葛拉姆馬薩拉│ガラムマサラ

難易度: 調理時間:一瞬
薬膳料理シリーズ番外編『葛拉姆馬薩拉│ガラムマサラ』の紹介です。ガラムマサラで使われる香辛料を解説していきたいと思います。運よく台湾でHigene作のカレーを食べられた方に「これならマジで買ってもいい!店を出せ!」と評判(笑)の甘口男特製カレーのベースとなる材料でもあります。

中国語で『葛拉姆馬薩拉』はそのままガラムマサラの音に漢字を当てたもの。ピンイン表記は“Gé lā mǔ mǎ sà lā”と、日本語のガラムマサラに声調をつけたくらいの違いしかありません。インドの現地語ではगरम मसाला と表記されるそうですが、普通は読めないですね…。

いわゆる「スパイス詰め合わせ」くらいの意味なので現地では家により、作る料理により微妙に配合が違うそうです。今回紹介するレシピもHigeneオリジナルで花椒、八角、砂仁を加えて微妙に中華っぽさを出しています。

今回レシピの材料となる香辛料、生薬は黒胡椒、丁香、肉桂、肉豆蔻、孜然、草果、白豆蔻、胡荽、八角、小茴香、砂仁です。特に決まった配合ではないので、好みの香辛料を加えたり、手に入らなかったものを抜いたり、適宜増減して作って見ましょう。以下それぞれの薬物を中医学での効能などを簡単に説明していきます。

黒胡椒(Hēi hú jiāo、くろこしょう):Black pepper
通常「胡椒」といえばこちら。黒い果皮を取り去ったものが白胡椒です。性味は辛、熱。帰経は胃、大腸。温中止痛の効能があります。洋の東西を問わず様々な料理に用いられます。
丁香(Dīng xiāng、ちょうこう):Clove
丁子とも呼ばれる香辛料です。性味は辛、温。帰経は脾、胃、腎。温中止痛、降逆の効能があります。日本では奈良時代から使用されていました。「丁」は釘の意味です。
肉桂(Ròu guì、にっけい):Cinnamon
桂皮とも呼ばれます。性味は辛、甘、熱。帰経は腎、脾、心、肝。補命門火、散寒温脾、止痛、温煦気血の効能があります。同じ植物から取れる桂枝は枝を細切れにしたもので、性が温、帰経が心、肺、膀胱、効能が発汗解表、温経通陽である点が異なります。
肉豆蔻(Ròu dòu kòu、にくずく):Nutmeg
性味は辛、温。帰経は脾、胃、大腸。渋腸止瀉、温中行気の効能があります。よく使われる香辛料ですが、大量に使うと幻覚作用を発揮し、昏睡、時に死に到ります。使用量には十分注意しましょう。
孜然(Zī rán、こうぜん):Cumin
性味は辛、温。帰経は不明ですが、おそらく胃、脾。散寒止痛、理気調中の効能があります。インド、イスラム料理にはかかせない調味料です。
草果(Cǎo guǒ、そうか):Black cardamom
性味は辛、温。帰経は脾、胃。燥湿温中、截瘧の効能があります。よく使われる香辛料の一つです。
白豆蔻(Bái dòu kòu、びゃくずく):Round Cardamom
性味は辛、温。帰経は肺、脾、胃。行気、化湿、健胃、温胃止嘔の効能があります。中華火鍋には欠かせない香辛料の一つです。
胡荽(Hú suī、こすい):Coriander seed
性味は辛、温。帰経は肺、胃。発汗透疹、消食下気の効能があります。中華料理でおなじみの香菜の種子を乾燥させたもので、非常に鮮烈な香りが特徴です。
八角(Bā jiǎo、はっかく):Star anise
大茴香とも呼ばれます。性味は辛、甘、温。帰経は肝、腎、脾。散寒、暖肝、温腎、止痛、理気開胃の効能があります。中華料理で非常に良く使われる香辛料です。
小茴香(Xiǎo huí xiāng、小茴香):Fennel
 
