伝統的な軽食で、とろみのあるスープに各種の野菜と茹でた『肉羹』を入れて食べる料理です。

派生料理として『羊肉羹』や『蝦仁羹』、『花枝羹』などがあり、どれも夜市の定番料理として有名です。機会があれば食べてみましょう。

「羹」の字自体は「項羽と劉邦」の時代以前にまで遡ることができる料理で、もちろん当時は現在とは製法が異なるでしょうが、非常に長い歴史を生き抜いてきた料理と言えます。

さて、日本人なら羹の字を見ればすぐに『羊羹』を想像してしまいますが、これは先ほど紹介した『羊肉羹』とは関係がないのでしょうか?

気になったので調べてみると、もともと『羊肉羹湯』を冷やしてデザートとして出していたものが、日本に伝わり、改良されて『羊羹』になったというのが有力な説のようです。日本では仏僧により室町時代に伝わったそうですが、肉食を禁じられていたため、羊肉の変わりに小豆を使うようになったそうです。

なるほどやっぱり『肉羹』と『羊羹』には何らかの関連があったようです。というわけで、日本の『羊羹』に形が変わる前の『羊肉羹』。その原型である『肉羹湯』にぜひ挑戦してみましょう。美味しいですよ!

ちなみに台湾では日本統治時代に伝わった『羊羹』が蘇澳の名物として売られています。


難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

炸肉羹│台湾風肉かまぼこ

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本日は昨日の『天婦羅』から派生する料理である『炸肉羹│台湾風肉かまぼこ』のレシピを紹介したいと思います。いわゆる『肉羹』を油で揚げた料理で、『天婦羅』とはまた違った食感を楽しめます。

実は以前より『肉羹』は作れますか?と問い合わせをいただいていたのですが、ちょっと作り方が特殊なため、なかなか紹介できずにいました。『肉羹』は『肉焿』とも書かれ、独特の食感を持つ台湾伝統の食材です。

清朝時代の最初期のものは糸状に切った豚肉をあんかけスープに入れて食べるだけの質素な料理でしたが、時代が進むにつれて現在のような独特の食感を持つ物に進化します。今回は魚のすり身をまぶして作りますが、もともとは豚挽き肉を赤身にまぶして食べる作り方が主流です。豚挽き肉で作る場合も魚のすり身で作る方法と同じなので、興味があればどちらも試して見ましょう。

筆者はプリプリ感のある魚のすり身で作った『肉羹』の方が好みです。

さて、このシリーズ、種明かしをしてしまうと明日はみんなお待ちかねの『肉羹湯』になります。これまた台湾を代表する軽食といえる『肉羹湯』ですが、ついに日本で作れる日がやってきました(笑)。ぜひ挑戦して下さい。

材料にある魚漿の作り方はこちら



難易度:


調理時間:
1時間以内
 (魚漿の調理時間含まず)

天婦羅│台湾式てんぷら

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本日は『天婦羅│台湾式てんぷら』のレシピを紹介します。日本では地域によってさつま揚げなどと呼ばれる、魚肉を使ったてんぷらを一から作ってみましょう。ちなみに今日から2-3日はこのてんぷら魚肉を使った料理シリーズになります。最後はなんと「あの料理」になります!お楽しみに。

台湾では「天婦羅」と書いて「Tian fu luo」と読み、そのまま日本のてんぷらを意味します。日本統治時代に台湾に伝わった食べ物で、今もそのまま軽食の定番として受け入れられています。特に基隆夜市のものが有名です。

作り方さえわかってしまえば実際に作るのはそれほど難しくないので、ぜひとも挑戦していただきたいと思います。冷凍ではない新鮮なてんぷらは噛むと魚の旨みが口内に広がり、冷凍とは違う本物の美味しさを味わえます。



難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

客家小炒│客家炒め

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本日の料理はみんな大好き客家料理から『客家小炒│客家炒め』のレシピを紹介します。以前紹介した同名料理とはすこし作り方が違うので比べてみてください。

今までたくさんの客家料理を紹介してきましたが、ここで台湾の客家についておさらいしておきましょう。明末から清初期にかけて台湾に移住してきた漢人の出身地は大きく分けて福建省泉州、福建省漳州、広東省潮州、広東省恵州に分けられます。比率で分けると泉州45%、漳州35%、広東省がまとめて16%、そしてその他となっています。この広東省出身の16%の人々が、いわゆる客家人です。

客家の人々は他民族の文化と容易に混合せず、現在に至るまで台湾で独自の文化を育んできました。もともと台湾料理とは上記泉州と漳州の人々が伝えた福建料理がベースになっていますが、この広東省の人々が伝えた客家料理も立派な台湾料理なのです。当初「泉港、漳中、粵(広東)山」といわれたように、それぞれの地域出身者の定住先はほぼ決まっていました。時々苛烈な民族間の衝突を起こしながらも、移住者たちは台湾を開拓していくのです。その後日本による統治、国民党の遷台などの大きな変革を経験し現在の台湾につながります。

さて「粵(広東)山」といわれたように、当初客家人が移住してきた先は山間部や農耕に適さない土地ばかりでした。現在の新竹や苗栗などの山間地域がこれにあたります。これらの場所で客家の人々は茶葉の栽培や樟脳の採取、そして木工や彫金などで生計を立て、時に原住民らと交易を行いながら生活してきました。台湾に適応しながらも独自の文化を守り続けてきた客家の人々は、その料理にも福建省の料理とは異なる独自の哲学を感じさせます。しかも美味しい!

今回紹介する『客家小炒』は客家料理を代表する料理の一つです。客家料理のレストランだけでなく熱炒店でも食べられるほど台湾に浸透しています。台湾旅行時にはぜひ味わってみてください。




難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内+下準備半日

レシピ本販売開始!

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アマゾンで「日本で作れる台湾料理のレシピ集」の販売が始まりました。

オンライン書籍ですので、Kindleはもちろん、Android、iPhone、PCなどで読めます。

甘口男で使える割引コードも付いているので、
火鍋や漢方薬など甘口男でショッピングをする方は、
本を購入した方がお徳です。

第二集以降も続々計画中!ご期待下さい。





蒜味蒸魚│スズキのニンニク蒸し

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本日は『中餐丙級證照』シリーズから『蒜味蒸魚│スズキのニンニク蒸し』のレシピを紹介します。ニンニクチップで香りをつけて蒸したスズキですが、他の魚でも応用できそうです。

時に60cmを超えるほど大きくなるスズキは、蒸し器に入りきらないこともしばしば…。そういう時は思い切って切り身で作りましょう。余った部分は『清蒸檸檬魚』や『椒鹽鱸魚塊』などを作っていただければと思います。

さて、今年5月10日に『日台漁業協定』が発効されてから数ヶ月。台湾側では多くの魚の漁獲量が昨年比で数割アップするなど、一定の効果が出ているようです。ところがこの協定、漁獲高などの細かいルールが策定されていないまま発効されたため、 発効後も奇妙なことばかり起きているようで、よくわからないことになっています。台湾との協定のはずなのに中国の漁船が操業していたり、ルール策定を急ぐ日本に対して対話の先送りを示唆したり…。既に十数件の台湾漁船が違法操業で拿捕される事件も起きており、沖縄漁民は複雑な心境のようです。

共同水域内には尖閣諸島がすっぽり収まっているため、なんとも平和裏に操業して、美味しい魚を家庭に届けてほしい物です。

では、レシピいって見ましょう!


難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

 
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