難易度:☆ 調理時間:3時間
本日のレシピは『香菇油飯│シイタケ油飯』です。この料理のようにもち米を醤油と具で蒸して作る台湾料理を総称して『油飯』と呼ぶこともあります。
もち米(糯米)は中国語でも「糯米」と書きます。我々が主食として食べるうるち米(粳米)の変種で、アミロースをほとんど含まないため加熱して突き崩すと非常に粘りが出るのが特徴です。日本では餅や白玉粉、お菓子などに加工されて用いられます。ラオスやタイの一部では主食としてもち米を食べるそうです。
もち米を食べる文化は日本-台湾から福建-雲南、また東南アジアに広く分布しています。これらの地域では「なぜか」共通してもち米とハレ(成人、婚姻、祭祀、出征、誕生など)と強く結びついているという特徴があるそうです。日本でも正月の餅つき、鏡餅、成人式の赤飯、棟上時の餅まき、縁起物のあられなど、モチ=ハレという印象が強いのではないでしょうか?台湾(福建)でももち米を使った料理は婚礼時の湯圓、男子誕生や家屋建築時の油飯、端午節の肉粽、中元普渡や掃墓(御墓参り)の時の草仔粿(よもぎ餅)など、漢人、客家、原住民の区別なくもち米を使った料理は様々な祝い事に用いられます。その他もち米料理を食べる地方でも似たようなものです。
このモチ=ハレの構図やその他の文化を総合的に分析して1970年代に学会に発表したのが、日本人中尾佐助、佐々木高明らで、モチ以外にもお歯黒、刺青、焼畑、鵜飼、発酵食品、絹、漆器、家屋、服飾、更には神話や伝説などが共通する一つの文化圏を提唱しました。これを「照葉樹林文化論」といい1980年代以降に非常に流行します。現在でも一定の支持を得ており、研究が進められています。日本に稲作が伝播したとされる約5000年前の文化に言及しているため批判も多いのですが、完全に否定するのも難しく現代でも論争が続けられています。これらの文化はまた倭人と呼ばれる民族とも関連が深いとされ、《魏志倭人伝》以前の日本の文化を紐解くカギとして研究が続けられています。
この説に影響を受けた文化人も数多くいます。我々がよく知る代表的な人物といえば宮崎駿でしょう。映画《もののけ姫》はまさにこの「照葉樹林文化論」を特徴的に描いたもので、もう一度見直してみると様々な発見があると思います。
現代ではハレとケの区別が曖昧になり、この『油飯』も日常いつでも食べられる普通の料理となりました。それでももち米を使った料理の持つ「めでたい」感覚はどこか日本人の心に響くものがあります。炊飯器でも作れますのでぜひ再現して異国のハレ文化を体験してみましょう。
[材料]
もち米 ……… 600g
シイタケ ……… 4個
豚ロース ……… 120g
干しエビ ……… 40g
エシャロット ……… 40g
ショウガ ……… 2g
中華スープ ……… 300cc
香菜 ……… 適量
[調味料]
醤油 ……… 大さじ4
砂糖 ……… 小さじ1/4
胡椒 ……… 小さじ1/4
ごま油 ……… 大さじ1と1/2(適量)
[作り方]
1.もち米を水に2時間ほど浸けておく。シイタケは石づきを取り千切りにする。豚ロースは千切りにする。エシャロットは皮を剥き薄切りにする。ショウガは皮を剥いてすりおろしておく。
2.熱した鍋に大さじ3のラードまたはサラダ油(分量外)をひき、エシャロットを香りが出るまで炒める。続いてシイタケ、豚ロース、干しエビ、ショウガを加えて軽く炒めたら、全ての調味料を加えて食材に火が通るまで炒める。
3.別の鍋かフライパンに大さじ4のサラダ油(分量外)をひき、もち米の水気が飛びパラパラになるまで炒める。これに半量の中華スープを加え米に味をしみこませながら水気が飛ぶまでもち米と共に炒める。更に残り半量の中華スープを加え、同じように水気が飛ぶまで炒める。
4.作り方3の鍋に作り方2の鍋の中身を2/3ほど移し、よく混ぜ合わせる。これを器に盛り付け、残り1/3の作り方2の鍋の中身を上にかける。適量の香菜をのせて完成。
Point!
作り方3のもち米を第一段階の中華スープで炒めるとき、ある程度まで水気を飛ばしたら具と混ぜ合わせて炊飯器に入れ、残りの中華スープと適量の水を加えて炊き込むという方法でも作れます。もち米に7分ほど火を通してから炊き込むので、普通の炊飯器では炊き上がりの米の硬さの調節が難しいですが、もち米を炊く機能のある炊飯器だと具ともち米を混ぜ合わせて最初から炊飯器で作れます。
日本で言う炊き込みご飯ですので、千切りにしたニンジンやタケノコなど好みの具を加えて作ってください。
本来はインディカ米のもち米で作るのが正しい作り方ですが、台湾でも普通のもち米で作ることもあります。
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