難易度:☆☆☆ 調理時間:30分以内
今回は台湾でおそらくもっとも危険な動物を使った料理『炒螺肉│台湾エスカルゴ炒め』のレシピを紹介します。カタツムリが危険?ご冗談を…という方は記事をよく読んでください。
他の台湾関係のブログ記事で「螺肉」=サザエと訳している場合がありますが、ぜんぜん違います。見た目もまったく違うんですが…、どこで間違えたんでしょう?「螺肉」とは「アフリカマイマイ」という大型のカタツムリの肉のことで、中国でも食用にされています。
アフリカマイマイは中国語名を「非洲大蝸牛」といい、時に貝の大きさが20cmにも達する世界最大級のカタツムリの一つです。アフリカマイマイというだけあって原産はアフリカです。
その特徴を羅列すると、雑食、多産、生育が早く長寿、強靭で乾燥に耐え、カタツムリのくせに高速移動、大型という食用にするには最適のような条件を備えており、100年ほど前に世界中に研究用として持ち込まれました。
そして…一部の国を除きその食用用途での研究は頓挫します。生命力が強すぎ、在来の生態系を破壊してしまうことが分かったのです。日本では幸い離島にしか定着しておらず、本土への侵食はほとんどありません。植物防疫法により有害動物に指定されており、本土への持ち込みはかたく禁止されています。日本以外の国でも持ち込みはほとんど禁止されており、国によっては国内移動ですら罰せられるほど有害です。
台湾には日本統治時代の1933年に旧台北帝国大学教授により研究用として持ち込まれました。これが沖縄に持ち込まれ、厳重に隔離された上で研究されていましたが、沖縄戦の混乱で野生化、大量発生し、社会問題化します。
台湾では市内各地を流れる小さなドブ川周辺では必ず見ることができ、特に雨降る夜の小川の周辺では溢れかえるほど野生化したアフリカマイマイを見ることが出来ます(そのため俗名「露螺」と呼んだりもします)。が、野生のアフリカマイマイを絶対に素手で触ってはいけません。
この「アフリカマイマイ」は広東住血線虫」という寄生虫の中間宿主であり、接触しただけで人間に感染する危険があります。この寄生虫が人間に感染すると中枢神経に移動し、「好酸球性脳脊髄膜炎」などの時に死にいたる症状を発症させます。2000年に沖縄でこの寄生虫病による死者も出ています。1980年頃から「アフリカマイマイ」は害虫として徹底的に駆除されたのですが、まだ根絶できていません。安易な外来種の移入が生態系を激変させる例として、動物学や生物学のテキストに載るくらいの有害動物なのです。(気になる方はWikipediaで勉強しておきましょう。)
台湾では何の宗教か知りませんが1989年に「生のアフリカマイマイを食用にすると健康になる」と信じた金蘭醤油の理事長一家3代9名がこの寄生虫に感染し、内2名が死亡した」というニュースが話題になったこともあります。金蘭醤油…台湾ではとても有名なメーカーなんですが…。日本にも古くはナメクジを生で食べて肺病を治すとかの民間療法がありました。台湾では、いままで400人以上が感染し15名の死亡者が出ています。
台湾の小学校では必ず「素手で触ってはいけない」ことを教えられるそうですが、無知な教師が教室で飼育したり、教材に使ったりすることもあり、その都度ニュースになっています。旅行者、滞在中の方も気をつけましょう。こういう情報は旅行ガイドには載ってませんからね。
台湾では衛生管理した上で養殖されたものをカンズメなどにして食用にしています。まぁ、ほとんどの熱炒店ではアフリカマイマイではなく、輸入したエスカルゴや別の種を使っている“らしい”のでほとんど問題はありません。が、いつどんなニュースが流れるから分からないのが最近の台湾の怖いところです。しっかりと加熱されたものを食べましょう。
日本では沖縄以外では再現不可能な料理ですので、レシピでは冷凍エスカルゴを使っています。サザエで代用してもいいでしょう。沖縄在住の方も野生のアフリカマイマイを使って再現しないでください。
冷凍エスカルゴ ……… 100g
トウガラシ ……… 半本
ネギ ……… 一本
ニンニク ……… 3個
バジル ……… 10g
[調味料]
砂糖 ……… 小さじ1
酒 ……… 大さじ1
酢 ……… 小さじ1
醤油 ……… 大さじ1
ごま油 ……… 小さじ1
[作り方]
1.冷凍エスカルゴは水に浸けて完全に解凍し、150度に熱した油で揚げて火を通しておく。火が通ったらエスカルゴを取り出し、油を切っておく。
2.トウガラシは輪切りにする。ネギはぶつ切りにする。ニンニクはみじん切りにする。
3.作り方1の鍋に少量の油を残し、作り方2の材料を加えて炒めて香りを出す。続いて取り出しておいたエスカルゴを加え、全ての調味料を加えてかき混ぜながら炒めて味を調える。最後にバジルを入れ、サッとかき混ぜて完成。
Point!
冷凍エスカルゴなら殻付きのまま調理してもいいですが、サザエで作る場合は身だけを使いましょう。缶詰を使うと簡単です。
台湾では缶詰で肉が売られているので、家庭でも再現が可能です。
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