難易度:☆ 調理時間:30分以内
馬祖地域の名物料理『蠣餅│馬祖風カキと岩海苔のかき揚げ』のレシピを紹介します。ダイズと米を練った生地でカキ、豚肉、岩海苔を包み、油で揚げて作ります。現地ではお菓子代わりにも食べられるポピュラーな料理です。
『蠣餅』は別名を『海蠣餅』、『紫菜海蠣餅』などといい、福建省ではとても一般的なカキ料理の一つです。ミキサーや冷蔵庫のなかった時代の『蠣餅』は、家庭で作れる簡単な料理ではなかったそうで、専門店でも一家総出で早朝からを準備をしないといけない大変な料理だったそうです。
まず前日から水に浸けておいたダイズと米を、石臼で挽きます。ダイズと米は別々に作業しなければならない上、石臼一つに挽く人と材料を逐次投入する人、二人の労働者が必要です。カキシーズンの早朝寒空の下、十キロ近くのダイズと米を挽いたら、カキを剥いて餡の準備をし、開店の準備です。『蠣餅』は一度下揚げしておいたものをお客さんの注文が入ってから二度揚げして供します。開店後も休む暇がありません。今でこそ調整済みの粉も売られていますし、ミキサーも使えますが、それらがなかった時代の料理はとても大変だったことが分かりますね。
一説によるとこの料理を開発したのは清代初期、福建省のある若者であったそうで、福建名物の『蠔仔煎│福建風オーアーチェン、福建風カキオムレツ』が元になっているそうです。若者は親の代から真面目に『蠔仔煎』を売っていましたが、生活はあまりにも貧しく、妻を娶ることも出来ませんでした。毎日どうすればお金持ちになれるかを考えていたところ、ある日夢の中で白髪の老人に出会いました。老人が「おぬしの運気が上向いてきたぞ」と言うと、若者は「ではどうすればいいのか?」と問い返しましたが、老人は何も言わずにその場を立ち去ろうとしました。答えのほしい若者は老人を追いかけていくと、目の前に明るい太陽が東から昇る景色がひろがり、その瞬間若者は目を覚ましたそうです。「太陽…、太陽…、これだ!」と閃いた若者は今まで月に例えられていた『蠔仔煎』をひしゃくを使って揚げて作る方法を思いつきました。月を太陽に!この新しい料理が大成功して若者はお金持ちになり、美しい妻を娶ることができたそうです。とても中国的な故事ですね。
現在我々が食べている色々な料理を、電気や機械のなかった時代はどうやって作っていたのか?あらためて考えてみるのも面白そうです。昔の人はどんな工夫をして料理を作っていたのでしょうか?
[材料]
米 ……… 50g
から揚げ粉 ……… 80g
水 ……… 適量(約400cc)
カキ ……… 100g
豚肉 ……… 80g
岩海苔 ……… 50g
(普通の刻み海苔でも代用可)
ネギ ……… 50g
(ニラでもよい)
塩 ……… 小さじ1
砂糖 ……… 大さじ1/2
醤油 ……… 大さじ1
[作り方]
1.ダイズと研いだ米を水に浸けておく。ダイズと米の水気を切り、ミキサーに入れて適量の水と共に粉砕して米漿を作る。
2.作り方1の米漿に唐揚げ粉と水、塩、砂糖を混ぜ合わせ、お好み焼き生地くらいの粘度に調整する。
3.カキをよく洗い、醤油に浸けておく。豚肉を千切りにする。岩海苔を細かく刻む。ネギをみじん切りにする。
4.鍋に揚げ物油を180度に熱しておく。サラダ油(分量外)に先をつけておいたおたまで作り方2の生地をすくい、上に適量のカキ、豚肉、岩海苔、ネギを乗せる。スプーンなどで具の上から生地をすくいかけ、お玉のまま油に入れる。油の中で滑らせるようにして生地を外し(→Point参照)、両面がきつね色になるまで揚げる。
5.取り出して油を切ったら完成。
Point!
生地がお玉から外れない時は菜箸などで突いて外しましょう。
唐揚げ粉は入れなくても作れますが、つなぎ代わりに少量加えたほうが食感が上がります。
豚肉も入れずに作る場合がありますが、カキと海苔は必ず使いましょう。
福建省ではこの『蠣餅』を作るための専用のお玉があります。
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