ただの茴香とも呼ばれます。性味は辛、温。帰経は肝、腎、脾、胃。散寒、暖肝、温腎、止痛、理気開胃の効能があります。インド雑貨店の香りといえばこれです。
砂仁(Shā rén、しゃじん):Villosum cardamom
 
縮砂とも呼ばれる生薬です。性味は辛、温。帰経は脾、胃。行気、化湿、健胃、温中止瀉、安胎の効能があります。英語では草果、白豆蔲などと一括してただカルダモンと呼ばれます。正確にはヴィローウスカルダモンなどと呼ばれますが、一定した名称はありません。
月桂葉(Yuè guì yè、げっけいよう):laurel、Bay leaf
性味は辛、温。帰経は不明ですが、たぶん胃、脾。 健胃理気の効能があります。肉の臭みを消す清涼な香りが特徴の香辛料です。
花椒(Huājiāo、かしょう):Sichuan pepper
性味は辛、温。帰経は脾、胃、腎。温中止痛、止瀉、殺虫の効能があります。四川料理を代表する香辛料です。

ほとんどが中医学でいう胃、脾の機能を高め、気の流れを調節し、胃腸機能を改善する作用があります。肉料理とあわせやすい適度な辛味と食欲を促進させる香りが特徴の生薬ばかりです。

出来上がった『葛拉姆馬薩拉│ガラムマサラ』はカレーやタンドリーチキンなどに大活躍の調味料になります。これを使って作ったカレーを一度食べると、市販のカレー粉だけでは満足できなくなってしまいます。 作ってみたい!もしくは、出来上がったものを使ってみたい!という方はメッセージください。材料はごく少量からでもお分けできます。

次回はこれを使ったカレーです。

[材料]
孜然(クミンシード) ……… 大さじ4
胡荽(コリアンダーシード) ……… 大さじ2
草果実(ブラックカルダモン) ……… 2個
肉桂(シナモン) ……… 大さじ1
丁香(クローブ) ……… 大さじ1
小茴香(フェンネル) ……… 大さじ1
黒胡椒(ペッパー) ……… 大さじ1
白豆蔲(ラウンドカルダモン) ……… 大さじ1
月桂葉(ローリエ) ……… 大さじ1
肉豆蔻(ナツメグ) ……… 1個
花椒(スーチュアンペッパー) ……… 小さじ1
八角(スターアニス) ……… 1個
砂仁(カルダモン) ……… 2個

[作り方]
1.材料を鍋に入れ、弱火で水分が飛ぶまで炒める。

2.荒熱を取ってからミキサーにいれて粉砕し、網などでふるってからビンなどに入れて完成。

Point!
クミンシードを3-4倍まで増量すればそのままカレー粉としても使えます。またビンは密閉して冷蔵庫に入れて保存しましょう。長期保存も可能ですが、香りがどんどん逃げていくので出来るだけ早く、長くても1ヶ月以内で使い切るのが理想です。

香辛料を少量ずつ組み合わせて保存しておけば、いつでも新鮮なものを作って使えます。

適量の塩とあわせて、肉を炒めたり、焼き鳥にかけたりしてもおいしいです。



2 コメント :

匿名 さんのコメント...

砂仁はどこに売っていますか?砂仁=ブラウンカルダモンとかワイルドカルダモンとは違いますか?

甘口男 さんのコメント...

>>匿名様
コメントに気付かず返信が遅れました。申し訳ありません。沙仁はカルダモンの一種なのですが、英語圏ではほとんど使われないため正確な英語表記がありません。
日本では「縮沙(しゅくしゃ)」という名前で生薬として売られているので、大手の漢方薬局か輸入食品の店でお尋ねください。500gで4000-5000円ほどします。
また甘口男でも少量から販売しています。メールでご相談ください。

 
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