地瓜球│サツマイモボール

地瓜球│サツマイモボール

本日はリクエストいただきました『地瓜球│サツマイモボール』の紹介です。台北各所の夜市場にて一人分30~50元で購入できます。爪楊枝で刺して歩き回りながら食べられるので、『豆乳雞』や『月亮蝦餅』のように、夜市場の散策中にはぴったりの料理なのです。

今回紹介するのはサツマイモを衣に練り込んで作るレシピです。他にもふかしたサツマイモを餡として衣に包んで揚げる方法もあります。別名を『QQ蛋』と言うそうですが、ほとんど死語になっているようです。

外はサックサク、中はモッチモチで、ほんのり甘い台湾定番の軽食です。調理には「地瓜粉」というサツマイモデンプンを使用します。おそらく他のデンプン粉では食感が大きく異なってしまうため代用品で作るのは難しいのです。というわけで、なんとかサツマイモデンプンを日本で手に入れる方法を探しましたが、その過程でサツマイモ調理に関するうんちくも見つけたので以下にまとめておきましょう。

ここから少々理科的なことを記載することになりますが、サツマイモを調理する上で非常に大切なことです。焼き芋が好きな方は目を通して置いてください。

まず、サツマイモとジャガイモの違いです。サツマイモの漢名は甘藷│かんしょ、ジャガイモの漢名は馬鈴薯│ばれいしょですね。お気づきになりましたか?イモをあらわす部分の漢字が違います。これはイモになる植物の部分が異なることを示しているようです。ちなみにサツマイモは根、ジャガイモは茎が発達したものですね。ちなみにサトイモは茎、ヤマイモは担根体の部分がイモになり、それぞれデンプンの種類が異なります。

このイモの違いがそれぞれのデンプンの性質の違い、ひいては味や風味の違いとなり、調理に大きく影響してきます。

さらに理科的な話をします。サツマイモを加熱すると甘くなるのは、βアミラーゼという酵素によりデンプンが分解されマルトースという糖を生成するからです。デンプンを分解するためにはまずデンプンを糊化(α化)する必要があり、サツマイモの場合はこの温度が65-80度ほどになります。そしてサツマイモのβアミラーゼはなんと70度以上で効果を失ってしまうのです。

 サツマイモを食べるためには65-80度に加熱してデンプンを糊化する必要がありますが、甘みを引き出すためには70度以下でなければなりません。そう、サツマイモを甘く甘く作るには65-70度の温度をできるだけ長時間保つ必要があるのです。同じサツマイモを調理しても石焼き芋が、家で作るものより甘い理由が分かりましたか?

中学理科の授業みたいになってしまいましたが、これがサツマイモ調理のポイントです。68度を数時間保てとは言いませんが、サツマイモを調理する時はできるだけじっくりじんわり過熱して甘みを引き出してください。落ち葉焼きか蒸すのが一番簡単です。

さて、そのサツマイモのデンプンを取り出した「地瓜粉」ですが、このブログでいままで紹介した多くの料理にも実は使われています。日本では手に入れにくいためほとんどが片栗粉などに置き換えてレシピを紹介していますが、『地瓜球│サツマイモボール』だけはどうしても置き換えが難しいのです。というわけで今回のレシピには「サツマイモデンプン」が初登場します。

そしてついに見つけました!日本でもサツマイモデンプンが手に入ります。そう、「わらびもち粉」として大手スーパーで売られているものが、実はサツマイモデンプンそのものなのです。原料のサツマイモの品種が違うため「地瓜粉」とまったく同じものにはならないと思いますが、日本で作るならこれを使うほかないでしょう。なんとかわらびもち粉を手に入れてください。(余ったわらびもち粉は鶏肉にまぶして『雞排』などを作ればいいと思います。)

アマゾンでも売ってました。リンク先は1kgですが、200gだと150円くらいで手に入るようです。安いですね。これなら他の料理もサツマイモデンプンで作れる…かも。

それでは、本日は台湾夜市場の友、『地瓜球│サツマイモボール』のレシピです。台湾では限りなく簡単な料理なのに、日本で作ろうとするととたんに難易度が跳ね上がる料理の典型です。材料探しが苦にならない方は挑戦してみてください。



難易度:
☆☆

調理時間:
30分以内

材料1:
サツマイモ ……… 200g

材料2:
米粉 ……… 50g
わらびもち粉 ……… 15g
砂糖 ……… 25g
ラード ……… 20g

調味料:
塩コショウ ……… 少々

作り方:
1.サツマイモを蒸し、すりつぶす。

2.作り方1のサツマイモと材料2を混ぜ合わせ、サツマイモ餡を作る。

3.サツマイモ餡をまな板の上で転がして細長く延ばし、適度に等分して手のひらで丸める。

4.110度前後に熱した油に作り方3のサツマイモ球を入れ、浮かび上がってきたらよくかき混ぜながら一度スプーンの裏などでつぶして中の空気を抜く。再び膨れ上がってきたらとりだして、キッチンペーパーなどで油を切って完成。


Point:
サツマイモをふかすときは、コラムにあるように低温からじっくり長時間かけて加熱してみてください。味が変わります。

中にふかしたサツマイモの塊を入れて作る方法もあります。この場合揚げる時に浮いてこないことがあるので、気をつけましょう。

あまり大きく作らず、直径3-4cmほどの一口サイズで作りましょう。

揚げる時に一度つぶして中の空気を抜かないと出来上がったあと冷えるとつぶれてしまいます。

甘い料理ですが、揚げたてに少量の塩コショウをまぶして食べても美味です。
 
台湾では紫のサツマイモで作った『地瓜球』もあります。紫芋が手に入る方は挑戦してみてください。




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