難易度:☆☆ 調理時間:30分以内
四季の薬膳第三弾は秋の『枸杞核桃仁雞丁│鶏肉の枸杞とクルミ炒め』です。
立秋から立冬までの秋は、中医学では陽気が収まり、陰気が増え始める季節。中秋を境に日は次第に長くなり夜の時間を如何に過ごすかということが大事になってきます。古典《黄帝内径》にはすでに“秋冬養陰”と記載されています。
春は肝、夏は心、秋は…肺気の高まる季節とされ、肺の陰気をどのように養うかが薬膳の基本となります。空気が乾燥してくると「肺」の粘膜が乾燥し、病毒に犯されやすくなったり、喉が渇いたりして肺が傷害されます。肺が傷つくと体内の水分代謝、特に肌に水分を送るための気が不足し、肌荒れの元になります。また体の中に溜まった熱気や火毒を空気中に発散させる働きも弱まります。秋の薬膳では肺陰気ををサポートし、喉や肌の乾燥を防ぐような生薬を使ってみましょう。
また同じく陰気をつかさどる腎の働きを冬に向って高めていくのも大切です。寒くなると古傷が痛む、冬になると足腰が弱るという方は、秋から対策を始めましょう。
秋の薬膳食材として外せないのは、なんと言っても梨!肺陰気を補う作用が非常に強く、古くは咳止めの薬としても使われました。また少々値は張りますが、滋陰の効果に優れたスッポン、コイなどの動物性の食材も使ってみましょう。 生薬なら麦門冬、党参、沙参などが料理には使いやすいです。
今回の薬膳でメインとなる枸杞には滋腎補肝、明目、潤肺の効能があり、まさに上記の秋の養生にピッタリです。クルミは生薬名を胡桃仁といい、補腎益精、温肺定喘、潤腸通便の効能があります。こちらも秋の食材としてはうってつけで、近代の研究により含まれる油が動脈硬化の予防や心血管保護、記憶の改善などに効果があることが分かっています。どちらも手に入れやすく食べやすいので、色々な料理に加えてみましょう。また鶏肉には補虚暖胃、補肝腎、強筋骨の効能があり、高い栄養価があります。加える卵白にも滋陰の効能があるといわれ、乾燥を防ぐのに使われたりもします。薬味で加えるショウガ、ネギ、ニンニクは秋冬の寒さから体を守る効果も期待できます。 なかなか計算されつくした薬膳です。
[材料]
枸杞 ……… 90g
クルミ ……… 150g
鶏肉 ……… 600g
卵白 ……… 3個
ショウガ ……… 20g
ネギ ……… 20g
ニンニク ……… 20g
[調味料]
塩 ……… 20g
味の素 ……… 3g
胡椒 ……… 少々
チキンスープ ……… 150cc
ごま油 ……… 20g
酒 ……… 20g
片栗粉 ……… 150g
砂糖 ……… 20g
[作り方]
1.鶏肉は1cm角のさいの目に切っておく。枸杞は良く洗って雑物を取り除いておく。クルミは沸騰したお湯で軽くゆでて渋皮を取り除く。ショウガ、ネギ、ニンニクはよく洗ってみじん切りにする。卵白は溶いておく。
2.作り方1の鶏肉に食塩、酒、味の素、胡椒、チキンスープ、ごま油、片栗粉を加え、良く混ぜ合わせておく。
3.鍋にクルミが浸かるくらいの多めのサラダ油(分量外)を熱し、作り方1で渋皮を剥いたクルミを入れて火を通す。クルミに火が通ったら取り出し、同じ油で枸杞の実をサッと揚げておく。
4.作り方3の鍋に油を適量残し、中火で加熱しながら作り方2の鶏肉を炒める。鶏肉全体の色が変わったら、取り出して油を切っておく。
5.作り方4の鍋にクルミと枸杞を揚げた油を50ccほど戻して熱し、ショウガ、ネギ、ニンニクを炒めて香りを出す。続いて取り出しておいた鶏肉を漬け汁と一緒に入れて火が通るまで良くかき混ぜながら加熱し、最後にクルミと枸杞を加えて混ぜ合わせたら完成。
Point!
