難易度:☆☆☆(材料入手による) 調理時間:1時間以内
季節の薬膳料理を4回に分けてお届けします。第一弾は春の薬膳『何首烏肝片│ブタレバ何首烏炒め』のレシピです。ちょっと本格的に薬膳してみます。
中医学でいう「春(立春から立夏まで)」は、自然が陽気を発生させ、人体の気を向上させて外に向って発散させる季節。したがって春に取るべき食物は、この働きを助けるような働きをもつものという風に考えられます。古典《黄帝内経》では「春夏養陽」という風にも記載されています。例えばネギ、 ニンニク、ニラ、ヨモギなどの温陽の性質を持つ野菜をたっぷり使って、体の陽気を高める料理を作るといいでしょう。
また中医学の理論では春は肝気が旺盛になる季節とされ、このコントロールも重要になります。肝気が旺盛になりすぎると、脾の効能を傷害し、胃の消化機能が低下します。古典《備急千金要方》には、「省酸益甘、以養脾気」と春の養生法が書かれています。春は酸っぱい味付けを避け、甘みを増した味付けを心がけるとよいでしょう。
今回の料理は、肝気が傷害され精血の不足が起きている人向けの料理です。冬には肌が白くなりますが、春になってもそれが回復せず、顔色が悪いまま。また貧血気味だったり、視力減退が起きたり、髪が白くなったりといわゆる「肝腎の気が足りない」方にピッタリの料理です。
この『何首烏肝片』は(制)何首烏で肝気を増して精血を補益し、猪肝で血を補います。また何首烏の性味は甘、微温なので、春の食材としてもピッタリですね。
中医として、何首烏はニンニク、ネギ、ダイコン、キュウリなどと一緒に調理してはいけないとされています(例:元代《飲食須知》)。何首烏の注意というより、ニンニクやネギを他の補薬と一緒に調理してはいけないという注意なのですが、一応覚えておきましょう。また何首烏はタンニンを多く含むため、鉄鍋では調理できません。
日本で売られている何首烏はほぼ「生何首烏(こちらは下剤としての用途が主)」なので、制何首烏の入手はなかなか難しいのですが、甘口男では少量から販売しています。興味がある方はメールでご連絡ください。
[材料]
制何首烏 ……… 20g
ブタ肝 ……… 250g
キクラゲ ……… 25g
チンゲンサイ ……… 100g
[調味料]
紹興酒 ……… 大さじ1
酢 ……… 小さじ1
塩 ……… 小さじ1/2
片栗粉 ……… 大さじ1
醤油 ……… 大さじ1と1/2
水 ……… 100g
[作り方]
1.制何首烏を水100ccに入れて火にかけ、適宜水を足しながら40ccになるまでごく弱火で30分煎じる。
2.ブタ肝を厚さ0.5cmの薄切りにし、食べやすい大きさに切る。チンゲンサイは適量をよく洗っておく。 キクラゲは水に浸けて戻し、食べやすい大きさに切っておく。
3.ブタ肝に、作り方1の何首烏の煎じ液20ccとごく少量の食塩(分量外)、半量の片栗粉を混ぜたものに浸けてよくかき混ぜておく。残りの何首烏煎じ液と醤油、紹興酒、塩、残り半量の片栗粉を混ぜ合わせてソースを作る。
4.鍋に揚げ物油を150度に熱し、作り方3のブタ肝を入れてざっと火を通す。火を通したら取り出して油を切っておく。揚げ物油を回収したら、鍋に大さじ3ほどの油を残して再び加熱し、チンゲンサイとキクラゲを炒めて火を通す。取り出しておいたブタ肝を加えてら、ソースを入れてかき混ぜてとろみを付けて完成。
Point!
最後に小さじ1ほどのごま油を加えると香ばしくなります。
チンゲンサイがない場合は他の葉野菜で代用しましょう。ユリ科の植物、ニンニク、タマネギ、ネギ、ニラなどは入れてはいけません。
鶏の砂肝でも作れます。
何首烏は日本で売られている「生何首烏」ではなく黒豆の煮汁で修治した「制何首烏」を使います。「生何首烏」を使うと下痢してしまうと思うので間違えないようにしましょう。「制何首烏」は日本ではなかなか売っていません。挑戦される方はメールでお問い合わせください。少量からお分けできます。
何首烏肝片│ブタレバ何首烏炒め
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2014年5月29日木曜日
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