難易度:☆ 調理時間:30分以内
本日はお手軽麺料理『紅油燃麵│紅油つけ麺』のレシピを紹介します。四川風の『紅油』を使い、ぴりりとした辛味が特徴のつけ麺風料理です。
前回花椒の麻味とRA1触覚器官についてコラムを書きましたが…、なんとGoogleで「RA1神経」を検索すると、体性感覚を解説した記事の真下に当ブログの『川味涼麵│四川風冷やし中華』の記事が来ることが分かりました(笑)。(前回記事ではRA1神経などと書いていますが原文では「Tactile RA1」となっているので今回は「RA1触覚器官」と訳します。)
学術目的でRA1触覚器官を調べる方がひょんなことから記事を読むかもしれないので、あまり適当なことは書けません…。というわけで今回は花椒と味覚について少し込み入った話をしたいと思います。科学が苦手な方は…、レシピまで一気に飛んでおいしさだけを味わってください(笑)。
花椒の成分がRA1触覚器官を刺激することがわかったのはごく最近2013年の8月のこと。RA1触覚器官は与える振動数によって刺激の感覚が異なりますが、花椒の成分はRA1触覚器官がもっとも強く刺激を感じる50-100Hzの振動数と同じような刺激を与えることが分かりました。花椒の有効成分はα-sanshool、β-sanshoolやα-sanshoamidなどで、これらに共通する R1-CO-NH-R2 の酸アミド構造が刺激に関与するということも明らかになっています。(成分の名前から分かるように日本の山椒にも同じ成分が含まれています)。CO基から供給される電子により窒素原子周りの電子濃度が高くなっており、これがRA1触覚神経に強く刺激を与える原因だそうです。また花椒の成分はR1部分にも二重結合を持っており、そこからも電子が供給されて電子濃度が更に高くなっています。窒素原子周りの電子濃度の高さがあの強烈な麻味を引き起こすのです。(原文:Hagura et al., Food vibrations: Asian spice sets lips trembling, Proc. R. Soc. B: Biol. Sci., 280 (1770) (2013), p. 20131680 http://dx.doi.org/10.1098/rspb.2013.1680)
この研究により感覚の最小単位を探求したり、慢性の痺れや麻痺を治療する医薬品を探索する研究の道が開けました。また「旨味」に加えて新しい味覚が定義される可能性もあります。とくに従来の鎮痛剤や麻酔が効きにくい慢性や麻痺性の疼痛の治療の糸口が見つかったのは大きな前進です。今後この分野の研究が進むと、いずれ新しいアプローチで痛みを改善する医薬品が生まれるかもしれません。
『紅油燃麵』は台北の某有名小籠包のレストランでも食べられます。麺さえ茹でてあれば1分もかからずに作れますので、ぜひ挑戦してみてください。それではレシピです。
[材料]
ラーメン ……… 1玉
豚ひき肉 ……… 50g
梅干 ……… 1個
ニンニク ……… 10g
ネギ ……… 適量
ピーナッツ ……… 大さじ1
[調味料1]
黒酢 ……… 小さじ1
水 ……… 大さじ1
醤油 ……… 大さじ1
花椒粉 ……… 小さじ1/2
砂糖 ……… 小さじ1
ラー油 ……… 大さじ2
[調味料2]
醤油 ……… 大さじ1
砂糖 ……… 小さじ1
[作り方]
1.ピーナッツは砕いておく。梅干はみじん切りにする。ニンニクはみじん切りにする。ネギはみじん切りにする。
2.すべての調味料1を混ぜ合わせてソースを作る。
3.熱したフライパンに大さじ1のサラダ油(分量外)を熱し、ニンニクと豚ひき肉を香りが出るまで炒める。続いて梅干と調味料2の醤油と砂糖を加えて全体に火を通す。
4.鍋に水を沸騰させラーメンを茹でる。火が通ったら水気を切り、器に盛りつける。
5.作り方4の麺の上に作り方3で炒めた具、作り方1で砕いたピーナッツと刻んだネギを盛り付け、作り方2のソースをかけて完成。
Point!
ソースは全部かけるとすこし辛いかもしれません。大さじ2ほどが適量です。
具は鶏のササミやキュウリなどを加えてもよいでしょう。ちなみに燃麺は冷やして食べません。
花椒は日本の田舎ではあまり売っていません。購入をご検討の方は甘口男までメールください。
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