難易度:☆ 調理時間:30分以内
福建から台湾で食べられる伝統料理『二冬鮑魚│アワビとシイタケとタケノコの中華風あんかけ』のレシピを紹介します。材料を中華スープで煮込んで作るだけの簡単な料理ですが、それぞれの食材が合わさって濃厚なうま味を楽しめます。
料理名の「二冬」とは「冬笋│タケノコ」と「冬菇│シイタケ」のこと、「鮑魚」はもちろん「アワビ」のことです。アワビは貝類ですが、中国語では伝統的に「鮑魚」と魚の字をつけて呼びます。古代中国で水中にすむ生物は「鱷魚│ワニ」などほとんどが魚の字をつけられていたので、アワビもそういうものと考えられていたということでしょう。でもアワビ以外の貝類には魚の字は使わないんですけどね…。
アワビは古くは「鰒魚」と書かれ、中国史上多くの英雄らにも愛されました。特に三国志の曹操のアワビ好きは有名で、彼の死後故郷の徐州では葬儀にアワビ200匹を供えたという伝説も残されています。
中国の東北部でもアワビは採取されますが、最高品質のアワビはやはり日本産のもの。中国でも高級料理店で一枚数万円もするようなアワビはほとんどが日本から取り寄せられた干しアワビを戻したものが使われます。日本産のアワビは古来より中国で非常に珍重されてきたようで、宋代は日本のアワビを「倭螺」と呼び、それを運んでくる船を「宝船」とも呼んでいました。もし国産の干しアワビが手に入る人がいれば、中国の友人に送るとものすごく喜んでもらえそうです。
今回紹介する料理は缶詰を使って作るのが現実的ですが、家庭で作っても非常に濃厚なうま味を楽しめます。ぜひ再現してこのおいしさを味わってみてください。
[材料]
アワビ ……… 100g
(缶詰のものでよい)
干しシイタケ ……… 50g
タケノコ ……… 50g
ショウガ ……… 10g
[調味料]
塩 ……… 適量
酒 ……… 小さじ1
水溶き片栗粉 ……… 少々
味の素 ……… 小さじ1/4
中華スープ ……… 500cc
[作り方]
1.アワビ(缶詰)を下処理し、一口サイズに切っておく。干しシイタケは水で戻し、いしづきを除いておく。タケノコは下処理し、シイタケと同じくらいのサイズに切り分ける。ショウガはすりおろしておく。
2.熱した鍋に適量のサラダ油(分量外)をひき、シイタケとタケノコを軽く炒めたら、中華スープを加えて沸騰するまで煮込む。アクを除いて塩、味の素、酒を加えて味を調えたら、アワビとショウガ汁を加えて材料に味が染みるまで弱火で煮込む。
3.皿の周辺にアワビを円形に並べ、内側にシイタケとタケノコを盛り付る。余ったスープに水溶き片栗粉を加えてとろみを付け、皿の上からかけたら完成。
Point!
このままでも十分おいしいのですが、沙参、枸杞、巴戟天など補気の薬材を加えて薬膳のベースとすることも多い料理です。ヤマイモを加えた『山薬二冬鮑魚』は単一の料理としても有名です。
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