難易度:☆ 調理時間:1時間以内
台湾の新年が近づいてまいりました。レストランなどで出される豪華な年越し料理を紹介します。第一弾は『圓鱈田園煲│タラの中華風土鍋焼き』のレシピです。大きめに切ったタラの切り身を野菜と一緒に土鍋で焼いて食べます。
今回は中国語の標準名について紹介したいと思います。(今回使う…タラがいい例になります。)
アルファベットを日常で使う西欧諸国では、生物の名前を特定して言う場合はもっぱら「学名」を用います。イヌ(イエイヌ)なら Canis lupus familiaris (属名-種小名-亜種名)という具合です。(もともとイヌは独立した種 C. familiaris と考えられていましたが、タイリクオオカミ C. lupus の亜種であることが分かったので、学名が少々複雑です。)学名はイタリック体で書くのが決まりです。そして属名は同じ文章に何度も登場する場合頭文字にピリオドを打って省略します。
もっと正式に書くなら最後に発見者の名前をつけます。イヌなら C. lupus familiaris L. です。L.は分類学の創始者リンネの略号です。ラテン語なのでそのまま日本語英語で読めば大体通じます。カニス・ルプス・ファミリアリスみたいな発音ですね。
西欧諸国ならこれでいいのですが、問題はアルファベットになじみのない我々東洋の国々、そのため日本や韓国では科や属の名前として「そのグループを代表する種の名称を用いる」ことが認められています。日本語でいうイヌ科イヌ属の"イヌ"の部分がそれです。韓国語でも科や属の字は日本の学術用語をそのまま使っているのでイヌ=개(ケ)なので、개과개족(ケ科ケ属)となります。
さて中国語ではどうでしょう。基本的に日本語と同じように「そのグループを代表する種の名称を用いる」のは同じなのですが、多くの種で属名には科名に別の漢字をつけて呼ぶことになっています。
今回のメイン食材であるタラの中文標準名を見てみましょう。中国語の科名は日本語と同じ「鱈」の字を使った「鱈科」です。(ちなみに…鱈の字は日本で生まれた和製漢字で、中国に逆輸入されて使われています。)タラ科には13(または14)属が含まれます。中文標準名 - (学名) - 和名の順に列記します。和名がないものは空欄です。
極鱈屬(Arctogadus)
北鱈屬(Boreogadus)
寬突鱈屬(Eleginus) コマイ属
大眼鱈屬(Gadiculus)
鱈屬(Gadus) マダラ属
黑線鱈屬(Melanogrammus)
牙鱈屬(Merlangius)
小鱈屬(Microgadus)
藍鱈屬(Micromesistius) ミナミダラ属
青鱈屬(Pollachius) ポラキウス属
平頭鱈屬(Raniceps)
狹鱈屬(Theragra) スケトウダラ属→2013年にマダラ属に変更されました。
長臀鱈屬(Trisopterus) フランスダラ属
どうでしょう中国語ではほとんどすべての種に標準名を制定しているのも違いますが、全ての属名に「鱈」の字が入っているのがお分かりでしょうか?このように中国語では(基本的に)属名を見ればその種の属する科名が分かるようになっています。ただし…近年特にDNA分析により、動物も植物も学名がちょくちょく変ります。そういうときにものすごく対応しにくいのがこの手法の問題です。ちなみに和名のない種は学名をローマ字読みしたものを使います。(Arctogadus →アークトガドゥス属)
料理とは全く関係ありませんが、ひょんなことがきっかけで新しい知識を手に入れるというのはよいことです。心の琴線に触れるものがあれば、どんどん新しいことを学んでいきましょう。そして新しく学んだことは料理などの別の形でアウトプットすると記憶に定着しやすいようですよ(笑)。
[材料1]
タラ切り身 ……… 700g
サツマイモデンプン ……… 適量
ニンニク ……… 4個
[材料2]
ニンジン ……… 30g
サツマイモ ……… 40g
トマト ……… 60g
シイタケ ……… 20g
[調味料]
醤油 ……… 大さじ2
ケチャップ ……… 大さじ2
水 ……… 大さじ4
[作り方]
1.タラ切り身をよく洗い、水気を切ってから表面にサツマイモデンプンをまぶしておく。ニンニクをみじん切りにする。ニンジン、サツマイモ、トマト、シイタケを1cm角のみじん切りにする。
2.熱した鍋に適量のサラダ油(分量外)をひき、タラ切り身の両面をきつね色になるまで焼く。
3.熱した土鍋に大さじ2のオリーブオイル(分量外)をひき、ニンニクを炒めて香りを出す。続いてニンジン、サツマイモ、トマト、シイタケを入れ、中火で炒めて火を通す。作り方2のタラ切り身を入れ、全ての調味料を混ぜ合わせたものを入れて、水気がなくなるまで蓋をして煮込んだら完成。
Point!
ソースは煮詰めてタラ切り身に吸わせてしまいます。最後は焦がさないように。
普通はごま油で作るのですが、オリーブオイルで作ることでいつもの中華とはちょっと違う高級感がでます。
タラの代わりに豆腐を使っても作れます。その場合料理名は普通に『紅焼豆腐煲』です。
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