難易度:☆ 調理時間:30分以内
台湾南部の名物料理『當歸麵線│当帰ソーメン』のレシピを紹介します。独特の旨味が特徴の生薬でソーメンを煮込んで作る料理です。
今回は多くの台湾料理で使われる生薬「當歸│当帰」の簡単な紹介をしておきましょう。当帰は非常に有名な生薬で、細かく書いていくと一冊どころではない本が書けてしまいます。なのであくまで簡潔に紹介します(笑)。
生薬「当帰」の起原植物は“日本では”トウキ Angelica actiloba、中国や台湾ではカラトウキ A. sinensis で元になる植物が異なります。台湾や中国では日本でいう当帰を「東当帰」と呼び分けるので注意しましょう。(ちなみに甘口男の火鍋シリーズにはカラトウキを使っています。)外見と成分含量が少し違うのですが、効能効果にほとんど違いはありません。細かく使い分ける人もいますが、料理では気にせず使ってもいいと思います。
中国産のカラトウキは甘粛省のものが質量共に最高とされます。 日本のトウキは国内各地で栽培されていますが、実は山野に結構な量が自生しています。山歩きが得意な人は自分で見つけることも可能です。よく洗って使いましょう。
生薬としての最初に文献に登場するのは《神農本草経》で、古くから補血の薬として重宝され、特に婦人の妙薬として多くの処方に配合されています。現代中医学では補血、活血止痛、潤腸などの効能があるとされ、貧血をはじめ、咳、心身喪失、虚血、動脈硬化、偏頭痛、腰痛、肝臓病、腎炎、消化管出血、子宮下垂、不眠症、尿漏れ、帯状疱疹、各種皮膚病、鼻炎、耳鳴りなどに応用されます。
台湾料理では『薑母鴨』、『四神湯』、『清燉牛肉麵』をはじめ、各種スープ料理などに風味付けとして使われることも多いです。台湾料理が好きな人は知らない間に口にしたことがある人も多いことでしょう。
血が足りない、流れが悪い、行き渡っていないなどの症状がある人には少量でも覿面な効果がある生薬です。夏は冷房病に、冬は冷え症にと年中通して使える薬剤ですので、中華料理好きな方は常備しておくと様々な料理に使えます。日本でも簡単に手に入る生薬ですので、香辛料として用意しておくといいかもしれませんね。
ちなみにスープで一緒に鴨肉を煮込み『當歸鴨』を作ってからソーメンを入れると、高雄は鳳山名物の『當歸鴨麵線』が作れます。こちらもおいしいので、いい鴨肉を手に入れたら作って見ましょう。これからの季節にうってつけの体の芯から温まる薬膳料理です。
[材料]
ソーメン ……… 2束
酒 ……… 600cc
ショウガ ……… 35g
ごま油 ……… 100cc
水 ……… 1600cc
当帰 ……… 8g
枸杞 ……… 3g
川芎 ……… 3g
[調味料]
塩 ……… 適量
[作り方]
1.ショウガを薄切りにする。
2.熱した鍋にごま油を入れ、煙が出るまで熱したら弱火にしてショウガを香りが出るまで炒める。続いて当帰、枸杞、川芎、酒、水を加えたら強火で沸騰させ、再び弱火で20分ほど煮込んで味を抽出する。
3.ソーメンを適量のお湯で茹でて火を通し、器に盛り付ける。作り方2のスープを注いで適量の塩で味を付けたら完成。
Point!
当帰の量が多すぎると生薬特有の苦味が出ますが、薬用効果は高まります。この苦味が好きという人もいますので、少量から少しずつ増やして好みの量を見つけましょう。
水と酒の割合は好みで変更して下さい。全量を酒で作るとより甘く香ばしく、全量を水で作るとさっぱりとした味わいになります。
当帰は軽く炙ってから使ってもよいでしょう。煮込んだ後の当帰は柔らかく独特の甘みがあり具として食べられます。
通常は塩を加えずそのまま食べます。しかし少量の塩を加えた方が日本人には食べやすいでしょう。
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