どうせならいい鶏肉を使いましょう。胸肉よりも皮付きの肉の方がおいしく食べられます。
特にお年寄りで肝腎の気が不足し、足腰の痛み、目のかすみ、長引く咳、喉の渇きなどの症状がある人におすすめの薬膳料理です。
枸杞核桃仁雞丁│鶏肉の枸杞とクルミ炒め
●
2014年5月31日土曜日
登録:
コメントの投稿
(
Atom
)
Search this blog
シリーズ
レシピ電子書籍紹介
About this blog
人気の投稿
-
2016年8月31日 クジの引き方と解説のお願いについて追記 台湾旅行時の楽しみの一つといえば現地の有名な寺廟をめぐってのおみくじ引き。台北市の 龍山寺 や行天宮は人気の観光スポットの一つです。いろいろな神様にお参りして、願いを届けた後はその願いに対する神様からのお告げ、お...
-
観世音霊籤百首 第四十六首 上平 勸君耐守舊生涯 把定身心莫聽邪 直待有人輕著力 滿園枯木再開花 意訳: 勸君耐守舊生涯 今以上の発展を望むなら今までのやり方を変えてはいけない。 把定身心莫聽邪 心身を定めてこそ邪な意見が聞こえてこなくなるのだ。 ...
-
観世音霊籤百首 第一首 上上 天開地闢結良緣 日吉時良萬事全 若得此籤非小可 人行中正帝王宣 意訳: 天開地闢結良緣 これは天を開き地を闢くよい時期である。 日吉時良萬事全 吉祥の時分であり、各種の条件は全て整っている。 若得此籤非小可 この籤を...
-
観世音霊籤百首 第四十一首 無限好事君須記 恰如認賊作為子 莫貪眼下有些甜 可慮他時還受苦 意訳: 無限好事君須記 物事に絶対はない。 恰如認賊作為子 盗人を自分の子供として育てるようなものだ。 莫貪眼下有些甜 目の前のうまい話に飛びついたり...
-
観世音霊籤百首 第三十六首 上上 目前病訟不須憂 實地資財儘可求 恰好繫猿今脫鎖 得歸仙洞去來遊 意訳: 目前病訟不須憂 目の前の病気、訴訟は心配することはない。 實地資財儘可求 今できることだけをやるだけでいい。 恰好繫猿今脫鎖 手足の鎖をは...
-
観世音霊籤百首 第三十一首 清閑無事靜處坐 飢時吃飯困時臥 放下身心不用忙 必定不遭殃與禍 意訳: 清閑無事靜處坐 静かに座って安穏の時を過ごすがよい。 飢時吃飯困時臥 腹が減ったら飯を食べ、困ったときは横になるのだ。 放下身心不用忙 心身を...
-
観世音霊籤百首 第二十六首 平 上下傳來事總虛 天邊接得一封書 書中許我功名事 直待終時亦是無 意訳: 上下傳來事總虛 上から下から伝わってくる情報は全て中身がないものばかりである。 天邊接得一封書 天に一通の手紙が届くだろう。 書中許我功名事 ...
-
観世音霊籤百首 第十六首 中上 攢眉思慮暫時開 咫尺雲開見日來 宛如汙泥中片玉 良工一舉出塵埃 意訳: 攢眉思慮暫時開 混迷の時はしばらくおちつくだろう。 咫尺雲開見日來 曇り空からも光が差す。 宛如汙泥中片玉 泥の中から宝の原石を見つけ出し...
-
観世音霊籤百首 第九十六首 上上 巍巍寶塔不尋常 八面玲瓏盡放光 勸汝志心勤頂禮 天龍擁護降千祥 意訳: 巍巍寶塔不尋常 今のあなたは普通ではない。 八面玲瓏盡放光 あらゆる方面に光を放つ。 勸汝志心勤頂禮 後は天に祈りを捧げよ。 ...
-
観世音霊籤百首 第五十一首 上平 夏日初臨日正長 人皆愁惱熱非常 天公也解諸人意 故遣薰風特送涼 意訳: 夏日初臨日正長 夏の日は一年でもっとも長い。 人皆愁惱熱非常 人は皆暑さに苦労するものだ。 天公也解諸人意 そんな時天は人々の意を汲み、 ...
材料で探す
調理方法で探す
Powered by Blogger.
0 コメント :
コメントを投稿