難易度:☆ 調理時間:2時間
陕西省西安の伝統料理『油鍋盔│西安パン』のレシピを紹介します。小麦粉と五香粉を混ぜて発酵させて焼くパン料理で、非常に長い歴史を持つ料理です。そのまま食べてもいいですが、中に野菜や肉類、各種ソースを挟んで食べると美味です。
類似の料理は中国各地に点在しますが西域から伝わった『油鍋盔』が最も古いとも言われています。ご存知『月餅』はこの料理が元になっているのだとか。特に西安で盛んに食べられるので『西安油鍋盔』とも呼ばれます。この料理は「陕西八大怪」の一つ「锅盔像锅盖(鍋蓋サイズの锅盔)」にもなっており、店によっては直径1mほどの『油鍋盔』を注文することができます。
長安、京兆などと呼ばれた西安は古来様々な中国の王朝の都として栄えたのは我々日本人もよく知るところです。先史時代まで含めると100万年の人類居住の歴史があるといわれ、7000年(!)前には城郭が築かれていたことが分かっています。人類最古の都市のひとつです。また古代はシルクロードの基点として西洋から多くの文物が流入し、各時代で文化的にも世界最高の水準にありました。今の北京や南京が文化的に世界最高水準にあるかというとかなり疑問ですが、古代の西安は確実に世界最高の都市だったのです。往時は相当賑やかだったことでしょうね。
西安とは西の都の意味で、これまた多くの王朝の都が置かれた洛陽(湖北省)からの方角を示しています。北の都が北京、南の都が南京です。中国にも東京があり、これは開封の別名となっています。
古過ぎていつごろから食べられているかもはっきりしない料理『油鍋盔』を日本でも作ってみましょう。そのまま食べるとかなりの水分を持っていかれます(笑)。
[材料]
薄力粉 ……… 500g
酵母 ……… 7.5g
ゴマ ……… 適量
温水 ……… 300cc
[調味料]
五香粉 ……… 小さじ1/4
塩 ……… 小さじ1-2
[作り方]
1.酵母を少量の温水に溶き、10分ほど置く。ボウルに薄力粉をふるい入れ、酵母水と残りの温水、五香粉を加えて全体が均一になるまで捏ねる。混ざったらラップか濡れ部金をかぶせて2時間ほど発酵させる。
2.生地が二倍ほどに膨らんだら好みの量のゴマを加えて更に捏ねる。
3.空のフライパンに生地を載せ、生地を厚さ3-4cmほどに平たくならして生地の量を調節する(→Point参照)。
4.熱したフライパンに薄くサラダ油(分量外)をひき、作り方3の生地を載せる。生地を載せたら生地に箸を突き刺して空気穴を10箇所ほどに開ける。片面が軽く焦げたらひっくり返し、両面に軽く焦げ目がつくまで焼く。火が通ったら取り出して食べやすい大きさに切り分けて完成。
Point!
余った生地は同じように円形に成形して焼きます。弱火で加熱するので生地が厚すぎると中まで火が通りません。気をつけましょう。
五香粉の代わりに大さじ1-2ほどの緑豆粉を加えることもあります。この料理は五香粉で作るので正確には『五香鍋盔』、緑豆で作ったものを『苦豆鍋盔』といいます。また焼くときに油の量を増やして表面をきつね色に揚げたものを『油鍋盔』、このままのレシピのものをただ『鍋盔』と呼び分けたりもしますが、全部まとめて『油鍋盔』です。
0 コメント :
コメントを投稿