難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾夜市で根強い人気の定番軽食『蚵仔煎│台湾風牡蠣オムレツ』のレシピを紹介します。これを食べずして台湾に行ってきたとはいえないほどの定番中の定番。日本でも再現可能です。簡易の『海山醤』の作り方も紹介します。
台湾を代表する軽食である『蚵仔煎』の歴史は明末まで遡ることが出来ます。明末の台湾といえば…歴史ファンの方にはおなじみ「鄭成功」。清朝に滅ぼされた明の王族と共に台湾に渡り、当時台湾を支配していたオランダ人を駆逐して漢人による支配体制を敷いた偉人です。台南にある名門国立成功大学にも名前が残っています。
その彼の父「鄭芝龍」は若かりしころは江戸時代初期の日本を拠点に活躍した商人でありました。(ちなみに鄭成功の母は平戸のマツという日本人。)日本が鎖国してからは台湾南部を拠点にオランダなどと貿易、時に海賊行為などを行い富を集めます。当時福建省いったいで最も権力を持っていた商人であったといわれています。当時の台湾海峡は倭寇が跋扈していた混乱の時代ですが、この倭寇を裏で操っていたともされています。商人であると共に巨大な軍事力も持っていたのです。また鄭芝龍は福建省から食糧不足にあえぐ大量の漢人を台湾に移民をさせました。現在の台湾住民のほとんどが漢人であるのは彼の功績によるところが大きいのです。
さて時は明末、清朝による明王朝打倒の機運が高まると鄭芝龍は明の亡命王朝に福建一帯の軍責を任されます。しかし意見の違いにより鄭芝龍は明軍を離脱して清朝に降伏、子の鄭成功は明王朝を支持、親子で袂を分かちます。
長くなるのでこの後の歴史はまた別の機会に語るとして…。
明対清の戦争の一環で、当時の台湾海峡は海上封鎖されていました。このため福建省からの米が台湾に輸送できず、台湾の米は東インド会社に独占されて市場に出回らない…。鄭芝龍や鄭成功らの軍隊は追い詰められた台湾で飢え、苦肉の策として編み出されたのがサツマイモなどの澱粉を水で溶き、加熱して膨らませて飢えをしのぐ方法でした。これがすなわち現在の『蚵仔煎』の原型です。明と清のいざこざのおかげで、清朝初期には台湾への移民は禁止されていました(それでも密航者は後を絶たなかったようですが)が、中期には解禁され多くの漢人が海峡を往復しました。そのときに「サツマイモ澱粉を水で溶いて焼く」手法が台湾から福建や広東にもたらされます。いまでは福建省や香港など各地で独自の発展をとげ、名物として多くの住民に愛されています。福建料理の流れを汲むシンガポールやマレーシアの中華街でも食べられます。
というわけで台湾史とも関連の深い『蚵仔煎』なのでした。料理を通じて台湾の歴史を知る、なかなか面白い試みかもしれません(笑)。
米が足りなかった時期に飢えをしのぐために編み出された苦肉の策が、今では国を代表するほど有名な料理となりました。未経験の方はぜひ一度台湾で本物を味わって見ましょう。一枚40-50元ほどです。
最後に…、日本のマンガ《きん肉マン》の作者ゆでたまごはご存知でしょうか?かれらの(現在の)中国語名も蚵仔煎と言います。台湾のゲーム掲示板の討論がきっかけとか…。何がどうなってゆでたまごが蚵仔煎になったのか興味は尽きませんが…ひとまずレシピ行って見ましょう。
[材料]
カキ ……… 300g
卵 ……… 2個
白菜 ……… 70g
(または春菊)
[調味料1]
片栗粉 ……… 35g
サツマイモ澱粉 ……… 70g
水 ……… 150cc
[調味料2](海山醤)
テンラージャン ……… 大さじ6
味噌 ……… 大さじ2
砂糖 ……… 大さじ2
醤油 ……… 大さじ2
水 ……… 100cc
水溶き片栗粉 ……… 少々
[作り方]
1.カキは少量の塩(分量外)で揉んでぬめりを取っておく。白菜はざく切りにする。調味料1をボウルなどに入れてよく混ぜ合わせておく。
2.フライパンに大さじ3のサラダ油(分量外)を熱し、カキを入れて7分ほど火を通す。続いて混ぜ合わせた調味料1を注ぎ軽く焼いたら、中央に卵を割り入れてから菜箸などで黄身を割り広げる。最後に白菜を加えたら生地をひっくり返して蓋をし、蒸らしながら生地に軽く焦げ目がつくくらいまで焼く。火が通ったら器に盛りつける。
3.調味料2の水溶き片栗粉以外を軽く混ぜ合わせ、フライパンに入れて沸騰させたら水とき片栗粉を加えてとろみをつける。海山醤の完成。作り方2の牡蠣オムレツの上に海山醤をかけたら完成。
Point!
ソースは一例です。ケチャップ、醤油、BBQソースなどで食べてもおいしいですし、オリジナルのソースをかけてもいいでしょう。台湾ではもっぱらこの『海山醤』か『甜辣醬』で食べます。
片栗粉を全量サツマイモ澱粉にすると表面が少しサクサクとした食感になります。もっちりした食感を出すなら片栗粉を加えましょう。
具にモヤシや豆腐を加えることもあります。なるべくシンプルに作りましょう。
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