難易度:☆☆ 調理時間:1時間以内
本日は『八珍湯│八珍湯(はっちんとう)』という本格薬膳スープを紹介します。ちょっと説明が難しい部分もあるかと思いますが、お付き合いください。
『八珍湯』の八珍とはそのままスープに使用する生薬の数を表しています。しかしレシピをよく見ていただくと分かるように全部で10種類の生薬が使われていますね。なぜでしょう?これは以前紹介した薬膳料理『十全大補湯』などにも通じるのですが、生姜、大棗の二つは多くの場合使われている生薬の数に数えないことになっています。あまりにもいろいろな処方に使われすぎて、いつからか入っているのが当たり前、最初から頭数に入れないことになっているのです(笑)。
ちなみにこの『八珍湯』に黄蓍と桂皮を加えると『十全大補湯』になります。漢方薬に詳しい方ならご存知かも知れませんが、この『八珍湯』は更に『四物湯』と『四君子湯』に分解できます。これら二つの処方を合わせたものに生姜と大棗を加えた合剤が『八珍湯』なのです。原典である《正體類要》にはその効能として“治傷損等症、失血過多、或因克伐、血氣耗損、惡寒發熱、煩躁作渴等症。 ”とあります。血虚を治す『四物湯』と胃腸病に使う『四君子湯』を合わせた処方だけあって、貧血気味な人の胃腸症状にとても良く効く処方です。貧血や血行不良からくる手足の痺れや麻痺などにもてきめんです。残念ながら日本では『八珍湯』のエキス製剤が保険適用されていないため、この処方を使いたい医師は『四物湯』と『四君子湯』の両エキス剤の名前を処方箋に書いて患者に渡すことがあります。Blog読者の薬剤師の方で、もしこのような処方箋を受け取った方はニヤリとしましょう。
以前、漢方スープで豚肉を煮込んだ『十全大補湯』のレシピと実践編を紹介しましたが、このレシピも非常に滋味深く濃厚な旨味のあるスープが取れます。特にこのレシピのように鶏肉を煮込んだ料理を『八寶雞湯│八宝鶏湯』とも呼び、高級中華料理として三ツ星ホテルなどでも提供されます。ぜひ漢方薬局で材料を手に入れて挑戦してみてください。
だれかエキス製剤で挑戦してみる強者はいませんかね(笑)?『四物湯』と『四君子湯』のエキス製剤一日分ずつで作れるはず…です。最近ちょっと貧血気味で、胃が弱っているという方は、ぜひメールでご相談ください。
高麗人参 ……… 3g
白朮 ……… 3g
茯苓 ……… 3g
当帰 ……… 3g
川芎 ……… 3g
芍薬 ……… 3g
熟地黄 ……… 3g
炙甘草 ……… 1.5g
生姜 ……… 3g
大棗 ……… 3g
[材料2]
鶏肉 ………1匹分
水 ……… 1500cc
酒 ……… 大さじ3
[調味料]
塩 ……… 適量
[作り方]
1.材料1を水でサッと洗い、綿の袋やティーパックに入れておく。
2.鍋に水、酒、鶏肉、作り方1の材料パックをいれて火にかけて沸騰させたら弱火にし、1時間ほど煮込んで火を通す。鶏肉が水に浸かりきらない場合は、適当な大きさに切っておく。
3.鶏肉に火が通ったのを確認したら、少量の塩でスープの味を調えて完成。
Point!
『十全大補湯』と同じように、材料さえ揃ってしまえばとても簡単に作れます。
豚肉を使った『八珍排骨湯』もあります。八珍湯は鶏肉を、十全大補湯は豚肉を使うのが一般的です。
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