鮮蚶子│アカガイの刺身

難易度:☆ 調理時間:一瞬
アカガイを使った中華料理、とは言ってもほとんど日本の刺身に近い『鮮蚶子│アカガイの刺身』のレシピを紹介します。上海料理の一つに数えられます。台湾でもアカガイの仲間が漁獲でき、市場で売られていますが、正直台湾で生のアカガイを食べるのはおすすめできません(理由は後述)。なので日本のものや缶詰を使って調理しましょう。

中国語の「蚶(han1)」とは日本で言うアカガイの仲間(Anadara 属)を指します。日本沿岸や朝鮮半島、渤海沿岸、浙江省あたりまでで豊富に獲れる貝類で、福建や広東辺りにも同属の貝類が生息しており食用に漁獲します。日本では寿司ネタとして有名です。

水質汚染が進んでいる地域ではA型肝炎ウイルスのキャリアーとしてよく知られており、毎年感染者が発生しているどころか、結構な頻度で大規模流行(1988年上海で発生したA型肝炎の大規模流行の原因として非常に有名です。)を起こしている食材です。というわけで中国沿岸や朝鮮半島のものは正直言って生食はおすすめ出来ません。韓国でもよく刺身で食べるのですが、旅行者は手を出さない方がよいでしょう。必ず湯通し、過熱したものを食べましょう。台湾産のものも一昔前は割と安心して食べられたのですが、今では中国産が多数輸入されており、今ではあまり生食しなくなりました。この食材に限らず海洋汚染が進んでいる地域の魚介類は生食しないのが基本です。刺身は日本で、生をその場で捌いたものを食べましょう。

ちなみにアカガイは山東省や浙江省あたりではA型肝炎の最大の原因となっています。日本だとカキです。

A型肝炎で死亡することはほとんどなく、一度罹患すると強い免疫を獲得できます。過去にA型肝炎を経験した人は免疫を持っているはずなので、こういう人(例えば上海で大規模流行を経験した人など)はあまり心配は要らないのですが、それでもその他の感染症のリスクが残ります。日本でも60歳以上くらいの人はだいたい免疫を持っているのですが、若い旅行者は中国韓国では生の魚介類を食べないのが賢明です。美味しいんですけどね…。

さて、この蚶(子)、アカガイの仲間あその名の通り身が赤い色をしています。これはアカガイの仲間の血液中にある呼吸色素(人間でいうヘモグロビン)が、エリトロクルオリンというヘモグロビンと同じ鉄ポルフィリンを補欠因子とする赤い色をしているためです。そのため貝類の中で最高の鉄分含有量を誇ります。中国では古くから怪我をした者、貧血者、妊婦に食べさせる食材として珍重されてきました。生のものの身を切り開くと人間と同じような血の匂いがしますので、鮮度の目安にしてください。

あまり心配を煽るのもアレですが…、ある程度のリスクを承知で未知の味を追い求めるというのもロマンではあります。どの道100%安全と言いきれる食材はないので、ある程度の度量をもって職を楽しむのも時には必要です。



[材料]
生アカガイ ……… 10個
ネギ ……… 30g
ショウガ ……… 10g

[調味料]
酢 ……… 適量
醤油 ……… 適量

[作り方]
1.生アカガイの殻を切り開き、身を傷つけないよう注意深く開く。身を取り出したら冷水に付けよく洗い、取り出して水気を切っておく。洗い終わったら身の周辺にある靭帯と腸を取り除いておく。また生アカガイの身の厚い部分に切れ込みを入れ、体内にある腸を取り除く。

2.ネギとショウガをみじん切りにする。

3.アカガイの殻に沸騰したお湯をかけて消毒し、内側に作り方1の生アカガイの身を乗せる。上にネギとショウガを適量ずつ乗せ、醤油と酢をかける。そのまま冷蔵庫に入れ20分ほど冷やして完成。

Point!
殻を消毒するのは少しでもリスクを減らすためです。熱湯をかけるだけでいいので、やっておきましょう。

ケチャップや『五味醤』を添えてもよいでしょう。

歯が丈夫でコリコリした食感が好みの方は写真のように靭帯(ヒモ)を残しておいても良いでしょう。切り取ったものはスープに入れると良いダシが取れます。


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