冰心芝麻骨│北京風豚の骨付きから揚げ

難易度:☆ 調理時間:1時間以内
北京料理から『冰心芝麻骨│北京風豚の骨付きから揚げ』のレシピを紹介します。豚の竜田揚げに砂糖ベースの甘いソースと白ゴマをまぶした料理です。外はパリパリサクサク、中はジュワーの中華料理をお楽しみ下さい。

この料理をはじめ、中華料理ではよく氷砂糖を使います。今回の料理はカラメルを作るのに使いますが、台湾料理などでは『滷味』などの煮込み料理で使うことが多いようです。その理由を考察してみました。

氷砂糖は普通のグラニュー糖と比べてその大きさ(表面積の小ささ)から、水への溶解速度が遅いという特徴があります。そのため煮物の具と一緒に氷砂糖をスープに入れた場合、氷砂糖が溶け切っていない最初の時間は具の浸透圧の方が高くなり、周辺のスープを具の中に引き込む働きが生まれます。通常はスープの具といえば野菜や肉類なので、細胞膜を透過する低分子、水分子やアルコール分子だけが具に染み込んでいき、この時具は水分を吸って膨張します。スープの温度が高ければ具の芯まで火が通り、具の中にある水溶性の成分が水に溶け出します。ここまでが第一段階。

続いて氷砂糖がスープに溶け出してくると、浸透圧の平衡がスープ側に傾き、今度は具の中にあった水分が中に溶け出した各主成分と共にスープの中に戻ってきます。細胞膜は加熱によって変性しているので、中の成分も溶け出してきやすくなっています。また具の中にあった水分が失われていくので一度膨張した具は元のサイズより小さく縮んでしまいます。素材の旨みがスープに溶け出してくる段階です。これがスープと具の浸透圧が平衡になるまで続きます。これが第二段階。

中華料理ではこの第二段階後半のスープが具とスープを味わう最適なタイミングとされます。

『肉じゃが』のようにスープを更に煮詰め、ジャガイモやダイコンなどに吸わせて味を付けるといった調理方法もあります。中華料理では「燜」という技法ですが、台湾料理ではほとんど用いられません。

温度が違うだけで果実酒や多くの薬酒で氷砂糖を使うメカニズムもほぼ同じです。

材料に火が通ればいいだろうと思って煮込み時間を短くしてしまうと、素材の旨みが溶け出していない味気ないスープを飲むことになってしまいます。素材(やそれらの旬)と加える調味料の量ごとに第二段階が平衡に到るまでの時間が少しずつ異なるので、これらを見極めることが同じ料理でも腕の差となって表れてくるわけです。(厳密に細胞膜の厚さや調味料の濃度、温度などを変数にして数学で求められると思いますが…分子ガストロノミーでそこまでやった研究は見たことがありません…。)弱火で30分煮込むのか中火で15分煮込むのか。食材を投入する順番や切り方などほとんどのレシピにはしっかりとした理由があるのです。家庭科の授業でこういったことを教えてくれれば料理に興味を持つ学生も増えるかもしれませんね。

一流シェフと呼ばれる人たちが書いたレシピにはこういった技が行間に隠されていたりするので、レシピを手にした方はまずはアレンジを加えずに一度レシピ通りに作ってみることをお勧めします。大御所と呼ばれる人が監修したレシピ本よりも、掛け出しの料理人が自分で書いたレシピ本の方が調理方法がしっかり書かれていたりします。料理好きな方でレシピ本を時々購入するという方はその辺もチェックのポイントに加えてみてください。

それではレシピです。今回の料理は煮物ではありません。

[材料]
骨付き豚バラ肉 ……… 450g
白ゴマ ……… 30g片栗粉 ……… 30g
水 ……… 400cc

[調味料]
塩 ……… 小さじ1/2
氷砂糖 ……… 150g
酢 ……… 小さじ1/2

[作り方]
1.骨付き豚バラ肉を一口サイズに切り分けてボウルにいれ、塩を振り混ぜた後、大さじ1の水(分量外)を加えて全体に馴染ませる。20分ほど漬け置いたら表面に片栗粉をまぶしておく。

2.鍋に揚げ物油を160度に熱し、作り方1の骨付き豚バラ肉を3分ほど揚げた後取り出して油を切っておく。続いて鍋の温度を180度まで上げ、取り出しておいた骨付き豚バラ肉を再び投入し、10秒ほど揚げて衣がサクサクになったらすぐに取り出して油を切っておく。

3.フライパンで白ゴマを香りが出るまで煎る。

4.鍋に水と氷砂糖を入れ、弱火で140度前後までゆっくりと加熱しながら氷砂糖を溶かす。砂糖水の表面が泡だったら塩ひととつまみ(分量外)と酢を加え、すぐに全体をかき混ぜる。続いて作り方2の骨付き豚バラ肉を加えてソースを表面にからませたら、作り方3の白ゴマを振りかけて完成。

Point!
盛りつける器の底に新鮮なレタスの葉などを敷いておくとよいでしょう。

市販の煎りゴマを使えば、作り方3は必要ありません。

鶏肉で作ると『冰心芝麻炸雞』という料理になります。

豚バラ肉を二度揚げするのがコツです。火を通しすぎて肉が硬くなってしまわないよう温度と加熱時間を守りましょう。


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