薬酒:周公百歲酒│周公百歳酒
本日は薬酒のレシピです。ご存知のように台湾では、日本以上に市内いたる所に漢方薬局があります。今回はその漢方薬局で瓶ごと買うことができる薬酒の紹介です。日本だと養命酒が有名すぎて他の薬酒の名前を聞くことは少ないのですが、台湾では多くの種類の薬酒を買うことができます。
ちなみにかの養命酒は「酒」と「医薬品」の両方のカテゴリーに登録されており、中身はまったく一緒なのですが、値段とパッケージが違います。「酒」の方は酒税がかかっている分値段が高く、酒店、スーパーなどでも買えます。「医薬品」の方は酒税分だけ安く、添付文章なる説明書が同封されているのと効能効果が明記されており、薬局でしか買えません。値段と箱と同封物が違うだけで、中身はまったく同じですので、好きなほうを買ってください。いやぁ、勉強になりますね(笑)。
最近は台湾でも養命酒の販売が本格的に始まりました。テレビでも結構な数の広告を打っているので、今後の売り上げがどうなるのか楽しみです。
市内各所にある廟での祭りの際などは、有志らが高級な薬酒を注文し参拝者に振舞うことがあります。漢方薬局によっては店先に薬酒のビンを飾っていることもあるので、注意して街を歩くと多くの薬酒を見つけることができます。20リットル以上の巨大な瓶で数年以上浸けた超高級薬酒になると一瓶10万元以上で売られていることがあります。
地元の名士や見栄っ張りなおじさんが、高価な薬酒を奮発して買ったはいいが、誰も飲まず、名前すら忘れ去られ、台所の角に放置されている…。十数年後蓋を開けてみれば見事に熟成された超高級薬種が完成しており、一口飲めばすばらしい味と効果にびっくり!あなたの友人宅にもそんな名薬酒が眠っているかもしれません。台湾の家庭を訪ねる機会があればご主人に聞いてみて、あれば一口飲ませてもらいましょう。
上手に浸けた薬酒はそのまま飲むだけでなく、他の料理にも使えます。料理酒の代わりに使うだけで芳醇な香りとコクを料理に与えることができるので、一つ自宅でも作っておくとよいかもしれません。
さて、前置きが長くなりましたが、本日紹介するのは『周公百歲酒(しゅうこうひゃくさいしゅ)』。名前の通り周公が百歳まで飲んだ酒という意味です。中国の歴史上名君とされる人物は数多いですが、最も古い時代の名君の一人である東周の周公が三代にわたって飲用し、全員が100歳を超えるまで生きたという、近代文学(1840年代の「歸田瑣記」という書籍)に登場する薬酒です。実際に3000年前にこのお酒があったかどうかはまったく確かではないので、鵜呑みにしないようにしましょう。
配合されている薬剤は『十全大補湯』や『八珍湯』などとある程度共通しており、非常にバランスの取れた全方位対応型の薬酒です。配合されている材料があまりに完璧で「百酒の長」との別名をもち、薬酒の中の薬酒として非常に有名です。台湾各地の漢方薬局で酒の量と飲む日時を伝えれば、材料を浸けた瓶入りの薬酒を手に入れることが出来ます。結構な値段しますけど。
材料さえあれば作るのは非常に簡単で、日本でもお酒だけ準備すれば作れます。お酒に成分が染み出し、飲めるようになるまで2ヶ月ほどかかりますが、他の薬酒を作るのも同じくらいかかるので出来上がりを期待してじっくり待ちましょう。
周公のように100歳まで生きたい方は毎日チビチビと飲むといいかもしれません。
台湾には家庭で飲むための多くの薬酒レシピがあり、生活・文化と密接に関連しています。少しずつ紹介していきますので、時々お付き合いください。
各種材料の説明は難しすぎるので省きます。興味のある方はグーグルで検索して自分で調べてみましょう。
材料はサイトでそのうち販売予定です。
難易度:
☆☆☆(材料入手難度による)
調理時間:
30分以内+2ヶ月(熟成)
材料:
黄蓍 ……… 12g
熟地黄 ……… 8g
生地黄 ……… 8g
亀板 ……… 8g
川芎 ……… 6g
麦門冬 ……… 6g
白朮 ……… 6g
防風 ……… 6g
羌活 ……… 6g
茯神 ……… 6g
山薬 ……… 6g
枸杞 ……… 6g
当帰 ……… 6g
芍薬 ……… 6g
陳皮 ……… 4g
五味子 ……… 4g
肉桂 ……… 4g
高麗人参 ……… 4g
材料2:(好みで加える)
山茱萸 ……… 4g
大棗 ……… 100g
調味料:
氷砂糖 ……… 200g
(全量を蜂蜜に代えてもよい)
蜂蜜 ……… 100g
ホワイトリカー ……… 1500-1800cc
作り方:
1.材料を水でよく洗い、雑物を取り除く。大きな材料は砕いておく。
2.ホワイトリカーに材料を全て浸け込み、蓋をして暗所で20日放置する。数日に一度蓋を開け軽くかき混ぜる。
3.20日経ったら蜂蜜、氷砂糖を加える。数日に一度蓋を開け軽くかき混ぜる。更に20日ほど放置して完成。
Point:
出来上がった薬酒を一回10-20ccずつ一日1-2回飲みます。
砂糖、蜂蜜などの甘味料を最初から加えると、浸透圧の関係で材料の成分が染み出しにくくなるので、ある程度成分が染み出してから加えます。
2ヶ月待たずとも飲むことはできますが、1ヶ月以上待つと味がまろやかになり、非常に飲みやすくなります。
より大量を浸ける場合は材料を倍倍してください。
ガラス瓶ではなく陶製の壷に入れ、出来上がるまで土中に埋めておくのが正しい作り方ですが、そこまで本格的に作る必要はないと思います。
薬酒:周公百歲酒│周公百歳酒
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2013年4月8日月曜日
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