難易度:☆☆ 調理時間:3時間
台湾冬の風物詩『羊肉爐│薬膳羊肉スープ』のレシピを紹介します。羊肉の臭みをきれいに消して旨味を引き出す香辛料の組み合わせをお楽しみください。
以前も紹介しましたが『羊肉爐』は台湾生まれの台湾料理。30年以上前に現在の新北市で生まれました。
台湾では70年代中盤から政府による国産肉類の保護政策が取られましたが、放牧の必要がある羊肉は環境を汚染の可能性から当初は乳羊、即ちラム肉だけが政府の保護の対象となりました。それでも品種改良や養殖方法の改善により1980年代から2000年代初頭にかけて台湾国内の羊肉の消費量は約10倍まで成長します。同時にニュージーランドやオーストラリアから大量の羊肉も輸入され、羊肉の国内消費は急激に伸びました。『羊肉爐』はそんな羊肉の大量消費時代に発明された料理なのです。
羊肉はその後も2003年まで順調に生産量を増やし続けます。2003年以降なぜか輸入羊肉に押されるようになり、現在までその生産量は減少を続けています。これは80年代に政府の保護をうけて事業を始めた生産者らが世代交代に失敗したというのも理由の一つとして考えられています。この辺は経済学の面白い研究分野ですね。
もし中国との自由貿易協定が結ばれていた…と考えると、農家の方は背筋の凍る思いだったことでしょう。たまには料理や食材を通して、お金や政治の流れを見てみるのもいい頭の体操になりますね。
それでは意外に寒い台湾の冬、体を心から温めてくれる『羊肉爐│薬膳羊肉スープ 』をお楽しみください。
[材料1]
川芎 ……… 7g
黄蓍 ……… 7g
桂皮 ……… 4g
丁香 ……… 4g
党参 ……… 11g
紅参 ……… 7g
青皮 ……… 6g
枸杞 ……… 7g
大棗 ……… 5個
八角 ……… 2個
生姜 ……… 7g
[材料2]
羊肉 ……… 1200g
ネギ ……… 1本
ニンニク ……… 10個
水 ……… 1500cc
酒 ……… 600cc
[調味料]
塩 ……… 小さじ1
[作り方]
1.全ての材料1を綿袋などに入れ、水、酒と共に鍋に入れて30分ほど浸けておく。ネギはぶつ切りにする。ニンニクは皮を剥いて包丁の腹で叩いておく。
2.羊肉をぶつ切りにし、作り方1とは別の鍋の中に、ネギ、適量の水(分量外)と共に入れて加熱して沸騰させる。沸騰したら羊肉の色が変わるまで煮込み、取り出して氷水につける。荒熱が取れたら羊肉を取り出して水気を切っておく。
3.作り方1の鍋の中身を沸騰させ、作り方2の羊肉、ニンニクを加えて蓋をして1時間半煮込む。材料1の綿袋を取り出したら完成。
Point!
好きな香りや味の生薬・香辛料があれば倍量くらいまで増やしてもかまいません。好みの配合を作りましょう。
羊肉独特の臭みを抜くための生薬の組み合わせですが、食欲増進や免疫力強化などの薬膳機能も追加されています。興味のある方はそれぞれの生薬の効能を調べてみましょう。
お子様が食べるときはアルコール分を完全に飛ばした方がいいでしょう。逆に大人だけで食べるなら、最後にお酒を数匙スープに足してから食べましょう。
豆腐やシイタケ、白菜を加えて鍋料理風に食べるのもおいしいです。
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