汽鍋雞│汽鍋鶏

難易度: 調理時間:2時間
本日は『汽鍋雞│汽鍋鶏』という雲南省の伝統料理を紹介します。専用に作った特殊な鍋を使うので、日本で再現するのはまず不可能ですが…、何とか工夫してやって見ましょう。

そういえば雲南料理を紹介するのははじめてかもしれません。というわけで雲南料理の特徴を説明しておきます。雲南省は中華人民共和国の南端、ベトナムやミャンマーとの国境に位置し、明代までは独立王朝がありました。中華王朝の支配域に組み込まれてからは漢人の流入が本格化し、もともとこの地に住んでいた民族は現在少数民族とされています。雲南省特有の有名な料理といえば今回紹介する『汽鍋雞』や『過橋米線』くらいですが、漢人が伝えた四川料理を少しアレンジしたものがよく食べられます。もともとこの地に居住していた民族はタイ人やベトナム人と共通の祖先を持つものがあり、タイ料理やベトナム料理のような民族料理も盛んに食べられます。

『汽鍋雞』の難易度が☆3つであるのは、特殊な形状の「汽鍋」と呼ばれる鍋を使うためです。日本に数件あるという雲南料理の店では現地から取り寄せて使っていると思いますが、個人がこれを手に入れるのは至難の技。雲南省に直接赴いて現地で購入するか、陶芸を習得して自分で焼くかした方が早いかもしれません(笑)。

汽鍋の原理は口で説明するより写真を見ていただいた方が早いでしょう。






上記写真のように鍋の中央部に小さな穴が開いています。






上の図は汽鍋で加熱しているときの断面図です。寸胴鍋でお湯を沸かして上に汽鍋を載せます。A部分で発生した蒸気が、鍋の穴Bから、蓋をした鍋全体に行き渡り、食材を上下から加熱します。蒸し器の原理に似ていますが、蓋をした鍋の中に蒸気を導引するのがこの調理器具の特徴です。蓋を開ける直前まで温度がほとんど下がりません。蒸し器のように蒸気を逃さず蓋の内側に熱を閉じ込めて調理します。面白い調理器具ですね。

どんな環境の下でもほぼ一定の温度で調理でき、原理上調理温度は約85度、ダシをとるには最高の温度です。素材の風味をほとんど逃さずに調理することが可能で、香辛料や生薬を煮出すのにも最適です。汽鍋を使った薬膳料理も数多く存在します。

台北でも食べられますので、美食の次なるステージを目指す方はぜひ一度食べてみましょう。以下のお店で食べられます。

滇味廚房 過橋米線‧汽鍋雞
 台北市信義区永吉路30巷178弄2号
 02-2938-4788

日本で汽鍋を手に入れるのはまず無理でしょうが、レシピでは急須や小型の土鍋で再現しています。

[材料]
鶏肉 ……… 1kg
金華ハム ……… 30g
干しシイタケ ……… 6個(約50g)
タケノコ ……… 100g
 (なくてもよい)
ショウガ ……… 10g

[調味料]
酒 ……… 200cc
水 ……… 適量

[作り方]
1.鶏肉の骨を除き5-6cm大の大きさに切る。

2.シイタケは石づきを取り、水に浸けてやわらかくしておく。ショウガはうす切りにする。タケノコは下処理をしてうす切りにする。金華ハムはうす切りにする。

3.小型の土鍋か急須に適量の鶏肉、金華ハム、タケノコ、ショウガを入れ、酒と適量の水を入れる。ふたをして蒸し器に入れ強火で1時間加熱する。

Point!
塩は使いません。食材そのままの味を楽しみます。物足りないときは自分の器によそってから適量の塩を加えましょう。

この調理方法だと昆布を入れっぱなしで最高のダシが取れます。

現地では通常紹興酒か花彫酒を使って香り高く仕上げます。日本で作るなら清酒など使ってください。


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