蒜泥蒸魚│白身魚のニンニク蒸し

難易度:☆ 調理時間:30分以内
中餐丙級證照』シリーズより、『蒜泥蒸魚│白身魚のニンニク蒸し』のレシピを紹介します。ティラピアで作る蒸し料理ですが、その他の白身魚を遣ってもおいしく作れます。

ティラピアを台湾華語で「呉郭魚」と呼ぶのは何度か紹介しました。「呉(吳)」姓と「郭」姓は台湾でもよく見かける姓です。今回はこの二つの姓の由来について歴史を遡ってみたいと思います。

呉姓の由来は三つに大別されると言われます。

一つは「姫」姓に由来するもの。周の諸侯であった古公亶父(周を建国した武王の曽祖父)の長男の太伯という人が江南の梅里(現在の江蘇省無錫)に建国し「呉」と称した国を起こしました。古公亶父には多くの男子がいましたが、三男である季歴の子・昌(後の文王)があまりに優秀であったため、季歴に家督を次がせることにします。長男の太伯と次男の虞仲は季歴に後を次がせる為にあえて出奔し新しく南部に国を建てたのです。亶父の一族は周王族に連なる血統で「姫」姓をもっていましたが、建国後は国名を取って呉姓を名乗るようになりました。その後文王の子、武王が商を滅ぼした後、呉の太伯の孫である周章が諸侯に報じられたという伝説も残っています。この呉国は紀元前473年に越王勾踐によって滅ぼされますが、子孫らは国名を氏として名乗り続けました。

二つ目は一とも通じますが、太伯には子がいなかったため、弟の虞仲が後を次ぎました。この子孫らが、虞の字を呉に変えて名乗るようになったという流れ。江蘇省無錫周辺に起原を持つ呉姓はほとんどがこの一と二の流れを持ちます。

上で紹介した古代呉国とかつて日本に存在した倭国は密接な関連があるとされ一部で研究が進められています。季歴が兄らを呼び戻すために使いを出しますが、二人の兄は髪を切り、全身に刺青をして中華には戻れないと固辞したという伝説が残されています。史書に記載されている倭国の習慣に、同じく髪を短く切り、全身に刺青をしているという特徴が残されており、どちらも海中で漁をするための古代の風習です。他にも九州南部に太伯が生前居住していたという伝承や、太伯を祭った神社があるなど奇妙な一致が残されています。面白いですね。

三つ目も同じく呉国由来ですが、時代はもっと下がって春秋戦国時代の話。上で紹介した呉はその後も力をつけ、紀元前585年に壽夢が始めて呉王を名乗ります。この第四子吳季禮が優秀で、呉国は大いに発展を遂げました。山東省に由来を持つ呉姓はほとんどが彼の一族の末裔ということです。

姫姓から呉姓へ長大な物語です。呉姓も元の姫姓を遡ると郭姓の一部にも連なってきます。春秋戦国時代に呉国は越に滅ぼされるのですが、この時に「呉越同舟」や「臥薪嘗胆」などの故事成語が生まれました。ちなみに最も古い時代の中国は母系集団であり、当時から続く姓にはほとんど女偏が入っています。「姫」、「」、「姜」「姒」、「媯」、「嬴」などの「姓」がそれです。頭の片隅においておきましょう。

そして郭姓の由来です。こちらも三つに大別されます。

一つ目は居住地によるもの。 郭とは城壁の外にある防御柵を意味し、その周辺に住んでいた人々、つまり城の防御にあたっていた人々の末裔であるという話。

二つ目は呉姓の話にも登場した周文王に連なる話。文王の弟虢叔(つまり太伯、虞仲らの甥)が現在の陜西省寶雞市一帯に封じられ、虢国を名乗ることになりました。古代中国では虢と郭の発音は同じで、虢国は郭国とも呼ばれました。この王侯一族の末裔だとする説。ちなみに文王にはもう一人虢仲という弟がおり、こちらも現在の河南省蒙陽縣一帯に封じられ同じく虢国を名乗ります。紛らわしいのでは虢叔の国を西虢、虢仲の国を東虢とも呼びます。西虢は紀元前687年に秦国に併合され、東虢は紀元前765年に鄭国に滅ぼされてしまいます。東虢のほうは王族が住んでいた土地に小郭などの地名が残されているそうです。

三つ目はずっと時代が下がって唐代の話。回紇(トルコ系ウイグル族)が中原に定住した後、「郭」姓を名乗りその子孫に受け継がれたという話です。唐代の名将郭子儀に連なる姓で、多くの大人物を輩出した名門の一族です。特に郭子儀の名はあまり中国史に詳しくない人ですら名前だけは覚えているほどの有名人でしょう。古代から現代に至る長大な中国史上を見渡しても、彼ほどの大人物はいないとも称される傑人です。少しでも興味が湧いたら一度で良いので彼のエピソードを読んでおきましょう。敵にすら賞賛されるほどの名人物だったといいます。

というわけでティラピアから学ぶ呉姓と郭姓の由来でした。それではレシピです。


[材料]
ティラピア ……… 1匹
ニンニク ……… 5個
トウガラシ ……… 1本
ショウガ ……… 10g

[調味料]
醤油 ……… 小さじ1
酒 ……… 大さじ1
砂糖 ……… 小さじ1/2
塩 ……… 少々
ごま油 ……… 大さじ1
水 ……… 大さじ3

[作り方]
1.ニンニクをみじん切りにする。ショウガはうす切りにする。トウガラシは種を抜き、みじん切りにする。

2.ティラピアのウロコを落とし、エラ、内臓などを除くなど下処理をしておく。身に数本の切れ込みを入れたら、両面に熱湯をかけて耐熱の容器に乗せておく。

3.熱した鍋に大さじ1のサラダ油をひき、作り方1のニンニク、ショウガ、トウガラシを炒めて香りを出す。続いてすべての調味料を混ぜ合わせたものを入れて沸騰させたら、作り方2のティラピアの上にかける。

4.ティラピアを乗せた容器にラップをし、容器ごと蒸し器に入れて15分ほど強火で蒸したら完成。

Point!
ティラピア以外の魚を使ってもかまいません。鮭や鯛など味の濃いものがよいでしょう。鱗や内臓の処理は各魚ごとにしっかり行ってください。

容器の底にタマネギなどを敷いてもよいですが、その場合ソースは多めに作りましょう。



おいしそうと思ったらボタンをクリック!

0 コメント :

 
日本で作れる台湾料理 © 2012 | Designed by Rumah Dijual , in collaboration with Web Hosting , Blogger Templates and WP Themes
FB FACEBOOK TW TWITTER