難易度:☆ 調理時間:1時間以内+下準備
中華米料理シリーズ、続いては広東省のある地域で生まれた『倫教糕│もち米蒸しパン』という料理のレシピです。モチモチの蒸しパンが作れます。
料理名にある「倫教」とは広東省仏山市順徳区倫教という地名のことです。このあたり一帯は古くは順徳県と呼ばれ美食の都として栄えました。世界中で中華料理の代名詞ともなっている広東料理の下位分類には、「広州菜」、「潮州菜」、「東江菜」、そして「順徳菜」があるといわれ、中でも順徳は広東料理の始原であるとも言われています。細かいことを言うと、もともと明代に到るまで順徳という地名は存在せず、古くは太艮、またはこれが訛って太良、更には鳳凰山という山があることから鳳城とも呼ばれました。そのため歴史を強調して言う場合は「順徳菜」ではなく「鳳城菜」とも呼びます。
倫教はそんな順徳の一地域で、「糕村」の別名を持ちます。もちろんこの別名は今回紹介する『倫教糕』、つまりもち米で作る蒸しパンを150年ほど前に生み出したことから名付けられました。現代の世界各地で食べられる『米蒸しパン』の元祖とも言える料理なのです。
ちなみにこの料理は香港では『白糖糕』などとも呼ばれます。他にも各地で様々な別名があるようですが、すべては「倫教」に端を発します。150年前…、清末の混乱期によくこんな料理を生み出せたものですね…。
この『米蒸しパン』、今では中華全域に広がりもちろん台湾でもいたるところで食べることができます。現代人の趣向に合わせたコンビニ商品の方がおいしいかもしれませんが、たまにはオリジナルをリスペクトして日本で再現してみるのも悪くないでしょう。パン作りの材料があれば家庭ですぐに再現できます。
[材料]
インディカ米 ……… 300g
水 ……… 適量
[調味料]
砂糖 ……… 300g
酵母 ……… 大さじ1/2
[下準備]
1.インディカ米を3時間水に浸けておく。
2.水を捨てて米だけをミキサーに入れ、米と同じ高さまで水を入れて軽く粉砕する。米粒が小さくなったら水面の高さの倍まで水を加え、米と水が完全に混ざるまで粉砕する(→Point参照)。米漿の完成。
3.下準備2の米漿に水160ccを加えてよく混ぜ合わせておく。
[作り方]
1.鍋に400ccの水を沸騰させ、砂糖を加えてよく混ぜ合わせる。砂糖が完全に混ざったら下準備で作った米漿を少しずつ鍋にかき混ぜながら加える。完全に混ざったら火を止めて冷ます。
2.酵母を大さじ2の常温の水に混ぜ合わせ5分ほど放置しておく。
3.作り方1の米漿が常温に戻ったら(→Point参照)作り方2の酵母を加えて全体によく混ぜ合わせておく。
4.夏は6時間、冬は10時間、蓋をして放置し発酵させる。
5.蒸篭に大きなガーゼを敷き、蒸し器にかけてガーゼの下から蒸気が染み出してくるようセットする。作り方4で発酵させた米漿生地をガーゼの上にのせる(→Point参照)。強火で25分蒸して火を通す。
6.蒸篭を外して荒熱を取ったら、生地をガーゼごと取り外す。ガーゼを外して食べやすい大きさに切って完成。
Point!
米漿は水と米が完全に混ざり合った状態で作っておきましょう。粒が残っているようなら何度もミキサーで粉砕して完全に混ぜ合わせましょう。
ここで完全に常温に戻しておかないと酵母が死んで発酵がまったく進みません。鍋の全面と米漿の中心を素手でさわっても問題ないことを確認してから、次の調理に進みましょう。
蒸篭に入れる生地は蒸篭の高さの6割ほどにしましょう。少し膨れるのであまり入れすぎると蓋にくっつきます。
蒸篭の中に入るサイズのケーキ型があればそれを使っても作れます。内側に薄く油を塗るのを忘れずに。
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