台湾を代表する南国フルーツ、マンゴーについてまとめます。
マンゴーは学名を Mangifera indica L. といい、ウルシ科マンゴー属の果樹、またその果実を指します。中国語では芒果と書き、台湾で盛んに栽培される経済作物のひとつです。
インドからマレー半島あたりが原産と考えられており、インドでは4000年以上前から栽培されてきました。仏典にもたびたび登場し、インドでは聖なる樹、聖なる果実などとも呼ばれます。日本や中国ではまれに古代サンスクリット語でマンゴーを意味する āmra に漢字を当てた「菴羅」、もしくは āmalaka に漢字を当てた「菴摩勒」と呼ばれることもあります。あの三蔵法師もインドでマンゴーに出会い、その様子を《大唐西域記》に記しています。
世界的にも重要な経済果実の一つで、ブドウ、オレンジ、バナナ、リンゴと共に五大果実と呼ばれます。近代に入って急成長を遂げた巨大な市場を持つ果物です。
日本では沖縄県や宮城県で盛んに栽培されており、全国の果物店やスーパーで購入できます。日本国内で栽培されるほとんどのマンゴーはアップルマンゴー、即ちアーウィン種と呼ばれる品種で、国産のマンゴーを食べている限り台湾で栽培されているような多種多様な品種を楽しむことができないのが残念です。
台湾はマンゴー王国…、と呼びたいところですが、栽培している品種の数も生産量もすぐ近くのタイに大きな差をつけられてしまっているので、マンゴー大国としておきましょうか。そのマンゴー大国台湾で栽培されるマンゴーには大きく分けて3つの系統があります。
1.土芒果系
台湾に原生する野生のマンゴーです。果実は小ぶりで果皮は緑色、実は繊維質が多いですが、アーウィン種などを超える強烈な甘味を持ちます。野生品といわれて言いますが、オランダ統治時代にインドからもたらされたものが野生化したものです。
2.アメリカから導入
民国43年(1954年)に中國農村復興聯合委員會がアメリカから導入した愛文(アーウィン、Irwin)、海頓(ヘイデン、Haden)、吉祿(ジル、Zill)、肯特(ケント、Kent)、凱特(キーツ、Keitt)の五種を先祖に持つマンゴーです。もともとが栽培品種なので導入と栽培方法がマニュアル化されており、台湾全土に一気に広がりました。台湾での栽培成功を受けてアーウィン種が台湾から日本へと導入されました。つまり台湾のアーウィン種は日本のマンゴーの祖先です。初期の五種以降に新規導入された種もここに含みます。
3.台湾で開発
台湾本土での品種改良、または突然変異の結果生まれた新しいマンゴーです。懷特(ホワイト、White)種を母、凱特種を父に持つ「金煌」、金煌を母、愛文を父に持つ「玉文6号」などが有名です。近年の農業技術の発達により、多くの改良品種が生まれ市場に流通しています。南部の農協近辺では生まれて間もない新種のマンゴーが試験的に出回ることがあります。
4.その他
日本統治時代に台湾に導入されたマンゴーの生き残り、ごくごく少数が栽培されており品種が不明なもの、品種が登録されていないもの、係争中のものなど上記カテゴリーに分類できない種です。
以下に台湾で手に入る多種多様なマンゴーの品種を紹介していきますので、旅行時の参考にしてください。
土芒果、土檨仔│台湾野生マンゴー
愛文│Irwin、アーウィン種、アップルマンゴー
金煌│ジンファン(キンコウ)マンゴー
凱特│Keitt、キーツ(カイトとも)種
台農一號、香水│台農(タイノン)一号、香水(シャンシュイ)
農民黨(四季檨)│農民党(ノンミンタン)
玉文六號│玉文(ユーウェン)六号
金興│ジンシンマンゴー
玉林│ユーリンマンゴー
金文│ジンウェンマンゴー
金蜜│ジンミーマンゴー
杉林一號│杉林(サンリン)一号
紅龍│ホンロンマンゴー
文心│ウェンシンマンゴー
黑香、烏香│黒香(ヘイシャン)マンゴー
聖心│Sensation、センセーション
懷特、香蕉│White、ホワイト種、バナナマンゴー
海頓│Haden種、ヘイデン
吉祿│Zill種、ジル
肯特│Kent種、ケント種
鳳凰│鳳凰(フォンファン)マンゴー
芒果│マンゴー
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2015年6月25日木曜日
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